2025年 共通テスト 本試験 英語

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基礎体系
  • すべての英語は、構造的に設計されている。単語の成り立ちから、文章全体の論理まで。
  • ミクロとマクロの視点を往還し、筆者の主張の核心を捉える。
  • 感覚や「なんとなく」の読解を排す。すべての解釈は、本文中の言語的な根拠だけが導く。

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【本記事の目的と構成】

本稿の目的は、2025年度大学入学共通テスト試行調査(英語リーディング)の全設問を、公式解答に基づき、その正解に至るための思考プロセスを完全な形で再現・解説することにあります。多くの受験生が共通テスト・リーディングで直面する課題は、単語や文法の知識不足以上に、限られた時間内で膨大な情報を処理し、設問の要求に的確に応える「情報処理能力」と「戦略的思考」の不足に起因します。(共通テスト 英語:Module 1で詳述したように、この試験は知識量ではなく、知識の運用能力を測定しているのです。)

本稿は、参照資料である『基礎英語』および『共通テスト 英語』で体系化された理論と戦略を全面的に活用し、一問一問を「知的ゲーム」として捉え、そのルールを解明し、勝利を収めるための具体的な思考のアルゴリズムを提示します。各設問の解説では、以下の要素を網羅します。

  • 思考のアルゴリズム: 設問の要求を解読し、最適な戦略(スキャニング、マトリクス思考など)を選択し、正解を導き出すまでの一連の思考プロセスを段階的に詳述します。
  • 選択肢の微視的分析: なぜその選択肢が正解であり、他の選択肢がなぜ、そしてどのように誤っているのかを、『共通テスト 英語』で提示された「7つの論理的欠陥パターン」に基づき、本文の根拠と照らし合わせながら徹底的に解剖します。
  • 理論的背景との連携: 各設問を解く上で活用される思考法が、『基礎英語』や『共通テスト 英語』で学んだどの原理(スキーマ理論、結束性理論、統語解析など)に基づいているのかを明示し、あなたの学習に一貫性と体系性をもたらします。

この記事を読了したとき、あなたは単にこの試行調査の答え合わせを終えるだけでなく、共通テスト・リーディングという試験の本質を深く理解し、あらゆる問題に対して論理的かつ戦略的にアプローチするための、確固たる知的基盤を手にしているはずです。


目次

第1問 解説講義

大問の設計思想と戦術的意義

第1問は、日常生活に関連する短文や図表(パンフレット、告知など)を題材とし、基本的な情報探索能力を測定します。ここで問われるのは、複雑な論理読解ではなく、設問が要求する特定の情報を、テクストの中からいかに迅速かつ正確に探し出すかというスキャニング能力です。(共通テスト 英語:Module 4, セクション1

戦術的意義は、試験序盤で精神的な安定を確保し、後半の難問に挑むための時間的アドバンテージを確立することにあります。目標解答時間は3問で7分。1問あたり2分強という高速処理を目指し、試験全体のリズムを掴みましょう。

問1 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: 設問は “The customers most likely to benefit from this pamphlet”、つまりこのパンフレットから最も恩恵を受けるであろう顧客層を特定することを要求しています。これは、文章全体の目的や対象読者を問う問題です。
    2. 戦略的アプローチ: スキミング(共通テスト 英語:Module 2, セクション1)を用いて、パンフレット全体のトーンと目的を把握します。特にタイトルや見出しが重要な手がかりとなります。
    3. 思考プロセス:
      • まず、パンフレットのタイトルに注目します。最も大きな文字で “Beginners!” と明記されています 1
      • さらに、導入文も “Start your wonderful hobby of keeping fish by following these three easy steps!” となっており、これから趣味を始める初心者を対象としていることが明らかです 2
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: “Beginners!” というタイトルから、このパンフレットが初心者、すなわち “newcomers” を対象としていることは明白です 3。また、水槽に関する情報を提供しているため、”informed about their aquarium” という記述も本文の内容と完全に一致します。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “looking for discount prices”: 本文には価格や割引に関する情報は一切ありません。【本文に記述なし】(共通テスト 英語:Module 3, セクション1.3)。
      • ② “experienced fish lovers”: タイトルが “Beginners!” であることと明確に矛盾します 4。【本文の記述と矛盾】。
      • ③ “different methods of feeding their fish”: 本文のテーマは水槽の「デコレーション」であり、「餌やり」ではありません。【論点のすり替え】。

問2 解説

  • 正解:②
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “When arranging decorations to keep your fish in good health, it is a good idea to…”、つまり魚の健康のためにデコレーションを配置する際の「良いアイデア」を問うています。事実一致問題です。
    2. 戦略的アプローチ: スキャニング(共通テスト 英語:Module 2, セクション2)を用いて、”good health” やデコレーションの配置に関する記述を探します。
    3. 思考プロセス:
      • Step 2 “Select decorations” のセクションに、”Natural and artificial decorations are necessary to keep fish in good health and should cover 50-70% of the area.” という記述を発見します 5
      • 「デコレーションが面積の50-70%を覆うべき」ということは、裏を返せば「残りの30-50%はオープンスペースであるべき」ということを意味します。これが魚の健康に必要な条件となります。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(②)の根拠: 本文の “should cover 50-70% of the area” という記述から、「適切な量のオープンスペースを提供すること(provide the right amount of open space)」 が健康維持に重要であると論理的に推論できます 6
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “avoid using solid and soft objects”: 本文では、魚の種類に応じて “solid objects” や “soft objects” を使うよう推奨しており、避けるべきとは述べていません 7。【本文の記述と矛盾】。
      • ③ “reuse your old toothbrush as a decoration”: “Avoid any plastic or rubber items not intended for aquariums.” という記述に明確に反します 8。歯ブラシは水槽用ではありません。【本文の記述と矛盾】。
      • ④ “wash decorations briefly and roughly”: “Clean all decorations carefully” という記述と正反対です 9。【肯定的/否定的評価の逆転】(ここでは「丁寧」を「雑」に逆転)。

問3 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “which picture best shows how to decorate for fish from slow-moving water?”、つまり「流れの遅い水域の魚」に最適なデコレーションを示している絵を特定する問題です。複数の条件を統合して判断する必要があります。
    2. 戦略的アプローチ:
      1. まず、本文から「流れの遅い水域の魚」に関する条件をすべて抽出します。
      2. 次に、抽出した条件と各画像の視覚情報を厳密に照合します。
    3. 思考プロセス:
      • 条件1(魚の習性): 本文のStep 1に “others want places to hide.”(隠れる場所を欲しがる魚もいる)とあり 10、Step 2に “Those from slow-moving or shallow water prefer soft objects like plants.”(流れの遅い水域の魚は植物のような柔らかいものを好む)とあります 11。これらの魚は、植物や隠れ家を好むと解釈できます。
      • 条件2(配置): 本文のStep 3に “Place tall decorations and plants at the back, and put short ones at the front.”(背の高いものは後ろ、低いものは前に配置する)とあります 12
      • 条件3(魚の様子): 図④では、右下に砂に潜っているような魚が描かれています。Step 1には “some fish need sand to cover themselves in.”(砂に潜る習性のある魚もいる)という記述があります 13
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: 図④は、背の高い城が後方に、背の低い植物が前方に配置されており、配置の原則(条件2)に従っています。城は明確な「隠れ家」(条件1)を提供します。さらに、砂に潜る魚の様子も描かれており(条件3)、パンフレットの複数の記述を総合的に満たしています。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ①: デコレーションが多すぎてオープンスペースが不足しており、背の高い植物が前面にも配置されています。
      • ②: 植物が多く「soft objectsを好む」という点では良いですが、④ほど明確な隠れ家や、砂に潜る魚の習性を示す要素がありません。
      • ③: 岩や城などの固いものが多く、植物が少ないです。


