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関係詞節:埋め込み構造と意味
本講義(関係詞節:埋め込み構造と意味)の概要
本講義では、英語の複合構文の中核を成す「関係詞節 (Relative Clause)」について、その構造、意味機能、そして多様な用法を体系的に解説します。関係詞節は、先行する名詞(先行詞)に詳細な情報を付け加え、その名詞を特定したり説明したりする形容詞節の一種であり、文の中に別の文を埋め込むことによって複雑な情報を効率的に伝達する強力な手段です。難関大学入試レベルの長文読解や高度な英作文においては、この関係詞節を正確に理解し、適切に運用する能力が不可欠となります。本講義では、まず関係詞節の基本的な概念、すなわち先行詞を修飾する形容詞節としての機能と、文の埋め込み構造における役割を明らかにします。次に、関係詞節を導く主要な要素である関係代名詞 (who, whom, whose, which, that) と関係副詞 (when, where, why, how) について、それぞれの種類、格、先行詞との関係、そして文中での機能を詳細に分析します。特に、関係詞節が持つ二つの重要な用法、すなわち先行詞を特定する「限定用法」と、補足的な情報を付け加える「非限定用法」(コンマを伴う用法)の違いを、形式と意味の両面から徹底的に解説します。さらに、関係代名詞 that の特殊性、先行詞を含む関係代名詞 what、関係詞の省略、前置詞との組み合わせ、そして複合関係詞 (whoever, whenever など) の用法まで、関連する重要項目を網羅的に扱います。読解における関係詞節の処理戦略(先行詞の特定、修飾関係の把握)や、作文における効果的な活用法(名詞の具体化、文の接続)についても考察し、次の演習編、そして比較表現の学習へと繋げます。分詞による修飾との関連性も意識しながら、関係詞節という複雑な構文の仕組みを解き明かし、英語の構造的理解を一層深めましょう。
1. 関係詞節とは何か? – 文の中に文を埋め込む
1.1. 関係詞節の基本的機能:先行詞を修飾する形容詞節
- 先行詞を説明する節: 関係詞節 (Relative Clause) は、文中の名詞(または名詞句)を後ろから修飾し、その名詞に関する追加情報を提供する節 (Clause) です。修飾される名詞のことを先行詞 (Antecedent) と呼びます。関係詞節は、先行詞がどのような人・物・場所・時・理由であるかを詳しく説明する働きをします。
- 形容詞節としての役割: 関係詞節は、全体として一つの形容詞のように機能し、先行詞という名詞を修飾します。そのため、形容詞節 (Adjective Clause) とも呼ばれます。
- 例: I know the woman who lives next door. (私は隣に住んでいる女性を知っている)
- 先行詞:
the woman
- 関係詞節:
who lives next door
(全体としてthe woman
を修飾する形容詞節) - 関係詞:
who
(関係代名詞、先行詞the woman
を指し、節内で主語の役割)
- 先行詞:
- 例: This is the book which I borrowed from the library. (これは私が図書館から借りた本だ)
- 先行詞:
the book
- 関係詞節:
which I borrowed from the library
(全体としてthe book
を修飾する形容詞節) - 関係詞:
which
(関係代名詞、先行詞the book
を指し、節内で目的語の役割)
- 先行詞:
- 例: I know the woman who lives next door. (私は隣に住んでいる女性を知っている)
1.2. 埋め込み構造としての関係詞節:文の複雑化
- 文の中に文を挿入: 関係詞節は、一つの文(主節)の中に、別の文(関係詞節)が埋め込まれた (embedded) 構造を作り出します。これにより、単純な文を組み合わせて、より複雑で情報量の多い文を生成することができます。
- 例:
- 文1: The man was kind. (その男性は親切だった)
- 文2: The man helped me. (その男性は私を助けてくれた)
- 埋め込み: The man who helped me was kind. (私を助けてくれた男性は親切だった)
- → 文2が関係詞
who
を用いて関係詞節となり、文1の主語The man
の中に埋め込まれ、修飾している。
- 例:
- 統語的な仕組み: 関係詞(関係代名詞・関係副詞)は、(1) 先行詞と関係詞節を接続する役割と、(2) 関係詞節の中で代名詞または副詞としての役割を同時に果たします。この二重の機能が、関係詞節の構造を理解する上での鍵となります。
