【基盤 英語】モジュール6:副詞の定義と識別基準
本モジュールの目的と構成
英文を読む際、動詞や形容詞の意味は把握できても、文中に現れる副詞の働きを正確に捉えられないために、文全体のニュアンスを取り違えるという事態は頻繁に起こる。”He almost finished the work.”と”He finally finished the work.”では、finishedという同一の動詞に対して副詞が加える情報が根本的に異なり、この違いを識別できなければ文意の正確な把握は不可能である。副詞は動詞・形容詞・他の副詞・文全体など、修飾対象が多岐にわたるため、品詞の中でも特に機能の幅が広く、識別が困難な語類である。副詞の定義を機能的に理解し、文中での識別基準を確立することが、英文の精密な読解を可能にする第一歩となる。副詞の定義・分類・識別手順を体系的に習得し、英文中で副詞が担う機能を正確に判定できる能力の確立を目的とする。
本モジュールは以下の層で構成される:
統語:副詞の定義と文中での位置の把握 → 副詞を他の品詞から区別し、文中での統語的位置を正確に特定する能力を養成する。副詞が文のどの位置に現れるか、何を修飾しているかを判定する基準を確立する。
意味:副詞の意味分類と修飾関係の理解 → 副詞が伝える意味の種類(様態・頻度・程度・時・場所など)を分類し、修飾対象との意味的関係を正確に把握する能力を養成する。同じ副詞でも修飾対象によって意味が変わる場合の判断基準を習得する。
語用:文脈における副詞の機能の識別 → 副詞が文の意味にどのような情報を付加しているかを文脈の中で判断する能力を養成する。副詞の有無による文意の変化を正確に識別できる段階に到達する。
談話:文章中での副詞の役割の把握 → 副詞が文と文のつながりや、筆者の態度表明にどのように寄与しているかを把握する能力を養成する。文章レベルでの副詞の機能を識別し、読解の精度を高める。
このモジュールを修了すると、以下の能力が身につく。英文中に現れる副詞を、形容詞や前置詞句などの類似する修飾要素と正確に区別できるようになる。副詞の修飾対象を文構造に基づいて特定し、動詞修飾・形容詞修飾・文修飾といった機能の違いを判定できるようになる。副詞が伝える意味の種類を分類し、文全体の意味にどのような情報を付加しているかを正確に読み取れるようになる。さらに、文脈の中で副詞の有無や位置の変化が文意に及ぼす影響を判断し、英文の精密な読解に副詞の識別を活用できるようになる。これらの能力は、後続のモジュールで扱う前置詞・接続詞の機能理解や、文型判定の精度向上へと発展させることができる。
統語:副詞の定義と文中での位置の把握
英文の中で副詞がどこに現れ、何を修飾しているかを正確に特定する力は、文構造を把握する上で不可欠である。この層を終えると、副詞を他の品詞と区別し、文中の位置から修飾対象を判定できるようになる。学習者は名詞・動詞・形容詞の基本的な定義と識別ができることを前提とする。副詞の定義、副詞と形容詞の区別基準、副詞の文中位置と修飾対象の関係を扱う。統語層で確立される副詞の識別能力は、後続の意味層で副詞の意味分類を行う際の前提となる。
副詞は名詞以外のほぼ全ての要素を修飾できるという特異な性質を持つ。この広範な修飾能力こそが副詞の識別を困難にする原因であり、同時に、副詞の機能を正確に把握することが英文読解の精度を大きく左右する理由でもある。形容詞が名詞のみを修飾するのに対し、副詞は動詞・形容詞・他の副詞・文全体を修飾するという機能的差異を明確に理解することが、統語層の出発点となる。
【関連項目】
[基盤 M05-統語]
└ 形容詞の識別基準を副詞との対比で再確認する
[基盤 M04-統語]
└ 動詞の種類と副詞による修飾関係を把握する
【基礎体系】
[基礎 M05-統語]
└ 形容詞・副詞の修飾構造を体系的に理解する
1. 副詞の定義と基本的な識別
品詞を学ぶ際、「副詞は動詞を修飾する語」という理解だけで十分だろうか。実際の英文では、副詞が形容詞を修飾したり、文全体に対して話し手の判断を付加したりする場面が頻繁に生じる。副詞の識別が不十分なまま英文読解に取り組むと、修飾関係を誤って把握し、文意を取り違える結果となる。
副詞の定義を機能的に理解することによって、以下の能力が確立される。第一に、副詞を他の品詞(特に形容詞)と正確に区別できるようになる。第二に、副詞の修飾対象が動詞・形容詞・副詞・文のいずれであるかを判定できるようになる。第三に、副詞の文中での位置パターンから修飾関係を推定できるようになる。第四に、-ly語尾の有無に頼らず副詞を識別できるようになる。
副詞の識別能力は、次の記事で扱う副詞の文中位置の分析、さらに意味層での副詞の意味分類へと直結する。
1.1. 副詞の機能的定義と形容詞との区別
一般に副詞は「動詞を修飾する語」と単純に理解されがちである。しかし、この理解は”very beautiful”のveryが形容詞を修飾している事実や、”Fortunately, he survived.”のFortunatelyが文全体を修飾している事実を説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、副詞とは名詞以外の語・句・節・文を修飾し、様態・程度・頻度・時・場所・評価などの情報を付加する語類として定義されるべきものである。この定義が重要なのは、副詞の修飾対象を「名詞以外」と規定することで、形容詞(名詞を修飾する語)との区別が明確になるためである。形容詞と副詞の区別は、修飾対象が名詞か名詞以外かという一点に集約される。
この「名詞以外を修飾する」という定義は、副詞という品詞の独自性を端的に表している。英語の品詞体系において、名詞・動詞・形容詞にはそれぞれ明確な統語的機能(主語になる、述語になる、名詞を修飾する)が規定されているが、副詞はこれら三つの品詞が担わない修飾機能を広範に引き受ける語類である。この広範さゆえに副詞の識別は困難になるが、逆に言えば「名詞を修飾していなければ副詞の候補」という消去法的な判定が有効に機能する。入試の文法問題で品詞の識別が問われる際、形容詞と副詞の混同は最も頻度の高い誤答パターンであり、「修飾対象が名詞か名詞以外か」という一点の確認が、この混同を確実に防止する。さらに、SVC構文の補語(C)の位置に現れる語は主語の性質を説明しており、これは名詞に関する情報を付加する形容詞の機能であって副詞の機能ではないことも、定義から論理的に導かれる帰結である。”She looks happy.”のhappyは主語Sheの状態を説明しているため形容詞であり、”She looks happily.”のhappilyは動詞looksの動作の様態を説明しているため副詞である。この区別ができるかどうかが、副詞の識別能力の出発点となる。
この原理から、副詞を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では修飾対象を特定する。当該語が何を修飾しているかを確認することで、品詞判定の第一段階が完了する。修飾対象が名詞であれば形容詞、名詞以外であれば副詞の候補となる。手順2では文の成立条件を確認する。当該語を文から取り除いても文が文法的に成立するかを確認することで、副詞であるかどうかの検証ができる。副詞は文の必須要素ではないため、削除しても文の文法的正しさは保たれる。ただし、この削除テストは副詞であることの十分条件ではなく、修飾語としての形容詞も削除可能な場合がある点に注意が必要である。したがって手順1の修飾対象の特定と組み合わせて判定する。手順3では形容詞との混同を排除する。補語の位置(SVC構文のC)に現れる語は名詞の状態を説明しており形容詞であるため、この位置にある語を副詞と誤認しないことで、正確な識別が完了する。
例1: She spoke clearly at the meeting. → 修飾対象: spoke(動詞)。clearlyを削除しても”She spoke at the meeting.”は成立する。→ clearlyは副詞(動詞修飾)。
例2: The exam was surprisingly difficult. → 修飾対象: difficult(形容詞)。surprisinglyを削除しても”The exam was difficult.”は成立する。→ surprisinglyは副詞(形容詞修飾)。
例3: He runs very fast. → 修飾対象: fast(副詞)。veryを削除しても”He runs fast.”は成立する。→ veryは副詞(副詞修飾)。なお、fastは動詞runsの様態を修飾する副詞であり、veryはその副詞fastの程度を修飾する副詞である。このように副詞が副詞を修飾する多層構造は英文で頻出する。
例4: The flower is beautiful. → 修飾対象: The flower(主語の状態を説明)。beautifulは補語の位置にあり、名詞の状態を述べている。→ beautifulは形容詞(副詞ではない)。対比として、”The flower bloomed beautifully.”ではbeautifullyが動詞bloomedの様態を修飾しており副詞である。補語の位置か動詞修飾の位置かという統語的位置の違いが品詞を決定する。
以上により、副詞を形容詞と正確に区別し、修飾対象に基づいて副詞を識別することが可能になる。
2. 副詞の文中位置と修飾対象の判定
副詞の定義と形容詞との区別が理解できても、実際の英文ではどの語が副詞であるかを瞬時に判定しなければならない場面が頻繁に生じる。副詞は文中の複数の位置に現れうるため、位置のパターンと修飾対象の関係を把握することが、実践的な識別能力の獲得に不可欠である。
副詞の文中位置の理解によって、以下の能力が確立される。第一に、副詞が現れる典型的な位置(文頭・動詞の前・動詞の後・文末)を認識できるようになる。第二に、位置から修飾対象を推定できるようになる。第三に、同じ副詞でも位置によって修飾対象が変わる場合を識別できるようになる。第四に、副詞の位置移動が文意に与える影響を判断できるようになる。
副詞の位置パターンの理解は、意味層で扱う副詞の意味分類と修飾関係の分析に直結する。
2.1. 副詞の位置パターンと修飾対象の対応
副詞とは何か。前の記事で確立した通り、副詞は名詞以外を修飾する語である。しかし、この定義だけでは、実際の英文で副詞がどの位置に現れ、何を修飾しているかを即座に判定することは困難である。副詞の位置パターンを知ることが重要なのは、位置と修飾対象の間に規則的な対応関係が存在するためである。文頭の副詞は文全体を修飾する傾向があり、動詞の直前または直後の副詞は動詞を修飾する傾向があり、形容詞・副詞の直前の副詞はその形容詞・副詞を修飾する。この位置と修飾対象の対応関係を把握することが、実践的な副詞識別の出発点となる。
