動名詞:句構造と名詞化(講義編)

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英語には、動詞がその形を変えることで、文中で名詞や形容詞、副詞のような働きをする「準動詞」という便利な仕組みがあります。不定詞に続き、この講義では準動詞のもう一つの主要な形である「動名詞 (Gerund)」に焦点を当てます。動名詞は、動詞の -ing 形(現在分詞と同じ形です!)が「〜すること」という意味の名詞として機能するものです。文の主語になったり、動詞や前置詞の目的語になったりと、名詞が置ける場所ならどこにでも現れることができます。しかし、元は動詞なので、目的語や副詞を伴うこともできます。この「名詞の顔を持つ動詞」である動名詞の性質と用法を深く理解することは、不定詞や分詞との使い分けをマスターし、英語の文構造を正確に把握し、表現の幅を広げる上で非常に重要です。

目次

1. 動名詞 (Gerund) とは何か? – 動詞が名詞に変わる魔法

1.1. 準動詞(Verbals) としての動名詞

  • 準動詞の復習: 英語の動詞は、文の述語になるだけでなく、形を変えることで名詞、形容詞、副詞としても機能します。これが準動詞(不定詞、動名詞、分詞)でした。
  • 動名詞の定義: 動名詞 (Gerund) は、<動詞の原形 + -ing> という形をとり、文中で名詞の働きをする準動詞です。その基本的な意味は「〜すること」です。
    • 例: read (読む) → reading (読むこと)
    • 例: swim (泳ぐ) → swimming (泳ぐこと)
  • 名詞としての振る舞い: 名詞なので、文の中で主語(S)、目的語(O)、補語(C)になることができます。
    • 例: **Reading** is fun. (読書は楽しい – 主語)
    • 例: I like **reading**. (私は読書が好きだ – 目的語)
    • 例: My hobby is **reading**. (私の趣味は読書だ – 補語)

1.2. 動名詞の形態と動詞的性質

  • 形態: 動詞の原形に -ing を付けます。付け方にはいくつか注意点があります。
    • eで終わる動詞: eを取って-ing (例: make → makingwrite → writing) ※ seeseeing のように ee で終わる場合はそのまま。
    • 短母音+子音字1つで終わる動詞: 最後の文字を重ねて-ing (例: run → runningswim → swimmingstop → stopping)
    • ieで終わる動詞: ieをyに変えて-ing (例: lie → lyingdie → dying)
  • 動詞的性質の保持: 動名詞は名詞として機能しますが、元が動詞であるため、以下のような動詞としての性質も持ち合わせています。
    • 目的語や補語をとる: 元の動詞が他動詞や連結動詞であれば、動名詞も目的語や補語をとることができます。
      • 例: **Reading books** is important. (books は reading の目的語)
      • 例: **Being honest** is the best policy. (honest は being の補語)
    • 副詞(句)によって修飾される: 動詞と同様に、副詞(句)によって修飾されます。
      • 例: **Driving carefully** is necessary. (carefully は driving を修飾)
    • 意味上の主語、時制、態を持つ: (後述しますが)不定詞と同様に、動名詞もそれ自身の意味上の主語、時制(完了形)、態(受動態)を持つことができます。
  • 動名詞句 (Gerund Phrase): このように、動名詞が目的語、補語、修飾語などを伴って形成する句全体を「動名詞句」と呼びます。この句全体が文中で名詞として機能します。
    • 例: [**Learning a new language**] opens up new worlds. (主語)
    • 例: He enjoys [**listening to classical music**]. (目的語)

1.3. 動名詞 vs 現在分詞 – 形は同じ、機能は違う

動名詞と現在分詞は、どちらも <動詞の原形 + -ing> という同じ形をとるため、混同しやすいですが、文法的な機能は全く異なります。この区別は非常に重要です。

  • 動名詞 (Gerund):
    • 機能: 名詞
    • 役割: 文の主語(S)、目的語(O)、補語(C)になる。
    • 意味: 「〜すること
    • 例: **Walking** is good for health. (歩くこと – 主語)
    • 例: My favorite activity is **walking**. (歩くこと – 補語)
    • 例: a **walking** stick (歩くための杖 – 用途を表す名詞修飾 ※これは動名詞の形容詞的用法と呼ばれることもあるが、本質的には複合名詞の一部)
    • 例: a **sleeping** bag (寝るための袋 – 同上)
  • 現在分詞 (Present Participle):
    • 機能: 形容詞 または 副詞
    • 役割:
      • 名詞を修飾する (形容詞用法)。
      • 文の補語(C)になる (形容詞用法)。
      • 進行形 (be -ing) を作る。
      • 分詞構文を作る (副詞用法)。
    • 意味: 「〜している」(能動・進行)
    • 例: Look at that **walking** man. (歩いている男 – 名詞修飾)
    • 例: He kept me **walking**. (歩き続けている状態にさせた – 目的格補語)
    • 例: He **is walking** in the park. (歩いている – 進行形)
    • 例: **Walking** along the street, I met her. (歩いているとき – 分詞構文)

