分詞:句構造と修飾関係(講義編)

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不定詞、動名詞に続き、準動詞の最後の一つである「分詞 (Participle)」について学びましょう。分詞は、動詞から生まれながら、主に形容詞のように名詞を修飾したり、文の補語になったりする働きと、副詞のように文全体を修飾して付加的な情報(時、理由、付帯状況など)を与える働きを併せ持つ、非常に多機能な存在です。分詞には「現在分詞 (-ing)」と「過去分詞 (-ed/不規則形)」の2種類があり、それぞれが能動・進行、受動・完了といった異なるニュアンスを表現します。分詞を理解し使いこなすことは、英文を豊かに彩り、また文と文を簡潔かつスムーズに繋ぐための重要なスキルであり、英語の読解力・作文力を大きく向上させる鍵となります。

目次

1. 分詞 (Participle) とは何か? – 動詞から生まれる形容詞・副詞

1.1. 準動詞(Verbals) としての分詞

  • 準動詞の復習: 動詞由来でありながら、文中で名詞(動名詞)、形容詞・副詞(不定詞、分詞)の働きをするのが準動詞でした。
  • 分詞の定義: 分詞 (Participle) は、動詞から派生した形で、主に形容詞としての機能(名詞を修飾する、補語になる)と、副詞としての機能(分詞構文として文を修飾する)を持つ準動詞です。動詞の性質(目的語や修飾語をとる)も一部保持します。

1.2. 分詞の種類と形態

分詞には2つの主要な形があります。

  • (a) 現在分詞 (Present Participle):
    • 形態: <動詞の原形 + -ing> (動名詞と同じ形です!)
    • 基本的な意味: 能動(「〜している」)、進行(「〜している最中」)
    • 例: run → running (走っている), excite → exciting (興奮させている、ワクワクさせる), sleep → sleeping (眠っている)
  • (b) 過去分詞 (Past Participle):
    • 形態: 規則動詞の場合は**<動詞の原形 + -ed>**(過去形と同じ形が多い)。不規則動詞の場合はそれぞれ固有の形を持ちます(例: writewrittenspeakspokenbreakbrokengogonebebeencutcut)。
    • 基本的な意味: 受動(「〜される」「〜された」)、完了(「〜してしまった」「〜し終えた」)
    • 例: write → written (書かれた), break → broken (壊された), excite → excited (興奮させられた → 興奮した), fall → fallen (落ちてしまった)

1.3. 分詞の重要性 – 文を豊かに、簡潔に

  • 表現の豊かさ: 分詞の形容詞的用法は、名詞をより具体的に描写し、生き生きとした表現を可能にします(例: a crying babya fallen tree)。
  • 文の簡潔性: 分詞構文(副詞的用法)は、接続詞や関係詞を使わずに、文と文の関係性を示したり、付加的な情報を簡潔に伝えたりするのに役立ちます。これにより、より流暢で引き締まった文章を作成できます。
  • 頻出度: 分詞、特に分詞構文は、ニュース記事、小説、学術論文など、様々なジャンルの英語、特に書き言葉で頻繁に用いられます。そのため、分詞を正確に理解することは、高度な英文読解に不可欠です。
  • 注意点: 現在分詞は動名詞と、過去分詞は過去形と同じ形をとることが多いため、文脈の中でその機能(形容詞なのか、名詞なのか、動詞なのか)を正確に見抜くことが重要になります。

