【本記事の目的と構成】
本稿の目的は、2022年度大学入学共通テスト(英語リーディング)の全設問を、単に解答を提示するだけでなく、その正解に至るための思考プロセスを完全な形で再現・解説することにあります。多くの受験生が共通テスト・リーディングで直面する課題は、単語や文法の知識不足以上に、限られた時間内で膨大な情報を処理し、論理的に判断を下す「情報処理能力」と「思考力」の不足に起因します。(共通テスト 英語:Module 1で詳述したように、この試験は知識量ではなく、知識の運用能力を測定しているのです。)
本稿は、参照資料である『基礎英語』および『共通テスト 英語』で体系化された理論と戦略を全面的に活用し、一問一問を「知的ゲーム」として捉え、そのルールを解明し、勝利を収めるための具体的な思考のアルゴリズムを提示します。 各設問の解説では、以下の要素を網羅します。
- 思考のアルゴリズム: 設問の要求を解読し、最適な戦略(スキャニング、マトリクス思考など)を選択し、正解を導き出すまでの一連の思考プロセスを段階的に詳述します。
- 選択肢の微視的分析: なぜその選択肢が正解であり、他の選択肢がなぜ、そしてどのように誤っているのかを、『共通テスト 英語』で提示された「7つの論理的欠陥パターン」に基づき、本文の根拠と照らし合わせながら徹底的に解剖します 1。
- 理論的背景との連携: 各設問を解く上で活用される思考法が、『基礎英語』や『共通テスト 英語』で学んだどの原理(スキーマ理論、結束性理論、統語解析など)に基づいているのかを明示し、あなたの学習に一貫性と体系性をもたらします。
この記事を読了したとき、あなたは単にこの試験の答え合わせを終えるだけでなく、共通テスト・リーディングという試験の本質を深く理解し、あらゆる問題に対して論理的かつ戦略的にアプローチするための、確固たる知的基盤を手にしているはずです。
目次
第1問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第1問は、日常生活に関連する多様な形式の情報(広告、チラシ、案内など)から、設問が要求する特定の情報を、いかに迅速かつ正確に抽出し、照合できるかという、基本的な情報処理能力を測定します。 難易度は比較的平易に設定されているため、満点を確保し、試験全体の精神的な安定を得るとともに、後半の難問に取り組むための
時間的アドバンテージを確立することが戦術的意義となります 2。
A
問1 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 設問は “Both cupuaçu and buriti can be used to make…”、つまり「クプアスとブリーチの両方を使って作ることができるもの」を特定するよう要求しています。これは2つの情報源の共通点を探す、典型的な情報整理・比較問題です 3。
- 戦略的アプローチ: (共通テスト 英語:Module 4, セクション1.2)で詳述されている「設問先読み」からの逆算スキャニングを適用します 4。まず設問を読み、”cupuaçu” と “buriti” という2つのキーワードをターゲットとして設定します。
- 思考プロセス:
- “cupuaçu” の説明文に “Great for desserts, such as cakes, and with yogurt” とあります 5。
- “buriti” の説明文に “Best for ice cream, cakes, and jams” とあります 6。
- 両方の説明文に共通して含まれる用途は “cakes” です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “a cake” は、両方の果物の説明文に共通して “cakes” として記載されており、完全に一致します 7。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ② “chocolate”: “cupuaçu” はチョコレートのような味がするとありますが、”buriti” にはその記述がありません。【部分的真実の罠】 8。
- ③ “ice cream”: “buriti” の用途にはありますが、”cupuaçu” にはありません。【部分的真実の罠】。
- ④ “yogurt”: “cupuaçu” の用途にはありますが、”buriti” にはありません。【部分的真実の罠】。
問2 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “If you want to make a sour cake, the best fruit to use is…”、つまり「酸っぱいケーキを作るのに最適な果物」を探します。これは複数の条件(①酸っぱい、②ケーキに使える)を統合して判断する問題です。
- 戦略的アプローチ: 各果物の説明をスキャンし、”sour” と “cakes” の両方のキーワードを含むものを探します。
- 思考プロセス:
- Cupuaçu: “tastes like chocolate” であり、酸っぱいという記述はありません 9。
- Jabuticaba: “After they get sour, use them for making jams, jellies, and cakes.” とあります 10。「酸っぱくなった後、ケーキ作りに使える」とあり、条件に完全に一致します。
- Pitanga: “The sour green one is only for jams and jellies.” とあり、酸っぱい種類はケーキには使えません 11。
- Buriti: “Tastes very sweet” とあり、酸っぱいという記述はありません 12。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “jabuticaba” のみが、「酸っぱい」状態で「ケーキ」に使えるという2つの条件を同時に満たします 13。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ①と②は酸っぱくありません。④は酸っぱい種類がありますが、ケーキには使えません。
B
問1 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “You can enter this contest between…”、つまり「このコンテストに応募できる期間」を問うています。
- 戦略的アプローチ: “enter” や “submit” といったキーワードを手がかりに、応募期間に関する情報をスキャンします。
- 思考プロセス:
- “How to Enter” のセクションに、”Names are accepted starting at 12:00 a.m. on June 1 until 11:59 p.m. on June 7.” という明確な記述があります 14。
- これは、応募期間が6月1日から6月7日までであることを示しています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “June 1 and June 7” は、本文の記述と完全に一致します 15。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ①はキリンが生まれた日、③は最終候補の発表と決定日、④は賞品の有効期限であり、応募期間ではありません。【論点のすり替え】。
問2 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “When submitting your idea…, you must…”、つまり「名前のアイデアを応募する際に、しなければならないこと」を問うています。
- 戦略的アプローチ: “How to Enter” のセクションを精読し、応募の必須条件を探します。
- 思考プロセス:
- “Each submission is $5.” という記述があります 16。これは、応募ごとに5ドルが必要であることを意味します。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “pay the submission fee”(応募料を支払う)は、”Each submission is $5” の内容と一致します 17。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “buy a day pass”: 1日パスは賞品であり、応募条件ではありません。
