【明治大学】【全学部統一】【英語】 【2025年度】 徹底分析・解説(パート1・改)
目次
1. 試験の全体像
試験概要
- 試験時間: 60分
- 大問構成: 大問3題
- 総設問数: 43問
- 解答形式: マークシート方式
全体難易度
★★☆☆☆ 標準
2025年度の明治大学全学部統一入試の英語は、例年通りの大問3題構成(長文読解2題、インタビュー記事1題)であった。試験時間60分に対して設問数が43問と多く、迅速かつ正確な情報処理能力が求められる。
英文の語彙や構文の難易度は標準的であり、基礎的な単語力と文法知識を固めていれば十分に読み解けるレベルである。しかし、設問一つひとつに時間をかけすぎると、試験時間内に全問解き終えることが困難になる。
特に大問Ⅰ・Ⅱの長文読解が試験の核となる。ここで高得点を確保しつつ、大問Ⅲの平易な問題を取りこぼさないための、戦略的な時間配分が合否を分ける。全体として、奇問・難問は少なく、基礎知識をいかに正確に運用できるかを問う良質な問題構成と言える。
特徴と傾向
- 読解量と時間制約のバランス: 60分で3題(長文2、インタビュー1)を処理する必要があり、速読能力が不可欠である。特に長文1題あたりにかけられる時間は20分弱と見積もるべきであり、設問処理を含めた高い時間管理能力が試される。
- 標準的な語彙・文法問題: 空所補充、同意語句、整序英作文など、設問形式はオーソドックスである。これらは受験生の基礎的な英語力を直接問うものであり、本学の試験が基礎力の徹底を重視していることを示している。
- テーマの現代性: 大問Ⅰでは「AIと音楽視聴習慣」、大問Ⅱでは「生物多様性と文化多様性」、大問Ⅲでは「インドで活躍する日本人YouTuber」と、現代社会の動向を反映したテーマが選ばれている。これらのテーマに関する背景知識がなくとも解けるが、日頃から多様な英文に触れていると有利に働く可能性がある。
戦略的アドバイス
- 時間配分: 大問1題あたり最大20分が目安となる。大問Ⅰ(20分)、大問Ⅱ(20分)、大問Ⅲ(15分)、見直し(5分)といった配分が理想的である。特に大問Ⅲは比較的解きやすいため、確実に得点源としたい。
- 解答順序: オーソドックスに大問Ⅰから順に進めるのが基本だが、もし大問Ⅲのインタビュー記事形式(会話文)を得意としているなら、先にそちらを片付けて精神的な余裕を作る戦略も有効である。
- 基礎の徹底: 本試験の設問は、その多くが「基礎英語」のModule 1〜4(語彙・文法・構文)で扱われる基本知識の運用で解けるように設計されている。特に語彙問題(問2)や整序問題(問3)は、基礎知識の定着度がそのまま得点に直結する。
2. 大問別分析・解説
大問Ⅰ
音楽の聴取方法の変遷と、AIが現代の音楽体験に与える影響について論じた英文である。文章構造は時系列(ライブ音楽→ラジオ・レコード→ウォークマン→現代のストリーミング)に従っており、理解しやすい。AIの利点と、それがもたらす懸念(データ収集、個性の均一化)についてバランス良く言及されている。
問1
解説
(1)
- 出題意図の分析: 文脈に合う接続詞(論理関係)の理解を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 20秒
- 戦略的コメント: 確実に得点すべき基本問題である。
思考プロセス
- 空所(1)の前の文()が「ラジオとレコードプレーヤーは音楽との関わりを変革した」という肯定的な変化を述べていることを把握する。
- 空所(1)の後の文()が「これらのデバイスは当初固定式だったため、リスニングにはまだ社会的な要素があった」という、変革の側面または限定条件を述べていることを把握する。
- 前文の「変革」と後文の「まだ残る要素(限界)」との間の論理関係(逆接、譲歩、対比など)を特定する必要がある。
(2)
- 出題意図の分析: 比較級の強調表現の正しい語順を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。文法知識の正確性が問われる。
思考プロセス
- “It became a lot easier for music to be a deeply private and personal experience ( 2 ) with the introduction of the iPod…” という文の構造を把握する。
- 空所の直前に “easier” という比較級があることに着目する。
- 文脈から、iPodやスマートフォンの導入によって「(ウォークマンの時よりも)『さらに一層』簡単になった」という、比較級を強調する意味合いを推測する。
- “even” や “so” を用いた比較級の強調表現の正しい語法・語順の知識を照合する必要がある。
(3)
- 出題意図の分析: 文脈に合う接続詞(時間的関係)の理解を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。
思考プロセス
- 空所(3)の前の節が「カセットプレーヤーの録音ボタンを押して、それを曲ごとにキャプチャーする」という動作を述べていることを把握する。
- 空所(3)の後の節が「お気に入りの曲のミックステープを手に入れる」という結果または目的の状態を述べていることを把握する。
- 「(結果の状態)になる『まで』(動作)を続ける」という時間的な継続と完了を示す論理関係を特定する必要がある。
(4)
- 出題意図の分析: 文脈に適合する動詞の語彙力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。
思考プロセス
- “…fears that AI can’t be trusted and will end up ( 4 ) people.” という文の構造を把握する。
