【基盤 英語】モジュール35:関係詞の基本的意味

当ページのリンクには広告が含まれています。

本モジュールの目的と構成

英文を読んでいて、一つの名詞に長い説明がくっついている文に出会ったとき、どこまでがその名詞の説明で、どこからが文の本筋に戻るのかが分からなくなった経験はないだろうか。関係詞は名詞に対して追加の情報を付与する機能を持つが、その機能を正確に把握していなければ、修飾関係を見誤り、文全体の意味を取り違える結果となる。関係詞の形態的識別はモジュール18で確立したが、形態を識別できることと、その関係詞が文中でどのような意味的役割を果たしているかを理解することは別の能力である。関係詞が先行詞に対してどのような情報を付与しているのか、制限用法と非制限用法では伝達される意味がどう異なるのか、関係副詞が場所・時・理由・方法のどの情報を補っているのかを正確に判断する能力の確立を目的とする。

本モジュールは以下の層で構成される:

統語:関係詞節の構造と先行詞との結合関係の把握
関係詞が導く節がどのように先行詞と結びつき、文の中で名詞を修飾する構造を形成しているかを把握する。関係代名詞と関係副詞の統語的振る舞いの違い、節内での関係詞の文法的機能(主語・目的語・副詞的要素)を正確に判定する能力を確立する。

意味:関係詞節が伝達する意味と情報の質の判断
関係詞節が先行詞に対して制限的情報を与えているのか、補足的情報を与えているのかを判別し、それによって文全体の意味がどう変わるかを判断する能力を確立する。先行詞の特定性・総称性と関係詞節の意味的関係を把握する。

語用:文脈における関係詞の使い分けと伝達効果の理解
実際の英文において、書き手がなぜ制限用法を選んだのか、なぜ非制限用法を選んだのかという選択の意図を、文脈から読み取る能力を確立する。関係詞の省略が可能な場合と不可能な場合の判断、関係詞節の位置と情報の流れの関係を把握する。

談話:長文における関係詞節の情報構造的役割の理解
段落や文章全体の中で、関係詞節がどのように情報の追加・限定・補足として機能し、論理展開に寄与しているかを把握する能力を確立する。複数の関係詞節が連続する構造や、関係詞節の入れ子構造を含む文の処理手順を確立する。

このモジュールを修了すると、関係詞節が先行詞のどの側面を限定・補足しているかを即座に判断でき、制限用法と非制限用法の意味的差異を正確に識別した上で文意を把握できるようになる。関係代名詞が節内で担う文法的役割を特定し、先行詞との意味的つながりを明確にすることで、修飾関係が複雑に入り組んだ英文でも文の骨格を見失わずに読み進められる。さらに、関係副詞が場所・時・理由・方法のいずれの情報を補っているかを判定する力を基盤として、長文読解において関係詞節を含む複雑な文を迅速かつ正確に処理する技術を習得できる。これらの能力は、後続のモジュールで扱う仮定法や比較表現など、節構造を含むより高度な文法事項の理解を発展させることができる。

【基礎体系】

[基礎 M13]
└ 関係詞と節の埋め込み構造を体系的に理解する

目次

統語:関係詞節の構造と先行詞との結合

英文の中で名詞のすぐ後にwho, which, thatなどが現れたとき、そこから始まる節がどこで終わるのかを見極められなければ、文の骨格そのものを見誤る。この層を終えると、関係詞が導く節の範囲を正確に特定し、節内での関係詞の文法的機能(主語・目的語・前置詞の目的語)を判定できるようになる。品詞の基本的な識別と文の要素の把握が頭に入っていれば、ここから先の分析に進める。関係代名詞の格変化と節内機能の対応、関係副詞の種類と先行詞の対応関係、関係詞節の範囲確定の手順を扱う。統語層で確立した節の構造把握は、意味層で制限用法と非制限用法の意味的差異を分析する際に不可欠となる。

【関連項目】

[基盤 M08-統語]
└ 関係詞節が従属節としてどう機能するかを把握する

[基盤 M18-統語]
└ 関係詞の形態的特徴を確認する

1. 関係代名詞の節内機能

関係代名詞を学ぶ際、「whoは人、whichはもの」という対応だけで十分だろうか。実際の英文では、whoが主語なのか目的語なのかによって節の構造が異なり、先行詞との関係も変わる場面が頻繁に生じる。関係代名詞の節内機能の識別が不十分なまま長文に取り組むと、修飾関係を見誤り、文全体の解釈を取り違える結果となる。

関係代名詞の節内機能を正確に判定する能力によって、以下の能力が確立される。第一に、関係代名詞が節内で主語として機能しているのか目的語として機能しているのかを判定できるようになる。第二に、関係代名詞の格変化(who/whom/whose)から節内での役割を即座に特定できるようになる。第三に、前置詞+関係代名詞の構造で関係代名詞が前置詞の目的語として機能している場合を識別できるようになる。第四に、thatとwhichの使い分けの統語的条件を把握できるようになる。

関係代名詞の節内機能の理解は、次の記事で扱う関係副詞の機能判定、さらに意味層での制限用法・非制限用法の意味的差異の把握へと直結する。

1.1. 関係代名詞の格と節内での役割

一般に関係代名詞は「先行詞を修飾する語」と漠然と理解されがちである。しかし、この理解は関係代名詞が節の内部でどのような文法的役割を果たしているかを説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、関係代名詞とは先行詞を受けると同時に、自らが導く節の内部で主語・目的語・所有格のいずれかの文法的機能を担う語として定義されるべきものである。この定義が重要なのは、関係代名詞の節内機能を特定することが、節の範囲を確定し、文全体の構造を正確に把握するための出発点となるためである。関係代名詞を単なる「修飾語の目印」と捉えている限り、節の内部構造に踏み込んだ分析はできず、結果として複雑な文の骨格を見誤る原因となる。さらに、関係代名詞が節内でどの要素として機能しているかを把握することは、後述する関係詞の省略可否の判定にも直結する。主格の関係代名詞は省略不可能であるのに対し、目的格の関係代名詞は省略可能であるという規則は、節内機能の把握なしには理解できない。

この原理から、関係代名詞の節内機能を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では関係代名詞の直後の構造を確認する。関係代名詞の直後に動詞が来ていれば主格(主語機能)、主語+動詞が来ていれば目的格(目的語機能)と判定することで、節内機能を即座に特定できる。この判定が有効なのは、英語の節は必ず主語+動詞の順序で構成されるため、関係代名詞の直後に動詞が来ている場合、その関係代名詞自体が主語の位置を占めていると判断できるからである。手順2では関係代名詞の格形を確認する。whoであれば主格、whomであれば目的格、whoseであれば所有格と判定することで、形態からも機能を裏づけできる。ただし、現代英語では口語を中心にwhomの代わりにwhoが使われる場合があるため、格形だけに頼らず手順1との併用が重要である。手順3では節の範囲を確定する。関係代名詞から始まり、節内の動詞の目的語・補語まで、または次の主節の動詞の直前までが関係詞節であると判定することで、修飾関係の範囲を確定できる。節の範囲確定は関係詞節の分析の最終段階であり、この段階で主節との境界が明確になる。

例1: The student who passed the exam received a scholarship.
→ whoの直後にpassed(動詞)が来ている。動詞の直前に別の主語がないため、who自体が節内で主語として機能している。passedは他動詞でthe examが目的語。節の範囲はwho passed the examであり、先行詞studentを「試験に合格した」学生に限定して修飾している。主節の動詞はreceivedで、文全体の骨格はThe student received a scholarshipである。

例2: The book which I bought yesterday was expensive.
→ whichの直後にI(主語)+bought(動詞)が来ている。節内にすでに主語Iが存在するため、whichは主語ではなく、boughtの目的語として機能している。I bought ___の空所にwhich(=the book)が入る構造である。yesterdayは副詞で節内の付加要素。節の範囲はwhich I bought yesterdayで、先行詞bookを修飾している。この場合、whichは目的格であるため省略が可能であり、The book I bought yesterday was expensive.としても同じ意味になる。

例3: The teacher whose class I attended is retiring.
→ whoseは所有格の関係代名詞で、whose classで「その先生の授業」という名詞句を形成している。whoseは節内で所有格として機能し、classを修飾している。節内の構造はI attended whose class(=the teacher’s class)であり、Iが主語、attendedが動詞、whose classが目的語である。節の範囲はwhose class I attendedで、先行詞teacherを修飾している。whoseは所有格の関係代名詞として特殊な位置を占めており、人にも物にも使用可能である点に注意が必要である。

例4: The colleague with whom I worked has moved abroad.
→ whomは前置詞withの目的語として機能している。前置詞+関係代名詞の構造では、関係代名詞は前置詞の目的語の位置を占める。節内の構造はI worked with whom(=the colleague)であり、前置詞withが文頭に移動してwith whom I workedとなっている。この語順はフォーマルな書き言葉に特徴的であり、口語ではThe colleague who I worked withのように前置詞を節末に残す形が一般的である。いずれの語順でも関係代名詞の節内機能は同一(前置詞の目的語)であることを確認することが重要である。

例5: The house in which they lived was built in the 19th century.
→ whichは前置詞inの目的語として機能している。節内の構造はthey lived in which(=the house)で、前置詞inが関係代名詞の前に移動している。先行詞houseは場所を表す名詞であるが、前置詞+whichの構造が使われている点が重要である。この構造はwhere(関係副詞)で書き換え可能であり、The house where they livedと同義となる。ただし、前置詞+whichの構造では関係代名詞が前置詞の目的語として機能しているのに対し、whereは副詞的要素として機能しているという統語的差異がある。

例6: The woman whom the company appointed as CEO has extensive experience.
→ whomの直後にthe company(主語)+appointed(動詞)が来ている。節内にすでに主語the companyが存在するため、whomは主語ではなく、appointedの目的語として機能している。as CEOは補語的要素。節の範囲はwhom the company appointed as CEOで、先行詞womanを修飾している。whomという格形から目的格であることが形態的にも裏づけられる。appointは「〜を任命する」という他動詞で、whom(=the woman)がその目的語の位置を埋めている構造である。

以上により、関係代名詞が節内で担う文法的機能を正確に判定し、節の範囲を確定することが可能になる。

2. 関係副詞の種類と先行詞の対応

関係副詞where, when, why, howを学ぶ際、「場所にはwhere、時にはwhen」という機械的な対応だけで十分だろうか。実際の英文では、先行詞が場所を表す名詞であってもwhereではなくwhichが使われる場合や、先行詞が省略される場合が頻繁に生じる。関係副詞の機能を正確に理解していなければ、関係副詞と関係代名詞の使い分けが判断できず、文の構造分析に支障をきたす。

関係副詞の機能判定能力によって、以下の能力が確立される。第一に、関係副詞が節内で副詞的要素として機能していることを識別できるようになる。第二に、関係副詞と「前置詞+関係代名詞」の書き換え関係を理解できるようになる。第三に、先行詞と関係副詞の意味的対応を正確に判定できるようになる。第四に、関係副詞の先行詞が省略されている場合を識別できるようになる。

関係副詞の理解は、次の記事で扱うthatの多機能性の把握、さらに意味層での関係詞節の意味的分析へと直結する。

2.1. 関係副詞の節内機能と先行詞との対応

関係副詞とは何か。「先行詞が場所ならwhere、時ならwhen」という回答は、関係副詞が節内でどのような機能を果たしているかを説明できない。関係副詞の本質は、先行詞を受けると同時に、自らが導く節の内部で場所・時・理由・方法を表す副詞的要素として機能する点にある。この定義が重要なのは、関係副詞は節内で副詞として働くために、節内の文構造(主語+動詞+目的語)がそのまま完全な形で残るという特徴を持ち、この特徴が関係代名詞との判別基準となるためである。関係代名詞の場合は節内の主語・目的語・補語のいずれかが欠けるのに対し、関係副詞の場合は節内の必須要素がすべて揃っているという構造的差異を把握することが、両者を正確に区別するための前提条件となる。

