【基盤 英語】モジュール5:形容詞の定義と識別基準

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目次

本モジュールの目的と構成

英文を読んでいるとき、”a beautiful old stone bridge”のような名詞句に出会うと、どの語が形容詞でどの語が名詞の一部なのか判断に迷う場面がある。”stone”は「石」という名詞にも見えるが、ここでは”bridge”を修飾する形容詞的機能を果たしている。このような判断を誤ると、語句の修飾関係を取り違え、文全体の意味把握に支障をきたす。形容詞の識別が曖昧なまま長文読解に進むと、修飾構造が複雑になるにつれて誤読が蓄積し、設問の正答率が著しく低下する。形容詞を文中で正確に識別し、その機能を判定する能力を確立することが、本モジュールの目的である。

本モジュールは以下の層で構成される:

統語:形容詞の文法的位置と機能の把握 → 形容詞が英文中で占める統語的位置(限定用法・叙述用法)を正確に識別し、名詞や動詞など他の品詞との境界を判定する能力を確立する。形容詞が文中のどの位置に現れうるかを体系的に理解することで、修飾関係の誤認を防ぐ。

意味:形容詞の意味分類と語義の判定 → 形容詞が表す意味の種類(性質・状態・数量・指示など)を分類し、文脈に応じて適切な語義を選択する能力を養成する。多義的な形容詞や、位置によって意味が変わる形容詞の処理手順を習得する。

語用:形容詞の運用と表現選択 → 形容詞の語順規則や、類義形容詞の使い分けなど、実際の英文で形容詞を正確に運用するための判断基準を確立する。入試で頻出する形容詞関連の設問形式に対応する実践力を養成する。

談話:形容詞と文章構造の関係 → 形容詞が文章全体の中で果たす役割(描写の精度、論理展開への寄与、筆者の態度表明など)を把握し、長文読解における形容詞の情報的価値を判断する能力を確立する。

このモジュールを修了すると、以下の能力が身につく。英文中で形容詞を正確に識別し、それが限定用法か叙述用法かを即座に判定できるようになる。形容詞と紛らわしい語(名詞の形容詞的用法、分詞形容詞など)を区別し、修飾関係を正しく把握できるようになる。さらに、複数の形容詞が並ぶ場合の語順規則を理解し、形容詞の意味分類に基づいて文脈に適した語義を選択する力が身につく。入試の文法問題や長文読解において、形容詞に関連する設問に対して原理に基づいた判断ができるようになり、後続のモジュールで扱う副詞との比較や修飾構造の分析へと能力を発展させることができる。

統語:形容詞の文法的位置と機能の把握

英文を読むとき、形容詞がどの位置に現れ、何を修飾しているかを即座に判定できなければ、文の構造把握は不可能である。”The tired student fell asleep.”において”tired”が”student”を修飾する限定用法であることと、”The student looked tired.”において”tired”が補語として機能する叙述用法であることの区別は、文型判定と直結する。統語層を終えると、形容詞の統語的位置(名詞の前・補語の位置・後置修飾)を正確に識別し、形容詞と紛らわしい語を区別できるようになる。学習者は品詞の名称と基本機能(モジュール1で扱った内容)を備えている必要がある。形容詞の限定用法と叙述用法の識別、形容詞と他品詞の境界判定、後置修飾の認識を扱う。後続の意味層で形容詞の意味分類を学ぶ際、本層で確立した統語的位置の判定能力が不可欠となる。

【関連項目】

[基盤 M06-統語]
└ 副詞の統語的位置と形容詞との識別基準を対比的に理解する

[基盤 M14-統語]
└ 文の要素における補語の機能と形容詞の関係を確認する

【基礎体系】

[基礎 M05-統語]
└ 形容詞・副詞の修飾構造を体系的に理解する

1. 形容詞の定義と基本的な識別

形容詞を学ぶ際、「名詞を修飾する語」という理解だけで十分だろうか。実際の英文では、”a stone wall”の”stone”のように名詞が形容詞的に機能する場合や、”the sleeping baby”の”sleeping”のように動詞由来の語が形容詞として働く場合が頻繁に生じる。形容詞の識別が不十分なまま長文に取り組むと、修飾関係を見誤り、文意を取り違える結果となる。

形容詞の機能的理解によって、以下の能力が確立される。第一に、形容詞を統語的位置から正確に識別できるようになる。第二に、限定用法と叙述用法を区別できるようになる。第三に、形容詞と紛らわしい語(名詞の形容詞的用法、分詞形容詞)を判別できるようになる。第四に、形容詞の識別を通じて文型判定の精度を高められるようになる。

形容詞の識別能力は、次の記事で扱う叙述用法と補語機能の理解、さらに意味層での形容詞の意味分類へと直結する。

1.1. 形容詞の統語的定義と限定用法

一般に形容詞は「名詞を修飾する語」と漠然と理解されがちである。しかし、この理解は”The student is happy.”における”happy”のように名詞の直前に置かれていない形容詞を説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、形容詞とは名詞を修飾する機能(限定用法)または主語・目的語の性質を述べる補語として機能する語類(叙述用法)として定義されるべきものである。この二つの用法を区別することが重要なのは、形容詞の統語的位置が文型判定に直結するためである。限定用法の形容詞は文の要素にはならないが、叙述用法の形容詞は補語(C)として文型を決定する要素となる。限定用法においては、形容詞は冠詞や所有格と名詞の間に挟まれる位置に出現する。”a tall building”の”tall”は冠詞”a”と名詞”building”の間にあり、建物の性質を表す形容詞である。この位置関係を把握することが、限定用法の識別の出発点となる。なお、形容詞は一つの名詞に対して複数付くことが可能であり(“a beautiful tall old building”)、名詞の前に複数の形容詞が並ぶ場合は語順規則(後の記事で扱う)に従って配列される。こうした特徴は名詞の形容詞的用法(“a stone wall”)には見られず、形容詞固有の統語的性質と言える。さらに、限定用法の形容詞は比較級・最上級の変化が可能であるという形態的特徴も持つ。“taller””tallest”のような語形変化の可否が、ある語が真の形容詞であるか否かを判定する有力な基準となる。

この原理から、形容詞を限定用法で識別する具体的な手順が導かれる。手順1では名詞の直前に位置する語を確認する。冠詞(a, the)や所有格(my, his)と名詞の間に置かれた語は、形容詞の候補である。この確認をすることで、形容詞の最も基本的な出現位置を特定できる。手順2では、その語が名詞の性質・状態・数量を表しているか確認する。”a tall building”の”tall”は建物の性質を表しており、形容詞と判定できる。手順3では名詞の形容詞的用法との区別を行う。“a stone wall”の”stone”は素材を示しており、語形変化(比較級・最上級)を持たないため、名詞の形容詞的用法と判定できる。形容詞であれば”taller””tallest”のような語形変化が可能である。

例1: a beautiful garden → “beautiful”は冠詞aと名詞gardenの間に位置。gardenの性質を表す。beautifuler/most beautifulと語形変化可能 → 形容詞(限定用法)。なお、beautifulは3音節以上のため、比較級はmore beautiful、最上級はmost beautifulとなる。語形変化が可能であるという事実自体が形容詞の証拠となる。

例2: an important decision → “important”は冠詞anと名詞decisionの間に位置。decisionの性質を表す。more important/most importantと語形変化可能 → 形容詞(限定用法)。importantのように抽象的な性質を表す語も、統語的位置と語形変化の基準により形容詞と判定できる。

例3: a school bus → “school”は冠詞aと名詞busの間に位置。しかし、schooler/most schoolとは言えない。busの種類を分類する名詞の形容詞的用法 → 形容詞ではない。very school busとも言えないことが補助的な判定基準となる。名詞修飾名詞は「分類」の機能を持ち、性質・状態を表す形容詞とは根本的に異なる。

例4: the broken window → “broken”は冠詞theと名詞windowの間に位置。windowの状態を表す。動詞breakの過去分詞に由来するが、ここでは形容詞として機能 → 分詞形容詞(限定用法)。very brokenとは通常言えないが、位置と機能から形容詞的と判定される。分詞形容詞は動詞由来でありながら形容詞の統語的位置を占める語であり、品詞の境界が曖昧な領域に位置する。

以上により、名詞の直前に位置する語が形容詞であるか、名詞の形容詞的用法であるか、分詞形容詞であるかを正確に識別することが可能になる。

1.2. 叙述用法と補語機能

形容詞とは何か。前のセクションで限定用法(名詞の直前で修飾)を確認したが、形容詞にはもう一つの重要な用法がある。叙述用法とは、形容詞がbe動詞や知覚動詞・状態動詞の後ろに置かれて、主語や目的語の性質・状態を述べる用法である。この用法を理解しなければ、SVC文型(第2文型)やSVOC文型(第5文型)の判定が不可能となる。叙述用法の形容詞は補語(C)として文型を決定する要素であり、限定用法とは文法的役割が根本的に異なる。叙述用法が限定用法と決定的に異なるのは、文の構造上の地位である。限定用法の形容詞は名詞句の内部に組み込まれた修飾語であり、それを削除しても文の骨格(主語・動詞・目的語・補語)は維持される。これに対して叙述用法の形容詞は文の必須要素(補語)であり、削除すれば文が成立しない。”She is happy.”から”happy”を削除すると”She is.”となり、文の意味が根本的に変わる。この違いを認識することが、文型の正確な判定を可能にする。叙述用法の形容詞をとりうる動詞は、be動詞だけではない。知覚動詞(look, sound, smell, taste, feel)、変化動詞(become, get, turn, grow)、状態維持動詞(remain, stay, keep)なども叙述用法の形容詞を補語としてとることができる。これらの動詞の後に来る語が形容詞か副詞かを正確に判定することが、入試の文法問題で繰り返し問われる。

以上の原理を踏まえると、叙述用法の形容詞を識別するための手順は次のように定まる。手順1ではbe動詞・知覚動詞・状態動詞の後ろの語を確認する。look, seem, become, feel, taste, smellなどの後ろに置かれた語は叙述用法の形容詞の候補である。手順2では、その語が主語の性質・状態を述べているか確認する。”She looks happy.”の”happy”は主語”She”の状態を述べており、叙述用法の形容詞と判定できる。手順3では副詞との混同を避ける。”She looks happily at the photo.”の”happily”は動詞”looks”の様態を修飾する副詞であり、主語の状態を述べる形容詞ではない。動詞の動作を修飾しているのか、主語の性質を述べているのかで判断する。lookが「見える」という知覚の意味なら後ろは形容詞、「見る」という動作の意味なら後ろは副詞となるのであり、動詞の意味が判定の決め手となる。

例1: The soup tastes delicious. → tastesは知覚動詞。deliciousは主語The soupの性質を述べる → 形容詞・叙述用法(SVC文型)。ここで”The soup tastes deliciously.”と副詞を使うのは誤りである。tasteは「~の味がする」という知覚を表しており、動作の様態を修飾する副詞は不適切である。

例2: He remained silent during the meeting. → remainedは状態動詞。silentは主語Heの状態を述べる → 形容詞・叙述用法(SVC文型)。remainの後にsilentlyと副詞を置く誤りが頻出する。remainは「~のままである」という状態を表すため、主語の状態を述べる形容詞が正しい。

例3: The news made her angry. → madeはSVOC文型をとる動詞。angryは目的語herの状態を述べる → 形容詞・叙述用法(SVOC文型の補語)。SVOC文型では目的語と補語の間に「目的語=補語」の関係(her = angry)が成立する。この関係が成立しなければ、その語は補語ではなく修飾語句である。

