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時制・相:形態と時間表現
講義 / 演習
本講義(時制・相:形態と時間表現)の概要
この講義では、英語の動詞が持つ時間表現の仕組みである「時制(Tense)」と、動作や状態の様相を示す「相(Aspect)」について、その形態(動詞の形)と意味・機能の関係を深く掘り下げます。英語の時間は単純な過去・現在・未来だけではなく、動作が完了しているのか、継続しているのか、一時的なのかといった「見方(相)」によって、より細やかに表現されます。本講義では、まず時制と相の基本的な概念を整理し、英語の時間表現システムの全体像を概観します。次に、基本時制(現在・過去・未来)の形態と核心的な意味、そして具体的な用法を豊富な例文とともに解説します。続いて、英語の時間表現を豊かにする完了相(現在完了・過去完了・未来完了)と進行相(現在進行・過去進行・未来進行)、さらにそれらを組み合わせた完了進行相について、それぞれの形態、概念、用法を詳しく見ていきます。状態動詞と進行形の関係や、複文における時制の一致といった重要なルール、およびその例外についても触れます。この講義を通じて、動詞の形がどのように時間や状況の様相と結びついているのかを体系的に理解し、正確な読解と適切な表現のための基礎を固めます。
1. はじめに:時制・相とは何か?
1.1. 時間表現の重要性
- 私たちが言語を使ってコミュニケーションをとる際、「いつ」の出来事や状態について話しているのかを明確にすることは非常に重要です。昨日起こったことなのか、今起こっていることなのか、それともこれから起こることなのかによって、文の意味は大きく変わります。
- 英語では、この時間に関する情報を主に動詞の形を変化させることによって表現します。この動詞の形態変化と時間表現の関係を理解することが、時制・相の学習の中心となります。
- 時制・相の誤りは、単なる文法ミスに留まらず、深刻な誤解を招く可能性があります。例えば、過去の出来事を現在形で話してしまうと、聞き手はそれが今も続いている事実だと誤解するかもしれません。正確なコミュニケーションのためには、時制・相を正しく使い分ける能力が不可欠です。
1.2. 時制 (Tense) と相 (Aspect) の概念
英語の時間表現を理解する上で、「時制」と「相」という二つの概念を区別することが重要です。
- 時制 (Tense): 文法的なカテゴリーで、出来事や状態が起こる時間的位置(現在、過去など)を示すものです。英語の動詞の形態変化で直接示される時制は、厳密には現在時制 (Present Tense) と過去時制 (Past Tense) の2つだけである、とする考え方が言語学的には主流です。未来のことは will や be going to などの助動詞や他の表現を用いて示します。
- 現在時制: 動詞の原形 or -s/-es 形 (例: go/goes)
- 過去時制: 動詞の過去形 (-ed 形 or 不規則変化) (例: walked, went)
- 相 (Aspect): 出来事や状態の時間的な様相、つまり、その出来事が完了しているのか、進行中なのか、継続しているのか、一時的なのか、反復的なのかといった、状況の捉え方を示す文法的なカテゴリーです。英語では主に完了相 (Perfect Aspect) と進行相 (Progressive/Continuous Aspect) の二つがあります。相は、助動詞 (have, be) と分詞(過去分詞, 現在分詞)を組み合わせて表現されます。
- 完了相: have + 過去分詞 (例: have finished, had arrived)
- 進行相: be + 現在分詞 (-ing) (例: is reading, were playing)
1.3. 英語の時制・相システム概観(基本時制と完了・進行)
- 英語では、上記の「時制(現在・過去)」と「相(完了・進行)」を組み合わせることで、より多様な時間表現が可能になります。これに未来を表す助動詞 will などを加えると、一般的に高校英語で学習する「12時制(または時制・相の組み合わせ)」の体系が見えてきます。
基本 (Simple) | 進行 (Progressive) | 完了 (Perfect) | 完了進行 (Perfect Progressive) | |
現在 (Present) | 現在形 (go/goes) | 現在進行形 (is going) | 現在完了形 (has gone) | 現在完了進行形 (has been going) |
過去 (Past) | 過去形 (went) | 過去進行形 (was going) | 過去完了形 (had gone) | 過去完了進行形 (had been going) |
未来 (Future) | 未来 (will go) | 未来進行形 (will be going) | 未来完了形 (will have gone) | 未来完了進行形 (will have been going) |
- 本講義では、これらの各時制・相(および未来表現)について、その形態(作り方)、核心的な意味、そして具体的な用法を順に詳しく見ていきます。
1.4. 文型論との連携:Vの変化
- 前回の講義で学んだ文型 (SV, SVC, SVO, SVOO, SVOC) は、文の静的な構造を示しました。時制・相は、その構造の中心である動詞 (V) が、時間や状況に応じてどのように形を変化させるかに関わるものです。
- 文型を理解していることで、動詞の形が変わっても(例: play → is playing → has played → was played)、文の基本的な構造(SVOなど)を見失うことなく、付加された時間的・状況的な意味合いを正確に捉えることができます。
- 時制・相の学習は、文型論で学んだ知識を土台として、動詞の振る舞いをより深く理解するステップとなります。
2. 基本時制 (Basic Tenses)
まず、英語の時制の基本となる現在時制と過去時制、そして未来を表す表現について見ていきます。
2.1. 現在時制 (Present Tense): 形態と核心的意味
- 形態:
- 主語が三人称単数(he, she, it, John, the cat など)以外の場合: 動詞の原形 (Base Form)
- 例: I play tennis., You speak English., We study hard., They live here.