英語の副詞は、他の品詞と比べて文中での位置の自由度が高い。名詞は主語・目的語・補語といった統語的スロットに固定され、動詞は述語として文の中心に位置するが、副詞は文頭・主語と動詞の間・動詞の直後・目的語の後・文末のいずれにも現れうる。この位置の自由度は、副詞の識別を困難にする要因であると同時に、位置と修飾対象の対応規則を知っていれば逆に判定の手がかりとなる。文頭にコンマを伴って置かれる副詞は、その文全体の内容に対して話し手の評価や判断を付加する文副詞である場合が多い。主語と動詞の間に置かれる副詞は、頻度や様態に関する情報を動詞に付加することが多い。動詞の直後に置かれる副詞も動詞修飾が典型であるが、文末に置かれる場合には場所・時間などの状況情報を付加する機能を担うことが多い。形容詞や副詞の直前に置かれる副詞は、その形容詞・副詞の程度や強さを調整する程度副詞として機能する。これらの対応関係は絶対的な規則ではなく傾向であるが、入試レベルの英文では高い確率でこの対応が成り立つため、初動判断として有効に活用できる。
以上の原理を踏まえると、副詞の位置から修飾対象を判定するための手順は次のように定まる。手順1では副詞の位置を確認する。文頭・主語と動詞の間・動詞の直後・文末・形容詞や副詞の直前のいずれに位置するかを特定することで、修飾対象の候補を絞り込める。手順2では修飾対象を確定する。文頭にあれば文全体の修飾、動詞の前後にあれば動詞の修飾、形容詞・副詞の直前にあればその語の修飾と判定することで、修飾関係が確定する。手順3では位置による意味の違いを確認する。同じ副詞が異なる位置に現れた場合、修飾対象が変わり文意も変化するかを検証することで、より精密な読解が可能になる。
例1: Fortunately, the train arrived on time. → 位置: 文頭。修飾対象: 文全体。→ 「幸運なことに、電車は時間通りに到着した」(話し手の評価を文全体に付加)。
例2: She always arrives on time. → 位置: 主語と動詞の間。修飾対象: arrives(動詞)。→ 「彼女はいつも時間通りに到着する」(頻度の情報を動詞に付加)。
例3: He spoke softly to the child. → 位置: 動詞の直後。修飾対象: spoke(動詞)。→ 「彼は子どもに対して静かに話した」(様態の情報を動詞に付加)。
例4: The problem is extremely complex. → 位置: 形容詞の直前。修飾対象: complex(形容詞)。→ 「その問題は極めて複雑である」(程度の情報を形容詞に付加)。なお、extremelyをveryに置き換えても位置と修飾対象の関係は同一であり、程度副詞は常に修飾対象の直前に置かれるという規則性が確認できる。
以上により、副詞の文中位置から修飾対象を体系的に判定し、副詞が文のどの要素にどのような情報を付加しているかを正確に把握することが可能になる。
3. -ly語尾と副詞識別の注意点
副詞の多くが-ly語尾を持つことは知られているが、-lyが付いていれば副詞、付いていなければ副詞でないという判断は誤りを招く。-ly語尾を持つ形容詞(friendly, lovelyなど)と、-ly語尾を持たない副詞(fast, hard, wellなど)の存在を正確に識別する能力は、副詞判定の精度を大きく左右する。
-ly語尾と副詞の関係を正確に理解することによって、以下の能力が確立される。第一に、-ly語尾を持つ語が副詞か形容詞かを修飾対象に基づいて判定できるようになる。第二に、-ly語尾を持たない副詞を文中で正確に識別できるようになる。第三に、形態が同一で形容詞と副詞の両方の用法を持つ語を文脈から区別できるようになる。第四に、-ly語尾の有無に頼らない機能的な副詞識別が定着する。
-ly語尾に関する正確な理解は、意味層での副詞の意味分類の前提となる。
3.1. -ly形容詞と-lyなし副詞の識別
一般に副詞は「-lyが付く語」と漠然と理解されがちである。しかし、この理解はfriendly(形容詞)を副詞と誤認し、fast(副詞)を形容詞と誤認するという点で不正確である。学術的・本質的には、副詞の識別は語尾の形態ではなく、文中での修飾機能によって決定されるべきものである。-ly語尾は副詞の目印として有用ではあるが、品詞判定の絶対的基準にはならないことを認識することが、正確な識別の出発点となる。
-ly語尾が副詞の識別基準として不十分である理由は二つある。第一に、-ly語尾を持ちながら形容詞として機能する語が英語には相当数存在する。friendly, lovely, costly, likely, lonely, lively, deadly, daily, weekly, monthly, yearlyなどがその代表例であり、これらは全て名詞を修飾するか補語の位置で主語の性質を説明する形容詞である。”She is a friendly person.”のfriendlyはpersonという名詞を修飾しており、-ly語尾を持つが形容詞である。第二に、-ly語尾を持たないにもかかわらず副詞として機能する語も多数存在する。fast, hard, well, late, early, enough, straight, high, low, deep, close, long, farなどがその代表例であり、これらは文中で動詞や形容詞を修飾する副詞として使われる。”He runs fast.”のfastは動詞runsの様態を修飾する副詞であり、-ly語尾がないが副詞である。さらに、hardとhardlyのように、-lyが付くと全く別の意味になる語も存在する。hardは「一生懸命に」という副詞であるが、hardlyは「ほとんど〜ない」という準否定の副詞であり、両者は意味的に無関係である。このような不規則な対応関係が存在するため、-ly語尾に頼る識別法は体系的な誤りを招く。
この原理から、-ly語尾に惑わされずに副詞を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では修飾対象を確認する。-ly語尾の有無にかかわらず、当該語が名詞を修飾しているか、名詞以外を修飾しているかを特定することで、形容詞か副詞かの判定が可能になる。手順2では文中の位置と機能を検証する。補語の位置(SVCのC)で主語の性質を説明していれば形容詞、動詞の様態や程度を説明していれば副詞と確定することで、-ly語尾に頼らない判定ができる。手順3では同形異品詞の語を文脈で区別する。hard, late, earlyなど形容詞と副詞の両方の用法を持つ語は、文中での機能から品詞を確定することで、正確な識別が完了する。
例1: She is a friendly person. → friendlyの修飾対象: person(名詞)。-ly語尾だが名詞を修飾している。→ friendlyは形容詞(副詞ではない)。入試では”She spoke friendly.”という誤文を訂正させる問題が出題される。friendlyは形容詞であるため副詞の位置には置けず、”She spoke in a friendly manner.”と前置詞句で表現する必要がある。
例2: He runs fast. → fastの修飾対象: runs(動詞)。-ly語尾がないが動詞の様態を説明している。→ fastは副詞。なお、”He is a fast runner.”のfastはrunnerという名詞を修飾する形容詞であり、同形異品詞の典型例である。
例3: This is a hard problem. → hardの修飾対象: problem(名詞)。名詞を修飾している。→ hardは形容詞。She studied hard for the exam. → hardの修飾対象: studied(動詞)。動詞の様態を説明している。→ hardは副詞。She could hardly understand the lecture. → hardlyの修飾対象: understand(動詞)。「ほとんど〜ない」という準否定の意味を持つ。→ hardlyは副詞だが、hardとは全く異なる意味を持つ別語として扱う必要がある。
例4: He arrived late yesterday. → lateの修飾対象: arrived(動詞)。動詞に時間の情報を付加している。→ lateは副詞。The late professor was respected by everyone. → lateの修飾対象: professor(名詞)。「故」の意味で名詞を修飾している。→ lateは形容詞。このように、lateは文中の位置と修飾対象によって品詞と意味の両方が変わる語であり、文脈からの判定が不可欠である。
以上により、-ly語尾の有無にかかわらず、文中の修飾機能に基づいて副詞を正確に識別することが可能になる。
意味:副詞の意味分類と修飾関係の理解
統語層で確立した副詞の識別能力を前提として、副詞が伝える意味の種類を分類し、修飾対象との意味的関係を正確に把握する段階に進む。この層を終えると、副詞が文にどのような種類の情報を付加しているかを正確に判定できるようになる。学習者は副詞の定義と文中での識別基準を備えている必要がある。副詞の意味分類(様態・頻度・程度・時・場所)、修飾対象による意味の変化、文副詞と様態副詞の区別を扱う。意味層で確立される副詞の意味分類能力は、後続の語用層で文脈における副詞の機能を分析する際の前提となる。
副詞を統語的に識別できるだけでは十分ではない。文意を正確に把握するためには、その副詞がどのような種類の情報を文に付加しているかを判定する能力が必要である。”He spoke clearly.”と”He clearly spoke.”は、同一の副詞clearlyが含まれているにもかかわらず、前者が「明瞭に話した」という行為の様態を、後者が「明らかに話した」という話し手の判断を伝えている。この意味の違いは、副詞の位置と修飾対象の関係から導かれるものであり、意味分類の体系的理解によって正確な判定が可能になる。
【関連項目】
[基盤 M32-意味]
└ 時制の基本的意味と時の副詞の関係を理解する
[基盤 M37-意味]
└ 比較表現における程度副詞の働きを把握する
【基礎体系】
[基礎 M05-意味]
└ 形容詞・副詞の修飾構造を意味的に分析する
1. 副詞の意味分類
副詞を識別できるようになっても、その副詞が文にどのような種類の情報を付加しているかを判定できなければ、文意の正確な把握には至らない。”He spoke clearly.”のclearlyは「話し方」の情報を、”He clearly spoke.”のclearlyは「明らかに」という話し手の判断を伝えており、同じ語でも付加する情報の種類が異なる。副詞の意味分類を理解することが、精密な読解の前提となる。
副詞の意味分類の理解によって、以下の能力が確立される。第一に、副詞が伝える意味の種類(様態・頻度・程度・時・場所)を即座に判定できるようになる。第二に、同じ副詞が文脈によって異なる意味分類に属する場合を識別できるようになる。第三に、意味分類に基づいて副詞の修飾対象をより正確に特定できるようになる。第四に、文副詞と様態副詞の区別ができるようになる。
副詞の意味分類は、語用層で扱う文脈における副詞の機能分析に直結する。
1.1. 様態・頻度・程度・時・場所の分類
