不定詞:句構造と意味機能

当ページのリンクには広告が含まれています。
  • 本記事は生成AIを用いて作成しています。内容の正確性には配慮していますが、保証はいたしかねますので、複数の情報源をご確認のうえ、ご判断ください。

本講義(不定詞:句構造と意味機能)の概要

本講義は、Module 2「複合構文と意味構造の分析」の出発点として、英語の準動詞の中でも極めて重要な「不定詞(Infinitive)」の構造と機能について徹底的に解説します。不定詞は、to + 動詞の原形 という基本的な形をとりながら、文中で名詞、形容詞、副詞として振る舞うことができる非常に柔軟な文法要素です。この多機能性こそが、英語の表現力を豊かにし、複雑な思考を可能にする鍵となります。難関大学入試で要求される高度な英文読解力・作文力を養成するためには、この不定詞の仕組みを根本から理解することが不可欠です。本講義では、まず不定詞を含む準動詞の概念を確認し、不定詞句の内部構造(意味上の主語、時制、態)を詳細に分析します。次に、不定詞の三大用法とされる名詞的用法(主語・目的語・補語機能)、形容詞的用法(名詞修飾機能)、副詞的用法(目的・結果・原因・理由・程度などの修飾機能)を、豊富な例文と共に体系的に整理します。It is…to do 構文、疑問詞 + to不定詞、be to 不定詞、使役・知覚動詞に伴う原形不定詞、too…to do / …enough to do 構文など、不定詞を用いた重要表現や構文も網羅的に扱います。さらに、不定詞と他の文法項目(特に動名詞)との関連性や、実際の読解・作文における活用法についても考察し、知識の応用力を高めます。Module 1で培った基本文構造の知識を土台に、不定詞という強力なツールを自在に使いこなすための理論的基盤を構築し、続く演習編での実践に備えましょう。

目次

1. 不定詞の基礎:準動詞としての役割と形態

1.1. 準動詞とは? – 動詞の変身

  • 動詞由来の多機能パーツ: 英語の動詞は、文の中心で述語として機能するだけでなく、形を変えることで名詞や形容詞、副詞のような働きをすることがあります。このように、動詞としての性質(目的語をとる、副詞で修飾されるなど)を部分的に保持しながら、他の品詞の役割を果たすものを準動詞 (Verbals / Non-finite Verbs) と呼びます。不定詞 (Infinitive)、動名詞 (Gerund)、分詞 (Participle) の3種類が代表的です。
  • 定形動詞との違い: 文の主語や時制によって形が変わる動詞を定形動詞 (Finite Verbs) と呼びます(例: gogoeswent)。一方、準動詞は主語の人称や数、時制による形の変化を受けません(例: to gogoinggone は主語や時制が変わっても基本的にこの形)。これが Non-finite (限定されない) と呼ばれる所以です。
  • 表現の効率化: 準動詞、特に不定詞を使うことで、より複雑な内容を簡潔な構文の中に埋め込むことが可能になります。例えば、「彼が成功することを私は望む」を I hope that he will succeed. と言う代わりに、I hope **to succeed**. (もし主語が同じなら) や I hope **for him to succeed**. と表現でき、より経済的です。

1.2. 不定詞の基本形 (to + 動詞原形) と原形不定詞

  • 標準形: 不定詞の最も一般的な形は、to + 動詞の原形 (base form) です。この to は、しばしば未来志向、目的、方向性といったニュアンスを含意し、不定詞の意味機能と深く関わっています。歴史的には前置詞の to (方向を示す) から発展したと考えられています。
    • 例: to speakto listento beto have
  • 原形不定詞 (Bare Infinitive): 特定の文脈、特に使役動詞 (makehavelet) や知覚動詞 (seehearfeel など) の後では、この to が省略され、動詞の原形だけが用いられます。これも文法機能としては不定詞の一種です。
    • 例: I heard him speak English fluently. (彼が流暢に英語を話すのを聞いた) – speak は原形不定詞。
  • 前置詞 to との区別: 不定詞の to と、場所や方向を示す前置詞の to は形が同じですが、機能は全く異なります。前置詞の後には名詞または名詞相当語句(動名詞など)が続きます。
    • 例: I am used to getting up early. (早起きには慣れている) – この to は前置詞なので後ろは動名詞。
    • 例: We went to the park. (私たちは公園へ行った) – この to は前置詞。