- 主語が三人称単数の場合: 動詞の原形 +
-s
または-es
(-s form)- 例: He plays tennis., She speaks English., It rains often.
- be動詞の場合: am (I), are (you, we, they, 複数名詞), is (he, she, it, 単数名詞)
- 主語が三人称単数(he, she, it, John, the cat など)以外の場合: 動詞の原形 (Base Form)
- 核心的意味: 現在時制の核心は、「現在の事実・状態・習慣」 を示すことです。必ずしも「今この瞬間」の動作を表すとは限りません(その場合は現在進行形を使うことが多い)。むしろ、時間的な幅を持った現在、あるいは時間に関わらない普遍的な事実を表すのが基本です。
2.2. 現在時制の用法
現在時制は、その核心的意味から派生して、以下のような多様な用法で使われます。
- 現在の状態・性質: 今現在の状態や、人・物の変わらない性質を表す。状態動詞 (be, have, like, know, believe など) でよく使われる。
- 例: She is tall. (彼女は背が高い。)
- 例: I have a brother. (私には兄[弟]がいます。)
- 例: He knows the answer. (彼は答えを知っている。)
- 例: This flower smells sweet. (この花は甘い香りがする。)
- 現在の習慣・反復動作: 現在において、習慣的に繰り返される動作や行為を表す。always, usually, often, sometimes, every day などの頻度を表す副詞(句)を伴うことが多い。
- 例: I get up at six every morning. (私は毎朝6時に起きます。)
- 例: He usually walks to school. (彼はたいてい歩いて学校へ行きます。)
- 例: The earth goes around the sun. (地球は太陽の周りを回る。 – 習慣というより反復・法則)
- 普遍的真理・一般的な事実・法則: 時間に関係なく常に真実であることや、一般的な事実、自然の法則などを表す。
- 例: Two and two make four. (2足す2は4になる。)
- 例: Water boils at 100 degrees Celsius. (水は摂氏100度で沸騰する。)
- 例: Honesty pays. (正直は報われる。[ことわざ])
- 確定的な未来の予定(時刻表・公的スケジュールなど): 時刻表、カレンダー、公的な行事など、確定していて変更の可能性が低い未来の予定を表す。発着・開始・終了などを表す動詞 (arrive, leave, start, begin, end, open, close) でよく使われる。
- 例: The train leaves at 7:30 tomorrow morning. (その列車は明日の朝7時半に出発します。)
- 例: The exhibition opens next Monday. (展覧会は来週の月曜日に始まります。)
- 例: What time does the movie start? (その映画は何時に始まりますか?)
- 時や条件を表す副詞節の中での未来表現:when, if, as soon as, before, after, until, by the time などが導く時や条件を表す副詞節の中では、未来の内容であっても現在形を用いる(will は使わない)。主節は未来形になることが多い。
- 例: I will call you when I arrive at the airport. (空港に着いたら電話します。 – × when I will arrive)
- 例: If it rains tomorrow, the picnic will be canceled. (もし明日雨が降れば、ピクニックは中止になります。 – × If it will rain)
- 例: Please wait here until she comes back. (彼女が戻ってくるまでここでお待ちください。 – × until she will come back)
- 注意: if/when 節が名詞節(~かどうか、いつ~か)の場合は未来形 will を使うことがある。 (例: I don’t know if he will come. / Ask him when he will arrive.)
- 歴史的現在 (Historical Present): 過去の出来事を、あたかも今起こっているかのように生き生きと描写するために、現在形を用いることがある。物語やニュースの見出しなどで使われる。
- 例: Napoleon crosses the Alps. (ナポレオン、アルプスを越える。)
2.3. 過去時制 (Past Tense): 形態と核心的意味
- 形態:
- 規則動詞:動詞の原形 +
-ed
(スペル、発音に注意)- 例:
walk
→ walked,study
→ studied,stop
→ stopped
- 例:
- 不規則動詞: 独自の過去形を持つ。覚える必要がある。
- 例:
go
→ went,eat
→ ate,see
→ saw,come
→ came,take
→ took
- 例:
- be動詞の場合: was (I, he, she, it, 単数名詞), were (you, we, they, 複数名詞)
- 規則動詞:動詞の原形 +
- 核心的意味: 「過去のある時点における動作・状態」 を示す。現在との繋がりは意識されず、過去のこととして完結しているニュアンスを持つ。
2.4. 過去時制の用法
- 過去のある時点での動作・出来事: 過去に起こり、完了した動作や出来事を表す。yesterday, last week, three days ago, in 2020, when I was a child など、過去を示す時を表す副詞(句・節)を伴うことが多い。
- 例: I visited Kyoto last year. (私は去年京都を訪れました。)
- 例: He came home late last night. (彼は昨夜遅く家に帰ってきた。)
- 例: They played soccer in the park yesterday. (彼らは昨日公園でサッカーをした。)
- 過去の状態: 過去のある期間における状態を表す。
- 例: She was sick in bed all day. (彼女は一日中病気で寝ていた。)
- 例: He lived in London for ten years. (彼はロンドンに10年間住んでいた。[今は住んでいない含意])
- 例: I knew him very well when we were young. (私たちが若かった頃、私は彼をとてもよく知っていた。)
- 過去の習慣・反復動作: 過去に習慣的に行っていた動作を表す。often, sometimes, usually, every dayなどの副詞を伴うことがある。used to + 動詞原形 や would + 動詞原形 も過去の習慣を表すが、過去形は単発の過去動作も表せる点が異なる。
- 例: We often went fishing in the river. (私たちはよくその川へ釣りに行ったものだ。)
- 例: She visited her grandmother every weekend. (彼女は毎週末祖母を訪ねた。)
