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8確率の基本:定義から加法定理、余事象の使い方まで徹底解説
私たちの周りには、結果が不確実な事柄がたくさんあります。例えば、天気予報、宝くじの当選、コイン投げの結果などです。このような不確実な事柄が「どの程度起こりやすいか」を数値で表すのが「確率」です。確率は、統計学、金融、科学技術、そして日常生活の意思決定に至るまで、幅広い分野で利用される重要な概念です。ここでは、確率の基本的な定義、確率同士を足し合わせる「加法定理」、そして特定の事象が起こらない確率を利用する「余事象」について、基礎から丁寧に解説します。この内容は、より複雑な確率問題を理解するための土台となります。
第1章:確率とは何か? – 基本的な定義と性質
まず、確率を議論するための基本的な用語と、確率の数学的な定義を確認しましょう。
1. 事象と全事象、根元事象
- 試行: サイコロを投げる、コインを投げる、くじを引くなど、同じ条件の下で繰り返すことができ、その結果が偶然によって決まる実験や観測のこと。
- 事象: 試行の結果として起こりうる事柄。
- 例:サイコロを1回投げる試行において、「偶数の目が出る」「1の目が出る」「5以上の目が出る」などは事象。
- 全事象 (U): ある試行において起こりうるすべての結果(根元事象)の集合。全体集合ともいう。
- 例:サイコロを1回投げる試行の全事象は U = {1, 2, 3, 4, 5, 6}。
- 根元事象: 全事象を構成する、それ以上細かく分けることのできない個々の結果。
- 例:サイコロを1回投げる試行の根元事象は {1}, {2}, {3}, {4}, {5}, {6} の6つ。
- 空事象 (∅): 決して起こらない事象。要素を一つも含まない集合。
- 例:サイコロを1回投げる試行において「7の目が出る」事象。
2. 確率の定義(数学的確率)P(A) = n(A) / n(U)
- ある試行において、全事象 U に含まれるすべての根元事象が同様に確からしいとき、事象 A の起こる確率 P(A) は次のように定義されます。
- P(A) = n(A) / n(U)
- ここで、
- n(A):事象 A が起こる場合の数(事象 A に含まれる根元事象の個数)
- n(U):起こりうるすべての結果の場合の数(全事象 U に含まれる根元事象の個数)
- 「同様に確からしい」とは?
- 各根元事象が起こる割合に偏りがないことを意味します。例えば、歪みのないサイコロであれば、1から6のどの目が出る確率も等しく 1/6 であり、同様に確からしいと言えます。いびつなサイコロでは、特定の目が出やすくなるため、この定義は直接適用できません。
3. 確率の基本性質 (0≦P(A)≦1, P(U)=1, P(∅)=0)
- 確率 P(A) は必ず次の範囲の値をとります。
- 0 ≦ P(A) ≦ 1
- 確率が 0:その事象は絶対に起こらない(空事象 P(∅) = 0)。
- 確率が 1:その事象は必ず起こる(全事象 P(U) = 1)。
- 確率は負の値になったり、1を超えたりすることはありません。
4. 具体例:サイコロ、コイン、カード
- 例1: 1個のサイコロを投げるとき、偶数の目が出る確率。
- 全事象 U = {1, 2, 3, 4, 5, 6} なので n(U) = 6。
- 偶数の目が出る事象 A = {2, 4, 6} なので n(A) = 3。
- P(A) = n(A) / n(U) = 3 / 6 = 1/2。
- 例2: 1枚のコインを2回投げるとき、少なくとも1回は表が出る確率。(※これは後述の余事象を使うと楽ですが、定義通り計算してみます)
- 起こりうる結果は (表, 表), (表, 裏), (裏, 表), (裏, 裏) の4通り。これらが同様に確からしい。n(U) = 4。
- 少なくとも1回は表が出る事象 A = {(表, 表), (表, 裏), (裏, 表)}。n(A) = 3。
- P(A) = n(A) / n(U) = 3 / 4。
- 例3: ジョーカーを除く52枚のトランプから1枚引くとき、それがエース(A)である確率。
- 全事象の場合の数 n(U) = 52。
- エースは各スート(スペード、ハート、ダイヤ、クラブ)に1枚ずつあるので、事象 A = {スペードA, ハートA, ダイヤA, クラブA}。n(A) = 4。
- P(A) = n(A) / n(U) = 4 / 52 = 1/13。
第2章:事象の演算と確率の加法定理
複数の事象の関係性を考え、それらの確率を計算する方法を見ていきましょう。
1. 和事象 (A∪B) と積事象 (A∩B)
