独立な試行と反復試行の確率:基本から公式 nCr p^r (1-p)^(n-r) まで

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確率の問題では、複数の試行を連続して行う場面が多くあります。例えば、コインを何回か投げたり、サイコロを複数回振ったりする場合です。これらの試行が互いに影響しあわない「独立な試行」である場合、確率の計算には特定の法則が成り立ちます。さらに、同じ条件で独立な試行を繰り返す「反復試行」においては、特定の事象がちょうど何回起こるか、という確率を計算するための便利な公式が存在します。ここでは、独立な試行の概念と、反復試行の確率公式について、その意味と使い方を詳しく解説していきます。


目次

第1章:独立な試行とは?

まず、複数の試行の関係性を表す「独立」という概念を理解しましょう。

1. 試行の独立性の定義

  • 2つの試行 T1 と T2 が独立であるとは、一方の試行の結果が、もう一方の試行の結果に一切影響を与えないことをいいます。
  • 数学的には、試行 T1 で事象 A が起こり、試行 T2 で事象 B が起こるとき、この2つの試行が独立であれば、A と B が両方とも起こる確率 P(A∩B) は、それぞれの確率の積で表されます。
    • P(A∩B) = P(A) × P(B) (T1, T2 が独立の場合)
  • 同様に、3つ以上の試行 T1, T2, …, Tk が互いに独立である場合、それぞれで事象 A1, A2, …, Ak が起こる確率は、次のように計算できます。
    • P(A1∩A2∩…∩Ak) = P(A1) × P(A2) × … × P(Ak)

2. 独立性の直感的な理解と具体例(コインとサイコロなど)

  • 例1:コイン投げとサイコロ投げ
    • コインを1回投げる試行 (T1) と、サイコロを1回振る試行 (T2) を考えます。
    • コインが表になるか裏になるかは、サイコロの目が何になるかに影響を与えませんし、逆もまた然りです。
    • したがって、これらの試行は独立です。
    • コインで表が出る (A) 確率 P(A)=1/2、サイコロで1の目が出る (B) 確率 P(B)=1/6 のとき、コインが表でかつサイコロが1の目である確率 P(A∩B) は、
    • P(A∩B) = P(A) × P(B) = (1/2) × (1/6) = 1/12 となります。
  • 例2:サイコロを2回投げる
    • 1回目の試行 (T1) と2回目の試行 (T2) は、互いに影響を与えません(1回目の目が2回目の目に影響しない)。
    • したがって、これらは独立な試行です。
    • 1回目に1の目 (A)、2回目に偶数の目 (B) が出る確率は、
    • P(A)=1/6, P(B)=3/6=1/2 なので、P(A∩B) = P(A) × P(B) = (1/6) × (1/2) = 1/12 となります。

3. 独立でない試行の例(玉の非復元抽出など)

  • 例:袋から玉を取り出して戻さない試行
    • 赤玉3個、白玉2個が入った袋から、玉を1個ずつ2回取り出す試行を考えます。ただし、取り出した玉は元に戻しません(非復元抽出)。
    • 1回目の試行 (T1) と2回目の試行 (T2) は独立ではありません。
    • なぜなら、1回目に赤玉を取り出した場合、袋の中は赤玉2個、白玉2個となり、2回目に赤玉を取り出す確率は 2/4 = 1/2 です。
    • 一方、1回目に白玉を取り出した場合、袋の中は赤玉3個、白玉1個となり、2回目に赤玉を取り出す確率は 3/4 です。
    • このように、1回目の結果によって2回目の確率が変わってしまうため、これらの試行は独立ではありません。(このような場合は「条件付き確率」の考え方が必要になります)

4. 独立試行の確率:P(A∩B) = P(A)P(B)

  • 試行が独立であると確認できれば、「AかつBが起こる確率」は単純にそれぞれの確率の掛け算で求められる、という点が重要です。

第2章:反復試行とその確率

独立な試行の中でも、特に同じ条件の試行を繰り返す場合を「反復試行」と呼びます。

1. 反復試行の定義:同じ独立な試行の繰り返し

  • ある試行 T を考え、1回の試行で事象 A が起こる確率を p (= P(A)) とします。
  • この試行 T を、互いに独立な状態で n 回繰り返すとき、これを反復試行といいます。
  • 重要な条件:
    • 各回の試行は同じ条件で行われる(事象 A の起こる確率 p は毎回同じ)。
    • 各回の試行は互いに独立である(前の回の結果が次の回の確率に影響しない)。

2. 反復試行の確率を考える基本的な例(コイン3回で表2回)

