- 本記事は生成AIを用いて作成しています。内容の正確性には配慮していますが、保証はいたしかねますので、複数の情報源をご確認のうえ、ご判断ください。
態:構造変換と意味変化
講義 / 演習
本講義(態:構造変換と意味変化)の概要
この講義では、英語の文における視点の転換を表す重要な文法カテゴリーである「態(Voice)」について、特に能動態と受動態(受け身)を中心に解説します。文の態を変えることで、動作をする側とされる側のどちらに焦点を当てるか、文全体のニュアンスをどのように調整するかを学びます。まず、態の基本的な概念と、能動態・受動態それぞれの特徴、そしてどのような場合に受動態が使われるのか(機能)を説明します。次に、能動態の文を受動態の文に書き換える際の基本的な構造変換ルール(be動詞 + 過去分詞、by + 動作主)を詳しく見ていきます。さらに、様々な時制・相(現在、過去、未来、進行形、完了形)や法助動詞、不定詞・動名詞と組み合わせた場合の受動態の作り方と意味についても解説します。特に、目的語が二つある第4文型や、目的格補語を持つ第5文型の受動態、使役動詞・知覚動詞の受動態は注意が必要な点です。また、「by」以外の前置詞を用いる受動態の慣用表現や、受動態にできない動詞、能動態の形で受動的な意味を表す構文など、注意すべき用法についても触れます。この講義を通して、受動態の仕組みと機能を深く理解し、読解における正確な意味把握と、作文における表現の幅を広げることを目指します。
1. はじめに:態(Voice)とは何か?
1.1. 態の概念:文の視点
- 態 (Voice) とは、文における動詞の形(特に他動詞)が、文の主語と動詞が表す動作との関係をどのように捉えているかを示す文法カテゴリーです。簡単に言えば、文が「誰(何)の視点」から述べられているかを示すものです。
- 英語には主に二つの態があります。
- 能動態 (Active Voice): 主語が動作を行う側(動作主 Actor/Agent)であることを示す形。
- 受動態 (Passive Voice): 主語が動作を受ける側(被動者 Patient/Recipient)であることを示す形。日本語の「~される」「~られる」という受け身の表現に相当します。
1.2. 能動態 (Active Voice) と受動態 (Passive Voice)
- 能動態: 動作主が主語(S)となり、動作の対象が目的語(O)となる、最も標準的な文の形です。
- 例:
Shakespeare wrote Hamlet.
(シェイクスピアはハムレットを書いた。)- S (動作主): Shakespeare
- V (動作): wrote
- O (被動者): Hamlet
- 例:
- 受動態: 能動態の目的語(O)が主語(S’)となり、動詞が「be動詞 + 過去分詞 (Vpp)」の形に変化します。能動態の主語(動作主)は、通常 by … の形で示されるか、省略されます。
- 例:
Hamlet was written by Shakespeare.
(ハムレットはシェイクスピアによって書かれた。)- S’ (被動者): Hamlet
- V’ (動作): was written (be + Vpp)
- by + 動作主: by Shakespeare
- 例:
1.3. なぜ受動態を使うのか?(受動態の機能)
能動態で表現できる内容を、なぜわざわざ受動態にして表現する必要があるのでしょうか? 受動態には主に以下のような機能・目的があります。
- 動作を受ける側(被動者)を主語にして、焦点を当てたい場合:
- 例: This bridge was built in 1950. (この橋は1950年に建てられた。) – 橋そのものに焦点を当てたい。誰が建てたかは重要ではないか、文脈上明らか。
- 動作主が不明、または言う必要がない(重要でない)場合:
- 例: My wallet was stolen yesterday. (昨日、財布が盗まれた。) – 誰が盗んだかは不明。
- 例: English is spoken all over the world. (英語は世界中で話されている。) – 話している人々を特定する必要はない。
- 動作主を意図的に避けたい場合、または客観的な記述をしたい場合:
- 例: It is said that … (~と言われている。) / It is believed that … (~と信じられている。) – 一般論や客観的な事実として述べる。
- 例: Mistakes were made. (間違いがなされた。) – 誰が間違いを犯したかを明言しない。
- 文脈の流れを自然にするため(情報構造): 前の文で述べられた情報(旧情報)を次の文の主語(主題 Topic)にすることで、文と文の繋がりをスムーズにする場合。
- 例: We interviewed several candidates. One candidate was offered the job immediately. (我々は数名の候補者と面接した。一人の候補者にはすぐに仕事が提供された。) – 前の文の candidates に関連する One candidate を主語にしている。
- 行為者を文末に置いて強調したい場合(まれ):
- 例: The final goal was scored by the captain! (決勝点はキャプテンによって決められたのだ!)