1.3. なぜ関係詞節を学ぶのか? – 情報の付加と文の結束
- 情報の特定・追加: 関係詞節は、先行詞が具体的にどの人・物を指すのかを特定したり(限定用法)、先行詞に関する補足的な情報を追加したり(非限定用法)するために不可欠な表現方法です。これにより、コミュニケーションにおける誤解を防ぎ、情報を正確かつ詳細に伝えることができます。
- 文の結束性 (Cohesion) の向上: 関係詞節は、文中の異なる要素(先行詞と節内の情報)を結びつけ、文全体のまとまりや流れを良くする働きがあります。特に、複雑な内容を説明したり、複数の情報を一つの文にまとめたりする際に有効です。
- 高度な英語運用能力の指標: 関係詞節を正しく理解し、適切に使いこなせることは、高度な英語運用能力(特に読解力と作文力)を示す重要な指標となります。大学入試の長文読解や英作文では、関係詞節の処理能力が直接的に問われる場面が多くあります。
1.4. 分詞による修飾との関連性
- 機能の類似性: 名詞を後ろから修飾するという点で、関係詞節と分詞句(特に後置修飾)は機能的に類似しています。
- 例: a book written in English (分詞句) ≈ a book which was written in English (関係詞節)
- 例: the boy playing soccer (分詞句) ≈ the boy who is playing soccer (関係詞節)
- 関係詞節の省略形としての分詞: 多くの場合、
主格の関係代名詞 + be動詞
は省略可能であり、その結果、分詞句による後置修飾と同じ形になります。このことから、分詞による後置修飾は、関係詞節の簡略形と見なすこともできます。 - 違い: 関係詞節は、主語や目的語が明示された完全な節の形をとるため、分詞句よりも詳細な情報や複雑な関係性を示すことができます。また、所有格 (
whose
) や関係副詞 (when
,where
) を用いた表現は、単純な分詞句では代替できません。 - 学習上の連携: 分詞の形容詞的用法(後置修飾)の知識は、関係詞節の構造と機能を理解する上で役立ちます。両者の類似点と相違点を意識することで、修飾構造全般への理解が深まります。
2. 関係代名詞:節と先行詞を繋ぐ代名詞
関係詞節を導く関係詞のうち、節内で代名詞(主語、目的語、所有格)の役割を果たすものを関係代名詞 (Relative Pronoun) と呼びます。
2.1. 関係代名詞の種類 (who
, whom
, whose
, which
, that
)
- 主な関係代名詞:
who
: 先行詞が「人」の場合に用いる(主格)。whom
: 先行詞が「人」の場合に用いる(目的格)。ただし、現代英語ではwho
で代用されることが多い。whose
: 先行詞が「人」または「物」の場合に用いる(所有格)。which
: 先行詞が「人以外(物・動物・事柄)」の場合に用いる(主格・目的格)。that
: 先行詞が「人」または「人以外」の場合に用いる(主格・目的格)。ただし、用法に制限あり。
2.2. 格による使い分け:主格・所有格・目的格
- 格とは: 関係代名詞が、関係詞節の中でどのような文法的役割(主語、所有、目的語)を果たしているかを示す区別です。
- 主格 (Subjective Case): 関係詞節の中で主語 (S) の役割を果たす。 →
who
,which
,that
- 所有格 (Possessive Case): 関係詞節の中で所有(~の)を表し、後ろの名詞を修飾する。 →
whose
- 目的格 (Objective Case): 関係詞節の中で目的語 (O)(動詞の目的語、または前置詞の目的語)の役割を果たす。 →
whom
,which
,that
,who
(口語)
- 主格 (Subjective Case): 関係詞節の中で主語 (S) の役割を果たす。 →
2.3. 先行詞による使い分け:人 vs 人以外
- 先行詞の種類: 関係代名詞の選択は、先行詞が「人」か「人以外」かによっても左右されます。
- 先行詞が「人」:
who
(主格),whom
/who
(目的格),whose
(所有格),that
(主格/目的格) - 先行詞が「人以外」:
which
(主格/目的格),whose
(所有格),that
(主格/目的格)
- 先行詞が「人」:
2.4. 主格の関係代名詞 (who
, which
, that
)
- 機能: 関係詞節の主語(S)となり、先行詞を指す。関係代名詞の後ろには動詞(V)が続く (
先行詞 + who/which/that + V ...