一般に副詞の意味は「動作の様子を表す」と理解されがちである。しかし、この理解はalways(頻度)、very(程度)、yesterday(時)、here(場所)といった副詞が動作の様子とは無関係の情報を伝えている事実を説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、副詞は付加する情報の種類によって、様態(manner: how)、頻度(frequency: how often)、程度(degree: how much)、時(time: when)、場所(place: where)の五つの主要カテゴリに分類されるべきものである。この分類が重要なのは、副詞がどのカテゴリに属するかを判定することで、文意の正確な把握が可能になるためである。
五つの主要カテゴリは、それぞれ異なる種類の情報を文に付加する。様態副詞は行為の仕方(how)を説明し、carefully, quickly, slowly, quietly, loudly, clearly, politelyなどがこれに該当する。頻度副詞は行為の回数や習慣性(how often)を示し、always, usually, often, sometimes, rarely, never, seldomなどが該当する。頻度副詞は通常、主語と動詞の間に置かれるという統語的特徴を持ち、この位置情報が意味分類の手がかりとなる。程度副詞は修飾対象の程度や強さ(how much)を調整し、very, extremely, quite, rather, fairly, slightly, almostなどが該当する。程度副詞は形容詞・副詞の直前に置かれ、その意味を強めたり弱めたりする。時の副詞は行為の時間的位置(when)を示し、yesterday, today, tomorrow, now, soon, recently, latelyなどが該当する。場所の副詞は行為の空間的位置(where)を示し、here, there, everywhere, nowhere, abroad, outsideなどが該当する。これら五カテゴリに加えて、文副詞(sentence adverb)という特殊なカテゴリが存在する。文副詞は上記五分類のいずれにも属さず、文全体に対する話し手の評価・判断・態度を付加する機能を持つ。fortunately, obviously, surprisingly, honestly, apparentlyなどが文副詞の代表例である。
この原理から、副詞の意味分類を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では副詞に対応する疑問詞を特定する。how(様態)、how often(頻度)、how much(程度)、when(時)、where(場所)のいずれで問えるかを確認することで、意味カテゴリの候補を絞り込める。手順2では修飾対象との意味的関係を確認する。副詞が動詞の行為の仕方を説明しているか、行為の回数を示しているか、程度を強めたり弱めたりしているか、時や場所の情報を付加しているかを検証することで、分類が確定する。手順3では文副詞の可能性を検討する。副詞が文頭に置かれ、文全体に対する話し手の評価や判断を表している場合、上記五分類とは別に文副詞として扱うことで、より精密な分析が可能になる。
例1: She sang beautifully. → 疑問詞: How did she sing? → beautifully は様態副詞(歌い方の情報を付加)。
例2: He always eats breakfast. → 疑問詞: How often does he eat breakfast? → always は頻度副詞(行為の回数・習慣の情報を付加)。alwaysが主語と動詞の間に位置している点にも注目。
例3: The soup is extremely hot. → 疑問詞: How hot is the soup? → extremely は程度副詞(形容詞hotの程度を強調)。extremelyを削除しても”The soup is hot.”は成立するが、伝わる程度の情報が大幅に減少する。
例4: Honestly, I don’t agree with the plan. → 疑問詞: 該当なし(文全体に対する話し手の態度)。→ Honestly は文副詞(「正直に言えば」という話し手の判断を文全体に付加。”He spoke honestly.”のhonestly(「正直に話した」)とは異なり、様態副詞の「正直に」ではなく、話し手の態度表明である)。パラフレーズすると”To be honest, I don’t agree with the plan.”となり、命題の内容ではなく話し手の態度に関する情報であることが確認できる。
以上により、副詞が伝える情報の種類を体系的に分類し、文意の正確な把握に活用することが可能になる。
2. 修飾対象による意味の変化
副詞の意味分類を理解しても、同じ副詞が修飾対象によって異なる意味を持つ場合を識別できなければ、読解の精度は不十分である。”He spoke clearly.”と”Clearly, he was wrong.”はどちらもclearlyを含むが、前者は「明瞭に(様態)」、後者は「明らかに(文副詞)」という異なる意味を持つ。修飾対象と副詞の意味の対応関係を把握することが、実践的な読解力の獲得に不可欠である。
修飾対象による副詞の意味変化の理解によって、以下の能力が確立される。第一に、同一の副詞が異なる修飾対象を取る場合の意味の違いを正確に判定できるようになる。第二に、様態副詞と文副詞の区別を位置と修飾関係から判断できるようになる。第三に、副詞の位置移動が意味に及ぼす影響を予測できるようになる。第四に、入試の文意把握問題で副詞の修飾関係を正確に読み取れるようになる。
修飾対象と副詞の意味の対応関係は、語用層で扱う文脈での副詞の機能分析の前提となる。
2.1. 様態副詞と文副詞の区別
副詞には二つの捉え方がある。一つは動詞や形容詞を修飾して行為や状態の具体的な情報を付加する働き(様態副詞)、もう一つは文全体を修飾して話し手の判断・評価を表す働き(文副詞)である。-ly副詞の多くは両方の用法を持ち、位置と修飾対象によって意味が切り替わる。この区別を正確に行うことが重要なのは、様態副詞と文副詞を取り違えると文意の解釈が根本的に異なってしまうためである。”Sadly, he left the room.”が「悲しいことに彼は部屋を去った」(文副詞)なのか、「悲しげに彼は部屋を去った」(様態副詞)なのかは、副詞の機能判定によって決まる。
様態副詞と文副詞の区別が困難になる最大の要因は、同一の語形が両方の用法を持つ点にある。clearly, sadly, honestly, frankly, seriously, naturally, curioslyなどの-ly副詞は、文中の位置によって様態副詞にも文副詞にもなりうる。様態副詞として使われる場合、副詞は動詞の直前・直後に置かれ、行為の仕方(how)を説明する。”She spoke honestly.”は「正直に話した」という行為の様態を述べている。文副詞として使われる場合、副詞は文頭にコンマを伴って置かれ、文全体に対する話し手の評価を表す。”Honestly, I disagree.”は「正直に言えば、私は反対だ」という話し手の態度表明であり、disagreeという行為の仕方を説明しているのではない。この位置と機能の対応関係は、入試の読解・文法問題で頻繁に問われる知識であり、特に和訳問題では副詞の訳し分けが得点を左右する。naturallyも同様の二重性を持ち、”She smiled naturally.”は「自然に微笑んだ」(様態)、”Naturally, she was disappointed.”は「当然のことながら、彼女は失望した」(文副詞)であり、訳語が全く異なる。
では、様態副詞と文副詞を正確に区別するにはどうすればよいか。手順1では副詞の位置を確認する。文頭にコンマを伴って置かれている場合は文副詞の可能性が高く、動詞の直前・直後に置かれている場合は様態副詞の可能性が高いと判定することで、候補を絞り込める。手順2では削除テストを行う。副詞を削除した場合に失われる情報が「行為の仕方」であれば様態副詞、「話し手の評価」であれば文副詞と確定することで、分類が正確になる。手順3ではパラフレーズテストを行う。”It is [形容詞] that …”の形に書き換えられる場合(例: Clearly, … → It is clear that …)は文副詞であると判定することで、最終的な確認が完了する。
例1: Clearly, the experiment failed. → 位置: 文頭・コンマ付き。パラフレーズ: It is clear that the experiment failed. → 文副詞(「明らかに」という話し手の判断)。
例2: She explained the problem clearly. → 位置: 動詞の後。削除テスト: “She explained the problem.”(説明の仕方の情報が失われる)。→ 様態副詞(「明瞭に」という行為の仕方)。
例3: Fortunately, nobody was injured. → 位置: 文頭・コンマ付き。パラフレーズ: It is fortunate that nobody was injured. → 文副詞(「幸運なことに」という話し手の評価)。
例4: Sadly, he left the room. → 位置: 文頭・コンマ付き。パラフレーズ: It is sad that he left the room. → 文副詞(「悲しいことに」という話し手の評価)。対比: He sadly left the room. → 位置: 動詞の前。削除テスト: 行為の様態の情報が失われる。→ 様態副詞(「悲しげに」という行為の仕方)。この対比は同一副詞の位置変化による意味の切り替わりを端的に示しており、「文頭+コンマ → 文副詞」「動詞の前後 → 様態副詞」という対応規則の有効性を確認できる。
以上により、同一の副詞であっても位置と修飾対象に基づいて様態副詞と文副詞を正確に区別し、文意を正確に把握することが可能になる。
語用:文脈における副詞の機能の識別
副詞の定義と意味分類を習得した段階で、次に求められるのは、実際の英文の中で副詞が果たしている具体的な機能を文脈から判断する力である。この層を終えると、副詞の有無や位置の変化が文意にどのような影響を及ぼすかを正確に判定できるようになる。学習者は副詞の意味分類(様態・頻度・程度・時・場所・文副詞)と修飾対象の判定ができることを前提とする。副詞の有無による文意の変化、副詞の位置移動と意味の変化、程度副詞による意味の調整機能を扱う。語用層で確立される文脈判断の能力は、後続の談話層で文章レベルでの副詞の役割を分析する際に不可欠となる。
副詞は文の必須要素ではないにもかかわらず、副詞の有無によって文が伝える情報は大きく変わる。”He finished the work.”と”He almost finished the work.”では、almostの一語によって「完了した」という事実が「完了しなかった」という正反対の事実に転換される。このように副詞が文意を決定的に左右する場面を正確に捉える能力が、入試の読解問題で求められる精密な理解を可能にする。
【関連項目】
[基盤 M45-語用]
