比較表現:統語・意味論(講義編)

当ページのリンクには広告が含まれています。
  • 本記事は生成AIを用いて作成しています。内容の正確性には配慮していますが、保証はいたしかねますので、複数の情報源をご確認のうえ、ご判断ください。

本講義(比較表現:統語・意味論)の概要

本講義では、二つ以上の事物や事柄を比べて、その程度や性質における差異や類似性を表現するための重要な文法手段である「比較表現 (Comparison)」について、その構造(統語論)と意味(意味論)の両面から深く掘り下げて解説します。比較表現は、単に物事の違いや同じ点を述べるだけでなく、程度を強調したり、最上位を示したり、比例関係を表したりと、非常に多様なニュアンスを伝えることができるため、英語の表現力を豊かにする上で欠かせません。大学入試においても、読解問題での正確な内容把握や、英作文での的確な表現において、比較構文の理解度は直接的に影響します。本講義では、まず比較の基本となる三級(原級、比較級、最上級)の概念と、形容詞・副詞の形態変化について確認します。次に、それぞれの級を用いた主要な比較構文、すなわち原級比較 (as … as)、比較級 (-er/more … than)、最上級 (the -est/most …) について、その基本的な構造、意味、そして注意すべき用法や慣用表現を、豊富な例文とともに詳細に分析します。特に、比較級を用いた the 比較級, the 比較級 構文や、意味解釈が難しい no more … than 構文(クジラ構文)、最上級の意味を他の級で表現する方法などは、重点的に扱います。さらに、比較構文でよく見られる省略や倒置といった統語的な現象にも触れ、文構造への理解を深めます。言語学的な視点を取り入れ、なぜそのような構造がそのような意味を表すのか、その背景にある原理にも可能な限り言及します。最後に、読解における比較表現の処理戦略と、作文における効果的な活用法を考察し、次の演習編、そして従属節の学習へと繋げます。これまでの複合構文の知識も活用しながら、比較表現という精緻な表現ツールをマスターしましょう。

目次

1. 比較表現とは何か? – 関係性を記述する仕組み

1.1. 比較の基本概念:差異と類似性の表現

  • 比べること: 比較表現とは、二つ以上の人、物、事柄、行為などを取り上げ、それらの間の性質、状態、程度などについて、同じであるか(類似性)異なっているか(差異)、あるいはどちらがどの程度優っている/劣っているかを述べるための言語的な仕組みです。
  • 比較の要素: 比較表現には通常、以下の要素が含まれます。
    • 比較される対象 (Items being compared): 比べられる二つ以上のもの(AとB)。
    • 比較の基準 (Basis of comparison): 何について比べるか(高さ、速さ、美しさ、頻度など)。主に形容詞や副詞で表される。
    • 比較の関係 (Relationship): 対象間の関係性(同等、優劣、最上など)。比較級や最上級の形態、as...asthan などの語句で示される。
  • John is tallerthanBill.
    • 比較対象: John (A) と Bill (B)
    • 比較基準: tall (高さ)
    • 比較の関係: taller than (John > Bill、比較級による優劣)

1.2. 比較の三級:原級・比較級・最上級の概要

  • 程度の段階: 英語の比較表現では、主に形容詞と副詞が、その意味する性質や程度の段階を示すために、三つの形(級)に変化します。
    • 原級 (Positive Degree): 形容詞・副詞の基本の形。単純に性質や状態を表したり、as...as 構文で同等比較に用いたりする。
      • 例: tallfastbeautifulquickly
    • 比較級 (Comparative Degree): 二つのものを比べて、一方が他方よりも程度が「より~である」ことを示す形。通常 -er を付けるか more を前に置く。than を伴って比較対象を示すことが多い。
      • 例: tallerfastermore beautifulmore quickly
    • 最上級 (Superlative Degree): 三つ以上のものの中で、「最も~である」ことを示す形。通常 the を伴い、-est を付けるか most を前に置く。比較範囲を示す語句(in...of... など)を伴うことが多い。
      • 例: the tallestthe fastestthe most beautifulthe most quickly