では、関係副詞の機能を判定するにはどうすればよいか。手順1では関係詞の直後の節構造を確認する。節内にS+V+Oが揃っていて文法的に完全であれば関係副詞、S・O・Cのいずれかが欠けていれば関係代名詞と判定することで、両者を正確に区別できる。この判定が機能するのは、関係副詞が副詞的要素として働くため、関係副詞を取り除いても節の文法的構造が成立するからである。一方、関係代名詞は主語や目的語として機能しているため、取り除くと節が不完全になる。手順2では先行詞の意味カテゴリを確認する。場所を表す名詞→where、時を表す名詞→when、the reason→why、the way→howという対応を確認することで、関係副詞の選択を裏づけできる。ただし、先行詞が場所を表す名詞であっても、関係詞が節内で目的語として機能している場合にはwhichが使われるため、手順1の構造確認を優先しなければならない。手順3では「前置詞+which」への書き換えを検証する。where→in/at which、when→in/at/on which、why→for whichと書き換え可能であることを確認することで、関係副詞の副詞的機能を明確に把握できる。この書き換えは関係副詞が「前置詞+場所/時」の意味を内包していることを示しており、関係副詞と前置詞+関係代名詞が同じ統語的位置を占めることを裏づけている。

例1: This is the city where I grew up.
→ whereの後、I grew upはS+Vで文法的に完全。grew upは自動詞句であり、目的語を必要としない。whereは「その都市で」という場所を表す副詞的要素として機能している。書き換えるとthe city in which I grew upとなり、in whichがwhereと同じ副詞的機能を果たしていることが確認できる。先行詞cityは具体的な場所を表す名詞であり、whereとの標準的対応である。

例2: I remember the day when we first met.
→ whenの後、we first metはS+Vで文法的に完全。metは他動詞だが、ここでは「(互いに)出会った」という自動詞的用法で目的語を必要としない。whenは「その日に」という時を表す副詞的要素として機能している。書き換えるとthe day on which we first metとなる。先行詞dayは時を表す名詞であり、whenとの標準的対応である。

例3: The reason why he left is unclear.
→ whyの後、he leftはS+Vで文法的に完全。leftは自動詞用法で完結している。whyは「その理由で」という理由を表す副詞的要素として機能している。書き換えるとthe reason for which he leftとなる。先行詞reasonは理由を表す名詞であり、whyとの対応は限定的で、whyはthe reasonとの共起に事実上限られる。なお、現代英語ではthe reason whyのwhyが省略されてthe reason he leftの形が使われることも多い。

例4: I like the way he explains grammar.
→ the wayの後、he explains grammarはS+V+Oで文法的に完全。the wayは「方法」を表す先行詞であり、関係副詞howと意味的に対応する。ただし、the way howという形は現代英語では非文法的とされ、the way(関係副詞なし)またはhow(先行詞なし)のいずれかの形で使用される。この制約は英語に特有の語法的規則であり、the way in whichという前置詞+関係代名詞の形は許容される。

例5: I don’t know where she lives.(先行詞なしの用法)
→ whereの前に先行詞がなく、where she livesが名詞節としてknowの目的語になっている。この場合のwhereは「関係副詞」というよりも「疑問副詞」が名詞節を導いているとも分析できるが、いずれにしても節内でshe livesがS+Vで完全であり、whereが副詞的要素として機能している点は同じである。先行詞が省略された形と考えれば、I don’t know the place where she livesの圧縮形と理解できる。

例6: The restaurant where we had dinner last night has closed down.
→ whereの後、we had dinner last nightはS+V+Oで文法的に完全(we=S, had=V, dinner=O, last night=副詞句)。whereは場所を表す副詞的要素として機能している。ここで注意すべきは、先行詞restaurantが場所を表す名詞であり、節内の構造が完全であるからwhereが選択されているという点である。仮に「そのレストランを」という意味でrestaurantが動詞の目的語の位置を占める場合にはwhichが選択される(例: The restaurant which we visited…ではvisitedの目的語が欠けている)。先行詞が同じ「場所を表す名詞」であっても、関係詞の選択は節内機能で決まるという原則の好例である。

以上により、関係副詞が節内で副詞的要素として機能していることを判定し、関係代名詞との違いを正確に識別することが可能になる。

3. thatの多機能性と関係詞としての判定

thatという語は接続詞・指示代名詞・関係代名詞など複数の機能を持つため、文中でthatに出会ったとき、それがどの機能で使われているかを即座に判定する能力が求められる。thatの機能を誤認すると、名詞節と関係詞節を取り違えたり、修飾関係を見誤ったりする原因となる。

thatの多機能性を正確に識別する能力によって、以下の能力が確立される。第一に、thatが関係代名詞として先行詞を修飾しているのか、接続詞として名詞節を導いているのかを判定できるようになる。第二に、関係代名詞thatが使用される統語的条件(先行詞にall, every, the onlyなどが含まれる場合など)を把握できるようになる。第三に、thatが省略可能な場合と不可能な場合を判定できるようになる。第四に、thatの直後の構造から機能を特定する手順を習得できるようになる。

thatの機能判定は、統語層全体の総仕上げとして、意味層での関係詞節の意味分析へ進むための前提能力を完成させる。

3.1. thatの機能判定手順

thatは「あれ」「それ」を意味する語と単純に理解されがちである。しかし、この理解はthatが接続詞・関係代名詞・指示代名詞・指示形容詞という複数の文法的機能を持つことを説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、文中でのthatの機能は、thatの前後の構造から論理的に確定されるべきものであり、意味的な「勘」に頼るべきではない。この原理が重要なのは、thatの機能を誤認すると文構造の分析全体が崩れるためである。特に同格のthatと関係代名詞のthatの区別は、節内の文法的完全性の確認という一つの手順で体系的に処理できるにもかかわらず、この手順を持たない受験生にとっては繰り返し誤答の原因となる。

この原理から、thatの機能を判定する具体的な手順が導かれる。手順1ではthatの直前を確認する。直前に名詞があれば関係代名詞または同格のthatの候補、動詞や形容詞の直後であれば接続詞の候補と判定することで、候補を絞り込める。直前の要素の品詞が第一の分岐点となるため、ここでの判定が後続の分析の方向性を決定する。手順2ではthat節内の構造を確認する。節内にS・O・Cの欠けがあれば関係代名詞(欠けた要素がthatの役割)、節内が文法的に完全であれば接続詞または関係副詞的用法と判定することで、機能を確定できる。この手順が決定的に重要なのは、同格のthatと関係代名詞のthatの判別がこの一点に集約されるためである。手順3では先行詞の有無を確認する。thatの前に修飾対象となる名詞(先行詞)があり、that節がその名詞を限定していれば関係代名詞、先行詞がなく節全体がS・O・Cとして機能していれば接続詞と最終判定することで、thatの機能を確定できる。動詞の直後に置かれたthat節は、その動詞の目的語として機能する名詞節を導く接続詞のthatであることが多い。

例1: The book that I read was interesting.
→ thatの直前にbook(名詞)がある。that節内はI read ___で、readは他動詞であるが目的語が欠けている。この目的語の欠けをthat(=the book)が埋めている。したがってthatは関係代名詞(目的格)である。節の範囲はthat I readで、先行詞bookを「私が読んだ」本に限定して修飾している。このthatは目的格であるため省略可能であり、The book I read was interesting.としても同義。

例2: I know that she is coming.
→ thatの直前にknow(動詞)がある。that節内はshe is comingでS+V+現在分詞が揃い、文法的に完全である。S・O・Cの欠けがないため関係代名詞ではない。thatはknowの目的語となる名詞節を導く接続詞である。that she is coming全体が「彼女が来ること」という意味でknowの目的語を形成している。このthatも省略可能であるが、省略の理由は接続詞としての機能が文脈から復元可能だからであり、関係代名詞の省略条件(目的格であること)とは異なる原理に基づいている。

例3: The fact that he lied surprised everyone.
→ thatの直前にfact(名詞)がある。that節内はhe liedでS+Vが揃い、文法的に完全である。liedは自動詞で目的語を取らないため、節内にS・O・Cの欠けがない。したがってthatは関係代名詞ではなく、factの内容を説明する同格のthatである。同格のthatは「〜という事実」のように、先行する抽象名詞(fact, idea, news, belief, claim, possibility等)の内容を具体的に述べる機能を持つ。同格のthatの前に置かれる名詞には一定のパターンがあり、「内容を持つ名詞」(内容節を取る名詞)に限定されるという特徴がある。

例4: The only thing that matters is honesty.
→ thatの直前にthing(名詞、the onlyで限定)がある。that節内は___ mattersで主語が欠けている。この主語の欠けをthat(=the only thing)が埋めている。したがってthatは関係代名詞(主格)である。先行詞がthe onlyで限定されているため、whichではなくthatが選択されている。先行詞にall, every, the only, the very, the same, 序数詞(the first等)、最上級が含まれる場合、関係代名詞としてwhichではなくthatが優先的に選択されるという語法的規則がある。このthatは主格であるため省略不可能である。

例5: It is important that students attend all lectures.
→ thatの前にimportant(形容詞)がある(It is important …の構文)。that節内はstudents attend all lecturesでS+V+Oが完全に揃っている。先行する名詞が存在しないため関係代名詞ではない。このthatはIt is important that…の構文で名詞節を導く接続詞であり、that節全体が真主語として機能している(Itは形式主語)。この構文ではthatの後にshould+原形(仮定法現在)が使われることもあるが、機能判定の手順は同じである。

例6: The news that the company had gone bankrupt shocked the employees.
→ thatの直前にnews(名詞)がある。that節内はthe company had gone bankruptでS+V+Cが完全に揃い、文法的に完全である。したがってthatは関係代名詞ではなく同格のthatであり、「会社が倒産したという知らせ」のようにnewsの内容を具体的に説明している。例3のthe fact that…と同じ構造である。newsも「内容を持つ名詞」であり、同格のthat節を取ることができる。

以上により、文中に現れるthatの機能を統語的構造から正確に判定し、関係代名詞・接続詞・同格のthatを区別することが可能になる。

4. 関係詞節の範囲確定

関係詞節がどこで始まりどこで終わるかを正確に確定できなければ、修飾関係を見誤り、主節の構造把握に失敗する。特に関係詞節が長い場合や、関係詞節の中にさらに別の節が含まれている場合に、節の範囲の確定は困難になる。

関係詞節の範囲確定能力によって、以下の能力が確立される。第一に、関係詞の開始点から節の終了点までを正確に特定できるようになる。第二に、関係詞節と主節の動詞を正確に対応させられるようになる。第三に、関係詞が省略されている場合でも関係詞節の存在を認識できるようになる。第四に、複数の修飾要素が重なる文で関係詞節の範囲を他の修飾要素と区別できるようになる。

関係詞節の範囲確定は統語層の最終記事であり、意味層で制限用法・非制限用法の意味的差異を判断する際の基盤となる。

4.1. 関係詞節の終了点の特定

関係詞節には二つの捉え方がある。一つは「関係詞から次の句読点まで」という機械的な把握、もう一つは「関係詞節内の動詞の必須要素がすべて充足された時点で節が終了する」という構造的な把握である。前者は、関係詞節内に副詞句や前置詞句が含まれる場合に節の範囲を誤認させる。構造的な把握が正確なのは、関係詞節もまた一つの文として主語・動詞・目的語・補語を持ち、その必須要素が充足された後に現れる要素は主節に属するためである。ただし、副詞句や前置詞句など、動詞の必須要素ではないが関係詞節内の動詞に意味的に結びつく付加的要素が節内に含まれる場合もあるため、必須要素の充足だけでなく、付加的要素の帰属も判定しなければならない。その際に有効なのは、主節の動詞を特定するという逆方向からの分析である。

以上の原理を踏まえると、関係詞節の範囲を確定するための手順は次のように定まる。手順1では関係詞節内の動詞を特定する。関係詞の後に現れる最初の定形動詞が関係詞節の動詞であることを確認することで、節の中核を把握できる。定形動詞とは、主語に対して人称・数・時制の一致を示す動詞のことであり、不定詞や分詞とは区別される。手順2ではその動詞の必須要素を確認する。自動詞であればS+Vで完結、他動詞であればS+V+Oで完結と判定することで、節の最小範囲を確定できる。動詞が自動詞か他動詞かの判定は、動詞の直後に名詞(目的語候補)が来ているかどうかで行う。手順3では主節の動詞を特定する。関係詞節の必須要素が充足された後に現れる動詞が主節の動詞であると判定し、その直前が関係詞節の終了点であることを確認することで、節の範囲を最終確定できる。副詞句や前置詞句が関係詞節の動詞と主節の動詞の間に位置する場合は、その副詞句・前置詞句がどちらの動詞に意味的に結びつくかを判定することで帰属を決定する。

例1: The man who lives next door is a doctor.
→ 関係詞節の動詞はlivesで、自動詞。S(who)+V(lives)で必須要素は充足。next doorは場所を表す副詞句でlivesに意味的に結びつき、関係詞節内の付加要素である。isが主節の動詞。節の範囲はwho lives next doorで、終了点はdoorの後。主節の骨格はThe man is a doctorであり、who lives next doorがmanを修飾する関係詞節である。

