【共通テスト 英語】Module 2: 情報検索型問題(広告・Eメール・図表)の高速処理
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【本記事の目的と概要】
本モジュールでは、共通テストリーディングの序盤〜中盤に配置される大問1から大問4、いわゆる「情報検索型問題」を、圧倒的な速さと正確さで処理するための戦術を徹底的に解説します。これらの大問は、複雑な論理読解よりも**「必要な情報を、いかに速く、正確に見つけ出し、整理・照合できるか」という情報処理能力が問われます。ここで時間を稼ぎ、確実に得点を積み重ねることが、後半の長文問題に余裕を持って臨むための絶対条件です。本稿では、「広告・案内」「Eメール・テキスト」「図表・グラフ」「レビュー・アンケート」**といった多様なマテリアルを効率的に読み解き、複数情報を統合する思考法まで、具体的な過去問を題材に、得点力を最大化する実践的テクニックを網羅します。
目次
7. 広告・案内の読解:必要情報の迅速な抽出と条件整理
7.1. 広告・案内問題の本質:時間との勝負
- 目的は情報抽出のみ
- 大問1や第3問Aなどで出題される広告(Advertisement)、案内(Flyer, Announcement)、ウェブサイトの告知といった形式の問題は、文章の論理を深く理解することよりも、設問が要求する情報をピンポイントで抜き出すことが目的です。
- これらの文章は、見出しや箇条書き、太字などを用いて視覚的に情報が整理されている場合が多く、Module 1で学んだスキャニングが最も効果を発揮するパートです。
- 時間配分の重要性
- 大問1A・Bを合わせて6分以内、大問3Aを3〜4分で処理するのが理想的なペースです。ここで時間をかけすぎると、後半の大問で確実に時間が不足します。
- 高速処理の鍵は、**「設問を先に読み、探すべき情報(キーワード)を特定してから本文をスキャンする」**という鉄則を徹底することです。
7.2. 高速処理のための思考アルゴリズム
- 設問分析:設問文を読み、疑問詞(What, When, Where, Who, How muchなど)とキーワード(固有名詞、数字、特定のサービス名など)を特定します。「何を探すべきか」を明確にします。
- 本文の構造把握(超高速スキミング):本文全体を眺め、見出し(例:「How to Enter」「Prizes」「Schedule」など)や情報のブロックがどこにあるか、レイアウトを瞬時に把握します。
- キーワードによるスキャニング:特定したキーワードを目印に、本文を高速でスキャンし、関連情報が書かれている箇所を探し当てます。
- 該当箇所の精読と条件整理:キーワードが見つかった文、およびその周辺を精読し、設問の要求と照合します。特に、割引や特典の「条件」(例:「〜した場合のみ」「〜まで」)には細心の注意を払います。
- 選択肢の照合:精読して得た情報と完全に一致する選択肢を選びます。他の選択肢がなぜ誤りか(記述なし、矛盾、条件不一致など)を瞬時に判断できるのが理想です。
- 【実践例:2022年度本試験 大問1B キリンの赤ちゃんの命名コンテスト】
- 設問1:
You can enter this contest between
- 思考プロセス:
- 設問分析: キーワードは
enter
とbetween
。コンテストに応募できる「期間」を探す。 - 本文の構造把握:
How to Enter
という見出しが目に入る。このセクションに期間に関する情報がある可能性が高い。 - スキャニング:
How to Enter
セクションをスキャンすると、Names are accepted starting at 12:00 a.m. on June 1 until 11:59 p.m. on June 7.
という一文を発見。 - 該当箇所の精読: 「6月1日午前12時から6月7日午後11時59分まで」と明確に書かれている。
- 選択肢の照合: 選択肢
②June 1 and June 7
が本文の記述と完全に一致する。
- 設問分析: キーワードは
- 思考プロセス:
- 設問3:
If the name you submitted is included among the five finalists, you will
- 思考プロセス:
- 設問分析: キーワードは
five finalists
。ファイナリストになった場合に「何がもらえるか」を探す。 - 本文の構造把握:
Prizes
という見出しが直接的な手がかりとなる。 - スキャニング:
Prizes
セクションをスキャンする。All five contest finalists will receive free one-day zoo passes valid until the end of July.