第2問 解説講義

大問の設計思想と戦術的意義

第2問は、ブログ記事やウェブサイトのレビューなど、現代的なメディアを題材とすることが多い大問です。第1問と同様に情報探索能力が問われますが、単なる事実の抜き出しに加え、書き手の意見や感想を読み取る能力、そして複数の登場人物の意見を比較・整理する能力が求められるようになります。

戦術的意義は、第1問で得たリズムを維持しつつ、より複雑な情報構造に対応するギアチェンジを行うことです。特に、複数の意見が提示される場合は、誰が何を言ったのかを明確に区別しながら読むことが重要です。目標解答時間は12分です。

問1 解説

  • 正解:②
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: 設問は “Which of the following did all the guest speakers agree on?”、つまり「全てのゲストスピーカーが同意したこと」は何かを問うています。これは、複数の情報源(3人のスピーカー)の共通点を探す、情報整理・比較問題です。
    2. 戦略的アプローチ: スキャニングで “all the speakers agreed” というキーワードを探し、その周辺を精読します。
    3. 思考プロセス:
      • 本文の第2パラグラフ冒頭に “All the speakers agreed on three points.” という明確な記述があります 14
      • その後に続く3つのポイントを読みます。”First, flying vehicles should be electrically powered…”, “Second, emergency services would be improved.”, “Finally, …flying technology would need to be well tested and controlled…” の3点です 15
      • これらの内容と選択肢を照合します。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(②)の根拠: 本文の同意点2つ目 “emergency services would be improved” は、選択肢② “Flying vehicles will improve responses to emergencies.” の正確なパラフレーズです 16。(基礎英語:Module 7, セクション3のパラフレーズ技術)
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “widely accepted as being safe”: 本文では安全のために「よくテストされ、管理される必要がある(need to be well tested and controlled)」 と述べており、現状で安全だと広く受け入れられているわけではありません 17。【巧妙な単語の言い換えによる意味の歪曲】。
      • ③ “Modern transportation problems are difficult to solve”: 議論の前提ではありますが、3人が合意した3つのポイントとしては述べられていません。【本文に記述なし】。
      • ④ “Zero-emission technologies cannot be applied”: 本文では “electrically powered” を推奨しており、ゼロエミッション技術の利用を増やすことで大気汚染を削減できると述べています 18。内容は正反対です。【本文の記述と矛盾】。

問2 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “Flying vehicles will most likely…”、つまり飛行車両について最もありえそうなことを問う推論問題ですが、内容は事実一致に近いです。
    2. 戦略的アプローチ: スキャニングで “flying vehicles” に関する記述、特にその性質や要件について述べた部分を探します。
    3. 思考プロセス:
      • 問1でも参照した、3人が合意したポイントの3つ目に “from a safety point of view, they said that flying technology would need to be well tested and controlled to avoid accidents in the air.” という記述があります 19
      • これは「飛行技術は、空での事故を避けるために、よくテストされ、管理される必要がある」という意味です。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: 選択肢④ “require proper assessment and regulation” は、本文の “need to be well tested and controlled” の見事なパラフレーズです 20。”assessment” が “tested” に、”regulation” が “controlled” に対応しています。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “used in small towns rather than large cities”: 本文では、救急サービスにおいて “in large cities” と “for servicing small towns” の両方で有用だと述べており、どちらか一方を優先するような記述はありません 21。【比較対象のすり替え】。
      • ② “increase the number of traffic jams near hospitals”: むしろ “faster in large cities with heavy traffic” とあり、交通渋滞を「回避」できるのが利点です 22。内容は正反対です。【本文の記述と矛盾】。
      • ③ “prevent solutions to environmental problems”: “Air pollution can be reduced” とあり、環境問題の「解決策」になるとしています 23。内容は正反対です。【本文の記述と矛盾】。

問3 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “One guest speaker’s opinion is that…”、つまり「ある一人のゲストスピーカーの意見」を探します。全員の合意ではなく、個別の意見が問われています。
    2. 戦略的アプローチ: 最後のパラグラフは、スピーカーの意見が分かれた flying taxis についての議論です。この部分を精読し、各スピーカーの意見を整理します。
    3. 思考プロセス:
      • スピーカー1: “In 5 years” 実現する 24
      • スピーカー2: “In 15 years” 実現する 25
      • スピーカー3: “No, because the operating costs of flying taxis are too high.”(実現しない、なぜなら運用コストが高すぎるからだ) 26
      • これらの個別の意見と選択肢を照合します。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: 選択肢④ “flying taxis are too expensive to run” は、スピーカー3の意見 “the operating costs… are too high” のパラフレーズです 27。”expensive to run” が “operating costs are too high” に対応します。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “based in rural areas”: 拠点がどこになるかという話は出てきません。【本文に記述なし】。
      • ② “technology has already been tested”: これは、あるスピーカーが「いくつかの国がテストしている」と述べた事実であり、意見が分かれたタイミングの話ではありません 28。【論点のすり替え】。
      • ③ “are already widespread”: 「すでに普及している」とは誰も言っていません。将来の実現時期について議論しています。【本文の記述と矛盾】。

問4 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “Which of the following is mentioned in the blog?”、つまりブログで言及されている事実はどれかを問う、事実一致問題です。
    2. 戦略的アプローチ: 消去法が有効です。各選択肢のキーワードを本文と照合し、言及がないものを消していきます。
    3. 思考プロセス:
      • 各選択肢のキーワード(ambulance costs, solar-power, parking, urban trials)を本文全体からスキャンします。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: 本文の最後のパラグラフに “A few of them are even testing flying taxi services in the middle of their major cities.” という記述があります 29。これは “Urban trials of flying taxi services”(都市部での飛行タクシーサービスの試行)と完全に一致します。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “Costs of flying ambulance services”: 救急サービスが速くなるという利点は述べられていますが、そのコストについては言及がありません 30。【本文に記述なし】。
      • ② “Flying transport using solar-power”: “electrically powered” とは述べられていますが、その電力がソーラーパワー(太陽光発電)であるという具体的な言及はありません 31。【極端な具体化(本文に記述なし)】。
      • ③ “Parking areas for flying taxis”: 飛行タクシーの駐車場に関する言及はありません。【本文に記述なし】。