- “end up (動詞のing形)” で「最終的に〜することになる」というイディオムであると特定する。
- 文脈(-)がAIによる個人情報収集への懸念や、「本当に好きだからか、AIに誘導されたからか」という疑念について述べていることを確認する。
- この文脈から、AIが人々に対して行うネガティブな動作(「操作する」「欺く」「誘導する」など)が入る可能性を推測する。
(5)
- 出題意図の分析: 分詞構文の用法と文脈理解を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 45秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。主節の主語との関係を考える必要がある。
思考プロセス
- 空所(5)からカンマ(MTV and VH1*6)までが文の導入部(副詞句または分詞構文)であり、主節が “adolescents’ musical consumption was dominated…” であることを特定する。
- 主節の主語 “adolescents’ musical consumption”(若者の音楽消費)と、空所(5)の動作主との関係を分析する。
- 文脈から「ラジオやMTVで定期的に流れる同じ曲(a steady diet of the same songs)に(若者たちが)さらされる」という受動的な関係を推測する。
- 主節の主語(音楽消費)と導入部の意味上の主語(若者たち)が異なるように見えるが、導入部が主節全体の内容を修飾する分詞構文(理由や時)として機能する可能性を検討する。
- 空所(5)の動詞 “expose”(さらす)の形(原形、ing形、過去分詞形、不定詞形)が、文法的に適切かどうかを判断する必要がある。
(6)
- 出題意図の分析: イディオム(副詞句)の知識を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 20秒
- 戦略的コメント: 確実に得点すべき基本問題である。
思考プロセス
- “…it doesn’t prevent listeners from researching and discovering music ( 6 ), or sharing playlists…” という文の構造を把握する。
- 文脈()が「AIが曲を提案するからといって、リスナーが(AIに頼らず)音楽を研究・発見することを妨げるわけではない」という内容であることを理解する。
- 「自力で」「独力で」という意味を表すイディオムを特定する必要がある。
解答例
(1) A
(2) A
(3) C
(4) C
(5) B
(6) D
解答のポイント
(1)
前文()は「変革(transformed)」というポジティブな側面を述べている。後文()は「デバイスが固定式(stationary)だったので、まだ(still)社会的な要素があった」と述べ、技術革新の初期段階の限定的な側面、すなわち「変革」に対する対比的な事実を提示している。したがって、逆接・対比を示す A. But が最も適切である。
(2)
“even more so” は「なおさらそうである」「一層そうである」という意味の比較級を強調する定型表現である。文脈は「(ウォークマンによって音楽は私的な体験になったが)iPodやスマートフォンの導入によって、それはさらに一層そう(=私的で個人的な体験)になった」という意味になる。A. even more so が文法的に正しく、文脈にも合致する。
(3)
空所の前は「曲を録音し、キャプチャーする」という継続的な動作、空所の後は「ミックステープが完成する」という到達点(完了)を示している。動作がある時点まで継続することを表す接続詞は C. until(~するまで)である。
(4)
直前の文脈()で「個人情報やデータの取得に関する懸念」が述べられ、直後の文脈()で「AIに類似の曲を与えられた結果として好きになっているのではないか」という疑念が述べられている。AIがリスナーの聴取傾向を分析し、それに基づいて推薦することで、リスナーの好みを「操作している」のではないかという懸念である。したがって、文脈に最も合うのは C. manipulating(操作する)である。
(5)
この文は、”Adolescents were exposed to a steady diet…” という文(若者たちは~にさらされていた)が分詞構文になったものと解釈できる。主節の主語 “adolescents’ musical consumption”(若者の音楽消費)と分詞構文の意味上の主語(若者たち)は厳密には異なるが、文脈上、若者たちが同じ曲にさらされていた「結果として」あるいは「状況で」、彼らの音楽消費は支配されていた、と解釈するのが自然である。受動態の分詞構文 B. Exposed を用いて、「~にさらされていた(ので)」という理由や付帯状況を示すのが最も適切である。
(6)
“on one’s own” は「自力で、独力で」という意味のイディオムである。文脈()は「AIが提案しても、リスナーが自力で音楽を発見することを妨げない」という意味になり、適切である。D. on their own(listeners’ = their)が正解となる。この表現は「基礎英語」のModule 2(イディオム)でも扱われる基本知識である。
問2
解説
(7) elicit
- 出題意図の分析: 文脈から英単語の意味を推測する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。知らなくても文脈から推測可能。
思考プロセス
- 下線部(7)が文中で動詞として “positive ones” (= positive emotions) を目的語にとっていることを確認する。
