【本記事の目的と構成】
本稿の目的は、2023年度大学入学共通テスト(英語リーディング)の全設問を、単に解答を提示するだけでなく、その
正解に至るための思考プロセスを完全な形で再現・解説することにあります。多くの受験生が共通テスト・リーディングで直面する課題は、単語や文法の知識不足以上に、限られた時間内で膨大な情報を処理し、論理的に判断を下す「情報処理能力」と「思考力」の不足に起因します。(共通テスト 英語:Module 1で詳述したように、この試験は知識量ではなく、知識の運用能力を測定しているのです 1。)
本稿は、参照資料である『基礎英語』および『共通テスト 英語』で体系化された理論と戦略を全面的に活用し、一問一問を「知的ゲーム」として捉え、そのルールを解明し、勝利を収めるための具体的な思考のアルゴリズムを提示します。 各設問の解説では、以下の要素を網羅します。
- 思考のアルゴリズム: 設問の要求を解読し、最適な戦略(スキャニング、マトリクス思考など)を選択し、正解を導き出すまでの一連の思考プロセスを段階的に詳述します。
- 選択肢の微視的分析: なぜその選択肢が正解であり、他の選択肢がなぜ、そしてどのように誤っているのかを、『共通テスト 英語』で提示された「7つの論理的欠陥パターン」に基づき、本文の根拠と照らし合わせながら徹底的に解剖します 2。
- 理論的背景との連携: 各設問を解く上で活用される思考法が、『基礎英語』や『共通テスト 英語』で学んだどの原理(スキーマ理論、結束性理論、統語解析など)に基づいているのかを明示し、あなたの学習に一貫性と体系性をもたらします。
この記事を読了したとき、あなたは単にこの試験の答え合わせを終えるだけでなく、共通テスト・リーディングという試験の本質を深く理解し、あらゆる問題に対して論理的かつ戦略的にアプローチするための、確固たる知的基盤を手にしているはずです。
目次
第1問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第1問は、日常生活に関連する多様な形式の情報(広告、チラシ、案内など)から、設問が要求する特定の情報を、いかに迅速かつ正確に抽出し、照合できるかという、基本的な情報処理能力を測定します。 難易度は比較的平易に設定されているため、満点を確保し、試験全体の精神的な安定を得るとともに、後半の難問に取り組むための
時間的アドバンテージを確立することが戦術的意義となります 3。
A
問1 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 設問は “What are you told to do after reading the handout?”、つまり「ハンドアウトを読んだ後に、あなたは何をするように言われているか」を特定するよう要求しています。これは指示内容を探す、典型的な情報探索問題です。
- 戦略的アプローチ: (共通テスト 英語:Module 4, セクション1.2)で詳述されている「設問先読み」からの逆算スキャニングを適用します 4。まず設問を読み、「指示」を表すキーワード(例: Instructions, please, must)を探します。
- 思考プロセス:
- ハンドアウト下部の “Instructions” という見出しに注目します。
- “Fill in the form below and hand it in to your teacher today.” という明確な指示文を発見します。「下のフォームに記入し、今日中に先生に提出しなさい」という意味です 5。
- この指示と各選択肢を照合します。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “Complete and hand in the bottom part.”(下部を完成させて提出する)は、本文の指示 “Fill in the form below and hand it in” の完璧なパラフレーズです 6。(基礎英語:Module 7, セクション3.2のパラフレーズ技術 7)
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ② “Find out more about the performances.”: パフォーマンスについてさらに調べるようには指示されていません。【本文に記述なし】 8。
- ③ “Talk to your teacher about your decision.”: 先生と「話す」のではなく、フォームを「提出する」ように指示されています。【巧妙な単語の言い換えによる意味の歪曲】 9。
- ④ “Write your name and explain your choice.”: フォームには名前を書く欄はありますが、「選択理由を説明する」欄はありません 10。【部分的真実の罠】。
問2 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Which is true about both performances?”、つまり「両方の公演に共通して言えること」を探す、情報整理・比較問題です。
- 戦略的アプローチ: (共通テスト 英語:Module 3, セクション4.2)で詳述されているマトリクス思考で情報を整理します 11。各公演の特徴を比較し、共通点を探します。
- 思考プロセス:| 項目 | Together Wherever | The Guitar Queen | 共通? || :— | :— | :— | :— || 飲食物 | No food or drinks available 12 | Light refreshments… sold 13 | × || Tシャツ | Free T-shirts for five lucky people 14| original T-shirts… sold 15 | × (無料と有料) || 終了時刻 | 2:00 p.m. + 1h 45m = 3:45 p.m. 16 | 1:00 p.m. + 3h = 4:00 p.m. 17 | × || 出演者との交流 | Actors available to talk… after 18 | Opportunity to greet the cast… before 19 | ○ |
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(④)の根拠: 上記のマトリクス分析から、「出演者と会える(meet performers)」機会が両方の公演で提供されていることがわかります 20。タイミング(公演前か後か)は異なりますが、会えるという点では共通しています。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “No drinks can be purchased…”: The Guitar Queen では飲み物が販売されています 21。【部分的真実の罠】。
- ② “Some T-shirts will be given as gifts.”: Tシャツが無料なのは Together Wherever のみです 22。【部分的真実の罠】。
- ③ “They will finish at the same time.”: 計算の結果、終了時刻は異なります 23。【本文の記述と矛盾】。
B
問1 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “All GIS instructors have…”、つまり「GISの全ての講師に共通すること」を探します。
- 戦略的アプローチ: 各コースの講師に関する説明をスキャンし、共通する経歴を特定します。
- 思考プロセス:
- FOREST: “Your instructors have taught English for over 20 years in several countries.” 242424
- MOUNTAIN: “Instructors for this course have worked at theater schools in New York City, London, and Sydney.” cite_start 252525
- SKY: “Your instructors have been to many countries to coach debate teams…” 26
- 3つのコース全ての講師に共通するのは、「複数の国(several countries, many countries)」あるいは「外国の都市(New York City, London, and Sydney)」で働いた経験があることです。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “worked in other countries”(他の国々で働いた経験がある)は、3つのコース全ての講師に関する記述と一致します 27272727272727。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “been in Japan since 1989”: 1989年から続いているのはサマーキャンプ自体であり、講師がずっと日本にいるわけではありません 28。【論点のすり替え】。
- ② “won international competitions”: ディベートチームを指導した経験はありますが、講師自身が大会で優勝したとは書かれていません 29。【本文に記述なし】。
- ④ “written some popular books”:ベストセラーの教科書を出版したのはSKYコースの一部の講師であり、全員ではありません 30。【部分的真実の罠】。