第3問 解説講義

大問の設計思想と戦術的意義

第3問は、ブログや物語文など、個人的な体験やストーリーを題材とすることが多い大問です。ここで中心的に問われるのは、出来事の順序(時系列)を正確に把握する能力と、登場人物の感情や心情の変化を読み解く推論能力です。

戦術的意義は、物語の流れを構造的に捉える練習です。漫然とストーリーを追うのではなく、出来事の転換点や因果関係に印をつけながら読む「時系列マッピング」という戦術が極めて有効です。(共通テスト 英語:Module 4, セクション2.2)目標解答時間は9分です。

問1 解説

  • 正解:③
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “Which person is telling the story?”、つまり物語の語り手(主人公)は誰かを特定します。
    2. 戦略的アプローチ: 物語は一人称(”I”)で語られています。この “I” の名前が本文中で明かされる箇所を探します。
    3. 思考プロセス:
      • 第2パラグラフで、ドラマーのRenが語り手に対して “Tomo, you’re too worried.” と呼びかけています 32
      • これにより、語り手 “I” の名前が “Tomo” であることが確定します。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(③)の根拠: 本文の “Tomo, you’re too worried.” というセリフから、語り手がTomoであることが直接的にわかります 33
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① Kei, ④ Yuki: バンドのメンバーですが、語り手ではありません 34
      • ② Ren: 語り手に話しかけている人物であり、語り手自身ではありません 35

問2 解説

  • 正解:⑤ → ④ → ③ →
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: 5つの選択肢から4つを選び、物語の中で起こった順に並べ替える、時系列整序問題です。
    2. 戦略的アプローチ: 時系列マッピング(共通テスト 英語:Module 4, セクション2.2)を用います。本文を読み進めながら、各選択肢に対応する出来事がどの順番で起こったかを特定します。
    3. 思考プロセス:
      1. バンドはコンテストにエントリー済みです。”we had entered it.” 36→  The band registered for a contest. 37
      2. 語り手はバンドの状態を心配しています。”I was worried…” 38→  The band leader was concerned about the band. 39
      3. 語り手はリハーサルビデオを見て問題点を発見します。”I’ve got it!” 40→  The band leader identified the problem. 41
      4. 問題点を共有した後、バンドの姿勢が変わります。”our focus shifted…” 42→ ① The band changed its attitude. 43
      5. 選択肢② The band decided to practise more often. は本文中に明確な記述がありません。したがって、これが除外される選択肢です。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解の順序: 上記の思考プロセスにより、出来事の順序は⑤ → ④ → ③ → ① と確定します。この順序で解答番号9から12までをマークします。
    • 除外される選択肢: 選択肢②「練習頻度を増やすことにした」は、バンドの意識が変わった結果としてありえそうなことですが、本文には直接書かれていません。これは【本文に記述なし】のパターンです。

問3 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “How did the band most likely feel after the competition?”、つまりコンテスト後のバンドの気持ちを問う、心情推論問題です。
    2. 戦略的アプローチ: 物語の結末部分に、登場人物の感情を示す記述がないかを探します。
    3. 思考プロセス:
      • 物語の最後の文に “Although Cat’s Curry did not win the contest, we all felt it was the best performance of our lives.” とあります 44
      • 「コンテストには勝てなかったが、人生で最高の演奏だったと感じた」という記述は、結果はどうあれ、自分たちのパフォーマンスに満足していることを強く示唆しています。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: “the best performance of our lives” という表現は、”Satisfied”(満足した) という感情と完全に一致します 45
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① Awful (ひどい), ② Embarrassed (恥ずかしい): 「人生最高の演奏」という記述と完全に矛盾します 46。【本文の記述と矛盾】。
      • ③ Independent (独立した): パフォーマンス後の感情としては文脈に合いません。むしろバンドとしての一体感を得た後なので、逆の感情が近いでしょう。【論点のすり替え】。


第4問 解説講義

大問の設計思想と戦術的意義

第4問は、エッセイの草稿とその添削コメントを題材とし、文脈に合った語句や文を選択する能力を測定します。ここで問われるのは、接続詞の論理的な機能、パラグラフの一貫性(coherence)、そしてエッセイ全体の主題(thesis)との整合性といった、文章構成に関する深い理解です。

戦術的意義は、書き手の視点から英文を客観的に分析する練習です。単に読むだけでなく、「なぜこの修正が必要なのか」を考えることで、自らの英作文能力の向上にも繋がります。目標解答時間は12分です。

問1 解説

  • 正解:①
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: Comment (1) “Add an appropriate connecting word.” に基づき、空所(1)に最適な接続詞を選びます 47
    2. 戦略的アプローチ: 空所の前後の文の論理関係を分析します。(基礎英語:Module 4, セクション4
    3. 思考プロセス:
      • 前文: “This makes it easier to concentrate on everyday activities.” (これにより、日々の活動に集中しやすくなる) 48。これは「物を減らすことの利点」を述べています。
      • 後文: “Many people today tend to buy more than they can consume.” (今日、多くの人々は消費できる以上に物を買う傾向がある) 49。これは「現代人の一般的な傾向(物を買いすぎる)」を述べています。
      • 論理関係: 前文はスローライフの理想を、後文はそれとは逆の現実を述べており、両者は対比関係にあります。したがって、逆接の接続詞が最も適切です。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(①)の根拠: “However”(しかしながら)は、前文で述べたスローライフの理想的な状態と、後文で述べる一般的な現実との対比を明確に示す、最適な接続詞です。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ② Moreover (さらに): 順接・追加の接続詞であり、対比関係にあるこの文脈には合いません。
      • ③ Otherwise (さもなければ): 条件を示す接続詞であり、文脈に合いません。
      • ④ Therefore (したがって): 因果関係を示す接続詞であり、文脈に合いません。

問2 解説

  • 正解:③
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: Comment (2) “Add a concluding sentence to improve this paragraph.” に基づき、空所(2)に最適な締めくくりの文を選びます 50
    2. 戦略的アプローチ: このパラグラフ全体の主題(Topic Sentence)を把握し、その主張を要約または補強する文を選択します。
    3. 思考プロセス:
      • このパラグラフは、スローライフにおける「コミュニケーションスタイル」について論じています 51
      • 特に、スマートフォンを見ながら対面で会話することが「無礼に見え、人間関係に悪影響を及ぼす可能性がある」という問題点を指摘しています 52
      • したがって、このパラグラフの結論としては、この問題に対する解決策やあるべき姿を提示するのが最も論理的です。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(③)の根拠: “Try to focus your attention on the person you are talking with.”(会話している相手に注意を集中させなさい)は、パラグラフで提示された問題点(スマホを見ながらの会話)に対する直接的かつ具体的な解決策であり、結論として最も適切です。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “Limit the time you spend having conversations…”: 会話時間を「制限する」ことは、質の高いコミュニケーションを推奨するパラグラフの趣旨に反します。
      • ② “Send messages with your phone just once or twice a day.”: メッセージの頻度を制限することは、対面コミュニケーションの質とは直接関係ありません。【論点のすり替え】。
      • ④ “Use your phone to find real friends through social media.”: ソーシャルメディアでの友人探しは、対面コミュニケーションの問題点を論じているこのパラグラフの文脈から外れています。【論点のすり替え】。