)。 - 例文:
- The student who answered the question correctly received praise. (先行詞:
student
(人) →who
) - This is the email which arrived this morning. (先行詞:
email
(物) →which
) - The people that live upstairs are very noisy. (先行詞:
people
(人) →that
) - I bought a smartphone that has a large screen. (先行詞:
smartphone
(物) →that
)
- The student who answered the question correctly received praise. (先行詞:
- 注意: 主格の関係代名詞は原則として省略できません(例外:
主格 + be動詞
の場合、後述)。
2.5. 所有格の関係代名詞 (whose
)
- 機能: 「先行詞の~」という意味を表し、関係詞節の中で後に続く名詞を修飾する。先行詞は「人」でも「人以外」でもよい。(
先行詞 + whose + 名詞 + ...
) - 例文:
- I know a girl whose father is a famous actor. (先行詞:
girl
(人)) (私は父親が有名な俳優である少女を知っている) - We stayed at a hotel whose rooms offered ocean views. (先行詞:
hotel
(物)) (私たちは部屋から海の景色を提供するホテルに滞在した) - The company hired an engineer whose expertise is in AI. (先行詞:
engineer
(人)) (その会社は専門知識がAIにあるエンジニアを雇った)
- I know a girl whose father is a famous actor. (先行詞:
of which
との書き換え: 先行詞が「物」の場合、whose + 名詞
はthe + 名詞 + of which
で書き換えられることがありますが、whose
の方が一般的です。- 例: We saw a house the roof of which was painted red. (= … whose roof was painted red.) (私たちは屋根が赤く塗られた家を見た)
2.6. 目的格の関係代名詞 (whom
, which
, that
, who
)
- 機能: 関係詞節の中で動詞(V)または前置詞(P)の目的語(O) となる。関係代名詞の後ろには主語(S)と動詞(V)が続く (
先行詞 + whom/which/that/who + S + V ...
または先行詞 + 前置詞 + whom/which ...
)。 - 例文 (動詞の目的語):
- The actor whom/who/that I admire most is Tom Hanks. (先行詞:
actor
(人)) (私が最も尊敬する俳優はトム・ハンクスだ) – admireの目的語 - The topic which/that we discussed yesterday was very interesting. (先行詞:
topic
(物)) (私たちが昨日議論した話題はとても面白かった) – discussedの目的語
- The actor whom/who/that I admire most is Tom Hanks. (先行詞:
- 例文 (前置詞の目的語):
- The person (whom/who/that) I spoke to gave me helpful advice. (先行詞:
person
(人)) (私が話しかけた人は、私に役立つアドバイスをくれた) – to の目的語 - This is the project (which/that) I am working on. (先行詞:
project
(物)) (これが私が取り組んでいるプロジェクトです) – on の目的語
- The person (whom/who/that) I spoke to gave me helpful advice. (先行詞:
whom
vswho
: フォーマルな文体では、人の目的格にはwhom
を使うのが伝統的ですが、現代の口語やインフォーマルな文体ではwho
が広く使われます。that
も使用可能です。- 省略: 目的格の関係代名詞は、省略されることが非常に多いです。
- 例: The actor I admire most is Tom Hanks. (
whom
/who
/that
省略) - 例: The topic we discussed yesterday was very interesting. (
which
/that
省略) - 例: The person I spoke to gave me helpful advice. (
whom
/who
/that
省略) - 例: This is the project I am working on. (
which
/that
省略)
- 例: The actor I admire most is Tom Hanks. (
3. 関係副詞:節と先行詞を繋ぐ副詞
関係詞節を導く関係詞のうち、節内で副詞(時、場所、理由、方法)の役割を果たすものを関係副詞 (Relative Adverb) と呼びます。
3.1. 関係副詞の種類と機能 (when
, where
, why
, how
)
- 主な関係副詞:
when
: 先行詞が「時」を表す場合に用いる。(at that time
→when
)where
: 先行詞が「場所」を表す場合に用いる。(in/at that place
→where
)why
: 先行詞が「理由 (the reason
)」の場合に用いる。(for that reason
→why
)how