- 歴史上の事実: 歴史上の出来事や人物に関する事実は通常、過去形で述べられる。
- 例: Columbus discovered America in 1492. (コロンブスは1492年にアメリカを発見した。)
- 例: World War II ended in 1945. (第二次世界大戦は1945年に終わった。)
- 現在の事実に反する仮定(仮定法過去): 現在の事実に反する仮定や願望を表す if 節や wish の後などで、形式的に過去形が用いられる(仮定法過去)。これは実際の過去を表すわけではない。(Module 2 で詳述)
- 例: If I were rich, I would buy that car. (もし私がお金持ちなら、あの車を買うだろうに。[実際は違う]) (be動詞は主語に関わらず were を使うのが正式)
- 例: I wish I knew her phone number. (彼女の電話番号を知っていればなあ。[実際は知らない])
- 丁寧な依頼・提案(控えめな表現): 現在のことについて、相手への配慮を示したり、控えめに述べたりするために、助動詞の過去形 (could, would, might) が使われることがある。これも実際の過去ではない。
- 例: Could you help me? (手伝っていただけませんか? – Can you…? より丁寧)
- 例: Would you like some coffee? (コーヒーはいかがですか? – Do you like…? より丁寧な勧誘)
- 例: It might be a good idea to wait. (待つのが良い考えかもしれませんね。 – It may be… より控えめ)
2.5. 未来表現 (Future Expressions): 形態と用法
英語には未来を表す専用の動詞形態(未来時制)は存在しないが、未来の事柄を表すために様々な表現が用いられる。主なものを以下に示す。
will + 動詞原形
:- 単純未来・予測: 未来の出来事についての単純な予測。「~だろう」「~でしょう」。
- 例: It will rain tomorrow. (明日は雨が降るだろう。)
- 例: He will be 20 next year. (彼は来年20歳になる。)
- 意志未来: 話し手の意志(~するつもりだ)、申し出(~しましょう)、約束(~します)などを表す。
- 例: I will help you with your baggage. (お荷物をお持ちしましょう。[申し出])
- 例: OK, I will call you back later. (わかりました、後で電話します。[意志・約束])
- 現在の推量: 現在の状況についての確信度の高い推量(きっと~だろう)。
- 例: That will be John at the door. (ドアのところにいるのはきっとジョンだろう。)
- 習慣・習性: 現在の習慣や、物事の習性(どうしても~するものだ)を表す。
- 例: He will often sit there for hours. (彼はよくそこに何時間も座っているものだ。)
- 例: Accidents will happen. (事故は起こるものだ。)
- 単純未来・予測: 未来の出来事についての単純な予測。「~だろう」「~でしょう」。
be going to + 動詞原形
:- 既に決まっている予定・意図:will よりも前から計画・意図されていた未来の行動。「~するつもりだ」「~する予定だ」。
- 例: I**’m going to visit** my aunt next Sunday. (来週の日曜日に叔母を訪ねるつもりです。[既に計画])
- 例: What are you going to do this weekend? (今週末は何をする予定ですか?)
- 現在の兆候に基づく近い未来の予測: 現在の状況から判断して、ほぼ確実に起こると予測される未来。「(今にも)~しそうだ」。
- 例: Look at those black clouds! It**’s going to rain**. (あの黒い雲を見て!雨が降りそうだ。)
- 例: Be careful! You**’re going to fall**. (気をつけて!落ちそうだよ。)
- 既に決まっている予定・意図:will よりも前から計画・意図されていた未来の行動。「~するつもりだ」「~する予定だ」。
- 現在進行形 (
be + -ing
):- 確定的な個人の予定: 近い未来の、既に手配済みの個人的な予定を表す。go, come, arrive, leave, meet, see などの往来発着・会合を表す動詞でよく使われる。「~することになっている」。
- 例: We are leaving for Hawaii tomorrow. (私たちは明日ハワイへ出発します。)
- 例: What are you doing tonight? (今夜は何をしますか?[予定])
- 確定的な個人の予定: 近い未来の、既に手配済みの個人的な予定を表す。go, come, arrive, leave, meet, see などの往来発着・会合を表す動詞でよく使われる。「~することになっている」。
- 現在形:
- 時刻表・公的スケジュール: 変更の可能性が低い確定した未来の予定(前述 2.2. の用法4)。
- 例: The concert starts at 7 p.m. (コンサートは午後7時に始まります。)
- 時・条件の副詞節:if, when などが導く副詞節の中では未来のことでも現在形(前述 2.2. の用法5)。
- 例: Let me know when he arrives. (彼が到着したら教えてください。)
- 時刻表・公的スケジュール: 変更の可能性が低い確定した未来の予定(前述 2.2. の用法4)。
be to + 動詞原形
:- 予定・運命・義務・可能・意図: 公的な予定、避けられない運命、義務・命令、可能、意図などを表す。やや硬い表現。
- 例: The President is to visit Japan next month. (大統領は来月日本を訪問する予定です。[予定])
- 例: You are to obey the rules. (君は規則に従わなければならない。[義務])
- 予定・運命・義務・可能・意図: 公的な予定、避けられない運命、義務・命令、可能、意図などを表す。やや硬い表現。
be about to + 動詞原形
:- まさに~しようとしている: ごく近い未来の動作を表す。
- 例: The show is about to start. (ショーはまさに始まろうとしている。)
- まさに~しようとしている: ごく近い未来の動作を表す。
- 未来表現の使い分け: will はその場での意志や単純予測、be going to は事前の計画や現在の兆候に基づく予測、現在進行形は確定した個人的予定、現在形は公的スケジュールや時・条件の副詞節、というようにニュアンスが異なります。文脈に合わせて適切な表現を選ぶ必要があります。
3. 完了相 (Perfect Aspect)
完了相は、助動詞 have と過去分詞を組み合わせて、「ある時点(現在・過去・未来)から見て、それ以前の出来事や状態が完了していること」や、「その時点まで経験したこと」、「その時点まで状態や動作が継続していること」を表します。単なる過去形とは異なり、**過去(またはそれ以前)と基準となる時点との「繋がり」**を意識した表現です。
3.1. 完了相の概念:過去と「今」の繋がり
- 例えば、「私は鍵をなくした」を過去形で
I lost my key.