問3 解説

  • 正解:①
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: Comment (3) “The underlined part isn’t your main argument. Rewrite it.” に基づき、下線部 “you can relax” をエッセイ全体の主張に合うように書き換えます 53
    2. 戦略的アプローチ: エッセイ全体の主題(Thesis)を特定し、その主題を反映した表現を選びます。
    3. 思考プロセス:
      • エッセイの第1パラグラフで、スローライフの目的は “improve the quality of your work and life”(仕事と生活の質を向上させること)であると明確に述べられています 54
      • したがって、結論部分の要約も、この主題に沿ったものであるべきです。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(①)の根拠: “you can be satisfied at work and in your personal life”(仕事と私生活で満足することができる)は、エッセイの主題である “improve the quality of your work and life” の優れたパラフレーズであり、要約として最も適切です 55
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ② “complete tasks in a short period of time”: スローライフは効率性や速さを追求するものではないため、主題と矛盾します。
      • ③ “decrease stress by sharing work with others”: 仕事の分担については、エッセイで言及されていません。【本文に記述なし】。
      • ④ “focus on the outcome rather than the process”: スローライフはむしろプロセスを重視する考え方であり、主題と矛盾します。

問4 解説

  • 正解:③
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: Comment (4) “The underlined part doesn’t describe your essay content well. Change it.” に基づき、下線部 “remember what you talked about with your friends” を、エッセイで述べられた3番目の提案内容に合うように書き換えます 56
    2. 戦略的アプローチ: エッセイの要約部分であるこの文は、本文で述べられた3つの提案(①物を減らす、②コミュニケーションに集中する、③1日を振り返る)を正確に反映している必要があります。3番目の提案内容を確認し、それに対応する選択肢を選びます。
    3. 思考プロセス:
      • エッセイの3番目の提案は、第3パラグラフで述べられている “take 10 to 15 minutes to reflect on your day”(1日の出来事を振り返るために10分から15分かけること)です 57
      • 具体的には “Try to recollect people and events that were significant.”(重要だった人々や出来事を思い出すこと)と説明されています 58
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(③)の根拠: “think back to the memorable parts of your day”(1日の中で記憶に残る部分を思い返す)は、第3パラグラフで述べられた「1日を振り返る」という提案内容の的確なパラフレーズです 59
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “plan your daily activities…”: これは「計画」であり、「振り返り」ではありません。
      • ② “recall the bad things…”: 「悪いこと」に限定されておらず、”significant”(重要な)出来事を思い出すよう述べられています 60。【範囲のすり替え】。
      • ④ “throw away unwanted items…”: これは第1の提案(物を減らす)に関連する内容であり、第3の提案ではありません。【論点のすり替え】。


第5問 解説講義

大問の設計思想と戦術的意義

第5問は、Eメールのやり取りといった、複数のテクストにまたがる情報を統合する能力を測定します。第4問と同様に複数テクスト読解のスキルが求められますが、より長い文章で、情報の種類も多岐にわたる(スケジュール、確認事項、未決事項、座席配置の指示など)ため、高度な情報整理能力が不可欠です。

戦術的意義は、断片的な情報を構造化する「マトリクス思考」や「マッピング思考」を実践することです。(共通テスト 英語:Module 4, セクション2.3)情報を頭の中だけで処理せず、メモを活用してワーキングメモリの負荷を軽減する戦略が極めて重要になります。目標解答時間は16分です。

問1 解説

  • 正解:①
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “what is your overall worry…?”、つまり学生(メールの書き手)の全体的な心配事は何かを問うています。心情推論問題です。
    2. 戦略的アプローチ: メールの結びの部分に、書き手の個人的な感情が述べられることが多いです。その部分を精読します。
    3. 思考プロセス:
      • メールの最後のパラグラフに “This is my first time being on a committee like this, and I am rather anxious, so I would appreciate any advice you have.” という直接的な記述があります 61
      • 「このような委員会に参加するのは初めてで、かなり不安です」という言葉は、イベント運営の経験がないことへの心配を明確に示しています。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(①)の根拠: “A lack of event organizing experience”(イベント運営経験の欠如)は、”This is my first time being on a committee like this” という本文の記述の直接的な言い換えです 62
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ② “Concerns about your presentation skills”: メール内ではプレゼンテーションを「手伝う(assisting)」とは述べていますが、自分自身の発表スキルを心配している記述はありません 63。【本文に記述なし】。
      • ③ “The possibility of future employment”: 将来、地方公務員になりたいという希望は述べていますが、それが「心配事」として提示されているわけではありません 64。【論点のすり替え】。
      • ④ “Your ability in writing English emails”: 心配事を英語のメールで伝えてはいますが、メールを書く能力自体を心配している記述はありません。【本文に記述なし】。

問2 解説

  • 正解:19: ⑥, 20: ④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: Presentation 2とPresentation 4のタイトルとして、教授の説明と、それぞれのテーマに最も合うものを選択肢から選びます。情報統合と推論が求められます。
    2. 戦略的アプローチ:
      1. Presentation 2と4が、それぞれどのテーマ(午前/午後)に属するかを確認します。
      2. 教授の返信メールから、各プレゼンターに関する説明を抽出します。
      3. テーマと説明内容の両方に合致するタイトルを選択肢から選びます。
    3. 思考プロセス:
      • Presentation 2 (解答番号19):
        • テーマ: “Morning theme: ‘Changing local traditions'”(午前:地域の伝統を変える) 65
        • 教授の説明: “One presenter is a local businessperson, who will talk about changes she has made in her company.”(地元の経営者が、自社で行った変革について話す) 66
        • 統合と判断: 「伝統を変える」というテーマと、「会社での変革」という内容は、選択肢⑥ “Updating a traditional business model”(伝統的なビジネスモデルを現代化する)と完全に一致します。
      • Presentation 4 (解答番号20):
        • テーマ: “Afternoon theme: ‘Preserving local traditions'”(午後:地域の伝統を守る) 67
        • 教授の説明: “The other presenter is a local chef. She will introduce recipes using locally grown mushrooms.”(地元のシェフが、地元産のキノコを使ったレシピを紹介する) 68
        • 統合と判断: 「伝統を守る」というテーマと、「地元食材のレシピ紹介」という内容は、地域資源の価値を再発見し活用するという点で、選択肢④ “Rediscovering the benefits of local food”(地元食材の利点を再発見する)と強く結びつきます。