例2: The report which the committee submitted last week contained errors.
→ 関係詞節の動詞はsubmittedで、他動詞。S(the committee)+V(submitted)+O(which=the report)で必須要素は充足。last weekは時を表す副詞句でsubmittedに意味的に結びつき、関係詞節内の付加要素である。containedが主節の動詞。節の範囲はwhich the committee submitted last weekで、終了点はweekの後。主節の骨格はThe report contained errorsである。last weekがcontainedに結びつく可能性は意味的に排除できる(報告書が先週誤りを含んでいたのではなく、提出されたのが先週である)。

例3: Students who study regularly tend to perform well.
→ 関係詞節の動詞はstudyで、自動詞用法。S(who)+V(study)で必須要素は充足。regularlyは頻度を表す副詞でstudyに結びつき、関係詞節内の付加要素。tendが主節の動詞。節の範囲はwho study regularlyで、終了点はregularlyの後。主節の骨格はStudents tend to perform wellであり、who study regularlyがStudentsを限定する関係詞節である。

例4: The theory that the professor proposed during the lecture has been widely accepted.
→ 関係詞節の動詞はproposedで、他動詞。S(the professor)+V(proposed)+O(that=the theory)で必須要素は充足。during the lectureは時・場所を表す前置詞句でproposedに意味的に結びつき、関係詞節内の付加要素。has beenが主節の動詞。節の範囲はthat the professor proposed during the lectureで、終了点はlectureの後。主節の骨格はThe theory has been widely acceptedである。during the lectureがhas been widely acceptedに結びつく可能性は意味的に排除できる(広く受け入れられたのは講義中のことではない)。

例5: The problem that we discussed at the meeting yesterday remains unsolved.
→ 関係詞節の動詞はdiscussedで、他動詞。S(we)+V(discussed)+O(that=the problem)で必須要素は充足。at the meetingは場所を表す前置詞句、yesterdayは時を表す副詞で、いずれもdiscussedに意味的に結びつく。remainsが主節の動詞。節の範囲はthat we discussed at the meeting yesterdayで、終了点はyesterdayの後。複数の付加要素(at the meeting, yesterday)がいずれも関係詞節内の動詞discussedに帰属するケースであり、主節の動詞remainsとの意味的結びつきは排除される。

例6: The musician who performed at the festival last summer has released a new album.
→ 関係詞節の動詞はperformedで、自動詞用法。S(who)+V(performed)で必須要素は充足。at the festivalは場所、last summerは時を表す付加要素で、いずれもperformedに結びつく。has releasedが主節の動詞。節の範囲はwho performed at the festival last summerで、終了点はsummerの後。主節の骨格はThe musician has released a new albumである。

以上により、関係詞節の開始点と終了点を構造的に特定し、主節との境界を正確に確定することが可能になる。

5. 関係詞の省略と接触節

英文では関係代名詞が省略されている場合がある。省略されていても関係詞節は存在しており、その存在を認識できなければ文構造の分析に失敗する。どのような条件で関係詞が省略可能になるかを理解することは、読解における正確な構造把握に直結する。

関係詞の省略の識別能力によって、以下の能力が確立される。第一に、関係代名詞が省略されている文で関係詞節の存在を認識できるようになる。第二に、関係代名詞が省略可能な条件(目的格の場合)と省略不可能な条件(主格の場合)を判定できるようになる。第三に、接触節(関係代名詞が省略された関係詞節)の範囲を正確に確定できるようになる。第四に、関係詞の省略と接続詞thatの省略を区別できるようになる。

関係詞の省略の理解は、統語層の総括として、意味層での関係詞節の意味分析に必要な全ての統語的知識を完成させる。

5.1. 省略の条件と接触節の認識

一般に関係代名詞の省略は「目的格なら省略できる」と理解されがちである。しかし、この理解は「なぜ目的格なら省略できるのか」「省略されているかどうかをどう判定するのか」を説明できないという点で不十分である。学術的・本質的には、関係代名詞が省略可能なのは、節内の主語と動詞がそのまま残るため、関係詞がなくても節の構造が把握可能な場合に限られると理解すべきである。主格の関係代名詞を省略すると節内の主語が消失し、文構造が判定不能になるため省略できない。この原理を理解することで、省略可否の判定は「省略しても節の構造が復元可能かどうか」という単一の基準に帰着する。さらに、省略されている場合の読解では、名詞の直後に「主語+動詞」が関係詞を介さずに連続するという構造的特徴を手がかりとして省略を検出することが可能である。

上記の定義から、関係詞の省略を判定する手順が論理的に導出される。手順1では名詞の直後に「主語+動詞」が連続しているかを確認する。名詞の直後に、関係詞を介さずに別の主語+動詞が始まっていれば、関係代名詞(目的格)が省略されている可能性が高いと判定できる。英語では通常、名詞の直後に別の主語+動詞が無媒介で連続する構造は存在しないため、この連続が検出された時点で関係代名詞の省略を疑うのが合理的である。手順2では省略された関係代名詞を復元して検証する。名詞とその直後の主語+動詞の間にwhich/who/thatを補い、文が成立するかを確認することで、省略の有無を確定できる。復元した関係代名詞が節内で目的語の位置を占めることも同時に確認する。手順3では省略不可能な場合を確認する。関係代名詞が主格として機能している場合、前置詞の直後の場合、非制限用法の場合は省略不可能であることを確認することで、誤った省略判定を防げる。主格の省略が不可能なのは、省略すると「名詞+動詞+動詞」という構造になり、どちらの動詞が主節でどちらが関係詞節かが判定できなくなるためである。

例1: The movie I watched last night was excellent.
→ movieの直後にI watched(主語+動詞)が関係詞を介さず連続している。whichを補うとThe movie which I watched last nightで文が成立し、whichはwatchedの目的語の位置を占める。関係代名詞(目的格)が省略されている。接触節の範囲はI watched last nightであり、先行詞movieを修飾する。主節の動詞はwas。省略を検出できなければ、I watchedをmovieとは無関係の主節と誤認し、文構造の把握に失敗する。

例2: The person you met at the party is my cousin.
→ personの直後にyou met(主語+動詞)が連続している。whomを補うとThe person whom you met at the partyで成立。whomはmetの目的語。関係代名詞(目的格)が省略されている。接触節の範囲はyou met at the partyで、先行詞personを修飾する。at the partyは場所を表す前置詞句でmetに結びつく付加要素。主節の動詞はis。

例3: The woman who called you is waiting outside.(省略不可の例)
→ whoは節内で主語として機能している。whoを省略するとThe woman called you is waiting outside.となり、calledが主節の動詞なのかwhoの節内の動詞なのかが判定不能になる。実際にはThe woman called youという別の文(「その女性があなたに電話した」)と解釈されてしまい、is waitingとの接続が破綻する。主格の関係代名詞が省略不可能な理由はこの点にある。

例4: There is something I want to tell you.
→ somethingの直後にI want(主語+動詞)が連続している。thatを補うとsomething that I want to tell youで成立。thatはtellの目的語(tell youの間接目的語youに対して直接目的語の位置をthatが占める:tell you something)。関係代名詞(目的格)が省略されている。先行詞がsomethingの場合、関係代名詞としてはwhichではなくthatが基本形となる(something, anything, everything, nothingなどの-thing語は関係代名詞thatと共起する傾向が強い)。

例5: The information the journalist obtained was classified.
→ informationの直後にthe journalist obtained(主語+動詞)が連続している。whichを補うとThe information which the journalist obtainedで成立し、whichはobtainedの目的語。関係代名詞(目的格)が省略されている。接触節の範囲はthe journalist obtainedで、先行詞informationを修飾する。主節の動詞はwas。この例では先行詞informationが不可算名詞であっても省略パターンは同一であることを確認できる。

例6: I believe that she is honest.(接続詞thatの省略との区別)
→ このthatは関係代名詞ではなく接続詞であるが、I believe she is honest.のように省略が可能である。関係代名詞の省略と接続詞thatの省略は異なる原理に基づく。接続詞thatの省略は「that節の内容が動詞の目的語であることが文脈上明らか」な場合に許容されるのに対し、関係代名詞の省略は「関係代名詞が節内で目的格である場合」に許容される。両者を区別するには、thatの直前が動詞であるか名詞であるかを確認することで機能を判定し、それぞれの省略条件を適用する。

以上により、関係代名詞が省略されている文を正確に認識し、省略可能な条件と不可能な条件を判定することが可能になる。

意味:関係詞節が伝達する意味と情報の質

関係詞節の構造を正確に把握できたとしても、その関係詞節が先行詞に対してどのような種類の情報を与えているかを判断できなければ、文の意味を正しく理解したことにはならない。「試験に合格した学生」と「その学生は試験に合格したのだが」では、関係詞節の情報としての性質が根本的に異なる。制限用法では先行詞の指示対象を限定する情報が、非制限用法では先行詞への補足的情報が提供されており、両者を取り違えれば文意の把握に致命的な誤りが生じる。学習者は統語層で確立した関係詞節の構造把握を備えている必要がある。制限用法と非制限用法の意味的差異、関係詞節の情報的役割、関係副詞が表す意味カテゴリの判定を扱う。この層の能力がなければ、語用層で書き手の関係詞選択の意図を分析することは不可能である。

【関連項目】

[基盤 M22-意味]
└ 関係詞節が先行詞の多義性をどのように限定するかを確認する

[基盤 M25-意味]
└ 関係詞節の文脈情報が語義推測にどう寄与するかを理解する

1. 制限用法と非制限用法の意味的差異

制限用法と非制限用法の違いは、単にコンマの有無ではなく、関係詞節が先行詞に対して与える情報の性質の違いである。制限用法では関係詞節が先行詞の指示対象を限定し、非制限用法では先行詞の指示対象はすでに確定した上で補足的情報を追加している。この違いを把握しなければ、書き手が伝えようとしている情報の構造を正確に読み取ることができない。

制限用法と非制限用法の意味的差異を正確に判定する能力によって、以下の能力が確立される。第一に、関係詞節が先行詞の指示対象を限定しているのか補足しているのかを判定できるようになる。第二に、制限用法と非制限用法で文全体の意味がどう変わるかを具体的に説明できるようになる。第三に、コンマの有無を手がかりとして用法を判別しつつ、コンマがなくても文脈から判断できるようになる。第四に、非制限用法のwhichが文全体を先行詞として受ける用法を識別できるようになる。

制限用法と非制限用法の理解は、次の記事で扱う関係副詞の意味的分析、さらに語用層での書き手の表現選択の意図の分析へと直結する。

1.1. 制限用法:先行詞の限定

制限用法とは何か。「コンマなしの関係詞節」という回答は、制限用法がなぜ「制限」と呼ばれるのか、その情報的機能を説明できない。制限用法の本質は、先行詞の指示対象を他の同種のものから区別し、特定するために不可欠な情報を提供するという点にある。制限用法の関係詞節を取り除くと、先行詞がどの対象を指しているかが不明確になるという特徴が、その本質を示している。この「取り除いたときの意味変化」という観点が、制限用法を判定する上で最も信頼できる基準である。コンマの有無はあくまで表記上の手がかりにすぎず、書き手によってはコンマを付け忘れることもあるため、形式だけに頼らず意味的な分析を行う必要がある。

この原理から、制限用法を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では関係詞節を取り除いた文を検討する。関係詞節がなくても先行詞の指示対象が明確であれば非制限用法、関係詞節がないと先行詞が曖昧になれば制限用法と判定することで、用法を確定できる。この判定を行う際には、「先行詞が指す対象の集合が関係詞節によって縮小されるかどうか」を考えるとよい。手順2ではコンマの有無を確認する。関係詞の前にコンマがなければ制限用法の可能性が高いと判定することで、形式面からも判断を補強できる。ただし、コンマの有無は最終判定ではなく、手順1の意味的検証が優先する。手順3では先行詞の特定性を確認する。先行詞が固有名詞や唯一の存在を指す場合は制限用法にはなりにくい(すでに特定されているため限定不要)と判定することで、意味的に矛盾する分析を防げる。固有名詞はそれ自体で指示対象が一意に定まるため、関係詞節で限定する必要がないからである。