1.3. なぜ不定詞が重要か? – 文構造の拡張

  • 文法的多機能性: 不定詞句は、文中で主語、目的語、補語 (名詞的用法)、名詞修飾語 (形容詞的用法)、動詞・形容詞・副詞・文全体の修飾語 (副詞的用法) として機能します。一つの形式がこれほど多様な役割を担えるため、マスターすれば表現の幅が格段に広がります。
  • 意味の多様性: 特に副詞的用法では、目的、結果、原因・理由、条件、程度、判断の根拠など、文脈に様々な意味合いを付け加えることができます。これにより、より細やかなニュアンスや論理関係を表現することが可能になります。
  • 必須構文の構成要素: 英語には不定詞を用いた重要な構文 (It is ... to dotoo ... to do... enough to doSVO to doS be to do など) が数多く存在し、これらは日常会話から学術的な文章まで、あらゆるレベルの英語で頻繁に使用されます。これらを理解せずして英語を深く理解することは困難です。
  • 語彙力との相乗効果: 特定の動詞 (wantdecidepromise など) や形容詞 (eagerreadydifficult など) は不定詞と結びつきやすい性質があります。単語を覚える際に、こうした語法(コロケーション)も一緒に学ぶことで、より自然で正確な英語運用が可能になります。

1.4. Module 1の知識との関連性

  • 文型理解の深化: Module 1で学んだ基本5文型 (SV, SVC, SVO, SVOO, SVOC) は、不定詞句が文のどの位置 (S, O, C, M) に組み込まれるかを理解するための基礎となります。例えば、名詞的用法の不定詞は S, O, C の位置に、形容詞的用法は名詞の後ろに、副詞的用法は M (修飾語) の位置に現れます。
  • 品詞知識の活用: 不定詞句の内部構造を理解する上で、品詞の知識が役立ちます。不定詞の核となる動詞が他動詞であれば目的語を伴い、形容詞や副詞によって修飾されることもあります。
  • 構成素と階層構造: Module 1の最後で触れた「構成素(句・節)」と「階層構造」の概念は、不定詞句が文の中でどのように位置づけられ、他の要素と組み合わさっているかを理解する上で重要です。不定詞句は、それ自体が一つの構成素として機能します。

2. 不定詞句の詳細:構造要素の分析

不定詞 (to + 動詞原形) は、単独で使われることもありますが、多くの場合、目的語、補語、修飾語などを伴って不定詞句 (Infinitive Phrase) という、より大きな意味の塊を形成します。

2.1. 不定詞句の内部構造:核となる動詞とその付随要素

  • 構造: 不定詞句は、典型的には以下のような要素から構成されます。 (意味上の主語) + to + 動詞原形 + (目的語 / 補語 / 副詞(句・節))
  • 動詞の性質の継承: 不定詞句の内部構造は、核となる動詞の性質を受け継ぎます。
    • 他動詞: 目的語を伴う → to read **a book**to solve **the problem**
    • SVCをとる動詞: 補語を伴う → to be **a teacher**to seem **happy**
    • SVOOをとる動詞: 間接目的語・直接目的語を伴うことがある → to give **him** **a chance**
    • SVOCをとる動詞: 目的語・補語を伴うことがある → to make **her** **angry** (ただし、この形の不定詞句は限定的)
    • 副詞による修飾: 副詞(句)によって修飾される → to speak **loudly**to arrive **early**

2.2. 動作主の明示:不定詞の意味上の主語 (for O / of O)

  • 意味上の主語とは: 不定詞が表す動作や状態を行う主体(動作主)を意味上の主語 (Subject of the Infinitive) と呼びます。文脈から明らかな場合や、文の主語・目的語と一致する場合は、通常明示されません。
    • 例: I decided to leave. (私が去ることを決めた) – to leave の意味上の主語は I (文の主語)。
    • 例: He asked me to help him. (彼は私に手伝ってくれるよう頼んだ) – to help の意味上の主語は me(文の目的語)。
    • 例: To travel broadens the mind. (旅をすることは心を広げる) – 一般的な人を指すため明示不要。
  • for O による明示: 意味上の主語を特定して示す必要がある場合、不定詞の直前に for + 目的格 (O) を置くのが一般的です。
    • 例: It is important for students to review their lessons regularly. (生徒が定期的に授業を復習することは重要だ)
    • 例: This is a good opportunity for you to show your talent. (これはあなたが才能を示す良い機会だ)
    • 例: He waited for her to speak. (彼は彼女が話すのを待った)
  • of O による明示: 不定詞を含む構文(特に It is ... to do)で、It is の後に人の性質や性格を表す形容詞(kindnicegoodwisefoolishclevercarelessrudepolitegenerous など) が来る場合に限り、意味上の主語は of + 目的格 (O) で示されます。これは、「~するとは(あなたは)親切だ」のように、意味上の主語がその性質を持っている、というニュアンスを表すためです。
    • 例: It was kind of him to carry my heavy bag. (私の重い鞄を運んでくれるなんて、彼は親切だった)
    • 例: How foolish of me to forget her birthday! (彼女の誕生日を忘れるなんて、私はなんて愚かなんだ!)
    • 注意: 物事の性質を表す形容詞 (importantnecessarydifficulteasypossibledangerous など) の場合は for O を用います。