- 文脈()が “Songs can divert unpleasant emotions or (7) positive ones”(歌は不快な感情を「そらす」か、またはポジティブな感情を「(7)」することができる)という対比的な構造になっていることに着目する。
- 「不快な感情をそらす」ことと対比的に「ポジティブな感情」に対して行う動作として、どのような意味が適切か(「生み出す」「引き出す」「高める」など)を推測する。
(8) tracks
- 出題意図の分析: 文脈中の動詞の多義語理解を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。”track” の基本義「追跡する」が分かれば容易。
思考プロセス
- 下線部(8)が “Al” を主語とし、”the activity” を目的語にとる動詞であることを確認する。
- 文脈()が「AIは(ユーザーの)活動を(8)し、それを他のリスナーのデータと比較する」という内容であることを把握する。
- AIがユーザーの活動(どの曲を聴いたか、シェアしたか)を「追跡する」「監視する」「記録する」といった意味合いを推測する。
(9) populated with
- 出題意図の分析: イディオム(受動態)の文脈理解を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 20秒
- 戦略的コメント: 確実に得点すべき基本問題である。
思考プロセス
- 下線部(9)が “Their playlists are (9) songs and artists…” という受動態の形で使われていることを確認する。
- “populate”(住まわせる、植民する)の基本義から、「プレイリストが、聞いたこともないが似通った曲やアーティスト『で』占められている、満たされている」という比喩的な意味を推測する。
(10) repertoire
- 出題意図の分析: 文脈から英単語の意味を推測する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。音楽関連の用語として知っていると有利。
思考プロセス
- 下線部(10)が “a widely shared … repertoire of musical knowledge”(広く共有された…音楽知識の(10))という文脈で使われていることを確認する。
- 直前の文脈()で、過去の若者の音楽消費は「Top-40」アーティストに支配されていたと述べられている。
- 「Top-40」という狭い範囲で共有されていた「音楽知識」の「一覧」「範囲」「集まり」といった意味を推測する。
(11) recognizable
- 出題意図の分析: 文脈に合う形容詞の語彙力を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 20秒
- 戦略的コメント: 確実に得点すべき基本問題である。”recognize”(認識する)の派生語。
思考プロセス
- 下線部(11)が “they are more (11) and representative…”(それら=新しいジャンルが、より(11)で代表的なものになる)という文脈で使われていることを確認する。
- “recognize”(認識する、見分ける) + “-able”(できる)から、「認識可能な」「見分けがつく」という意味を推測する。
(12) dull
- 出題意図の分析: 基本的な形容詞の語彙力を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 20秒
- 戦略的コメント: 確実に得点すべき基本問題である。
思考プロセス
- 下線部(12)が “If teens think their AI-influenced playlists are (12)…”(もし10代がAIプレイリストを(12)だと考えるなら)という文脈で使われていることを確認する。
- 直前の段落()で、AIのプレイリストは “strikingly similar”(驚くほど似通っている)と述べられていることに着目する。
- 似通ったものばかりで「退屈だ」「つまらない」という意味を推測する。
解答例
(7) D
(8) B
(9) B
(10) A
(11) C
(12) A
解答のポイント
(7)
文脈は「歌は不快な感情をそらすか、ポジティブな感情を(引き起こす)ことができる」という対比構造である。”elicit” は「(感情・反応などを)引き出す、誘発する」という意味の動詞であり、D. provoke(引き起こす、誘発する)が最も近い。
(8)
“track” はここでは「(データや動向を)追跡する、監視する」という意味で使われている。AIがユーザーの活動を「追跡・監視し」、そのデータを分析して推薦を改善するという文脈である。したがって、B. monitors(監視する)が最も近い。
(9)
“populated with” は「~で満たされている、~で占められている」という比喩的な意味で使われている。”Their playlists are populated with songs…” は「彼らのプレイリストは~の曲で満たされている」となる。したがって、B. filled with(~で満たされている)が最も近い。
(10)
“repertoire” は、元々は演奏家や劇団の「上演目録、レパートリー」を指す言葉だが、ここでは比喩的に「知識や技能の全範囲、一覧、蓄積」といった意味で使われている。文脈は「広く共有されているが、おそらくは狭い、音楽知識の蓄積」となる。A. collection(収集、集まり)が最も近い意味を持つ。
(11)
“recognizable” は “recognize”(認識する)の形容詞形で「認識できる、見分けがつく」という意味である。Spotifyが新しいジャンルを作ることで、それらがリスナーにとって「より認識しやすく(見分けがつきやすく)」なる、という文脈である。したがって、C. identifiable(識別可能な、確認できる)が最も近い。