  • 例: 1枚のコインを3回投げるとき、表がちょうど2回出る確率。
  • 考え方:
    • 1回の試行(コイン投げ)で表が出る (A) 確率は p = 1/2。表が出ない(裏が出る)確率は 1-p = 1/2。
    • 3回の試行 (n=3) のうち、表がちょうど2回 (r=2) 出る場合を考えます。
    • 表が2回、裏が1回出るパターンは以下の3通り考えられます。
      • (表, 表, 裏) → 確率: P(表)×P(表)×P(裏) = p × p × (1-p) = p^2 (1-p)^1 = (1/2)^2 (1/2)^1 = 1/8
      • (表, 裏, 表) → 確率: P(表)×P(裏)×P(表) = p × (1-p) × p = p^2 (1-p)^1 = (1/2)^2 (1/2)^1 = 1/8
      • (裏, 表, 表) → 確率: P(裏)×P(表)×P(表) = (1-p) × p × p = p^2 (1-p)^1 = (1/2)^2 (1/2)^1 = 1/8
    • これらの3つのパターンは互いに排反(同時に起こらない)なので、求める確率はこれらの確率の和になります。
    • 確率 = (1/8) + (1/8) + (1/8) = 3/8。
  • パターン数について:
    • 3回の試行のうち、どの2回で表が出るかの「選び方」は、組合せ 3C2 = 3 通りです。これが上記の3パターンに対応します。
    • 各パターンの確率はすべて同じ p^2 (1-p)^1 です。
    • したがって、求める確率は (パターン数) × (1パターンあたりの確率) = 3C2 × p^2 × (1-p)^1 で計算できることがわかります。

3. 反復試行の確率の公式:nCr × p^r × (1-p)^(n-r)

  • 上記の例を一般化すると、反復試行の確率を計算する次の公式が得られます。
  • 1回の試行で事象 A が起こる確率を p とするとき、この試行を n 回繰り返す反復試行において、事象 A がちょうど r 回起こる確率は:
    • P(Aがちょうどr回) = nCr × p^r × (1-p)^(n-r)
    • ここで、r は 0, 1, 2, …, n のいずれかの整数です。

4. 公式の各要素の意味(nCr, p^r, (1-p)^(n-r))

  • nCr: n 回の試行のうち、事象 A が起こる r 回を選ぶ組合せの数。どのタイミングで A が r 回起こるかのパターン数。
  • p^r: 事象 A が r 回起こる確率。独立試行の確率の性質から、p を r 回掛け合わせる。
  • (1-p)^(n-r): 事象 A が起こらない(余事象 Aバー が起こる)確率 (1-p) が、残りの (n-r) 回起こる確率。(1-p) を (n-r) 回掛け合わせる。
  • これら3つの要素を掛け合わせることで、n 回の反復試行で事象 A がちょうど r 回起こる確率が計算できます。

第3章:反復試行の確率の計算例題

公式を使って具体的な問題を解いてみましょう。

1. 例題:サイコロを複数回投げる

  • 問題: 1個のサイコロを4回投げるとき、1の目がちょうど2回出る確率。
  • 考え方:
    • 試行:サイコロを1回投げる。各回の試行は独立。
    • n = 4 (試行回数)
    • 事象 A:「1の目が出る」。1回の試行で A が起こる確率 p = 1/6。
    • r = 2 (事象 A が起こる回数)
    • 求めるのは、A がちょうど2回起こる確率なので、反復試行の公式を使います。
  • 計算:
    • P(1の目がちょうど2回) = 4C2 × (1/6)^2 × (1 – 1/6)^(4-2)
    • = 4C2 × (1/6)^2 × (5/6)^2
    • 4C2 = (4×3)/(2×1) = 6
    • (1/6)^2 = 1/36
    • (5/6)^2 = 25/36
    • 確率 = 6 × (1/36) × (25/36) = (6 × 25) / (36 × 36) = 150 / 1296 = 25 / 216 (約分)
  • 答え: 25/216

2. 例題:特定の成功確率を持つ試行を繰り返す(シュート成功率など)

  • 問題: あるバスケットボール選手がフリースローを成功させる確率は 3/4 である。この選手が5回フリースローを打つとき、ちょうど3回成功させる確率。
  • 考え方:
    • 試行:フリースローを1回打つ。各回の試行は独立と仮定する。
    • n = 5 (試行回数)
    • 事象 A:「フリースローが成功する」。1回の試行で A が起こる確率 p = 3/4。
    • r = 3 (事象 A が起こる回数)
    • 反復試行の公式を適用。
  • 計算:
    • P(ちょうど3回成功) = 5C3 × (3/4)^3 × (1 – 3/4)^(5-3)
    • = 5C3 × (3/4)^3 × (1/4)^2
    • 5C3 = 5C2 = (5×4)/(2×1) = 10
    • (3/4)^3 = 27 / 64
    • (1/4)^2 = 1 / 16
    • 確率 = 10 × (27 / 64) × (1 / 16) = 270 / 1024 = 135 / 512 (約分)
  • 答え: 135/512