- 和事象 (A∪B): 事象 A または 事象 B の少なくとも一方が起こるという事象。「A または B」
- 例:サイコロで「偶数の目が出る」事象 A={2, 4, 6} と「3以下の目が出る」事象 B={1, 2, 3} の和事象 A∪B = {1, 2, 3, 4, 6}。
- 積事象 (A∩B): 事象 A と 事象 B がともに起こるという事象。「A かつ B」
- 例:上記の A と B の積事象 A∩B = {2} (偶数かつ3以下の目)。
2. 排反事象とは? (A∩B = ∅)
- 2つの事象 A と B が同時に起こることがないとき、A と B は互いに排反(はいはん)である、または排反事象であるといいます。
- このとき、積事象は空事象となります。A∩B = ∅。
- 例: サイコロで「奇数の目が出る」事象 C={1, 3, 5} と「偶数の目が出る」事象 A={2, 4, 6} は、同時に起こらないので互いに排反です (C∩A = ∅)。
- 一方、「偶数の目が出る」事象 A={2, 4, 6} と「3以下の目が出る」事象 B={1, 2, 3} は、{2} が共通しているので排反ではありません。
3. 確率の加法定理:P(A∪B) = P(A) + P(B) – P(A∩B)
- 事象 A または 事象 B が起こる確率 P(A∪B) は、次の公式で計算できます。
- P(A∪B) = P(A) + P(B) – P(A∩B)
- なぜ P(A∩B) を引くのか?
- 単純に P(A) と P(B) を足すと、A と B の両方に含まれる部分(A∩B)を2回数えてしまうことになります。そのため、重複している部分の確率 P(A∩B) を1回分引く必要があります。(ベン図で考えると分かりやすいです)
4. 排反事象の場合の加法定理:P(A∪B) = P(A) + P(B)
- 特に、事象 A と 事象 B が互いに排反である場合、同時に起こることはないので P(A∩B) = P(∅) = 0 となります。
- この場合、加法定理はよりシンプルな形になります。
- P(A∪B) = P(A) + P(B) (A, B は互いに排反)
5. 具体例題:加法定理の適用
- 例題: 1から10までの番号が書かれたカード10枚から1枚引くとき、その番号が偶数または3の倍数である確率。
- 考え方:
- 全事象 U = {1, 2, …, 10}, n(U) = 10。
- 事象 A:「偶数が出る」= {2, 4, 6, 8, 10}。n(A)=5。P(A) = 5/10。
- 事象 B:「3の倍数が出る」= {3, 6, 9}。n(B)=3。P(B) = 3/10。
- 事象 A と B は排反ではない(共通部分 {6} がある)。
- 積事象 A∩B:「偶数かつ3の倍数(=6の倍数)」= {6}。n(A∩B)=1。P(A∩B) = 1/10。
- 求める確率は P(A∪B)。加法定理(一般形)を使います。
- 計算:
- P(A∪B) = P(A) + P(B) – P(A∩B)
- P(A∪B) = (5/10) + (3/10) – (1/10) = 7/10
- 答え: 7/10
- (別解:直接数える)
- 事象 A∪B = {2, 3, 4, 6, 8, 9, 10}。n(A∪B) = 7。
- P(A∪B) = n(A∪B) / n(U) = 7 / 10。
第3章:余事象とその確率
直接確率を求めるのが難しい場合に、逆の発想で考える「余事象」は非常に強力なツールです。
1. 余事象 (Aバー) の定義
- ある事象 A に対して、「事象 A が起こらない」という事象を A の余事象といい、記号 Aバー または A^cで表します。
- 全事象 U の中で、事象 A に含まれない部分全体が余事象 Aバー です。
- 事象 A とその余事象 Aバー は、必ず互いに排反であり (A∩Aバー = ∅)、かつ、合わせると全事象になります (A∪Aバー = U)。
2. 余事象の確率:P(Aバー) = 1 – P(A)
- A と Aバー は互いに排反なので、排反事象の加法定理より、
- P(A∪Aバー) = P(A) + P(Aバー)
- また、A∪Aバー は全事象 U なので、P(A∪Aバー) = P(U) = 1 です。
- したがって、1 = P(A) + P(Aバー) となり、これを変形すると余事象の確率を求める公式が得られます。
- P(Aバー) = 1 – P(A)
- 同様に、P(A) = 1 – P(Aバー) も成り立ちます。
3. 余事象の利用:「少なくとも~」の確率
- 余事象の考え方が特に有効なのは、「少なくとも1つは~である」という確率を求めたい場合です。
- 「少なくとも1つは A である」という事象は、「すべて A でない」という事象の余事象になっています。