(12)
“dull” は「退屈な、つまらない」という意味の基本的な形容詞である。AIが作るプレイリストが似たような曲ばかりで「退屈だ」とティーンが感じる、という文脈である。したがって、A. boring(退屈な)が正解である。
問3
解説
(13)
- 出題意図の分析: “whether A or B”(AであろうとBであろうと)の節内での語順整序。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 60秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。”whether it’s” の後に “while doing…” という句が挿入される構造を見抜けるかが鍵となる。
思考プロセス
- 与えられた語句 [homework, while, it’s, whether, doing] が、直前の “day,” と直後の “training for sports…” の間で、並列される状況の一つ(「宿題をしている時」)を示すと推測する。
- “whether” が接続詞として機能し、”whether A, B, or C”(Aであれ、Bであれ、Cであれ)という譲歩の副詞節を導く構造を仮定する。
- “while doing homework”(宿題をしている間)という句の構造を特定する。
- “it’s” (S+V) が “while doing homework” という状況を指す “whether it’s (while doing homework)…” という構造を組み立てる必要がある。
- 正しい語順 “whether (D) / it’s (C) / while (B) / doing (E) / homework (A)” を導き出す。
(14)
- 出題意図の分析: 間接疑問文(what S V)の語順整序。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 45秒
- 戦略的コメント: 確実に得点すべき基本問題である。間接疑問文の語順は「基礎英語」Module 3(構文)の基本事項である。
思考プロセス
- 与えられた語句 [hear, a, what, wants, user, to] が、動詞 “know” の目的語となる名詞節(間接疑問文)を形成すると推測する。
- 疑問詞 “what (C)” が節の先頭に来ることを特定する。
- 節のS+Vとして “a user (B, E)” + “wants (D)” を特定する。
- “wants to hear (D, F, A)” という不定詞の繋がりを特定する。
- 正しい語順 “what (C) / a (B) / user (E) / wants (D) / to (F) / hear (A)” を導き出す。
(15)
- 出題意図の分析: “with + O + C” の付帯状況、またはOを修飾する分詞の構造。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 60秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。修飾関係(its -> accompanying -> cultural traditions)を正確に把握する必要がある。
思考プロセス
- 与えられた語句 [traditions, accompanying, with, cultural, its] が、直前の “great music” に付帯する状況を示す副詞句を形成すると推測する。
- 前置詞 “with (C)” が句の先頭に来ることを特定する。
- “its (E)”(その=偉大な音楽の)が “cultural (D)” “traditions (A)” という名詞句を修飾する構造を特定する。
- “accompanying (B)”(付随する)が “cultural traditions” を修飾する現在分詞であることを特定する。
- 正しい語順 “with (C) / its (E) / accompanying (B) / cultural (D) / traditions (A)” を導き出す。
解答例
(13) B (while)
(14) E (user)
(15) B (accompanying)
解答のポイント
(13)
文脈は「それが(A)であれ、(B)であれ、(C)であれ」という譲歩の副詞節を求めている。Aに該当するのが「宿題をしている間」である。”whether” (D) が節を導き、”it’s” (C) が S+V となる。”while doing homework” (B, E, A) で「宿題をしている間」。
したがって、正しい語順は “whether (D) it’s (C) while (B) doing (E) homework (A)” となる。この文法的に正しい語順の場合、3番目に来る語は B. while である。
(14)
動詞 “know” の目的語として、「ユーザーが何を聞きたがっているか」という間接疑問文(名詞節)を作る。”what” (C) が疑問詞として節を導き、”a user” (B, E) が主語(S)、”wants” (D) が動詞(V) となる。”wants to hear” (D, F, A) で「聞きたい」。
したがって、正しい語順は “what (C) a (B) user (E) wants (D) to (F) hear (A)” となる。この文法的に正しい語順の場合、3番目に来る語は E. user である。
(15)