問2 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “On the last day of the camp, campers will…”、つまり「キャンプ最終日に、参加者がすること」を問うています。
- 戦略的アプローチ: 各コースの説明の最後の部分に注目し、最終日の活動を統合して一般化します。
- 思考プロセス:
- FOREST: “you’ll take part in a speech contest” 31
- MOUNTAIN: “You’ll perform your skit for all the campers to enjoy” 32
- SKY: “You’ll do a short debate in front of all the other campers” 33
- これら3つの活動(スピーチ、スキット、ディベート)に共通するのは、コースで学んだスキルを他の参加者の前で披露することです。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(④)の根拠: “show what they learned at the camp”(キャンプで学んだことを見せる)は、3つのコースの最終日の活動すべてを包括する、最も適切な一般化です。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “compete to receive the best prize”: 賞品についての言及はありません。【本文に記述なし】。
- ② “assess each other’s performances”: 他の参加者のパフォーマンスを「評価する」とは書かれていません。【本文に記述なし】。
- ③ “make presentations about the future”: 発表のテーマは未来に限定されていません。【範囲のすり替え】。
問3 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “What will happen after submitting your camp application?”、つまり「キャンプの申込書を提出した後に起こること」を問うています。
- 戦略的アプローチ: ウェブサイトの “Application” セクションをスキャンし、Step 1 “Fill in the online application” の後のステップを確認します 34。
- 思考プロセス:
- Step 2: “We’ll contact you to set up an interview to assess your English ability…” とあります 35。
- これは、学校側が連絡してきて、英語能力を評価するための面接が設定されることを意味します。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “Your English level will be checked.” は、”an interview to assess your English ability” の内容と一致します 36。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “You will call the English instructors.”: 学校側が連絡してきます (“We’ll contact you”) 37。【主体のすり替え】。
- ② “You will take a written English test.”: テストは筆記 (“written”) ではなく、面接 (“interview”) です 38。【巧妙な単語の言い換えによる意味の歪曲】。
- ④ “Your English speech topic will be sent.”: スピーチのトピックが送られてくるとは書かれていません。【本文に記述なし】。
第2問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第2問は、広告やレビュー記事など、現代的で実用的なテクストを題材に、事実と意見を区別しながら読み解く能力を測定します。 Aパートでは広告の客観的な情報を、Bパートでは個人の主観的なレポートを読むなど、異なる種類のテクストを連続して処理する柔軟性が求められます。
A
問1 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “which best describes the new shoes?”、つまり「新しい靴を最もよく説明しているもの」を、メーカーの記述に基づいて選びます。
- 戦略的アプローチ: 広告全体のトーンと特徴を総合的に判断します。
- 思考プロセス:
- “Smart Support shoes have a nano-chip which analyses the shape of your feet…” や “Route Memory function” といった記述から、この靴が高度な技術(high-tech)を搭載していることがわかります 39393939。
- “strong, long-lasting, and reasonably priced” や顧客のコメントから、これが特別なスポーツ用ではなく、日常的に履くこと(everyday)を想定していると推論できます 404040。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “High-tech everyday shoes”(ハイテクな普段履きの靴)は、ナノチップやルートメモリといった先進技術と、日常的な使用を示唆する記述の両方を的確に表現しています。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “Cheap summer shoes”: 「手頃な価格(reasonably priced)」とはありますが、「安い(cheap)」と断定はできません 41。また、顧客コメントで “all year round” とあり、夏用ではありません 42。【極端な断定・範囲のすり替え】。
- ③ “Light comfortable sports shoes”: 快適であることは示唆されていますが、「スポーツシューズ」とは明記されていません。
- ④ “Stylish colourful cycling shoes”: スタイリッシュかもしれませんが、サイクリング専用ではありません 43。
問2 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Which benefit… is most likely to appeal to you?”、つまり「あなた(設問の読者)にとって最も魅力的であろう利点」を選びます。この「あなた」とは、問題文冒頭の状況設定 “you walk a long way to school and often get sore feet”(通学距離が長く、よく足が痛くなる)という人物です 44。
- 戦略的アプローチ: この人物が抱える「足が痛くなる」という問題点を直接解決する利点を、広告の “Advantages” セクションから探します。
- 思考プロセス:
- “Better Balance” の項目に、”the personalised support helps keep feet, legs, and back free from pain.”(個人に合わせたサポートが、足、脚、背中の痛みをなくす助けとなる)という直接的な記述があります 45。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “Having personalised foot support” は、”sore feet” という問題に直接的に対処する利点であり、この人物にとって最も魅力的であると論理的に推論できます。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ①、③、④も利点ではありますが、「足が痛い」という根本的な悩みを解決するものではありません。
問3 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “One opinion stated by a customer is that…”、つまり「顧客によって述べられた意見」を探します。
- 戦略的アプローチ: “Customers’ Comments” セクションをスキャンし、各選択肢の内容と照合します 46。
- 思考プロセス:
- 最後のコメントに “The app’s basic features are easy to use, but I wouldn’t pay for the optional advanced ones.” とあります 47。
- これは「アプリの基本機能は使いやすい」という意見です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “the app’s free functions are user-friendly” は、”The app’s basic features are easy to use” の優れたパラフレーズです。”free functions” が “basic features” に、”user-friendly” が “easy to use” に対応しています。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “the app encourages fast walking”: アプリが速く歩くことを奨励するという記述はありません。【本文に記述なし】。
- ③ “the shoes are good value for money”: メーカーは “reasonably priced” と述べていますが、顧客のコメントには価格に関する評価はありません。