例4: She spoke softly to the child. → spokeは動作動詞。softlyはspokeの様態を修飾する → 副詞であり形容詞ではない(SV文型+修飾語句)。spokeは「話す」という動作であり、知覚動詞・状態動詞ではない。動作動詞の後に来るのは副詞が原則であり、形容詞ではない。

これらの例が示す通り、叙述用法の形容詞を正確に識別し、文型判定に反映させる能力が確立される。

2. 形容詞の位置と後置修飾

形容詞は名詞の直前(限定用法)や補語の位置(叙述用法)に現れるだけではない。英語には形容詞が名詞の直後に置かれる後置修飾という用法が存在し、この用法を知らなければ修飾関係を正しく把握できない場面がある。”something interesting”や”the people present”のような語順は、限定用法の原則(名詞の前に置く)とは異なるため、後置修飾のルールを理解していなければ文の構造を誤って分析する可能性がある。

まず後置修飾が発生する条件を理解し、その上で限定専用・叙述専用の形容詞という特殊なケースへ進む。後置修飾の条件を把握することで、形容詞の出現位置に関する知識が体系的に完成し、どのような位置に形容詞が現れても正確に識別できるようになる。

後置修飾の理解は、次のモジュールで扱う副詞の位置判定や、基礎体系での修飾構造の分析に直結する。

2.1. 後置修飾の条件と識別

一般に形容詞は「名詞の前に置く」と単純に理解されがちである。しかし、この理解は”something useful”のように形容詞が名詞の後ろに置かれるケースを説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、英語の形容詞には後置修飾という用法があり、特定の条件下で名詞の直後に配置されるものとして理解されるべきである。後置修飾が生じる主な条件は三つある。第一に、-thing, -one, -bodyで終わる不定代名詞を修飾する場合である。不定代名詞は形態的に一語であるため、形容詞を前に挿入する余地がなく、必然的に後置修飾となる。第二に、形容詞にフレーズ(前置詞句や不定詞)が後続する場合である。フレーズを伴う形容詞を名詞の前に置くと、修飾要素が名詞と冠詞の間に長く割り込むことになり、英語の構造として不自然になるため後置される。第三に、特定の形容詞(available, present, involvedなど)が名詞の後ろで異なる意味を持つ場合である。これらの形容詞は前置と後置で意味が体系的に異なり、語用論的な理由から使い分けが生じている。後置修飾の識別は、長文読解で名詞句の範囲を正しく把握するために不可欠であり、修飾関係の誤認は文意の取り違えに直結する。

この原理から、後置修飾の形容詞を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では名詞の直後に形容詞が来ていないか確認する。特に-thing, -one, -bodyの後ろは後置修飾が義務的に発生するため、必ず確認することで見落としを防げる。手順2では形容詞に後続するフレーズの有無を確認する。“a student eager to learn”のように、形容詞の後に不定詞や前置詞句が続いている場合、後置修飾と判定できる。手順3では前置と後置で意味が変わる形容詞かどうかを確認する。“the present members”(現在のメンバー)と”the members present”(出席しているメンバー)のように、位置で意味が異なる場合がある。

例1: something strange → strangeは不定代名詞somethingの後ろに位置 → 後置修飾(義務的)。「何か奇妙なもの」。不定代名詞は-thingで終わるため、strange somethingとは言えない。同様に、nothing special, anyone interested, everybody presentなども全て後置修飾である。不定代名詞+形容詞の組み合わせは入試の空所補充問題で頻出する。

例2: a person responsible for the project → responsibleはpersonの後ろに位置し、for the projectが後続 → 後置修飾(フレーズ付き)。「そのプロジェクトの責任者」。a responsible personとすると「責任感のある人」という異なる意味になる点にも注意が必要である。フレーズが後続することで後置修飾が生じ、同時に意味も変化するという二重の効果が現れている。

例3: the concerned parents → concernedはparentsの前に位置 → 限定用法。「心配している親たち」。the parents concerned → concernedはparentsの後ろに位置 → 後置修飾。「関係する親たち」。意味が異なる。前置の”concerned”は感情状態(心配している)を表し、後置の”concerned”は関与・関係を表す。この前置=比喩的・心理的、後置=字義通り・客観的という傾向は、多くの位置変化形容詞に共通するパターンである。

例4: anybody absent → absentは不定代名詞anybodyの後ろに位置 → 後置修飾(義務的)。「欠席している人は誰か」。absentは-bodyで終わる不定代名詞の後に置かれるため義務的後置修飾である。absent anybodyという語順は文法的に不可である。

以上により、形容詞が名詞の後ろに現れる場合でも、後置修飾の条件を判定し、修飾関係を正確に把握することが可能になる。

3. 形容詞と紛らわしい語の識別

英文中には、形容詞と見分けがつきにくい語が多数存在する。分詞(-ing形・-ed形)が形容詞的に使われる場合、名詞が別の名詞を修飾する場合、そして形容詞と副詞の区別が問われる場合がその代表的なケースである。これらの識別は共通テストやMARCH入試の文法問題で直接問われるだけでなく、長文読解での正確な構造把握にも不可欠となる。

形容詞と紛らわしい語の識別基準を確立することで、品詞の判定精度が格段に向上する。分詞形容詞の判定手順、名詞の形容詞的用法との区別基準、形容詞と副詞の使い分けという三つの側面から識別能力を養成する。

これらの識別能力は、モジュール6で扱う副詞の識別基準や、モジュール22で扱う分詞の形態と識別に直接つながる。

3.1. 分詞形容詞と名詞修飾名詞の識別

形容詞には二つの捉え方がある。一つは「もともと形容詞として存在する語」(beautiful, importantなど)であり、もう一つは「他の品詞から派生して形容詞的に機能する語」である。後者の代表が分詞形容詞(-ing形・-ed形)と名詞修飾名詞(名詞が名詞の前に置かれて修飾する用法)である。これらの区別が重要なのは、分詞形容詞は語形変化(比較級・最上級やvery修飾)が可能な場合があるのに対し、名詞修飾名詞はそれが不可能であり、文法問題で直接問われるためである。分詞形容詞と名詞修飾名詞を混同すると、名詞句の構造分析を誤り、文型の判定にも影響が及ぶ。分詞形容詞は動詞から派生したものであり、元の動詞の意味(動作や状態)を保持しつつ形容詞として機能する。一方、名詞修飾名詞は名詞が名詞を修飾する複合名詞の一部であり、「種類・分類」の機能を果たす。この機能の違いが、very修飾や比較級の可否という形態的な差異として現れるのである。つまり、形容詞的な語がveryで修飾可能かどうかは、その語が「程度」を持つかどうかの反映であり、性質や状態(程度を持つ)と分類(程度を持たない)の意味的区別に対応している。

では、これらを識別するにはどうすればよいか。手順1では語の形態を確認する。-ing形や-ed形(-en形含む)であれば、分詞形容詞の候補である。語形変化のない名詞であれば、名詞修飾名詞の候補である。手順2ではveryで修飾できるかを確認する。”very interesting”と言えるならinterestingは形容詞化が進んでいる。”very stone”とは言えないのでstoneは名詞修飾名詞である。手順3では比較級・最上級が可能かを確認する。”more interesting”と言えるが、“more school”(school busのschool)とは言えない。この手順で形容詞と名詞修飾名詞を区別できる。

例1: an exciting movie → excitingは-ing形。very exciting, more excitingと言える → 分詞形容詞。movieの性質(興奮させる)を表す。exciteという動詞から派生し、「興奮させる性質を持つ」という意味で形容詞化している。程度の概念を持つため、very/more/mostによる修飾が可能である。

例2: a running shoe → runningは-ing形だが、very running shoeとは言えない → 名詞修飾名詞に近い複合名詞。shoeの種類(走るための靴)を分類する。running shoeは「走ること用の靴」であり、runningは靴の性質ではなく用途・種類を示している。性質を表していないため程度修飾が不可能である。

例3: a wooden desk → woodenは名詞woodに接尾辞-enが付いた派生形容詞。素材を表す。more woodenとは通常言えないが、形容詞として辞書に登録されている → 派生形容詞。-en, -ful, -less, -ous, -iveなどの接尾辞が付いた語は、名詞や動詞から派生した形容詞であり、名詞修飾名詞とは区別される。

例4: a coffee table → coffeeは名詞。very coffee tableとは言えない。比較級も不可 → 名詞修飾名詞。tableの種類を分類する。coffee tableは「コーヒーを飲む際に使うテーブル」という用途分類であり、テーブルの性質を表しているわけではない。

4つの例を通じて、分詞形容詞・派生形容詞・名詞修飾名詞の識別方法が明らかになった。

4. 限定専用・叙述専用の形容詞

英語の形容詞の多くは限定用法と叙述用法の両方で使えるが、一部の形容詞はどちらか一方でしか使えないという制約がある。この知識がなければ、文法問題で誤った選択をしたり、英作文で非文法的な文を作成したりする可能性がある。

限定専用・叙述専用形容詞の存在を認識し、代表的な例を識別できるようにすることで、形容詞の用法に関する知識が完成する。入試ではこの知識が空所補充や誤り指摘の問題で問われることがある。

限定専用・叙述専用の判定能力は、意味層で扱う形容詞の意味分類と密接に関連する。

4.1. 限定専用形容詞と叙述専用形容詞

一般に形容詞は「限定用法でも叙述用法でも使える」と理解されがちである。しかし、この理解は”the main reason”の”main”を”The reason is main.”とは言えないことや、”The child is asleep.”の”asleep”を”an asleep child”とは通常言えないことを説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、英語の形容詞は限定専用(attributive only)、叙述専用(predicative only)、両用可能の三つのカテゴリに分類されるべきものである。この分類を知ることが重要なのは、入試の文法問題で直接問われるだけでなく、正確な英文産出の前提となるためである。限定専用形容詞が限定用法でしか使えない理由には、意味的な背景がある。main, chief, principalなどは「主要な」「最高位の」という意味を持ち、名詞の分類・順位づけに用いられる。分類・順位づけは名詞の属性を限定する機能であり、述語的に「主語がmainである」と述べることは意味的に不整合となる。一方、叙述専用形容詞の多くは”a-“で始まる(alive, asleep, awake, afraid, alone, aware, afire, afloat, alike, aliveなど)。これらは歴史的にon + 名詞の縮約形(asleep = on sleep)に由来し、元来は述語的な前置詞句であったため、限定用法(名詞の前に置く)の伝統を持たないのである。名詞の前で「眠っている」を表す必要がある場合はsleepingを、「生きている」を表す場合はlivingを使う。

上記の定義から、形容詞の用法制限を判定する手順が論理的に導出される。手順1では形容詞が名詞の前に置かれているか、補語の位置にあるかを確認する。手順2では、限定専用形容詞の代表例を確認する。main, chief, principal, former, latter, elder, mere, sheer, utterなどは限定用法でのみ使用可能である。これらの語が補語の位置にあれば誤りと判定できる。手順3では、叙述専用形容詞の代表例を確認する。a-で始まる形容詞(alive, asleep, awake, afraid, alone, awareなど)の多くは叙述用法でのみ使用可能である。これらの語が名詞の直前にあれば誤りと判定できる。

例1: the main entrance → mainは名詞entranceの前(限定用法)→ 正しい。The entrance is main. → mainは補語の位置(叙述用法)→ 誤り。mainは限定専用形容詞。mainは「主要な」という分類的意味を持ち、述語としては機能しない。入試の正誤問題で”The reason is main.”を正しいとする誤答が多い。