例1: Students who study hard get good grades.
→ 関係詞節を除くとStudents get good grades(すべての学生が良い成績を取る)となり、文の意味が根本的に変わる。who節が「勉強する」学生だけに対象を限定しており、「勉強しない学生」はこの文の主張の対象外である。制限用法。先行詞Studentsが総称的な複数名詞であるため、関係詞節がなければ全体集合を指すことになるが、who節がその部分集合を切り出している。

例2: The car that was parked outside has been towed.
→ 関係詞節を除くとThe car has been towed.で、文脈上複数の車がありうる状況ではどの車かが特定できない。that節が「外に駐車していた」車に限定することで、指示対象が一意に確定する。制限用法。the+名詞の形であっても、文脈上複数の候補がある場合には制限用法の関係詞節で限定する必要がある。

例3: People who live in glass houses shouldn’t throw stones.
→ 関係詞節を除くとPeople shouldn’t throw stones.(人は石を投げるべきではない)となり、ことわざとしての意味が消失する。who節が対象を「ガラスの家に住む人」に限定することで、「自分に弱点がある人は他人を批判すべきではない」という比喩的意味が成立する。制限用法。この例は、制限用法の関係詞節が文の意味の核心を形成している典型例である。

例4: The only solution that works is prevention.
→ 関係詞節を除くとThe only solution is prevention.で、「唯一の解決策」がどのような性質のものかが不明確になる。that節が「機能する」解決策に限定することで、多くの解決策の中から「実際に効果があるもの」だけを切り出している。制限用法。先行詞にthe onlyが含まれているため関係代名詞にthatが使われている。

例5: The countries that signed the treaty agreed to reduce emissions.
→ 関係詞節を除くとThe countries agreed to reduce emissions.で、すべての国が排出削減に同意したことになり、実際の状況と異なる。that節が「条約に署名した」国に対象を限定することで、署名国だけが対象であるという正確な意味が伝わる。制限用法。国際関係の文脈では、関係詞節による対象の限定が議論の前提を正確にするために不可欠であることが多い。

例6: Anyone who violates the rules will be penalized.
→ 関係詞節を除くとAnyone will be penalized.(誰もが処罰される)となり、規則違反という条件が消失する。who節が「規則に違反する」人に限定することで、条件付きの主張として機能している。制限用法。先行詞anyoneは最も広い集合を表す不定代名詞であり、関係詞節による限定が文の意味を実質的に決定している。

以上により、制限用法の関係詞節が先行詞の指示対象を限定する情報を提供していることを正確に判定することが可能になる。

1.2. 非制限用法:先行詞への補足

非制限用法には制限用法とは異なる情報的機能がある。非制限用法では先行詞の指示対象はすでに確定しており、関係詞節はその対象について追加の情報を提供する役割を担う。非制限用法の関係詞節を取り除いても、先行詞の指示対象は変わらないという特徴が、制限用法との決定的な違いである。この区別は、英文の意味を正確に理解する上で不可欠となる。また、非制限用法の関係詞節は情報の提示順序においても特徴を持つ。非制限用法の関係詞節は、主節の情報の流れを一時的に中断して補足を挿入する機能を果たしており、読者はこの補足を「括弧的情報」として処理する。この処理の仕方が読解の効率と正確性に直結する。

では、非制限用法を判定するにはどうすればよいか。手順1では関係詞の前のコンマの有無を確認する。コンマがあれば非制限用法の候補と判定することで、形式面から判断の出発点を得られる。コンマは非制限用法の最も明確な形式的指標であり、書き手が読者に「ここからは補足情報である」と示す記号として機能している。手順2では先行詞の特定性を確認する。先行詞が固有名詞、代名詞、または文脈上すでに特定された名詞であれば、関係詞節は補足情報であり非制限用法と判定できる。先行詞がすでに特定されている場合、関係詞節で限定する必要がないため、論理的に非制限用法とならざるをえない。手順3では関係詞節を取り除いた文を検討する。関係詞節がなくても先行詞の指示対象が変わらなければ非制限用法と確定でき、文意に影響があれば制限用法の可能性を再検討する。この手順は制限用法の判定手順と同一であり、用法判別の最終確認として機能する。

例1: Tokyo, which is the capital of Japan, has a population of over 13 million.
→ Tokyoは固有名詞で指示対象が一意に確定している。which節を除いてもTokyoが何を指すかは変わらない。which節は「日本の首都である」という補足情報を提供している。非制限用法。固有名詞が先行詞の場合、その名詞だけで指示対象が特定されるため、制限用法になることはきわめて稀である。この例ではwhich is the capital of Japanが挿入的に読者の背景知識を補足している。

例2: My mother, who is a teacher, speaks three languages.
→ My motherは話者の母として文脈上一意に特定されている。who節を除いてもMy motherの指示対象は変わらない。who節は「教師である」という補足情報を追加しており、文の主張は「3か国語を話す」ことにある。非制限用法。所有格+親族名詞(my father, my sister等)は通常一人を指すため、関係詞節は補足情報とならざるをえない。

例3: He passed the exam, which surprised everyone.
→ whichの先行詞は「彼が試験に合格したこと」という前文全体である。個別の名詞ではなく文の内容全体を先行詞として受ける非制限用法のwhichは、前文の出来事に対するコメントや評価を追加する機能を持つ。which surprised everyoneは「そのことは皆を驚かせた」という追加情報を提供している。この用法は非制限用法にのみ可能であり、制限用法では文全体を先行詞にすることはできない。文全体を先行詞とするwhichは読解において特に注意が必要で、whichが直前の名詞を指すのか文全体を指すのかの判断が文意の把握を左右する。

例4: The report, which was published last month, has attracted considerable attention.
→ the reportは文脈上すでに特定されている(特定の報告書)。which節を除いてもどの報告書かは変わらない。which節は「先月出版された」という時期の情報を補足的に追加している。非制限用法。主節の主張は「かなりの注目を集めた」ことであり、which節の情報は背景的位置づけにある。

例5: The Amazon River, which flows through Brazil, is the largest river by volume.
→ The Amazon Riverは固有名詞で指示対象が一意に確定している。which節を除いても指示対象は変わらない。which節は「ブラジルを流れている」という地理的情報を補足している。非制限用法。この例のように、固有名詞+非制限用法の関係詞節は百科事典的な補足情報を追加するパターンとして頻出する。

例6: The experiment failed, which led the team to revise their hypothesis.
→ whichの先行詞は「実験が失敗したこと」という前文全体。which led the team to revise their hypothesisは「そのことがチームに仮説の修正を促した」という因果関係の追加情報を提供している。例3と同じく前文全体を先行詞とする非制限用法のwhichであるが、ここでは評価ではなく結果・帰結を述べている。このパターンは学術的文章や論理的文章で頻出し、前文の内容がどのような結果をもたらしたかを示す機能を持つ。

これらの例が示す通り、非制限用法の関係詞節が先行詞への補足的情報を提供していることを正確に識別する能力が確立される。

2. 関係副詞が表す意味カテゴリの判定

関係副詞where, when, why, howは、統語層で確認した通り節内で副詞的要素として機能するが、それぞれが表す意味カテゴリ(場所・時・理由・方法)を正確に把握することで、関係詞節が先行詞に対してどのような種類の情報を追加しているかを判定できるようになる。特に、whereが抽象的な「状況」を、whenが比喩的な「時点」を表す場合など、意味の拡張に注意が必要である。

関係副詞の意味カテゴリの判定能力によって、以下の能力が確立される。第一に、where, when, why, howが表す意味カテゴリを先行詞との関係から判定できるようになる。第二に、whereが場所以外の抽象的な状況を表す拡張用法を識別できるようになる。第三に、whenが「場合」「状況」という条件的意味で使われる場合を識別できるようになる。第四に、先行詞の意味と関係副詞の意味カテゴリの対応が標準的か拡張的かを判断できるようになる。

関係副詞の意味カテゴリの把握は、語用層で書き手が関係副詞を選択する意図を分析する際の基盤となる。

2.1. 標準的対応と意味の拡張

関係副詞は「場所→where、時→when」と機械的に対応させて理解されがちである。しかし、この理解はwhereが抽象的な「状況」を表す場合やwhenが「条件」を表す場合を説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、関係副詞の意味カテゴリは先行詞の意味的性質によって決定されるが、先行詞が具体的な場所・時から抽象的な概念へと拡張される場合、関係副詞の意味も連動して拡張されると理解すべきである。この拡張の仕組みを理解することが、入試の読解で関係副詞の意味を正確に把握するために不可欠である。英語では、空間・時間の概念が抽象的な領域に比喩的に拡張されることが多く(例: a point where = ある段階で、a time when = ある場合に)、この比喩的拡張が関係副詞の意味にも反映される。

この原理から、関係副詞の意味カテゴリを判定する具体的な手順が導かれる。手順1では先行詞の意味的性質を確認する。先行詞が具体的な場所・時・理由を表しているか、抽象的な概念を表しているかを判定することで、関係副詞の意味カテゴリの候補を絞り込める。先行詞が具体的であれば標準的対応の可能性が高く、抽象的であれば拡張用法の可能性が高い。手順2では関係副詞を「前置詞+which」に書き換えて検証する。書き換えた際にどの前置詞が適切かを判定することで(in whichなら場所・状況、at/on whichなら時、for whichなら理由)、意味カテゴリを確定できる。書き換えに使う前置詞の選択自体が意味カテゴリを反映しているため、この検証は意味の確認として有効である。手順3では拡張用法かどうかを判定する。先行詞が物理的場所・具体的時でない場合は拡張用法と判定し、「状況」「場合」「条件」などの意味で解釈することで、文意を正確に把握できる。拡張用法の場合、日本語訳にも注意が必要で、whereを「〜する場所」ではなく「〜する状況」「〜する段階」と訳す方が適切なことがある。

例1: This is the stage where the actors perform.(標準的用法)
→ 先行詞stageは具体的な「舞台」(物理的場所)。whereは場所を表し、「俳優が演技をする場所」という標準的対応。書き換えるとthe stage at which the actors performとなる。先行詞が具体的場所であり、whereが物理的空間を指すことが明確。

例2: We reached a point where further negotiation was impossible.(拡張用法)
→ 先行詞pointは物理的な場所ではなく抽象的な「段階・地点」。whereは場所ではなく「さらなる交渉が不可能な状況・段階」を表す。書き換えるとa point at which further negotiation was impossibleとなる。pointは空間的メタファーで使われており(議論が「到達する」地点)、whereもその比喩的拡張に連動している。この用法は読解で頻出し、「〜するような状況」「〜するような段階」と訳すのが適切。

例3: There are times when silence is the best response.(拡張用法)
→ 先行詞timesは具体的な時刻ではなく「場合・状況」。whenは「沈黙が最良の対応であるような場合」を表す。書き換えるとtimes at which silence is the best responseとなる。timesが「回数・場合」の意味で使われており、whenも「時」から「場合・条件」へと拡張されている。日本語訳としては「〜するような場合がある」が適切で、「〜するような時がある」とすると時刻の意味に引きずられる可能性がある。

例4: I don’t understand the reason why she refused the offer.(標準的用法)
→ 先行詞reasonは理由。whyは理由を表し、標準的対応。書き換えるとthe reason for which she refused the offerとなる。whyはthe reasonとの共起がほぼ固定的であり、他の先行詞とは通常共起しない。なお、the reason why…のwhyは省略されてthe reason she refused…の形でも使われるし、whyだけでI don’t understand why she refused the offer.のように先行詞なしでも使用可能。

例5: The situation where both sides benefit is rare.(拡張用法)
→ 先行詞situationは物理的場所ではなく抽象的な「状況」。whereは「双方が利益を得る状況」を表す拡張用法。書き換えるとthe situation in which both sides benefitとなる。situationはwhereと共起する頻度が高い抽象名詞の一つであり、case, circumstances, scenarioなどの語もwhereとの拡張的共起が可能。

例6: We are approaching a stage where decisive action is needed.(拡張用法)
→ 先行詞stageは例1とは異なり「段階」の意味。whereは「断固たる行動が必要な段階」を表す拡張用法。書き換えるとa stage at which decisive action is neededとなる。例1のstage(舞台)と同じ語が例6のstage(段階)では拡張用法になっている点は、先行詞の意味的性質が関係副詞の解釈を決定するという原理の好例である。

以上により、関係副詞が表す意味カテゴリを先行詞との関係から正確に判定し、標準的用法と拡張用法を区別することが可能になる。

3. 関係詞節の情報的役割と先行詞の性質

制限用法・非制限用法の判別と関係副詞の意味カテゴリの判定を踏まえた上で、関係詞節が先行詞に対してどのような情報的役割を果たしているかを、先行詞の性質(総称名詞・特定名詞・固有名詞・代名詞・抽象名詞)との関係から体系的に判定する能力を確立する。先行詞の性質が異なれば、同じ形式の関係詞節であっても情報的役割が変わるという原理を理解することが目標である。