問3 解説

  • 正解:①
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “which of the following needs to be reconsidered?”、つまり教授の返信を受けて「再考」が必要になった項目は何かを問うています。
    2. 戦略的アプローチ: 学生が最初のメールで確認した4つの点について、教授の返信がそれぞれどうだったかをスキャンして照合します。
    3. 思考プロセス:
      • 学生の確認事項 vs. 教授の返信:
        • 開始・終了時間: “The time schedule and order of events look good to me.” → OK 69
        • 登録締切: “Closing the registration seven days before the conference is too short.” → 再考が必要 70
        • 会場: “The Main Hall worked really well…” → OK 71
        • 駐車場: “The university parking lot will be open…” → OK 72
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(①)の根拠: 教授は登録締切について「短すぎる」と明確に指摘しており、”Conference registration” は再考が必須です 73
    • 不正解選択肢の論理的欠陥: 他の選択肢(②会場、④開始・終了時間)は、教授が「それで良い」と承認しています 74。③市長のスピーチタイトルは、教授が知らせてくれた確定情報であり、再考の対象ではありません 75

問4 解説

  • 正解:③
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: 教授の座席配置に関する指示を最もよく表している図を選びます。言語情報と視覚情報の統合問題です。
    2. 戦略的アプローチ: 教授の返信メールから、座席配置に関する指示を箇条書きで抽出します。
    3. 思考プロセス:
      • 指示1: “a small desk for the moderator in the center”(中央に司会者用の小さな机) 76
      • 指示2: “one table on each side of the moderator”(司会者の両側にテーブルが1つずつ) 77
      • 指示3: “these tables should face slightly inward”(これらのテーブルは少し内側を向いている) 78
      • 指示4: “As we have two debaters on each team, use the long tables”(各チーム2人のディベーターなので、長いテーブルを使う) 79
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(③)の根拠: この図は、中央に司会者席があり、その両側に長いテーブルが1つずつ、それぞれ内側を向いて配置されています。各テーブルには2つの椅子が用意されており、全ての指示を満たしています。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ①: テーブルが内側を向いていません(指示3違反)。
      • ②: 各ディベーターが別々の小さなテーブルに座っており、「長いテーブルを使い、チームで1つのテーブル」という指示に反します(指示4違反)。
      • ④: ディベーター用のテーブルが4つに分かれています(指示2, 4違反)。
      • ⑤: 司会者席がありません(指示1違反)。

問5 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: 学生が教授に再度メールする際に、最も含める可能性が高い情報2つを選びます。
    2. 戦略的アプローチ: これまでのやり取り(学生の最初のメールと教授の返信)を踏まえ、学生が「次にすべきこと」または「約束したこと」を特定します。
    3. 思考プロセス:
      • 次にすべきこと: 教授から昼食について “we need to rethink it. Do you have any suggestions?” と提案を求められています 80。したがって、昼食の代替案を提示するのは自然な流れです。→ B: The local restaurants that can serve food は非常に可能性が高い。
      • 約束したこと: 学生は最初のメールでボランティアのリストについて “The number of volunteers that can help… isn’t set yet. I’ll send you the list as soon as possible.” と約束しています 81。したがって、このリストを送るのも自然です。→ C: The names of the volunteers available も可能性が高い。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: 上記の思考プロセスから、BとCが最も返信に含めるべき情報です。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • A: The cost of renting the conference venue: 教授が “I can reserve it for free.” と述べており、費用はかからないので不要な情報です 82
      • D: The number of parking permits needed: 教授が “participants can use it without having a permit.” と述べており、許可証は不要なので不要な情報です 83


第6問 解説講義

大問の設計思想と戦術的意義

第6問は、比較的長めの物語文を読み、その内容理解を多角的に問う大問です。出来事の時系列整理、登場人物の性格や能力の特定、そして本文に明示されていない情報の推論など、第3問や第5問で求められたスキルを、より複雑な文脈で適用する能力が試されます。

戦術的意義は、長めのストーリーの中から設問に関連する情報を効率的に抽出し、統合する訓練です。特に、登場人物の成長や変化といったテーマを読み解くことが重要になります。目標解答時間は12分です。

問1 解説

  • 正解:⑤ → ④ → ② → ①
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: Bluebirdの個人的な成長段階(personal growth)を示す4つの記述を、物語の中で起こった順に並べ替えます 84
    2. 戦略的アプローチ: 時系列マッピング(共通テスト 英語:Module 4, セクション2.2)を用います。Bluebirdの人生の各段階に対応する記述を本文から探し出し、時系列に沿って並べます。
    3. 思考プロセス:
      1. 少年時代: 12歳の時に飛行能力に目覚めます 85。→ ⑤ He is an ordinary boy. (能力に目覚める前の段階) 86
      2. 公園のヒーロー: その能力を使って、公園で遭難したハイカーを助けるようになり、”the Amazing Park Ranger Boy”として知られるようになります 87。→ ④ He is a super park ranger. 88
      3. 偽のスーパーヒーロー: Team Heroにスカウトされた後、名声にとらわれ、テレビ番組で善行を「演じる」だけの偽のスーパーヒーローになります 89898989。→ ② He is a performer. 90
      4. 真のヒーローへ: Melodyとの出会いと彼女の言葉をきっかけに自らの過ちに気づき、Team Heroを離れ、彼女と共に “REAL HEROES” を設立します 91。→ ① He is a hero again. 92
      5. 選択肢③ “He is a professional writer.” は、この物語の作者であるHarry Okazakiのことであり、主人公Bluebirdのことではありません 93。したがって、これが除外される選択肢です。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解の順序: 上記の思考プロセスにより、Bluebirdの成長段階は ⑤ → ④ → ② → ① と確定します。

問2 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: Melodyのスーパーパワーの正しい組み合わせを選びます。
    2. 戦略的アプローチ: スキャニングを用いて、本文中から “Melody” の名前が登場する箇所を探し、彼女の能力に関する記述をすべてリストアップします。
    3. 思考プロセス:
      • “She could teleport to any place on earth in less than a second” 94 → F: transport herself to different places instantly
      • “Melody, who could recreate any sound, produced a cat’s meow” 95 → B: imitate sounds perfectly
      • “a voice popped into my head, ‘You do look foolish…’ I realized it was Melody” 96 → E: speak to people using telepathy
      • “Whiskers thinks that you can’t be trusted.” 97 → Whiskers(猫)の考えていることが分かっている。→ C: read the minds of animals and people
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: 上記の分析から、Melodyの能力はB, C, E, Fです。選択肢④はこの組み合わせと一致します。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • A: fly at very high altitudes (高高度を飛ぶ): これはBluebirdの能力であり、Melodyの能力ではありません 9898
      • D: see extremely long distances (非常に遠くまで見える): これもBluebirdの能力です (“see for miles”) 9999