- ③ “spend five dollars at the City Zoo”: 5ドルを支払うのは応募のためであり、動物園で使う必要はありません。
- ④ “watch the giraffe through the website”: ウェブカメラを見ることはアイデアを得るために推奨されていますが、必須条件 (“must”) ではありません。【巧妙な単語の言い換えによる意味の歪曲】(「推奨」を「必須」に歪曲)。
問3 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “If the name you submitted is included among the five finalists, you will…”、つまり「最終候補の5名に残った場合に得られるもの」を問うています。
- 戦略的アプローチ: “Prizes” のセクションをスキャンし、”finalists” が受け取る賞品を確認します。
- 思考プロセス:
- “All five contest finalists will receive free one-day zoo passes valid until the end of July.” という記述があります 18。
- これは、最終候補者全員が1日無料券を受け取ることを意味します。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “get free entry to the zoo for a day” は、”receive free one-day zoo passes” の正確なパラフレーズです 19。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ②、③、④は、最終的に名前が選ばれた1名 (“The one who submitted the winning name”) が受け取る追加の賞品であり、5名の最終候補者全員がもらえるものではありません。【部分的真実の罠】。
第2問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第2問は、広告やレビュー記事など、現代的で実用的なテクストを題材に、事実と意見を区別しながら読み解く能力を測定します。 Aパートでは図書館の案内といった客観的な情報を、Bパートではペットに関する個人の意見を含む記事を読むなど、異なる種類のテクストを連続して処理する柔軟性が求められます。
A
問1 解説
- 正解:⑤
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “…are two things you can do at the library.”、つまり「図書館でできること」の正しい組み合わせを選びます。
- 戦略的アプローチ: 各選択肢(A〜E)の正誤を本文と照合し、正しいものの組み合わせを選びます。
- 思考プロセス:
- A: bring in coffee from the coffee shop → “you cannot bring any drinks into the library.” とあり、誤り 20。
- B: save seats for others in the Study Area → “not to reserve seats for friends.” とあり、誤り 21。
- C: use the photocopiers on the second floor → “On the ground floor there are… photocopiers.” とあり、2階ではないので誤り 22。
- D: use your ID to make photocopies → “Your student ID card is also your… photocopy card.” とあり、正しい 23。
- E: use your laptop in the Study Area → “may use them only in the Study Area on the second floor.” とあり、正しい 242424。
- 正しいのはDとEです。
- 結論: DとEの組み合わせである⑤が正解です。
問2 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 「図書館の正面玄関にいて、オリエンテーションに行きたい場合、どうする必要があるか」を問うています。
- 戦略的アプローチ: 正面玄関の場所とオリエンテーションの場所をそれぞれ特定し、その間の移動を考えます。
- 思考プロセス:
- 正面玄関の場所: “main entrance on the first floor” とあり、1階です 25。
- オリエンテーションの場所: “library orientations are held in the Reading Room on the third floor.” とあり、3階です 262626。
- 移動: 1階から3階へは、2フロア上がる必要があります。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “go up two floors” は、1階から3階への移動と一致します。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: 階数を正しく読み取れていません。
問3 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 空所に入る、”near the main entrance to the library”(図書館の正面玄関の近く)にあるものを特定します。
- 戦略的アプローチ: “main entrance” というキーワードをスキャンし、その近くにある施設を探します。
- 思考プロセス:
- “Using Computers” のセクションに “Computers with Internet connections are in the Computer Workstations by the main entrance on the first floor.” という明確な記述があります 27。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “The Computer Workstations are” は、本文の記述と完全に一致します 28。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ②は3階、③は2階、④は1階(ground floor)ですが正面玄関の近くとは書かれていません 292929292929292929。
問4 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 「8月2日に3冊の本を借り、8月10日に返却した場合、どうなるか」を問う、条件を適用する計算問題です。
- 戦略的アプローチ: 貸出期間と延滞罰則のルールを正確に読み取り、与えられた日付に適用します。
- 思考プロセス:
- 貸出期間のルール: “borrow… for seven days.” 8月2日に借りた場合、返却期限日は8月9日です 30。
- 実際の返却日: 8月10日に返却したため、1日延滞しています 31。
- 延滞罰則のルール: “If books are not returned by the due date, you will not be allowed to borrow library books again for three days from the day the books are returned.”(返却期限日までに返されなかった場合、本が返却された日から3日間、再び本を借りることはできない) 32。
- 罰則の適用: 8月10日に返却したので、10日、11日、12日の3日間は借りることができません。したがって、次に借りられるのは8月13日以降です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “not borrow any more books before 13 August”(8月13日より前は、これ以上本を借りられない)は、上記の計算結果と一致します。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ①と②は延滞の事実を無視しています。④は罰則期間を誤って計算しています。