関係詞節の情報的役割と先行詞の性質の関係を判定する能力によって、以下の能力が確立される。第一に、先行詞が総称名詞の場合に制限用法の関係詞節が部分集合を切り出す機能を持つことを理解できるようになる。第二に、先行詞が固有名詞や代名詞の場合に関係詞節が必然的に補足情報となることを理解できるようになる。第三に、先行詞が抽象名詞の場合に、関係詞節が同格的な内容説明と対象限定のどちらの機能を果たしているかを判定できるようになる。第四に、先行詞の性質と関係詞節の情報的役割の対応関係を体系的に把握することで、初見の文でも即座に情報構造を分析できるようになる。

関係詞節の情報的役割の体系的理解は、意味層の総括として、語用層での書き手の選択意図の分析に必要な全ての意味的知識を完成させる。

3.1. 先行詞の性質による情報的役割の変化

一般に関係詞節の情報的役割は「制限か補足か」の二択で理解されがちである。しかし、この理解は先行詞の性質によって関係詞節の情報的役割が細分化されることを見落としている点で不十分である。学術的・本質的には、先行詞の性質(総称名詞・特定名詞・固有名詞・代名詞・抽象名詞)と関係詞節の用法(制限・非制限)の組み合わせによって、関係詞節の情報的役割は「部分集合の切り出し」「特定対象の識別」「属性の補足」「内容の説明」「評価・コメントの追加」という複数の類型に分かれると理解すべきである。この類型化が重要なのは、読解において関係詞節の情報をどのように処理すべきか(主張の核として精読すべきか、背景情報として概要把握すべきか)の判断が、この類型に基づいて行われるためである。

この原理から、先行詞の性質に基づいて関係詞節の情報的役割を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では先行詞の性質を分類する。総称名詞(無冠詞複数・a+名詞)であれば部分集合の切り出し、the+名詞であれば特定対象の識別または補足、固有名詞・代名詞であれば補足・評価のいずれかと判定することで、情報的役割の候補を絞り込める。手順2では用法(制限・非制限)を確認する。先行詞が総称名詞で制限用法であれば部分集合の切り出し、先行詞がthe+名詞で制限用法であれば特定対象の識別、先行詞が固有名詞で非制限用法であれば属性の補足と判定できる。手順3では情報的役割の類型を確定する。手順1と手順2の結果を統合し、関係詞節が文全体の中でどのような情報的機能を果たしているかを最終判定することで、読解における処理の優先度を決定できる。

例1: Dogs that are trained properly make excellent companions.(総称名詞+制限用法→部分集合の切り出し)
→ 先行詞Dogsは総称名詞(無冠詞複数)で「犬一般」を指す。that節が「適切に訓練された」犬という部分集合を切り出している。関係詞節の情報的役割は「部分集合の切り出し」であり、文の主張は犬全般ではなく訓練された犬に限定される。この類型では関係詞節の情報が文の主張の範囲を決定する核心的役割を果たしているため、精読が不可欠。

例2: The laptop that I bought last year has already broken down.(特定名詞+制限用法→特定対象の識別)
→ 先行詞the laptopは特定名詞。that節が「私が去年買った」ラップトップを他のラップトップから識別する情報を提供している。関係詞節の情報的役割は「特定対象の識別」であり、文脈上複数のラップトップが存在する状況でどれを指すかを特定する機能を果たしている。

例3: Marie Curie, who won the Nobel Prize twice, was born in Poland.(固有名詞+非制限用法→属性の補足)
→ 先行詞Marie Curieは固有名詞で指示対象が一意に確定している。who節は「ノーベル賞を2度受賞した」という属性を補足している。関係詞節の情報的役割は「属性の補足」であり、who節がなくてもMarie Curieの指示対象は変わらない。百科事典的な追加情報の提示として機能する。

例4: The belief that hard work leads to success motivates many people.(抽象名詞+同格節→内容の説明)
→ 先行詞beliefは抽象名詞。that節内はhard work leads to successで文法的に完全であり、thatは同格の接続詞。関係詞節(同格節)の情報的役割は「内容の説明」であり、beliefがどのような信念かを具体的に述べている。抽象名詞が先行詞の場合、関係代名詞のthatか同格のthatかの判別が情報的役割の判定に直結する。

例5: She said nothing, which made the situation worse.(前文全体+非制限用法→評価・コメントの追加)
→ whichの先行詞は「彼女が何も言わなかったこと」という前文全体。which節は「そのことが状況を悪化させた」という結果・評価を追加している。関係詞節の情報的役割は「評価・コメントの追加」であり、前文の出来事に対する書き手の判断を示す機能を持つ。

例6: A teacher who inspires students can change lives.(総称名詞+制限用法→部分集合の切り出し)
→ 先行詞A teacherは総称名詞(a+名詞)で「教師一般」からの一例を表す。who節が「生徒を鼓舞する」教師という部分集合を切り出している。例1と同じ類型だが、a+名詞が先行詞の場合、制限用法の関係詞節は「そのような種類の」教師を特徴づける機能を持つ。関係詞節を除くとA teacher can change lives.となり、あらゆる教師が人生を変えられるという過度に広い主張になってしまう。

以上により、先行詞の性質と関係詞節の用法の組み合わせから、関係詞節の情報的役割を体系的に判定し、読解における処理の優先度を決定することが可能になる。

4. 関係詞節の意味的機能の総合判定

制限用法・非制限用法の区別、関係副詞の意味カテゴリの判定、先行詞の性質と情報的役割の対応を統合し、関係詞節が文全体の意味にどのように寄与しているかを総合的に判定する能力を確立する。一つの文に複数の判断要素が含まれる場合にも、これまでの手順を組み合わせて正確に分析できることが目標である。

関係詞節の意味的機能の総合判定能力によって、以下の能力が確立される。第一に、関係詞節の用法(制限/非制限)と意味カテゴリ(場所/時/理由/方法/対象限定/補足)を同時に判定できるようになる。第二に、一つの文に複数の関係詞節が含まれる場合にそれぞれの機能を区別できるようになる。第三に、関係詞節の情報が文全体の主張にどう関わっているかを判断できるようになる。第四に、統語層と意味層の知識を統合して関係詞節を含む文を正確に解釈できるようになる。

関係詞節の総合判定は、語用層で書き手の表現選択の意図を分析するための能力を完成させる。

4.1. 複数の判断要素の統合

関係詞節の意味的機能を正確に判定するには、用法の判別と意味カテゴリの判定という二つの判断を同時に行う必要がある。これら二つの判断をそれぞれ独立に行い、その結果を統合することで、関係詞節が文全体の意味に果たす役割を正確に把握できる。一方の判断だけでは不十分であり、両者の統合が不可欠である。用法の判別が「関係詞節の情報的性質」を決定し、意味カテゴリの判定が「関係詞節が付加する情報の種類」を決定するため、両者を組み合わせることで「どのような種類の情報が、どのような性質で付加されているか」という完全な分析が可能になる。

この原理から、関係詞節の意味的機能を総合的に判定する手順が導かれる。手順1では用法を判定する。コンマの有無、先行詞の特定性、関係詞節を除いた場合の意味変化を確認し、制限用法か非制限用法かを確定する。用法の判定は情報の性質(限定か補足か)を決定するため、最初に行う。手順2では意味カテゴリを判定する。関係代名詞であれば先行詞の対象限定または補足、関係副詞であれば場所・時・理由・方法のいずれかを確定する。意味カテゴリの判定は情報の種類を決定する。手順3では文全体における情報の役割を判定する。関係詞節が提供する情報が文の主張にとって必須の限定情報か、理解を助ける補足情報かを判定することで、文全体の論理構造を把握できる。この最終判定は、手順1と手順2の結果を統合した上で、文脈全体を考慮して行う。

例1: The scientist who discovered the element received the Nobel Prize.
→ 用法: 制限用法(コンマなし、who節を除くと「科学者がノーベル賞を受けた」でどの科学者か不明)。意味カテゴリ: 先行詞scientistの対象限定(whoは関係代名詞、節内で主語として機能)。文の主張にとって「元素を発見した」という情報は、どの科学者かを特定するために必須。関係詞節の情報を除くと文の主張が成立しない。統合判定: 必須の限定情報として対象を特定する機能。

例2: Dr. Smith, who discovered the element, received the Nobel Prize.
→ 用法: 非制限用法(コンマあり、Dr. Smithは固有名詞で特定済み)。意味カテゴリ: 先行詞Dr. Smithへの補足情報(元素の発見者であるという追加情報)。who節を除いてもDr. Smithの特定には影響しない。文の主張は「ノーベル賞を受けた」ことであり、who節は背景的情報。統合判定: 背景的補足情報として先行詞の属性を追加する機能。例1と例2は同じ内容を伝えているが、情報の提示の仕方が根本的に異なる。

例3: The city where the conference was held attracts many tourists.
→ 用法: 制限用法(コンマなし、where節を除くとどの都市か不明)。意味カテゴリ: 場所(標準的用法、whereは関係副詞で節内の副詞的要素)。where節は先行詞cityの対象を「会議が開催された」都市に限定する必須情報。統合判定: 場所の情報による必須の対象限定機能。

例4: Last summer, when temperatures reached record highs, many crops failed.
→ 用法: 非制限用法(コンマあり、Last summerは特定済み)。意味カテゴリ: 時の補足情報(whenは関係副詞、標準的用法)。when節はlast summerの気温状況を補足しており、文の主張(作物の不作)の背景情報を提供。文の主張自体はwhen節がなくても成立するが、when節があることで不作の原因が暗示される。統合判定: 時に関する背景情報として主張の因果関係を暗示する機能。

例5: The method that the researchers developed has been adopted internationally.
→ 用法: 制限用法(コンマなし、that節を除くとどの方法か不明)。意味カテゴリ: 先行詞methodの対象限定(thatは関係代名詞、節内で目的語として機能)。「研究者たちが開発した」方法に限定することで指示対象を特定。統合判定: 必須の限定情報として対象を特定する機能。研究論文的文脈では、どの方法かを明示することが議論の前提として不可欠。

例6: The team won the championship, which was their third consecutive title.
→ 用法: 非制限用法(コンマあり)。whichの先行詞はthe championship(直前の名詞)ではなく、「チームが優勝したこと」または「その優勝」。意味カテゴリ: 補足情報(3連覇であったという追加事実)。which節を除いても「チームが優勝した」という主張は成立し、which節は優勝の歴史的文脈を補足している。統合判定: 補足的情報として出来事の意義・文脈を追加する機能。

以上の適用を通じて、関係詞節の用法判別と意味カテゴリ判定を統合し、文全体の意味構造を正確に把握する能力を習得できる。

語用:文脈における関係詞の使い分けと伝達効果

関係詞節の構造と意味的機能を把握できたとしても、実際の英文では書き手がなぜその関係詞を選び、なぜその用法を使ったのかという「選択の意図」を読み取れなければ、文章の伝達効果を十分に理解したことにはならない。同じ内容であっても、制限用法で表現するか非制限用法で表現するかによって、読者に与える印象や情報の重みが変わる。統語層の節構造把握と意味層の用法判別が前提として求められる。関係詞の省略が生む効果、制限用法と非制限用法の選択意図、関係詞節の位置と情報の流れの関係を扱う。後続の談話層で長文における関係詞節の機能を分析する際、本層で確立した伝達効果の理解が不可欠となる。

【関連項目】

[基盤 M43-語用]
└ 関係詞節を用いた間接的な情報提示の方法を把握する

[基盤 M46-語用]
└ 非制限用法の関係詞節が前提の提示にどう機能するかを確認する

1. 関係詞の省略と文体的効果

関係代名詞の省略は統語層で学んだ通り目的格の場合に可能であるが、省略するかしないかは任意の選択ではなく、文体的な効果に直結する。省略によって文はより簡潔で口語的になり、明示することでより明確で書き言葉的になる。書き手の関係詞省略の判断を理解することは、英文のスタイルを読み取る能力の一部である。

関係詞の省略の文体的効果を理解する能力によって、以下の能力が確立される。第一に、関係代名詞が省略されている場合と明示されている場合の文体的差異を把握できるようになる。第二に、省略の有無から文章の形式性(フォーマル/インフォーマル)を判断できるようになる。第三に、省略によって生じる文のテンポの変化を意識して読解できるようになる。第四に、入試の英文において、省略の有無が意味解釈に影響を与える場合を識別できるようになる。