見分け方のポイント:

  1. 文の要素(S, O, C)になっているか? → 動名詞
  2. 名詞を修飾(「〜している」の意味で)しているか? → 現在分詞
  3. 進行形 (be -ing) の一部か? → 現在分詞
  4. 分詞構文(文を修飾)を作っているか? → 現在分詞
  5. 「〜すること」と訳せるか? → 動名詞
  6. (用途を表す複合名詞 a walking sticka sleeping bag は例外的に動名詞由来と考える)

この区別をしっかり意識することが、英文構造の正確な把握に繋がります。

2. 動名詞の名詞としての機能 – 文の主要要素になる

動名詞(句)は名詞として、文の主語、目的語、補語の役割を果たします。

2.1. 主語 (S) になる用法

  • 動名詞(句)が文頭に置かれ、文全体の主語となります。「〜することは…だ」という意味を表します。動名詞(句)が主語の場合、動詞は原則として単数扱いになります。
    • 例: **Smoking** **is** bad for your health. (喫煙することは健康に悪い。)
    • 例: **Getting up early** **makes** me feel refreshed. (早起きすることは私を爽快な気分にさせる。)
    • 例: **Trying your best** **is** more important than winning. (最善を尽くすことが勝つことよりも重要だ。)
  • 注意: 不定詞が主語の場合 (To smoke is bad...) は形式主語 It を使うのが一般的ですが、動名詞が主語の場合はそのまま文頭に置かれることが比較的多いです。ただし、動名詞の場合でも形式主語 It を使う慣用表現もあります(例: It is no use -ing)。

2.2. 目的語 (O) になる用法

動名詞(句)は、他動詞の目的語、または前置詞の目的語になります。

  • (a) 他動詞の目的語:
    • 特定の他動詞は、目的語として動名詞 (-ing) をとります。不定詞 (to do) をとる動詞との区別が極めて重要です。
    • 動名詞のみを目的語にとる主な動詞:
      • enjoy (楽しむ), finish (終える), stop (やめる), quit (やめる), give up (あきらめる)
      • mind (気にする、嫌がる), avoid (避ける), escape (免れる)
      • postponeput off (延期する)
      • admit (認める), deny (否定する)
      • consider (よく考える), suggest (提案する), recommend (勧める)
      • practice (練習する), imagine (想像する), miss (〜しそこなう), risk (危険を冒す), appreciate (感謝する)
      • 例: We **enjoyed playing** tennis yesterday. (昨日テニスをして楽しんだ。) (× enjoyed to play)
      • 例: Would you **mind opening** the window? (窓を開けていただけますか?) (× mind to open)
      • 例: He **denied having stolen** the money. (彼はお金を盗んだことを否定した。) (完了動名詞)
  • (b) 前置詞の目的語:
    • 前置詞 (inonatofforwithwithoutbyabout など) の後ろに動詞の意味内容を置きたい場合は、必ず動名詞の形にします。 これは絶対的なルールです。to不定詞は前置詞の目的語にはなれません(to自身が前置詞として使われる場合を除く)。
    • 例: She is interested **in learning** foreign languages. (in の後)
    • 例: Thank you **for inviting** me to the party. (for の後)
    • 例: He left **without saying** goodbye. (without の後)
    • 例: You can improve your English **by reading** aloud every day. (by の後 – 手段)
    • 例: How **about going** for a picnic? (about の後 – 提案)
    • 注意: look forward **to** -ingbe used **to** -ingobject **to** -ingcontribute **to** -ingwhen it comes **to** -ing などの表現に含まれる to は、不定詞の to ではなく前置詞なので、後ろには動名詞が来ます。(後述の重要表現で再確認します。)