2.3. 時間関係の表現:不定詞の時制(単純形 vs 完了形)

  • 相対的な時: 不定詞自体に絶対的な時制はありません。不定詞が示す動作や状態の時は、文の主節の述語動詞が示す時との相対的な関係によって示されます。
  • 単純不定詞 (Simple Infinitive: to do):
    • to + 動詞原形
    • : 主節の述語動詞と同時、またはそれより未来の時を表します。
      • 同時: She seems to know the truth. (彼女は真実を知っているようだ) – seems (現在) と know(現在) が同時。
      • 同時: She seemed to know the truth. (彼女は真実を知っているようだった) – seemed (過去) と know (過去) が同時。
      • 未来: I plan to visit Kyoto next month. (来月京都を訪れる計画だ) – plan (現在) より未来の visit
      • 未来: He promised to come back soon. (彼はすぐに戻ると約束した) – promised (過去) より (その時点から見て) 未来の come
  • 完了不定詞 (Perfect Infinitive: to have done):
    • to + have + 過去分詞
    • : 主節の述語動詞よりも前の時 (過去または大過去) を表します。
      • 主節現在 → 不定詞過去: He seems to have finished his homework. (彼は宿題を終えたようだ) – seems (現在) より前の have finished (過去)。
      • 主節過去 → 不定詞大過去: He seemed to have finished his homework. (彼は宿題を終えていたようだった) – seemed (過去) より前の have finished (大過去)。
      • 過去における未実現の意図・願望hopeexpectintendwantmean などの過去形に完了不定詞が続くと、「~したかった(が実際はしなかった/できなかった)」という含みを表すことがあります。
        • 例: I had hoped to have met the president, but he was too busy. (大統領にお会いしたかったのですが、彼は多忙すぎました)

2.4. 視点の転換:不定詞の態(能動態 vs 受動態)

  • 動作の受け手・主体: 不定詞の意味上の主語が、不定詞の表す動作を「する」側(能動)か、「される」側(受動)かによって、不定詞の形が変わります。
  • 能動態 (Active Infinitive):
    • 単純形: to do (~すること、~するための)
    • 完了形: to have done (~したこと、~したための)
    • 例: She wants to buy a new dress. (彼女は新しいドレスを買いたがっている) – 彼女が買う(能動)。
    • 例: He claims to have seen a UFO. (彼はUFOを見たと主張している) – 彼が見た(能動)、主張するより前の時。
  • 受動態 (Passive Infinitive):
    • 単純形: to be done (~されること、~されるべき)
    • 完了形: to have been done (~されたこと、~されたはずの)
    • 例: This room needs to be cleaned. (この部屋は掃除される必要がある) – 部屋が掃除される(受動)。
    • 例: There is a lot of work to be done today. (今日なされるべき仕事がたくさんある) – 仕事がなされる(受動)。
    • 例: The bridge is reported to have been damaged by the earthquake. (その橋は地震によって損害を受けたと報じられている) – 橋が損害を受けた(受動)、報じられているより前の時。
    • 例: He felt honored to have been chosen for the team. (彼はチームに選ばれたことを光栄に感じた) – 彼が選ばれた(受動)、感じたより前の時。

3. 文の中心要素として:不定詞の名詞的用法

不定詞句が文中で名詞と同じように、主語 (S)、目的語 (O)、補語 (C) の役割を果たす用法です。「~すること」と訳されるのが基本です。

3.1. 主語(S) として機能する不定詞句

  • 文の主題: 不定詞句が文全体の主語となります。ただし、長い不定詞句を文頭に置くのはやや硬い響きがあり、日常会話では形式主語 It を用いる方が一般的です。
    • 例: To master a skill takes time and effort. (技術を習得することは時間と努力を要する) – To master a skill が主語S。
    • 例: To forgive is divine. (許すことは神聖である) – 格言など。
    • 例: Not to know is bad; not to wish to know is worse. (知らないことは悪い、知ろうと望まないことはさらに悪い) – 否定形も主語になれる。

3.2. 他動詞の目的語(O) として機能する不定詞句

  • 動詞の対象: 特定の他動詞の後ろに置かれ、その動詞の目的語として機能します。未来志向 (wanthopeplandecidepromise)、思考・学習 (learnforget)、試み (tryattempt) などを表す動詞が多く見られます。
    • 例: We decided to start early. (私たちは早く出発することに決めた) – decided (V) の目的語O。
    • 例: I forgot to bring my wallet. (財布を持ってくるのを忘れた) – forgot (V) の目的語O。(forget doingは「~したことを忘れる」)
    • 例: She managed to solve the difficult puzzle. (彼女はその難しいパズルをなんとか解くことができた) – managed (V) の目的語O。
    • 注意enjoyfinishavoidmind などは動名詞のみを目的語にとります。likestartcontinue などは両方とれます(意味の違いは少ないことが多い)。この使い分けは非常に重要です(後述 8.1)。