問3 解説

  • 正解:③
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: Bluebirdの母親が言った “We won’t let that happen to you.” というセリフの意図を推論します 100
    2. 戦略的アプローチ: このセリフの直前の文脈を精読し、”that” が何を指しているのかを特定します。
    3. 思考プロセス:
      • 直前の文で、母親はBluebirdの姉を “a special facility for extraordinary children” に送ったこと、そして “we should never have let her go.”(彼女を行かせるべきではなかった)と後悔していることを語っています 101
      • したがって、”that” が指しているのは「姉を特別な施設に送り、手放してしまったこと」です。
      • “We won’t let that happen to you.” は、「あなたには同じこと(施設に送って手放すこと)はさせない」という意味になります。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(③)の根拠: “keep you together with us”(あなたを私たちと一緒にいさせる)は、「手放さない」という母親の決意を最もよく表しています。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “control your powers”: 力をコントロールする話ではありません。
      • ② “hire you as a superhero”: 家族が彼を雇うという話ではありません。
      • ④ “make sure you don’t commit crimes”: 犯罪を防ぐという話ではありません。

問4 解説

  • 正解:③、④ (順不同)
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: 物語をより良くするために追加すべき詳細、すなわち「物語で言及されていない、あるいは示唆されていない」2つの事柄を選びます 102
    2. 戦略的アプローチ: 消去法を用います。各選択肢について、本文中に言及や示唆があるかどうかを検証し、言及があるものを消していきます。
    3. 思考プロセス:
      • ① Bluebird’s childhood experiences: 12歳で能力に目覚め、公園でハイカーを助けていたという子供時代の経験が明確に記述されています 103103103103。→ 消去。
      • ② Bluebird’s view on the reality show: “silly television shows”, “a fake superhero”, “pretended that we were helping” など、リアリティショーに対する彼の否定的な見解は随所で述べられています 104。→ 消去。
      • ③ how Melody learned she had superpowers: Melodyがいつ、どのようにして自身のスーパーパワーに気づいたのかについての記述は、物語の中に一切ありません。→ 候補。
      • ④ the reason why Melody joined Team Hero: MelodyがなぜTeam Heroに参加したのか、その動機についての説明は一切ありません。→ 候補。
      • ⑤ the relationship between Bluebird and Melody: MelodyがBluebirdの姉であることが強く示唆されています(”You have an older sister with superpowers.” 105、Melodyからのメモ “Let’s start a family business.” 106)。関係性は示唆されています。→ 消去。
  • 結論: 本文中で全く言及されていないのは③と④です。


第7問 解説講義

大問の設計思想と戦術的意義

第7問は、科学的なテーマ(この場合は動物の睡眠パターン)に関する説明文を読み、その内容をプレゼンテーションのアウトラインや図表と照合して完成させる問題です。第6問と同様に学術的な読解力が求められますが、特に情報の分類・整理と、言語情報と視覚情報(グラフ)の変換能力が試されます。

戦術的意義は、複雑な情報を構造化し、要約する能力を実践することです。本文を読む前にアウトラインの空所に目を通し、どのような情報を探すべきかを予測する「設問先読み」が極めて有効です。目標解答時間は16分です。

問1 解説

  • 正解:①
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: プレゼンテーションのアウトラインの “Importance of Sleep” の項目で、エラー、つまり本文の内容と合致しないものを一つ削除します 107
    2. 戦略的アプローチ: 本文の睡眠の重要性について述べた箇所をスキャンし、アウトラインの各項目(A, B, C, D)と照合します。
    3. 思考プロセス:
      • 本文第1パラグラフの後半に、睡眠の重要性に関する記述が集中しています。
      • “Sleep is essential for animals’ physical and mental health” 108 → B. To maintain overall healthと一致 109
      • “the body becomes energized.” 110 → C. To refresh the animal’s bodyと一致 111
      • “Sleep also gives the brain neurons a chance to reset” 112 → D. To reset the brain neuronsと一致 113
      • A. To alter body temperature(体温を変化させるため) については、睡眠の重要性としては述べられていません 114。体温の低下は、後のセクションで “hibernation”(冬眠)の特徴として言及されていますが、一般的な睡眠の機能ではありません 115
  • 結論: 削除すべきは A です。

問2 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “biphasic sleep pattern” を表す最適な図を円グラフの中から選びます 116
    2. 戦略的アプローチ: 本文から “biphasic sleep” の定義を正確に抽出し、その定義に合致する視覚表現を探します。
    3. 思考プロセス:
      • 本文第2パラグラフに “biphasic sleep, where the animal has two waking and sleeping times, with one sleep being long and the other like a nap.” と定義されています 117
      • 要点は「24時間周期の中に、長い睡眠と短い睡眠(昼寝)の2回がある」ということです。
      • しかし、選択肢の図の中にこの定義に完全に合致するものはありません。このような場合、出題の意図を再考する必要があります。図④は2回の短い睡眠を示しており、定義とは一見矛盾します。しかし、他の選択肢が明確に異なる(①はmonophasic、②は均等な2回睡眠、③は適切な昼寝の比率ではない)ため、消去法的に④が最も近い選択肢として設定されたと解釈されます。活動時間の合間に短い休息(睡眠)を2度取るパターンをbiphasicの一例として提示している可能性があります。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: 消去法による判断。他の選択肢が「1回の睡眠(monophasic)」(①)、「均等な2回睡眠」(②)、「不適切な比率の2回睡眠」(③)であるのに対し、④は明確に「2回の睡眠」を示している点で、biphasicの基本的な条件(2回寝ること)を満たしていると解釈できます。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ①: “asleep” が1回しかなく、これは “monophasic sleep” を表しています 118
      • ②: “asleep” が2回ありますが、大きさが同じです。「長い睡眠と昼寝」という定義に合いません 119
      • ③: “asleep” の領域が2つありますが、昼寝に相当する部分が全体の4分の1近くを占めており、”nap”というには長すぎると判断できます。

問3 解説

  • 正解:①、④ (順不同)
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: 睡眠パターンに影響を与える条件として、本文の内容と合致する記述を2つ選びます。
    2. 戦略的アプローチ: 本文第3パラグラフ “variations in sleep patterns” を精読し、動物のサイズ、食事、身体的ニーズが睡眠にどう影響するかを分析し、各選択肢の正誤を判断します。
    3. 思考プロセスと選択肢の吟味:
      • 正解選択肢(①): “whose animals burn up energy rapidly tend to sleep more often” (エネルギーを急速に消費する動物は、より頻繁に眠る傾向がある)。本文に “Smaller animals such as squirrels or mice tend to use up their energy by moving quickly and frequently. This results in the need to sleep more often…” とあり、完全に一致します 120
      • 不正解選択肢(②): “which continually search for food need longer sleep” (継続的に食物を探す必要がある動物は、より長い睡眠を必要とする)。本文では、草食動物はカロリーの低い植物を食べるため “spend most of their time searching for food” であり、その結果 “sleep less”(睡眠時間が短い)と述べられており、逆です 121。【本文の記述と矛盾】。
      • 不正解選択肢(③): “whose diet has fewer calories can sleep more easily” (カロリーの少ない食事をとる動物は、より簡単に眠れる)。これも草食動物に関する記述で、睡眠時間は短くなるとされており、矛盾します 122。【本文の記述と矛盾】。
      • 正解選択肢(④): “whose food keeps their stomachs full usually sleep longer” (食物がお腹をいっぱいに保つ動物は、通常より長く眠る)。本文に “Lions are carnivorous animals and have longer sleeping times because their food sources satisfy their hunger for longer periods.” とあり、完全に一致します 123123123123
      • 不正解選択肢(⑤): “whose homes are difficult to get to typically sleep less” (たどり着くのが難しい家に住む動物は、通常睡眠時間が短い)。本文では、ウサギなどが安全な巣穴を作ることで “feel safer and sleep longer”(より安全に感じ、より長く眠る)とあり、逆です 124。【本文の記述と矛盾】。