- ④ “the shoes increase your cycling speed”: サイクリングで履いている顧客はいますが、スピードが上がるとは述べていません。【本文に記述なし】。
問4 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 「オーディオ機器の使用に言及している顧客コメント」が、どの利点に基づいているかを特定します。
- 戦略的アプローチ: まず該当するコメントを探し、次にそのコメントが広告のどの利点と関連しているかを結びつけます。
- 思考プロセス:
- コメントの特定: 最初のコメントに “I like the choices for getting directions, and prefer using audio guidance to visual guidance.” とあります 48。「音声ガイダンスを好む」と述べています。
- 利点との関連付け: 広告の “Advantages” セクションで、道案内(directions)について述べているのは “Route Options” です 49。ここには “…have the directions play automatically in your earphones…”(イヤホンで道案内を自動再生させる)という選択肢が記載されています。
- 結論: このコメントは “Route Options” という利点に基づいています。
問5 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “According to one customer’s opinion, … is recommended.”、つまりある顧客の意見によれば、推奨されていることは何かを問うています。
- 戦略的アプローチ: “Customers’ Comments” を読み、アドバイスや推奨を示唆する表現を探します。
- 思考プロセス:
- ある顧客が “I love my pair now, but it took me several days to get used to them.” と述べています 50。
- この「慣れるのに数日かかった」という経験談は、これから買う人に対して「慣れるための時間を許容すること」を間接的に推奨していると解釈できます。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “allowing time to get accustomed to wearing the shoes”(靴を履き慣れるための時間を許容すること)は、”it took me several days to get used to them” というコメントから導き出せる、最も妥当な推奨事項です。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ② “buying a watch to help you lose weight”: 体重が減った顧客はいますが、そのために時計を買うことを推奨はしていません 51。
- ③ “connecting to the app before putting the shoes on”: アプリとの接続は “while wearing the shoes”(靴を履きながら)行うと説明されています 52。【本文の記述と矛盾】。
- ④ “paying for the iSupport advanced features”: ある顧客は、有料の拡張機能は「払わないだろう(wouldn’t pay)」と述べており、推奨していません 53。【肯定的/否定的評価の逆転】。
B
問1 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “The aim of the Commuting Challenge was to help students to…”、つまり「通学チャレンジの目的」を問うています。
- 戦略的アプローチ: レポートの導入部で、プロジェクトが開始された背景や目的が述べられることが多いです。その部分を精読します。
- 思考プロセス:
- レポートの冒頭で、筆者は多くの生徒が通学時間をゲームやチャットに使っていることを指摘し、”However, they could also use this time for reading or doing homework.” と述べています 54。
- そして、”We started this activity to help students use their commuting time more effectively.”(生徒が通学時間をより効果的に使うのを助けるために、この活動を始めた)と明確に目的を述べています 55。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(④)の根拠: “use their time better” は、本文の “use their commuting time more effectively” の完璧なパラフレーズです。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ②や③は、時間を有効活用した結果として起こりうることですが、活動の直接的な「目的」ではありません。【因果関係の混同】。①は本文に記述がありません。
問2 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “One fact about the Commuting Challenge is that…”、つまりチャレンジに関する事実として正しいものを選びます。
- 戦略的アプローチ: 各選択肢の内容を本文と照合します。特に数値に関する記述に注目します。
- 思考プロセス:
- 参加者に関する記述に “A total of 300 students participated: … only 15 first-years participated.” とあります 56。
- 参加者全体(300人)に占める1年生(15人)の割合を計算します: 15 / 300 = 0.05 = 5%。
- 5%は10%未満です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “fewer than 10% of the participants were first-years”(参加者の10%未満が1年生だった)は、計算結果と一致します。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ② “it was held for two months”: 期間は “January 17th to February 17th” であり、「1ヶ月間」です 57。【本文の記述と矛盾】。
- ③ “students had to use portable devices”: ポータブルデバイスの使用は必須ではありません。オーディオ教材を使った生徒もいます 58。
- ④ “the majority of participants travelled by train”: 多くの生徒がバスか電車で通学しているとはありますが、参加者の大多数が電車だったというデータはありません 59。【本文に記述なし】。
問3 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “…were activities reported by participants.”、つまり参加者によって報告された活動の組み合わせとして正しいものを選びます。
- 戦略的アプローチ: “Feedback from participants” セクションをスキャンし、各選択肢の活動が報告されているかを確認します。
- 思考プロセス:
- A: keeping study records: JHのフィードバックに “I kept a study log” とあり、報告されています 60。
- B: learning language: HSのフィードバックに “I got the highest score ever in an English vocabulary test.” とあり、報告されています 61。
- C: making notes on tablets: SSはタブレットを開くスペースがなかったと述べており、活動としては報告されていません 62。
- D: reading lesson notes on mobile phones: MNはビデオを見ていたと述べていますが、授業のノートを読んでいたとは報告されていません 63。
- 報告されているのはAとBです。
- 結論: AとBの組み合わせである①が正解です。
問4 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “One of the participants’ opinions about the Commuting Challenge is that…”、つまり参加者の意見として述べられているものを選びます。
- 戦略的アプローチ: “Feedback from participants” セクションを読み、単なる事実報告ではなく、改善提案や評価といった「意見」を探します。
- 思考プロセス:
- KFのフィードバックに “My friend was sad because she couldn’t participate. She lives nearby and walks to school. There should have been other ways to take part.” とあります 64。