3.3. 補語(C) として機能する不定詞句 (SVC/SVOC)

  • 主格補語 (SVCのC)be 動詞や seemappear などの連結動詞 (Linking Verb) の後に置かれ、主語Sの状態や内容を説明します。「S = ~すること」という関係が成り立ちます。
    • 例: Her ambition is to become a lawyer. (彼女の野望は弁護士になることだ) – Her ambition = to become a lawyer.
    • 例: The best way to learn is to practice every day. (学ぶ最良の方法は毎日練習することだ) – The best way to learn = to practice every day.
  • 目的格補語 (SVOCのC): 特定の動詞 (wantasktellallowpersuadeforceenableexpectadvise など) の後で、「目的語Oが~すること」を意味する補語Cとして機能します。「O = C (to do)」という関係です。OとCの間には意味上の主語-述語の関係があります。
    • 例: The doctor advised me to take a rest. (医者は私に休息をとるよう忠告した) – me (O) = to take a rest (C).
    • 例: What caused you to change your mind? (何があなたに考えを変えさせたのですか?) – you (O) = to change your mind (C).
    • 例: This software enables users to create complex graphics easily. (このソフトウェアはユーザーが複雑なグラフィックを簡単に作成することを可能にする) – users (O) = to create... (C).

3.4. 構造的工夫:形式主語・形式目的語構文

  • 形式主語構文 (It is ... to do): 主語となる不定詞句が長い場合に、文頭に形式的な主語 It を置き、実際の主語である不定詞句(真主語)を文末に回す構文です。英語では「頭でっかち」な文を避ける傾向があるため、非常によく用いられます。
    • 元の文: To understand this concept is essential.
    • 形式主語構文: It is essential to understand this concept. (この概念を理解することが不可欠だ)
    • 元の文: For children to play outside is important for their development.
    • 形式主語構文: It is important for children to play outside for their development. (子供たちが外で遊ぶことは、彼らの発達にとって重要だ) – 意味上の主語 for children も一緒に後ろへ。
  • 形式目的語構文 (find it ... to do): SVOC構文で、目的語Oとなる不定詞句が長い場合に、Oの位置に形式的な目的語 it を置き、真の目的語である不定詞句を補語Cの後ろに回す構文です。thinkbelievefindconsidermake などの動詞で用いられます。
    • 元の形 (通常不自然): I find to learn English interesting.
    • 形式目的語構文: I find it interesting to learn English. (私は英語を学ぶことを面白いと思う)
    • 元の形 (通常不自然): The internet makes to access information from anywhere possible.
    • 形式目的語構文: The internet makes it possible to access information from anywhere. (インターネットはどこからでも情報にアクセスすることを可能にする)

3.5. 疑問詞との融合:疑問詞 + to不定詞 の名詞句機能

  • 疑問詞 + to不定詞whatwho(m)whichwhenwherehowwhether といった疑問詞が不定詞の前に置かれ、全体として一つの名詞句を形成します。文中で主語、目的語、補語になります。「何を(いつ・どこで・どのように・どちらを)~すべきか/~したらよいか」といった意味を表します。
    • 目的語: She taught me how to swim. (彼女は私に泳ぎ方を教えてくれた) – taught の直接目的語。
    • 目的語: I can’t decide which path to take. (どちらの道を進むべきか決められない) – decide の目的語。
    • 主語Where to go for vacation hasn’t been decided yet. (休暇にどこへ行くべきかはまだ決まっていない) – hasn't been decided の主語。
    • 補語: The main issue is whether to proceed with the plan or not. (主な問題点は、その計画を進めるべきかどうかだ) – is の補語。
    • 注意why は通常 why + to不定詞 の形では使いません(why not do...? を除く)。

4. 名詞を彩る:不定詞の形容詞的用法

不定詞句が形容詞のように振る舞い、直前の名詞や代名詞を後ろから修飾(後置修飾)する用法です。「~するための」「~すべき」「~するという」などと訳されます。

4.1. 後置修飾の基本:名詞の内容を具体化

  • 修飾対象: 不定詞句は、普通名詞 (bookchanceplaceway) だけでなく、somethinganythingnothingsomeoneabilityneedtime など、様々な名詞や代名詞を修飾し、その内容を限定・具体化します。
    • 例: I need something to drink. (何か飲むものが必要だ) – to drink が something を修飾。
    • 例: Is there a cheaper way to travel to London? (ロンドンへ旅行するもっと安い方法はありますか?) – to travel が way を修飾。
    • 例: He lost the chance to study abroad. (彼は留学する機会を失った) – to study が chance を修飾。
    • 例: It’s time to go to bed. (寝る時間だ) – to go が time を修飾。

4.2. 修飾される名詞と不定詞の関係性(主格・目的格・同格)