と言うと、単に過去になくしたという事実を述べているだけで、今現在鍵が見つかったかどうかは分かりません。 - 一方、現在完了形で
I have lost my key.
と言うと、「過去に鍵をなくして、その結果、今も鍵がない状態だ」という、過去の出来事と現在の状況との繋がりを示すニュアンスが含まれます。 - このように、完了相は、ある基準時点とそれ以前の出来事・状態との関連性を示す表現です。
3.2. 現在完了形 (Present Perfect): 形態と用法
- 形態:
have / has + 過去分詞
- 主語が I, you, we, they, 複数名詞の場合: have + 過去分詞 (例: I have finished.)
- 主語が he, she, it, 単数名詞の場合: has + 過去分詞 (例: She has visited.)
- 核心的意味: 過去の出来事・状態が現在と繋がりを持っていることを示す。基準となる時点は「現在」。
- 用法: 現在完了形は文脈によって主に以下の4つの用法に分けられます。どの用法かは、文脈や共に使われる副詞(句)などから判断します。
- 完了・結果 (Completion/Result): 過去に始まった動作が「ちょうど完了した」こと、またはその動作の結果が「現在も続いている」ことを表す。「(ちょうど)~し終えた」「~してしまった(、その結果今~だ)」。just, already, yet (疑問文・否定文) などの副詞と共によく使われる。
- 例: I have just finished my homework. (ちょうど宿題を終えたところだ。)
- 例: He has already left. (彼は既に出発してしまった。[→今ここにはいない])
- 例: Have you finished the report yet? (もうレポートは仕上げましたか?) No, not yet. (いいえ、まだです。)
- 例: She has lost her wallet. (彼女は財布をなくしてしまった。[→今持っていない])
- 経験 (Experience): 過去から現在までの間に「~したことがある」という経験を表す。「(今までに)~したことがある」。ever (疑問文), never (否定), before, once, twice, … times, often などの副詞(句)と共によく使われる。
- 例: Have you ever visited London? (今までにロンドンを訪れたことがありますか?)
- 例: I have seen that movie three times. (私はその映画を3回見たことがある。)
- 例: She has never been abroad. (彼女は一度も海外へ行ったことがない。)
- 例: This is the best pizza I have ever eaten. (これは私が今までに食べた中で最高のピザだ。[最上級と共に])
- 継続 (Continuation): 過去に始まった状態や動作が「現在までずっと続いている」ことを表す。「(今まで)ずっと~である」「~し続けている」。状態動詞 (be, live, know, have など) と共に使われることが多い。期間を表す for … (~の間) や、起点を表す since … (~以来) を伴うことが非常に多い。
- 例: We have lived in this town for ten years. (私たちはこの町に10年間住んでいる。)
- 例: She has been sick since last Sunday. (彼女は先週の日曜日からずっと病気だ。)
- 例: How long have you known him? (あなたは彼と知り合ってどのくらいになりますか?)
- 注意: 動作動詞の継続は、現在完了進行形(後述)で表すことが多い (
I have been studying English for five years.
)。
- 完了形は過去を示す副詞(句)と原則一緒に使わない: 現在完了形は「現在との繋がり」を示すため、yesterday, last week, … ago, in 2010, when … (過去の時点) のような、過去のある一点を示す副詞(句・節)とは原則として一緒に使えません。これらの語句がある場合は、過去形を使います。
- 例: I visited Kyoto last year. (○ 過去形) / I have visited Kyoto last year. (× 現在完了形)
- 例: When did you finish it? (○ 過去形) / When have you finished it? (× 現在完了形)
- 完了・結果 (Completion/Result): 過去に始まった動作が「ちょうど完了した」こと、またはその動作の結果が「現在も続いている」ことを表す。「(ちょうど)~し終えた」「~してしまった(、その結果今~だ)」。just, already, yet (疑問文・否定文) などの副詞と共によく使われる。
3.3. 過去完了形 (Past Perfect): 形態と用法
- 形態:
had + 過去分詞
(主語の人称・数に関わらず had を使う)- 例: I had finished., She had arrived.
- 核心的意味: **過去のある時点(基準点)よりも、さらに前の時点(大過去)**に起こった出来事や、その基準点まで継続していた状態・動作を示す。基準となる時点は「過去」。
- 用法:
- 大過去 (Past before past): 過去のある時点(過去形の文脈で示されることが多い)よりもさらに前に起こった動作や状態を表す。「(過去のその時までに)既に~していた」。時間的な前後関係を明確にするために用いられる。
- 例: When I arrived at the station, the train had already left. (私が駅に着いた時には、電車は既に出発していた。[駅到着(過去) ← 電車出発(大過去)])
- 例: He told me that he had visited Paris twice. (彼はパリに2度行ったことがあると私に言った。[言った(過去) ← パリ訪問(大過去の経験)])
- 例: I realized that I had made a mistake. (私は間違いを犯したことに気づいた。[気づいた(過去) ← 間違いを犯した(大過去)])
- 注意: before/after などで時間関係が明らかな場合は、過去完了形ではなく過去形を使うことも多い。 (例: The train left before I arrived.)