3. 例題:「少なくとも~回」起こる確率の計算(余事象や複数パターンの和)

  • 問題: 上記のバスケットボール選手が5回フリースローを打つとき、少なくとも4回成功させる確率。
  • 考え方:
    • 「少なくとも4回成功」とは、「ちょうど4回成功」または「ちょうど5回成功」のいずれかです。
    • これら2つの事象は互いに排反なので、それぞれの確率を計算して足し合わせます(加法定理)。
    • パターン1:ちょうど4回成功 (r=4)
      • 5C4 × (3/4)^4 × (1/4)^(5-4) = 5 × (81/256) × (1/4) = 405 / 1024
    • パターン2:ちょうど5回成功 (r=5)
      • 5C5 × (3/4)^5 × (1/4)^(5-5) = 1 × (243/1024) × (1/4)^0 = 243 / 1024 (※ X^0 = 1)
  • 計算(合計):
    • P(少なくとも4回成功) = P(ちょうど4回) + P(ちょうど5回)
    • = (405 / 1024) + (243 / 1024) = 648 / 1024 = 81 / 128 (約分)
  • 答え: 81/128
  • (別のアプローチ:余事象)
    • もし問題が「少なくとも1回成功する確率」であれば、余事象「1回も成功しない(=5回とも失敗する)」確率を計算して 1 から引く方が簡単です。
    • P(少なくとも1回成功) = 1 – P(0回成功) = 1 – {5C0 × (3/4)^0 × (1/4)^5} = 1 – (1 / 1024) = 1023 / 1024。

第4章:確率計算における注意点

反復試行の確率計算では、以下の点に注意が必要です。

1. 試行が独立であるかの確認

  • 反復試行の公式が使える大前提は、各回の試行が独立であることです。
  • 問題文で独立性が明示されているか、あるいはコイン投げやサイコロ投げのように、明らかに独立とみなせる状況かを確認しましょう。
  • 袋から玉を取り出して戻さない場合など、独立でない試行にはこの公式は使えません。

2. p (1回の確率) の正確な計算

  • 公式の p は、あくまで「1回の試行で注目する事象 A が起こる確率」です。
  • この p の値自体を、問題の状況に合わせて正しく計算・設定する必要があります。単純なコイン (1/2) やサイコロ (1/6) でない場合もあります。

3. nCr の計算ミス、指数計算ミス

  • 公式には組合せ (nCr) と指数 (p^r, (1-p)^(n-r)) が含まれます。
  • n や r が大きくなると計算が複雑になりやすいため、計算ミスに注意が必要です。特に分数や指数計算は慎重に行いましょう。
  • nCr = nC(n-r) の性質を使うと計算が楽になる場合があります。

第5章:まとめ

独立な試行と反復試行は、確率論の重要な基礎となります。

1. 独立な試行と反復試行の確率のポイント整理

  • 独立な試行: 他の試行に影響されない試行。P(A∩B) = P(A)P(B)。
  • 反復試行: 同じ条件の独立な試行の繰り返し。
  • 反復試行の確率の公式: n 回中ちょうど r 回事象 A (確率 p) が起こる確率は nCr × p^r × (1-p)^(n-r)

2. 公式の使いどころと手順

  • Step 1: 試行が「独立」かつ「同じ条件で反復」されているか確認。
  • Step 2: 試行回数 n を特定。
  • Step 3: 注目する事象 A と、その1回の確率 p を特定。
  • Step 4: 事象 A が起こる回数 r を特定。
  • Step 5: 公式 nCr × p^r × (1-p)^(n-r) に代入して計算。
  • Step 6: 「少なくとも~回」「~回以下」などの場合は、必要に応じて複数の r の場合の確率を足し合わせるか、余事象を考える。

潜在的なリスクについて:

この記事では、独立な試行と反復試行の確率について基本的な内容を解説しました。現実の問題に適用する際には、試行が本当に「独立」とみなせるか、また「同じ条件」が維持されているかを慎重に評価する必要があります(例えば、長時間にわたるスポーツの試行で選手の疲労などが影響しないか、など)。公式の n, r, p の値を問題文から正しく読み取れないと、全く違う答えになってしまいます。特に「少なくとも~回」といった問題では、「ちょうど r 回」の確率との違いを意識し、必要なパターンを漏れなく足し合わせる、あるいは適切に余事象を利用する必要があります。この記事で扱ったのは、各回の試行が独立な場合に限られます。試行結果が互いに影響しあう(独立でない)場合の確率計算には、「条件付き確率」という別の概念が必要になります。

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