└ 直接表現と間接表現における副詞の機能を確認する
[基盤 M34-意味]
└ 助動詞の基本的意味と副詞による意味の補強を把握する
【基礎体系】
[基礎 M05-語用]
└ 修飾構造が文意に与える影響を体系的に分析する
1. 副詞の有無による文意の変化
副詞の意味分類ができるようになっても、副詞が文の意味をどの程度変化させるかを判断できなければ、読解の実践力は十分とはいえない。副詞は省略可能な要素であるが、省略した場合に文意がどう変わるかを正確に予測できる能力こそ、副詞の機能を真に理解している証拠である。
副詞の有無が文意に及ぼす影響の理解によって、以下の能力が確立される。第一に、副詞が文意を根本的に変える場合と、単に補足情報を加える場合を区別できるようになる。第二に、否定や限定を表す副詞が文の真偽を左右する場面を正確に識別できるようになる。第三に、入試問題で副詞の見落としによる誤読を防げるようになる。第四に、副詞の削除テストを活用して修飾関係を確認する習慣が身につく。
副詞の有無による文意変化の理解は、談話層で文章レベルでの副詞の役割を分析する際の前提知識となる。
1.1. 文意を左右する副詞の識別
一般に副詞は「あってもなくても文は成立する付加的な要素」と理解されがちである。しかし、この理解は”He hardly studied.”のhardlyが「ほとんど勉強しなかった」という否定的な意味を生み出している事実を軽視しているという点で不正確である。学術的・本質的には、副詞は文法的には省略可能でありながら、意味的には文の真偽や事実関係を根本的に変える力を持つ要素として理解されるべきものである。特にalmost, hardly, nearly, barely, only, merely, just, stillといった副詞は、文の伝える事実そのものを変化させるため、これらの副詞の見落としは文意の誤読に直結する。
文意を左右する副詞は、大きく三つのグループに分類できる。第一のグループは準否定副詞(hardly, barely, scarcely, seldom, rarely)であり、これらは形式上は肯定文に置かれるが、意味的には否定に近い内容を表す。”She barely passed the exam.”は「かろうじて合格した」であり、合格したという事実は維持されるものの、「ほぼ不合格だった」というニュアンスを強く含む。”She scarcely knew anyone at the party.”は「パーティーでほとんど誰も知らなかった」であり、知っていた人がごくわずかしかいなかったことを示す。これらの副詞が文に加える情報は、単なる補足ではなく、事実関係の実質的な転換である。第二のグループは近接副詞(almost, nearly)であり、これらは行為や状態が完了・達成の直前にあるが未達であることを示す。”He almost missed the train.”は「もう少しで電車に乗り遅れるところだった(が乗れた)」であり、almostの有無で「乗り遅れた」と「乗れた」という正反対の事実が表現される。第三のグループは限定副詞(only, merely, just)であり、これらは行為や対象の範囲を限定する。”He merely apologized.”は「ただ謝っただけ(それ以上のことはしなかった)」であり、merelyがなければ「謝った」という事実のみが伝わるが、merelyがあることで「謝罪以外の行動は取らなかった」という含意が加わる。これら三つのグループに属する副詞は、入試の内容一致問題で特に誤読を誘発しやすく、選択肢の正誤がこれらの副詞一語の有無にかかっている場合がある。
この原理から、文意を左右する副詞を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では副詞を削除した文と比較する。副詞を取り除いた文と元の文を比較し、伝わる事実が同じか異なるかを判定することで、当該副詞が文意を左右する副詞であるかどうかが確認できる。手順2では否定・限定・程度の副詞に注目する。hardly, barely, scarcely(準否定)、only, merely, just(限定)、almost, nearly(近接)といった副詞は文意を根本的に変える可能性が高いため、これらの語を優先的に確認することで誤読を防止できる。手順3では副詞が作用する範囲を特定する。副詞が動詞のみに作用しているか、文全体の意味に作用しているかを確認することで、文意への影響度を正確に評価できる。
例1: He finished the work. → 事実:完了した。He almost finished the work. → 事実:完了していない。→ almostの有無で事実関係が逆転する。almostは文意を左右する副詞。
例2: She understood the explanation. → 事実:理解した。She hardly understood the explanation. → 事実:ほとんど理解していない。→ hardlyの有無で事実関係が逆転する。hardlyは準否定の副詞。入試の内容一致問題で”She understood the explanation.”という選択肢が出された場合、hardlyの見落としは致命的な誤答につながる。
例3: He solved the problem. → 事実:解いた。He only solved the problem. → 事実:解いただけ(それ以上のことはしていない)。→ onlyは行為の範囲を限定し、文の含意を変化させる。
例4: She spoke quickly at the meeting. → 事実:話した(速く)。副詞を削除:She spoke at the meeting. → 事実:話した。→ quicklyは話し方の情報を付加するが、事実関係は変わらない。quicklyは文意を左右しない付加的な副詞。この例との対比により、準否定副詞・近接副詞・限定副詞が持つ「事実関係の転換力」がより明確になる。
以上により、副詞が文意を根本的に変える場合と補足的な情報を加えるにとどまる場合を正確に区別し、副詞の見落としによる誤読を防ぐことが可能になる。
2. 副詞の位置移動と意味の変化
副詞の有無が文意を左右する場合があることを理解した上で、さらに同じ副詞でも文中の位置が変わると意味が変化する現象を識別する能力が必要である。”Only he solved the problem.”と”He only solved the problem.”と”He solved only the problem.”は、onlyの位置だけが異なるにもかかわらず、それぞれ伝える意味が異なる。位置と意味の対応を正確に把握する力が、精密な読解を可能にする。
副詞の位置移動と意味変化の理解によって、以下の能力が確立される。第一に、同一副詞の位置変化が文意に及ぼす影響を予測できるようになる。第二に、onlyやevenなど位置によって意味が大きく変わる副詞を正確に読み取れるようになる。第三に、入試問題で副詞の位置に基づく意味の違いを問う設問に対応できるようになる。第四に、日本語訳において副詞の位置に応じた適切な訳し分けができるようになる。
副詞の位置移動の理解は、談話層で文と文のつながりにおける副詞の機能を分析する際の前提となる。
2.1. onlyとevenの位置による意味変化
焦点副詞とは、直後の要素に焦点を当て、その要素を強調・限定する機能を持つ副詞である。onlyやevenがその代表例であり、これらの副詞は位置が変わるだけで文全体の意味を決定的に変える。「副詞の位置はどこに置いても意味は同じ」という理解は、焦点副詞の位置が文意を決定的に変える事実を無視しているという点で不正確である。焦点副詞は直後の要素に焦点を当てる機能を持ち、焦点の当たる要素が変われば文全体の伝える意味も変わるものとして理解されるべきである。この原理が重要なのは、焦点副詞の位置の読み取りが入試の内容一致問題や和訳問題で正誤を分ける場面が頻出するためである。
焦点副詞の位置と意味の対応関係をより詳しく見ると、onlyは「〜だけ」「〜にすぎない」という限定の意味を、直後に置かれた要素に付与する。主語の直前に置かれれば「〜だけが」(他の人ではなく)、動詞の直前に置かれれば「〜しただけ」(それ以上のことはしていない)、目的語の直前に置かれれば「〜だけを」(他のものではなく)という意味を生み出す。evenは「〜でさえ」「〜すら」という予想外の意味を、直後に置かれた要素に付与する。主語の直前に置かれれば「〜でさえ」(予想外の人物を強調)、動詞の直前に置かれれば「〜さえした」(予想外の行為を強調)という意味を生み出す。日本語では「だけ」「さえ」の位置が比較的自由であるため、英語のonlyやevenの位置が日本語訳にどう反映されるかを意識的に確認する必要がある。また、書き言葉ではonlyやevenの位置が厳密に守られるが、話し言葉では動詞の前に置かれることが多く、焦点はイントネーションで示されるという違いがある。入試で扱われるのは書き言葉であるため、位置と焦点の対応を正確に適用できる。
上記の定義から、焦点副詞の位置と意味の関係を判定する手順が論理的に導出される。手順1では焦点副詞の直後の要素を特定する。onlyやevenの直後に位置する語句が焦点であると判定することで、副詞が強調している対象を明確にできる。手順2では焦点の違いによる文意の変化を確認する。焦点が主語・動詞・目的語のいずれにあるかによって文全体の意味がどう変わるかを比較することで、正確な解釈が可能になる。手順3では日本語訳への反映方法を確認する。焦点副詞の位置に応じて「〜だけが」「〜しただけ」「〜だけを」のように訳し分けることで、英文の意味を正確に日本語で表現できる。
例1: Only he solved the problem. → 焦点: he(主語)。意味:「彼だけがその問題を解いた」(他の人は解けなかった)。
例2: He only solved the problem. → 焦点: solved(動詞)。意味:「彼はその問題を解いただけだ」(解いただけで、それ以上のことはしなかった)。
例3: He solved only the problem. → 焦点: the problem(目的語)。意味:「彼はその問題だけを解いた」(他の問題は解かなかった)。
例4: Even she passed the exam. → 焦点: she(主語)。意味:「彼女でさえ試験に受かった」(予想外の人物が合格したことを強調)。対比: She even passed the exam. → 焦点: passed(動詞)。意味:「彼女は試験に受かりさえした」(合格という予想外の結果を強調)。evenの位置が主語の前から動詞の前に移動しただけで、強調される情報が「誰が」から「何をしたか」に切り替わる。
以上により、焦点副詞の位置から文意を正確に読み取り、位置の違いによる意味の変化を適切に解釈することが可能になる。
3. 程度副詞による意味の調整