2. 分詞の形容詞的用法 – 名詞を彩る

分詞が形容詞のように機能する場合、主に名詞を修飾する「限定用法」と、文の補語になる「叙述用法」があります。

2.1. 限定用法:名詞の修飾

分詞(または分詞句)が名詞を直接修飾し、その名詞がどのようなものか、どのような状態にあるかを説明します。

  • (a) 前置修飾 (Pre-modification):
    • 分詞が単独で名詞を修飾する場合、通常の形容詞と同じように、名詞のに置かれます。
    • 現在分詞 (-ing): 「〜している」という能動・進行の意味で名詞を修飾。
      • a **developing** country (発展している国 → 発展途上国)
      • the **rising** sun (昇っている太陽 → 朝日)
      • an **amusing** story (面白がらせている話 → 面白い話)
    • 過去分詞 (pp): 「〜された」「〜してしまった」という受動・完了の意味で名詞を修飾。
      • a **used** car (使われ車 → 中古車)
      • **frozen** food (凍らせられ食品 → 冷凍食品)
      • **retired** workers (退職してしまった労働者 → 退職者)
      • a **satisfied** customer (満足させられ客 → 満足した客)
  • (b) 後置修飾 (Post-modification):
    • 分詞が目的語や修飾語句を伴って句を形成する場合、修飾する名詞の後ろに置かれます。これは、<関係代名詞 + be動詞> が省略された形と考えることができます。
    • 現在分詞句: 「〜している(名詞)」
      • Do you know the boy **talking to Mary**? (メアリーと話している少年) (= the boy who is talkingto Mary)
      • The train **leaving from Platform 5** is bound for Osaka. (5番線から出発する電車) (= The train which is leaving from Platform 5)
    • 過去分詞句: 「〜された(名詞)」
      • The language **spoken in Brazil** is Portuguese. (ブラジルで話されている言語) (= The language which is spoken in Brazil)
      • This is the watch **given to me by my father**. (父によって私に与えられた腕時計) (= the watch which was given to me by my father)
  • ★現在分詞 vs 過去分詞の使い分け:
    • 修飾される名詞が、分詞が表す動作を**「する」側(能動)なのか、それとも「される」側(受動)**なのかで判断します。
      • a surprising result (結果が驚かせる → 能動) vs a surprised look (表情が驚かされる → 受動)
      • a developing country (国が発展している → 能動/進行) vs a developed country (国が発展させられた/発展し終えた → 受動/完了 → 先進国)
    • 特に感情を表す動詞 (e.g., surpriseexciteinterestboretireconfusesatisfydisappoint) の分詞形には注意が必要です。
      • -ing 形 (現在分詞): 人や物が感情を「引き起こす」側(原因)であることを示す。「驚かせるような」「興奮させるような」「退屈な」
        • 例: an **interesting** book (興味を起こさせる本)
      • -ed 形 (過去分詞): 人が感情を「引き起こされる」側(受け手)であることを示す。「興味を持った」「興奮した」「退屈した」
        • 例: an **interested** student (興味を持った学生)

2.2. 叙述用法:補語 (C) になる

分詞が文の補語(主格補語 SVC、目的格補語 SVOC)として使われ、主語や目的語の状態・性質・動作を説明します。

  • (a) 主格補語 (SVC):be動詞などの連結動詞の後ろに置かれ、主語(S)の状態を説明します (S=Cの関係)。
    • 現在分詞: 主語が「〜している」状態。
      • The situation remains **challenging**. (状況は依然として困難なままだ。 situation = challenging)
    • 過去分詞: 主語が「〜されている」「〜し終えた」状態。
      • He seemed **disappointed** with the result. (彼は結果にがっかりしているようだった。 He = disappointed)
    • 注意:be + -ing (進行形) や be + pp (受動態) は、文法的には分詞が主格補語になっている形と分析できます。
      • She **is writing** a letter. (進行形: writing が補語)
      • The letter **was written** by her. (受動態: written が補語)
  • (b) 目的格補語 (SVOC): 目的語(O)の後ろに置かれ、目的語の状態や動作を説明します (O=C, OがCする/されるの関係)。
    • 現在分詞: 目的語(O)が「〜している」状態・動作。
      • I saw the children **playing** in the yard. (子供たちが庭で遊んでいるのを見た。) (OがCする)
      • Don't keep me **waiting**! (私を待たせたままにしないで!) (OがCする)
    • 過去分詞: 目的語(O)が「〜される」「〜された」状態。
      • I want this work **finished** by tomorrow. (この仕事を明日までに終えられた状態にしたい。) (OがCされる)
      • He left the door **unlocked**. (彼はドアの鍵をかけないままにしておいた。) (OがCされた状態)
    • 注意: 知覚動詞 (seehearfeel など) + O + 現在分詞/過去分詞、使役動詞 (keepleavefindget など) + O + 現在分詞/過去分詞 の形はSVOC文型です。

3. 分詞構文 (Participial Construction) – 文を簡潔につなぐ

分詞(句)が副詞のように働き、主節に対して時、原因・理由、条件、譲歩、付帯状況などの意味関係を付け加える用法です。接続詞を使わずに2つの文(節)の内容をスムーズに繋ぐことができるため、文を簡潔にし、流れるようなリズムを与える効果があります。

3.1. 分詞構文の作り方(基本)

分詞構文は、元の副詞節から接続詞と主語(主節と同じ場合)を省略し、動詞を分詞に変えることで作られます。

  • ステップ1: 副詞節の接続詞 (whenwhileasbecausesinceifthough など) を省略する。(※意味を明確にするために接続詞を残す場合もある)
  • ステップ2: 副詞節の主語が主節の主語と同じであれば、省略する。(※異なる場合は独立分詞構文として主語を残す)
  • ステップ3: 副詞節の動詞分詞に変える。
    • 能動態の場合 → 現在分詞 (-ing) にする。
      • 例: **When** **she** saw me, she waved. → **Seeing** me, she waved.
    • 受動態 (be + pp) の場合 → Being を省略して 過去分詞 (pp) だけを残すことが多い。Being を残すこともある。
      • 例: **Because** **it** was written in simple language, the book was easy to understand. → **(Being) Written** in simple language, the book was easy to understand.
    • 完了形 (have + pp) の場合 → Having + pp (完了分詞構文) にする。(後述)