例2: The baby is asleep. → asleepは補語の位置(叙述用法)→ 正しい。an asleep baby → asleepは名詞の前(限定用法)→ 誤り。asleepは叙述専用形容詞。正しくはa sleeping baby。asleepの語源的背景(on + sleep)を理解していれば、限定用法で使えないことが自然に導かれる。同様にawareも”an aware person”とは言えず、”a person who is aware”と表現する。

例3: She is afraid of dogs. → afraidは補語の位置(叙述用法)→ 正しい。an afraid girl → afraidは名詞の前 → 誤り。afraidは叙述専用形容詞。正しくはa frightened girl。afraidの代わりに限定用法で使える形容詞はfrightened(-ed形容詞)である。このように、叙述専用形容詞には限定用法で使える「対応語」が存在することが多い。

例4: his elder brother → elderは名詞brotherの前(限定用法)→ 正しい。He is elder than me. → elderは補語の位置 → 誤り。elderは限定専用形容詞。叙述用法ではolderを使う。ただし、”He is the elder of the two.”のように名詞的用法(代名詞的使用)としてはelderを用いることができる。

以上により、限定専用・叙述専用形容詞を正確に識別し、入試の文法問題や英作文で誤りのない判断ができるようになる。

5. 形容詞の語順規則

複数の形容詞が一つの名詞を修飾する場合、英語には決まった語順がある。”a big old red wooden box”のように形容詞が並ぶとき、語順を間違えると不自然な英語になる。この語順規則は入試の並べ替え問題で直接問われるだけでなく、英作文での自然な表現にも不可欠である。

形容詞の語順規則を理解し、複数の形容詞が並ぶ名詞句を正確に構成できるようにすることで、統語層の学習が完成する。語順の原則を把握することは、意味層で形容詞の意味分類を学ぶための準備となる。

語順規則の知識は、基礎体系モジュール5で扱う修飾構造の体系的理解に発展する。

5.1. 複数形容詞の配列原則

形容詞の語順とは何か。”a red big ball”と”a big red ball”を比べたとき、英語話者は後者を圧倒的に自然と感じる。この直感の背後には、名詞との意味的距離という明確な原理が存在する。学術的・本質的には、英語の形容詞は名詞との意味的距離に基づいて配列されるものとして理解されるべきである。名詞の本質的・客観的な属性を表す形容詞ほど名詞に近く、主観的な評価を表す形容詞ほど名詞から遠く配置される。素材(wooden)や出自(Japanese)は名詞が「何でできているか」「どこから来たか」という本質的属性であるため名詞に最も近く、話者の主観的評価(beautiful, nice)は名詞自体の客観的属性ではないため最も遠くに置かれる。大きさ・新旧・形状・色はこの両端の間に位置し、より客観的な属性ほど名詞に近い。この原理を理解すれば、語順を一つ一つ暗記するのではなく、意味的距離に基づいて論理的に判断できるようになる。なお、同じカテゴリに属する形容詞が複数ある場合はコンマで区切る(“a long, narrow road”)。異なるカテゴリの形容詞が並ぶ場合は通常コンマを用いない(”a long narrow road”も可だが”a big red ball”にコンマは不要)。

この原理から、複数の形容詞を正しく配列する具体的な手順が導かれる。手順1では各形容詞が表す意味を分類する。主観的評価(opinion)→ 大きさ(size)→ 新旧(age)→ 形状(shape)→ 色(color)→ 出自(origin)→ 素材(material)→ 目的(purpose)の順に並べることで、自然な語順を実現できる。手順2では名詞との意味的距離を確認する。素材や出自は名詞の本質的属性であるため名詞に最も近く配置し、評価は話者の主観であるため最も遠くに配置する。手順3では全体を通読して音声的な自然さを確認する。原則に従っても不自然に聞こえる場合はコンマで区切るか、表現を調整する。

例1: a beautiful small old Japanese wooden box → 評価(beautiful) → 大きさ(small) → 新旧(old) → 出自(Japanese) → 素材(wooden) → 名詞(box)。原則通りの配列。名詞boxの本質的属性であるwoodenとJapaneseが名詞に近く、話者の主観的評価であるbeautifulが最も遠い位置にある。5つの形容詞が並ぶこのような例は実際の英文では稀だが、原理の理解に有効である。

例2: a large round black table → 大きさ(large) → 形状(round) → 色(black) → 名詞(table)。評価の形容詞がないため、大きさから始まる。黒い色は円形よりも名詞の属性に近いとされるため、blackがtableに最も近い位置に来る。

例3: an expensive new Italian sports car → 評価(expensive) → 新旧(new) → 出自(Italian) → 目的(sports) → 名詞(car)。sportsは名詞修飾名詞だが、目的を表すため名詞に最も近い位置にある。名詞修飾名詞は形容詞の語順体系の中で名詞に最も近い位置に置かれるという原則がここにも適用されている。

例4: two big red apples → 数量(two) → 大きさ(big) → 色(red) → 名詞(apples)。数量は形容詞の語順より前に配置される。数詞・冠詞・指示詞は語順体系全体の最も外側に位置し、形容詞の配列より前に来る。”the two big red apples”のようにtheが加わると、冠詞→数詞→形容詞群→名詞という順序になる。

以上により、複数の形容詞が名詞を修飾する場合に、意味的距離の原則に基づいて正しい語順を導き出すことが可能になる。

意味:形容詞の意味分類と語義の判定

統語層で形容詞の文法的位置と識別基準を確立した。しかし、形容詞を正しく識別できても、その形容詞がどのような意味を持つかを正確に判定できなければ、文の意味を取り違える。”He is a heavy smoker.”の”heavy”は「重い」ではなく「ヘビーな(程度の大きい)」という意味であり、文脈に応じた語義選択が不可欠である。意味層を終えると、形容詞の意味分類(性質・状態・数量・指示)を理解し、多義形容詞の語義を文脈から正確に選択できるようになる。品詞の識別と形容詞の統語的位置の判定が頭に入っていれば、ここから先の分析に進める。形容詞の意味分類体系、多義形容詞の語義選択手順、位置による意味変化の判定を扱う。意味層の能力がなければ、語用層で類義形容詞の使い分けを学ぶ際に、意味の微妙な差異を把握できないという問題が頻発する。

【関連項目】

[基盤 M26-意味]
└ 多義語の処理方法を形容詞以外の品詞にも拡張して理解する

[基盤 M29-意味]
└ 文脈からの語義推測手順を形容詞の語義選択に応用する

【基礎体系】

[基礎 M05-意味]
└ 形容詞・副詞の意味体系を原理的に深める

1. 形容詞の意味分類

形容詞の意味を考える際、漠然と「名詞の性質を表す」と捉えるだけでは、”every student”の”every”や”this book”の”this”が形容詞的に機能することを適切に位置づけられない。形容詞が表す意味は多様であり、体系的に分類することで、形容詞の使い方と設問への対応力が格段に向上する。

形容詞の意味分類能力によって、以下の能力が確立される。第一に、形容詞を意味の種類(性質・状態・数量・指示)に分類できるようになる。第二に、分類に基づいて形容詞の語順規則をより深く理解できるようになる。第三に、設問で問われている形容詞がどの意味カテゴリに属するかを判断できるようになる。

形容詞の意味分類は、次の記事で扱う多義形容詞の語義選択の前提となる。

1.1. 性質形容詞・状態形容詞・数量形容詞・指示形容詞

形容詞とは、名詞の属性を何らかの観点から限定する語である。しかし、「ものの様子を表す」という素朴な理解では、”many books”の”many”や”that idea”の”that”が形容詞的に機能することを説明できない。学術的・本質的には、形容詞は表す意味の種類によって性質形容詞(beautiful, large)、状態形容詞(alive, ready)、数量形容詞(many, few, several)、指示形容詞(this, that, each, every)の四つに分類されるべきものである。この分類が重要なのは、意味分類が語順規則と対応しており、入試での語彙・文法問題に直結するためである。性質形容詞は名詞の恒常的な特徴を表し、比較級・最上級による程度の比較が可能である。状態形容詞は名詞の一時的な状態を表し、「今は~だが後で変わりうる」という含意を持つ。数量形容詞は名詞の数や量を限定し、比較級を持たないものが多い(manyとmuchはmore/mostとなるが、severalやeachには比較級がない)。指示形容詞は名詞を空間的・文脈的に指し示し、程度の概念を持たない。この四分類は形容詞の文法的振る舞い(比較級の可否、語順上の位置、叙述用法の可否)と密接に対応しており、分類を知ることで個々の形容詞の文法的性質を予測できるようになる。

この原理から、形容詞を意味分類する具体的な手順が導かれる。手順1ではその形容詞が名詞の永続的な特徴を表しているか確認する。色・形・大きさ・材質など変化しにくい特徴を表す語は性質形容詞と判定できる。手順2ではその形容詞が名詞の一時的な状態を表しているか確認する。感情・健康状態・準備状況など変化しうる特徴を表す語は状態形容詞と判定できる。手順3では数量や順序を表しているか、または特定の対象を指し示しているかを確認する。数量を表していれば数量形容詞、指し示す機能があれば指示形容詞と判定できる。

例1: a tall building → tallは建物の永続的な特徴(大きさ)を表す → 性質形容詞。比較級taller、最上級tallestが可能。性質形容詞は名詞の客観的属性を表すため、語順規則では評価的形容詞よりも名詞に近い位置に配置される。同様にred, wooden, Japaneseなども名詞の客観的属性を表す性質形容詞であり、名詞に近い位置をとる。

例2: The child is hungry. → hungryは子供の一時的な状態を表す → 状態形容詞。空腹は変化する状態であり、永続的特徴ではない。状態形容詞の多くは叙述用法でより自然に使われ、限定用法では「一時的な状態にある~」という含意が加わる。”a hungry child”は「(今)空腹な子供」であり、その子供が常に空腹であるわけではない。

例3: several students arrived late. → severalは学生の数量を表す → 数量形容詞。比較級は不可。moreやfewerとは異なり、漠然とした複数を示す。数量形容詞は語順規則において形容詞群の外側(冠詞の隣)に配置され、性質形容詞や状態形容詞よりも名詞から遠い位置をとる。

例4: Each student must submit the report. → eachは個々の学生を指示する → 指示形容詞。一人一人を個別に指す機能を持つ。指示形容詞は冠詞と同様に名詞句の最外部に位置し、他の形容詞と共起する場合は常に先頭に来る(”each tall student”であり”tall each student”ではない)。

以上により、形容詞を性質・状態・数量・指示の四つのカテゴリに正確に分類し、各カテゴリの文法的特徴を把握することが可能になる。

2. 多義形容詞の語義選択

英語の形容詞には、文脈によって大きく異なる意味を持つ多義語が数多く存在する。”a light bag”の”light”は「軽い」だが、”a light color”では「薄い」、”light rain”では「小降りの」となる。多義形容詞の語義選択は共通テストの語彙問題や長文読解の内容一致問題で頻出し、正確な語義判定が得点に直結する。

多義形容詞の語義選択能力によって、辞書に複数の訳語が並ぶ形容詞に遭遇した際に、文脈から適切な語義を選択できるようになる。この能力は、意味層で確立した分類体系を実際の読解に応用する第一歩となる。