2.3. 補語 (C) になる用法

  • be動詞などの連結動詞の後ろに置かれ、主語(S)の内容を説明する主格補語(C)になります。「Sは〜することである」という意味を表し、 の関係が成り立ちます。
    • 例: My favorite hobby is **collecting rare coins**. (私の趣味は珍しいコインを集めることだ。) (S = C)
    • 例: His job is **selling used cars**. (彼の仕事は中古車を売ることだ。) (S = C)
  • 注意: 主語が「人」の場合、be -ing は通常「〜している」という進行形を表します。補語として動名詞が使われるのは、主語が「〜すること」という行為や活動そのものを指す場合が多いです。

3. 動名詞の意味上の主語・否定・時制・態

動名詞も不定詞と同様に、意味上の主語、否定形、完了形(時制)、受動態(態)を持ちます。

3.1. 意味上の主語

動名詞が表す動作の主体(誰が〜するのか)が、文の主語などと異なる場合に、それを動名詞の前に示します。

  • 所有格 (myyourhisheritsourtheirJohn's など):
    • フォーマルな文体や書き言葉では、所有格を用いるのが標準的で、文法的に最も正しいとされます。
    • 例: I insist on **his paying** the bill. (私は彼が勘定を支払うことを主張する。)
    • 例: What do you think of **Mary's singing**? (メアリーの歌についてどう思いますか?)
    • 例: We were surprised at **their winning** the championship. (私たちは彼らが優勝したことに驚いた。)
  • 目的格 (meyouhimheritusthemJohn など):
    • インフォーマルな文体や口語では、所有格の代わりに目的格(または名詞そのまま)が使われることが非常に多いです。
    • 例: I insist on **him paying** the bill. (口語的)
    • 例: What do you think of **Mary singing**? (口語的)
    • 例: Do you mind **me asking** a question? (口語的だが広く使われる)
  • 注意点: どちらを使うかは文脈やフォーマルさの度合いによりますが、書き言葉では所有格が無難です。ただし、意味上の主語が無生物や長い句の場合は、目的格(またはそのままの形)が使われることが普通です。文脈から明らかな場合や一般論では明示しません。

3.2. 否定形 (not -ingnever -ing)

動名詞の意味を否定にする場合は、動名詞の直前に not または never を置きます。

  • 例: Excuse me for **not replying** sooner. (もっと早く返信しなかったことをお許しください。)
  • 例: He regrets **not having studied** harder. (もっと一生懸命勉強しなかったことを後悔している。) (完了動名詞の否定)
  • 例: The advantage is **never having to** worry about money. (利点はお金について決して心配する必要がないことだ。)

3.3. 時制:完了動名詞 (having + 過去分詞)

動名詞が表す時が、文の主動詞が表す時よりも**前の時(過去)**であることを明確に示す場合に用います。

  • 単純動名詞 (-ing): 主動詞と同じ時、または一般論
    • I am proud of **being** your student. (あなたの生徒であることを誇りに思う – 現在)
  • 完了動名詞 (having pp): 主動詞より過去
    • I am proud of **having been** your student. (あなたの生徒であったことを誇りに思う – 過去)
    • He denied **having seen** her that day. (彼はその日彼女に会ったことを否定した – denied(過去)よりさらに過去)
    • She was praised for **having saved** the child's life. (彼女は子供の命を救ったことで褒められた – praised(過去)より過去)
  • 注意: 時制の前後関係が文脈から明らかな場合(例: I remember seeing him. 彼に会ったのを覚えている)や、before/after などで関係が示されている場合は、完了形にしなくても単純動名詞で十分なことが多いです。完了動名詞は、前後関係を特に強調したい場合に使われます。

3.4. 態:受動動名詞 (being pphaving been pp)

動名詞の意味上の主語が、動名詞が表す動作を「される」側である場合に、受動態の動名詞を用います。

  • 単純受動動名詞 (being + 過去分詞): 主動詞と同じ時の受動。
    • She hates **being stared at**. (彼女は見つめられるのが嫌いだ。)
    • The problem needs **being considered** carefully. (その問題は注意深く検討される必要がある。) ※ need -ing = need to be pp
  • 完了受動動名詞 (having been + 過去分詞): 主動詞より過去の受動。
    • He complained about **having been treated** unfairly. (彼は不公平に扱われたことについて不平を言った。)
    • I appreciate **having been given** this opportunity. (この機会を与えられたことに感謝します。)

4. 動名詞と不定詞の使い分け – 目的語を中心に

動詞の目的語として「〜すること」を表す場合、動名詞 (-ing) を使うか、不定詞 (to do) を使うかは、動詞によって決まっています。これは英語学習における最重要項目の一つです。

4.1. 動名詞のみを目的語にとる動詞 (復習)

  • enjoyfinishstop(やめる), give upmindavoidpostpone/put offadmitdenyconsidersuggestpracticeimaginemissrisk など。
  • 未来志向ではない、過去や現在の事実・経験、反復・中断、思考などを表す動詞が多い傾向があります。
  • 例: I finished **writing** the report.