このように、受動態は単なる能動態の言い換えではなく、文の焦点やニュアンスを調整するための重要な表現手段です。
1.4. 時制・相との連携
- 受動態の基本形は「be動詞 + 過去分詞」ですが、この
be
動詞は、文が表す時間(時制)や状況の様相(相)に応じて、様々な形に変化します。 - したがって、受動態を正しく理解し、使うためには、前回の講義で学んだ時制・相(現在、過去、未来、進行形、完了形など)の知識が不可欠となります。受動態は、時制・相と組み合わさることで、より詳細な時間・状況における受け身の意味を表現します。
2. 受動態の基本的な作り方(構造変換)
2.1. 基本形:be動詞 + 過去分詞
- 受動態の最も基本的な形は「be動詞 + 過去分詞 (Vpp)」です。
- be動詞は、主語の人称・数、および文の時制・相に応じて、am, is, are, was, were, being, been と変化します。
- 過去分詞は、規則動詞の場合は -ed 形(過去形と同じ)、不規則動詞の場合はそれぞれ固有の形(例: written, seen, broken, taken)を用います。不規則動詞の過去分詞形は正確に覚えておく必要があります。
2.2. 能動態から受動態への書き換え手順
能動態の文(特にSVOの第3文型)を受動態に書き換える基本的な手順は以下の通りです。
- 能動態の目的語(O)を、受動態の主語(S’)にする。
- 能動態の動詞(V)を、「be動詞 + 過去分詞 (Vpp)」の形に変える。
- be動詞の時制・相は、元の能動態の動詞の時制・相に合わせる。
- be動詞の形は、新しい主語(S’)の人称・数に一致させる。
- 能動態の主語(S)を、「by + 目的格」の形で文末(または適切な位置)に置く(動作主)。
- 主語が代名詞の場合は目的格 (me, him, her, us, them) に変える。
- 例:
- 能動態: The cat (S) chased (V) the mouse (O). [過去形]
- O the mouse を S’ にする →
The mouse ...
- V chased (過去形) を be + Vpp にする → was chased (beの過去形、主語 The mouse に合わせる)
- S The cat を by … の形にする → by the cat
- 受動態: The mouse (S’) was chased (V’) by the cat.
- 例2:
- 能動態: Many people (S) speak (V) English (O) all over the world (M). [現在形]
- O English を S’ にする →
English ...
- V speak (現在形) を be + Vpp (speak-spoke-spoken) にする → is spoken (beの現在形、主語 English に合わせる)
- S Many people を by … の形にする → by many people (しかし、動作主が一般的で不明確な場合は省略されることが多い)
- M all over the world は適切な位置に置く。
- 受動態: English (S’) is spoken (V’) (by many people) all over the world (M). → (普通はby句を省略) English is spoken all over the world.
2.3. 動作主を表す by ...
(省略される場合)
- 受動態の文において、能動態の主語(動作主)は by + 目的格 の形で示されることが多いですが、以下のような場合には省略されるのが一般的です。
- 動作主が不明な場合:
- 例: My bicycle was stolen last night. (誰に盗まれたか不明)
- 動作主が一般の人々 (
people
,they
,we
など) で、言う必要がない場合:- 例: Rice is grown in many Asian countries. (一般的に誰が育てているかは自明)
- 例: It is said that … (一般的に~と言われている)
- 文脈から動作主が明らかな場合:
- 例: He was arrested for speeding. (警察に逮捕されたことは明らか)
- 動作を受ける側(主語)に焦点を当てたい場合:
- 例: The new museum will be opened next month. (誰が開館するかより、開館するという事実に焦点)
- 動作主が不明な場合:
- 逆に、動作主が誰であるかを明確に示したい場合や、意外な人物である場合などには、by … は省略されません。
- 例: This picture was painted by Picasso. (ピカソによって描かれたことを示したい)
3. 様々な時制・相における受動態
受動態の be動詞は、文の時制・相に応じて変化します。
3.1. 基本時制の受動態
- 現在形の受動態:am / is / are + 過去分詞
- 能動態: People speak English here.
- 受動態: English is spoken here.
- 過去形の受動態:was / were + 過去分詞
- 能動態: Someone broke the window.
- 受動態: The window was broken (by someone).
3.2. 進行形の受動態
- 現在進行形の受動態:am / is / are + being + 過去分詞
- 能動態: They are building a new house.