: 先行詞が「方法 (the way
)」の場合に用いる。(in that way
→how
) ただし特殊な制約あり。
- 機能: 関係副詞は、(1) 先行詞と関係詞節を接続し、(2) 関係詞節の中で副詞として機能します。関係副詞の後ろには完全な文 (S+V…) が続きます。
3.2. when
(時) の用法
- 先行詞:
the time
,the day
,the year
,the moment
など、時を表す名詞。 - 例文:
- I remember the day when we first met. (私たちが初めて会った日を覚えている) –
when
= on that day - Spring is the season when flowers bloom. (春は花が咲く季節だ) –
when
= in that season - There are times when everyone feels lonely. (誰もが孤独を感じる時がある) –
when
= at those times
- I remember the day when we first met. (私たちが初めて会った日を覚えている) –
- 省略: 先行詞が
the time
,the day
など一般的な場合、関係副詞when
が省略されることがあります。先行詞自体が省略されることもあります。
3.3. where
(場所) の用法
- 先行詞:
the place
,the house
,the city
,the country
,the point
など、場所を表す名詞。 - 例文:
- This is the park where I used to play as a child. (ここは私が子供の頃よく遊んだ公園だ) –
where
= in this park - Do you know a restaurant where we can have good seafood? (美味しいシーフードが食べられるレストランを知っていますか?) –
where
= at which restaurant - Kyoto is a city where you can see many temples. (京都は多くの寺院を見ることができる都市だ) –
where
= in which city
- This is the park where I used to play as a child. (ここは私が子供の頃よく遊んだ公園だ) –
- 省略: 先行詞が
the place
など一般的な場合、where
が省略されることがあります。先行詞自体が省略されることもあります。
3.4. why
(理由) の用法 (the reason why...
)
- 先行詞: 通常
the reason
。 - 例文:
- Please tell me the reason why you were late. (あなたが遅刻した理由を教えてください) –
why
= for which reason - That is the reason why I chose this university. (それが私がこの大学を選んだ理由だ)
- Please tell me the reason why you were late. (あなたが遅刻した理由を教えてください) –
- 省略:
the reason why...
では、the reason
またはwhy
のどちらか一方、あるいは両方が省略されることがよくあります。- Tell me why you were late. (
the reason
省略) - That is the reason I chose this university. (
why
省略) - That is why I chose this university. (
the reason
省略、why
が名詞節を導く)
- Tell me why you were late. (
3.5. how
(方法) の特殊性 (the way how...
は不可)
- 先行詞:
the way
(方法)。 - 制限: 英語では
the way how ...
という形は通常用いられません。the way
とhow
のどちらか一方のみを使います。- This is the way I solved the problem. (これが私がその問題を解決した方法だ) –
how
を省略 - This is how I solved the problem. (これが私がその問題を解決した方法だ) –
the way
を省略し、how
が名詞節を導く
- This is the way I solved the problem. (これが私がその問題を解決した方法だ) –
the way (that/in which)...
:the way
の後にthat
(関係代名詞または接続詞) やin which
(前置詞+関係代名詞) を用いることは可能です。- This is the way (that) I solved the problem.
- This is the way in which I solved the problem.
3.6. 関係副詞と「前置詞 + 関係代名詞」の関係
- 書き換え可能: 関係副詞は、多くの場合
前置詞 + 関係代名詞 (which/whom)
の形で書き換えることができます。関係副詞が節内で「前置詞 + 名詞」の副詞句の役割を果たしているためです。when
=at/on/in + which
- the day when we met = the day on which we met
where
=at/on/in + which
- the park where I played = the park in which I played
why
=for + which
- the reason why he was late = the reason for which he was late
how
の場合:the way **in which** ...