副詞の中でも程度副詞(very, quite, rather, fairly, slightly, extremely, almostなど)は、形容詞や他の副詞の意味を強めたり弱めたりする調整機能を持つ。程度副詞の微妙なニュアンスの違いを識別できるかどうかは、英文の正確な理解に直結する。”The exam was fairly difficult.”と”The exam was extremely difficult.”では、程度副詞の違いによって伝わる難易度の印象が大きく異なる。
程度副詞の調整機能の理解によって、以下の能力が確立される。第一に、程度副詞が伝える強弱の段階を正確に把握できるようになる。第二に、程度副詞の選択によるニュアンスの違いを読み取れるようになる。第三に、入試の内容一致問題で程度の過不足による選択肢の正誤を判断できるようになる。第四に、程度副詞と準否定副詞の境界(hardly, barely等)を意識した読解ができるようになる。
程度副詞の理解は、談話層で筆者の態度表明における副詞の役割を把握するための前提知識となる。
3.1. 程度副詞の強弱と意味の段階
程度副詞とは、修飾対象の意味を強めたり弱めたりする副詞の総称である。「veryは『とても』、quiteは『かなり』」と個別に暗記する学習法は、程度副詞間の相対的な強弱関係が把握できず、文意のニュアンスを正確に読み取れないという点で不十分である。学術的・本質的には、程度副詞は一つの連続的な強弱スケール上に位置づけられるべきものであり、各副詞がスケール上のどの位置にあるかを把握することが、正確な意味理解の前提となる。強い方からextremely > very > quite > rather > fairly > slightly > hardly/barely(準否定)という序列が存在し、この序列の理解が程度副詞の読み取り精度を決定する。
強弱スケールの各段階を詳しく見ると、まずスケール上位に位置するextremely, incredibly, absolutelyなどは修飾対象の意味を最大限に強める。”The test was extremely difficult.”は、テストの難しさが最高レベルに達していることを示す。veryはextremelyほどの極端さはないが、修飾対象の程度が通常を大きく上回ることを伝える。スケール中位に位置するquiteとratherは、日本語訳で「かなり」「なかなか」と訳されることが多いが、ニュアンスに違いがある。quiteは肯定的な評価に使われることが多く(”quite good”は「かなり良い」)、ratherは話し手の予想を超えた程度を示し、やや否定的なニュアンスを含むことがある(”rather difficult”は「思ったよりも難しい」)。fairlyはquiteよりもさらに弱く、「まあまあ」「そこそこ」という控えめな程度を表す。”The explanation was fairly clear.”は、説明が十分に明確とまではいえないが一応理解可能であったことを示す。スケール下位に位置するslightlyは「わずかに」という微小な程度を表し、”The temperature slightly increased.”は温度がほんの少しだけ上昇したことを意味する。そしてスケールの最下端にはhardly, barely, scarcelyといった準否定副詞が位置し、これらは程度がほぼゼロに近いことを表す。ただし、これらは厳密には「程度が小さい」のではなく「ほとんど〜ない」という否定を表しており、程度副詞とは質的に異なる機能を持つ。この境界の認識が入試で誤読を防ぐ上で不可欠である。
この原理から、程度副詞の意味を正確に判定する具体的な手順が導かれる。手順1では程度副詞を強弱スケール上に位置づける。当該副詞がスケールのどの位置にあるかを確認することで、伝える程度の強さを把握できる。手順2では修飾対象との組み合わせを確認する。同じ程度副詞でも修飾する形容詞・副詞との組み合わせによってニュアンスが変わる場合があるため、文脈の中で意味を確定することで正確な解釈が可能になる。手順3では準否定との境界を確認する。hardly, barely, scarcelyは形式上は程度副詞に見えるが実質的には否定を表すため、これらを通常の程度副詞と混同しないことで誤読を防止できる。
例1: The movie was extremely boring. → 程度: スケール最上位。意味:「その映画は極めて退屈だった」(最大級の強調)。
例2: The explanation was fairly clear. → 程度: スケール中位やや下。意味:「その説明はまあまあ明確だった」(十分とまではいえないが一応明確)。なお、”The explanation was quite clear.”であれば「かなり明確だった」となり、fairlyよりも高い評価を表す。
例3: The difference is slightly noticeable. → 程度: スケール下位。意味:「その違いはわずかに気づく程度である」(ほんの少しだけ)。
例4: He could hardly breathe. → 形式: 程度副詞に見える。実質: 準否定。意味:「彼はほとんど息ができなかった」(「少しだけ息ができた」ではなく、否定に近い状態)。→ hardlyは程度副詞ではなく準否定副詞として読む必要がある。“He could slightly breathe.”(わずかに息ができた)とは全く異なる意味であり、hardlyをslightlyの類義語と誤解すると致命的な誤読につながる。
以上により、程度副詞の強弱スケールを活用して文意のニュアンスを正確に把握し、準否定副詞との混同を防ぐことが可能になる。
談話:文章中での副詞の役割の把握
統語層で副詞の識別基準を、意味層で意味分類を、語用層で文脈における機能をそれぞれ習得した段階で、最終的に求められるのは、文章全体の中で副詞がどのような役割を果たしているかを把握する力である。この層を終えると、副詞が文と文のつながりや筆者の態度表明にどのように寄与しているかを識別できるようになる。前提として副詞の意味分類と文脈における機能判定ができることが求められる。接続副詞の機能、筆者の態度を示す文副詞の読解、副詞の総合的識別を扱う。談話層で確立した能力は、入試において長文読解の中で副詞の機能を素早く判定し、文意を正確に把握する場面で発揮される。
文章を構成する個々の文は、副詞によって論理的につながれている場合が多い。however, therefore, moreover, consequentlyといった接続副詞は、前後の文の論理関係を明示する機能を持ち、これらの副詞の読み取りが段落の論理展開の把握を可能にする。また、文副詞は筆者の態度や判断を表明する手段であり、筆者がある事実をどのように評価しているかを読み取る手がかりとなる。
【関連項目】
[基盤 M55-談話]
└ 接続表現と論理関係における副詞的機能を把握する
[基盤 M56-談話]
└ 論理展開パターンの識別と接続副詞の対応を確認する
【基礎体系】
[基礎 M05-談話]
└ 副詞の修飾構造を文章レベルで体系的に分析する
1. 接続副詞と文のつながり
副詞の中には、文と文の論理関係を明示する接続副詞と呼ばれるグループがある。however(逆接)、therefore(因果)、moreover(追加)、meanwhile(同時)などがこれに該当する。接続副詞は接続詞とは異なり、文法的に二つの文を結合する力を持たないが、意味的に前後の文の関係を示す重要な役割を担う。接続副詞の機能を正確に把握する能力が、長文読解における論理展開の追跡を可能にする。
接続副詞の機能の理解によって、以下の能力が確立される。第一に、接続副詞が示す論理関係の種類(逆接・因果・追加・例示・対比)を即座に判定できるようになる。第二に、接続副詞と接続詞の文法的な違いを正確に識別できるようになる。第三に、接続副詞を手がかりに段落の論理展開を追跡できるようになる。第四に、入試の空所補充問題で適切な接続副詞を選択できるようになる。
接続副詞の理解は、次の記事で扱う筆者の態度を示す文副詞の読解と合わせて、文章レベルでの副詞の総合的な把握を可能にする。
1.1. 接続副詞の種類と論理関係
一般に接続副詞は「接続詞と同じもの」と理解されがちである。しかし、この理解は接続副詞が文法的には独立した文の中に置かれる副詞であり、接続詞のように二つの節を一つの文に結合する機能を持たないという重要な違いを無視しているという点で不正確である。学術的・本質的には、接続副詞とは前の文の内容を受けて後の文との論理関係を明示する副詞であり、文法的には後の文の中の副詞要素として機能するものとして定義されるべきである。接続副詞の後にはセミコロンまたはピリオドが先行し、接続詞の後には節が直接続くという形式的差異が、両者を区別する基準となる。
接続副詞と接続詞の文法的な違いは、入試の文法問題で直接出題される重要なポイントである。接続詞(because, although, while, ifなど)は従属節と主節を一つの文に結合する文法的機能を持つ。”Although it rained, we went out.”は一つの文であり、althoughが従属節と主節を結合している。これに対して接続副詞(however, therefore, moreover, consequentlyなど)は文法的な結合力を持たず、あくまで後の文の中に置かれる副詞にすぎない。したがって、”It rained. However, we went out.”は二つの独立した文であり、howeverは第二文の中の副詞として機能している。この区別を誤り、“It rained, however, we went out.“のようにコンマだけで二つの独立した文をつなぐと、コンマスプライス(comma splice)と呼ばれる文法的な誤りとなる。正しくは”It rained; however, we went out.”(セミコロン使用)または”It rained. However, we went out.”(ピリオド使用)とする必要がある。この文法的差異の理解は、英作文の正確性と読解の精度の両方に寄与する。
接続副詞が示す論理関係は主に五つの類型に分類される。逆接(however, nevertheless, nonetheless, yet, still, on the other hand)は前の文の内容と対立または対照する内容が後に続くことを示す。因果(therefore, consequently, thus, hence, accordingly, as a result)は前の文の内容が原因・理由となり後の文の内容が結果であることを示す。追加(moreover, furthermore, additionally, besides, in addition, also)は前の文の情報に補足・追加の情報が加わることを示す。例示(for example, for instance, specifically, in particular)は前の文の一般的な記述に対して具体例が示されることを表す。対比(meanwhile, on the other hand, in contrast, conversely, by contrast)は前の文の内容と並行する別の事実や対照的な情報が提示されることを示す。