- 受動態: A new house is being built (by them). (今、建てられている最中だ)
- 過去進行形の受動態:was / were + being + 過去分詞
- 能動態: Someone was following me.
- 受動態: I was being followed (by someone). ((その時)つけられていた)
- 注意: 未来進行形、完了進行形の受動態は、形が複雑になるため、通常あまり使われません。
3.3. 完了形の受動態
- 現在完了形の受動態:have / has + been + 過去分詞
- 能動態: Someone has stolen my bike.
- 受動態: My bike has been stolen. ((過去に盗まれて)今もない)
- 能動態: He has written three novels.
- 受動態: Three novels have been written by him. (彼によって3冊の小説が書かれた[経験・結果])
- 過去完了形の受動態:had + been + 過去分詞
- 能動態: They had finished the work before I arrived.
- 受動態: The work had been finished (by them) before I arrived. (私が到着する前に、仕事は終えられていた)
- 未来完了形の受動態:will have + been + 過去分詞
- 能動態: They will have completed the project by next year.
- 受動態: The project will have been completed (by them) by next year. (来年までには、プロジェクトは完成させられているだろう)
3.4. 法助動詞を含む受動態
- 形態:法助動詞 + be + 過去分詞
- be は常に原形。
- 例:
- 能動態: You must finish the report by Friday.
- 受動態: The report must be finished by Friday. (金曜日までに終えられなければならない)
- 能動態: Anyone can make mistakes.
- 受動態: Mistakes can be made by anyone. (間違いは誰にでも起こされうる)
- 能動態: We should respect elderly people.
- 受動態: Elderly people should be respected. (高齢者は尊敬されるべきだ)
- 完了形と組み合わせる場合:法助動詞 + have been + 過去分詞
- 例: The task should have been completed yesterday. (その仕事は昨日完了されているべきだったのに[実際はされなかった])
3.5. 不定詞・動名詞の受動態
- 不定詞の受動態:to be + 過去分詞
- 例: I want to be invited to the party. (私はパーティーに招待されたい。)
- 例: There is a lot of work to be done. (なされるべき仕事がたくさんある。[名詞を修飾])
- 動名詞の受動態:being + 過去分詞
- 例: She doesn’t like being treated like a child. (彼女は子供のように扱われるのが好きではない。)
- 例: He avoided being seen by his ex-girlfriend. (彼は元カノに見られるのを避けた。)
- 完了形の不定詞・動名詞の受動態:to have been + 過去分詞, having been + 過去分詞
- 例: He is said to have been injured in the accident. (彼はその事故で怪我をしたと言われている。[主節より前の時制])
- 例: She complained of having been treated unfairly. (彼女は不公平に扱われたことについて不満を述べた。[主節より前の時制])
4. 第4文型・第5文型の受動態
目的語が二つある第4文型や、目的格補語を持つ第5文型も受動態にすることができますが、少し注意が必要です。
4.1. 第4文型 (SVOO) の受動態
- 第4文型
S + V + IO + DO
は、原則として IO (間接目的語、主に人) と DO (直接目的語、主に物) のどちらを主語にするかで、2種類の受動態を作ることができます。 - IO を主語にする受動態: (IO が S’ になり、DO はそのまま残る)
- 能動態: My father gave me this book.
- 受動態: I was given this book by my father. (私は父からこの本を与えられた。) – こちらの方が一般的。
- DO を主語にする受動態: (DO が S’ になり、IO は to または for を伴って後に残る)
- 能動態: My father gave me this book.
- 受動態: This book was given to me by my father. (この本は父によって私に与えられた。) – to/for は元の動詞の書き換えルールに従う。
- 注意点:
- 動詞によっては、一方の目的語しか主語にできない、または一方の受動態がより自然とされる場合があります。特に buy, make, cook, get, find など for を使う動詞は、DO を主語にする受動態が一般的で、IO を主語にする形はあまり使われません。
- 例: He bought me a watch. → A watch was bought for me by him. (○) / I was bought a watch by him. (△ または ×)
- read, write, sing なども、IO を主語にする受動態は通常作りません。
- 例: He wrote me a letter. → A letter was written to me by him. (○) / I was written a letter by him. (×)
- 動詞によっては、一方の目的語しか主語にできない、または一方の受動態がより自然とされる場合があります。特に buy, make, cook, get, find など for を使う動詞は、DO を主語にする受動態が一般的で、IO を主語にする形はあまり使われません。
4.2. 第5文型 (SVOC) の受動態
- 第5文型
S + V + O + C
の受動態は、能動態の目的語 (O) を主語 (S’) にし、動詞を be + Vpp に変え、目的格補語 (C) はそのまま主格補語として動詞の後ろに残します。S' + be Vpp + C
の形(見かけ上、第2文型SVCに似る)になります。 - C = 名詞 の場合:
- 能動態: They elected Lincoln president.