問4 解説

  • 正解:①
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: unihemispheric sleep(半球睡眠)を行う鳥に関する正しい記述を選びます。
    2. 戦略的アプローチ: 本文第4パラグラフ “unihemispheric sleep” の箇所を精読します。
    3. 思考プロセス:
      • 本文に “In this type of sleep, some animals traveling in a group keep one eye open.” とあり 125、さらに “While one side of the animal’s brain sleeps, the other side stays awake and alert to its surroundings.” と記述されています 126
      • これは「脳の半分が眠り、もう半分は起きている」状態を意味します。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(①)の根拠: “can be partially asleep and partially awake while in flight”(飛行中に部分的に眠り、部分的に起きていることができる)は、本文の記述の的確なパラフレーズです。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ② “leading to increased heart rate”: 心拍数が上がるとは書かれていません。【本文に記述なし】。
      • ③ “can keep both eyes open constantly”: 片目 (one eye) を開けていると書かれています 127。【本文の記述と矛盾】。
      • ④ “can protect the outside members from inside the group”: 逆です。”Birds flying at the outer edge of the group use this type of sleep to help protect the other members”(外側の鳥が内側のメンバーを守る)とあります 128。【本文の記述と矛盾】。

問5 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: アウトラインの空所37に、その下の2つの項目 “Black bear hibernation” と “Jellyfish relaxation” をまとめる最も適切な見出しを選びます。
    2. 戦略的アプローチ: 本文でこの2つの現象がどのように導入・説明されているかを確認します。
    3. 思考プロセス:
      • このセクション(第5パラグラフ)は “Besides the types of sleep explained above, there are patterns that can be considered to be sleep-like activities.” という文で始まっています 129
      • つまり、冬眠やクラゲの弛緩状態は、厳密な意味での睡眠ではなく、「睡眠のような活動」として分類されています。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: “States Similar to Sleep”(睡眠に類似した状態)は、本文の “sleep-like activities” という表現と完全に一致します 130
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “Common Patterns of Sleep”: これらは一般的な睡眠パターンとは区別されています。
      • ② “Natural Sleep Methods”: 睡眠の「方法」というよりは「状態」です。
      • ③ “Reasons for Sleep”: 睡眠の「理由」を論じているセクションではありません。


第8問 解説講義

大問の設計思想と戦術的意義

最終関門である第8問は、複数の異なる意見や情報源(記事、グラフなど)を統合し、それに基づいて自らの立場を決定し、さらにエッセイのアウトラインを完成させるという、極めて複合的かつ高次の情報処理能力と思考力を測定する、共通テストの集大成ともいえる大問です。(共通テスト 英語:Module 4, セクション3, 4

戦術的意義は、これまでに培った全てのスキル――スキャニング、マトリクス思考、推論、図表読解――を総動員し、複雑な情報の中から論理的な一貫性を見つけ出し、再構成する能力を証明することにあります。時間配分の最終調整が重要となり、冷静な情報整理が求められます。目標解答時間は17分です。

問1 解説

  • 正解:①
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “Which of the following best expresses Meilin’s opinion?”、つまりMeilinの意見を最もよく要約している選択肢を特定します。
    2. 戦略的アプローチ: Meilinの意見のセクション 131 を精読し、彼女の主張の核心(メインアイデア)を掴みます。
    3. 思考プロセス:
      • Meilinは物理学者スティーブン・ホーキングの言葉を引用し、地球の存在を宇宙に知らせることは “probably dangerous” だと述べています 132
      • その理由として、もし地球外生命体が我々と似ていれば、地球を征服しに来るだろうと懸念しています 133
      • 彼女はこれを “the greatest threat”(最大の脅威)と表現しており、彼女の主張の根幹が「危険性への警告」であることがわかります 134
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(①)の根拠: 彼女の主張は、宇宙探査に伴う未知のリスクに対する深い懸念と警告です。これは “Caution is critical.”(注意深さが極めて重要だ)という言葉に最もよく集約されています。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ② Invention is invaluable. cite_start: これはApuの意見に近いですが、Meilinの意見ではありません 135。【主体のすり替え】。
      • ③ Science is superior. (科学は優れている): 彼女は科学(宇宙探査)がもたらす潜在的な危険性を論じており、科学の優位性を主張しているわけではありません。【論点のすり替え】。
      • ④ Trust is treasure. (信頼は宝だ): 信頼について論じているわけではなく、むしろ地球外生命体を信頼すべきではない、というスタンスです。【本文の記述と矛盾】。

問2 解説

  • 正解:①
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: “Both Christine and Victor mention that…”、つまりChristineとVictorの意見の「共通点」を探します。情報整理・比較問題です。
    2. 戦略的アプローチ: マトリクス思考(共通テスト 英語:Module 4, セクション2.3)を用い、2人の意見から共通のキーワードやテーマを抽出します。
    3. 思考プロセス:
      • Christine: “private companies have begun exploring space, though mostly for commercial reasons.” (民間企業が商業的理由で参入) 136
      • Victor: “further economic growth will be ensured by more private firms entering the space race…” (民間企業の参入が経済成長を保証) 137
      • 共通点: 両者ともに「民間企業 (private companies/firms)」と「経済・商業 (commercial/economic)」というテーマに言及しています。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(①)の根拠: “has economic impacts and provides opportunities for private corporations to make money” は、両者が指摘した「民間企業」と「経済/商業」という共通点を正確に要約しています。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ② “salaries for people working in the industry are above average”: 給与について言及しているのはVictorのみです 138。【部分的真実の罠】。
      • ③ “requires coordination among countries”: 国際協力に言及しているのはChristineのみです 139139。【部分的真実の罠】。
      • ④ “needs global cooperation, especially to operate the International Space Station”: 国際宇宙ステーションに言及しているのはChristineのみです 140140。【部分的真実の罠】。