- 過去のある時点までの完了・結果: 過去のある時点までに動作が完了していたことや、その結果がその時点に影響していたことを示す。「(過去のその時までに)~し終えていた」「~してしまっていた」。
- 例: He had lived there for only a month when the war broke out. (戦争が勃発した時、彼はそこにわずか1ヶ月住んでいただけだった。)
- 過去のある時点までの経験: 過去のある時点までに「~したことがあった」という経験を表す。
- 例: I had never seen such a beautiful sunset before I visited Bali. (バリ島を訪れるまで、あんなに美しい夕日を見たことがなかった。)
- 過去のある時点までの継続: 過去のある時点まで状態や動作が継続していたことを示す。「(過去のその時まで)ずっと~だった」。for …, since … を伴うことが多い。
- 例: She had been sick for a week when I visited her. (私が彼女を見舞った時、彼女は1週間病気だった。)
- 例: They had known each other since they were children. (彼らは子供の頃からお互いを知っていた。)
- 過去の事実に反する仮定(仮定法過去完了): 過去の事実に反する仮定や願望を表す if 節や wish の後などで用いられる(仮定法過去完了)。(Module 2 で詳述)
- 例: If I had studied harder, I would have passed the exam. (もしもっと熱心に勉強していたら、試験に合格していただろうに。[実際はしなかった])
- 例: I wish I had known the truth then. (あの時真実を知っていたらなあ。[実際は知らなかった])
- 大過去 (Past before past): 過去のある時点(過去形の文脈で示されることが多い)よりもさらに前に起こった動作や状態を表す。「(過去のその時までに)既に~していた」。時間的な前後関係を明確にするために用いられる。
3.4. 未来完了形 (Future Perfect): 形態と用法
- 形態:
will have + 過去分詞
- 例: I will have finished., She will have arrived.
- 核心的意味: 未来のある時点までに、動作や状態が完了していること、経験することになること、継続していることになることを示す。基準となる時点は「未来」。by … (~までに), by the time … (~する時までに), in … years (~年後には) などの未来の時点を示す語句と共に使われることが多い。
- 用法:
- 未来のある時点までの完了・結果: 「(未来のその時までには)~し終えているだろう」「~してしまっているだろう」。
- 例: I will have finished this report by tomorrow morning. (明日の朝までにはこのレポートを終えているでしょう。)
- 例: The snow will have stopped by the time we leave. (私たちが出発する時までには、雪はやんでいるでしょう。)
- 未来のある時点までの経験: 「(未来のその時までに)~したことになるだろう」。
- 例: If I visit London again, I will have been there five times. (もし再びロンドンを訪れれば、5回行ったことになるだろう。)
- 未来のある時点までの継続: 「(未来のその時までには)~間ずっと~である[~し続けている]ことになるだろう」。for … を伴うことが多い。
- 例: Next month, we will have been married for ten years. (来月で、私たちは結婚して10年になります。)
- 例: By the end of this year, she will have lived here for three years. (今年の終わりまでには、彼女はここに3年間住んでいることになるでしょう。)
- 未来のある時点までの完了・結果: 「(未来のその時までには)~し終えているだろう」「~してしまっているだろう」。
4. 進行相 (Progressive/Continuous Aspect)
進行相は、助動詞 be と現在分詞 (-ing形) を組み合わせて、動作がある時点で進行中であることや、一時的な状況であることを示します。動作の「途中」や「ダイナミックな動き」に焦点を当てる表現です。
4.1. 進行相の概念:動作の途中・一時性
- 例えば、「私は英語を勉強する」を現在形で
I study English.
と言うと、一般的な事実や習慣を表します。 - 一方、現在進行形で
I am studying English.
と言うと、「今まさに英語を勉強している最中である」という、特定の時点での進行中の動作を表します。 - 進行相は、このように動作の継続性・未完了性や一時性を強調するニュアンスを持ちます。
4.2. 現在進行形 (Present Progressive): 形態と用法
- 形態:
am / is / are + 現在分詞 (-ing)
- 例: I am reading., He is running., They are playing.
- 核心的意味: 現在、進行中の動作や出来事を示す。「(今)~しているところだ」。
- 用法:
- 現在進行中の動作: 「今」まさにしている動作。
- 例: What are you doing now? – I am listening to music. (今何をしていますか? – 音楽を聴いています。)
- 例: Please be quiet. The baby is sleeping. (静かにしてください。赤ちゃんが寝ています。)
- 一時的な状況・習慣: 現在を中心とした比較的短い期間における一時的な状況や、普段とは異なる一時的な習慣。
- 例: He is living with his parents for a while. (彼はしばらくの間両親と暮らしている。[一時的]) (cf.
He lives with his parents.
– 恒常的) - 例: She is working very hard these days. (彼女は近頃とても熱心に働いている。[普段と比べて一時的に])
- 例: He is living with his parents for a while. (彼はしばらくの間両親と暮らしている。[一時的]) (cf.