多義形容詞の処理手順は、モジュール26で扱う多義語の処理方法を形容詞に特化して適用するものである。

2.1. 文脈に基づく語義選択の手順

多義形容詞は「訳語を複数覚えればよい」と漠然と理解されがちである。しかし、この理解は初見の文脈で適切な訳語を選べない(暗記していない組み合わせに対応できない)という点で不正確である。学術的・本質的には、多義形容詞の各語義は中心的意味(コア・ミーニング)から拡張されたものであり、中心的意味を把握した上で文脈の手がかりに基づいて適切な語義を導出するものとして理解されるべきである。”hard”であれば中心的意味は「抵抗がある」であり、物理的抵抗なら「硬い」、達成への抵抗なら「難しい」、態度の抵抗なら「厳しい」と拡張される。中心的意味からの拡張パターンは体系的であり、個々の訳語を暗記するよりも、中心的意味を一つ把握する方が多くの文脈に対応できる。中心的意味は多くの場合、最も具体的・物理的な意味であり、そこから比喩的・抽象的な方向へ拡張が進む。lightであれば「(重さが)軽い」が中心的意味であり、色の「薄い」、雨の「小降りの」、食事の「軽い」はいずれも「重さ・負荷が少ない」という共通の概念から拡張された語義である。この拡張の方向性を理解していれば、辞書に載っていない組み合わせに遭遇しても、中心的意味から類推して適切な訳語を導出できる。

この原理から、多義形容詞の語義を選択する具体的な手順が導かれる。手順1ではその形容詞が修飾する名詞(または主語)の種類を確認する。修飾対象が物理的な物か、抽象的な概念か、人間かによって、適切な語義が絞られる。手順2では文脈全体から語義を検証する。前後の文の内容と矛盾しない語義を選択することで、誤訳を防げる。手順3では中心的意味からの拡張パターンを確認する。辞書に載っていない組み合わせでも、中心的意味から類推することで適切な訳語を導出できる。

例1: a hard surface → hardが修飾するのは物理的なsurface → 中心的意味「抵抗がある」の物理的適用 → 「硬い表面」。surfaceは物理的な対象であるため、hardの中心的意味が最も直接的に適用される。

例2: a hard question → hardが修飾するのは抽象的なquestion → 中心的意味「抵抗がある」の達成面への適用 → 「難しい問題」。問題を「解く」ことに対する抵抗という比喩的拡張である。a hard worker(勤勉な労働者)のhardは「努力に対する抵抗を厭わない」という方向への拡張であり、いずれも「抵抗がある」という中心的意味から論理的に導出できる。

例3: a fair decision → fairが修飾するのは抽象的なdecision → 中心的意味「偏りがない」の判断面への適用 → 「公正な決定」。fair weather(良い天気)は「偏りなく穏やかな」天気、fair skin(白い肌)は「偏りなく均一な」肌の色合い、fair price(適正な価格)は「偏りなく妥当な」価格であり、全て「偏りがない」という中心的意味から拡張されている。

例4: a fine line → fineが修飾するのはline → 中心的意味「際立って優れた/細い」→ 文脈が境界の話なら「微妙な境界線」、芸術の話なら「繊細な線」。前後の文脈で判断する。fineの中心的意味は「精緻な」であり、「品質が高い」(fine wine)と「幅が狭い」(fine print)はいずれも精緻さの異なる側面を表している。

以上の適用を通じて、多義形容詞の語義を文脈と中心的意味から導出する能力を習得できる。

3. 位置による意味変化

統語層で触れた「前置と後置で意味が変わる形容詞」について、意味の側面から体系的に整理する。”the present members”と”the members present”では、同じ形容詞presentが前置では「現在の」、後置では「出席している」と異なる意味を持つ。この意味変化のパターンを知らなければ、入試の正誤問題や内容一致問題で誤答する。

位置による意味変化を体系的に把握することで、形容詞の意味層の学習が完成する。代表的な意味変化パターンを習得した上で、語用層での実践的な運用へ進む。

この知識は、基礎体系での修飾構造の分析において、修飾関係の曖昧性を解消する能力の前提となる。

3.1. 前置と後置で意味が変わる形容詞

形容詞の意味には、名詞の前に置くか後ろに置くかで体系的に変化するパターンがある。前置では比喩的・抽象的な意味になり、後置では字義通り・具体的な意味になる傾向がある。この傾向を把握することが重要なのは、入試で頻出するだけでなく、長文読解での正確な意味把握に直結するためである。なぜ前置と後置で意味が変わるのか。限定用法(前置)の形容詞は名詞の恒常的属性や分類を表す傾向があり、叙述に近い後置用法は名詞の一時的状態や具体的状況を表す傾向がある。presentの場合、前置の”the present situation”は「現在の(時間的な分類としての)状況」であり、後置の”the members present”は「(今ここに)出席している(一時的状態の)メンバー」である。この前置=恒常的属性・分類、後置=一時的状態・具体的状況という対応関係は、concerned, responsible, involved, properなど多くの形容詞に当てはまる一般的傾向である。入試ではこの対応関係を利用した正誤問題や語義選択問題が出題されるため、個々の形容詞の意味変化を暗記するのではなく、背後にある原理を理解することが効率的である。

では、位置による意味変化を正確に判定するにはどうすればよいか。手順1では形容詞が名詞の前にあるか後ろにあるかを確認する。手順2では前置の場合は比喩的・抽象的・恒常的な意味を、後置の場合は字義通り・具体的・一時的な意味を第一候補として検討する。手順3では文脈全体との整合性を確認し、最終的な語義を確定する。

例1: the present situation(現在の状況)→ presentは前置で「現在の」(時間的分類)。the students present(出席している学生)→ presentは後置で「出席している」(一時的状態)。前置のpresentは時間的な恒常的分類(current)を表し、後置のpresentは物理的な存在(attending)を表す。この区別は入試で繰り返し出題される。

例2: the concerned parents(心配している親)→ concernedは前置で「心配している」(心理的状態の恒常的属性化)。the parents concerned(関係している親)→ concernedは後置で「関係している」(具体的な関与)。前置のconcernedは「いつも心配性の」というニュアンスを帯び、後置のconcernedは「この件に関与している」という具体的状況を示す。

例3: the responsible person(責任感のある人)→ responsibleは前置で「責任感のある」(人格的属性)。the person responsible(責任のある人)→ responsibleは後置で「責任を負っている」(具体的な役割)。前置は人格の恒常的特徴を、後置は特定の事案に対する具体的な責任を表す。

例4: the involved process(複雑なプロセス)→ involvedは前置で「複雑な」(抽象的属性)。the people involved(関与した人々)→ involvedは後置で「関与した」(具体的参加)。前置のinvolvedは「入り組んだ」という比喩的意味に転じており、後置のinvolvedは「関わった」という字義通りの意味を保持している。

以上により、形容詞の前置と後置での意味変化パターンを把握し、文脈に応じた正確な語義判定が可能になる。

4. -ing形容詞と-ed形容詞の意味的区別

“The movie was boring.”と”I was bored.”の区別は、共通テストやMARCH入試で繰り返し出題される頻出テーマである。-ing形容詞と-ed形容詞の意味的区別が曖昧なまま放置すると、文法問題だけでなく長文読解でも修飾関係を誤認する。

-ing形容詞(原因・刺激を与える側)と-ed形容詞(影響・反応を受ける側)の意味的区別を確立することで、分詞形容詞に関する設問に原理的に対応できるようになる。この理解は、モジュール22で扱う分詞の形態と識別に直接つながる。

-ing/-ed形容詞の区別は、語用層での表現選択にも直結する実践的な知識である。

4.1. 原因と反応の原理

-ing形容詞と-ed形容詞の違いは、「-ingは~させる、-edは~される」という受動態との類推で理解されることが多い。しかし、この理解は受動態の「される」との混同を招き、”I am interested in music.”を「私は音楽に興味を持たされている」と不自然に捉えてしまうという点で不正確である。学術的・本質的には、-ing形容詞は「原因・刺激を与える側の性質」を、-ed形容詞は「影響・反応を受ける側の状態」を表すものとして定義されるべきである。映画が退屈なのはboringであり(映画が退屈さの原因)、観客が退屈しているのはboredである(観客が退屈さの反応を示している)。この「原因と反応」の枠組みは受動態の「する/される」とは異なる概念であり、混同してはならない。-ed形容詞を「~された状態にある」と捉えるのではなく、「~という反応・感情を経験している状態にある」と捉えるのが正確である。”I am interested in music.”は「音楽によって興味を持たされている」ではなく、「音楽に対して興味という反応を持っている」と理解すべきである。この原理を理解していれば、主語が人であるか物であるかだけでなく、同じ人でも原因側の性質を述べる場合(“He is boring.”=彼は退屈な人物だ)と反応側の状態を述べる場合(“He is bored.”=彼は退屈している)で形が変わることも論理的に導出できる。入試ではこの区別を意図的に問う設問が多く、主語が物であれば-ing、人であれば-edという機械的な判定では対応できない例(人が原因側になる場合)が出題されることがある。

この原理から、-ing形容詞と-ed形容詞を選択する具体的な手順が導かれる。手順1では修飾される名詞(または主語)が「原因・刺激を与える側」か「影響・反応を受ける側」かを判断する。映画・ニュース・経験などは原因側、人間・動物は反応側であることが多い。手順2では原因側であれば-ing形を、反応側であれば-ed形を選択することで、正しい形容詞を特定できる。手順3では例外的なケースを確認する。人が原因側になる場合(“He is boring.”=彼は退屈な人だ)は-ingを使い、物が反応の結果を持つ比喩的な場合(“a tired expression”=疲れた表情)は-edを使う。

例1: The news was shocking. → newsは衝撃の原因 → -ing形。I was shocked by the news. → Iは衝撃の反応を受ける側 → -ed形。”by the news”という前置詞句が原因を示しており、主語Iが反応側であることを確認できる。

例2: The book is interesting. → bookは興味の原因 → -ing形。She is interested in science. → Sheは興味の反応を示す側 → -ed形。”in science”は興味の対象を示す前置詞句であり、-ed形容詞のコロケーション(interested in)として定着している。

例3: He is a boring speaker. → Heは退屈さの原因(退屈な話をする人)→ -ing形。He is bored with the lecture. → Heは退屈の反応を示す側 → -ed形。同じ人でも原因側か反応側かで形が変わる。この例が示すように、「人は-ed」という機械的判定は誤りであり、その人が原因として機能しているか反応として機能しているかを判断する必要がある。

例4: an exhausting journey → journeyは疲労の原因 → -ing形。the exhausted travelers → travelersは疲労の反応を受ける側 → -ed形。exhaustの場合、“an exhausted expression”(疲れ切った表情)のように無生物に-edを使う比喩的用法もある。表情自体は疲労の原因ではなく、疲労の反応を「映し出している」ものとして-edが使われている。

以上により、-ing形容詞と-ed形容詞を「原因と反応」の原理に基づいて正確に選択し、文法問題と読解の両方に対応することが可能になる。

語用:形容詞の運用と表現選択

統語層で形容詞の文法的位置を、意味層で形容詞の意味分類と語義選択を確立した。しかし、形容詞を正しく識別し意味を理解できても、実際の英文で形容詞を正確に運用できなければ入試での得点には結びつかない。”She is tall.”と”She is high.”はどちらも「高い」を表すように見えるが、人の身長にはtallを使いhighは不自然である。こうした類義形容詞の使い分けや、形容詞と前置詞の結びつき(コロケーション)の知識は、文法問題・語彙問題・英作文で直接問われる。語用層を終えると、類義形容詞の使い分け基準を把握し、形容詞を含む頻出コロケーションを識別し、入試の設問形式に対応できるようになる。統語層・意味層で確立した識別能力と意味分類の知識を備えている必要がある。類義形容詞の識別基準、形容詞と前置詞のコロケーション、入試頻出の形容詞関連設問パターンを扱う。語用層で確立した運用能力は、談話層で長文中の形容詞の情報的価値を判断する際に不可欠となる。