1.3. なぜ比較表現を学ぶのか? – 精密な記述と論理展開

  • 精密な描写: 比較表現を用いることで、物事の程度や差異をより正確かつ具体的に描写することができます。「大きい」だけでなく「~より大きい」「最も大きい」と表現することで、情報がより明確になります。
  • 客観的な評価: 数値や具体的な基準に基づいて比較することで、主観的な印象だけでなく、客観的な評価や判断を示すことができます。
  • 論理的な対比: 二つの事柄を比較・対比させることは、議論を展開したり、主張を補強したりする上で重要な論理的手法です。比較構文は、こうした対比を明確に示すのに役立ちます。
  • ニュアンスの表現no more ... than や not less than など、特定の比較構文は単なる優劣以上の複雑なニュアンス(驚き、軽蔑、強調など)を伝えることができます。
  • 頻出度: 比較表現は、日常会話から学術論文、ニュース記事、そして大学入試の英文まで、あらゆる場面で極めて頻繁に用いられます。これをマスターせずして、高度な英語運用は不可能です。

1.4. Module 2 の他の構文との関連性

  • 節構造の理解: 比較構文、特に as ... as や than の後には、しばしば節(従属節)が続きます。関係詞節や名詞節、副詞節など、これまでに学んだ節構造の知識が、比較構文の正確な理解に役立ちます。
    • 例: He is taller than I thought he was. (than の後に節)
    • 例: This is the best movie that I have ever seen. (最上級の範囲を示す関係詞節)
  • 修飾関係: 比較表現は、形容詞や副詞の程度に関する修飾の一種と捉えることができます。分詞や不定詞による修飾と同様に、文全体の構造の中で比較表現がどのような役割を果たしているかを理解することが重要です。

2. 形容詞・副詞の比較変化:形態論的側面

比較級・最上級を作る際の、形容詞・副詞の形の変化(屈折)について見ていきます。

2.1. 比較級・最上級の規則的形成 (-er/-estmore/most)

  • 基本ルール:
    • 1音節の語: 通常、語尾に -er (比較級), -est (最上級) を付ける。
      • 例: tall → taller → tallest
      • 例: fast → faster → fastest
      • 例: large → larger → largest (e で終わる場合は rst を付ける)
      • 例: hot → hotter → hottest (短母音+子音字で終わる場合は子音字を重ねる)
    • 2音節の語:
      • -y で終わる語: y を i に変えて -er-est を付ける。
        • 例: easy → easier → easiest
        • 例: happy → happier → happiest
      • その他の多くの2音節語: more (比較級), most (最上級) を前に置く。
        • 例: famous → more famous → most famous
        • 例: careful → more careful → most careful
      • -er-le-ow で終わる一部の語は -er-est を付けることもある。
        • 例: clever → cleverer → cleverest ( more clevermost clever も可)
        • 例: simple → simpler → simplest ( more simplemost simple も可)
        • 例: narrow → narrower → narrowest ( more narrowmost narrow も可)
    • 3音節以上の語: 原則として moremost を前に置く。
      • 例: beautiful → more beautiful → most beautiful
      • 例: important → more important → most important
      • 例: difficult → more difficult → most difficult
    • 副詞:
      • -ly で終わる副詞 (形容詞+ly): 原則として moremost を前に置く。
        • 例: quickly → more quickly → most quickly
        • 例: carefully → more carefully → most carefully
      • -ly で終わらない副詞 (形容詞と同形など): 形容詞と同じ規則に従うことが多い。
        • 例: fast → faster → fastest
        • 例: early → earlier → earliest
        • 例: hard → harder → hardest
        • 例: late → later → latest

2.2. 不規則変化 (goodbadmany/muchlittlefar など)

  • 完全に形が変わるもの: いくつかの基本的な形容詞・副詞は、不規則な比較変化をします。これらは個別に覚える必要があります。
    • good (形) / well (副) → better → best
    • bad (形) / ill (形) / badly (副) → worse → worst
    • many (形: 数) / much (形: 量) → more → most
    • little (形/副: 量・程度) → less → least (小さい・少ない)
    • little (形: 大きさ) → littler → littlest (まれ)
    • far (形/副: 距離) → farther → farthest (主に物理的な距離)
    • far (形/副: 程度) → further → furthest (物理的距離にも、抽象的な程度にも使う)
    • late (形/副: 時間) → later → latest (時間的に遅い/最新の)
    • late (形/副: 順序) → latter → last (順序が後の方/最後の)
    • old (形: 年齢) → older → oldest (一般的な年齢)
    • old (形: 家族内の年長) → elder → eldest (家族内での比較、限定用法のみが多い)