という記述を発見。 - 該当箇所の精読: ファイナリスト5名全員が「7月末まで有効な1日無料入園券」を受け取れるとある。
- 選択肢の照合: 選択肢
① get free entry to the zoo for a day
は、「動物園に1日無料で入れる」という意味であり、free one-day zoo passes
の完璧なパラフレーズとなっている。これが正解。
- ちなみに、選択肢
④take a picture with the giraffe's family
は、The one who submitted the winning name will also get a special photo...
とあり、「優勝者」の賞品であるため、「ファイナリスト」の賞品としては誤り。このように、**条件(誰が何をもらえるか)**を正確に読み取ることが重要。
- 設問分析: キーワードは
- 思考プロセス:
- 設問1:
8. Eメール・テキストメッセージの文脈把握:発信者の意図と要求の特定
8.1. 対話形式問題のポイント:文脈と関係性の理解
- Eメールやテキストメッセージ形式の問題では、単なる情報検索に加えて、**登場人物間の関係性や、やり取りの文脈(流れ)**を理解することが求められます。
- 特に重要なのは、以下の点を把握することです。
- 誰が誰に送っているのか? (Sender and Receiver)
- メッセージの目的は何か? (依頼、質問、謝罪、感謝、情報提供など)
- 話の流れはどうなっているか? (問題発生 → 解決策の模索 → 結末)
8.2. 意図と要求を特定する技術
- 依頼・要求の表現に注目する
Can you ...?
、Could you ...?
、I need to ...
、Please ...
といった表現は、相手への明確な依頼や要求を示します。- 例: 2021年度(1月16・17日実施)大問1Aで、Julieは
Can you bring my USB to the library?
と明確に依頼しています。これが彼女のメッセージの核心です。
- 感情や態度を示す表現を読み取る
Help!!!
、What a relief!
、Thanks anyway.
のような感嘆符や感情を表すフレーズは、登場人物の心情を理解する上で重要な手がかりです。- これらの表現から、状況の切迫度や、問題が解決した後の安堵感などを読み取ることができます。
- 返信の文脈を考える
- 応答を問う問題では、直前のメッセージの内容と感情を正確に把握することが不可欠です。
- 例: 2021年度(1月16・17日実施)大問1Aの問2 では、Julieの2番目のメッセージ
You were right! I did have it. It was at the bottom of my bag. What a relief! Thanks anyway.
への返信を考えます。- 文脈: Julieは自分でUSBを見つけ、安堵し、感謝しています。
- 思考プロセス: このポジティブな報告に対し、こちらも安堵や喜びを伝えるのが自然な応答です。
- 選択肢分析:
①Don't worry. You'll find it.
は、見つかる前の励ましの言葉であり、文脈に合いません。②I'm really glad to hear that.
(「それを聞いて本当に嬉しいよ」) は、友人の問題解決を喜ぶ、最も自然で適切な応答です。③Look in your bag again.
は、見つかった後にかける言葉として不適切です。④You must be disappointed.
は、安堵している相手にかける言葉として正反対です。
9. 図表・グラフの定量的読解:数値とラベルから意味を読み解く技術
9.1. 図表・グラフは情報の宝庫
- 共通テストでは、文章の内容を補完、あるいは根拠づけるための図表(Table, Chart)やグラフ(Graph)が頻繁に用いられます。これらは一見複雑に見えますが、読み解くための「型」を身につければ、短時間で大量の情報を正確に処理できる強力な武器になります。
- 図表問題の多くは、数値を比較したり、特定の項目を見つけたりする作業であり、英語力以上に情報処理能力が問われます。
9.2. 図表・グラフ読解の4ステップ
- タイトル(Title)を確認する
- まず図表のタイトルを読み、**「何に関するデータか」**を把握します。
- 例: 2021年度(1月16・17日実施)大問4のグラフタイトルは
Number of Visitors to Westside Aquarium
。これは「ウェストサイド水族館への来場者数」のグラフだと分かります。
- 軸(Axis)と単位(Unit)を確認する
- グラフの場合、横軸(X軸)と縦軸(Y軸)が何を表しているかを必ず確認します。
- 例: 上記の水族館のグラフでは、横軸が
Time of Day
(時間帯)、縦軸がNumber of People
(人数)です。単位を見落とすと、数値を誤って解釈する原因になります。
- ラベル(Label)と凡例(Legend)を確認する
- 表の場合、行(row)と列(column)のラベルが何を示しているかを確認します。
- 例: 2022年度本試験 大問1Aの果物の表 では、列が
Cupuaçu
やJabuticaba
といった果物の名前、行がその特徴(Smells and tastes like...