- 受動態: Lincoln was elected president (by them). (リンカーンは大統領に選ばれた。) – C(president) がそのまま残る。
- C = 形容詞 の場合:
- 能動態: The result made us happy.
- 受動態: We were made happy by the result. (私たちはその結果によって幸せにさせられた。) – C(happy) がそのまま残る。
- C = to不定詞 の場合:
- 能動態: They advised him to stop smoking.
- 受動態: He was advised to stop smoking (by them). (彼は禁煙するように忠告された。) – C(to stop smoking) がそのまま残る。
4.3. 使役動詞・知覚動詞の受動態
- 第5文型 (SVOC) で、補語(C)に原形不定詞をとる使役動詞 (make, have, let の一部) や知覚動詞 (see, hear, feel など) が受動態になる場合、補語の原形不定詞は
to
不定詞に変わるという重要なルールがあります。 - 使役動詞
make
:- 能動態: My mother made me clean my room. (母は私に部屋を掃除させた。)
- 受動態: I was made to clean my room by my mother. (私は母に部屋を掃除させられた。) – 原形 clean が to clean に変わる。
- 知覚動詞
see
,hear
,feel
など:- 能動態: We saw him enter the building. (私たちは彼が建物に入るのを見た。)
- 受動態: He was seen to enter the building (by us). (彼は建物に入るのを見られた。) – 原形 enter が to enter に変わる。
- 能動態: I heard someone call my name. (私は誰かが私の名前を呼ぶのを聞いた。)
- 受動態: My name was heard to be called (by someone). (少し不自然) または
Someone **was heard to call** my name.
(誰かが私の名前を呼ぶのが聞こえた。) の方が普通。
- 例外:
let
:let O do の受動態は通常 be allowed to do を使います。be let to do の形はまれ。- 能動態: She let me use her computer.
- 受動態: I was allowed to use her computer by her.
have
(使役): have O do の受動態は通常ありません。have O Vpp (Oを~してもらう/される) の形は受動態にしません。- 補語が現在分詞の場合: 知覚動詞の補語が現在分詞 -ing の場合、受動態でもそのまま -ing が残ります。
- 能動態: We saw him entering the building.
- 受動態: He was seen entering the building (by us). (to不定詞にはならない)
5. 注意すべき受動態の用法
5.1. by
以外の前置詞を用いる受動態
- 受動態の動作主は通常 by で示されますが、動詞によっては、特定の感情や状態を表す場合に、by 以外の前置詞が慣用的に用いられることがあります。これらは**連語(Collocation)**として覚える必要があります。
at
/by
(感情の原因 – 驚きなど):- be surprised at / by … (~に驚く)
- be shocked at / by … (~にショックを受ける)
- be amazed at / by … (~に驚嘆する)
- be alarmed at / by … (~にぎょっとする)
with
(感情の原因 – 満足・不満など / 材料・道具・内容物):- be satisfied with … (~に満足する)
- be pleased with … (~を喜ぶ)
- be disappointed with / at / in … (~にがっかりする)
- be covered with … (~で覆われている)
- be filled with … (~で満たされている)
- be crowded with … (~で混雑している)
in
(関心・従事 / 事故など):- be interested in … (~に興味がある)
- be involved in … (~に関わっている、巻き込まれる)
- be engaged in … (~に従事している)
- be caught in a shower (にわか雨にあう)
- be injured in an accident (事故で怪我をする)
to
(知られている対象):- be known to … (~に知られている)
as
(資格・身分):- be known as … (~として知られている)
for
(理由):- be known for … (~で有名である)
of
(材料 / 作られた):- be made of … (~でできている [材質])
- be made from … (~から作られる [原料])
- be tired of … (~に飽きている、うんざりしている) (cf. be tired from … ~で疲れている)
5.2. 受動態にできない動詞
以下の種類の動詞は、原則として受動態の形をとることができません。
- 自動詞 (Intransitive Verbs): 目的語を持たないため、受動態の主語になる要素がない。
- 例: happen, occur, arrive, disappear, rise, fall, exist, seem, appear など。
It happened yesterday.