  • 意味上の関係: 修飾される名詞と不定詞の間には、意味上の関係が存在します。
    • 主格関係: 修飾される名詞が、不定詞の意味上の主語になる。
      • 例: Neil Armstrong was the first person to set foot on the moon. (ニール・アームストロングは月面に足を踏み入れた最初の人だった) – person が to set の主語。
    • 目的格関係: 修飾される名詞が、不定詞内の動詞または前置詞の意味上の目的語になる。この場合、不定詞句の最後に前置詞が必要になることがあります。
      • 例: I’m looking for a chair to sit on. (座るための椅子を探しています) – sit on a chair なので on が必要。
      • 例: She needs a partner to rely on. (彼女には頼れるパートナーが必要だ) – rely on a partner なので on が必要。
      • 例: Could you give me a pen to write with? (書くためのペンを貸していただけますか?) – write with a pen なので with が必要。
      • 例: There are many interesting places to visit in this city. (この街には訪れるべき面白い場所がたくさんある) – visit places (他動詞) なので前置詞は不要。
    • 同格関係: 修飾される名詞 (abilitypromisedecisionplaneffort など) の具体的な内容を不定詞句が説明する。
      • 例: He has the ability to persuade anyone. (彼には誰でも説得する能力がある) – ability = to persuade anyone.
      • 例: Her decision to quit the job surprised everyone. (仕事を辞めるという彼女の決断は皆を驚かせた) – decision = to quit the job.

4.3. 特殊構文:be to 不定詞(予定・義務・可能・運命・意図)

  • 助動詞的機能be動詞 + to不定詞 の形は、助動詞のような働きをし、文脈に応じて未来に関する様々なニュアンスを表します。主に書き言葉やフォーマルな場面で使われます。
    • 予定 (Schedule): 「~することになっている」「~する予定だ」
      • 例: The conference is to be held next week. (その会議は来週開催される予定だ)
    • 義務・命令 (Obligation/Command): 「~すべきだ」「~しなければならない」
      • 例: You are to follow the rules strictly. (あなたは規則に厳密に従わなければならない)
    • 可能 (Possibility): 「~できる」(主に受動態で、否定文や疑問文で使われることが多い)
      • 例: Not a sound was to be heard. (物音一つ聞こえなかった)
    • 運命 (Destiny): 「~する運命にある」
      • 例: He was never to return to his homeland. (彼は二度と故郷に戻ることはない運命だった)
    • 意図・目的 (Intention): (主に if 節の中で)「~するつもりなら」
      • 例: If you are to succeed in life, you need perseverance. (人生で成功するつもりなら、忍耐力が必要だ)

5. 文脈を豊かに:不定詞の副詞的用法

不定詞句が副詞のように、動詞、形容詞、他の副詞、あるいは文全体を修飾する用法です。文脈に様々な意味(目的、結果、原因・理由、条件、程度など)を付加します。

5.1. 目的(~するために)

  • 動作の意図: 行為の目的や意図を示す、最も代表的な副詞的用法です。in order to do や so as to do とほぼ同義ですが、単に to do で表すのが最も一般的です。
    • 例: He went abroad to study art. (彼は芸術を学ぶために海外へ行った) – went の目的。
    • 例: To maintain good health, regular exercise is important. (健康を維持するためには、定期的な運動が重要だ) – 文全体の目的。
    • 例: She whispered so as not to be overheard. (彼女は聞き耳を立てられないようにささやいた) – 否定の目的。not の位置に注意。

5.2. 結果(~して…になる)

  • 連続する出来事: ある動作や出来事に続いて起こった結果や成り行きを示します。特に決まった表現 (grow up to be...live to be...awake to find...only to do...) で使われることが多いです。
    • 例: The child grew up to be a famous musician. (その子は成長して有名な音楽家になった)
    • 例: He lived to see his grandchildren. (彼は生きて孫を見ることができた)
    • 例: I arrived at the party, only to find that everyone had already left. (パーティーに着いたが、結局みんな既に出発してしまっていた) – 予想外の残念な結果。

5.3. 原因・理由(~するとは、~して)

  • 感情や判断の根拠: 特に感情を表す形容詞 (happygladsadsorrysurprisedpleaseddisappointed など) や、判断・評価を表す動詞・形容詞の後に置かれ、その感情や判断が引き起こされた原因・理由を示します。
    • 例: I am happy to meet you. (お会いできて嬉しいです) – happy の理由。
    • 例: We were shocked to hear the tragic news. (その悲劇的な知らせを聞いて私たちはショックを受けた) – shocked の理由。
    • 例: He must be tired to make such a simple mistake. (そんな簡単な間違いをするなんて、彼は疲れているに違いない) – 判断 (must be tired) の根拠 (次項と近い)。

5.4. 条件(もし~すれば)