など)を示しています。 - グラフに複数の線や棒がある場合は、凡例を見てそれぞれが何を表しているかを確認します。
- 設問の要求に従い、データを比較・抽出する
- 設問が「最も多いのは?(most)」「最も少ないのは?(least)」「AとBを比べると?(compare)」など、何を要求しているかを正確に把握し、必要なデータを抽出・比較します。
- 【実践例:2021年度(1月30・31日実施)大問4】
Figure 1. Length of stay in Japan.
とTable 1 Average Amount of Money Spent While Visiting Japan
という2つのデータがあります。- 設問:
People from 27 stay just over half the time in Japan compared to people from 28 , but spend slightly more money on entertainment.
- 思考プロセス:
- 条件分析: 2つの国・地域(27と28)を比較する問題。条件は2つ。
- (A) 27の滞在日数は、28の滞在日数の「半分強 (just over half)」。
- (B) 27の娯楽費は、28の娯楽費より「わずかに多い (slightly more)」。
- データ照合: 選択肢(
①Australia
,② China
,③ France
,④Taiwan
)を一つずつ吟味します。 - 選択肢の組み合わせを試す:
27 = China
,28 = France
の組み合わせを考えます。- (A) 滞在日数: China (9.7日) vs France (18.4日)。
9.7
は18.4
の「半分強」であるため、条件(A)を満たします。 - (B) 娯楽費: China (7,998円) vs France (32,472円)。これではフランスの方が多いため、条件(B)を満たしません。
- (A) 滞在日数: China (9.7日) vs France (18.4日)。
- このように一つずつ条件を当てはめていくと、解答を絞り込むことができます。(注:この設問は複雑であり、本番では全ての組み合わせを試すのではなく、目立つ特徴から当たりをつけることが重要です)
- 条件分析: 2つの国・地域(27と28)を比較する問題。条件は2つ。
10. レビュー・アンケート結果の分析:「事実(Fact)」と「意見(Opinion)」の識別
10.1. Fact vs. Opinion:客観と主観を見抜く
- 共通テストでは、レビュー、コメント、アンケート結果などの文章から、「事実(Fact)」と「意見(Opinion)」を区別する能力が頻繁に問われます。
- 事実 (Fact):客観的に検証可能であり、真偽を確かめることができる事柄。「誰が何をした」「何がどこにある」「データが何を示している」など。
- 意見 (Opinion):話し手や書き手の主観的な判断、感情、評価、推測、提案など。「〜だと思う」「〜が好きだ」「〜すべきだ」「〜だろう」など。
- この識別は、特に大問2や大問4で、複数の人物のコメントや評価を分析する際に不可欠なスキルです。
10.2. 識別マーカーと実践的アプローチ
- 意見(Opinion)を示す表現
- 思考・判断:
I think
,I believe
,I feel
,It seems
- 感情・評価:
good
,bad
,great
,amazing
,interesting
,disappointed
- 助動詞:
should
,could
,may
,might
(提案や推測) - 最上級・比較級:
the best
,more beautiful
(主観的評価を含む場合)
- 思考・判断:
- 事実(Fact)を示す表現
- 具体的な行動:
I went to the store.
,He made a speech.
- 客観的データ:
The score was 5.0.
,The price is $40.
- 直接的な観察:
The room is gray.
- 具体的な行動:
- 【実践例:2021年度(1月16・17日実施) 大問2A バンドコンテスト】
- 本文には
Judges' final average scores
(事実のデータ) とJudges' individual comments
(意見と事実が混在) があります。 - 設問:
One fact from the judges' individual comments is that
- 思考プロセス:
individual comments
の中から「事実」を探す。 - 選択肢分析:
①all the judges praised Green Forest's song
: HobbsI loved Green Forest's original song.