(○) /It was happened yesterday.
(×)He arrived safely.
(○) /He was arrived safely.
(×)
- 状態を表す他動詞の一部: 所有 (have, possess)、状態 (lack, resemble, suit, fit) などを表す他動詞の一部は、受動態にしません。
I have a car.
(○) /A car is had by me.
(×)She resembles her mother.
(○) /Her mother is resembled by her.
(×)This suit fits you well.
(○) /You are fitted well by this suit.
(×)
5.3. 能動態で受動的な意味を表す構文
- いくつかの構文では、動詞の形は能動態でありながら、意味は受動的になることがあります。
need / want / require / deserve + 動名詞 (-ing)
: 「~される必要がある/価値がある」- 例: My shoes need polishing. (= need to be polished) (私の靴は磨かれる必要がある。)
- 例: The room wants cleaning. (= wants to be cleaned) (その部屋は掃除される必要がある。)
sell / read / wash / cook / cut / lock / open
などの動詞 + 副詞: 特定の動詞が様態などを表す副詞を伴って、「(物が主語で)~に売れる/読める/洗える/料理できる…」という意味を表す。- 例: This book sells well. (この本はよく売れる。)
- 例: The door won’t lock. (そのドアはどうしても鍵がかからない。)
- 例: This fabric washes easily. (この布は簡単に洗える。)
5.4. 群動詞(句動詞)の受動態
- look after, laugh at, speak to, take care of, put off, run over のような「動詞 + 副詞/前置詞」がセットで一つの他動詞のように機能する群動詞 (Phrasal Verbs / Multi-word Verbs) を受動態にする場合は、そのセット全体を一つの動詞として扱い、最後の副詞や前置詞を省略せずにそのまま残します。
- 例:
- 能動態: Everyone laughed at him. (皆が彼を笑った。)
- 受動態: He was laughed at by everyone. (彼は皆に笑われた。) (at を省略しない)
- 能動態: The nurse looked after the patient carefully. (看護師は患者を注意深く世話した。)
- 受動態: The patient was looked after carefully by the nurse. (患者は看護師によって注意深く世話された。) (after を省略しない)
- 能動態: We must put off the meeting. (我々は会議を延期しなければならない。)
- 受動態: The meeting must be put off. (会議は延期されなければならない。) (off を省略しない)
- 能動態: A car ran over the cat. (車がその猫をひいた。)
- 受動態: The cat was run over by a car. (その猫は車にひかれた。) (over を省略しない)
6. まとめと次への接続
6.1. 本講義の要点整理
- 本講義では、文の視点を変える態 (Voice) について、能動態と受動態を中心に学びました。
- 受動態の基本的な作り方 (be動詞 + 過去分詞 + by動作主) と、その機能(被動者への焦点、動作主の不明・不重要、客観性など)を理解しました。
- 様々な時制・相(基本、進行、完了)、法助動詞、不定詞・動名詞と組み合わせた受動態の形と意味を確認しました。
- 第4文型・第5文型の受動態の作り方、特に使役動詞・知覚動詞の受動態における注意点(原形不定詞 → to不定詞)を学びました。
- by 以外の前置詞を用いる受動態の慣用表現や、受動態にできない動詞、能動態で受動的な意味を表す構文、群動詞の受動態といった注意すべき用法についても確認しました。
6.2. 次のステップ:演習編での定着と応用
- 受動態は英語で非常に頻繁に使われる重要な構文です。その形や用法を確実に身につけるためには、多くの練習が必要です。
- 次の「態:構造変換と意味変化(演習編)」では、能動態から受動態への書き換え、様々な時制・相の受動態の識別、適切な前置詞の選択、注意すべき用法に関する問題など、多様な演習を通して、受動態の理解を深め、応用力を高めます。本講義の内容をしっかり復習し、演習に備えましょう。
6.3. 法助動詞への橋渡し
- 本講義でも触れましたが、法助動詞 (can, must, should など) は受動態 (be + 過去分詞) と組み合わさって使われることがよくあります。これにより、「~されるべきだ」「~されうる」といった、単なる受け身の意味に加えて、話し手の判断や態度(モダリティ)を表現することができます。
- 次の項目「法助動詞:意味・機能分析」では、これらの法助動詞が持つ多様な意味(可能、許可、義務、推量、確信度など)と機能をさらに深く掘り下げます。態(Voice)と法助動詞(Modality)の知識を組み合わせることで、よりニュアンス豊かで複雑な英語表現を理解し、運用する能力が向上します。