2.3. 注意すべき綴りの変化

  • -e で終わる語rst を加える (例: large → largerlargest)。
  • 子音字 + y で終わる語y を i に変えて -er-est を加える (例: happy → happierhappiest)。
  • 短母音 + 子音字 で終わる語: 最後の子音字を重ねて -er-est を加える (例: big → biggerbiggesthot → hotterhottest)。

3. 原級比較 (as ... as):同等性を表す構文

二つのものを比べて、ある性質や程度が同じくらいであることを示す構文です。

3.1. 基本構文:as + 形容詞/副詞の原級 + as ...

  • 意味: 「…と同じくらい~だ」
  • 構造: 最初の as は副詞(「同じくらい」)、二番目の as は接続詞(「…と比べて」)または前置詞(「…のように」)として機能します。二番目の as の後ろには、比較の対象となる名詞、代名詞、句、節などが来ます。
  • 例文:
    • John is as tall as Bill. (ジョンはビルと同じくらいの身長だ) – as tall as Bill
    • She speaks English as fluently as a native speaker. (彼女はネイティブスピーカーと同じくらい流暢に英語を話す) – as fluently as a native speaker
    • This computer is as expensive as that one. (このコンピュータはあれと同じくらい高価だ)
    • He works as hard as his father does. (彼はお父さんが働くのと同じくらい一生懸命働く) – as ... asの後に節が続く場合。does は works の代動詞。
    • It’s as simple as that. (それはそれと同じくらい単純だ → そんなに簡単なことだ) – 慣用的な表現。

3.2. 否定形:not as/so ... as ... (~ほど…ない)

  • 意味: 「…ほど~ではない」(= less … than …)
  • 構造: 最初の as の代わりに so を使うことも可能です(特に not の後)。
  • 例文:
    • Ken is not as [so] tall as Tom. (ケンはトムほど背が高くない)
    • This car is not as [so] expensive as I expected. (この車は私が予想したほど高価ではない)
    • She doesn’t sing as [so] well as her sister. (彼女は姉[妹]ほどうまく歌わない)

3.3. 比較対象の省略と補足

  • 文脈から明らかな場合: 比較の対象 (as 以下) が文脈から明らかな場合は省略されることがあります。
    • 例: Please come as soon as possible. (as soon as you can の you can が省略されていると解釈)
  • as の後の代名詞の格: 二番目の as が接続詞として機能する場合、その後ろには主語が省略された節が続くと考えられ、代名詞は主格 (Iheshe など) を使うのが正式です。しかし、口語では目的格 (mehimher など) も広く使われます。
    • 例: He is as old as I (am). (正式)
    • 例: He is as old as me. (口語的)

3.4. as ... as possible / as ... as S can (できるだけ~)

  • 意味: 可能な限りの程度を表します。
  • 構造as + 形容詞/副詞の原級 + as possible または as + 形容詞/副詞の原級 + as + 主語 + can/could
  • 例文:
    • Please reply as soon as possible. (できるだけ早く返信してください)
    • = Please reply as soon as you can.
    • He ran as fast as possible to catch the train. (彼は電車に間に合うようにできるだけ速く走った)
    • = He ran as fast as he could to catch the train.

3.5. 倍数表現 + as ... as (~の…倍~だ)

  • 意味: AはBの何倍~か、を表します。
  • 構造倍数 (twice, three times など) + as + 形容詞/副詞の原級 + as ...
    • half as ... as (~の半分の…)
    • twice as ... as (~の2倍…)
    • three times as ... as (~の3倍…)
    • X times as ... as (~のX倍…)
  • 例文:
    • This room is twice as large as that one. (この部屋はあの部屋の2倍の大きさだ)
    • She earns three times as much money as I do. (彼女は私の3倍のお金を稼ぐ)
    • Sound travels about five times as fast in water as in air. (音は空気中よりも水中で約5倍速く伝わる)

3.6. その他の as ... as 慣用表現

  • as long as S + V: SがVする限りは(条件)、SがVする間は(期間)
  • as far as S + V: SがVする限りでは(範囲)
    • 例: as far as I know (私の知る限りでは)
  • as well as ...: …と同様にうまく、…に加えて、…だけでなく~も
  • as good as ...: …も同然で、ほとんど…
    • 例: The work is as good as finished. (その仕事は終わったも同然だ)

4. 比較級 (-er/more ... than):差異を表す構文

二つのものを比べて、一方が他方よりも性質や程度が上回っている (または下回っている) ことを示す構文です。

4.1. 基本構文:比較級 + than ...