、Leighperformed a fantastic new song
、WellsI loved it!
。全員が褒めているのは事実です。②Green Forest need to practice more
: LeighのI think they need to practice more.
という発言に基づくが、I think
があるためこれは意見です。③Mountain Pear can sing very well
: Hobbssinging was great.
、Leighhave great voices
。これも複数の審査員が認めているため、客観的な評価(事実)とみなせます。④Silent Hill have a promising future
: LeighのI really think that Silent Hill will become popular!
という発言に基づくが、I really think
と未来の予測であることから意見です。
- 思考プロセス:
- 本文には
11. 複数情報の照合:テキストと図表の相関関係を見抜く思考法
11.1. 共通テストの真骨頂:情報の統合能力
- 大問4に代表されるように、近年の共通テストでは、複数の異なる形式の情報源(テキスト、Eメール、図表、グラフ、地図など)を横断的に読み解き、それらを統合して結論を導き出す能力が重視されています。
- これは、単に一つの文章を読むだけでは完結せず、情報Aと情報Bを論理的に結びつける「編集・統合能力」を試す問題です。
11.2. 情報を統合するための思考プロセス
- 全体像の把握(高速スキミング):まず、与えられた複数の資料(例:Eメールと時刻表とグラフ)にざっと目を通し、「誰が」「何について」「どのような資料を使って」やり取りしているのか、全体の関係性を把握します。
- 設問分析と起点情報の特定: 設問を読み、解答の出発点となる情報(起点情報)がどの資料にあるかを見極めます。多くの場合、テキスト部分(Eメールや記事)にヒントが隠されています。
- 起点情報から関連情報へジャンプ: テキスト部分で得た情報(例:「最も空いている時間帯に行きたい」)を元に、関連する別の資料(例:混雑状況のグラフ)へと視点を移します。
- 情報の照合と絞り込み: 複数の資料から得た情報を突き合わせ、設問の条件に合うものを絞り込んでいきます。
- 最終的な結論の導出: すべての条件を満たす唯一の選択肢を特定します。
- 【実践例:2021年度(1月16・17日実施) 大問4】
- 状況: 学校行事の計画について、NatsukiとEmmaがメールでやり取り。資料として電車の時刻表と水族館の来場者数グラフが添付されている。
- 設問2:
Which best completes the draft schedule?
- 思考プロセス:
- 全体像把握: Natsukiが午後の活動として水族館と植物園を提案し、Emmaがそれに対して返信している。スケジュールを完成させる問題。
- 起点情報特定: スケジュール案
Draft schedule
の空欄を埋める必要がある。特に午後の活動13:30
と15:30
がポイント。 - 情報へのジャンプと照合:
- Natsukiのメール: 水族館
Westside Aquarium
は人気なのでleast busy
な時間帯に行きたいと提案している。 - グラフ参照:
Number of Visitors to Westside Aquarium
のグラフを見ると、最も来場者数が少ない(least busy
)のは15:00-16:00
の時間帯である。 - Natsukiのメール: 植物園
Eastside Botanical Garden
では教授のトークがin the early afternoon
にあると提案している。 - 論理的統合: これらを考慮すると、13:30(午後の早い時間)に植物園へ行き、15:30(最も空いている時間)に水族館へ行くのが最も合理的な計画となる。
- Natsukiのメール: 水族館
- 選択肢分析: この流れに合致するのは
B: The botanical garden
→A: The aquarium
の順。スケジュール案の時刻と照らし合わせると、②D→B→A→C
(D:学校→B:植物園→A:水族館→C:モール)の順序が最も適切であると判断できる。
- 思考プロセス:
【結論・要約】
情報検索型の問題群(大問1〜4)は、共通テストリーディングの得点基盤を築く上で極めて重要なセクションです。本モジュールで解説した①広告・案内の条件整理、②Eメール等の文脈把握、③図表の定量的読解、④Fact/Opinionの識別、⑤複数情報の照合という5つのスキルを駆使することで、これらの問題を迅速かつ正確に処理する能力が身につきます。常に「設問が何を求めているか」を起点とし、スキャニングとスキミングを使い分け、複数の情報を論理的に統合する訓練を積むことが、高得点への最短ルートとなるでしょう。