【関連項目】

[基盤 M27-語用]
└ 類義語・対義語の識別手順を形容詞以外の品詞にも拡張して理解する

[基盤 M30-語用]
└ コロケーションの認識方法を体系的に把握する

【基礎体系】

[基礎 M05-語用]
└ 形容詞・副詞の修飾構造を応用的に展開する

1. 類義形容詞の使い分け

英語には「高い」「大きい」「多い」など、日本語では同じ訳語になる形容詞が複数存在する。tall/high、large/big/great、many/much/a lot ofなどの使い分けは、共通テストの語彙問題やMARCH入試の空所補充問題で頻出する。日本語の訳語だけを頼りにしていると、適切な形容詞を選択できない。

類義形容詞の使い分け基準を確立することで、空所補充や正誤問題において、感覚ではなく原理に基づいた判断ができるようになる。使い分けの基準には「修飾対象の種類」「主観的か客観的か」「フォーマルさの程度」の三つの観点がある。

類義形容詞の使い分けは、モジュール27で扱う類義語・対義語の識別を形容詞に特化して適用するものであり、談話層での読解にも直結する。

1.1. 修飾対象と意味領域による使い分け

類義形容詞は「どれも同じ意味」と漠然と理解されがちである。しかし、この理解は”a tall building”とは言えるが”a high building”は限定的な文脈でしか使えないこと、”big”と”large”が交換不可能な場合があることを説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、類義形容詞は修飾対象の種類と意味領域によって使い分けが規定されるものとして理解されるべきである。tall/highであれば、tallは「細長いものの縦方向の長さ」を、highは「基準面からの距離・高度」を表すという意味領域の違いがある。この区別が重要なのは、修飾対象の種類に応じて適切な形容詞が一意に決まる場合が多いためである。類義形容詞の使い分けは、日本語では一つの訳語に収束してしまう概念が、英語では異なる意味領域として区別されていることに起因する。日本語の「高い」は縦方向の長さ・基準面からの距離・価格・温度・程度などを全て包含するが、英語ではtall(細長いものの縦方向)、high(基準面からの距離)、expensive(価格)、hot(温度)のように意味領域ごとに異なる形容詞が割り当てられている。この対応関係を理解していれば、日本語の訳語に引きずられることなく、修飾対象の種類から適切な英語の形容詞を導出できる。同様に、large/big/greatの使い分けも意味領域の違いに基づく。largeは客観的・数値的な大きさ(a large population, a large number)、bigは主観的・感覚的な大きさや重要性(a big mistake, a big problem)、greatは質的な卓越性や程度の大きさ(a great achievement, great importance)を表す傾向がある。

この原理から、類義形容詞を選択する具体的な手順が導かれる。手順1では修飾対象の種類を確認する。人の身体的特徴か、物の物理的特徴か、抽象的な概念かによって使える形容詞が絞られる。手順2では各形容詞の意味領域を確認する。tallは「細長いものの縦の長さ」、highは「基準面からの高さ・程度」であり、修飾対象と意味領域の組み合わせで正しい形容詞を特定できる。手順3では文脈における自然さを検証する。原理的に両方使える場合でも、慣用的にどちらが自然かを確認することで最終判断ができる。

例1: She is tall. → 人の身長(細長いものの縦方向)→ tall。She is high. → 人に使うと「興奮状態」や「酔っている」の意味になり不適切。人の身長をhighで表すことは英語では行わない。ただし、high feverやhigh blood pressureのように、身体に関連する抽象的な数値にはhighを使う。これは「基準面からの距離」という意味領域が数値の高低にも拡張されているためである。

例2: a high mountain → 山の高度(基準面からの距離)→ high。a tall tree → 木の高さ(細長いものの縦方向)→ tall。山にtallは不自然、木にhighは限定的。山は横幅もある塊状の地形であるため「細長いもの」には該当せず、基準面(海面や地面)からの距離としてhighが適切である。木は根元から先端へ向かう細長い形状であるためtallが自然である。ただし、a tall buildingとa high buildingでは微妙なニュアンスの違いがあり、tallは建物の外見的な縦長さを、highは建物の高度(何階建てか)を強調する傾向がある。

例3: a large population → 人口の規模(客観的・数値的な大きさ)→ large。a big mistake → 過ちの程度(主観的・感覚的な大きさ)→ big。largeは客観的な量、bigは主観的な印象を伴う。a large mistakeとも言えるが、bigの方が話者の感情的な評価を含むため口語的な文脈で好まれる。学術的・公式的な文脈ではlargeが選好される傾向がある。

例4: many students / much water → 可算名詞にはmany、不可算名詞にはmuch。a lot of students / a lot of water → a lot ofは可算・不可算の両方に使える。名詞の可算性が選択基準。many/muchは文体的にformalであり、a lot ofはinformalである。入試の英作文では文体の統一が求められるため、academic writingではmany/muchが適切である。

以上により、類義形容詞を修飾対象の種類と意味領域に基づいて正確に選択し、空所補充問題や英作文で原理的な判断ができるようになる。

2. 形容詞と前置詞のコロケーション

形容詞の後にどの前置詞を使うかは、英語の慣用的な結びつき(コロケーション)によって決まっている。”be interested in”の”in”を”at”や”for”に変えると不自然になる。形容詞と前置詞のコロケーションは共通テストの空所補充やMARCH入試の文法問題で繰り返し出題され、知識の有無が得点に直結する。

形容詞と前置詞のコロケーションを体系的に整理することで、頻出パターンを効率的に習得し、未知のコロケーションにも類推で対応できるようになる。コロケーションの背景にある意味的論理を把握することが、丸暗記に頼らない学習の要点である。

コロケーションの知識は、談話層での長文読解において形容詞句の意味を正確に把握する能力の前提となる。

2.1. 意味グループに基づくコロケーション体系

形容詞と前置詞の組み合わせは「一つずつ暗記する」と理解されがちである。しかし、この理解は膨大な数のコロケーションを全て記憶することが非現実的であるという点で不正確である。学術的・本質的には、形容詞と前置詞のコロケーションは意味グループごとに共通の前置詞パターンを持つものとして理解されるべきである。感情の対象を示す場合はof/about/with、感情の原因を示す場合はat/by、対象への方向性を示す場合はin/for/toが使われるという規則性がある。この体系的理解が重要なのは、初見のコロケーションにも意味の論理から類推できるようになるためである。前置詞は空間的な意味を中心的意味(コア・ミーニング)として持ち、そこから比喩的に拡張されている。inの中心的意味は「内部にある」であり、interested inは「興味の内部にある(=興味の範囲内にある)」、involved inは「関与の内部にある(=関わりの中にある)」と理解できる。atの中心的意味は「点に向かう」であり、angry atは「怒りの矛先が向かう点」、surprised atは「驚きが向かう点」と理解できる。ofの中心的意味は「分離・起源」であり、afraid ofは「恐怖の起源」、proud ofは「誇りの起源」と理解できる。このように前置詞の中心的意味を把握していれば、形容詞と前置詞の組み合わせを意味的に理解でき、暗記量を大幅に減らすことができる。withは「随伴・対面」を中心的意味とし、angry withは「怒りの対面にある人」、satisfied withは「満足と共にある対象」を表す。toは「方向・到達」を中心的意味とし、kind toは「親切さが向かう先」、similar toは「類似性の到達先」を表す。forは「目的・対象」を中心的意味とし、famous forは「名声の対象」、responsible forは「責任の対象」を表す。

上記の定義から、形容詞と前置詞のコロケーションを判定する手順が論理的に導出される。手順1では形容詞が表す意味のグループを特定する。感情系(happy, sad, angry)か、能力系(good, bad, skilled)か、関連系(interested, involved, concerned)かを判定する。手順2では前置詞が果たす意味的役割を確認する。「対象」ならin/about/of、「原因」ならat/by/with、「方向」ならto/for/towardが候補となる。手順3では意味グループと前置詞の役割を組み合わせて適切なコロケーションを特定する。

例1: be afraid of → afraidは恐怖(感情系)、ofは対象の起源を示す → 「~を恐れている」。感情の起源・対象をofで示すパターン(afraid of, proud of, ashamed of, fond of)。ofグループの形容詞は、感情や態度の「源泉」を示す点で共通している。terrified ofやjealous ofも同じパターンに属し、ofの「起源」の意味が感情の原因・対象を表している。

例2: be angry at/with → angryは怒り(感情系)、atは原因・きっかけ(点に向かう)、withは対象(対面する人)→ angry at the situation(状況に対して怒る)、angry with him(彼に対して怒る)。原因と対象で前置詞が変わる。atは状況や出来事という「点」に怒りが向かう場合に、withは人という「対面者」に怒りが向かう場合に使われる。同様に、disappointed at the result / disappointed with the serviceのように、at/withの使い分けが「物・状況」と「人・サービス」の区別に対応する例は多い。

例3: be good at → goodは能力(能力系)、atは対象を示す(点に向かう)→ 「~が得意である」。能力の対象をatで示すパターン(good at, skilled at, excellent at)。能力が「向かう先」の活動をatで表している。bad atも同じパターンであり、能力系の形容詞はatと結びつきやすいという傾向がある。

例4: be interested in → interestedは関心(関連系)、inは対象への方向性(内部にある)→ 「~に興味がある」。関心・関与の対象をinで示すパターン(interested in, involved in, engaged in)。inの「内部にある」という意味が、関心や関与の「範囲内にある」という比喩的拡張として機能している。

4つの例を通じて、形容詞と前置詞のコロケーションを意味グループと前置詞の中心的意味から体系的に把握する実践方法が明らかになった。

3. 入試頻出の形容詞関連設問パターン

これまでに確立した形容詞の識別基準・意味分類・運用規則を、入試で実際に出題される設問形式に適用する能力を養成する。形容詞に関連する入試問題は、空所補充・正誤判定・語句整序の三つの形式で出題されることが多い。各形式に対する解法手順を確立することで、試験本番での対応力が向上する。

入試設問パターンへの対応力を確立することで、語用層の学習が完成する。統語層で学んだ用法制限、意味層で学んだ語義選択、語用層で学んだコロケーションを統合して設問に対処する実践力を養成する。

形容詞関連の設問パターンの処理手順は、基礎体系での体系的な文法問題対応に直接つながる。

3.1. 設問形式別の判断手順

入試の形容詞問題は「知識があれば解ける」と漠然と理解されがちである。しかし、この理解は知識があっても設問形式に応じた判断手順を持っていなければ、制限時間内に正確な解答を導けないという点で不正確である。学術的・本質的には、入試問題への対応とは、設問形式を認識し、形式に応じた判断手順を適用して正答を効率的に導出するプロセスとして定義されるべきである。形容詞問題では、空所補充なら「品詞判定→意味選択→コロケーション確認」、正誤判定なら「用法制限の確認→語順の検証→意味の妥当性検証」という手順が有効である。設問形式の認識が先行しなければならない理由は、同じ形容詞の知識でも、形式によって適用の仕方が異なるためである。空所補充では「選択肢の品詞を見分ける→空所の統語的位置を確認する→品詞が一致するものに絞る→意味で最終判断する」という絞り込みプロセスが有効であり、正誤判定では「各下線部の文法的正しさを独立に検証する」という一項目ずつの検証プロセスが有効である。語句整序では「固まり(コロケーション・イディオム)を先に特定する→残りの語句を文法規則で配列する」という組み立てプロセスが有効である。これらの手順を形式ごとに確立しておくことで、試験本番で「何から手を付ければよいか」という迷いが消え、処理速度が向上する。