この原理から、接続副詞を識別し論理関係を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では接続副詞の形式的特徴を確認する。文頭にコンマを伴って置かれ、前の文とはピリオドまたはセミコロンで区切られている語は接続副詞の候補であると判定することで、接続詞との区別ができる。手順2では論理関係の種類を特定する。逆接・因果・追加・例示・対比のいずれに該当するかを判定することで、前後の文の関係が明確になる。手順3では接続副詞を手がかりに論理展開を追跡する。接続副詞の種類から次の文が前の文に対してどのような関係にあるかを予測することで、長文の論理構造を効率的に把握できる。
例1: The experiment failed. However, the data provided useful insights. → 接続副詞: However。論理関係: 逆接。→ 「実験は失敗した。しかし、データは有用な知見を提供した。」(前の文の否定的内容に対して肯定的展開)。
例2: She studied diligently for months. Consequently, she achieved the highest score. → 接続副詞: Consequently。論理関係: 因果。→ 「彼女は何か月も勤勉に勉強した。その結果、最高得点を獲得した。」(前の文が原因、後の文が結果)。
例3: The project requires advanced skills. Moreover, it demands significant time. → 接続副詞: Moreover。論理関係: 追加。→ 「そのプロジェクトは高度な技術を必要とする。さらに、かなりの時間も要求する。」(前の文の情報に追加情報を付加)。
例4: He enjoys classical music; meanwhile, his brother prefers jazz. → 接続副詞: meanwhile。論理関係: 対比。→ 「彼はクラシック音楽を楽しむ。一方、彼の兄はジャズを好む。」(二つの事実の対比)。形式の確認: セミコロンで前の文と区切られており、接続詞ではなく接続副詞として機能している。この例は接続副詞がセミコロンの後に置かれる典型的な形式を示しており、コンマスプライスを避ける正しい表記法が確認できる。
以上により、接続副詞を正確に識別し、前後の文の論理関係を判定して文章の論理展開を追跡することが可能になる。
2. 筆者の態度を示す文副詞の読解
接続副詞が文と文の論理関係を示すのに対し、文副詞の中には筆者の態度や判断を表明するものがある。obviously, apparently, surprisingly, unfortunately, interestinglyといった文副詞は、述べられている事実に対する筆者の評価を読者に伝える機能を持つ。筆者の態度を示す文副詞を正確に読み取る能力は、長文読解で筆者の主張や立場を把握する際に不可欠である。
筆者の態度を示す文副詞の理解によって、以下の能力が確立される。第一に、文副詞から筆者がある事実をどのように評価しているかを読み取れるようになる。第二に、筆者の態度を問う設問に対して、文副詞を根拠として解答できるようになる。第三に、文副詞が示す態度の種類(確信・驚き・残念・期待・皮肉など)を分類できるようになる。第四に、文副詞の有無による文のニュアンスの変化を正確に判断できるようになる。
筆者の態度を示す文副詞の読解力は、次の記事で扱う副詞の総合的識別と合わせて、本モジュール全体の到達目標の達成を可能にする。
2.1. 態度表明の文副詞と事実関係の区別
態度表明の文副詞とは、命題(述べられている事実)に対する話し手・筆者の評価・判断・態度を付加する副詞である。「文副詞は文の飾りのような付加的要素である」という理解は、文副詞が筆者の主観的判断を表明する重要な手がかりであるという機能を見落としているという点で不正確である。入試の読解問題で「筆者の態度」「筆者の判断」を問う設問が頻出し、文副詞がその解答の直接的な根拠となるため、態度表明の文副詞を正確に識別する能力は得点に直結する。
態度表明の文副詞は、筆者が命題をどのような評価で提示しているかを示す。命題そのものは客観的な事実の記述であるが、文副詞はその事実に対する筆者の主観的反応を読者に伝える。”The policy has failed.”は客観的な事実の記述にすぎないが、”Obviously, the policy has failed.”は筆者がこの失敗を「明白な事実」として確信を持って提示していることを示す。”Surprisingly, the policy has failed.”であれば、筆者がこの失敗を「予想外の出来事」として驚きを持って提示していることを示す。同一の命題に異なる文副詞を付加することで、筆者の態度が全く異なるものになるという現象は、文副詞の機能の本質を端的に表している。
態度表明の文副詞は、態度の種類によって大きく五つのグループに分類できる。確信(obviously, clearly, certainly, undoubtedly, evidently, plainly)は、筆者が命題を疑いの余地のない事実として提示していることを示す。驚き(surprisingly, remarkably, amazingly, unexpectedly, astonishingly)は、筆者が命題の内容を予想外の出来事として提示していることを示す。残念(unfortunately, sadly, regrettably, unhappily, tragically)は、筆者が命題の内容を望ましくない事態として評価していることを示す。幸運(fortunately, luckily, happily, thankfully)は、筆者が命題の内容を好ましい事態として評価していることを示す。興味(interestingly, curiously, significantly, notably)は、筆者が命題の内容を注目に値する事実として提示していることを示す。入試の内容一致問題では、筆者の態度を正確に読み取ることが正誤判定の決め手となる場面があり、文副詞のグループ分類を頭に入れておくことで素早い判定が可能になる。
この原理から、態度表明の文副詞を読み取る具体的な手順が導かれる。手順1では文副詞を特定する。文頭にコンマを伴って置かれ、”It is [形容詞] that …”にパラフレーズ可能な副詞を文副詞として識別することで、態度表明の手がかりを発見できる。手順2では態度の種類を分類する。確信・驚き・残念・幸運・興味のいずれに該当するかを判定することで、筆者の態度が明確になる。手順3では事実と態度を分離する。文副詞が付加している情報は筆者の主観であり、命題として述べられている事実とは区別することで、内容一致問題での正確な判断が可能になる。
例1: Obviously, the policy has failed to achieve its goals. → 文副詞: Obviously。態度: 確信。→ 筆者は「政策が目標を達成できなかったこと」を明白な事実として確信を持って述べている。
例2: Surprisingly, the small company won the contract. → 文副詞: Surprisingly。態度: 驚き。→ 筆者は「小さな会社が契約を勝ち取ったこと」を予想外の出来事として提示している。
例3: Unfortunately, the funding was cut before the research was completed. → 文副詞: Unfortunately。態度: 残念。→ 筆者は「研究が完了する前に資金が削減されたこと」を望ましくない事態として評価している。
例4: Interestingly, the results contradicted the initial hypothesis. → 文副詞: Interestingly。態度: 興味。→ 筆者は「結果が当初の仮説と矛盾したこと」を注目に値する事実として提示している。事実そのもの(結果が仮説と矛盾した)と筆者の態度(それを興味深いと感じている)は区別して読む必要がある。内容一致問題で「筆者は結果を予想通りだと考えている」という選択肢が出された場合、Interestinglyが示す「注目に値する」という態度と矛盾するため、この選択肢は誤りと判定できる。
以上により、態度表明の文副詞から筆者の判断を正確に読み取り、事実と態度を区別して英文を精密に理解することが可能になる。
3. 副詞の総合的識別
統語層から談話層まで段階的に習得してきた副詞の識別能力を統合し、実際の英文の中で副詞の定義・意味分類・文脈的機能・文章レベルの役割を総合的に判定する力を確立する段階に至る。入試の読解問題では、副詞の機能を個別に問うのではなく、文章全体の理解の中で副詞の役割を正確に把握することが求められる。
副詞の総合的識別能力によって、以下の能力が確立される。第一に、英文中の副詞を即座に識別し、修飾対象と意味分類を同時に判定できるようになる。第二に、副詞の機能判定を文脈の中で迅速に行い、読解速度を落とさずに精密な理解を維持できるようになる。第三に、副詞に関する知識を入試問題の解答に直接活用できるようになる。第四に、副詞を手がかりとして文章の論理構造と筆者の態度を効率的に把握できるようになる。
副詞の総合的識別は、後続のモジュールで扱う前置詞や接続詞の識別と連携し、英文の修飾構造を包括的に理解する能力の前提となる。
3.1. 複数種類の副詞が共存する文の分析
複数の副詞が共存する文を正確に分析する力は、入試の長文読解で不可欠である。「一つの文に一つの副詞」を前提として理解する段階にとどまっていては、実際の英文では一つの文に複数の副詞が共存し、それぞれが異なる修飾対象と異なる意味カテゴリを持つ場面に対応できない。学術的・本質的には、副詞の識別とは文中に存在する全ての副詞を漏れなく特定し、各副詞の修飾対象・意味分類・機能を個別に判定した上で、それらが文全体の意味にどのように寄与しているかを統合的に理解する作業として定義されるべきものである。この統合的な識別能力が重要なのは、入試の長文読解では複数の副詞が同時に出現する文の正確な理解が不可欠だからである。
複数の副詞が共存する文の分析には、統語層から談話層まで習得した全ての知識を同時に動員する必要がある。まず統語的な観点から、文中の全ての副詞を漏れなく抽出する。副詞は名詞以外を修飾する語であるという定義に照らし、名詞・動詞・形容詞以外の修飾語を全て候補として拾い上げる。次に意味的な観点から、各副詞がどの意味カテゴリ(様態・頻度・程度・時・場所・文副詞・接続副詞)に属するかを判定する。さらに語用的な観点から、各副詞が文意をどの程度変化させているかを評価する。文副詞や接続副詞は文全体のレベルで機能しており、様態副詞や頻度副詞は特定の動詞に限定された情報を付加している。これらの機能の階層を意識することで、複数の副詞が共存する文でも混乱なく分析を進められる。特に注意すべきは、副詞が副詞を修飾している場合(veryがquicklyを修飾するなど)と、同一の動詞に複数の副詞が異なる種類の情報を付加している場合(alwaysとcarefullyが同じ動詞に対して頻度と様態を付加するなど)である。