が対応する。
- どちらを使うか: 一般的に関係副詞の方が口語的で簡潔ですが、「前置詞 + 関係代名詞」の方がフォーマルな響きを持つことがあります。文脈や文体によって使い分けられます。
4. 関係詞節の二つの用法:限定用法と非限定用法
関係詞節には、先行詞の意味を限定する「限定用法」と、先行詞に補足的な情報を加える「非限定用法」の二種類があり、意味と形式(コンマの有無)が異なります。
4.1. 限定用法(制限用法):先行詞を特定・限定
- 機能: 先行詞が指す対象を、多くの同種のものの中から特定・限定する働きをします。「~するところの…」「~するような…」という意味合い。
- 形式: 関係詞節は先行詞に直接続き、コンマで区切られません。
- 例文:
- The student who got the highest score will receive a prize. (最高点を取った(その特定の)学生が賞を受け取るだろう) – 多くの学生の中から「最高点を取った」学生に限定。
- I want to buy a car that is fuel-efficient. (燃費の良い(そういう種類の)車を買いたい) – 様々な車の中から「燃費が良い」という条件で限定。
- People who live in glass houses shouldn’t throw stones. (ガラスの家に住む(そういう)人々は石を投げるべきではない – ことわざ)
4.2. 非限定用法(継続用法):先行詞に情報を追加(コンマあり)
- 機能: 先行詞(すでに特定されていることが多い、固有名詞など)について、補足的な情報を付け加えます。前から訳し下ろすように、「そしてその人は/物は~」「ところでその人は/物は~」というニュアンスです。
- 形式: 関係詞節の前にコンマ (
,
) が置かれます。文中に挿入される場合は、節の後ろにもコンマが置かれます。 - 例文:
- I visited my uncle, who lives in Kyoto. (私は叔父を訪ねたが、彼は京都に住んでいる) – 先行詞
my uncle
は既に特定済み。彼についての追加情報。 - This book, which I borrowed from Emily, is very interesting. (この本は、エミリーから借りたのだが、とても面白い) – 先行詞
This book
は特定済み。挿入的な追加情報。 - We went to Paris, where we saw the Eiffel Tower. (私たちはパリへ行ったが、そこでエッフェル塔を見た) – 関係副詞
where
も非限定用法で使える。
- I visited my uncle, who lives in Kyoto. (私は叔父を訪ねたが、彼は京都に住んでいる) – 先行詞
- 固有名詞の後: 先行詞が固有名詞の場合、通常は非限定用法が用いられます(既に特定されているため)。
- 例: Mr. Smith, who is our new boss, seems very friendly. (スミス氏は、我々の新しい上司なのだが、とても気さくなそうだ)
4.3. 意味と形式(コンマ)の違い
- コンマの重要性: コンマの有無によって文の意味が大きく変わることがあります。
- 限定用法 (コンマなし): My brother who lives in Osaka is a doctor. (大阪に住んでいる(私の)兄は医者だ) – 他にも兄弟がいて、その中の「大阪在住の兄」に限定している含意。
- 非限定用法 (コンマあり): My brother, who lives in Osaka, is a doctor. (私の兄は、大阪に住んでいるのだが、医者だ) – 兄は一人(または話題の兄は特定済み)で、その兄についての追加情報。
4.4. that
と非限定用法
that
は非限定用法では使えない: 関係代名詞that
は、非限定用法(コンマの後)では原則として使えません。非限定用法ではwho
,whom
,whose
,which
を用います。- 例: × My uncle, that lives in Kyoto, … (不可)
- 例: ○ My uncle, who lives in Kyoto, … (可)
4.5. 非限定用法の which
(前の文脈全体を受ける用法)
- 特別な用法: 非限定用法の
which
は、直前の名詞だけでなく、前の節や文全体の内容を先行詞として受けることができます。「そしてそのことは~」という意味になります。 - 例文:
- He finally passed the exam, which made his parents happy. (彼はついに試験に合格し、そのことが両親を喜ばせた) –
which
= He finally passed the exam という事実全体。 - It rained all day, which ruined our picnic plans. (一日中雨が降り、そのせいで私たちのピクニックの計画は台無しになった) –
which
= It rained all day という事実全体。
- He finally passed the exam, which made his parents happy. (彼はついに試験に合格し、そのことが両親を喜ばせた) –
5. 関係詞の特殊な用法と注意点
5.1. 関係代名詞 that
の用法と制限
- 広い範囲で使える:
that
は先行詞が人でも人以外でも、主格でも目的格でも使える便利な関係代名詞です。 that
が好まれる場合:- 先行詞が「人 + 物/動物」の場合: Look at the boy and his dog that are running over there.