4.2. 不定詞のみを目的語にとる動詞 (復習)

  • wanthopewishexpectdecideplanpromiseofferrefuseagreechooselearnmanageneedseekなど。
  • 未来志向の意図、希望、決定、約束などを表す動詞が多い傾向があります。
  • 例: She decided **to change** her job.

4.3. 両方とり、意味がほぼ変わらない動詞

  • likelovehatepreferstartbegincontinue など。
  • 一般的には意味の違いは小さいとされますが、微妙なニュアンスの差が指摘されることもあります。
    • 動名詞: より一般的、習慣的な行為。
    • 不定詞: より具体的、一時的な行為。
  • 例: I like **skiing**. (スキーという行為全般が好き) vs I like **to ski** in Hokkaido. (北海道でスキーをするのが好き)
  • 注意: would like/love/hate/prefer の場合は、常に to不定詞をとります。例: I **would like to** drink some water.

4.4. 両方とり、意味が大きく変わる動詞 (最重要)

以下の動詞は、目的語に動名詞をとるか不定詞をとるかで意味が大きく変わるため、特に注意が必要です。

  • remember / forget:
    • remember/forget **to do**: (これから)〜することを覚えている/忘れる (未来への行為)
    • remember/forget **-ing**: (過去に)〜したことを覚えている/忘れる (過去の行為・経験)
    • 例: Please **remember to mail** this letter. (この手紙を投函することを覚えておいてください。)
    • 例: I clearly **remember mailing** the letter yesterday. (昨日その手紙を投函したことをはっきり覚えている。)
    • 例: Don't **forget to turn off** the lights. (電気を消すのを忘れないで。)
    • 例: I'll never **forget seeing** the beautiful sunset. (その美しい夕日を見たことを決して忘れないだろう。)
  • try:
    • try **to do**: 〜しようと努力する、試みる (達成が難しいことに対して)
    • try **-ing**: 試しに〜してみる (効果があるか試す)
    • 例: He **tried to lift** the heavy box, but couldn't. (彼はその重い箱を持ち上げようとしたが、できなかった。)
    • 例: If you can't sleep, **try drinking** warm milk. (眠れないなら、温かい牛乳を飲んでみてはどうですか?)
  • stop:
    • stop **to do**: 〜するために立ち止まる (目的を表す副詞的用法の不定詞)
    • stop **-ing**: 〜するのをやめる (動名詞が目的語)
    • 例: He **stopped to look** at the map. (彼は地図を見るために立ち止まった。)
    • 例: You should **stop worrying** so much. (そんなに心配するのをやめるべきだ。)
  • regret:
    • regret **to do**: 残念ながら(これから)〜しなければならない (to sayto inform などで使うことが多い)
    • regret **-ing**: (過去に)〜したことを後悔する
    • 例: We **regret to announce** the cancellation of the event. (残念ながらイベントの中止をお知らせします。)
    • 例: She deeply **regretted not accepting** his proposal. (彼女は彼のプロポーズを受け入れなかったことを深く後悔した。)
  • go on:
    • go on **to do**: (〜を終えて)次に〜し始める
    • go on **-ing**: (同じことを)〜し続ける
    • 例: He introduced himself and **went on to explain** the purpose of his visit. (自己紹介をして、次に訪問の目的を説明し始めた。)
    • 例: Please **go on talking**. I'm listening. (どうぞ話し続けてください。聞いています。)