問5 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “One fact stated by a previous student is that…”、つまり「以前の学生によって述べられた事実」を探します。
- 戦略的アプローチ: “Comments from Past Students” のセクションを読み、客観的な事実を述べているコメントを探します。
- 思考プロセス:
- 最後のコメントに “When watching videos, you need to use your own earphones or headphones.” という記述があります 33。これは、ビデオを見る際のルールという客観的な事実です。
- 他のコメントは、「オリエンテーションは良かった」「Wi-Fiが遅い」「案内係が助けになった」といった主観的な意見や感想です 34343434343434。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “headphones or earphones are necessary when watching videos” は、学生のコメントで述べられた事実と一致します 35。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ②はハンドアウトに書かれた事実であり、学生のコメントではありません 36。③は学生の「意見」です 37。④は学生のコメント “The Study Area can get really crowded.” と矛盾します 38。
B
問1 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: ペットを飼っている家の割合について、国を高い順に並べたものを選びます。
- 戦略的アプローチ: 本文から各国のペット保有率に関する情報を抽出し、比較します。
- 思考プロセス:
- UK: “two in five UK homes have pets” → 2/5 = 40% 39。
- US: “more than half of homes have pets” → > 50% 40。
- Australia: “Australia has the highest percentage of homes with pets!” → 最も高い 41。
- 順位付け: Australia (>50%以上で最高) > US (>50%) > UK (40%)。
- 結論: この順序と一致するのは選択肢②です。
問2 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “one advantage of having pets is that…”、つまりペットを飼うことの利点を一つ選びます。
- 戦略的アプローチ: 本文の “advantages of living with pets” のリストをスキャンします 42。
- 思考プロセス:
- リストには “The love, happiness, and friendship pets give” や “The happy times pets bring” といった項目があります 434343。これらは、ペットがいることで人生がより楽しくなることを示唆しています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(④)の根拠: “your life can be more enjoyable”(あなたの人生はより楽しくなりうる)は、リストに挙げられた利点 “love, happiness, and friendship” や “happy times” を総合的に要約したものです 444444。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ①、②、③は本文に記述がありません。【本文に記述なし】。
問3 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “The statement that best reflects one finding from the survey is…”、つまり調査結果の一つを最もよく反映している記述を選びます。
- 戦略的アプローチ: 調査結果に関する具体的な記述と各選択肢を照合します。
- 思考プロセス:
- 調査結果の3番目の項目に “Most owners spend 3-4 hours with their ‘fur babies’ every day” という記述があります 45。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “‘I spend about three hours with my pet every day.'” は、この調査結果とほぼ一致します 46。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “‘I feel uncomfortable…'”: 調査結果はペットとの生活のポジティブな側面を強調しており、矛盾します。
- ③ “‘Most pets like going on car trips.'”: 25%の飼い主がペットを旅行に連れて行くとありますが、ペットがそれを好きかどうかは述べられていません 47。
- ④ “‘Pets need a room of their own.'”: ペット専用の部屋が必要だという記述はありません。【本文に記述なし】。
問4 解説
- 正解:④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Which best summarises David’s opinions about having pets in Japan?”、つまり日本でのペット飼育に関するDavidの意見を最もよく要約しているものを選びます。
- 戦略的アプローチ: 日本に関するDavidの個人的な見解が述べられている箇所を精読します。
- 思考プロセス:
- Davidは “space, time, and cost” といった問題を指摘する一方で、”Still, I know people here who are content living in small flats with pets.”(それでも、私はここでペットと小さなアパートで満足して暮らしている人々を知っている)と述べています 48。
- これは、問題はあるものの、日本の環境でもペットと幸せに暮らすことは可能だという彼の見解を示しています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(④)の根拠: “Some people are happy to keep pets inside their homes.” は、Davidの “content living in small flats with pets” という観察と一致します 49。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ①、②、③はDavidの意見として述べられていません。
問5 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Which is the most suitable title for the article?”、つまり記事に最もふさわしいタイトルを選びます。
- 戦略的アプローチ: 記事全体のテーマと主張(メインアイデア)を要約する選択肢を探します。
- 思考プロセス:
- この記事は、ペット保有率の国際比較から始まり、オーストラリアの調査結果を通じてペットを飼うことの利点(love, happiness, family member)を詳述し、最後に日本での状況にも触れています。
- 全体として、ペットを飼うことが飼い主に何をもたらすのか、その価値や意味を探求する内容となっています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “What Does Keeping Pets Give Us?”(ペットを飼うことは私たちに何を与えてくれるのか?)は、記事全体の中心的な問いとテーマを最もよく表しています。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ①、③、④は、記事の一部で触れられてはいますが、全体を代表するタイトルとしては狭すぎます。【論点の矮小化】。