  • 仮定的な状況: まれに、文脈によって「もし~すれば」「~するとしたら」という条件の意味を表すことがあります。仮定法的な響きを持ちます。
    • 例: To see him now, you wouldn’t recognize him. (今彼に会えば、あなたは彼だとわからないだろう) – If you saw him now... に近い。
    • 例: It would be wonderful to travel around the world. (世界中を旅するとしたら素晴らしいだろう)

5.5. 程度(~するほど)

  • 形容詞・副詞の限定: 形容詞や副詞の意味を限定したり、どの程度なのかを説明したりします。too ... to do や ... enough to do の構文が代表例です。
    • 例: This question is difficult to answer. (この質問は答えるのが難しい) – difficult である内容を限定。
    • 例: The ice is thick enough to walk on. (その氷は上を歩けるほど十分に厚い) – thick enough の程度を説明。

5.6. 判断の根拠(~するなんて)

  • 評価の理由: 話し手の判断や評価 (must becannot bekindfoolishcleverrude など) の根拠を示します。「~するとは」「~するなんて」と訳せます。感情の原因・理由 (5.3) と非常に近いですが、より客観的な判断の根拠を示すニュアンスです。
    • 例: She was wise to refuse his offer. (彼の申し出を断るとは、彼女は賢明だった) – was wise の根拠。
    • 例: How kind of you to help me! (手伝ってくださるなんて、なんてご親切なんでしょう!) – kind of you の根拠。

5.7. 形容詞・副詞の修飾

  • 意味の補足: 上記の用法と重なりますが、特に easydifficulthardimpossiblepleasantdangerousreadyeageranxious などの形容詞や、tooenough などの副詞を修飾し、その意味を具体的に補足します。
    • 例: He is eager to start the new project. (彼は新しいプロジェクトを始めたがっている) – eager (熱望している) の内容を説明。
    • 例: The soup is too hot to eat immediately. (そのスープはすぐに食べるには熱すぎる) – too hot の結果・程度。

6. to なしの不定詞:原形不定詞の用法

特定の動詞の後ろでは、不定詞のマーカーである to が省略され、動詞の原形がそのまま使われます。これを原形不定詞 (Bare Infinitive / Plain Infinitive) と呼びます。

6.1. 使役動詞 (makehavelet) + O + 原形不定詞

  • 強制・依頼・許可: 目的語Oに何かを「させる」という使役の意味を表す動詞の後で、目的格補語Cとして原形不定詞が用いられます (SVOC)。
    • make O do: (強制的に) Oに~させる。
      • 例: The coach made the players run ten laps. (コーチは選手たちに10周走らせた)
      • 受動態注意be made **to do** → The players were made to run ten laps. (to が復活)
    • have O do: (依頼・指示して) Oに~してもらう。Oが~する状況にする。make ほど強制的ではない。
      • 例: I had my assistant book the flight tickets. (私はアシスタントに航空券を予約してもらった)
      • 注意have O done (Oを~される/してもらう) との区別が重要。
    • let O do: (許可して) Oに~させてあげる。Oが~するのを許す。
      • 例: Please let me know if you change your plan. (もし計画を変更したら私に知らせてください)
      • 受動態注意let は通常受動態で使われず、be allowed to do などを用いる。

6.2. 知覚動詞 (seehearfeel など) + O + 原形不定詞

  • 感覚による知覚: 目的語Oが何かを「する」のを五感で知覚することを表す動詞の後で、目的格補語Cとして原形不定詞が用いられます (SVOC)。動作の一部始終完了のニュアンス。
    • see O do: Oが~するのを見る。
      • 例: We saw him enter the building. (私たちは彼がその建物に入るのを見た)
    • hear O do: Oが~するのを聞く。
      • 例: I heard someone call my name. (誰かが私の名前を呼ぶのを聞いた)
    • feel O do: Oが~するのを感じる。
      • 例: She felt the floor tremble. (彼女は床が揺れるのを感じた)
    • その他watch O donotice O doobserve O do なども同様。
    • 現在分詞との比較: Cの位置に現在分詞 (doing) を使うと、動作が進行中であること、動作の一部を知覚したニュアンスが強まります。
      • 例: We saw him entering the building. (彼が建物に入っていくのを見た)
    • 受動態注意be seen/heard/felt **to do** または be seen/heard/felt **doing** → He was seen to enterthe building. / He was seen entering the building. (to が復活するか、現在分詞が使われる)

6.3. to が省略される背景(意味論的・歴史的考察)