  • 意味: 「…よりも~だ」
  • 構造: 形容詞・副詞の比較級の後に、比較の対象を導く接続詞 than が置かれます。than の後には、名詞、代名詞、句、節などが来ます。
  • 例文:
    • My brother is taller than me/I (am). (私の兄は私よりも背が高い)
    • This car runs faster than that one. (この車はあの車よりも速く走る)
    • Learning English is more difficult than learning Spanish (is). (英語を学ぶことはスペイン語を学ぶことよりも難しい)
    • The situation is more serious than we expected. (状況は私たちが予想したよりも深刻だ) – than の後に節。

4.2. 比較対象 (than 以下) の形と省略

  • than の後の代名詞: 原級比較と同様、than が接続詞として機能する場合、その後ろには主語が省略された節が続くと考えられ、代名詞は主格 (Ihe など) が正式ですが、口語では目的格 (mehim など) が一般的です。
    • 例: She is younger than I (am). (正式)
    • 例: She is younger than me. (口語的)
  • 繰り返し部分の省略than の後で、主節と共通する動詞や要素はしばしば省略されます。
    • 例: I have more books than he does (= than he has books). (彼は持っているよりも多くの本を私は持っている)
  • 比較対象の省略: 何と比べているかが文脈から明らかな場合は、than 以下が省略されることもあります。
    • 例: Let’s take the faster route. (より速い方のルートを行こう)

4.3. 比較級の強調 (muchfarstillevena lot など)

  • 意味: 比較級の意味を強めて、「ずっと~」「はるかに~」「さらに~」「一層~」といったニュアンスを加えます。
  • muchfarstillevena lotby far (最上級の強調にも使う) などが比較級のに置かれます。very は原級を修飾するため、比較級の強調には使えません
  • 例文:
    • This hotel is much more expensive than the previous one. (このホテルは前のホテルよりずっと高価だ)
    • He is far taller than his father. (彼はお父さんよりはるかに背が高い)
    • Today is even hotter than yesterday. (今日は昨日よりもさらに暑い)
    • The result was a lot better than I had expected. (結果は私が期待していたよりずっと良かった)

4.4. the 比較級 ..., the 比較級 ... (~すればするほど、ますます…)

  • 意味: 二つの事柄が比例関係にあること(一方の程度が増すにつれて、他方の程度も増す/減る)を示します。
  • 構造The + 比較級 + (S+V)..., the + 比較級 + (S+V)... の形をとります。前半が条件や原因、後半が結果を表すことが多いです。the は程度を表す副詞として機能します。
  • 例文:
    • The older we grow, the wiser we become. (年をとればとるほど、私たちはより賢くなる)
    • The more you practice, the better you will play the piano. (練習すればするほど、ピアノがより上手になるだろう)
    • The harder he studied, the less he understood. (彼が一生懸命勉強すればするほど、ますます理解できなくなった)
    • The sooner, the better. (早ければ早いほど良い) – S+Vが省略された慣用句。

4.5. 比較級 and 比較級 (ますます~)

  • 意味: 程度が次第に増していくことを示します。
  • 構造: 同じ比較級を and で結びます。more を使う場合は more and more + 原級 となります。
  • 例文:
    • It is getting hotter and hotter. (ますます暑くなっている)
    • The situation became more and more serious. (状況はますます深刻になった)
    • She spoke faster and faster. (彼女はますます速く話した)

4.6. ラテン比較級 (superior toprefer A to B など)