この原理から、設問形式別に形容詞問題を解く具体的な手順が導かれる。手順1では設問形式を認識する。空所補充か、正誤判定か、語句整序かを判定することで、適用すべき判断手順が決まる。手順2では空所補充の場合、空所の統語的位置を確認し、形容詞が入るべきかを判定した上で、意味とコロケーションから正しい選択肢を特定する。手順3では正誤判定の場合、限定専用・叙述専用の制限、語順規則、-ing/-edの選択を順に検証することで、誤りの箇所を特定できる。

例1: 空所補充 — The results were very ( ). 選択肢: ①surprise ②surprising ③surprised ④surprisingly → 空所はbe動詞の後(叙述用法の形容詞の位置)。まず品詞を判定する。①surpriseは名詞/動詞、④surprisinglyは副詞であるため、形容詞の位置には入らない。②surprisingと③surprisedの選択になる。resultsは驚きの原因側(結果が人を驚かせる)→ -ing形のsurprising。答え②。仮にThe students were very ( ).であれば、studentsは反応側であるため③surprisedが正答となる。

例2: 正誤判定 — “She felt happily after the exam.” → feltは知覚動詞。検証手順に従い、用法制限を確認する。feltが「感じる」という知覚の意味であれば後ろは主語の状態を述べる形容詞であるべき。happilyは副詞 → 誤り。正しくはhappy。feltが「手探りする」という動作の意味であれば副詞が来うるが、”after the exam”という文脈から「感じる」の意味と判断でき、形容詞が正しい。

例3: 語句整序 — “a / old / beautiful / Japanese / wooden / temple” → まず語順規則を適用する。評価(beautiful) → 新旧(old) → 出自(Japanese) → 素材(wooden) → 名詞(temple)。冠詞aは全体の先頭。答え: a beautiful old Japanese wooden temple。語句整序では「コロケーションの固まり」を先に探すが、この問題では形容詞の語順規則がそのまま解法となる。

例4: 空所補充 — “He is ( ) of his son’s success.” 選択肢: ①proud ②pride ③proudly ④priding → 空所はbe動詞の後(叙述用法の形容詞の位置)。品詞判定: ②prideは名詞、③proudlyは副詞、④pridingは通常使わない形。①proudが形容詞。( ) ofのコロケーションを確認 → proud of(~を誇りに思う)。意味グループ: 感情の起源をofで示すパターン。答え①。

以上により、入試の形容詞関連設問に対して設問形式を認識し、形式に応じた判断手順を適用して正答を導出することが可能になる。

談話:形容詞と文章構造の関係

語用層までの学習で、形容詞の識別・意味判定・運用の各能力が確立された。談話層ではこれらの能力を統合し、長文読解の文脈で形容詞が果たす役割を把握する能力を養成する。長文読解において、形容詞は単なる修飾語ではなく、筆者の態度や評価を示す手がかり、描写の精度を決定する要素、論理展開を支える情報として機能する。”The government announced an ambitious plan.”の”ambitious”は、筆者がその計画を肯定的に評価していることを示唆しており、内容一致問題の正誤判定に直結する。談話層を終えると、長文中の形容詞から筆者の態度を読み取り、形容詞が文章全体の論理展開に果たす役割を判断できるようになる。統語・意味・語用の各層で確立した形容詞の識別・分析能力を備えている必要がある。形容詞による筆者の態度表明の識別、描写における形容詞の情報的価値の判定、論理展開を支える形容詞の機能分析を扱う。本層で確立した能力は、入試の長文読解において形容詞を手がかりに内容一致問題や筆者の主張を問う設問に対応する力として発揮される。

【関連項目】

[基盤 M56-談話]
└ 論理展開パターンの識別手順を形容詞の機能分析に応用する

[基盤 M53-談話]
└ 主題文と支持文の関係における形容詞の役割を確認する

【基礎体系】

[基礎 M05-談話]
└ 形容詞・副詞の修飾構造を長文読解の中で体系的に運用する

1. 形容詞による筆者の態度表明

長文読解で筆者の主張や態度を問う設問に対応するには、筆者がどのような形容詞を選択しているかに注目する必要がある。”The policy had a significant impact.”の”significant”は客観的な評価だが、”The policy had a devastating impact.”の”devastating”は明確に否定的な評価を含む。形容詞の選択から筆者の態度を読み取る能力は、共通テストの内容一致問題やMARCH入試の要旨把握問題で直接活用される。

形容詞から筆者の態度を読み取る能力を確立することで、長文読解の内容一致問題において、筆者の立場を正確に判定できるようになる。この能力は、意味層で確立した語義選択の技術を文章レベルに拡張するものである。

筆者の態度表明を読み取る能力は、次の記事で扱う描写の精度判定や、論理展開分析の前提となる。

1.1. 評価的形容詞と中立的形容詞の識別

形容詞とは、名詞の属性を記述する語類である。しかし、「名詞の性質を客観的に述べる語」という理解は、”an important discovery”の”important”が筆者の価値判断を含んでいることを見逃すという点で不十分である。学術的・本質的には、形容詞は客観的属性を記述する中立的形容詞(large, red, wooden)と、話者・筆者の評価を含む評価的形容詞(important, excellent, terrible)に分類されるべきものである。この区別が重要なのは、長文読解において評価的形容詞は筆者の態度を示す最も直接的な手がかりとなるためである。中立的形容詞は名詞の物理的・客観的な属性(大きさ、色、形状、材質、数量など)を記述するものであり、それ自体に話者の価値判断は含まれない。”a large building”の”large”は建物の客観的なサイズを述べているだけであり、筆者がその建物を肯定的にも否定的にも評価しているわけではない。一方、評価的形容詞は名詞に対する話者・筆者の価値判断(良い・悪い・重要・危険・素晴らしい・問題がある等)を含む。”an important building”の”important”は、筆者がその建物に重要性という価値を認めていることを示す。長文読解では、筆者がどのような評価的形容詞を使っているかが、筆者の態度(肯定的・否定的・中立的)を推測する最も直接的な手がかりとなる。内容一致問題で「筆者はこの現象をどう評価しているか」と問われた場合、答えの根拠は多くの場合、筆者が使用した評価的形容詞に求められる。さらに、評価的形容詞には強度の違いがある。同じ肯定的評価でも”good”より”excellent”が、同じ否定的評価でも”bad”より”catastrophic”が強い。筆者が強い形容詞を選んでいれば、それだけ強い態度を示していると判断できる。

この原理から、形容詞から筆者の態度を読み取る具体的な手順が導かれる。手順1では文中の形容詞が中立的か評価的かを判定する。物理的属性(大きさ、色、材質)を述べているなら中立的、価値判断(良い・悪い・重要・危険)を含んでいるなら評価的と判定できる。手順2では評価的形容詞の極性(positive/negative)を確認する。肯定的評価(important, excellent, remarkable)か否定的評価(dangerous, harmful, problematic)かを判定することで、筆者の態度が明確になる。手順3では形容詞の強度を確認する。“good”より”excellent”、”bad”より”catastrophic”の方が評価の強度が高く、筆者の態度の度合いを示す。

例1: The researchers made a remarkable discovery. → remarkableは肯定的評価を含む評価的形容詞 → 筆者はこの発見を高く評価している。内容一致問題で「筆者は発見を肯定的に捉えている」が正答候補となる。remarkableは”worthy of remark”(注目に値する)という意味であり、significant(重要な)よりもさらに積極的な肯定を含む。筆者が意図的にsignificantではなくremarkableを選択した場合、より強い肯定の姿勢を推測できる。

例2: The plan had an unexpected consequence. → unexpectedは中立的形容詞(「予想外の」は良い悪いを含まない)→ 筆者の態度は結果の内容を見なければ判断できない。形容詞だけで態度を決めつけない。unexpected自体は「予想と異なる」という事実を述べているだけであり、予想外が良い結果であった可能性も悪い結果であった可能性もある。後続の文脈で結果の内容が述べられた時点で筆者の態度を判断すべきである。

例3: This is a controversial decision. → controversialは中立寄りだが「議論を呼ぶ」という含意がある → 筆者はこの決定に対して一定の留保を示している。完全な肯定でも否定でもない。controversialは「賛否両論がある」という状況を記述しており、筆者自身の立場は明示していない。しかし、筆者がcontroversialという形容詞を選択したこと自体が、その決定が一筋縄ではいかないことを読者に示唆する意図を持つ。

例4: The environmental damage was devastating. → devastatingは強い否定的評価を含む評価的形容詞 → 筆者は環境被害を深刻に捉えている。“serious”より強い評価であり、筆者の危機感の程度を示す。devastatingは”completely destructive”(壊滅的な)という意味であり、serious(深刻な)やsevere(厳しい)よりもさらに強い否定的評価を含む。筆者がこの語を選択している場合、環境被害に対する強い危機意識があると判断すべきである。

以上により、長文中の形容詞から筆者の態度(肯定・否定・中立)とその強度を正確に読み取ることが可能になる。

2. 描写における形容詞の情報的価値

長文読解では、全ての形容詞が等しく重要なわけではない。内容一致問題や要旨把握問題に解答する際、どの形容詞が設問に関わる重要な情報を含み、どの形容詞が単なる背景描写に過ぎないかを判断できなければ、制限時間内に正確な解答は困難である。

形容詞の情報的価値を判断する能力を確立することで、長文読解の効率と正確性が向上する。重要な形容詞に注目し、背景的な形容詞を適切に処理することで、限られた試験時間の中で得点を最大化できるようになる。

描写における形容詞の情報的価値の判定は、次の記事で扱う論理展開分析と合わせて、談話層の総合的読解能力を形成する。

2.1. 情報的価値の判定手順

長文読解では「全ての語を正確に訳す」ことが重要と漠然と理解されがちである。しかし、この理解は制限時間内に長文を処理するという入試の条件下では非現実的であるという点で不正確である。学術的・本質的には、長文中の形容詞には設問に関わる高情報価値の形容詞と、場面設定のための低情報価値の形容詞があり、両者を区別して処理することが効率的な読解として理解されるべきである。”The small, dimly-lit room contained an extremely important document.”において、”small”と”dimly-lit”は場面描写であり設問に関わりにくいが、”extremely important”は文書の性質に関する核心情報であり設問に直結する可能性が高い。情報的価値の高低を決定する要因は、その形容詞が文章の主題(筆者が読者に伝えたい中心的メッセージ)にどの程度関与しているかである。文章の主題に直接関わる名詞を修飾する形容詞は高情報価値であり、主題から離れた背景情報の名詞を修飾する形容詞は低情報価値である。論説文では、主張・根拠・結論に関わる形容詞が高情報価値であり、時間・場所・状況の描写に関わる形容詞が低情報価値である傾向がある。物語文では、登場人物の心情や行動の動機に関わる形容詞が高情報価値であり、風景や物理的環境の描写に関わる形容詞は低情報価値である傾向がある。ただし、風景描写が登場人物の心情を暗示する場合(pathetic fallacy)は、風景の形容詞も高情報価値となりうる。読解の効率化とは、全ての形容詞を等しく処理するのではなく、高情報価値の形容詞に集中的な注意を配分し、低情報価値の形容詞は大意の把握に留めるという戦略的な注意配分を行うことである。

この原理から、形容詞の情報的価値を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では形容詞が修飾する名詞が論旨の中心的要素かどうかを確認する。主張・結論・原因・結果に関わる名詞を修飾する形容詞は高情報価値と判定できる。手順2では形容詞が評価的か中立的かを確認する。評価的形容詞は筆者の態度を示すため、内容一致問題に関わりやすい。手順3では形容詞の有無で文の意味が大きく変わるかを検証する。形容詞を除いても文意がほぼ変わらなければ低情報価値、大きく変わるなら高情報価値と判定できる。