これらの使い分けは、読解でも作文でも非常に重要です。

5. 動名詞を用いた重要表現・慣用句

動名詞は、多くの慣用的な表現や構文で中心的な役割を果たします。これらは熟語として覚えるのが効果的です。

  • It is no use [good] -ing: 〜しても無駄だ。
    • **It's no use arguing** with him.
  • There is no -ing: 〜することはできない (= It is impossible to do)
    • **There is no telling** what might happen. (何が起こるか分からない。)
  • cannot help -ing: 〜せずにはいられない (= cannot but + 原形)
    • I **cannot help feeling** sorry for her.
  • feel like -ing: 〜したい気がする。
    • I don't **feel like going** out tonight.
  • be worth -ing: 〜する価値がある。
    • This book **is worth reading**.
  • be busy (in) -ing: 〜するのに忙しい。
    • He **was busy (in) preparing** his presentation.
  • spend + 時間/金 + (in) -ing: 〜して時間/金を使う。
    • She **spent** the whole afternoon **(in) shopping**.
  • have difficulty/trouble/a hard time (in) -ing: 〜するのに苦労する。
    • We **had difficulty (in) finding** the hotel.
  • What [How] about -ing?: 〜するのはどうですか? (提案)
    • **How about taking** a break?
  • 前置詞の to + 動名詞 -ing のパターン:
    • look forward **to** -ing: 〜するのを楽しみに待つ。
      • I'm **looking forward to seeing** you soon.
    • be used [accustomed] **to** -ing: 〜することに慣れている。
      • She quickly **got used to living** alone. (cf. used to do は過去の習慣)
    • object **to** -ing: 〜することに反対する。
      • Many residents **object to building** a new factory here.
    • What do you say **to** -ing?: 〜するのはどうですか? (提案)
      • **What do you say to having** lunch together?
    • contribute **to** -ing: 〜することに貢献する、〜の一因となる。
      • Regular exercise **contributes to maintaining** good health.
    • when it comes **to** -ing: 〜することになると、〜のこととなると。
      • **When it comes to playing** chess, he is the best.
    • devote oneself **to** -ing: 〜することに専念する。
      • He **devoted his life to helping** the poor.

これらの表現では、to が不定詞の to ではなく前置詞であるため、後ろに動名詞が来ることに注意が必要です。

6. 動名詞知識の読解と作文への応用

6.1. 読解における動名詞の識別と解釈

  • 機能の正確な把握: 文中の -ing 形が動名詞(名詞)なのか現在分詞(形容詞・副詞)なのかを正確に識別することが、文構造と意味を正しく理解する第一歩です。特に主語や目的語、前置詞の目的語として機能している -ing 形は動名詞です。
  • 意味上の主語等の理解: 動名詞の前に所有格や目的格があれば、それが動作主であることを認識します。完了形や受動態が使われていれば、主節との時間関係や態の関係を読み取ります。
  • 動詞の語法の理解: 動詞の目的語として動名詞が使われている場合、なぜ不定詞ではなく動名詞なのか(その動詞の性質、あるいは意味の違い)を理解することが、筆者の意図やニュアンスを捉える上で重要になります。慣用表現も文脈理解の手がかりとなります。

6.2. 作文における動名詞の適切な使用

  • 自然な名詞化表現: 「〜すること」を主語や目的語にしたい場合、動名詞は非常に便利で自然な選択肢となります。特に前置詞の後ろでは必須です。that節や不定詞との使い分けを意識しましょう。
  • 正確な動詞の語法: 動名詞・不定詞のどちらを目的語にとるかという動詞の語法ルールは、英作文で最も間違いやすい点の一つです。enjoy -ingwant to doremember to do/-ing などのルールを確実に守ることが、文法的に正しい英文を書く上で不可欠です。
  • 慣用表現の活用: 動名詞を用いた慣用表現をストックしておき、適切な場面で使うことで、より自然でこなれた印象の英文を作成できます。特に前置詞 to を伴う表現は意識して使いましょう。
  • 意味上の主語・時制・態の明示: 必要に応じて、動名詞の意味上の主語を示したり、完了形や受動態を使ったりすることで、より正確で詳細な情報を伝えることが可能になります。

7. まとめ:動名詞は「名詞の顔を持つ動詞」

動名詞は、動詞の -ing 形が名詞の働きをするという、英語の柔軟性を示す重要な文法項目です。文の中で主語、目的語(動詞の・前置詞の)、補語となり、「〜すること」という基本的な意味を表します。同じ -ing形の現在分詞(形容詞・副詞機能)との明確な区別が、まず重要です。

動名詞はまた、意味上の主語、否定、時制(完了形)、態(受動態)を持つことができ、これにより複雑な意味合いを表現できます。そして、英語学習において特に重要なのが、動詞の目的語として動名詞をとるか不定詞をとるかの使い分けです。意味が変わる動詞(rememberforgettrystopregret など)の用法は確実にマスターする必要があります。さらに、動名詞を用いた多くの慣用表現を習得することも、表現力向上に繋がります。

この「名詞の顔を持つ動詞」である動名詞を正しく理解し、不定詞や分詞と的確に使い分けることで、皆さんの英語の読解力と表現力は、より一層確かなものになるでしょう。

次の「動名詞:演習編」では、用法識別、不定詞との使い分け、意味上の主語・時制・態、慣用表現など、この講義で学んだ内容を実践的な問題で確認し、定着を図ります。

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