  • 特徴-or で終わる一部の形容詞(ラテン語由来)は、比較の対象を示すのに than ではなく to を用います。これらは比較級の形をとらず、原級のまま使われます。
  • 主な語superior to (~より優れている), inferior to (~より劣っている), senior to (~より年上だ/先輩だ), junior to (~より年下だ/後輩だ), prior to (~より前に)
  • 例文:
    • This material is superior to that one in quality. (この素材は品質においてあれより優れている)
    • He felt inferior to his colleagues. (彼は同僚に対して劣等感を抱いた)
  • prefer A to B: 「BよりもAを好む」という意味。これも than ではなく to を使います。
    • 例: I prefer coffee to tea. (私は紅茶よりもコーヒーを好む)

4.7. 注意すべき比較級構文 (no more/less ... thannot more/less ... than)

  • no more ... than (クジラ構文): 「…でないのと同様に~でない」「たった~しか…ない」。否定的なニュアンスを強調。A is no more B than C is D の形で「CがDでないのと同様にAはBでない」。
    • 例: A whale is no more a fish than a horse is. (馬が魚でないのと同様に、クジラは魚ではない)
    • 例: He has no more than ten dollars. (彼はたった10ドルしか持っていない) (= only ten dollars)
  • no less ... than: 「…と同様に~である」「~もの…」。肯定的なニュアンスや驚き。A is no less B than C is D の形で「CがDであるのと同様にAはBである」。
    • 例: She is no less beautiful than her sister. (彼女は姉[妹]と同様に美しい)
    • 例: He paid no less than a million yen for the watch. (彼はその時計に100万円も払った) (= as much as a million yen)
  • not more ... than: 「多くとも~」「せいぜい~しか…ない」。上限を示す。
    • 例: There were not more than fifty people present. (出席者は多くとも50人だった) (= at most fifty people)
  • not less ... than: 「少なくとも~」「~以上」。下限を示す。
    • 例: He earns not less than $5,000 a month. (彼は月に少なくとも5000ドルは稼ぐ) (= at least $5,000)
  • ポイントno を使う比較構文は、単なる比較以上の強い意味合い(否定の強調、驚き、皮肉など)を含むことが多いです。not を使う構文は、客観的な上限・下限を示すことが多いです。

5. 最上級 (the -est/most ...):頂点を表す構文

三つ以上のものの中で、性質や程度が「最も~である」ことを示す構文です。

5.1. 基本構文:the + 最上級 (+ 名詞)

  • 意味: 「最も~な(もの)」
  • 構造: 形容詞・副詞の最上級の前に、原則として定冠詞 the が付きます。形容詞の最上級は名詞を修飾したり、補語になったりします。副詞の最上級は動詞などを修飾します。
  • 例文 (形容詞):
    • Mt. Everest is the highest mountain in the world. (エベレストは世界で最も高い山だ) – 名詞 mountainを修飾。
    • This is the most interesting book I’ve ever read. (これは私が今までに読んだ中で最も面白い本だ) – 名詞 book を修飾。
    • She is the smartest student in her class. (彼女はクラスで最も賢い生徒だ) – 名詞 student を修飾。
  • 例文 (副詞):
    • He runs (the) fastest of all the players. (彼は全選手の中で最も速く走る) – 副詞の最上級では the が省略されることもある。
    • She solved the problem (the) most easily. (彼女はその問題を最も簡単に解いた)

5.2. 比較範囲の示し方 (of + 複数名詞in + 場所/範囲that S have ever p.p. など)

  • 意味: 最上級が成り立つ比較の範囲を明確にするために、特定の語句が伴われることが多いです。
  • of + 複数名詞: 「(複数のもの)の中で」
    • 例: He is the tallest of the three brothers. (彼は3人兄弟の中で最も背が高い)
    • 例: This is the best of all the options. (これは全ての選択肢の中で最も良い)
  • in + 単数名詞(場所・組織・範囲): 「(場所・組織など)の中で」
    • 例: She is the most popular singer in Japan. (彼女は日本で最も人気のある歌手だ)
    • 例: What is the longest river in the world? (世界で最も長い川は何ですか?)
  • that + S + have ever + 過去分詞: 「Sが今までに~した中で」
    • 例: This is the most beautiful sunset that I have ever seen. (これは私が今までに見た中で最も美しい夕日だ)
  • of my lifein history なども範囲を示す。

5.3. one of the + 最上級 + 複数名詞 (最も~なうちの一つ)