- 先行詞に最上級、序数、
the only
,the very
,the same
,all
,any
,no
などが付く場合: This is the best movie that I have ever seen. / He is the only person that can solve this problem. - 疑問詞
who
やwhich
で始まる疑問文の中: Who is the girl that is talking to John?
that
が使えない場合:- 非限定用法 (コンマの後): (前述 4.4)
- 前置詞の後: 前置詞を関係代名詞の直前に置く場合、
that
は使えません (in that
,to that
は不可)。in which
,to whom
などを使います。- 例: This is the house in which I was born. (× … in that I was born.)
- ただし、前置詞が節末に残る場合は
that
も使えます: This is the house that I was born in.
5.2. 関係代名詞 what
(先行詞を含む関係詞)
- 特徴:
what
は、それ自体が先行詞を含む関係代名詞です。「~する(ところの)こと/もの」(the thing(s) which/that
) という意味を表します。 - 機能:
what
が導く節は、全体として名詞節となり、文中で主語(S)、目的語(O)、補語(C)になります。 - 例文:
- What he said surprised everyone. (彼が言ったことは皆を驚かせた) –
What he said
(= The thing which he said) が主語S。 - This is what I need right now. (これが今私が必要なものだ) –
what I need
(= the thing which I need) が補語C。 - Please show me what you bought. (あなたが買ったものを見せてください) –
what you bought
(= the things which you bought) がshow
の直接目的語O。 - I can’t believe what happened. (何が起こったのか信じられない) –
what happened
(= the thing that happened) がbelieve
の目的語O。
- What he said surprised everyone. (彼が言ったことは皆を驚かせた) –
- 慣用表現:
what is called
(いわゆる),what is more
(さらに),what with A and (what with) B
(AやらBやらで),A is to B what C is to D
(AとBの関係はCとDの関係と同じだ) など。
5.3. 関係代名詞の省略(目的格、主格+be動詞)
- 目的格の省略: 関係詞節の中で目的語となっている関係代名詞 (
whom
,who
,which
,that
) は、省略可能です(限定用法の場合)。(前述 2.6 参照)- 例: The book (which/that) I’m reading is interesting.
- 例: The people (whom/who/that) we met were friendly.
- 「主格の関係代名詞 + be動詞」の省略: 関係詞節が「主格の関係代名詞 (
who
/which
/that
) + be動詞」で始まっている場合、その両方をセットで省略することができます。その結果、先行詞を後ろから修飾する分詞句や形容詞句、前置詞句などが残ります。(前述 1.4 参照)- 例: The boy (who is) playing the guitar is my brother. → The boy playing the guitar is my brother. (現在分詞句)
- 例: The report (which was) submitted yesterday contained errors. → The report submitted yesterday contained errors. (過去分詞句)
- 例: The only seat (that was) available was in the last row. → The only seat available was in the last row. (形容詞句)
- 例: The cat (which is) on the roof is black. → The cat on the roof is black. (前置詞句)
- 注意: 主格の関係代名詞単独では、原則として省略できません。
5.4. 前置詞 + 関係代名詞 (in which
, to whom
など)
- 前置詞の位置: 関係代名詞が前置詞の目的語になっている場合、その前置詞は通常、関係詞節の最後に残ります(この場合、関係代名詞
that
の使用や省略が可能)。- 例: The hotel (that/which) we stayed at was comfortable.