第3問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第3問は、ブログ記事や体験談といった物語的なテクストを題材とし、出来事の時系列把握や登場人物の感情、そして文章と視覚情報(写真やイラスト)を統合する能力を測定します。論理関係は比較的平易ですが、情報の種類が多岐にわたるため、冷静な情報整理が求められます。
A
問1 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “In Emily’s blog, you read that she…”、つまりエミリーがブログで述べた体験として正しいものを選びます。
- 戦略的アプローチ: エミリーのブログ記事を読み、彼女が何をしたか、何を感じたかに関する記述を探します。
- 思考プロセス:
- パフォーマンスについて、”For me, the other two, the taiko and the koto, were the highlights. The taiko were powerful, and the koto was relaxing.” と述べています 50。
- 太鼓(taiko)と琴(koto)は日本の伝統音楽です。彼女がこれらを「ハイライトだった」と述べていることから、日本の伝統音楽を楽しんだことがわかります。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “enjoyed Japanese traditional music” は、太鼓と琴がハイライトだったという彼女の感想と一致します 51。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ② “learnt how to play Japanese drums”: 太鼓の演奏は見ていますが、演奏方法を「学んだ」とは書かれていません。
- ③ “made a water slide from bamboo”: 流しそうめん(nagashi-somen)を「体験した」のであり、スライダーを「作った」わけではありません。
- ④ “was able to try all the yatai foods”: “I tried green-tea ice cream and takoyaki.” とあり、食べたのは屋台の食べ物のうちの2つだけで、すべてではありません 52。
問2 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Emily was most likely … when she was listening to the rakugo comedy.”、つまり落語を聞いているときのエミリーの気持ちとして最もありえそうなものを選びます。
- 戦略的アプローチ: 落語に関する彼女の感想を精読し、その心情を推論します。
- 思考プロセス:
- 落語について、”Some people were laughing, but somehow I didn’t find it funny. It may be because I don’t know much about Japanese culture.” と述べています 53。
- 「他の人は笑っていたが、どういうわけか自分は面白いと思えなかった。日本文化をあまり知らないからかもしれない」という記述は、なぜ面白いのか理解できず「混乱していた(confused)」状態を示唆しています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “confused” は、なぜ面白いのか理解できなかった彼女の状況を最もよく表しています。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ② “convinced”(確信して)、③ “excited”(興奮して)、④ “relaxed”(リラックスして)は、いずれも彼女の感想と矛盾します。
B
問1 解説
- 正解:① → ④ → ③ → ②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 4つの出来事を、物語の中で起こった順に並べ替える、時系列整序問題です。
- 戦略的アプローチ: (共通テスト 英語:Module 4, セクション2.2)の時系列マッピングを適用します 54。本文を読み進めながら、各選択肢に対応する出来事がどの順番で起こったかを特定します。
- 思考プロセス:
- 最初の登山: まずスコットランドのベン・ネヴィスに登ります。”we reached the summit in under three hours.” とあり、チーム全員が登頂しました 55。→ ① All members reached the top of the highest mountain in Scotland.
- 下山中の出来事: ベン・ネヴィスからの下山中、筆者は携帯電話を落としますが、チームの助けで見つけます。”On the way down, however, I realised I had dropped my phone. Fortunately, I found it with the help of the team…” 56。→ ④ The team members helped to find the writer’s phone.
- 次の山への移動: 2番目の山であるスケフェル・パイクを登った後、最後の目的地であるウェールズのスノードンへ移動します。”because the traffic was light, we were right on schedule when we started our final climb.” という記述から、ウェールズに到着したことがわかります 57。→ ③ The group travelled by minibus to Wales.
- 最後の登山: スノードン登山中、雨が激しくなり、”two members of the team decided to return to the minibus.” とあります 58。→ ② Some members gave up climbing Snowdon.
- 結論: 正しい順序は① → ④ → ③ → ②です。
問2 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “What was the reason for being behind schedule when they completed Scafell Pike?”、つまりスケフェル・パイクを終えた時点で予定より遅れていた理由を問うています。
- 戦略的アプローチ: スケフェル・パイク登山に関する記述を精読し、遅延の原因を探します。
- 思考プロセス:
- “After six hours of rest in the minibus, we started our second climb full of energy. As it got darker, though, we had to slow down. It took four-and-a-half hours to complete Scafell Pike. Again, it took longer than planned…” とあります 59。
- 「暗くなるにつれて、ペースを落とさなければならなかった」ことが、予定より時間がかかった直接の原因です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “It was difficult to make good progress in the dark.”(暗闇の中で順調に進むのが難しかった)は、本文の “As it got darker, though, we had to slow down.” の内容と一致します。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “It took longer than planned to reach the top of Ben Nevis.”: ベン・ネヴィスでの遅れは携帯電話を探した15分であり、スケフェル・パイクでの遅れの主因ではありません 60。
- ③ “The climbers took a rest in order to save energy.”: 6時間の休憩は登山「前」であり、登山「中」の遅れの原因ではありません 61。