- 反復動作(話者の感情を伴う):always, constantly, forever などの副詞と共に用いられ、繰り返される好ましくない行為に対する話者の非難・不満・いらだちなどを表すことがある。
- 例: He is always complaining about something. (彼はいつも何かしら不平を言っている。[不満])
- 例: You are constantly losing your keys! (君はいつも鍵をなくしてばかりいるじゃないか![いらだち])
- 変化の途中: 状況が変化しつつあることを示す動詞 (get, become, grow, change, increase, decrease など) と共に用いられる。
- 例: The climate is changing rapidly. (気候は急速に変化している。)
- 例: It**’s getting** colder and colder. (ますます寒くなってきている。)
- 近い未来の確定的な予定: 個人的なレベルで既に手配や準備が済んでいる、近い未来の予定。「~することになっている」。特に往来発着 (go, come, arrive, leave)、会合 (meet, see) などの動詞でよく使われる。 (前述 2.5. の用法3)
- 例: I am meeting him at the station at five. (私は5時に駅で彼に会うことになっている。)
- 例: What are you doing next weekend? (来週末は何をする予定ですか?)
- 現在進行中の動作: 「今」まさにしている動作。
4.3. 過去進行形 (Past Progressive): 形態と用法
- 形態:
was / were + 現在分詞 (-ing)
- 例: I was reading., They were playing.
- 核心的意味: 過去のある特定の時点で進行中だった動作を示す。「(その時)~しているところだった」。
- 用法:
- 過去のある時点での進行中の動作: 過去のある特定の時刻や、他の過去の出来事が起こった時に進行中だった動作を表す。when …, while …, at that time, at 7 p.m. yesterday などの語句と共に使われることが多い。
- 例: I was taking a bath when the phone rang. (電話が鳴った時、私は入浴中だった。)
- 例: What were you doing at this time yesterday? (昨日のこの時間、あなたは何をしていましたか?)
- 例: While I was walking home, it began to rain. (私が家に向かって歩いている間に、雨が降り始めた。)
- 過去の一時的な状況・習慣: 過去のある期間における一時的な状況や習慣。
- 例: At that time, he was living in a small apartment. (その当時、彼は小さなアパートに住んでいた。[一時的])
- 過去の反復動作(話者の感情を伴う): 現在進行形と同様に、過去の繰り返された好ましくない行為への非難などを表す。
- 例: He was always complaining when he worked here. (彼がここで働いていた時、いつも不平ばかり言っていた。)
- 背景状況の描写: 物語などで、ある出来事が起こった際の背景となる状況を描写するために使われる。
- 例: The sun was shining and birds were singing when she woke up. (彼女が目覚めた時、太陽は輝き、鳥たちは歌っていた。)
- 過去のある時点での進行中の動作: 過去のある特定の時刻や、他の過去の出来事が起こった時に進行中だった動作を表す。when …, while …, at that time, at 7 p.m. yesterday などの語句と共に使われることが多い。
4.4. 未来進行形 (Future Progressive): 形態と用法
- 形態:
will be + 現在分詞 (-ing)
- 例: I will be reading., They will be playing.
- 核心的意味: 未来のある特定の時点で進行中であろう動作を示す。「(未来のその時には)~しているところだろう」。
- 用法:
- 未来のある時点での進行中の動作: 未来のある特定の時刻や、他の未来の出来事が起こる時に進行中であろう動作を表す。
- 例: At this time tomorrow, I will be flying to Hawaii. (明日の今頃、私はハワイへ飛んでいるでしょう。)
- 例: Don’t call me between 7 and 8 tonight. I will be having dinner then. (今夜7時から8時の間は電話しないでください。その時間は夕食をとっていますから。)
- (成り行きの)未来の予定: 特に計画や意図を強調せず、自然な成り行きとして未来に行われているであろうことを表す。現在進行形の未来用法よりも確実性が低い場合や、より客観的な予定として述べられることがある。
- 例: The guests will be arriving soon. (お客様は間もなく到着されるでしょう。)
- 例: I will be seeing him tomorrow, so I can give him the message. (明日彼に会うことになっているので、伝言を伝えることができます。)
- 丁寧な質問: 未来の予定について、相手の意図を直接尋ねるのではなく、状況を尋ねる形で丁寧に質問する場合に用いられることがある。
- 例: Will you be using this computer for long? (このコンピューターを長くお使いになりますか?)
- 未来のある時点での進行中の動作: 未来のある特定の時刻や、他の未来の出来事が起こる時に進行中であろう動作を表す。
4.5. 状態動詞と進行形
- 状態動詞 (Stative Verbs): 動作ではなく、状態や知覚、感情、思考、所有などを表す動詞。これらの動詞は、通常、動作のように「進行中」という概念が馴染まないため、原則として進行形では用いられません。現在形や過去形、完了形などで表します。
- 知覚: see, hear, smell, taste, feel (~と感じる)
- 感情: like, love, hate, prefer, want, wish, need
- 思考・認識: know, believe, understand, remember, forget, think (~と思う), suppose, mean
- 所有: have (持っている), own, possess, belong to
- 状態・存在: be, exist, seem, appear, consist of, contain, resemble, cost, weigh
- 例:
- I know his name. (○) / I am knowing his name. (×)
- She wants a new dress. (○) / She is wanting a new dress. (×)
- This bag belongs to me. (○) / This bag is belonging to me. (×)
- 進行形になる場合の例外:
- 一時的な動作・行為: 状態動詞でも、一時的な動作や意図的な行為を表す場合は進行形になることがある。
- 例: I am thinking about the problem. (その問題について考えているところだ。[思考活動]) (cf.
I think he is right.
[意見]) - 例: He is having dinner now. (彼は今夕食をとっているところだ。[食べるという行為]) (cf.
He has a car.
[所有]) - 例: Why are you smelling the milk? (なぜ牛乳の匂いをかいでいるのですか?[意図的な行為]) (cf.
The milk smells bad.
[状態]) - 例: The baby is being quiet today. (赤ちゃんは今日は静かにしている。[普段と違う一時的な振る舞い]) (cf.