  • 意味: 最上級に属するものが複数存在し、その中の一つであることを示します。
  • 構造one of the + 最上級の形容詞 + 複数名詞 の形をとります。最上級の後ろの名詞が複数形になる点に注意が必要です。
  • 例文:
    • Kyoto is one of the most popular cities for tourists in Japan. (京都は日本で観光客に最も人気のある都市の一つだ) – cities (複数形)
    • He is one of the greatest scientists in history. (彼は歴史上最も偉大な科学者の一人だ) – scientists(複数形)

5.4. 同一人物・物内での比較 (the を伴わない最上級副詞)

  • 意味: 同じ人や物の中で、ある状態や動作が「最も~である」ときを表します。副詞の最上級で、程度が最大であることを示す場合、the を付けないことがあります。
  • 例文 (副詞):
    • This lake is deepest at this point. (この湖はこの地点が最も深い) – 副詞的に deep の程度を表す。
    • He runs fastest when he is chased. (彼は追いかけられている時が最も速く走る)
  • most = very: 副詞 most が very (とても) とほぼ同じ意味で、the を付けずに形容詞を修飾することがあります(ややフォーマル)。
    • 例: It was a most interesting lecture. (= a very interesting lecture)

5.5. 最上級の意味を原級・比較級で表す表現

  • 言い換え: 最上級の意味は、原級比較や比較級を用いた否定文などで言い換えることができます。
  • 「他のどんな~よりも…だ」(比較級 + than any other + 単数名詞):
    • Mt. Fuji is the highest mountain in Japan.
    • = Mt. Fuji is higher than any other mountain in Japan. (富士山は日本の他のどの山よりも高い) – mountain は単数形。
  • 「~ほど…なものはない」(No (other) + 単数名詞 + is as/so + 原級 + as ...):
    • Mt. Fuji is the highest mountain in Japan.
    • No other mountain in Japan is as [so] high as Mt. Fuji. (日本の他のどの山も富士山ほど高くない)
  • 「~よりも…なものはない」(No (other) + 単数名詞 + is + 比較級 + than ...):
    • Mt. Fuji is the highest mountain in Japan.
    • No other mountain in Japan is higher than Mt. Fuji. (日本の他のどの山も富士山より高くない)

5.6. その他の最上級を用いた慣用表現

  • at (the) most: 多くとも、せいぜい
  • at (the) least: 少なくとも
  • not in the least: 少しも~ない
  • the last person to do ...: 最も~しそうにない人

6. その他の比較関連表現

原級・比較級・最上級以外にも、比較に関連する表現があります。

6.1. 同等比較:the same (...) as ...

  • 意味: 「…と同じ~だ」
  • 構造the same + 名詞 + as ... または the same + as ... (名詞省略)
  • 例文:
    • He wears the same size shoes as his father. (彼はお父さんと同じサイズの靴を履いている)
    • Your opinion is the same as mine. (あなたの意見は私のと同じだ)
    • 注意the same ... that ... は「~と(まさに)同じ…」という意味で、関係代名詞 that を使いますが、as の方が一般的です。

6.2. 類似比較:likeas if/though

  • like (前置詞): 「~のように」「~のような」
    • 例: She sings like an angel. (彼女は天使のように歌う)
  • as if / as though + 節: 「まるで~であるかのように」 (仮定法が使われることが多い)
    • 例: He talks as if [though] he knew everything. (彼はまるで何でも知っているかのように話す) – 仮定法過去

6.3. 差異比較:different from ...

  • 意味: 「…と異なる」「…と違う」
  • 構造be different from ...
  • 例文:
    • My opinion is different from yours. (私の意見はあなたのとは異なる)
    • 注意: アメリカ英語では different than、イギリス英語では different to も使われることがありますが、different from が最も標準的です。

7. 比較構文の統語的特徴

比較構文、特に as や than の後では、文法的な省略や倒置が起こることがあります。

7.1. 省略 (Ellipsis) のメカニズム

  • 繰り返しの回避as や than の後では、主節と共通する動詞や目的語などが繰り返されるのを避けるために、しばしば省略されます。
    • 例: She plays the piano better than he does (= plays the piano). – 代動詞 does で受ける。
    • 例: I have more CDs than (I have) DVDs.
  • 何を補うか: 省略された部分を正しく補って考えることが、比較構文の正確な理解に繋がります。