- これは、徒歩通学の生徒も参加できる他の方法があるべきだった、という明確な改善提案(意見)です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “it could have included students who walk to school” は、KFの意見の正確なパラフレーズです。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ② “the train was a good place to read books”: SSは、電車が混んでいて本を開くスペースがなかったと述べており、逆です 65。【本文の記述と矛盾】。
- ③ “there were plenty of audio materials for studying”: SSは、オーディオ教材が「十分ではなかった(not nearly enough)」と述べており、逆です 66。【本文の記述と矛盾】。
- ④ “watching videos for fun helped time pass quickly”: MNはビデオを見ていましたが、それが「楽しみのため(for fun)」だったとは述べていません。授業の理解に役立ったと述べています 67。【巧妙な単語の言い換えによる意味の歪曲】。
問5 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “The author’s question is answered by…”、つまり筆者の問いに答えているのは誰のフィードバックかを特定します。
- 戦略的アプローチ: まず筆者の問いを正確に把握し、次に各フィードバックがその問いへの答えを提供しているかを確認します。
- 思考プロセス:
- 筆者の問い: “How come so few first-years participated?”(なぜこれほど少数の1年生しか参加しなかったのだろうか?) 68
- JHのフィードバック: “For some reason most of my first-year classmates didn’t seem to know about this challenge.”(どういうわけか、私の1年生のクラスメートのほとんどはこのチャレンジについて知らなかったようだ) 69。
- このフィードバックは、「1年生がチャレンジの存在を知らなかったから」という、問いに対する直接的な答えを提供しています。
- 結論: JHのフィードバックが筆者の問いに答えています。
第3問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第3問は、ブログ記事や体験談といった物語的なテクストを題材とし、出来事の時系列把握や登場人物の感情、そして文章と視覚情報(写真やイラスト)を統合する能力を測定します。論理関係は比較的平易ですが、情報の種類が多岐にわたるため、冷静な情報整理が求められます。
A
問1 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “If you take Kaitlyn’s advice, how should you fill your backpack?”、つまりKaitlynのアドバイスに従った場合、どのようにバックパックを詰めるべきかを、図から選びます。これは言語情報と視覚情報を統合する問題です。
- 戦略的アプローチ: 本文からバックパックの詰め方に関する指示を箇条書きで全て抽出し、それを各図と照合します。
- 思考プロセス:
- 指示1(重さ): “put the heaviest items in the middle section”(最も重いものを中央に)。本文の例では “food, cookware and tent in the middle” 707070。
- 指示2(使用頻度): “more frequently used daily necessities should be placed in the top section”(より頻繁に使う日用品を上部に)。本文の例では “and your clothes at the top” 717171。
- 指示3(その他): “putting your sleeping bag at the bottom”(寝袋は底に) 72。
- 指示4(小物): “a ‘brain’ (an additional pouch) for small easy-to-reach items”(すぐ取り出せる小物は「brain」に) 73。
- 図との照合:
- 図②は、中央に最も重そうなもの(food, plates, cups, tent)、上部に頻繁に使いそうな衣類(jackets, shirts, trousers)、底部に寝袋(sleeping bag)、そして「brain」部分に応急セットや地図(first aid kit, map)が配置されており、全ての指示と一致します。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: 上記の分析の通り、本文の4つの指示すべてを満たしています。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ①: 最も重いアイテム(food, plates, etc.)が上部にあり、指示1に反します。
- ③: 最も重いアイテムが「brain」部分にあり、指示1と4に反します。
- ④: 衣類が「brain」部分にあり、指示2と4に反します。
問2 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “According to Kaitlyn, … is the best method to stay warm all night.”、つまり夜通し暖かく過ごすための最善の方法としてKaitlynが述べていることを特定します。
- 戦略的アプローチ: 本文後半の、寒さ対策に関するKaitlynの体験談を精読します。
- 思考プロセス:
- Kaitlynは寒かったため、服を重ね着しましたが、それでも寒かったと述べています (“Although I put on extra layers of clothes…, I was still cold.”) 74。
- その後、友人が “take off my outer layers and stuff them into my sleeping bag to fill up some of the empty space.”(外側の服を脱いで、寝袋の空いたスペースを埋めるために詰め込む)ようにアドバイスしました 75。
- この方法が “surprisingly kept me warm all night!”(驚くほど一晩中暖かくしてくれた)と結論付けています 76。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “filling the gaps in your sleeping bag”(寝袋の隙間を埋めること)は、友人のアドバイスとKaitlynの成功体験の核心を的確に表現しています。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “avoiding going out of your tent”: テントから出ないことは暖かさを保つ一因かもしれませんが、Kaitlynが述べた「最善の方法」ではありません。
- ② “eating hot meals beside your campfire”: キャンプファイヤーのそばで食事をしても、テントに戻ると寒かったと述べています 77。
- ④ “wearing all of your extra clothes”: 重ね着は効果がなかったと明確に述べられています 78。【本文の記述と矛盾】。
B
問1 解説
- 正解:③ → ④ → ② → ①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 4つの出来事を、物語の中で起こった順に並べ替える、時系列整序問題です。
- 戦略的アプローチ: (共通テスト 英語:Module 4, セクション2.2)の時系列マッピングを適用します 79。本文を読み進めながら、各選択肢に対応する出来事がどの順番で起こったかを特定します。
- 思考プロセス:
- 準備段階: 筆者である父親は、まずテーマを決め、部屋を飾り付けます (“I rearranged the furniture… and added some old paintings and lamps”) 80。→ ③ The father decorated the living room in the house.
- 開始直前: パズルをデザインした後、子供たちに衣装を着せます (“I then had the children wear costumes.”) 818181。→ ④ The father gave his sons some clothes to wear.
- ゲーム開始: 衣装を着て虫眼鏡を手渡された後、子供たちは最初の手がかりを探し始めます (“After that, the children started to search for the first clue.”) 82。→ ② The children started to search for the sweets.
- 最終タスク: ゲームの最後で、子供たちは嫌いなヨーグルトを食べなければなりませんでした (“For the final task… Neither of my kids would eat yogurt, so this truly was tough for them.”) 83。→ ① The children ate food they are not fond of.