  • 直接性・現実性: 使役・知覚の状況は、話し手にとって直接的で、現実の出来事として強く認識されることが多いです。不定詞の to が持つ未来志向や抽象性が薄れ、より生々しい出来事を表すために to が省略される、という言語心理学的な説明があります。
  • 歴史的要因: 古英語や中英語では不定詞に to が付かないのが普通でした。現代英語の使役・知覚構文は、その古い用法の名残を留めているという歴史的な側面も指摘されています。
  • 構文特性: これらの動詞が特定の構文 (SVOC) を取る際に、補語として原形不定詞を選択するという、動詞固有の統語的な特性として捉えることもできます。
  • 学習上の注意: なぜ省略されるかの理論的探求よりも、受験生としては「どの動詞の後で原形不定詞が使われるか」というパターンを正確に覚え、能動態・受動態の書き換えも含めて運用できることが最優先です。

7. 不定詞関連の頻出構文

不定詞は特定の語句と組み合わさって、決まった意味を表す重要な構文を形成します。

7.1. too ... to do 構文(否定的な意味)

  • 構造too + 形容詞/副詞 + (for O) + to do
  • 意味: 「(Oが)~するには…すぎる」→「あまりに…なので(Oは)~できない」という否定的な含意を持つ構文です。
    • 例: This suitcase is too heavy (for me) to lift. (このスーツケースは(私が)持ち上げるには重すぎる → 重すぎて持ち上げられない)
    • 例: He spoke too fast for us to understand. (彼は私たちが理解するには速く話しすぎた → 速すぎて理解できなかった)
    • 書き換え: so + 形容詞/副詞 + that + S + cannot/could not + V
      • → This suitcase is so heavy that I cannot lift it.
      • → He spoke so fast that we could not understand him.

7.2. ... enough to do 構文(肯定的な意味)

  • 構造形容詞/副詞 + enough + (for O) + to do または enough + 名詞 + (for O) + to do
  • 意味: 「(Oが)~するのに十分なほど…」「(Oが)~できるくらい…」という肯定的な意味を表します。enough の位置に注意(形容詞/副詞の後、名詞の前)。
    • 例: She is old enough to vote. (彼女は投票できる年齢だ)
    • 例: He ran quickly enough to catch the last train. (彼は最終列車に間に合うくらい速く走った)
    • 例: Do we have enough time to finish the task? (その仕事を終えるのに十分な時間はありますか?)
    • 書き換え: so + 形容詞/副詞 + that + S + can/could + V
      • → She is so old that she can vote.
      • → He ran so quickly that he could catch the last train.

7.3. 目的の明示:in order to do / so as to do

  • 構造in order to doso as to do
  • 意味: 副詞的用法の「目的」を明確に示す表現。「~するために」。単なる to do よりもフォーマルな響きを持つことがあります。否定形は in order **not** to doso as **not** to do
    • 例: He studied hard in order to pass the exam. (彼は試験に合格するために一生懸命勉強した)
    • 例: Please arrive early so as not to miss the opening speech. (開会のスピーチを聞き逃さないように、早めに到着してください)
    • 用法注意so as to do は通常、文頭には用いられません。in order to do は文頭にも置けます。

7.4. 否定形の作り方 (not to do)

  • not の位置: 不定詞を否定する(「~しないこと」「~しないための」など)場合は、to の直前に not または never を置きます。
    • 例: She decided not to accept the offer. (彼女はその申し出を受け入れないことに決めた) – 名詞的用法
    • 例: Be careful not to drop the vase. (花瓶を落とさないように気をつけて) – 副詞的用法
    • 例: He promised never to tell a lie again. (彼は二度と嘘をつかないと約束した) – 名詞的用法

7.5. 分離不定詞(現代英語での容認)

  • 構造to + 副詞 + 動詞原形
  • 意味to と動詞原形の間に副詞を挿入する形。かつては非文法的とされましたが、現代英語、特に米語では、強調や明確化のために自然な表現として広く受け入れられています。
    • 例: We need to carefully consider all the options. (私たちは全ての選択肢を注意深く考慮する必要がある)
    • 例: Her goal is to eventually become CEO. (彼女の目標は最終的にCEOになることだ)
    • 入試での注意: 読解では問題なく理解する必要がありますが、英作文では、より伝統的な形(副詞を不定詞の後ろに置くなど: to consider all the options carefully)を使う方が無難かもしれません。