7.2. 倒置 (Inversion) が起こる場合

  • 比較対象の強調than や as の後で、主語と動詞(特にbe動詞や助動詞)が倒置されることがあります。これは文語的な表現で、比較対象を明確にしたり、文にリズムを与えたりする効果があります。主語が長い場合に起こりやすいです。
    • 例: Metals expand when heated, as do most other solids. (= as most other solids do) (金属は熱せられると膨張するが、それは他のほとんどの固体も同様である)
    • 例: She understands the situation better than do any of her colleagues. (= than any of her colleagues do) (彼女は同僚の誰よりもその状況をよく理解している)

8. 読解と作文における比較表現の活用

8.1. 読解:比較対象と基準の正確な把握

  • 何を比べているか?: 比較構文が出てきたら、まず「何(A)と何(B)が比べられているのか」という比較対象を正確に特定することが重要です。than や as の後の語句が何に対応するのかを見極めます。
  • 何について比べているか?: 次に、「どのような点(高さ、速さ、重要性など)」について比べられているのか、すなわち比較の基準となっている形容詞・副詞を把握します。
  • 関係性は?: 原級(同等)、比較級(優劣)、最上級(最上)のどれか、そして否定や強調の有無などを正確に読み取り、対象間の関係性を把握します。
  • 省略・倒置への注意: 省略されている語句を補ったり、倒置を元に戻したりして、文の構造を正確に理解することが求められる場合があります。特に長文中の複雑な比較構文では注意が必要です。

8.2. 作文:対比、程度の強調、最上級表現の効果的な利用

  • 明確な対比: 二つの意見や事物を対比させて論じる際に、比較級 (A is more ... than B) や原級の否定 (A is not as ... as B) を使うと、論点が明確になります。
  • 程度の強調: 単に「大きい」と言うだけでなく、「ずっと大きい」(much bigger)、「最も大きい」(the biggest) と表現することで、記述に具体性や説得力を持たせることができます。比較級の強調語 (mucheven など) や最上級を効果的に使いましょう。
  • 最上級表現のバリエーション: 最上級の意味を表すのに、最上級構文だけでなく、「比較級 + than any other + 単数名詞」や「No other ... is as/so + 原級 + as ...」などの言い換え表現を知っておくと、表現の幅が広がります。
  • 構文の活用the 比較級, the 比較級 や as ... as possible などの構文を適切に用いることで、より高度で洗練された英文を作成できます。

9. まとめと次(演習編・従属節)への接続

9.1. 本講義の要点整理

  • 比較表現は、原級 (as...as)、比較級 (-er/more...than)、最上級 (the -est/most...) を用いて、事物間の類似性や差異を表す。
  • 形容詞・副詞は比較級・最上級に規則的または不規則的に変化する。
  • 原級比較は同等性や否定(~ほど…ない)を表す。as...as possible, 倍数表現との組み合わせも重要。
  • 比較級は優劣を表し、than で対象を示す。強調語や the 比較級, the 比較級 構文、ラテン比較級、no/notを伴う構文などに注意。
  • 最上級は「最も~」を表し、the と範囲を示す語句を伴うことが多い。one of the..., 最上級の言い換え表現も重要。
  • 比較構文では省略や倒置が起こることがある。

9.2. 演習編への準備と従属節学習への展望

  • 本講義で学んだ比較表現の様々な構文と意味について、次の演習編で具体的な問題を解きながら理解を定着させ、応用力を養います。形態変化、構文選択、書き換え、和訳・英訳などを通して、比較表現を自在に使いこなすスキルを磨きましょう。
  • 比較構文の多くは、as や than の後に節(従属節)を伴います。これまでの関係詞節の学習で培った節構造への理解は、比較構文の分析にも直接役立ちます。
  • Module 2 の次のテーマは「従属節」そのものです。名詞節、形容詞節(関係詞節)、副詞節といった様々な種類の従属節が、主節とどのように結びつき、文の中でどのような役割を果たしているのかを、より体系的に学習します。比較表現の学習は、この従属節の理解を深める上でも重要なステップとなります。
  • 本講義の内容をしっかり復習し、自信を持って演習編、そして従属節の学習へと進んでください。
1 2
目次