- ④ “The team had to wait until the conditions improved.”: 天候が悪化したのは最後のスノードン登山中です 62。
問3 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “From this story, you learnt that the writer…”、つまりこの物語から筆者について学んだことを選びます。
- 戦略的アプローチ: 物語の結末部分を読み、筆者たちの最終的な成果と心情を把握します。
- 思考プロセス:
- 筆者たちは24時間以内に3つの山を登るという「時間チャレンジ(time challenge)」には失敗しました (“we weren’t successful with the time challenge”) 63。
- しかし、最後の山も登りきり、「クライムチャレンジ(climb challenge)」には成功しました (“we were successful with the climb challenge. We had done it.”) 64。
- “the rest of us”(残りの私たち)が登頂したとあり、筆者もその中に含まれるため、3つの山すべてに登頂したことがわかります。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “reached the top of all three mountains” は、”we were successful with the climb challenge” という記述と一致します 65。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “didn’t feel a sense of satisfaction”: “What a feeling that was!” という最後の文は、強い達成感や満足感を示しており、矛盾します 66。
- ③ “successfully completed the time challenge”: 時間チャレンジには失敗したと明記されています 67。
- ④ “was the second driver of the minibus”: 筆者は10人のクライマーの一人であり、2人のドライバーではありません 68。
第4問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第4問は、共通テスト・リーディングの中でも特に
高い認知負荷を要求する大問です 69。記事やアンケート結果といった複数の情報源(マルチプル・テクスト)を提示し、それらの情報を横断的に読み解き、比較・対照・統合して一つの結論を導く、
より実践的な情報処理能力を試すことを設計思想としています。
戦術的意義は、情報を頭の中だけで処理しようとせず、問題用紙の余白にメモを取る、あるいはマトリクス(表)を作成するといった外部記憶を戦略的に活用し、ワーキングメモリの負荷を管理する能力を実践することにあります 70。配点(16点)も比較的高く、情報整理のプロセスを体系化できれば、安定した得点源とすることが可能です。
問1 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Len recommends buying used goods because…”、つまりLenが中古品を買うことを勧める理由を問うています。
- 戦略的アプローチ: Lenのブログを読み、中古品を推奨する理由として挙げられている点をリストアップします。
- 思考プロセス:
- Lenはブログで “don’t want to spend too much money?” と問いかけ、”Most of them are priced very reasonably” と述べています 717171。これは価格が手頃であることを示しています。
- また、”Purchasing used goods is eco-friendly.”(環境に優しい)や “supporting a local business”(地元のビジネスを支援する)といった理由も挙げています 72。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “they are affordable for students”(それらは学生にとって手頃な価格である)は、”don’t want to spend too much money” や “priced very reasonably” という記述と一致します 737373。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “it will help the university”: 地元ビジネスのオーナーが大学の卒業生であるとはありますが、大学自体を助けることにはなりません 74。
- ② “most of the items are good for the environment”: “eco-friendly”(環境に優しい)という利点はありますが、「ほとんどの商品が」という断定はされていません。③の価格の手頃さの方が、ブログ全体の文脈でより強調されています。
- ④ “you can find what you need in a hurry”: “hurry!” とは書かれていますが、それは在庫が少ないからです 75。急いで必要なものを見つけられるという意味ではありません。
問2 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Cindy suggests buying…”、つまりCindyが買うことを提案しているものを問うています。
- 戦略的アプローチ: Cindyのブログを読み、彼女の主張の核心を掴みます。
- 思考プロセス:
- Cindyは自身の体験談として、中古品がすぐに壊れ “they did not have warranties”(保証がなかった)ために苦労したと述べています 76。
- その上で、新品を買うことを勧め、”warranties are available for all items. So, if anything stops working, replacing it will be straightforward.” と保証の重要性を強調しています 77。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “new items that have warranties for replacement”(交換のための保証が付いた新品)は、Cindyの主張の核心を的確に捉えています。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “from a single big chain store”: 彼女は1つの店で買うしかなかったことを後悔しており (“I had to replace them quickly and could not shop around”)、複数の店を比較することを勧めています 78。
- ② “from the website”: ウェブサイトは価格比較のために使うもので、そこから直接買うことを勧めているわけではありません 79。
- ④ “used items”: 彼女は新品 (“buy your goods new!”) を勧めており、中古品ではありません 80。
問3 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Both Len and Cindy recommend that you…”、つまり二人のブロガーが共通して推奨していることを探します。
- 戦略的アプローチ: 両方のブログの結びの部分に注目し、共通のメッセージを探します。
- 思考プロセス:
- Len: “stock is limited, so hurry!”(在庫は限られているので、急いで!)81。
- Cindy: “Things go fast! Don’t wait or you’ll miss out!”(物はすぐになくなる!待っていると買い逃すよ!)82。
- 両者ともに、良いものはすぐになくなるので、早く行動することを勧めています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “buy your appliances as soon as you can”(できるだけ早く家電を買いなさい)は、”hurry!” と “Don’t wait” の両方のメッセージを的確に要約しています。