関係詞の省略の文体的効果の理解は、次の記事の制限用法・非制限用法の選択意図の分析、さらに談話層での長文分析へと直結する。

1.1. 省略の文体的判断

関係代名詞の省略は「省略できるものは省略してよい」と理解されがちである。しかし、この理解は省略と明示の選択が文体的・伝達的な効果を持つことを見落としている点で不十分である。学術的・本質的には、関係代名詞の省略は文を簡潔にし読みやすくする一方、明示は文の構造を明確にし情報の階層を示す機能を持つと理解すべきである。この原理が重要なのは、英文の形式性や書き手の意図を読み取る際に、省略の有無が手がかりとなるためである。省略と明示の選択は書き手の意識的・無意識的な判断の結果であり、その判断には「文章のジャンル」「想定される読者」「情報の重要度」「文のリズム」といった複数の要因が関わっている。

この原理から、省略の文体的効果を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では文章全体の形式性を確認する。学術論文や公式文書では関係代名詞が明示される傾向が強く、日常的な文章や物語では省略される傾向が強いことを確認することで、文体の判断材料が得られる。学術的文章では構造の明示性が求められるため、読者が文構造を誤認するリスクを最小化するために関係代名詞を明示する。一方、口語的文章では簡潔さとテンポが優先されるため、省略が好まれる。手順2では省略の有無が情報の重みに与える影響を判定する。関係代名詞が明示されている場合、関係詞節の情報が相対的に重要であることを書き手が示唆していると判定できる。明示された関係代名詞は読者の注意を関係詞節の始まりに向けるシグナルとして機能し、「ここからの情報に注意せよ」という暗黙のメッセージを伝える。手順3では省略と明示の切り替わりに注目する。同一文章内で省略と明示が混在している場合、明示された関係詞節の情報を書き手が特に強調していると判定できる。この切り替わりは意図的な文体的選択であることが多く、読解の際に注意すべき箇所の指標となる。

例1: The book I read was interesting.(省略あり・インフォーマル)
→ 省略により簡潔で口語的な印象。日常会話や軽い文章に適する。関係詞節の情報(I read)は背景的であり、文の焦点は述語interestingにある。省略によって文全体のテンポが速くなり、読者の注意はwas interestingに自然に向かう。

例2: The book which I read during my research was instrumental in shaping my thesis.(省略なし・フォーマル)
→ whichの明示により構造が明確。学術的な文章で関係詞節の情報の重要性を示している。which I read during my researchは「研究中に読んだ」という情報を強調しており、この本が研究のどの文脈で出会われたかが主張の論拠の一部となっている。明示された関係代名詞が読者の注意をこの情報に向けている。

例3: The person you should contact is the department chair.(省略あり)
→ 省略により直接的で簡潔。実用的な指示の文脈に適合。you should contactは連絡すべき相手を特定するための情報であるが、文のテンポとして素早く本題(department chair)に到達することが優先されている。指示・命令的な文脈では省略が自然。

例4: The evidence that the prosecution presented was insufficient.(省略なし)
→ thatの明示により、関係詞節の情報(検察が提示した)が証拠の特定に不可欠であることを構造的に明示している。法律的・公式的な文脈では、構造の曖昧さを排除するために関係代名詞を明示することが規範とされる。省略するとThe evidence the prosecution presented…となり、読みの開始時にevidenceとthe prosecutionの関係が一瞬不明確になるリスクがある。

例5: These are the files I need you to review before the meeting.(省略あり)
→ ビジネスメールなど半フォーマルな文脈での省略。I need you to reviewは指示の内容であり、簡潔さを優先して省略されている。before the meetingという時間制約が文末に置かれ、文全体が実務的なテンポで構成されている。

例6: The candidate whom the committee unanimously recommended has declined the offer.(省略なし)
→ whomの明示により、公式的・書き言葉的な文体が確立されている。whomの使用自体がフォーマルな文体の指標であり、日常的な文脈ではwho(またはwhomの省略)が使われるところをwhomにすることで、文章全体の格式を上げている。whom the committee unanimously recommendedは委員会の推薦過程を明示する情報であり、組織的な意思決定の文脈において重要度が高い。

以上により、関係代名詞の省略と明示が文体的効果と情報の重みにどのように影響するかを判定することが可能になる。

2. 制限用法と非制限用法の選択意図

書き手が制限用法と非制限用法のどちらを選択するかは、単に形式的な問題ではなく、読者に情報をどのように伝えたいかという伝達意図に基づいている。同じ内容でも用法を変えることで、情報の焦点や前提が変わり、読者の理解の仕方が異なってくる。書き手の選択意図を読み取ることは、文章の正確な理解に直結する。

制限用法と非制限用法の選択意図を読み取る能力によって、以下の能力が確立される。第一に、書き手が制限用法を選んだ理由(先行詞の限定が必要)を文脈から判断できるようになる。第二に、書き手が非制限用法を選んだ理由(補足情報の追加・説明の付加)を文脈から判断できるようになる。第三に、用法の選択が読者の理解にどう影響するかを具体的に説明できるようになる。第四に、入試問題で制限用法と非制限用法の違いが問われた際に、意味的差異を根拠として解答できるようになる。

制限用法と非制限用法の選択意図の理解は、談話層で長文における関係詞節の情報構造的役割を分析する際の基盤となる。

2.1. 用法選択が伝える書き手の意図

書き手が制限用法を選ぶか非制限用法を選ぶかには、二つの伝達意図がある。制限用法は「この関係詞節の情報がなければ先行詞が特定できない」という前提を読者に伝え、非制限用法は「先行詞は既に特定されているが、追加の情報を提供する」という前提を読者に伝える。この選択の違いを読み取れるかどうかが、文章の論理構造を把握する上で決定的に重要である。書き手は用法を選択する際に、読者が先行詞をどの程度認知しているか(共有知識の程度)を想定した上で判断を行っており、その想定を読み取ることが読解力の核心部分に当たる。

上記の定義から、用法選択の意図を判定する手順が論理的に導出される。手順1では書き手が先行詞をどの程度特定済みと考えているかを判定する。先行詞が読者にとって未知・不特定であれば制限用法を選ぶ意図があり、先行詞が読者にとって既知・特定済みであれば非制限用法を選ぶ意図があると判定できる。書き手が読者の知識状態をどう想定しているかが用法選択の根底にある。手順2では関係詞節の情報が文の主張にとって必須かどうかを判定する。主張の論拠として不可欠な情報であれば制限用法、背景情報や追加説明であれば非制限用法を書き手が意図的に選んでいると判定できる。制限用法の情報は主張を成立させる構造的役割を持ち、非制限用法の情報は主張を豊かにする補助的役割を持つ。手順3では同じ内容を別の用法で表現した場合の意味の変化を検討する。用法を入れ替えたときに文意がどう変わるかを具体的に分析することで、書き手の選択意図を明確に把握できる。この「入れ替えテスト」は入試でも頻出する問題形式であり、実践的な分析力が求められる。

例1: Students who submitted their papers on time received full credit.(制限用法)
→ 書き手の意図: 全学生ではなく「期限内に提出した」学生だけが満点を受けた。関係詞節の情報が対象の限定に不可欠。who節を非制限用法にすると「学生たちは(みな)期限内に提出したが、満点を受けた」となり、一部の学生だけが満点を受けたという含意が消失する。書き手は「期限内に提出しなかった学生は満点を受けなかった」という対比を暗示している。

例2: The students, who had been studying all night, passed the exam easily.(非制限用法)
→ 書き手の意図: 学生は文脈上特定済みで、「一晩中勉強していた」は補足情報。全員が試験に合格したことが主張の中心。who節を制限用法にするとThe students who had been studying all night passed the exam easily.となり、「一晩中勉強していた学生」だけが合格したことになり、他の学生(勉強しなかった学生)は合格しなかったかもしれないという含意が生じる。

例3: My brother who lives in Osaka visited me last week.(制限用法)
→ 書き手の意図: 兄弟が複数いることを前提に、「大阪に住んでいる」兄弟を特定。限定情報が不可欠。制限用法の選択自体が「話者には兄弟が複数いる」という前提を伝えている。この前提は明示的に述べられていないが、制限用法の使用から論理的に導出される。

例4: My brother, who lives in Osaka, visited me last week.(非制限用法)
→ 書き手の意図: 兄弟は一人(または文脈上特定済み)で、「大阪に住んでいる」は補足情報。主張の中心は「先週訪ねてきた」こと。非制限用法の選択が「話者には兄弟が一人」またはこの兄弟が文脈上すでに特定されているという前提を伝えている。例3と例4の対比は、用法の選択が書き手の前提を暗示する好例。

例5: The employees who completed the training were promoted.(制限用法)
→ 書き手の意図: 研修を修了した従業員だけが昇進した。関係詞節が昇進の条件を明示しており、修了しなかった従業員は昇進していないという対比が暗示されている。制限用法は「この条件を満たした人だけ」という排他的意味を生む。

例6: The employees, who had all completed the training, were promoted.(非制限用法)
→ 書き手の意図: 従業員全員が研修を修了済みであり、その上で昇進した。who節は研修修了が全員に共通する属性であることを補足している。非制限用法の選択とallの挿入により、「全員が」という前提が明確に伝えられている。例5と例6の対比は、同じ語彙(employees, training, promoted)であっても用法の選択によって文の意味が根本的に変わることを示している。

4つの例を通じて、制限用法と非制限用法の選択が書き手のどのような伝達意図を反映しているかを判定する実践方法が明らかになった。

3. 関係詞節の位置と情報の流れ

関係詞節は通常、先行詞の直後に置かれるが、関係詞節が長い場合や文の構造上の理由から、先行詞と関係詞節が離れる場合がある。関係詞節の位置は情報の提示順序と読みやすさに影響を与えるため、書き手が関係詞節をどこに配置したかを意識して読むことが、文意の正確な把握に寄与する。

関係詞節の位置と情報の流れの関係を理解する能力によって、以下の能力が確立される。第一に、先行詞と関係詞節が離れている場合にも両者の対応を正確に特定できるようになる。第二に、関係詞節の位置が読者にとっての情報処理にどう影響するかを理解できるようになる。第三に、文末に置かれた長い関係詞節と主節の関係を正確に把握できるようになる。第四に、関係詞節の配置の工夫を通じて書き手の伝達上の優先順位を読み取れるようになる。

関係詞節の位置と情報の流れの理解は、語用層の総括として、談話層での長文読解に必要な語用的分析能力を完成させる。

3.1. 先行詞と関係詞節の距離

「関係詞節は先行詞の直後に置く」と理解されがちである。しかし、この理解は実際の英文で先行詞と関係詞節が離れて配置される場合を説明できないという点で不十分である。学術的・本質的には、関係詞節の配置は「先行詞との近接性」と「文全体の情報の流れ」のバランスによって決定されると理解すべきである。先行詞の直後に長い関係詞節が入ると主節の動詞との距離が遠くなり、文の読みやすさが低下する場合に、関係詞節を文末に移動させることがある。この移動は英語の「文末重点の原則」(end-weight principle)に基づいており、長く重い要素を文末に置くことで文のバランスと読みやすさを確保する。また、「文末焦点の原則」(end-focus principle)により、新しい情報や重要な情報を文末に置くことで情報の伝達効果を高める効果もある。

この原理から、関係詞節の位置と情報の流れの関係を把握する手順が導かれる。手順1では関係詞節の先行詞を特定する。関係詞の前の名詞が先行詞であるか、より前方の名詞が先行詞であるかを、関係詞節の意味から判定することで、正確な修飾関係を確定できる。先行詞と関係詞節が離れている場合、関係詞節の意味内容と候補名詞の意味的適合性を検討することが先行詞特定の決め手となる。手順2では関係詞節の長さと主節の構造への影響を確認する。関係詞節が長い場合、主節の動詞との間に入ることで文の処理が困難になっていないかを確認することで、書き手の配置判断を理解できる。先行詞と主節の動詞の間に長い関係詞節が介入すると、読者は主節の主語と動詞の対応を見失うリスクがあるため、書き手はこのリスクを避けるために関係詞節を文末に移動させる。手順3では情報の新旧関係を確認する。旧情報(既知の情報)は文頭寄りに、新情報は文末寄りに配置される傾向があることを確認することで、関係詞節の位置の意図を把握できる。関係詞節が新しい重要な情報を含む場合、文末に置かれることでその情報が強調される。