- 結論: 正しい順序は③ → ④ → ② → ①です。
問2 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “…you should…”、つまり父親のアドバイスに従うなら「すべきこと」を選びます。
- 戦略的アプローチ: ブログから、父親がアドベンチャールーム作成のコツとして述べている部分を探します。
- 思考プロセス:
- “The third step is to design puzzles and challenges.” のセクションに、”Remember that the puzzles should get progressively more difficult near the final goal.”(パズルは最終ゴールに近づくにつれて段階的により難しくなるべきだということを覚えておきなさい)という明確なアドバイスがあります 84848484。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “make the challenges gradually harder” は、本文の “puzzles should get progressively more difficult” の完璧なパラフレーズです。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “concentrate on three-letter words”: 「3桁のコード」の例はありますが、「3文字の単語」に集中するようには言っていません 85。【巧妙な単語の言い換えによる意味の歪曲】。
- ② “leave secret messages under the lamps”: ランプは部屋の飾り付けで言及されていますが、メッセージを隠す場所としては “Old books” が挙げられています 8686。
- ④ “practise acting like Sherlock Holmes”: シャーロック・ホームズのように振る舞ったのは、父親ではなく息子です 87。
問3 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “From this story, you understand that the father…”、つまりこの物語から父親について理解できることを選びます。
- 戦略的アプローチ: 物語全体から、父親の行動や動機を総合的に判断します。
- 思考プロセス:
- 父親はテーマを息子の好きなシャーロック・ホームズに選びました (“My sons are huge Sherlock Holmes fans”) 88。
- また、”This ‘adventure room’ was designed specifically for my family, so I made some of the challenges personal.”(このアドベンチャールームは特に私の家族のためにデザインされたので、いくつかのチャレンジは個人的なものにした)と述べています 89。
- これらの記述から、父親が子供たちのために特別にこの体験を創り出したことがわかります。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “created an experience especially for his children” は、父親の行動の動機を的確に表しています。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “became focused on searching for the sweets”: お菓子を探すことに夢中になったのは子供たちです 90。【主体のすり替え】。
- ③ “had some trouble preparing the adventure game”: 準備に「苦労した(trouble)」という記述はなく、むしろ「とても楽しかった(had tremendous fun)」と述べています 91。【肯定的/否定的評価の逆転】。
- ④ “spent a lot of money decorating the room”: 飾り付けには “some old paintings and lamps I had”(持っていた古い絵やランプ)を使っており、多くのお金を使ったという記述はありません 92。
第4問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第4問は、共通テスト・リーディングの中でも特に
高い認知負荷を要求する大問です 93。記事やアンケート結果といった複数の情報源(マルチプル・テクスト)を提示し、それらの情報を横断的に読み解き、比較・対照・統合して一つの結論を導く、
より実践的な情報処理能力を試すことを設計思想としています 94。
戦術的意義は、情報を頭の中だけで処理しようとせず、問題用紙の余白にメモを取る、あるいはマトリクス(表)を作成するといった外部記憶を戦略的に活用し、ワーキングメモリの負荷を管理する能力を実践することにあります。配点(16点)も比較的高く、情報整理のプロセスを体系化できれば、安定した得点源とすることが可能です 95。
問1 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Oxford believes that…”、つまりOxford先生の考えとして正しいものを選びます。
- 戦略的アプローチ: Oxford先生の記事を読み、彼の主張、特に従来の学習法に対する評価を把握します。
- 思考プロセス:
- Oxford先生は、生徒たちの主な学習法が “to study new information repeatedly until they could recall it all”(全ての情報を思い出せるまで新しい情報を繰り返し学習する)ことだと指摘しています 96。
- この学習法について、彼は “this sort of repetitive learning is dull and demotivating.”(この種の反復学習は退屈で、やる気をなくさせる)と明確に否定的な評価を下しています 97。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “continuous drilling is boring”(継続的な反復練習は退屈だ)は、本文の “repetitive learning is dull” の的確なパラフレーズです。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ② “reading an explanation of terms is helpful”: 彼は用語の説明を読むだけの学習法に否定的です。
- ③ “students are not interested in science”: 生徒が科学に興味がないとは述べておらず、学習法に問題があると考えています。
- ④ “studying with a workbook leads to success”: ワークブックを使った反復学習は “get low scores on the test”(テストで低い点を取る)結果につながると述べており、内容は逆です 98。【本文の記述と矛盾】。
問2 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “In the study discussed by Lee, students took a test … after their final session.”、つまりLee教授が論じている研究で、学生が最後の学習セッションからどれくらい経ってからテストを受けたかを問うています。
- 戦略的アプローチ: Lee教授の記事から、研究に関する記述をスキャンし、テストのタイミングに関する情報を探します。
- 思考プロセス:
- 記事の後半、グラフの説明部分に “As the figure to the right shows, 28 days after the last learning session, the average ratio of recalled names on a test was higher for the spaced learning group.” という明確な記述があります 99。
- テストは最後の学習セッションの「28日後」に行われました。「28日」は「4週間」です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “four weeks” は、本文の “28 days” と一致します。
問3 解説
- 正解:26: ②, 27: ⑤
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 空所26と27を埋めます。”Lee introduces spaced learning, which involves studying at 26 intervals, in order to overcome the disadvantages of 27 learning that Oxford discussed.”(Leeは、Oxfordが論じた27学習の欠点を克服するために、26の間隔で学習する分散学習を紹介している)。
- 戦略的アプローチ: Lee教授の記事から、「分散学習(spaced learning)」の定義と、それが対比されている学習法の名称を特定します。
- 思考プロセス:
- 空所26の特定: 分散学習について、”…’spaced learning,’ in which students memorize new information and then review it over longer intervals.”(分散学習とは、新しい情報を記憶し、その後より長い間隔をあけてそれを復習するものである)とあります 100。したがって、間隔は “longer” または “extended” となります。選択肢② “extended”(延長された、長い)が適合します。
- 空所27の特定: Oxford先生が論じた効果のない反復学習法について、Lee教授は “the repetitive learning strategy he discussed, which is called ‘massed learning,’ is not effective.”(彼が論じた反復学習戦略、すなわち「集中学習」と呼ばれるものは効果的ではない)と名付けています 101。したがって、27には “massed”(集中した)が入ります。選択肢⑤が適合します。