- 前置詞の移動: よりフォーマルな文体では、前置詞を関係代名詞の直前に移動させることがあります。この場合、関係代名詞は
whom
(人) またはwhich
(人以外) を用い、that
やwho
は使えず、省略もできません。- 例: The hotel at which we stayed was comfortable. (× at that / at who)
- 例: The person to whom I sent the email has not replied. (× to that / to who)
- 所有格
whose
とof which
: 前述 2.5 の通り、whose + 名詞
はthe + 名詞 + of which
で表せる場合があります。- 例: a problem the solution to which is unknown = a problem whose solution is unknown (解決策が不明な問題)
6. 複合関係詞:先行詞を含む関係詞の拡張
関係詞に -ever
が付いたもので、先行詞を含み、「~する人は誰でも」「~するものは何でも」といった意味を表します。導く節は名詞節または副詞節になります。
6.1. 複合関係代名詞 (whoever
, whomever
, whatever
, whichever
)
whoever
: 「~する人は誰でも」(= anyone who)。名詞節(S, O, C)または副詞節(譲歩「誰が~しようとも」)を導く。主格。- 例 (名詞節S): Whoever comes late will not be admitted. (遅れてくる人は誰でも入場を認められないだろう)
- 例 (副詞節): Whoever may call, tell them I’m out. (誰が電話してこようとも、私は外出中だと伝えて)
whomever
: 「~する人は誰でも」(= anyone whom)。名詞節(O, PO)または副詞節(譲歩)を導く。目的格。口語ではwhoever
が代用されることが多い。- 例 (名詞節O): You can invite whomever you like. (好きな人は誰でも招待してよい)
whatever
: 「~するものは何でも」(= anything that)。名詞節(S, O, C)または副詞節(譲歩「何が/何を~しようとも」)を導く。主格・目的格。- 例 (名詞節O): Please take whatever you need. (必要なものは何でも持っていってください)
- 例 (副詞節): Whatever happens, I will support you. (何が起ころうとも、私はあなたを支持します)
whichever
: 「~するものはどちらでも/どれでも」(= any one(s) that)。名詞節(S, O, C)または副詞節(譲歩「どちらを/どれを~しようとも」)を導く。選択肢が限られている場合に使う。主格・目的格。- 例 (名詞節O): Choose whichever you prefer. (どちらでも好きな方を選んでください)
- 例 (副詞節): Whichever route you take, it will take about an hour. (どちらのルートを行こうとも、約1時間かかるだろう)
6.2. 複合関係代名詞が導く節:名詞節と副詞節
- 名詞節: 「~する人/もの/こと」という意味で、文中で主語(S)、目的語(O)、補語(C)になる。(
= anyone who
,anything that
など) - 副詞節: 譲歩の意味(「たとえ誰が/何が/どちらが~しようとも」)を表し、文全体を修飾する。(
= No matter who/what/which ...
)
6.3. 複合関係副詞 (whenever
, wherever
, however
)
whenever
: 「~するときはいつでも」(= at any time when)。副詞節(時)または副詞節(譲歩「いつ~しようとも」)を導く。- 例 (時): You can visit me whenever you want. (来たいときはいつでも私を訪ねてよい)
- 例 (譲歩): Whenever he calls, he always asks for money. (彼がいつ電話してきても、いつもお金を要求する) (= No matter when he calls…)
wherever
: 「~するところならどこへでも/どこででも」(= at/in/to any place where)。副詞節(場所)または副詞節(譲歩「どこへ/どこで~しようとも」)を導く。- 例 (場所): Sit wherever you like. (好きなところならどこへでも座ってください)
- 例 (譲歩): Wherever you go, I will follow you. (あなたがどこへ行こうとも、私はついていきます) (= No matter where you go…)
however
:- 譲歩の副詞節: 「しかしながら、どんなに~であろうとも」(= No matter how)。
however + 形容詞/副詞 + S + V
の形をとる。- 例: However tired you are, you must finish this task. (どんなに疲れていようとも、この仕事を終えなければならない)
- 例: You can’t master it however hard you try. (どんなに一生懸命やっても、それをマスターすることはできない)
- 接続副詞: 「しかしながら」(文頭・文中・文末で用い、コンマを伴う)。複合関係副詞ではないが注意。
- 例: He is rich. However, he is not happy.