問3 解説

  • 正解:40/41: ③, ④ (順不同), 42: ②
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: 3つのタスクがあります。
      1. 自分の立場 “POSITION: Space exploration is not a good idea.” を表明 141
      2. この立場を最も支持する2人の意見を選ぶ(40, 41)。
      3. その2人に共通する議論を要約する(42)。
    2. 戦略的アプローチ:
      1. 5人の意見の中から、宇宙探査に否定的な意見を持つ人物を特定します。
      2. 特定した2人の意見の共通点を分析し、選択肢と照合します。
    3. 思考プロセス:
      • 否定的な意見の特定:
        • Apu (教授): 肯定派(科学技術の発展) 142
        • Christine (CEO): 条件付き賛成派(不適切な商業・軍事利用には懸念) 143143143
        • Meilin (ジャーナリスト): 否定派(地球外生命体からの侵略リスク) 144
        • Naomi (弁護士): 否定派(宇宙飛行士の死亡率の高さというリスク) 145
        • Victor (アナリスト): 肯定派(経済成長) 146
      • したがって、最も強く否定的な立場を支持しているのは Meilin と Naomi です。解答番号40, 41は③と④になります。
      • 共通点の分析: Meilinは「地球外生命体からの侵略」という危険性を、Naomiは「宇宙飛行士の高い死亡率」という危険性を論じています。両者の主張の根底にあるのは、「宇宙探査は人間(あるいは人類)にとって危険すぎる」という認識です。
  • 選択肢の微視的分析 (42)
    • 正解選択肢(②)の根拠: “space exploration exposes people to a lot of danger and is too risky”(宇宙探査は人々を多くの危険にさらし、あまりにもリスクが高い)は、Naomiの「人への危険」とMeilinの「人類への危険」の両方を包括する、最も適切な要約です。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “military conflict”: 軍事利用への懸念はChristineが示唆していますが、MeilinとNaomiの中心的な議論ではありません 147
      • ③ “alien invasion”: これはMeilinの意見ですが、Naomiの意見は含んでいません 148。【部分的真実の罠】。
      • ④ “risk of death for people in the industry is extremely high”: これはNaomiの意見ですが、Meilinの意見は含んでいません 149。【部分的真実の罠】。

問4 解説

  • 正解:④
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: エッセイのアウトラインの “REASON 2” に入る、Source Aの内容を要約した文を選びます 150
    2. 戦略的アプローチ: Source A を精読し、そのメインアイデアを抽出します 151
    3. 思考プロセス:
      • Source Aは宇宙探査が環境に与える2つの悪影響を論じています。
      • 影響1: ロケット打ち上げによるCO2排出が地球の温暖化を促進する(=地球環境への汚染) 152
      • 影響2: スペースデブリ(宇宙ゴミ)が熱圏(thermosphere)を汚染している(=地球近傍の宇宙環境への汚染) 153
      • つまり、Source Aの主張は「宇宙探査は、地球と宇宙の両方の環境を汚染している」ということです。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(④)の根拠: “Space exploration is polluting the environment of both the Earth and the thermosphere.” は、Source Aが挙げた2つの問題点(CO2とスペースデブリ)を完璧に要約しています。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ① “damaging outer space”: 地球環境へのダメージという側面が欠けています 154。【論点の矮小化】。
      • ② “difficult to update spacecraft with new engines”: 新しいエンジンの話は本文にありません。【本文に記述なし】。
      • ③ “poses risks to humans due to potential collision with airplanes”: スペースデブリのリスクは “future spaceflight” と “astronomical observation” に対してであり、飛行機(airplanes)へのリスクは述べられていません 155。【巧妙な単語の言い換えによる意味の歪曲】。

問5 解説

  • (注)公式解答について: ご提供いただいた公式解答ファイルでは、本設問の正解は「5」とされています。しかし、問題冊子には選択肢が④までしか存在せず、物理的に対応不可能です。つきましては、プロンプトの指示に基づき、品質を優先し、本文の記述から論理的に導出される最も適切な解答(①)とその思考プロセスを以下に解説します。
  • 正解:①
  • 思考のアルゴリズム
    1. 指令の解読: REASON 3の主張 “The cost of space exploration is high and the money could be used instead to solve major world problems.” を最もよく支持する選択肢を、Source B に基づいて選びます 156
    2. 戦略的アプローチ: Source Bのグラフの数値を正確に読み取り、各選択肢の記述と厳密に照合します 157
    3. 思考プロセス:
      • グラフの数値:
        • 宇宙探査費: 103 billion USD 158
        • 飢餓救済: 40 billion USD 159
        • 基礎教育: 54 billion USD 160
        • 清潔な水: 150 billion USD 161
      • 各選択肢の計算と真偽を判定します。
  • 選択肢の微視的分析
    • 正解選択肢(①)の根拠: “The amount of money that governments … spend on space exploration (103 billion) could not only reduce hunger (40 billion) but also make primary education available (54 billion)…”。計算すると、40 + 54 = 94 billion。これは宇宙探査費の103 billionよりも少ないです。したがって、「宇宙探査費で飢餓救済と基礎教育の両方をまかなえる」というこの記述は、グラフのデータと完全に一致します。
    • 不正解選択肢の論理的欠陥:
      • ② “it costs less to ensure clean water (150 billion) than … to explore space (103 billion)”。150は103より大きいので “costs less” は誤りです。【本文(グラフ)の記述と矛盾】。
      • ③ “With less than half the money that governments spend on space exploration (103 / 2 = 51.5 billion), it would be possible to address … educational inequality (54 billion)”。51.5は54より少ないので、宇宙探査費の半分以下では教育問題は解決できません。”less than half” は誤りです。【本文(グラフ)の記述と矛盾】。
      • ④ “With the money currently invested in space exploration (103 billion), we could provide sufficient food (40), basic education (54), and enough clean water (150)…”。合計は 40 + 54 + 150 = 244 billion。これは103 billionでは全く足りません。【本文(グラフ)の記述と矛盾】。


総括と今後の学習戦略

本試行調査は、共通テスト・リーディングが単なる英語の知識量を問う試験ではなく、限られた時間内に膨大な情報を処理し、論理的に判断を下す**「情報処理能力」と「思考力」**を測定する、高度に設計された「知的ゲーム」であることを改めて明確に示しました。

今回の解説で詳述したように、各設問は特定の認知能力(情報探索、整理・比較、推論)を試すように意図的に作られており、不正解の選択肢もまた、典型的な論理的欠陥パターンに基づいて受験生を惑わすように設計されています。

今後の学習においては、以下の点を強く意識してください。

  1. 戦略的思考の徹底: 常に試験全体の構造を意識し、時間配分や解答順序を最適化する「戦略家」としての視点を持ち続けてください。(共通テスト 英語:Module 1
  2. 高速情報処理技術の自動化: スキミング、スキャニング、パラグラフリーディングといった技術を、意識せずとも実行できるレベルまで反復練習し、情報処理の速度と精度を極限まで高めてください。(共通テスト 英語:Module 2
  3. 解法アルゴリズムの習熟: 各設問タイプに対する思考のプロセスを完全にマスターし、特に不正解選択肢の論理的欠陥を能動的に分析する批判的思考を養ってください。(共通テスト 英語:Module 3

本稿で提示した思考のアルゴリズムと、『基礎英語』および『共通テスト 英語』で学んだ普遍的な原理を結びつけることで、あなたの学習はより体系的で、効果的なものとなります。未知の問題に直面したときこそ、本稿で示した思考のプロセスに立ち返り、冷静に、そして論理的に正解を導き出してください。

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