例1: A letter arrived this morning that changed everything.
→ 先行詞letterとthat節が離れている。that節(that changed everything)が先行詞の直後に入るとA letter that changed everything arrived this morning.となり文法的には正しいが、主節のarrived this morningという情報がthat節の後に回ることで「手紙が来た」という出来事自体の報告が遅れる。元の語順では、まず「手紙が今朝届いた」という出来事を報告し、その後「すべてを変えた」という重要な新情報を文末焦点として提示している。読者にとってはサスペンス効果が生まれ、that changed everythingの衝撃が強調される。

例2: The time will come when you understand this decision.
→ 先行詞timeとwhen節が離れている。will comeを先行詞の直後に置くことで、まず「その時が来る」という主張を提示し、when節で「あなたがこの決断を理解する時」という新情報を文末に配置している。The time when you understand this decision will come.としても文法的には正しいが、主節の動詞will comeが文末に押しやられ、文全体のバランスが悪くなる。元の語順は文末重点の原則に従っている。

例3: Something happened yesterday that nobody expected.
→ 先行詞somethingとthat節が離れている。happened yesterdayを先に提示することで「昨日何かが起こった」という情報を先行させ、that nobody expected(誰も予期しなかった)を文末で明かすことでサスペンス効果を生んでいる。読者は「何が起こったのか」への関心を維持したまま文末に到達する。

例4: The proposal was rejected that had been under discussion for months.
→ 先行詞proposalとthat節が離れている。was rejectedという主節の核心情報を先に提示し、that had been under discussion for months(何か月も議論されていた)で背景情報を文末に補足している。主張の重点は「却下された」という結果にあり、議論の経緯は補助的情報であるため、文末に配置することで情報の優先順位が明確になる。

例5: An announcement was made today that will affect the entire industry.
→ 先行詞announcementとthat節が離れている。was made todayで「今日発表があった」という出来事を先行させ、that will affect the entire industry(業界全体に影響を与えるであろう)を文末焦点として配置している。この語順により「影響の大きさ」が文の最終印象として読者に残る。An announcement that will affect the entire industry was made today.としても文法的には正しいが、長いthat節がannouncementとwas madeの間に介入し、主節の骨格の把握が困難になる。

例6: A decision has been reached that will determine the future of the organization.
→ 先行詞decisionとthat節が離れている。has been reachedで「決定がなされた」という事実を先行させ、that will determine the future of the organization(組織の未来を決定するであろう)を文末に置くことで、決定の重大さが強調されている。文末重点の原則と文末焦点の原則の双方が作用しており、長いthat節を文末に移すことで文のバランスも確保されている。

以上により、関係詞節の位置が情報の流れと読みやすさにどう影響するかを把握し、先行詞と関係詞節が離れている場合にも正確に修飾関係を特定することが可能になる。

談話:長文における関係詞節の情報構造的役割

段落や文章全体の中で関係詞節がどのような機能を果たしているかを理解できなければ、個々の文の構造分析はできても、文章全体の論理展開や筆者の主張を正確に追跡することは困難である。長文読解では、関係詞節が論点の限定に使われているのか、背景説明に使われているのか、論拠の提示に使われているのかを判断する必要がある。語用層で確立した伝達効果の分析力が前提として求められる。関係詞節の談話的機能の類型化、複数の関係詞節が連続する構造の処理、関係詞節の入れ子構造の分析を扱う。本層で確立した能力は、入試の長文読解において複雑な関係詞節を含む文を迅速かつ正確に処理する力として発揮される。

【関連項目】

[基盤 M51-談話]
└ 関係詞節の情報が主題文の支持にどう機能するかを理解する

[基盤 M52-談話]
└ 関係詞による照応が文章の結束性にどう寄与するかを確認する

1. 関係詞節の談話的機能

長文の中で関係詞節は様々な機能を果たしている。ある関係詞節は論点の対象を限定するために使われ、別の関係詞節は読者に背景知識を提供するために使われ、さらに別の関係詞節は筆者の主張の論拠を示すために使われている。これらの機能を区別できることは、長文の論理展開を追跡する上で不可欠である。

関係詞節の談話的機能を判定する能力によって、以下の能力が確立される。第一に、関係詞節が「論点の限定」「背景情報の提供」「論拠の提示」「例示の導入」のいずれの機能を果たしているかを判定できるようになる。第二に、関係詞節の談話的機能から、その文が段落全体で果たす役割を推測できるようになる。第三に、制限用法の関係詞節が議論の焦点を絞る機能を持つことを長文の文脈で実践的に判断できるようになる。第四に、非制限用法の関係詞節が論理の流れを中断せずに情報を補足する機能を持つことを長文の文脈で判断できるようになる。

関係詞節の談話的機能の理解は、次の記事の複雑な関係詞節構造の処理、さらに談話層全体の総括へと直結する。

1.1. 談話的機能の四類型

関係詞節は「名詞を修飾する節」として一律に扱われがちである。しかし、この理解は長文の中で関係詞節が果たす多様な役割を区別できないという点で不十分である。学術的・本質的には、関係詞節の談話的機能は「論点限定型」「背景提供型」「論拠提示型」「例示導入型」の四つに分類でき、この分類に基づいて関係詞節を処理することで、長文の論理展開を効率的に追跡できる。この四類型は、制限用法/非制限用法の区別と、関係詞節の内容と主節の主張との関係という二つの軸の組み合わせから導出される。論点限定型は制限用法で主張の対象を絞る機能、背景提供型は非制限用法で主張と直接の論理関係がない情報を補足する機能、論拠提示型は非制限用法で主張を支える根拠を提示する機能、例示導入型は制限用法または非制限用法で具体例を導入する枠組みを提供する機能を持つ。

この原理から、関係詞節の談話的機能を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では関係詞節の用法を確認する。制限用法であれば論点限定型の可能性が高く、非制限用法であれば背景提供型・論拠提示型・例示導入型の可能性が高いと判定することで、機能の候補を絞り込める。ただし、制限用法が例示導入型として機能する場合もあるため、用法だけで最終判定はできない。手順2では関係詞節の内容と文の主張との関係を確認する。関係詞節の情報が主張の対象を限定していれば論点限定型、主張を支える根拠であれば論拠提示型、具体例を導入していれば例示導入型、主張と直接の論理関係がなければ背景提供型と判定できる。この判定は関係詞節の内容を主節の主張と照合する作業であり、段落全体の論理構造の把握につながる。手順3では段落全体における位置づけを確認する。段落の冒頭で論点を絞る関係詞節か、展開部で論拠を示す関係詞節か、末尾で例示を加える関係詞節かを確認することで、談話的機能を最終確定できる。段落内の位置と機能には一定の相関があり、冒頭の関係詞節は論点限定型であることが多く、展開部は論拠提示型・背景提供型、末尾は例示導入型であることが多い。

例1: The policies that directly affect small businesses deserve immediate attention.(論点限定型)
→ 制限用法のthat節が「政策」の対象を「中小企業に直接影響する」ものに限定している。段落の冒頭に置かれ、以降の議論の範囲を「中小企業に直接影響する政策」に絞り込む機能を果たしている。that節がなければ「政策は即座の注意に値する」となり、どの政策かが不明確で議論の焦点が定まらない。論点限定型の関係詞節は、段落の主題文に含まれることが多く、段落全体の議論の方向性を決定する役割を持つ。

例2: The new regulation, which was introduced in response to public demand, has reduced pollution levels by 20%.(背景提供型)
→ 非制限用法のwhich節が規制の導入背景(世論の要求に応じて導入された)を補足している。主張は「汚染水準の20%削減」であり、which節は主張と直接の論理関係にあるわけではなく、規制がどのような経緯で導入されたかという背景情報を提供している。背景提供型の関係詞節は、読者の理解を助けるが、その関係詞節がなくても主張自体は成立する。段落の展開部に位置し、主張の文脈を豊かにする機能を持つ。

例3: Solar panels, which convert sunlight directly into electricity, offer a viable alternative to fossil fuels.(論拠提示型)
→ 非制限用法のwhich節が太陽光パネルの機能(太陽光を直接電気に変換する)を説明している。この情報が「化石燃料の代替となりうる」という主張の論拠として機能している。なぜ太陽光パネルが代替になりうるのかを、which節の情報が裏づけている。論拠提示型の関係詞節は、主張の説得力を高める機能を持ち、which節の情報を取り除くと主張の根拠が弱まる。背景提供型との違いは、関係詞節の情報が主張を支える論理的な根拠になっているかどうかにある。

例4: Countries that have invested heavily in education, such as Finland and South Korea, consistently rank high in international assessments.(例示導入型)
→ 制限用法のthat節が対象を「教育に多額の投資をした」国に限定しつつ、such as以下で具体例(フィンランド、韓国)を導入している。関係詞節が例示の枠組み(どのような国かを限定)を提供し、具体的な国名がその枠組みに当てはまる例として提示されている。例示導入型の関係詞節は、一般的な主張と具体例を橋渡しする機能を持つ。

例5: The study, which involved over 10,000 participants, found a significant correlation between sleep quality and academic performance.(論拠提示型)
→ 非制限用法のwhich節が研究の規模(10,000人以上の参加者)を提示している。この情報は研究結果の信頼性を裏づける論拠として機能している。which節がなくても「有意な相関が見つかった」という主張は成立するが、which節の情報が研究の規模を示すことで主張の説得力が増している。規模の大きさが統計的信頼性の根拠となるため、背景提供型ではなく論拠提示型と判定される。

例6: The regions that experience extreme weather events, including coastal areas and arid zones, face the greatest economic challenges.(例示導入型)
→ 制限用法のthat節が「極端な気象現象を経験する」地域に対象を限定し、including以下で具体的な地域種(沿岸地域、乾燥地帯)を例示として導入している。例4と同様に、関係詞節が一般的な特徴づけを行い、具体的な例がその枠組みに位置づけられる構造。段落の中で一般論から具体論への移行を促進する機能を持つ。

以上により、関係詞節が長文の中で果たす談話的機能を四類型に基づいて判定し、論理展開の追跡に活用することが可能になる。

2. 複数の関係詞節を含む文の処理

長文読解では、一つの文に複数の関係詞節が含まれている場合が頻繁にある。複数の関係詞節がそれぞれ異なる先行詞を修飾している場合、同一の先行詞に対して重ねて情報を付与している場合、関係詞節の中にさらに別の関係詞節が入れ子になっている場合がある。これらの構造を正確に処理するには、統語層・意味層・語用層の知識を統合した段階的な分析が必要である。

複数の関係詞節を含む文の処理能力によって、以下の能力が確立される。第一に、一つの文に含まれる複数の関係詞節の先行詞をそれぞれ正確に特定できるようになる。第二に、関係詞節同士の関係(並列・入れ子・独立修飾)を判定できるようになる。第三に、複数の関係詞節を含む長い文の骨格を効率的に把握できるようになる。第四に、入れ子構造の関係詞節を内側から順に分析する処理手順を習得できるようになる。

複数の関係詞節を含む文の処理能力は、談話層の総括として、入試長文における複雑な文を迅速に処理する力を完成させる。

2.1. 段階的分析の手順

複数の関係詞節を含む文は「難しい文」として回避されがちである。しかし、この態度は複数の関係詞節もそれぞれが独立した修飾構造であり、一つずつ分析すれば必ず解読できるという原理を見落としている。学術的・本質的には、複数の関係詞節を含む文の処理は「内側から外側へ」「一つずつ順に」という段階的分析によって確実に行えると理解すべきである。この段階的分析が有効なのは、入れ子構造の場合、最も内側の関係詞節が最も小さな修飾単位であり、その範囲を先に確定することで外側の関係詞節の範囲も自動的に確定されるためである。複数の関係詞節が並列的に配置されている場合は、それぞれの先行詞を個別に特定し、修飾関係を一つずつ確認することで文全体の構造が明らかになる。

この原理から、複数の関係詞節を段階的に分析する手順が導かれる。手順1では文中のすべての関係詞(who, which, that, where, whenなど)を特定する。関係詞の数だけ関係詞節が存在することを確認することで、分析すべき対象を把握できる。この段階では関係詞を見つけることに集中し、各関係詞節の分析は後の手順で行う。手順2では各関係詞の先行詞を特定する。各関係詞の直前の名詞、または文脈上対応する名詞を特定することで、それぞれの修飾関係を確定できる。先行詞の特定には関係詞節の意味内容との適合性を検討することが有効であり、直前の名詞が先行詞とは限らない場合にも注意が必要である。手順3では各関係詞節の範囲を個別に確定し、節を括弧で囲む。入れ子構造の場合は最も内側の関係詞節から先に範囲を確定し、順に外側へ進むことで、複雑な構造を段階的に解きほぐすことができる。括弧で囲むという物理的な操作は、関係詞節の範囲を視覚的に明確にし、主節の骨格を浮かび上がらせる効果がある。