この原理から、複数の副詞が共存する文を分析する具体的な手順が導かれる。手順1では文中の全ての副詞を特定する。名詞以外を修飾している語を全て抽出することで、分析対象を漏れなく確定できる。手順2では各副詞の修飾対象と意味分類を個別に判定する。統語層と意味層で習得した手順を各副詞に適用することで、個別の機能が明確になる。手順3では副詞の総合的な寄与を把握する。全ての副詞の機能を統合し、文全体がどのような情報を伝えているかを確認することで、精密な文意の把握が完了する。
例1: Surprisingly, she quickly solved the extremely difficult problem yesterday. → 副詞の特定: Surprisingly(文副詞)、quickly(様態)、extremely(程度)、yesterday(時)。→ Surprisingly: 文全体を修飾(筆者の驚き)。quickly: solved を修飾(解く速さ)。extremely: difficult を修飾(難しさの程度)。yesterday: solved を修飾(行為の時)。→ 文意:「驚くべきことに、彼女は昨日、極めて難しい問題を素早く解いた。」四つの副詞が異なる種類の情報を文に付加しており、いずれか一つを見落としても文意の把握が不正確になる。
例2: He always speaks very clearly in meetings. → 副詞の特定: always(頻度)、very(程度)、clearly(様態)。→ always: speaks を修飾(頻度)。very: clearly を修飾(程度)。clearly: speaks を修飾(様態)。→ 文意:「彼は会議ではいつも非常に明瞭に話す。」veryがclearlyという副詞を修飾しており、副詞が副詞を修飾する多層構造の例である。
例3: Unfortunately, the project was only partially completed. → 副詞の特定: Unfortunately(文副詞)、only(限定)、partially(程度)。→ Unfortunately: 文全体を修飾(筆者の残念な評価)。only: partially を修飾(限定)。partially: completed を修飾(完成の程度)。→ 文意:「残念ながら、そのプロジェクトはほんの一部しか完成しなかった。」onlyがpartiallyを修飾して「ほんの一部分」と限定を強めており、焦点副詞が程度副詞に作用する構造を示している。
例4: However, the results clearly still require further investigation. → 副詞の特定: However(接続副詞)、clearly(文副詞)、still(時・継続)。→ However: 前の文との逆接関係を表示。clearly: 文全体を修飾(筆者の確信)。still: require を修飾(現在も継続していること)。→ 文意:「しかしながら、その結果は明らかに依然としてさらなる調査を必要としている。」接続副詞・文副詞・時の副詞が一文に共存し、文の論理的位置づけ・筆者の態度・時間的情報を同時に伝えている。
以上により、複数の副詞が共存する文において各副詞の機能を個別に判定し、文全体の意味を統合的に把握することが可能になる。
(本セクション本文:約1,810字)
このモジュールのまとめ
このモジュールでは、副詞の機能的定義の確立という統語層の理解から出発し、意味層における副詞の意味分類、語用層における文脈での機能判定、談話層における文章レベルでの役割把握という四つの層を体系的に学習した。これらの層は相互に関連しており、統語層の識別能力が意味層の分類を可能にし、意味層の分類が語用層の文脈判断を可能にし、語用層の文脈判断が談話層の文章レベルの分析を実現するという階層的な関係にある。
統語層では、副詞の定義と基本的な識別、文中位置と修飾対象の判定、-ly語尾と副詞識別の注意点という三つの側面から、副詞を正確に識別する能力を確立した。副詞は名詞以外を修飾する語類であるという機能的定義を出発点として、修飾対象の特定・削除テスト・補語との区別という三段階の手順を習得した。さらに、-ly語尾を持つ形容詞(friendly, lovelyなど)と-ly語尾を持たない副詞(fast, hard, wellなど)の存在を認識し、語尾の形態ではなく文中の機能に基づく識別法を確立した。
意味層では、副詞の意味分類と修飾対象による意味の変化という二つの側面から、副詞が伝える情報の種類を正確に判定する能力を確立した。様態・頻度・程度・時・場所の五つの主要カテゴリに加えて文副詞というカテゴリを認識し、疑問詞テストによる分類手順を習得した。同一の副詞(clearlyなど)が位置と修飾対象によって様態副詞にも文副詞にもなりうることを把握し、パラフレーズテストによる区別法を確立した。
語用層では、副詞の有無による文意の変化、位置移動と意味の変化、程度副詞による意味の調整という三つの側面から、文脈における副詞の具体的な機能を判定する能力を確立した。almost, hardly, onlyといった副詞が文の事実関係を根本的に変える場面を識別する力を習得し、焦点副詞の位置による意味変化のメカニズムを理解した。程度副詞の強弱スケールを把握し、準否定副詞との境界を明確にした。
談話層では、接続副詞と文のつながり、筆者の態度を示す文副詞の読解、複数副詞の総合的識別という三つの側面から、文章レベルでの副詞の役割を把握する能力を確立した。接続副詞が前後の文の論理関係を明示する機能を理解し、態度表明の文副詞から筆者の判断を読み取る技術を習得した。さらに、複数の副詞が共存する文において各副詞の機能を個別に判定し統合する力を獲得した。
これらの能力を統合することで、共通テスト本試レベルの英文において副詞を正確に識別し、修飾対象・意味分類・文脈的機能・文章レベルの役割を総合的に判定して、英文の精密な読解に活用することが可能になる。このモジュールで確立した原理と技術は、後続のモジュールで学ぶ前置詞の定義と識別基準、接続詞の種類と識別基準の前提知識となる。
演習編
副詞の識別と機能判定は、入試の読解・文法問題において直接的に問われる頻度が高い。共通テストでは長文の中で副詞の機能を正確に把握し、内容一致問題の正誤判定に活用する力が求められる。MARCH・関関同立レベルでは、副詞の位置による意味の違いや文副詞の読み取りが設問の核となる場面がある。地方国立大学の記述問題では、副詞を含む文の正確な和訳において副詞の修飾関係の把握が不可欠となる。本演習では、統語層から談話層まで段階的に習得した副詞の識別能力を、実際の入試形式の問題を通じて検証する。第1問で副詞の基本的識別と意味分類を確認し、第2問で副詞の位置と文意の関係を検証し、第3問で文章中での副詞の総合的な読み取りを実践する。
【出題分析】
出題形式と難易度
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 難易度 | ★★☆☆☆ 基礎〜★★★☆☆ 発展 |
| 分量 | 標準 |
| 語彙レベル | 共通テスト本試〜MARCH下位相当 |
| 構文複雑度 | 標準的な修飾構造を含む英文 |
頻出パターン
共通テスト → 長文中の副詞の機能を正確に把握し、内容一致の選択肢を判断するパターンが頻出する。特に文副詞が筆者の態度を表す場面の読み取りが問われる。
MARCH・関関同立 → 文法問題として副詞と形容詞の区別、副詞の位置による意味の違いを直接問うパターンが出題される。空所補充で適切な副詞を選択する問題も頻出する。
地方国立大学 → 下線部和訳において副詞の修飾関係を正確に反映した訳出が求められる。接続副詞を手がかりとした論理関係の把握も問われる。
差がつくポイント
副詞と形容詞の区別において、-ly語尾の有無に頼らず修飾対象から判定できるかどうかが差を生む。特に、friendly(形容詞)やhard(形容詞・副詞両用)の正確な識別が重要である。
焦点副詞(only, even)の位置による意味の違いにおいて、位置と焦点の対応関係を正確に読み取れるかどうかが差を生む。特に、onlyの位置が文意を左右する設問で正確に解答できるかが重要である。
文副詞と様態副詞の区別において、パラフレーズテストを活用して筆者の態度を示す文副詞を正確に識別できるかどうかが差を生む。特に、内容一致問題で筆者の態度を問う設問への対応が重要である。
演習問題
試験時間: 25分 / 満点: 100点
第1問(30点)
次の各文について、下線部の語の品詞と機能を答えよ。
(1)She looked 【happy】 after hearing the news.
問:下線部の品詞を答え、その判断根拠を20字以内で述べよ。
(2)She looked 【happily】 at the children playing in the park.
問:下線部の品詞を答え、(1)との違いを30字以内で説明せよ。
(3)The 【early】 train was canceled due to the heavy snow.
問:下線部の品詞を答え、その判断根拠を20字以内で述べよ。
(4)She arrived 【early】 to prepare for the presentation.
問:下線部の品詞を答え、(3)との違いを30字以内で説明せよ。
(5)He could 【hardly】 keep his eyes open during the lecture.
問:下線部の意味として最も適切なものを選べ。
ア 一生懸命に イ かろうじて ウ ほとんど〜ない エ 困難に
第2問(35点)
次の各文について、副詞の位置に注意して問いに答えよ。
(1)次のa〜cの英文の意味の違いを、それぞれ日本語で説明せよ。
a. Only she answered the question correctly.
b. She only answered the question correctly.
c. She answered only the question correctly.
(2)次の英文の下線部の副詞について、様態副詞と文副詞のどちらであるかを判定し、その根拠を述べよ。
a. 【Clearly】, the experiment demonstrated the effectiveness of the new method.
b. The teacher explained the concept 【clearly】 so that every student could understand.
(3)次の英文中の全ての副詞を抽出し、それぞれの修飾対象と意味分類(様態・頻度・程度・時・場所・文副詞・接続副詞)を答えよ。
Interestingly, the researchers still frequently observed extremely unusual patterns in the data; however, they could not immediately explain the phenomenon.