8. 英語システムの中の不定詞

不定詞は孤立した文法項目ではなく、英語の文法システム全体の中で他の要素と相互に関係しています。

8.1. 不定詞と動名詞の使い分け

  • 競合と選択: 名詞的用法において、不定詞 (to do) と動名詞 (doing) はともに「~すること」という意味を表し、主語、目的語、補語になる点で共通しています。しかし、特に動詞の目的語としてどちらを取るかは、動詞によって決まっている場合が多く、厳密な使い分けが必要です。
  • 目的語:
    • 不定詞のみを好む動詞wanthopewishdecideplanpromiserefuseofferagreemanagelearnfailpretend など(未来志向、意志、努力含意が多い)
    • 動名詞のみを好む動詞enjoyfinishstopquitavoidmindgive uppostponepracticeadmitdenysuggestconsiderimagineappreciate など(過去志向、反復、中断、思考含意が多い)
    • 両方取るが意味が変わる動詞remember (to do 未来/ doing 過去), forget (to do 未来/ doing 過去), regret (to do 未来/ doing 過去), try (to do 努力/ doing 試行), stop (to do 目的/ doing 中断), mean (to do意図/ doing 意味)
    • 両方取るが意味がほぼ同じ動詞likelovehatepreferstartbegincontinue (ただし微妙なニュアンス差あり)
  • 前置詞の目的語: 原則として動名詞 (Thank you for **coming**)。不定詞は不可(一部例外あり)。
  • 主語・補語: 両方可能だが、動名詞の方が一般的。不定詞はやや硬い表現や特定の行為を指す場合に用いられる傾向 (**Swimming** is fun. / **To swim** across the channel is his dream.)。

8.2. 文型との相互作用

  • 構造の骨格: 不定詞を含む文も、基本的には5文型のいずれかに分類できます。不定詞句が文のどの要素(S, O, C, M)として機能しているかを正確に見抜くことが、文型判断、ひいては文構造全体の理解に繋がります。
    • SVO (O = to do)I want to go.
    • SVC (C = to do)My hobby is to collect stamps.
    • SVOC (C = to do)She asked me to wait.
    • SVOC (C = 原形不定詞)I saw him run.
    • 文型判断の際には、まず不定詞句を一つの塊として捉え、それが S, O, C, M のどれに当たるかを見極めることが重要です。

8.3. 読解における不定詞の処理戦略

  • 多機能性の識別: 文中で to + 動詞原形 の形を見たら、それが名詞的・形容詞的・副詞的のどの用法か、文脈から素早く判断する必要があります。
  • 判断の手がかり:
    • 位置: 文頭か? 動詞や前置詞の後か? 名詞の後か? 文の主要素の後か?
    • 結びつき: どんな動詞や形容詞と共起しているか? It is...too/enough などの構文の一部か?
    • 意味: 「~すること」「~するための」「~するために」「~して」など、どの訳が最も適切か?
  • 構造分析: 複雑な文では、不定詞句全体を一つの構成要素として認識し、文全体の構造の中でその役割を特定するスキルが求められます。意味上の主語、時制、態の解釈も重要です。

8.4. 作文における不定詞の表現効果

  • 簡潔性: 従属節(that節、so that節など)を用いる代わりに不定詞を使うことで、より簡潔で引き締まった表現が可能になります。
    • 例: I hope that I will pass the exam. → I hope **to pass** the exam.
  • 論理関係の明示: 副詞的用法(特に目的、原因・理由)を適切に使うことで、文と文、あるいは文中の要素間の論理的な繋がりを効果的に示すことができます。
  • 構文の活用It is...to dofind it...to dotoo/enough...to do疑問詞 + to do などの構文を自在に使いこなせると、表現のバリエーションが豊かになります。
  • 正確性: 動詞の目的語として不定詞と動名詞のどちらを取るかを正確に使い分けることは、文法的に正しいだけでなく、自然な英語を書く上で不可欠です。

9. まとめと次(演習編)への橋渡し

9.1. 本講義のキーポイント再確認

  • 不定詞は to + 動詞原形 を基本とし、準動詞として名詞・形容詞・副詞の機能を持つ。
  • 不定詞句は意味上の主語、時制(単純/完了)、態(能動/受動)を持つ。
  • 名詞的用法は S, O, C となり、「~すること」を意味する。形式主語・目的語、疑問詞+to不定詞も重要。
  • 形容詞的用法は名詞を後置修飾し、「~するための」などを意味する。be to 不定詞も含む。
  • 副詞的用法は目的、結果、原因・理由、程度など多様な意味を表し、文を修飾する。
  • 原形不定詞は使役動詞・知覚動詞の後で用いられる。
  • too...to do...enough to do などの重要構文を理解し、使いこなせること。
  • 動名詞との使い分け、文型との関連を意識することが重要。

9.2. 演習編で目指すこと:知識からスキルへ

  • 本講義で得た不定詞に関する理論的知識は、英語運用能力向上のための重要な土台です。しかし、知識は使えなければ意味がありません。
  • 次の「不定詞:句構造と意味機能(演習編)」では、この知識を実際のスキルへと昇華させることを目指します。
  • 具体的な問題演習(用法識別、書き換え、和訳、英訳、構文分析など)を通じて、不定詞の理解度を確認し、弱点を克服します。
  • 様々な文脈で不定詞を正確に解釈し、また自ら適切に運用する能力を養います。
  • 本講義の内容をしっかり復習し、知識が定着した状態で演習編に進むことで、学習効果を最大限に高めることができます。不定詞をマスターし、より高度な英語の世界へ進む準備を整えましょう。
1 2
目次