例1: The author who wrote the book that became a bestseller is giving a lecture.
→ 関係詞: who, that。まず内側のthat節を分析する。thatの先行詞はbook、that節の範囲はthat became a bestseller(becameは自動詞的用法、a bestsellerが補語、節は完結)。次に外側のwho節を分析する。whoの先行詞はauthor、who節の範囲はwho wrote the book that became a bestseller(wroteは他動詞、the book that became a bestsellerが目的語)。主節の骨格はThe author is giving a lecture。二つの関係詞節は入れ子構造であり、that節がwho節の内部に含まれている。

例2: The school where I studied, which has since been renovated, holds many memories.
→ 関係詞: where, which。where節の範囲はwhere I studied(I studiedはS+Vで完全、whereは副詞的要素、制限用法でschoolを限定)。which節の範囲はwhich has since been renovated(非制限用法、コンマあり、schoolに補足情報を追加)。二つの関係詞節は同一の先行詞schoolに対して独立に修飾しているが、where節が制限的に限定し、which節が非制限的に補足するという異なる機能を持つ。主節の骨格はThe school holds many memories。

例3: The company that hired the engineer who designed the bridge won the contract.
→ 関係詞: that, who。まず内側のwho節を分析する。whoの先行詞はengineer、who節の範囲はwho designed the bridge。次に外側のthat節を分析する。thatの先行詞はcompany、that節の範囲はthat hired the engineer who designed the bridge(hiredは他動詞、the engineer who designed the bridgeが目的語)。主節の骨格はThe company won the contract。入れ子構造であり、who節がthat節の内部に含まれている。

例4: The theory that explains the phenomenon that scientists observed last year has been published.
→ 関係詞: that(1つ目), that(2つ目)。まず内側の2つ目のthat節を分析する。2つ目のthatの先行詞はphenomenon、that節の範囲はthat scientists observed last year(scientistsが主語、observedが動詞、thatが目的語、last yearが副詞句)。次に外側の1つ目のthat節を分析する。1つ目のthatの先行詞はtheory、that節の範囲はthat explains the phenomenon that scientists observed last year(thatが主語、explainsが動詞、the phenomenon that scientists observed last yearが目的語)。主節の骨格はThe theory has been published。入れ子構造であり、2つ目のthat節が1つ目のthat節の内部に含まれている。

例5: The professor who teaches the course that I enrolled in last semester has written a textbook which is widely used.
→ 関係詞: who, that, which。最も内側から分析する。that節: thatの先行詞はcourse、that I enrolled in last semester(enrollは自動詞、inの目的語がthat、last semesterは副詞句)。who節: whoの先行詞はprofessor、who teaches the course that I enrolled in last semester(teachesは他動詞、the course that…が目的語)。which節: whichの先行詞はtextbook、which is widely used(isは動詞、widely usedが補語)。主節の骨格はThe professor has written a textbook。who節とwhich節は独立した修飾構造であり、that節がwho節の内部に含まれる入れ子構造。

例6: The data that the researchers collected from the patients who participated in the trial suggest a new treatment approach.
→ 関係詞: that, who。内側のwho節から分析する。whoの先行詞はpatients、who participated in the trial(participatedは自動詞、in the trialは前置詞句)。外側のthat節: thatの先行詞はdata、that the researchers collected from the patients who participated in the trial(the researchersが主語、collectedが動詞、thatが目的語、from the patients who participated in the trialは前置詞句)。主節の骨格はThe data suggest a new treatment approach。who節がthat節の内部(前置詞fromの目的語patientsを修飾する関係詞節として)に含まれる入れ子構造。

以上により、複数の関係詞節を含む文を段階的に分析し、各関係詞節の先行詞・範囲・修飾関係を正確に特定することが可能になる。

3. 関係詞節を含む長文の読解戦略

入試の長文では、関係詞節を含む文が連続して現れ、段落全体の論理展開を構成している。個々の関係詞節の分析ができても、それを段落・文章レベルの読解に統合できなければ、設問に正確に解答することは困難である。長文の中で関係詞節をどの程度の精密さで分析すべきかを判断する能力、つまり「精読すべき関係詞節」と「概要把握で十分な関係詞節」を区別する能力が求められる。

関係詞節を含む長文の読解戦略を習得する能力によって、以下の能力が確立される。第一に、長文の中で設問に関わる関係詞節と関わらない関係詞節を区別できるようになる。第二に、制限用法の関係詞節を論点の把握に活用し、非制限用法の関係詞節を補足情報として処理する読解戦略を実行できるようになる。第三に、複雑な関係詞節を含む文が出現しても、文章全体の論理展開を見失わずに読み進められるようになる。第四に、関係詞節に関する設問(指示対象の特定・用法の判別・意味の把握)に根拠を持って解答できるようになる。

関係詞節を含む長文の読解戦略は、本モジュールの最終記事として、統語層・意味層・語用層・談話層の全ての知識を統合した実践的能力を完成させる。

3.1. 読解における関係詞節の処理優先度

関係詞節を含む長文を効率的に読解するには、すべての関係詞節を同じ精密さで分析するのではなく、文章の理解にとっての重要度に応じて処理の精密さを調整する必要がある。この処理優先度の判断こそが、制限時間のある入試での実践的な読解力を支える。関係詞節の処理に費やす時間と注意力は有限であるため、「すべてを均等に精読する」というアプローチは非効率的であり、優先度に基づく戦略的な読解が求められる。

この原理から、関係詞節の処理優先度を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では関係詞節の用法を瞬時に判別する。制限用法であれば主張の理解に直結する可能性が高いため精読の対象とし、非制限用法であればまず括弧に入れて主節の把握を優先することで、読解の効率を高められる。制限用法は先行詞の指示対象を限定する必須情報であるため、この情報を見落とすと文の主張自体を誤解するリスクがある。一方、非制限用法は補足情報であり、主節の把握が先行する方が効率的である。手順2では設問との関連を確認する。設問で言及されている名詞を先行詞とする関係詞節は精読が不可欠であり、設問と無関係な関係詞節は概要把握で十分と判定することで、時間配分を最適化できる。設問を先に確認してから本文を読む戦略を取る場合、設問のキーワードと関係詞節の先行詞の照合が処理優先度の判断に直結する。手順3では段落の主張への寄与度を判定する。主題文に含まれる関係詞節は段落全体の理解に直結するため優先的に分析し、支持文の補足的関係詞節は必要に応じて参照すると判定することで、論理展開の追跡を効率化できる。主題文は段落の冒頭または末尾に位置することが多く、そこに含まれる関係詞節は段落全体のテーマを設定する機能を持つため、高い処理優先度を割り当てるべきである。

例1: The researchers who conducted the study argue that…(主題文・制限用法)
→ 処理優先度: 高。主題文に含まれ、who節が「どの研究者か」を限定。段落全体の主張の理解に直結する。who節の情報(「この研究を実施した」研究者)が段落の議論の出発点を設定しており、この限定を見落とすと「すべての研究者が主張している」と誤解するリスクがある。精読が必要。

例2: The data, which were collected over a five-year period, suggest a clear trend.(支持文・非制限用法)
→ 処理優先度: 中。which節は補足情報(データの収集期間)。主節のsuggest a clear trendが段落の論証において重要な支持情報である。which節はデータの信頼性を裏づける背景情報として機能しているが、まず主節を把握してから必要に応じて参照するのが効率的。設問で「データの収集期間」が問われている場合は処理優先度が高に変わる。

例3: Participants who reported high levels of stress showed significantly lower performance.(論拠提示文・制限用法)
→ 処理優先度: 高。who節が対象を「高いストレスを報告した」参加者に限定しており、この限定が実験結果の解釈に不可欠。who節を見落とすと「参加者全員のパフォーマンスが低かった」と誤解する。実験研究を扱う段落では、対象の限定(who, that)が結果の解釈を左右するため、制限用法の関係詞節の精読が特に重要。

例4: The museum, which was established in 1920, houses over 10,000 artifacts.(背景情報・非制限用法)
→ 処理優先度: 低。which節は博物館の設立年という背景情報であり、段落の主張とは直接関わらない。主節のhouses over 10,000 artifactsが段落の論点に関わる情報である。which節は概要把握(「1920年設立の博物館」程度の認識)で十分であり、精読に時間を割く必要はない。ただし、「歴史」に関する設問がある場合は処理優先度が上がる。

例5: The policy that the government implemented in 2019 has produced measurable results.(設問関連・制限用法)
→ 処理優先度: 高(設問で「政策の内容」が問われている場合)。that節が「政府が2019年に実施した」政策に限定しており、この限定が設問の解答に直結する。設問との関連が確認された関係詞節は、用法(制限/非制限)にかかわらず精読の対象となる。

例6: The global population, which is expected to reach 10 billion by 2050, will place increasing pressure on food systems.(支持文・非制限用法)
→ 処理優先度: 中〜低。which節は世界人口の将来予測という補足情報。主節の「食料システムへの圧力増大」が段落の主張に直結する。which節の情報は主張の背景として参考になるが、主節の把握を優先すべきである。設問で「人口予測の数値」が問われている場合は処理優先度が高に変わる。

以上の適用を通じて、関係詞節の処理優先度を判断し、長文読解の効率と正確性を両立させる読解戦略を習得できる。

このモジュールのまとめ

このモジュールでは、関係代名詞の節内機能の判定という統語層の理解から出発し、意味層における制限用法と非制限用法の意味的差異の分析、語用層における書き手の表現選択の意図の読み取り、談話層における長文での関係詞節の情報構造的役割の把握という四つの層を体系的に学習した。これらの層は、統語的構造の把握が意味分析を可能にし、意味分析が語用的判断を支え、語用的判断が談話レベルの読解を実現するという階層的な関係にある。

統語層では、関係代名詞の格と節内機能の対応、関係副詞の節内での副詞的機能、thatの多機能性の判定手順、関係詞節の範囲確定方法、関係詞の省略条件という五つの側面から、関係詞節の構造を正確に把握する能力を確立した。関係代名詞が節内で主語・目的語・所有格のいずれとして機能しているかを直後の構造から判定する手順、関係副詞が節内で文法的に完全な構造を残すという特徴を利用した関係代名詞との判別基準、thatの前後の構造から関係代名詞・接続詞・同格のthatを区別する手順を習得した。

意味層では、制限用法が先行詞の指示対象を限定する不可欠な情報を提供し、非制限用法が先行詞への補足的情報を追加するという両者の情報的機能の質的差異を明確にし、関係副詞が場所・時・理由・方法の標準的意味カテゴリから抽象的な「状況」「場合」への拡張用法を持つことを学んだ。さらに、先行詞の性質(総称名詞・特定名詞・固有名詞・代名詞・抽象名詞)と関係詞節の用法の組み合わせから、関係詞節の情報的役割を「部分集合の切り出し」「特定対象の識別」「属性の補足」「内容の説明」「評価・コメントの追加」という複数の類型に分類する枠組みを確立した。これらの知識を統合して、関係詞節の用法判別と意味カテゴリ判定を同時に行う総合判定の手順を確立した。

語用層では、関係代名詞の省略と明示が文体的効果や情報の重みに影響を与えること、制限用法と非制限用法の選択が書き手の伝達意図を反映していること、関係詞節の位置が情報の流れと読みやすさに影響を与えることを学んだ。これらの語用的知識により、書き手がなぜその関係詞を選択し、なぜその用法で表現したのかという意図を文脈から読み取る能力を確立した。

談話層では、関係詞節の談話的機能を論点限定型・背景提供型・論拠提示型・例示導入型の四類型に分類する枠組み、複数の関係詞節を含む文を「内側から外側へ」の段階的分析で処理する手順、関係詞節の処理優先度を判断して長文読解の効率と正確性を両立させる読解戦略を確立した。

これらの能力を統合することで、関係詞節を含むあらゆる構造の英文を統語・意味・語用・談話の四つの観点から正確に分析し、入試の長文読解において複雑な関係詞節を含む文を迅速かつ的確に処理することが可能になる。このモジュールで確立した原理と技術は、後続のモジュールで学ぶ仮定法の基本的意味や比較表現の基本的意味など、節構造を含むより高度な文法事項の理解の基盤となる。

目次