- 譲歩の副詞節: 「しかしながら、どんなに~であろうとも」(= No matter how)。
6.4. 複合関係副詞が導く節:副詞節
- 複合関係副詞 (
whenever
,wherever
,however
) が導く節は、副詞節として機能し、主節を修飾します。時、場所、譲歩などの意味を表します。
7. 読解と作文における関係詞節の活用
7.1. 読解:先行詞の特定と節の範囲把握
- 先行詞は何か?: 関係詞節を読む際には、まず関係詞がどの名詞(先行詞)を修飾しているのかを正確に特定することが第一歩です。通常は直前の名詞ですが、離れている場合や、文脈全体を受ける場合もあります。
- 節の境界はどこまでか?: 関係詞節がどこからどこまで続くのか、その範囲を正確に把握することが重要です。特に複数の関係詞節や他の修飾語句が絡み合っている場合に注意が必要です。動詞の数などを手がかりに、節の構造を見抜きます。
- 関係詞の格の理解: 関係詞が節内で主格・所有格・目的格のどれとして機能しているかを理解することで、節内部の構造と意味を正確に捉えることができます。省略されている目的格関係代名詞を補って考えることも有効です。
7.2. 読解:限定・非限定用法の意味解釈
- コンマの有無に注意: 限定用法(コンマなし)と非限定用法(コンマあり)では、先行詞の特定度合いや情報の重要性が異なります。コンマの有無を見落とさず、それぞれのニュアンスを正確に読み取ることが重要です。
- 非限定用法の訳し方: 非限定用法は、前から訳し下ろし、「~で、そしてその人/物は…」のように接続詞的に解釈すると自然な日本語になることが多いです。
7.3. 作文:名詞の具体化と文の連結
- 名詞情報の追加: ある名詞について、それがどのようなものかを具体的に説明したい場合に、関係詞節は非常に有効な手段です。
- 例: I bought a book. It was recommended by my teacher. → I bought a book which was recommended by my teacher.
- 文の接続と構造化: 二つの関連する文を一つにまとめ、よりスムーズで論理的な流れを作るために関係詞節を活用できます。これにより、単文の羅列を避け、洗練された文章を作成できます。
- 適切な関係詞の選択: 先行詞(人か人以外か)、関係詞の格(主格・所有格・目的格)、限定用法か非限定用法か、などを考慮して、最も適切な関係詞を選択する必要があります。省略や前置詞の移動なども、文体に合わせて適切に使い分けることが望まれます。
8. まとめと次(演習編・比較表現)への接続
8.1. 本講義の要点整理
- 関係詞節は先行詞を修飾する形容詞節であり、文に情報を埋め込む構造を作る。
- 関係代名詞 (
who
,which
,that
など) は節内で代名詞の役割(主格・所有格・目的格)を果たす。 - 関係副詞 (
when
,where
,why
,how
) は節内で副詞の役割を果たす。 - 関係詞節には限定用法(先行詞を特定、コンマなし)と非限定用法(情報を追加、コンマあり)がある。
that
は非限定用法不可。 - 関係代名詞
what
は先行詞を含み名詞節を作る。 - 関係代名詞の目的格や「主格+be動詞」は省略可能。
- 前置詞+関係代名詞の形もある。
- 複合関係詞 (
-ever
) は名詞節または副詞節(譲歩など)を作る。
8.2. 演習編への準備と比較表現学習への展望
- 本講義で学んだ関係詞節の多岐にわたるルールと用法を、次の演習編で具体的な問題を通して定着させ、実践的な運用能力を高めましょう。関係詞の選択、格判断、限定・非限定の区別、省略、書き換えなど、様々な角度からトレーニングを行います。
- 関係詞節の習得により、英語の複雑な文構造への対応力が格段に向上します。この知識は、次に学習する比較表現においても役立ちます。比較構文の中にも関係詞節が埋め込まれることがあるためです。
- これまでの Module 2(不定詞、動名詞、分詞、関係詞節)で学んだ複合構文の知識を総動員し、より高度な英文の読解・作成能力を完成させていきましょう。