3.2. 分詞構文が表す意味(文脈判断)

接続詞が省略されるため、分詞構文がどのような意味関係(時、理由など)を表すかは、文脈から判断する必要があります。

  • (a) 時 (〜とき、〜しながら、〜してそして):
    • **Walking** home from school, I ran into an old friend. (学校から家に歩いて帰るとき、旧友にばったり会った。)
    • She fell asleep, **listening** to the radio. (彼女はラジオを聞きながら眠ってしまった。) (付帯状況とも)
    • He took out his key and opened the door. → **Taking** out his key, he opened the door. (鍵を取り出してそしてドアを開けた。) (連続動作)
  • (b) 原因・理由 (〜なので、〜だから):
    • **Being** sick, I decided to stay home. (病気だったので、家にいることにした。)
    • **Having** no money with me, I couldn't buy the ticket. (お金を持っていなかったので、…)
  • (c) 条件 (もし〜すれば):
    • **Turning** left here, you'll find the post office. (ここを左に曲がれ、…) (= If you turn…)
    • **Weather permitting**, the picnic will be held tomorrow. (天気が許せ、…) (独立分詞構文の慣用表現)
  • (d) 譲歩 (〜だけれども、〜にもかかわらず):
    • **Living** nearby, I rarely see him. (近くに住んでいるけれども、彼に会うことはめったにない。) (= Though I live…)
    • **Admitting** his talent, I don't think he is suitable for the job. (彼の才能は認めるけれども、…) (= Although I admit…)
  • (e) 付帯状況 (〜しながら、そして〜した): 主節の動作と同時に行われる状況や、それに伴う状況を表します。コンマ(,)で区切られて文末や文中に置かれることが多いです。最もよく見られる用法の一つです。
    • The train arrived, **carrying** many passengers. (列車は多くの乗客を乗せ到着した。)
    • He stood silently, his head **bowed**. (彼は頭を垂れ、静かに立っていた。) (with構文に近い独立分詞構文)

3.3. 分詞構文の意味上の主語

  • 原則: 主節の主語と一致: 分詞構文の動作主は、通常、主節の主語と同じです。これが分詞構文が成り立つ基本的な条件です。
  • 独立分詞構文: まれに、分詞構文の意味上の主語が主節の主語と異なり、それが分詞の前に明示されることがあります。やや硬い、または慣用的な表現です。
    • **Other conditions being** equal, I prefer this plan. (他の条件が同じならば、…) (意味上の主語: Other conditions)
    • **Judging** from his appearance, he seems very tired. (外見から判断すると、…) (慣用的な表現で、意味上の主語は一般の人々 We/You)
    • **Generally speaking**, Japanese people are polite. (一般的に言って、…) (同上)
  • 懸垂分詞 (Dangling Participle) – 誤用注意: 分詞構文の意味上の主語が主節の主語と一致せず、意味的に不自然になる文は「懸垂分詞」と呼ばれ、誤りとされます。
    • (誤) Driving along the coast, the blue sea was beautiful. (海岸沿いを運転していたのは誰? 青い海ではないはず。)
    • (修正例) **Driving** along the coast, **we** saw the beautiful blue sea. / **As we drove** along the coast, the blue sea was beautiful.

3.4. 分詞構文の否定・時制・態

  • (a) 否定: 分詞の直前に not または never を置きます。
    • **Not knowing** what to do, she asked for advice. (どうすべきかわからなかったので、…)
    • **Never having visited** the city before, I got lost easily. (以前その街を訪れたことがなかったので、…)
  • (b) 時制(完了分詞構文): 分詞構文の表す時が、主節の時よりも過去(前)であることを明確にする場合、<Having + 過去分詞> または <Having been + 過去分詞> の形(完了分詞構文)を使います。
    • **Having failed** once, he didn't want to try again. (一度失敗したので、…) (= Because he had failed…)
    • **Having lived** abroad for years, she speaks fluent English. (長年海外に住んでいたので、…) (= As she has lived…)
    • **Having been warned** about the danger, he proceeded carefully. (危険について警告されていたので、…) (= As he had been warned…) (完了受動)
  • (c) 態(受動分詞構文): 分詞構文の意味上の主語が動作を「される」場合、<(Being) + 過去分詞> または <Having been + 過去分詞> を使います。Being はしばしば省略されます。
    • **(Being) Asked** an unexpected question, she didn't know how to answer. (予期せぬ質問をされたので、…) (= As she was asked…)
    • **Left** alone, the child began to cry. (一人にされたので、…) (= When he was left…)
    • **Having been invited** to the party, she bought a new dress. (パーティーに招待されたので、…) (= As she had been invited…)