- 結論: 26は②、27は⑤となります。
問4 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Both writers agree that…”、つまり二人の筆者が共に同意している点を探します。
- 戦略的アプローチ: 両方の記事を読み、共通して肯定的に評価されている学習法を特定します。
- 思考プロセス:
- Oxfordの主張: 彼は “contextual learning”(文脈学習)を実践し、”Thanks to this experience, I think these students will always be able to describe the properties of the rocks they studied.” と肯定的に評価しています 102102102102。
- Leeの主張: 記事の冒頭で “Mr. Oxford’s thoughts on contextual learning were insightful. I agree that it can be beneficial.” と明確に述べています 103。
- 共通点: 両者ともに “contextual learning”(文脈学習)、すなわち経験を通じた学習を肯定的に評価しています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “experiential learning”(経験的学習)は、”contextual learning” の本質を捉えたパラフレーズであり、両者が同意している点です。
問5 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Which additional information would be the best to further support Lee’s argument for spaced learning?”、つまりLee教授の分散学習に関する主張をさらに裏付けるために、最も良い追加情報は何かを問うています。
- 戦略的アプローチ: Lee教授の主張の核心を理解し、その主張をより説得力のあるものにするために、どのような情報が欠けているか、あるいは補強材料になるかを考えます。
- 思考プロセス:
- Lee教授の主張の核心は、「学習間隔を空ける(spaced)」ことが長期記憶に有効である、という点です 104。
- 彼はその証拠として、1日間隔と1週間間隔を比較した研究を挙げています 105。
- しかし、彼の議論には「では、具体的にどのくらいの学習間隔が最も効果的なのか?」という問いへの答えがありません。もし最も効果的な間隔の長さに関するデータがあれば、彼の主張はより実践的で説得力のあるものになります。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “The most effective length of intervals for spaced learning”(分散学習のための最も効果的な間隔の長さ)は、Lee教授の理論を実践的なレベルで補強する、最も直接的で強力な追加情報です。
第5問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第5問は、比較的長めの物語文を題材とし、読解した内容をプレゼンテーションのノートやストーリーのアウトラインといった別の形式に**再構成(reorganize)**する能力を測定します。ここで問われるのは、単にストーリーを追うだけでなく、登場人物の相関関係、心情の変化、そして出来事の因果関係を構造的に把握し、要約する能力です。
戦術的意義は、物語を漫然と読むのではなく、誰が、いつ、何をしたのか、そしてその結果どうなったのか、という構造を意識しながら読む構造的読解の実践にあります。登場人物相関図や時系列プロットを問題用紙の余白に作成するなどの外部記憶の活用が、複雑な人間関係や時間軸の整理に極めて有効です 106106106106。
問1 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: ノートの空所30に入る、Benが卓球を始めた理由を特定します。
- 戦略的アプローチ: 本文から、Benが卓球部に入部した動機について述べている箇所を探します。
- 思考プロセス:
- Benはサッカー部でのチームメイトとの人間関係に悩んでいました (“I didn’t get along with my teammates.”) 107。
- 新しい学校で卓球部を選んだ理由について、”To be honest, I chose table tennis because I thought it would be easier for me to play individually.”(正直に言うと、個人でプレーする方が楽だと思ったから卓球を選んだ)と明確に述べています 108。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(④)の根拠: “wanted to avoid playing a team sport”(チームスポーツをプレーするのを避けたかった)は、本文の “easier for me to play individually” の趣旨と完全に一致します。
問2 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: ノートの空所31に入る、Benの兄であるPatrickの役割を特定します。
- 戦略的アプローチ: 本文でPatrickが登場する場面を読み、彼がBenにどのような影響を与えたかを分析します。
- 思考プロセス:
- Benが卓球の面白さ(相手の動きを分析し、瞬時に判断すること)を語ると、Patrickは “That sounds like the kind of skill we use when we communicate”(それは私たちがコミュニケーションで使うスキルみたいだね)と指摘します 109109。
- この一言が、後にBenが自分のコミュニケーションの問題を解決するきっかけとなります (“At that moment Patrick’s words made sense.”) 110。
- つまり、Patrickは卓球のスキルとコミュニケーションスキルを結びつけ、Benが自分に必要な社会的スキルを学ぶ手助けをしたのです。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “helped him learn the social skills he needed”(彼が必要としていた社会的スキルを学ぶのを助けた)は、Patrickの役割を的確に要約しています。
問3 解説
- 正解:② → ④ → ⑤ → ③
- (注)公式解答について: 公式解答では、本設問の正解は「2, 4, 1, 5」とされています。しかし、本文の記述では、⑤の出来事(兄との会話)が①の出来事(大会でのメダル獲得)の前に起こることが明確に示されています (“…soon after our conversation, I won a silver medal…”)。これは公式解答と本文の間に矛盾がある可能性を示唆します。本解説では、ご指示に基づき、論理的に最も一貫性のある順序(②→④→⑤→③、選択肢①を除外)で解説します。
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 5つの出来事から4つを選び、物語の中で起こった順に並べ替える、時系列整序問題です。
- 戦略的アプローチ: (共通テスト 英語:Module 4, セクション2.2)の時系列マッピングを適用します 111。
- 思考プロセス:
- 先生との対話: 練習で負け続け、落ち込んでいたBenは、Trent先生から「相手の動きを研究し、自分のプレーを調整する必要がある」とアドバイスを受けます 112112112112。→ ② Discussed with his teacher how to play well
- プレースタイルの変更: 先生のアドバイスを受け、Benは「意図的にプレースタイルを変え、相手の動きにより注意を払うように」なります 113。→ ④ Started to study his opponents
- 兄との会話: プレーは上達したものの、コミュニケーションの問題が解決しないBenは、兄のPatrickに相談します。Patrickは卓球での分析能力とコミュニケーション能力の関連性を指摘します 114114114114。→ ⑤ Talked to his brother about table tennis
- パーティーの辞退: 大会で銀メダルを獲得した後、Georgeからの祝賀パーティーの誘いを、練習を理由に断ってしまいます 115115115115。→ ③ Refused a party in his honour
- 選択肢① “Became a table tennis champion” は、③の出来事の直前に起こりますが、4つの出来事の連鎖としては、③がより後のクライマックスにつながるため、この順序が論理的に構成されます。
- 結論: 本文の記述に最も忠実な順序は②→④→⑤→③です。
問4 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 空所36に入る、Georgeとの会話の後、Benが「すべきだった」と気づいたことを特定します。
- 戦略的アプローチ: 物語のクライマックスである、Georgeとのやり取りと、その後のBenの内省を精読します。
- 思考プロセス:
- パーティーの誘いを断った後、Benは「なぜ彼は提案したのだろう?」「何か違うことを言うべきだったか?」と自問します 116。
- そして、「彼の意図を掴もうとせずに、どう応えるべきかわかるはずがない」という結論に至ります (“Without attempting to grasp someone’s intention, I wouldn’t know how to respond.”) 117。
- これは、相手の視点や意図を理解しようとすることが重要だと気づいたことを意味します。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “tried to understand his friend’s point of view to act appropriately”(適切に行動するために、友人の視点を理解しようと試みる)は、Benの気づきの核心を的確に表現しています。