問4 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “If you want to buy new appliances at the best possible prices, you should…”、つまり新品の家電を最良の価格で買いたい場合にすべきことを問うています。
- 戦略的アプローチ: Cindyのブログで、価格比較についてどのように述べているかを探します。
- 思考プロセス:
- Cindyは、複数の店の価格を比較できなかったことを後悔し、”The website called save4unistu.com is very useful for comparing the prices of items from different stores before you go shopping.” と述べています 83。
- 彼女のブログには、このウェブサイトへのリンクを示唆する “https://=====” という記述があります。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “access the URL in Cindy’s post”(Cindyの投稿にあるURLにアクセスする)は、価格比較サイトを利用するという彼女の具体的なアドバイスに基づいています 84。
問5 解説
- 正解:28: ②, 29: ④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 2つのタスクを特定します。タスク1は「最も安い電子レンジ」、タスク2は「5年保証付きで最も安いテレビ」を見つけることです。
- 戦略的アプローチ: 作成したマトリクス(あるいは頭の中の整理)に基づき、各店舗の条件を適用して総コストを計算し、比較します。
- 思考プロセス:
- タスク1実行 (Microwave):
- Second Hand: $85 85。
- Cut Price: $88 8686。
- Great Buy: $90から学生割引10%を引く → $90 × 0.9 = $81 878787。
- Value Saver: $95 8888。
- 結論: 最も安いのは Great Buy ($81)。よって28は②。
- タスク2実行 (Television + 5年保証):
- Second Hand: 保証がない可能性が高いため除外 89。
- Cut Price: 本体300+5年保証10 = $310 90909090。
- Great Buy: 1年保証しか提供しておらず、5年保証の条件を満たさないため除外 91。
- Value Saver: 本体$305。$300を超えているため、1年の無料保証が追加で4年延長され、合計5年の保証が無料で付く 92929292。総コストは $305。
- 結論: 5年保証付きで最も安いのは Value Saver ($305)。よって29は④。
第5問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第5問は、比較的長めの物語文を題材とし、読解した内容をプレゼンテーションのノートやストーリーのアウトラインといった別の形式に**再構成(reorganize)**する能力を測定します。ここで問われるのは、単にストーリーを追うだけでなく、登場人物の相関関係、心情の変化、そして出来事の因果関係を構造的に把握し、要約する能力です。
戦術的意義は、物語を漫然と読むのではなく、誰が、いつ、何をしたのか、そしてその結果どうなったのか、という構造を意識しながら読む構造的読解の実践にあります。登場人物相関図や時系列プロットを問題用紙の余白に作成するなどの外部記憶の活用が、複雑な人間関係や時間軸の整理に極めて有効です。
問1 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Which is the best subtitle for your presentation?”、つまりプレゼンテーションに最もふさわしいサブタイトルを選びます。
- 戦略的アプローチ: 物語全体の中心的な対立構造やテーマを要約する選択肢を探します。
- 思考プロセス:
- 物語の導入部で、”it was between a young man and a giant corporation.” と、若き発明家と巨大企業の戦いであったことが明確に述べられています 93。
- 物語全体が、この対立構造、すなわちFarnsworthとRCAの特許を巡る戦いを中心に展開しています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “A Young Inventor Against a Giant Company”(巨大企業に立ち向かう若き発明家)は、物語の中心的な対立構造を的確に表現しています。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ②は主体のすり替え、③は論点の矮小化、④は本文のスコープ(過去の物語)から逸脱しています。
問2 解説
- 正解:④, ⑤ (順不同)
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: ノートの “Early Days” の項目を完成させるため、Farnsworthの若い頃に関する事実を2つ選びます。
- 戦略的アプローチ: 本文の前半から、彼の少年時代や高校時代の逸話を探します。
- 思考プロセス:
- 本文に “He would often repair the old generator and even changed his mother’s hand-powered washing machine into an electricity-powered one.” とあります 94。これは④ “fixed and improved household equipment for his family” と一致します。
- また、”while working in his father’s potato field, he looked behind him and saw all the straight parallel rows of soil… Suddenly, it occurred to him that it might be possible to create an electronic image on a screen using parallel lines…” とあります 95。これは⑤ “got the idea for an electronic television system while working in a field” と一致します。
- 結論: ④と⑤が本文で述べられている事実です。
問3 解説
- 正解:② → ⑤ → ④ → ①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 5つの出来事から4つを選び、物語の中で起こった順に並べ替える、時系列整序問題です。
- 戦略的アプローチ: 時系列マッピングを適用します。本文から各出来事の発生年や前後関係を示す記述を探します。
- 思考プロセス:
- 1922年: “In 1922… he presented this idea to his chemistry teacher…” 96 → ② Farnsworth shared his idea with his high school teacher.
- 1923年: Zworykin “…had earned a patent as early as 1923.” 97 → ⑤ Zworykin was granted a patent for his television system.
- 1930年: “The US government gave him a patent for this system in 1930.” 98 → ④ The US government gave Farnsworth the patent.
- 1931年: “…in 1931, they offered Farnsworth a large sum of money… He refused this offer…” 99→ ① Farnsworth rejected RCA’s offer.