例1: The rapid growth of technology has changed our lives. → rapidはgrowthを修飾。「成長」が「急速な成長」に変わり、文の主張の核心に関わる → 高情報価値。設問で「テクノロジーの成長の特徴」が問われる可能性がある。rapidを除くと「テクノロジーの成長が生活を変えた」となるが、「急速な」という速度の情報が失われ、筆者の主張のニュアンスが変わる。

例2: She sat in a comfortable chair and read the report. → comfortableはchairを修飾。椅子の描写は場面設定であり、reportの内容が論旨の中心 → 低情報価値。読み飛ばしても設問には影響しにくい。comfortableを除いても「彼女は椅子に座ってレポートを読んだ」という文の主要情報は維持される。椅子の快適さは論旨に寄与していない。

例3: The controversial policy attracted widespread criticism. → controversialはpolicyを修飾し、政策の性質を示す核心情報。widespreadはcriticismを修飾し、批判の規模を示す → 両方とも高情報価値。設問で政策への反応が問われる可能性が高い。controversialを除くと政策の評価情報が失われ、widespreadを除くと批判の規模の情報が失われる。いずれも文意を大きく変える。

例4: On a warm summer afternoon, the committee announced a drastic change. → warmとsummerは時間・季節の背景描写 → 低情報価値。drasticはchangeの程度を示す核心情報 → 高情報価値。warmとsummerを除いても「委員会が劇的な変更を発表した」という核心情報は維持される。drasticを除くと変更の程度が不明になり、文意が大きく変わる。

以上の適用を通じて、長文中の形容詞の情報的価値を判定し、効率的な読解に活用する能力を習得できる。

3. 論理展開を支える形容詞の機能

長文の論理展開において、形容詞は対比・因果・例示などの論理関係を示す手がかりとして機能する場合がある。”While the traditional approach was effective, the new method proved more efficient.”のように、形容詞の対比が段落全体の論理構造を形成していることがある。この機能を把握できれば、段落の論理展開を素早く読み取り、設問に正確に対応できる。

論理展開における形容詞の機能を把握することで、談話層の学習が完成する。形容詞を手がかりに論理構造を読み取る能力は、長文読解の要旨把握・内容一致・段落の趣旨選択など、複数の設問形式に対応する前提となる。

形容詞が示す論理関係の識別能力は、基礎体系で扱う論理展開の類型分析や長文の構造的把握に直結する。

3.1. 形容詞が示す論理関係の識別

長文の論理展開は「接続詞で判断する」と漠然と理解されがちである。しかし、この理解は接続詞が省略されている場合や、形容詞の対比が論理構造を暗示している場合に対応できないという点で不正確である。学術的・本質的には、形容詞は対比(traditional vs. modern)、因果(insufficient → problematic)、段階(basic → advanced → complex)などの論理関係を示す手がかりとして機能するものとして理解されるべきである。この機能の把握が重要なのは、接続詞が明示されていない文章でも、形容詞の選択から論理展開を推測できるようになるためである。接続詞は論理関係を「明示的に」示すシグナルであるが、全ての論理関係が接続詞で明示されるわけではない。英語の論説文では、接続詞を使わずに語句の選択自体で論理関係を暗示することが頻繁に行われる。形容詞はこの暗示的シグナルの中で最も情報量が多い。対義的な形容詞のペア(old/new, simple/complex, traditional/innovative)が同一段落または隣接段落に出現した場合、それは対比構造を強く示唆する。形容詞の強度が段落を追うごとに変化している場合(important → crucial → essential)、それは段階的な論理展開を示唆する。否定的な形容詞から肯定的な形容詞への転換(problematic → effective)は、問題提起→解決という論理構造を示唆する。長文読解において、これらの形容詞シグナルに意識的に注目することで、接続詞に頼らずに論理構造を把握する能力が高まり、特に共通テストのように接続詞の少ない文章で威力を発揮する。

この原理から、形容詞が示す論理関係を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では同一段落内で対になる形容詞を探す。対義的な形容詞のペア(old/new, simple/complex, positive/negative)が現れたら、対比の論理構造が存在する可能性が高い。手順2では形容詞の変化パターンを確認する。段落を通じて形容詞の強度や極性が変化していれば、段階的論理展開や因果関係を示している可能性がある。手順3では形容詞の論理的役割を文脈全体で検証する。形容詞が筆者の結論を支持しているか、反例を示しているかを判定することで、段落の論理構造が明確になる。

例1: The initial results were promising, but the final outcome was disappointing. → promising(肯定的)とdisappointing(否定的)が対比 → 期待と現実の対比構造。設問で「結果はどうだったか」が問われたら、disappointingが核心。initialとfinalという時間軸上の対比がpromising/disappointingという評価の対比と重なり、二重の対比構造を形成している。接続詞butがなくても、形容詞の対義関係だけで対比を読み取ることが可能である。

例2: The simple design made the product affordable. The affordable price attracted a large customer base. → simple → affordable → large。形容詞の連鎖が因果関係を形成 → 設計の単純さが価格の手頃さにつながり、顧客基盤の拡大を生んだ。形容詞が文をまたいで因果の連鎖を形成しており、一つの形容詞が次の文の結果を導く原因として機能している。この連鎖パターンは論説文で頻出し、筆者の論理構成を理解する手がかりとなる。

例3: The previous system was inefficient and outdated. The current system is streamlined and responsive. → previous/inefficient/outdated(否定的・旧)vs. current/streamlined/responsive(肯定的・新)→ 新旧対比の論理構造。筆者は新システムを肯定的に評価している。否定的形容詞が旧システムに、肯定的形容詞が新システムに割り当てられていることから、筆者の立場が明確に読み取れる。設問で「筆者はどちらのシステムを支持しているか」と問われた場合、形容詞の極性配分が根拠となる。

例4: While the short-term effects were minimal, the long-term consequences could be significant. → short-term/minimal(小さい)vs. long-term/significant(大きい)→ 時間軸に沿った段階的変化の論理構造。筆者は長期的影響を重視している。minimalからsignificantへの変化は、時間の経過とともに影響が増大するという段階的拡大のパターンを示す。could beという助動詞の選択も、筆者が長期的影響の可能性に注意を促していることを示唆する。

以上により、長文中の形容詞の対比・因果・段階パターンから論理展開を読み取り、設問に正確に対応することが可能になる。

このモジュールのまとめ

このモジュールでは、形容詞の文法的位置と機能を把握する統語層の理解から出発し、意味層における形容詞の意味分類と語義選択、語用層における類義形容詞の使い分けとコロケーション体系、談話層における長文読解での形容詞の情報的価値の判定という四つの層を体系的に学習した。これらの層は相互に関連しており、統語層の識別能力が意味層の語義選択を可能にし、意味層の分類知識が語用層の運用判断を支え、語用層の実践力が談話層の読解分析を実現するという階層的な関係にある。

統語層では、形容詞の限定用法と叙述用法の識別、後置修飾の条件判定、分詞形容詞と名詞修飾名詞の区別、限定専用・叙述専用形容詞の判定、複数形容詞の語順規則という五つの側面から、形容詞の統語的識別能力を確立した。名詞の前に置かれた語が形容詞か名詞の形容詞的用法かを語形変化の可否で区別する手順、叙述用法の形容詞を副詞と混同せずに文型判定に反映させる手順、後置修飾の三条件(不定代名詞・フレーズ付き・位置による意味変化)を判定する手順を習得した。

意味層では、形容詞の四分類(性質・状態・数量・指示)、多義形容詞の中心的意味からの語義導出、前置と後置での意味変化パターン、-ing形容詞と-ed形容詞の「原因と反応」の原理という四つの側面から、形容詞の意味判定能力を確立した。辞書の訳語を暗記するのではなく、中心的意味を把握した上で文脈の手がかりに基づいて適切な語義を導出する方法を習得した。

語用層では、修飾対象と意味領域に基づく類義形容詞の使い分け、意味グループと前置詞の中心的意味に基づくコロケーション体系、入試設問形式別の判断手順という三つの側面から、形容詞の実践的運用能力を確立した。tall/highやlarge/bigの使い分けを意味領域の違いから原理的に判断する手順、形容詞と前置詞の結びつきを意味グループから体系的に把握する方法を習得した。

談話層では、評価的形容詞と中立的形容詞の区別による筆者の態度読み取り、形容詞の情報的価値の判定による読解効率の向上、形容詞が示す対比・因果・段階パターンによる論理展開の識別という三つの側面から、長文読解における形容詞の分析能力を確立した。形容詞を単なる修飾語としてではなく、筆者の態度や論理構造を示す手がかりとして活用する技術を習得した。

これらの能力を統合することで、共通テスト本試からMARCH下位レベルの英語入試において、形容詞に関連する文法問題・語彙問題・長文読解問題に対して原理に基づいた正確な判断ができるようになり、形容詞を起点とした文構造の把握と意味の正確な理解が実現する。このモジュールで確立した原理と技術は、後続のモジュールで学ぶ副詞の定義と識別基準(モジュール6)との対比的理解、さらに修飾構造全体の体系的把握の基盤となる。

演習編

形容詞の識別・意味判定・運用・読解分析の各能力は、英文を正確に読み解くための不可欠な要素である。形容詞の統語的位置を誤認すれば文型判定を誤り、語義選択を間違えれば内容理解が破綻し、コロケーションの知識が不足すれば文法問題で失点する。共通テストでは形容詞の語彙力と文脈判断力が問われ、MARCH入試では形容詞の用法制限や語順規則が文法問題として出題され、長文読解では形容詞から筆者の態度を読み取る能力が要求される。本演習は基礎(教科書章末〜共通テスト追試レベル)、標準(共通テスト本試〜MARCH下位レベル)、発展(MARCH中位〜共通テスト追試難レベル)の三段階で構成し、統語・意味・語用・談話の各層で確立した能力の定着を確認する。

【出題分析】

出題形式と難易度

項目評価
難易度★★★☆☆ 標準
分量試験時間内で十分完答可能
語彙レベル基本語彙〜共通テスト頻出語彙
構文複雑度単文〜複文(多重埋め込みなし)

頻出パターン

共通テスト → 文脈に基づく形容詞の語義選択、-ing/-ed形容詞の使い分け、形容詞を手がかりとした筆者の態度判定が頻出する。長文中の形容詞の情報的価値を判断する能力が問われる。

MARCH・関関同立 → 限定専用・叙述専用形容詞の用法判定、形容詞と前置詞のコロケーション、複数形容詞の語順規則が文法問題として出題される。類義形容詞の使い分けも空所補充で問われる。

地方国立大学 → 形容詞の基本的な識別と文型判定、-ing/-ed形容詞の選択が中心。英作文では形容詞のコロケーションの正確さが評価される。

差がつくポイント

限定用法と叙述用法の区別において、知覚動詞・状態動詞の後ろの形容詞を副詞と混同せずに正確に判定できるかどうかが差を生む。特に、feel/look/tasteなどの後に形容詞が来るか副詞が来るかの判断が重要である。

多義形容詞の語義選択において、中心的意味から文脈に応じた適切な語義を導出できるかどうかが差を生む。特に、辞書の第一訳語に引きずられず、文脈の手がかりから正しい訳語を選択する能力が重要である。

長文読解における形容詞の情報的価値判定において、設問に関わる高情報価値の形容詞と背景描写の低情報価値の形容詞を効率的に区別できるかどうかが差を生む。特に、評価的形容詞から筆者の態度を読み取る能力が重要である。

演習問題

試験時間: 25分 / 満点: 100点

第1問(30点)

次の各文の空所に入れるのに最も適当なものを、それぞれ①〜④のうちから一つ選べ。

(1)The children were ( ) by the magician’s performance.