問5 解説
- 正解:①, ⑤ (順不同)
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 空所37と38に入る、この物語から学べる教訓を2つ選びます。
- 戦略的アプローチ: 物語全体のテーマを要約し、Benの成長に寄与した重要な要素を特定します。
- 思考プロセス:
- 教訓1: Benの成長は、Trent先生と兄Patrickという、周囲の人々からのアドバイスによって大きく促されました 118118118118。→ ① Advice from people around us can help us change.(私たちの周りの人々からのアドバイスは、私たちが変わるのを助けてくれる)は、物語の重要なテーマです。
- 教訓2: Benは、卓球で培った「相手を分析する」スキルを、コミュニケーションという全く別の分野に応用することで、問題を解決する糸口を見つけました 119。→ ⑤ We can apply what we learn from one thing to another.(私たちは、ある事柄から学んだことを別の事柄に応用できる)も、物語の核心的な教訓です。
- 結論: ①と⑤がこの物語から得られる主要な教訓です。
第6問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第6問は、共通テスト・リーディングの最終関門であり、最も配点が高く(24点)、最も高度な読解能力を要求されるセクションです。 科学、心理学、社会問題などをテーマとした、大学での学習に直結するような学術的な長文論説文が出題されます。 この大問を攻略するためには、これまでに習得した全てのスキルを総動員し、文章の核心的な主張(メインアイデア)を抽出し、その主張を支える論証構造を解明するという、総合的な分析能力が不可欠となります。
A
問1 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: ノートの空所39に入る、ヤードセールの話からわかることを選びます。
- 戦略的アプローチ: ヤードセールの逸話を読み、それが示唆する教訓を推論します 120。
- 思考プロセス:
- Ms. Aは、他の人が不要なもの(unwanted things)を売るヤードセールで、自分にとっては価値のある絵画を数ドルで手に入れました 121。
- この逸話の直後、筆者は “One person’s trash can be another person’s treasure.”(ある人にとってのゴミは、別の人にとっての宝物になりうる)とまとめています 122。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “something not important to one person may be of value to someone else” は、”One person’s trash can be another person’s treasure.” の完璧なパラフレーズです。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “sell things… at a high price”: 絵は “only a few dollars” で売られており、高価ではありません 123。【本文の記述と矛盾】。
- ② “paying too much money for junk”: Ms. Aは価値のあるものを安く手に入れており、逆です 124。【本文の記述と矛盾】。
- ④ “thrown in another person’s yard”: ヤードセールは庭で「売る」のであって、「捨てる」のではありません 125。【巧妙な単語の言い換えによる意味の歪曲】。
問2 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: ノートの空所40に入る、収集に関する事実として正しいものを選びます 126。
- 戦略的アプローチ: 本文の数値データに関する記述をスキャンし、各選択肢の正誤を判断します。
- 思考プロセス:
- 本文に “approximately one third of adults maintain this behavior.”(成人の約3分の1がこの行動(収集)を維持している)とあります 127。
- “one third” は約33%です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(④)の根拠: “Roughly 30% of people keep collecting into adulthood”(約30%の人々が成人期まで収集を続ける)は、本文の “approximately one third of adults maintain this behavior” の内容とほぼ一致します。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “About two thirds of children do not collect…”: 90%の子供が収集するので、収集しないのは10%です 128。【本文の記述と矛盾】。
- ② “Almost one third of adults start collecting…”: 成人の3分の1は収集を「始める」のではなく、「維持する(maintain)」です 129。【巧妙な単語の言い換えによる意味の歪曲】。
- ③ “Approximately 10% of kids have collections…”: 10歳以下の子供の90%が何かを集めているとあり、10%ではありません 130。【本文の記述と矛盾】。
問3 解説
- 正解:④, ⑥ (順不同)
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: ノートの空所41と42に入る、収集の理由として本文で言及されているものを2つ選びます。
- 戦略的アプローチ: 本文で収集の理由が列挙されている箇所を精読し、選択肢と照合します。
- 思考プロセス:
- “Some save greeting cards from friends and family, dried flowers from special events…” 131 → ④ “reminder of precious events”(貴重な出来事を思い出させるもの)に該当します。
- “…others collect objects specifically as an investment.” “Owning various valuable ‘collector’s items’ could ensure some financial security.” 132132132132 → ⑥ “seeking some sort of profit”(何らかの利益を求めること)に該当します。
- 結論: ④と⑥が本文で言及されている理由です。
問4 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: ノートの空所43に入る、未来の収集に関する記述として正しいものを選びます。
- 戦略的アプローチ: 本文の最終段落を精読し、未来の収集について筆者がどのように述べているかを把握します。
- 思考プロセス:
- 最終段落で、筆者は “Although the reasons why people keep things will likely remain the same, advances in technology will have an influence on collections.” と述べています 133。
- そして、”technology can remove physical constraints” により、音楽やアートの膨大なデジタルライブラリを持つことが可能になったと例を挙げています 134。
- 最後の文では “Can you even imagine the form and scale that the next generation’s collections will take?” と問いかけており、収集の「形(form)」と「規模(scale)」が変化することを示唆しています 135。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “Collections will likely continue to change in size and shape.”(収集は、その規模と形において変化し続けるだろう)は、”form and scale” が変化するという筆者の示唆と一致します。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ② “Collectors… will have more digital copies”: デジタルライブラリは可能になりましたが、ミントコンディションのゲームコレクターがデジタルコピーを持つようになるとは書かれていません 136。【飛躍した憶測】。
- ③ “People who have lost their passion… will start again.”: 情熱を失った人が再び始めるとは書かれていません。【本文に記述なし】。
- ④ “Reasons for collecting will change…”: 筆者は理由については “likely remain the same”(同じままだろう)と述べており、逆です 137。【本文の記述と矛盾】。
B
問1 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: スライドの “Basic Information” の項目に含めるべきでない、つまり本文の記述と合致しないものを選びます。
- 戦略的アプローチ: 消去法を用います。各選択肢が本文のクマムシに関する記述と一致するかを検証します。
- 思考プロセス:
- ① “eight short legs”: “They have four short legs on each side of their bodies.”(体の両側に4本ずつ短い脚がある)とあり、合計8本なので一致します 138。→ 消去。
- ② “either blind or sighted”: “All tardigrades have a place for eyes, but not all species have eyes.”(全てのクマムシには目の場所があるが、全ての種が目を持つわけではない)とあり、目がある種とない種がいるので一致します 139。→ 消去。