- 選択肢③ “RCA won the first stage of the battle.” は、この後の出来事であり、除外されます 100。
- 結論: 正しい順序は②→⑤→④→①です。
問4 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: ノートの “Outcome” を完成させるため、Farnsworthが特許裁判で勝った理由を特定します。
- 戦略的アプローチ: 本文の裁判に関する記述を精読します。
- 思考プロセス:
- 裁判の最終局面で、”…the teacher who had copied Farnsworth’s blackboard drawings gave evidence…” とあります 101。
- さらに、”a judge approved Farnsworth’s patent claim on the strength of handwritten notes made by his old high school teacher, Tolman.” と決定的な証拠が述べられています 102。
- これらは、先生が保管していた、Farnsworthが黒板に描いたスケッチや図です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “the sketches his teacher had kept for many years”(彼の先生が長年保管していたスケッチ)は、”blackboard drawings” や “handwritten notes” の内容と一致します 103。
問5 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: ノートの “Achievements and Recognition” を完成させるため、彼の功績や評価に関する記述を選びます。
- 戦略的アプローチ: 物語の結末部分で、彼の発明が後世に与えた影響について述べられている箇所を探します。
- 思考プロセス:
- 彼の妻が、アームストロング船長の月面着陸のテレビ放送を見ていた時の逸話を回想しています。その時、Farnsworthは “Pem, this has made it all worthwhile.”(ペム、これで全てが価値あるものになった)と言いました 104。
- この逸話は、彼自身の発明が、月面着陸という歴史的瞬間を世界中の人々が同時に目撃することを可能にした、という事実を象徴的に示しています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “His invention has enabled us to watch historic events live.”(彼の発明は、私たちが歴史的な出来事を生で見ることを可能にした)は、月面着陸の逸話が示す彼の功績を的確に表現しています。
第6問 解説講義
大問の設計思想と戦術的意義
第6問は、共通テスト・リーディングの最終関門であり、最も配点が高く(24点)、最も高度な読解能力を要求されるセクションです。 科学、心理学、社会問題などをテーマとした、大学での学習に直結するような学術的な長文論説文が出題されます。 この大問を攻略するためには、これまでに習得した全てのスキルを総動員し、文章の核心的な主張(メインアイデア)を抽出し、その主張を支える論証構造を解明するという、総合的な分析能力が不可欠となります。
A
問1 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: “Definition of diurnal”、つまり「diurnal」の定義を問うています。
- 戦略的アプローチ: 本文から “diurnal” という単語を探し、その定義を説明している部分を特定します。
- 思考プロセス:
- 第1段落に “Creatures active during the day are ‘diurnal’ and those emerging at night are ‘nocturnal.'” という明確な定義文があります 105。
- “diurnal” は “active during the day”(日中に活動的)という意味です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “lively in the daytime” は、”active during the day” の正確なパラフレーズです 106。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: 他の選択肢は定義と異なります。
問2 解説
- 正解:③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 空所40に入る、記事の “The Main Points” を要約する文として最も適切なものを選びます。
- 戦略的アプローチ: 記事全体、特に人の性質が変わりにくいと述べている箇所を要約する選択肢を探します。
- 思考プロセス:
- 第5段落で “Can people change?” という問いに対し、”studies of young adults seem to say no, we are hard-wired.”(研究はノーと言っているようだ、私たちは生まれつき決まっている)と述べています 107。
- また、”they end up returning to their lark or owl nature.”(結局、彼らは朝型か夜型の性質に戻る)ともあります 108。
- これらの記述は、人が最もパフォーマンスを発揮できる時間帯を変えるのは難しい、ということを示唆しています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(③)の根拠: “it might be hard for us to change what time of day we perform best” は、本文の “seem to say no, we are hard-wired” という記述から導かれる妥当な結論です 109。
- 不正解選択肢の論理的欠陥: ①、②、④は本文の趣旨と異なります。
問3 解説
- 正解:①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 空所41に入る、ユダヤ教、キリスト教、中国の時間の考え方が記事で言及されている理由を問うています。
- 戦略的アプローチ: 第3段落を読み、これらの文化がどのように時間を捉えているか、そしてそれが記事全体の文脈でどのような役割を果たしているかを分析します。
- 思考プロセス:
- 第3段落は “Does everyone follow the system of beginning days in the morning?” という問いかけで始まります 110。
- その答えとして、ユダヤ教は日没から、中国は午後11時から一日が始まると紹介しています 111111111111。
- そして、”In other words, ancient customs support how owls view time.”(言い換えれば、古代の慣習は夜型の時間観を支持している)と結論付けています 112。
- つまり、これらの例は「一日が夜から始まるという考え方が古くから存在すること」を示すために挙げられています。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(①)の根拠: “explain that certain societies have long believed that a day begins at night” は、第3段落の要点を正確に要約しています。
問4 解説
- 正解:⑥, ③
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 空所42と43に入る、人の内なる時計を設定し、知性や43の違いの説明となりうるものを2つ選びます。
- 戦略的アプローチ: 本文で、人の性質(朝型/夜型)の原因や、それと関連付けられている特性について述べられている箇所を探します。
- 思考プロセス:
- 原因: 第2段落で “One theory suggests preference for day or night has to do with time of birth.” とあり、出生時刻が原因の一つとして挙げられています 113。→ ⑥ time of birth
- 関連する特性: 第4段落で、夜型は “smarter and more creative,” “more intelligent” であると述べられている一方で、朝型は “precise, seek perfection, and feel little stress”、夜型は “seek new adventures and exciting leisure activities, yet they often have trouble relaxing” と、行動や性格の違いが述べられています 114114114114114114114114114。→ ③ behavior
- 結論: 人の性質を決定する要因として⑥、そしてその性質の違いが現れるものとして③が適切です。
B
問1 解説
- 正解:②
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 空所44に入る、「プラスチックリサイクルシンボルとは何か」という説明として最も適切なものを選びます。
- 戦略的アプローチ: 本文第1段落で、リサイクルシンボルの機能について説明している部分を探します。
- 思考プロセス:
- 本文に “Recycling symbols provide important data about the chemical composition of plastic used and its recyclability.” とあります 115。
- これは、シンボルが「使用されているプラスチックの化学組成と、そのリサイクル可能性に関する重要なデータを提供する」という意味です。
- 選択肢の微視的分析
- 正解選択肢(②)の根拠: “They provide information on the chemical make-up and recycling options of the plastic.” は、本文の “provide important data about the chemical composition … and its recyclability” の完璧なパラフレーズです 116。
- 不正解選択肢の論理的欠陥:
- ① “rank the recyclability”: 本文には “a plastic recycling symbol on an object does not always mean that the item can be recycled” とあり、リサイクル可能性をランク付けするものではないとわかります 117。
- ③ “which standards organization gave them certificates”: 基準を管理する組織については言及がありますが、シンボル自体がその組織を示すわけではありません。
- ④ “introduced by ASTM and developed by the Society of the Plastics Industry”: 逆です。Started in 1988 by the Society of the Plastics Industry、administered by… ASTM… since 2008です 118。
問2 解説
- 正解:45: ②, 46: ①
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: タイプ2とタイプ3のプラスチックに関する正しい説明を選びます。
- 戦略的アプローチ: 本文からタイプ2 (HDPE) とタイプ3 (PVC) の説明箇所をそれぞれ探し出し、特徴を照合します。
- 思考プロセス:
- Type 2 (HDPE): “It is strong and can be used at temperatures as low as -40°C and as high as 100°C” とあります 119。これは② “and used at a wide range of temperatures” と一致します。
- Type 3 (PVC): “PVC, Type 3, is thought to be one of the least recyclable plastics known.” とあり、”It should only be disposed of by professionals and never set fire to at home or in the garden.” ともあります 120。これは① “difficult to recycle and should not be burned in the yard” と一致します。
- 結論: 45には②、46には①が入ります。
問3 解説
- 正解:③, ④
- 思考のアルゴリズム
- 指令の解読: 共通の性質を持つプラスチックに関する記述として適切なものを2つ選びます。
- 戦略的アプローチ: 消去法を用います。各選択肢の記述が、本文で説明されている複数のプラスチックタイプの性質と一致するかを厳密に検証します。
- 思考プロセス:
- ① (不適切) Type 1(PETE)は70℃以上で軟化する。Type 6(PS)は燃えやすい。沸騰水(100℃)を入れるのは不適切 121121121121。
- ② (不適切) Type 3(PVC)は “one of the least recyclable plastics known”(最もリサイクルしにくいプラスチックの一つ)とあり、簡単ではない 122。
- ③ (適切) Type 1は飲料・食品容器 123、Type 2はミルクジャグやおもちゃ 124、Type 4はパンの包装 125、Type 5は食品容器 126、Type 6は使い捨てカップや麺の容器 に使われる 127。これらは全て食品や飲料に関連する容器として適している。
- ④ (適切) Type 5(PP)は “light” 128。Type 6(PS)は “lightweight” 129。両方とも軽い。
- ⑤ (不適切) Type 4(LDPE)は “very little… is recycled” 130。Type 5(PP)も “Only 3%… is recycled” とあり、「広くリサイクルされている」とは言えない 131。
- ⑥ (不適切) Type 6(PS)とType 7はともに “hard to recycle” または “difficult to recycle” とされており、リサイクルは容易ではない 132132132132。
- 結論: 適切な記述は③と④です。
総括と今後の学習戦略
本解説で詳述したように、共通テスト・リーディングは単なる英語力を問う試験ではなく、限られた時間内に膨大な情報を処理し、論理的に判断を下す**「情報処理能力」と「思考力」**を測定する、高度に設計された「知的ゲーム」です。
各設問は特定の認知能力(情報探索、整理・比較、推論)を試すように意図的に作られており、不正解の選択肢もまた、典型的な論理的欠陥パターンに基づいて受験生を惑わすように設計されています。
今後の学習においては、以下の点を強く意識してください。
- 戦略的思考の徹底: 常に試験全体の構造を意識し、時間配分や解答順序を最適化する「戦略家」としての視点を持ち続けてください。(共通テスト 英語:Module 1)
- 高速情報処理技術の自動化: スキミング、スキャニング、パラグラフリーディングといった技術を、意識せずとも実行できるレベルまで反復練習し、情報処理の速度と精度を極限まで高めてください。(共通テスト 英語:Module 2)
- 解法アルゴリズムの習得: 各設問タイプに対する思考のプロセスを完全にマスターし、特に不正解選択肢の論理的欠陥を能動的に分析する批判的思考を養ってください。(共通テスト 英語:Module 3 133)
本稿で提示した思考のアルゴリズムと、『基礎英語』および『共通テスト 英語』で学んだ普遍的な原理を結びつけることで、あなたの学習はより体系的で、効果的なものとなります。未知の問題に直面したときこそ、本稿で示した思考のプロセスに立ち返り、冷静に、そして論理的に正解を導き出してください。