The baby is quiet.
[性質・状態])
- 例: I am thinking about the problem. (その問題について考えているところだ。[思考活動]) (cf.
- 感情の強調:love, like, hate などが、一時的な強い感情や皮肉などを込めて進行形で使われることがある(インフォーマル)。
- 例: I**’m loving** this party! (このパーティー、最高!)
- 一時的な動作・行為: 状態動詞でも、一時的な動作や意図的な行為を表す場合は進行形になることがある。
5. 完了進行相 (Perfect Progressive Aspect)
完了進行相は、完了相 (have + 過去分詞) と進行相 (be + -ing) を組み合わせた形で、ある基準時点まで動作が継続していたことを特に強調する表現です。
5.1. 完了進行相の概念:継続性の強調
- 完了形(特に継続用法)と完了進行形は意味が近い場合もありますが、完了進行形は特に動作の継続性や未完了性に焦点を当てます。また、完了形が状態動詞にも使われるのに対し、完了進行形は原則として動作動詞と共に用いられます。
- 例えば、
I have lived here for ten years.
(現在完了形) は「10年間住んでいる」という状態の継続を表すのに対し、I have been reading this book for two hours.
(現在完了進行形) は「この本を2時間読み続けている(そしてまだ読んでいる途中だ)」という動作の継続を強調します。
5.2. 現在完了進行形 (Present Perfect Progressive): 形態と用法
- 形態:
have / has + been + 現在分詞 (-ing)
- 例: I have been waiting., She has been working.
- 核心的意味: 過去に始まった動作が現在まで継続していること、またはついさっきまで継続していて、その結果が現在に影響していることを示す。動作の継続性を強調する。
- 用法:
- 動作の継続: 過去に始まり、現在まで中断なく(あるいは繰り返し)続いている動作。「(今まで)ずっと~し続けている」。for …, since …, How long …? と共に使われることが多い。動作動詞に用いる。
- 例: It has been raining since this morning. (今朝からずっと雨が降り続いている。)
- 例: How long have you been studying Japanese? (どのくらい日本語を勉強し続けていますか?)
- 例: We have been discussing the problem for two hours. (私たちはその問題を2時間議論し続けている。)
- 最近完了した動作とその結果: つい最近まで続いていた動作と、その結果として生じている現在の状況(疲労、汚れ、匂いなど)を結びつけて示す。「(ついさっきまで)~していた(ので、今~だ)」。
- 例: I am tired because I have been working hard all day. (一日中一生懸命働いていたので疲れている。)
- 例: Your eyes are red. Have you been crying? (目が赤いよ。泣いていたの?)
- 動作の継続: 過去に始まり、現在まで中断なく(あるいは繰り返し)続いている動作。「(今まで)ずっと~し続けている」。for …, since …, How long …? と共に使われることが多い。動作動詞に用いる。
5.3. 過去完了進行形 (Past Perfect Progressive): 形態と用法
- 形態:
had + been + 現在分詞 (-ing)
- 例: I had been waiting., They had been playing.
- 核心的意味: 過去のある時点(基準点)まで、それ以前から動作が継続していたことを示す。「(過去のその時まで)ずっと~し続けていた」。基準となる過去の時点を示す表現 (when …, before …, by … など) と共に使われる。
- 用法:
- 過去のある時点までの動作の継続: 大過去から過去のある時点まで続いていた動作。
- 例: He had been waiting for an hour when she finally arrived. (彼女がついに到着した時、彼は1時間待ち続けていた。)
- 例: They had been playing tennis for two hours before it started to rain. (雨が降り始める前、彼らは2時間テニスをし続けていた。)
- 過去のある時点における、それ以前の動作の結果: 過去のある時点で、それまで続いていた動作の結果が現れていた状況を示す。
- 例: His hands were dirty because he had been repairing his car. (彼は車を修理し続けていたので、手が汚れていた。)
- 過去のある時点までの動作の継続: 大過去から過去のある時点まで続いていた動作。
5.4. 未来完了進行形 (Future Perfect Progressive): 形態と用法
- 形態:
will have + been + 現在分詞 (-ing)
- 例: I will have been waiting., She will have been working.
- 核心的意味: 未来のある時点まで、動作が継続しているであろうことを示す。「(未来のその時までには)ずっと~し続けていることになるだろう」。未来の時点を示す表現 (by …, for …) と共に使われる。
- 用法:
- 未来のある時点までの動作の継続: 未来のある時点において、それまである期間続いているであろう動作。
- 例: By next March, I will have been studying English for five years. (来年の3月で、私は英語を5年間勉強し続けていることになるでしょう。)
- 例: When you arrive, I will have been working on this project for ten hours. (あなたが到着する時、私はこのプロジェクトに10時間取り組み続けていることになるでしょう。)
- 未来のある時点までの動作の継続: 未来のある時点において、それまである期間続いているであろう動作。
6. 時制の一致 (Sequence of Tenses)
複文(主節と従属節からなる文)において、主節の動詞の時制が、従属節の動詞の時制に影響を与える現象を「時制の一致」と呼びます。特に、主節の動詞が過去形の場合に注意が必要です。
6.1. 時制の一致とは何か?
- 文の中で、主節の動詞が表す時(基準時)と、従属節(特に名詞節や副詞節)の動詞が表す時との関係を示すルールです。
- 主節の動詞が現在形・現在完了形・未来形の場合、従属節の動詞は、表したい内容に応じて任意の時制(現在、過去、未来、完了など)を用いることができます。
- 例: He says [that he is busy / that he was busy / that he will be busy].