3.5. 付帯状況の with 構文: <with + O + 分詞/形容詞/副詞/前置詞句>

「Oが〜している状態で」「Oが〜された状態で」という付帯状況(〜しながら)を表す重要な構文です。O(名詞・代名詞目的格)とその後ろに来る要素(分詞、形容詞など)の間に意味上の「主語-述語」関係があります。

  • with + O + 現在分詞 (-ing): Oが能動的に〜している状態で。
    • He was listening to music **with** his eyes **closed**. (目を閉じた状態で) ※これは次項
    • She stood there **with** tears **running** down her cheeks. (涙が頬を流れ落ちている状態で)
  • with + O + 過去分詞 (pp): Oが**〜される、〜された**状態で。
    • He sat **with** his legs **crossed**. (脚を組まれた状態で → 脚を組んで)
    • Don't speak **with** your mouth **full**. (口がいっぱいにされた状態で → 口に物を入れたまま) ※fullは形容詞
  • with + O + 形容詞/副詞/前置詞句: Oが特定の状態・場所にある状態で。
    • He fell asleep **with** the TV **on**. (テレビがついた状態で) (onは副詞)
    • She came in **with** a smile **on her face**. (顔に笑みを浮かべて) (on her faceは前置詞句)

この構文は、描写を豊かにするのに非常に役立ちます。

4. 分詞の知識を読解と作文に活かす

4.1. 読解における分詞の役割

  • 修飾関係の明確化: 分詞(句)が前から修飾しているのか、後ろから修飾しているのか、そしてどの名詞を修飾しているのかを正確に捉えることが、文構造把握の基本です。現在分詞と過去分詞の意味の違い(能動/受動、進行/完了)を見抜くことも重要です。感情動詞の分詞の解釈には特に注意が必要です。
  • 分詞構文の的確な解釈: 文頭・文中・文末に現れる分詞構文が、主節に対してどのような意味関係(時、理由、条件、譲歩、付帯状況)で接続されているのかを、文脈から的確に判断する能力が求められます。意味上の主語は誰か、主節との時制関係はどうか(完了形か)なども考慮に入れる必要があります。
  • 文の圧縮と流れの理解: 分詞構文は文を簡潔にするための手法です。読解においては、省略された接続詞や主語を補って考えることで、元の論理関係や文と文の繋がりをより明確に理解できます。

4.2. 作文における分詞の活用

  • 描写力の向上: 名詞を修飾する分詞(特に後置修飾)を使うことで、単なる形容詞では表現しきれない、より具体的で生き生きとした描写が可能になります。感情動詞の分詞を使い分ければ、ニュアンスも豊かになります。
  • 文の簡潔化と接続: 分詞構文を効果的に用いることで、接続詞を多用した単調な繰り返しを避け、より簡潔で流暢な、洗練された印象の文章を作成できます。特に関連性の強い2つの動作(連続動作や付帯状況)を結びつけるのに有効です。
  • 正確な分詞の選択と構築: 描写したい内容に合わせて、現在分詞(能動・進行)と過去分詞(受動・完了)を正しく選択することが重要です。分詞構文を作る際には、意味上の主語が主節の主語と一致しているかを確認し、懸垂分詞にならないように注意する必要があります。また、時制(完了形)や態(受動態)も必要に応じて正しく反映させることが求められます。with構文も表現の幅を広げます。

5. まとめ:分詞は描写と接続の達人

分詞(現在分詞 -ing と過去分詞 pp)は、動詞の性質を持ちながら、形容詞や副詞としても機能する、非常に用途の広い準動詞です。

形容詞としては、名詞を前から修飾したり、句として後ろから修飾したり、文の補語になったりして、物事を具体的に描写する上で重要な役割を果たします。現在分詞(能動・進行)と過去分詞(受動・完了)の意味の違いを理解し、使い分けることが鍵となります。

副詞としては、分詞構文を形成し、接続詞や主語を省略して文を簡潔に繋ぎ、時・理由・条件・譲歩・付帯状況といった多様な意味関係を表します。文脈からその意味を正確に読み取り、また作文で効果的に使用するには、意味上の主語、否定、時制、態のルールを理解しておく必要があります。

分詞をマスターすることは、英語の描写力を高め、文の構造をより柔軟かつ効率的に操ることを可能にします。読解においても作文においても、この「描写と接続の達人」である分詞を使いこなすことが、高度な英語運用能力への道を開くでしょう。

次の「分詞:演習編」では、用法識別、意味解釈、分詞構文の作成と解釈、with構文など、この講義で学んだ内容を実践的な問題を通して練習し、理解を深めていきます。

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