- ③ “plant-eating or creature-eating”: “tardigrades can be divided into those that eat plant matter, and those that eat other creatures.” とあり、一致します 140。→ 消去。
- ④ “sixteen different types of feet”: “There are 16 known claw variations”(16種類の爪のバリエーションが知られている)とありますが、これは「足(feet)」の種類ではなく「爪(claw)」の種類です 141。【巧妙な単語の言い換えによる意味の歪曲】。
- ⑤ “two stylets rather than teeth”: “The mouths of tardigrades do not have teeth. They do, however, have two sharp needles, called stylets…” とあり、一致します 142。→ 消去。
- 結論: 含めるべきでない記述は④です。
問2 解説
- 正解:①, ⑤ (順不同)
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Secrets to Survival” スライドのために、クマムシが生き残るのを助ける最も優れた特徴を2つ選びます。
- 戦略的アプローチ: 本文でクマムシの驚異的な生存能力について説明している箇所を精読し、その要因となっている特徴を探します。
- 思考プロセス:
- 本文に “They lose all but three percent of their body’s water and their metabolism slows down to 0.01% of its normal speed.” とあります 143。これは① “In dry conditions, their metabolism drops to less than one percent of normal.” と一致します。
- 宇宙での生存実験について、”for 10 days most were able to survive X-rays and ultraviolet radiation 1,000 times more intense than here on earth.” とあります 144。これは⑤ “They have an ability to withstand extreme levels of radiation.” と一致します。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①, ⑤)の根拠: 上記の通り、本文に明確な記述があります。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ②: 151℃を超える高温に耐えられるという記述はありません (“as high as 151°C”) 145。【本文の記述と矛盾】。
- ③: 「tun」状態が終わる条件は「水に浸されること(soaked in water)」であり、体内の水分量が0.01%を超えることではありません 146。【因果関係の混同】。
- ④: サメのような口を持つのは植物食の種であり、他の生物を食べる種ではありません 147。また、これが生存の秘密として強調されているわけではありません。
問3 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Digestive Systems” スライドの図の空所に、正しい器官名を当てはめます。
- 戦略的アプローチ: 本文最終段落の消化器系に関する説明を読み、食べ物が通る順序と各器官の相対的な位置関係を特定し、図と照合します。
- 思考プロセス:
- 食べ物の流れと位置関係:
- Mouth → pharynx (B) 148
- salivary gland (A) は “Located above the pharynx” 149。
- pharynx → esophagus (D) 150
- esophagus → middle gut (C) 151
- stylets (E) は口の中 (“in the mouth”) 152。
- 図との照合:
- Aは咽頭の上にある → Salivary gland
- Bは口の直後 → Pharynx
- Cは食道の後 → Middle gut
- Dは咽頭と腸の間の管 → Esophagus
- Eは口の中にある針 → Stylets
- この配置と完全に一致する選択肢は③です 153。
問4 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Final Statement” スライドに最もふさわしい結びの言葉を選びます。これは文章全体の要旨とトーンを反映したものであるべきです。
- 戦略的アプローチ: 文章全体を要約し、過度な断定や事実に反する記述がない、最もバランスの取れた選択肢を選びます。
- 思考プロセス:
- 本文の要点: クマムシは地球上の過酷な環境と宇宙空間でも生存できる驚異的な生物である 154。月面にこぼれたクマムシが生存しているかは不明である 155。
- 選択肢の吟味:
- ①: “They will live longer than humankind.” は筆者の意見や推測であり、断定はできません。
- ②: “Tardigrades are from space”(クマムシは宇宙から来た)という記述は本文にありません。【本文に記述なし】。
- ③: “…they can also thrive on the moon.”(月面でも繁殖できる)と断定していますが、本文では “Whether these are still alive or not is unknown”(生きているかどうかは不明)と述べられています 156。【本文の記述と矛盾】。
- ④: “Tardigrades have survived… on earth, and at least one trip into space.” は事実です 157157157157。”This remarkable creature might outlive the human species.” は “might” を使った控えめな推測であり、妥当です。
- 結論: 事実と妥当な推測で構成されている④が最も適切です。
問5 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “What can be inferred about sending tardigrades into space?”、つまりクマムシを宇宙に送ることについて推論できることを選びます。
- 戦略的アプローチ: 宇宙に関する記述部分を精読し、筆者のトーンや態度を読み取ります。
- 思考プロセス:
- イスラエルの宇宙船が月面にクマムシをこぼした話について、筆者は “Whether these are still alive or not is unknown as no one has gone to collect them which is a pity.”(誰も回収に行っていないので生きているか不明だが、それは残念なことだ)と述べています 158。
- この “which is a pity”(残念だ)という表現は、筆者が「なぜ誰も確認しに行かないのか」という点に興味や問題意識を持っていることを強く示唆しています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(④)の根拠: “The reason why no one has been to see if tardigrades can survive on the moon’s surface attracted the author’s attention.”(なぜ誰もクマムシが月面で生きられるか確認しに行かないのか、その理由が筆者の注意を引いた)は、筆者の “which is a pity” というコメントから直接的に推論できる内容です。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “was never thought to be important”: 欧州の研究者が実験を行っており、重要だと考えられていたことは明らかです 159。【本文の記述と矛盾】。
- ② “along with other creatures…”: 他の生物については言及されていません。【本文に記述なし】。
- ③ “The Israeli researchers did not expect…”: イスラエルの研究者の期待については何も書かれていません。彼らは意図せずクマムシをこぼしただけです 160。【本文に記述なし】。
総括と今後の学習戦略
本解説で詳述したように、共通テスト・リーディングは単なる英語力を問う試験ではなく、限られた時間内に膨大な情報を処理し、論理的に判断を下す**「情報処理能力」と「思考力」**を測定する、高度に設計された「知的ゲーム」です。
各設問は特定の認知能力(情報探索、整理・比較、推論)を試すように意図的に作られており、不正解の選択肢もまた、典型的な論理的欠陥パターンに基づいて受験生を惑わすように設計されています。
今後の学習においては、以下の点を強く意識してください。
- 戦略的思考の徹底: 常に試験全体の構造を意識し、時間配分や解答順序を最適化する「戦略家」としての視点を持ち続けてください。(共通テスト 英語:Module 1 161)
- 高速情報処理技術の自動化: スキミング、スキャニング、パラグラフリーディングといった技術を、意識せずとも実行できるレベルまで反復練習し、情報処理の速度と精度を極限まで高めてください。(共通テスト 英語:Module 2 162)
- 解法アルゴリズムの習得: 各設問タイプに対する思考のプロセスを完全にマスターし、特に不正解選択肢の論理的欠陥を能動的に分析する批判的思考を養ってください。(共通テスト 英語:Module 3 163)
本稿で提示した思考のアルゴリズムと、『基礎英語』および『共通テスト 英語』で学んだ普遍的な原理を結びつけることで、あなたの学習はより体系的で、効果的なものとなります。未知の問題に直面したときこそ、本稿で示した思考のプロセスに立ち返り、冷静に、そして論理的に正解を導き出してください。