- 例: I will tell him [when she arrives / when she arrived]. (when節が副詞節なら未来でも現在形)
- 主節の動詞が過去形の場合、従属節の動詞の時制は、原則として主節の過去時制に影響を受けて変化します。
6.2. 基本原則:主節が過去形の場合
主節の動詞が過去形の場合、従属節の内容が主節と「同時」か「それ以前」かによって、従属節の動詞の時制は以下のように変化するのが原則です。
- 主節と同時 → 過去形: 主節の動作・状態と、従属節の動作・状態が同時に起こった(起こっていた)場合、従属節の動詞は過去形になります。(直接話法では現在形だったものが過去形になる)
- 例: He said, “I am busy.” (直接話法: 現在形) → He said [that he was busy]. (間接話法: 過去形)
- 例: I thought [that she lived in Tokyo]. (私は彼女が東京に住んでいると思った。[思った時と住んでいた時が同時])
- 主節より以前 → 過去完了形: 従属節の動作・状態が、主節の動作・状態よりも前に起こった(起こっていた)場合、従属節の動詞は過去完了形 (had + 過去分詞) になります。(直接話法では過去形または現在完了形だったものが過去完了形になる)
- 例: He said, “I visited Kyoto last year.” (直接話法: 過去形) → He said [that he had visited Kyoto the previous year]. (間接話法: 過去完了形)
- 例: He said, “I have already finished lunch.” (直接話法: 現在完了形) → He said [that he had already finished lunch]. (間接話法: 過去完了形)
- 例: I knew [that she had studied abroad before]. (私は彼女が以前留学したことがあるのを知っていた。[知っていた(過去) ← 留学した(大過去)])
6.3. 時制の一致の例外
主節の動詞が過去形であっても、以下のような場合には、従属節の動詞は時制の一致を受けず、現在形や過去形のままになることがあります。
- 普遍的真理・一般的な事実・ことわざ: 時間に関わらず常に真実である内容は、現在形のまま。
- 例: We learned [that the earth goes around the sun]. (私たちは地球が太陽の周りを回ることを学んだ。) (× went)
- 例: He told me [that honesty is the best policy]. (彼は正直が最善の策だと私に言った。) (× was)
- 歴史上の事実: 歴史的な出来事は通常、過去形のまま。
- 例: Our teacher taught us [that World War II ended in 1945]. (先生は第二次大戦が1945年に終わったと私たちに教えた。) (× had ended)
- (主節の時点で)現在の習慣・状態: 主節の過去の時点においても、依然として現在の習慣や状態であると考えられる場合は、現在形のままになることがある(特に口語)。ただし、過去形にするのがより一般的。
- 例: He said [that he usually gets up at six]. (彼はたいてい6時に起きると言った。[今もそうである含意]) (was getting up や got up も可能)
- 仮定法: 仮定法の if 節などの動詞の形(仮定法過去・仮定法過去完了)は、主節の時制の影響を受けずに、そのままの形を保つ。
- 例: He said [that if he were rich, he would travel more]. (彼はお金持ちならもっと旅行するだろうと言った。) (× was)
- 例: She wished [that she had studied harder]. (彼女はもっと熱心に勉強していたらなあと思った。)
- 比較構文:than や as … as の中の動詞は、比較対象との時間関係に基づいて時制が決まり、主節の影響を受けないことが多い。
- 例: He ran faster [than I do now]. (彼は(その時)今の私より速く走った。)
- 時制の一致は英語学習者が間違いやすいポイントの一つです。特に間接話法への書き換えなどで正確に適用できるように、原則と例外をしっかりと理解しておく必要があります。
7. まとめと次への接続
7.1. 本講義の要点整理
- 本講義では、英語の時間表現の核となる時制 (Tense) と相 (Aspect) について、その概念、形態、そして用法を体系的に学習しました。
- 基本時制(現在・過去)、未来表現(will, be going to など)、完了相(現在完了・過去完了・未来完了)、進行相(現在進行・過去進行・未来進行)、そして完了進行相という、いわゆる「12時制(+未来表現)」のそれぞれの核心的な意味と具体的な使い方を、例文を通して理解しました。
- 特に、完了相が示す「基準時点との繋がり」や、進行相が示す「動作の途中・一時性」、状態動詞と進行形の関係、そして複文における「時制の一致」の原則と例外といった重要なポイントを確認しました。
7.2. 次のステップ:演習編での定着と応用
- 時制・相は、その用法が多岐にわたり、文脈によってニュアンスも異なるため、知識を定着させ、適切に使いこなせるようになるためには、多くの英文に触れ、問題を解く練習が不可欠です。
- 次の「時制・相:形態と時間表現(演習編)」では、本講義で学んだ内容に基づいて、様々な形式の演習問題に取り組みます。各時制・相の使い分け、適切な動詞の形を選ぶ問題、時制の一致に関する問題などを通して、理解度を確認し、応用力を養います。講義内容をしっかり復習し、自信を持って演習に臨みましょう。
7.3. 態(Voice)への橋渡し
- 時制・相は、動詞が時間や状況の様相をどのように示すか、という側面に関わるものでした。次に学習する「態 (Voice)」は、文の視点、すなわち動作をする側(能動態)とする側とされる側(受動態)のどちらに焦点を当てるか、という側面に関わる文法項目です。
- 動詞は、時制・相だけでなく、態によっても形を変えます(例: write → is written, has written → has been written)。本講義で学んだ時制・相の知識は、態の仕組みを理解し、受動態の文を正しく構築・解釈するための基礎となります。
- 時制・相という時間軸の理解を深めた上で、次は態という視点の転換について学んでいきましょう。