第3問(35点)
次の英文を読み、以下の問いに答えよ。
Recent studies have clearly shown that regular exercise significantly reduces the risk of heart disease. Surprisingly, even moderate physical activity, such as walking for thirty minutes daily, can substantially lower blood pressure. However, many people still do not exercise regularly. Unfortunately, modern lifestyles often make it extremely difficult to maintain consistent exercise habits. Obviously, finding time for physical activity requires careful planning and strong motivation.
(1)本文中の文副詞を全て抽出し、それぞれが示す筆者の態度を答えよ。(15点)
(2)下線部”even moderate physical activity”のevenの機能を説明し、この語がなかった場合と比べて文意がどのように変わるかを50字以内で述べよ。(10点)
(3)本文の論理展開において、接続副詞HoweverとObviouslyがそれぞれ果たしている役割を、前後の文との関係に触れて各40字以内で説明せよ。(10点)
解答・解説
難易度構成
| 難易度 | 配点 | 大問 |
|---|---|---|
| 基礎 | 30点 | 第1問 |
| 標準 | 35点 | 第2問 |
| 発展 | 35点 | 第3問 |
結果の活用
| 得点 | 判定 | 推奨アクション |
|---|---|---|
| 80点以上 | A | 基礎体系へ進む |
| 60-79 | B | 第2問・第3問の誤答箇所を復習後に再挑戦 |
| 40-59 | C | 意味層・語用層の記事を再読し、分類手順を再確認 |
| 40点未満 | D | 該当講義を復習後に再挑戦 |
第1問 解答・解説
【戦略的情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題意図 | 副詞と形容詞の区別を修飾対象に基づいて正確に行う能力 |
| 難易度 | 基礎 |
| 目標解答時間 | 8分 |
【思考プロセス】
レベル1:構造特定 → 各文で下線部の語が何を修飾しているかを特定する。名詞を修飾または補語として主語の状態を説明していれば形容詞、名詞以外を修飾していれば副詞と判定する。
レベル2:検証観点 → -ly語尾の有無に惑わされず、文中の修飾機能から品詞を判定する。同形異品詞(early, hard/hardly)の区別に特に注意する。
【解答】
| 小問 | 解答 |
|---|---|
| (1) | 形容詞。判断根拠:主語Sheの状態を説明する補語である。 |
| (2) | 副詞。違い:(1)は補語で主語の状態を説明、(2)は動詞lookedの様態を修飾。 |
| (3) | 形容詞。判断根拠:名詞trainを修飾している。 |
| (4) | 副詞。違い:(3)は名詞を修飾する形容詞、(4)は動詞arrivedの時を修飾する副詞。 |
| (5) | ウ(ほとんど〜ない) |
【解答のポイント】
正解の論拠:(1)lookedはSVC構文の連結動詞であり、happyは補語として主語の状態を説明する形容詞。(2)lookedは「視線を向けた」の意味で動作動詞として使われており、happilyはその動作の様態を修飾する副詞。(3)earlyはtrainという名詞を直接修飾しており形容詞。(4)earlyはarrivedという動詞を修飾しており副詞。(5)hardlyはhardの副詞形ではなく「ほとんど〜ない」という準否定の副詞である。
誤答の論拠:(1)でhappyを副詞と誤認するパターンが多い。lookedの後に来る語を全て副詞と判断する誤りであり、SVCのlook(〜に見える)とSVのlook(視線を向ける)の区別が必要。(5)でhardlyを「一生懸命に」(hard+ly)と誤認するパターンが頻出する。hardの副詞形はhard自体であり、hardlyは全く別の意味を持つ。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件:副詞と形容詞の区別を問う全ての問題に適用可能。特に、look/feel/sound/taste/smellなどの連結動詞の後の語の品詞判定、同形異品詞の文脈での識別に有効。
【参照】 [基盤 M05-統語] └ 形容詞の識別基準と補語の位置
第2問 解答・解説
【戦略的情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題意図 | 副詞の位置による意味の変化と文副詞・様態副詞の区別を正確に行う能力 |
| 難易度 | 標準 |
| 目標解答時間 | 10分 |
【思考プロセス】
レベル1:構造特定 → (1)ではonlyの直後の要素(焦点)を特定する。(2)ではclearlyの位置と修飾対象を確認する。(3)では文中の全ての副詞を抽出し、個別に分析する。
レベル2:検証観点 → 焦点副詞の位置と焦点の対応関係を確認する。文副詞と様態副詞の区別にはパラフレーズテストを適用する。複数副詞の分析では漏れなく抽出することに注意する。
【解答】
| 小問 | 解答 |
|---|---|
| (1)a | 「彼女だけがその質問に正しく答えた」(焦点: she。他の人は正しく答えられなかった) |
| (1)b | 「彼女はその質問に正しく答えただけだ」(焦点: answered。答えた以上のことはしなかった) |
| (1)c | 「彼女はその質問にだけ正しく答えた」(焦点: the question。他の質問には正しく答えられなかった) |
| (2)a | 文副詞。根拠:文頭にコンマを伴い、”It is clear that the experiment demonstrated…”に書き換え可能。筆者の確信を表す。 |
| (2)b | 様態副詞。根拠:動詞explainedの直後に位置し、説明の仕方(明瞭に)を表す。削除すると「説明の仕方」の情報が失われる。 |
| (3) | 下表参照 |
(3)の副詞分析:
Interestingly → 修飾対象:文全体 / 意味分類:文副詞(筆者の興味)。still → 修飾対象:observed / 意味分類:時(継続)。frequently → 修飾対象:observed / 意味分類:頻度。extremely → 修飾対象:unusual / 意味分類:程度。however → 修飾対象:前後の文の関係 / 意味分類:接続副詞(逆接)。not → 修飾対象:could explain / 意味分類:否定。immediately → 修飾対象:explain / 意味分類:時。
【解答のポイント】
正解の論拠:(1)onlyは直後の要素に焦点を当てる焦点副詞であり、焦点の移動が文全体の意味を変える。aではsheに焦点が当たり「彼女だけが」、bではansweredに焦点が当たり「答えただけ」、cではthe questionに焦点が当たり「その質問にだけ」という意味になる。(3)の文にはnotも副詞として含まれる点に注意が必要である。
誤答の論拠:(1)でa〜cの意味を全て同じと判断するパターンが多い。onlyの位置の違いを無視し「彼女だけがその質問に正しく答えた」と一律に訳してしまう誤りである。(3)でstillとfrequentlyの両方を抽出できないパターンが見られる。動詞observedに対して二つの副詞が異なる情報を付加している点を見落としやすい。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件:焦点副詞の位置による意味の違いを問う問題、文副詞と様態副詞の区別を問う問題、複数副詞の機能分析を要する問題全般に適用可能。
【参照】 [基盤 M06-語用] └ 副詞の位置移動と意味の変化
第3問 解答・解説
【戦略的情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題意図 | 文章中での副詞の総合的な読み取りと筆者の態度把握の能力 |
| 難易度 | 発展 |
| 目標解答時間 | 7分 |
【思考プロセス】
状況設定 → 5文からなる短い英文パッセージを読み、文副詞・接続副詞・焦点副詞の機能を総合的に分析する問題。副詞の識別能力を実際の読解場面で活用する力が試される。
レベル1:初動判断 → まず文頭にコンマを伴う副詞を全て抽出する。これらが文副詞または接続副詞の候補となる。
レベル2:情報の取捨選択 → 各文副詞についてパラフレーズテストを適用し、筆者の態度の種類を分類する。接続副詞については前後の文の論理関係を確認する。
レベル3:解答構築 → 副詞の機能分析を統合し、文章全体での筆者の態度と論理展開を把握した上で解答を構成する。
【解答】
| 小問 | 解答 |
|---|---|
| (1) | clearly(確信:研究結果が明確であるという筆者の確信)、Surprisingly(驚き:適度な運動でも効果があるという予想外の事実への驚き)、Unfortunately(残念:現代の生活様式が運動を困難にしているという事態への残念さ)、Obviously(確信:計画と動機が必要であるという明白な事実への確信) |
| (2) | evenは「〜でさえ」の意味で焦点副詞として機能し、moderate physical activityに焦点を当てている。evenがなければ単に適度な運動の効果を述べるが、evenがあることで「適度な運動でさえ効果がある」という予想外の低い閾値を強調している。 |
| (3) | However:運動の効果を述べた前半と運動不足の現実を述べる後半を逆接で接続し、論理の転換を示す。Obviously:運動困難な現実を受けて、解決策が自明であることを筆者の確信として提示する。 |
【解答のポイント】
正解の論拠:(1)clearlyは第1文で文副詞として使われており(”It is clear that…”に書き換え可能)、単なる様態副詞ではない。significantlyは程度副詞であり文副詞ではないため、抽出対象に含めない。(2)evenは焦点副詞であり、直後のmoderate physical activityが「予想外に低い水準」であることを強調している。(3)Howeverは第3文で前の二文(運動の効果)と後の文(運動しない現実)の逆接関係を明示している。
誤答の論拠:(1)でsignificantlyやsubstantiallyを文副詞として抽出するパターンが見られる。これらは程度副詞であり、動詞reduceやlowerを修飾しており、筆者の態度を表す文副詞ではない。(2)でevenを単に「〜も」と訳し、焦点副詞としての強調機能を説明できないパターンが多い。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件:長文読解で筆者の態度を問う問題、接続副詞を手がかりに論理展開を追跡する問題、焦点副詞の機能を説明する問題全般に適用可能。特に、内容一致問題で筆者の判断を正確に読み取る場面で有効。
【参照】 [基盤 M06-談話] └ 筆者の態度を示す文副詞の読解
【関連項目】
[基盤 M07-統語]
└ 前置詞の識別基準と副詞との区別を確認する
[基盤 M55-談話]
└ 接続表現の体系的な分類と論理関係の把握を深める