①amaze ②amazing ③amazed ④amazingly

(2)She is ( ) of speaking in front of large audiences.

①afraid ②fear ③frighten ④afraiding

(3)He bought a ( ) Italian leather jacket.

①beautiful new brown ②new beautiful brown ③brown beautiful new ④beautiful brown new

(4)The ( ) members of the committee voted against the proposal.

①present ②presenting ③presence ④presently

(5)Mt. Fuji is the ( ) mountain in Japan.

①tallest ②highest ③most tall ④most high

(6)There is nothing ( ) about the new policy.

①special ②specially ③specialize ④speciality

第2問(35点)

次の英文を読み、以下の設問に答えよ。

The traditional approach to language learning emphasizes grammar rules and vocabulary memorization. Students spend considerable time studying word lists and completing fill-in-the-blank exercises. While this method is systematic and familiar to most teachers, many researchers argue that it is insufficient for developing practical communication skills.

A more recent approach focuses on meaningful interaction. In this model, students engage in authentic conversations and read genuine texts rather than simplified materials. The initial adjustment can be challenging for students accustomed to the traditional method, but the long-term benefits are substantial. Students develop not only accurate grammar but also natural fluency and cultural awareness.

However, an exclusive reliance on either approach is problematic. The most effective language programs combine structured instruction with communicative practice. A balanced curriculum ensures that students build a solid grammatical foundation while simultaneously developing the ability to use the language in real-world situations.

(1)下線部”considerable”の意味として最も適切なものを選べ。(7点)

①comfortable ②considerate ③significant ④conservative

(2)第1段落における形容詞”systematic”と”familiar”は、traditional approachに対する筆者の態度としてどのような役割を果たしているか。最も適切なものを選べ。(7点)

①traditional approachを全面的に肯定している
②traditional approachの利点を認めた上で、限界を示す前置きとしている
③traditional approachを否定するための皮肉として使っている
④traditional approachとrecent approachを同等に評価している

(3)第2段落の”challenging”と”substantial”の対比は、どのような論理関係を示しているか。最も適切なものを選べ。(7点)

①原因と結果の関係
②短期的困難と長期的利益の対比
③問題点の列挙
④時系列的な変化の記述

(4)第3段落の”problematic”と”effective”と”balanced”は、筆者の最終的な主張とどのように関わっているか。30字以上50字以内の日本語で説明せよ。(14点)

第3問(35点)

次の各文について、下線部に文法的な誤りがある場合はその誤りを指摘し、正しい形に直せ。誤りがない場合は「正しい」と書け。

(1)The teacher told the students to remain 【silently】 during the examination.(7点)

(2)She wore an 【old beautiful Chinese silk】 dress to the ceremony.(7点)

(3)The 【asleep】 passengers were not aware of the turbulence.(7点)

(4)Everyone 【present】 at the meeting agreed with the proposal.(7点)

(5)He is the 【elder】 of the two brothers.(7点)

解答・解説

難易度構成

難易度配点大問
基礎30点第1問
標準35点第2問
発展35点第3問

結果の活用

得点判定推奨アクション
80点以上A基礎体系へ進む
60-79B誤答箇所の該当記事を復習後に再挑戦
40-59C統語層・意味層の記事を重点的に復習
40点未満D該当講義を復習後に再挑戦

第1問 解答・解説

【戦略的情報】

項目内容
出題意図形容詞の統語的識別・意味選択・語順規則・コロケーションの基本的理解を確認する
難易度基礎
目標解答時間6分

【思考プロセス】

レベル1:構造特定 → 各問の空所の統語的位置を確認し、品詞を特定する。

レベル2:検証観点 → 品詞判定後、形容詞の用法(-ing/-ed、限定/叙述、語順、コロケーション)を検証する。

【解答】

小問解答
(1)③amazed
(2)①afraid
(3)①beautiful new brown
(4)①present
(5)②highest
(6)①special

【解答のポイント】

(1)正解の論拠:childrenは驚きの反応を受ける側であるため、-ed形のamazedを選択する。performanceが驚きの原因であり、amazingはperformanceの性質を表す場合に使う(“The performance was amazing.”)。

誤答の論拠:amazingを選ぶ誤り。childrenは原因側ではなく反応側であるため、-ing形は不適切。

(2)正解の論拠:be afraid of〜(~を恐れている)は形容詞afraidと前置詞ofのコロケーション。afraidは叙述専用形容詞であり、be動詞の後の補語位置で正しく使われている。

誤答の論拠:fearは名詞または動詞であり、be ( ) ofの形に入らない。

(3)正解の論拠:語順規則により、評価(beautiful) → 新旧(new) → 色(brown) → 出自(Italian) → 素材(leather) → 名詞(jacket)。

誤答の論拠:②はnewが評価語beautifulの前にあり語順違反。④はbrownがnewの前にあり語順違反。

(4)正解の論拠:the present members(現在のメンバー)は限定用法で「現在の」を意味する。文脈から委員会の「現在の」メンバーが投票したと判断できる。

誤答の論拠:presentlyは副詞であり、名詞の前の形容詞位置には入らない。

(5)正解の論拠:山の高さは基準面からの距離を表すため、highを使用する。最上級はhighest。tallは「細長いものの縦方向の長さ」であり、山には不適切。

誤答の論拠:tallestを選ぶ誤り。tall/highの使い分け(意味領域の違い)を理解していない。

(6)正解の論拠:nothingは不定代名詞であり、形容詞は後置修飾で置かれる。specialは形容詞。speciallyは副詞、specialityは名詞であり、形容詞位置に入らない。

誤答の論拠:speciallyを選ぶ誤り。不定代名詞の後に来るのは形容詞であり副詞ではない。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件:形容詞の空所補充問題全般。-ing/-ed選択、コロケーション、語順規則、叙述専用形容詞の判定が問われる問題に適用可能。

【参照】

[基盤 M05-統語] └ 形容詞の限定用法と叙述用法の識別

[基盤 M05-意味] └ -ing/-ed形容詞の原因と反応の原理

第2問 解答・解説

【戦略的情報】

項目内容
出題意図長文中の形容詞から筆者の態度・論理展開を読み取る能力を確認する
難易度標準
目標解答時間12分

【思考プロセス】

レベル1:構造特定 → 三段落構成の論説文。第1段落は伝統的アプローチ、第2段落は新しいアプローチ、第3段落は筆者の主張(統合)。各段落の形容詞に注目する。

レベル2:検証観点 → 形容詞が筆者の態度表明・対比構造・論理展開においてどのような役割を果たしているかを検証する。

【解答】

小問解答
(1)③significant
(2)
(3)
(4)解答例は下記参照

(4)解答例:極端な依存が問題的であると否定し、効果的でバランスの取れた統合的アプローチを筆者の結論として示している。(45字)

【解答のポイント】

(1)正解の論拠:considerableは「かなりの、相当な」を意味し、significant(重要な、かなりの)と意味が最も近い。文脈では「かなりの時間を費やす」であり、量の大きさを示している。

誤答の論拠:considerateは「思いやりのある」であり、considerableと語形が似ているが意味が異なる。語形の類似に基づく誤選択を誘発する選択肢。

(2)正解の論拠:”systematic and familiar”はtraditional approachの利点を認める肯定的な形容詞である。しかし、直後に”many researchers argue that it is insufficient”と否定的評価が続く。肯定を前置きとした”While A, B”の譲歩構造が用いられている。

誤答の論拠:①は”insufficient”という否定的評価を無視している。③は皮肉の根拠がなく、systematicとfamiliarは文字通りの肯定的評価である。

(3)正解の論拠:”challenging”は短期的な困難(initial adjustment)を、”substantial”は長期的な利益(long-term benefits)を表す。形容詞の対比が時間軸に沿った論理構造を形成している。

誤答の論拠:①はchallenging自体が原因ではなく、困難と利益は因果関係ではなく対比関係にある。

(4)正解の論拠:problematicは「極端な依存」を否定的に評価し、effectiveとbalancedは「統合的アプローチ」を肯定的に評価する。三つの形容詞が筆者の結論(統合が最善)を構成している。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件:論説文で形容詞から筆者の態度や論理展開を読み取る問題全般。譲歩構造(肯定→否定)や対比構造を含む文章で特に有効。

【参照】

[基盤 M05-談話] └ 評価的形容詞と中立的形容詞の識別

[基盤 M05-意味] └ 多義形容詞の語義選択

第3問 解答・解説

【戦略的情報】

項目内容
出題意図形容詞の用法制限・語順規則・叙述専用形容詞の正確な理解を確認する
難易度発展
目標解答時間7分

【思考プロセス】

レベル1:構造特定 → 各文の下線部が形容詞の用法として正しいかを判定する。統語的位置・用法制限・語順規則を検証する。

レベル2:検証観点 → 叙述用法での品詞選択(形容詞vs副詞)、語順規則、限定専用・叙述専用の制限、後置修飾の条件を順に検証する。

【解答】

小問解答
(1)誤り。silently → silent
(2)誤り。old beautiful Chinese silk → beautiful old Chinese silk
(3)誤り。asleep → sleeping
(4)正しい
(5)正しい

【解答のポイント】

(1)正解の論拠:remainは状態動詞であり、後ろに来るのは主語の状態を述べる形容詞である。silentlyは副詞であり、補語位置には不適切。正しくはsilent(形容詞・叙述用法)。

誤答の論拠:remainを一般動詞と捉え、副詞で修飾できると誤解するパターン。remain/look/feel/tasteなどの後は形容詞が原則。

(2)正解の論拠:語順規則により、評価(beautiful) → 新旧(old) → 出自(Chinese) → 素材(silk)の順序が正しい。oldがbeautifulの前に来ているため語順違反。

誤答の論拠:語順を感覚に頼り、原則を適用しないことによる誤り。

(3)正解の論拠:asleepは叙述専用形容詞であり、名詞の前(限定用法)では使用できない。名詞の前で「眠っている」を表すにはsleeping(分詞形容詞)を使う。

誤答の論拠:asleepを限定用法でも使えると誤解するパターン。a-で始まる形容詞の多くは叙述専用であることを確認する。

(4)正解の論拠:presentは不定代名詞everyoneの後ろに置かれた後置修飾で、「出席している」を意味する。不定代名詞の後の形容詞は後置修飾が義務的であるため、正しい。

誤答の論拠:presentが名詞の後にあることを誤りと判断するパターン。後置修飾の条件を理解していれば正しいと判定できる。

(5)正解の論拠:elderは限定専用形容詞だが、”the elder of the two”のように名詞的用法(代名詞的使用)としても使える。「二人のうちの年上の方」を表す。叙述用法(He is elder than me.)は誤りだが、本文は名詞的用法であり正しい。

誤答の論拠:elderを見ただけで「限定専用だから誤り」と判断するパターン。elderの名詞的用法を理解していれば正しいと判定できる。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件:形容詞の正誤判定問題全般。叙述用法での形容詞/副詞の選択、語順規則、限定専用・叙述専用の制限、後置修飾の条件判定が問われる問題に適用可能。

【参照】

[基盤 M05-統語] └ 限定専用・叙述専用形容詞の識別

[基盤 M05-統語] └ 後置修飾の条件と識別

【関連項目】

[基盤 M06-統語]
└ 副詞の統語的位置との対比で形容詞の識別を強化する

[基盤 M14-統語]
└ 補語の機能と形容詞の叙述用法の関係を確認する

[基礎 M05-統語]
└ 形容詞・副詞の修飾構造を体系的に発展させる

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