- 「すべて A でない」確率を求める方が簡単な場合が多いのです。
- P(少なくとも1つは A) = 1 – P(すべて A でない)
4. 具体例題:余事象を用いた計算
- 例題1: 3個のサイコロを同時に投げるとき、少なくとも1個は1の目が出る確率。
- 考え方:
- 事象 A:「少なくとも1個は1の目が出る」
- この確率を直接求めようとすると、「1個だけ1の目」「2個だけ1の目」「3個とも1の目」の場合をそれぞれ計算して足し合わせる必要があり、面倒です。
- そこで、余事象 Aバー を考えます。
- Aバー:「少なくとも1個は1の目が出る」の否定 = 「3個とも1の目が出ない」
- P(Aバー) を計算し、1 から引けば P(A) が求まります。
- 計算 (P(Aバー)):
- 全事象:3個のサイコロの目の出方は 6 × 6 × 6 = 216 通り。n(U) = 216。
- 事象 Aバー (3個とも1でない):各サイコロは 1 以外の目 {2, 3, 4, 5, 6} の 5 通りの出方がある。
- よって、3個とも1でない目の出方は 5 × 5 × 5 = 125 通り。n(Aバー) = 125。
- P(Aバー) = n(Aバー) / n(U) = 125 / 216。
- 計算 (P(A)):
- P(A) = 1 – P(Aバー) = 1 – (125 / 216) = (216 – 125) / 216 = 91 / 216。
- 答え: 91/216
- 例題2: 赤玉5個、白玉3個が入った袋から同時に2個取り出すとき、少なくとも1個は赤玉である確率。
- 考え方:
- 事象 A:「少なくとも1個は赤玉」
- 余事象 Aバー:「2個とも赤玉でない」=「2個とも白玉」
- P(Aバー) を計算して 1 から引く。
- 計算 (P(Aバー)):
- 全事象:8個から2個選ぶ組合せ → 8C2 = (8×7)/(2×1) = 28 通り。n(U)=28。
- 事象 Aバー (2個とも白玉):3個の白玉から2個選ぶ組合せ → 3C2 = 3C1 = 3 通り。n(Aバー)=3。
- P(Aバー) = n(Aバー) / n(U) = 3 / 28。
- 計算 (P(A)):
- P(A) = 1 – P(Aバー) = 1 – (3 / 28) = 25 / 28。
- 答え: 25/28
第4章:まとめと確率計算の心得
確率の基本は、定義を正確に理解し、状況に応じて適切な定理を使い分けることです。
1. 基本用語と公式の再確認
- 確率 P(A): n(A) / n(U) (同様に確からしい場合)
- 加法定理:
- P(A∪B) = P(A) + P(B) – P(A∩B) (一般)
- P(A∪B) = P(A) + P(B) (A, B が排反)
- 余事象:
- P(Aバー) = 1 – P(A)
- P(少なくとも1つはA) = 1 – P(すべてAでない)
2. 確率計算の手順(全事象、注目事象の場合の数を正確に)
- Step 1: 試行と全事象 U を明確にする。
- Step 2: 根元事象が「同様に確からしい」か確認する。
- Step 3: 全事象の場合の数 n(U) を正確に計算する(場合の数の知識が必要!)。
- Step 4: 注目している事象 A を明確にする。
- Step 5: 事象 A の場合の数 n(A) を正確に計算する(場合の数の知識が必要!)。
- Step 6: P(A) = n(A) / n(U) を計算する。
3. 加法定理と余事象の使い分け
- 加法定理: 「A または B」の確率を求めるときに使う。A と B が排反かどうかに注意する。
- 余事象: 「少なくとも~」や「~でない」確率を求めるときに有効。直接求めるのが面倒な場合に、逆(否定)を考える。
潜在的なリスクについて:
この記事では、確率の最も基本的な定義と定理について解説しました。しかし、確率の世界は奥深く、これだけでは解けない問題も多くあります。注意点として、数学的確率の定義は「同様に確からしい」という前提があって初めて成り立ちます。現実世界の事象が常にこの前提を満たすとは限りません(経験的確率や主観的確率といった考え方もあります)。また、確率計算の正確性は、その基礎となる「場合の数」の計算の正確性に大きく依存します。順列、組合せなどの計算を誤ると、確率も必然的に間違ってしまいます。加法定理では P(A∩B) を引き忘れるミス、余事象では「何を否定するのか」を誤解するミスが起こりやすい点にも注意が必要です。さらに、試行が複数回行われる場合の「独立な試行」や、ある事象が起こったという条件下での「条件付き確率」など、より発展的な概念については、別途学習が必要となります。