直前の “great music” に付帯する状況として、「それに付随する文化的な伝統と共に」という意味の副詞句を作る。前置詞 “with” (C) が句を導き、”its” (E) が「その(音楽の)」、”accompanying” (B) が「付随する」、”cultural traditions” (D, A) が「文化的な伝統」。
したがって、正しい語順は “with (C) its (E) accompanying (B) cultural (D) traditions (A)” となる。この文法的に正しい語順の場合、3番目に来る語は B. accompanying である。
問4
解説
(16)
- 出題意図の分析: 文脈の論理的な繋がり(指示語 “this” の内容)を把握する文挿入。
- 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難
- 目標解答時間: 60秒
- 戦略的コメント: 合否を分けるやや難問題である。指示語 “this” が何を指すかを正確に特定することが鍵。
思考プロセス
- 挿入する文 “Al-generated playlists have disrupted this, which may not necessarily be a bad thing.” の内容を分析する。
- “this” が指す内容が、挿入箇所の直前で述べられているはずであると仮定する。
- “this” は「AIによって破壊された(disrupted)もの」であり、かつ「それが破壊されたことは必ずしも悪いことではない(may not necessarily be a bad thing)」と評価されるものである、という2点を確認する。
- 本文中の各空所(ア)~(オ)の直前の文脈を調べ、”this” の指示対象として適切な箇所を探す。
- (ア)直前: プライベートな聴取体験。
- (イ)直前: ミックステープ作成。
- (ウ)直前: AIによるヒット予測の精度(50%)。
- (エ)直前: 過去の若者の音楽の好みは「Top-40」アーティストに支配され、狭いレパートリーによって形成されていた(-)。
- (オ)直前: 多様な音楽(インドポップ、J-Rockなど)に触れられる。
- “this” が(エ)の直前の文脈(Top-40に支配され、狭いレパートリーによって好みが形成されていた状況)を指すかどうかを検証する。
- 挿入文の後半「必ずしも悪いことではない」が、(エ)の後の文脈(以降の「驚くほど多様な音楽が利用可能になった」という肯定的な内容)と論理的に繋がるかどうかを検証する。
解答例
(16) D (エ)
解答のポイント
挿入する文は “Al-generated playlists have disrupted this, which may not necessarily be a bad thing.” である。
指示語 “this” が指す内容を直前の文脈に探す必要がある。
(エ)の直前(〜)では、過去の若者の音楽体験について述べられている。彼らの音楽消費はラジオやMTVの「Top-40」アーティストに支配されており、その好みは「広く共有されているが、おそらくは狭い(narrow)、音楽知識のレパートリー」によって形成されていた。
挿入文の “this” は、この「Top-40に支配され、狭いレパートリーに限定されていた状況」を指していると考えられる。「AI生成のプレイリストは、この(狭い世界での)状況を破壊した」と解釈できる。
さらに、挿入文の後半 “which may not necessarily be a bad thing”(そしてそれは必ずしも悪いことではない)は、(エ)の後の文脈(以降)で述べられる「驚くべき範囲の音楽が若者に利用可能になった」「もはやラジオDJやレコード会社がゲートキーパーとして機能しない」という、AIによる多様性の拡大という肯定的な側面へとスムーズに繋がる。
したがって、最も適切な挿入場所は D. (エ) である。
問5
解説
(17)
- 出題意図の分析: AIとソーシャルメディアが音楽視聴に与える影響に関する、本文の記述内容の理解を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 45秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。本文の該当箇所を正確に特定する必要がある。
思考プロセス
- 設問は「AIとソーシャルメディアプラットフォームは、今日の音楽聴取習慣にどのように影響を与えるか?」と問うている。
- 本文中のAIとソーシャルメディアに関する記述箇所(〜)を探す。
- 該当箇所には「AIとソーシャルメディアプラットフォームが提携してプレイリストを提案する」「AIは(SNSでの)活動を追跡し、他のリスナーのデータと比較し、将来何を聴きたいかの予測を改善する」と記述されていることを確認する。
- 各選択肢をこの記述内容と照合する必要がある。
- A(有名なアーティストのトップヒットのみを再生する)の検証。
- B(リスナーが音楽を聴く時間を増やす)の検証。
- C(ユーザーが新しい音楽を探すのを妨げる)の検証。
- D(ユーザーの活動と好みに基づいてプレイリストを推薦する)の検証。
(18)
- 出題意図の分析: 本文全体の内容と合致する記述を選択する。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 60秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。各選択肢を本文と丁寧に照合する必要がある。
思考プロセス
- 設問は「本文で述べられているのは次のうちどれか?」と問うている。
- 各選択肢の内容を本文全体と照合する必要がある。
- A(AI生成音楽がライブパフォーマンスの質を高めるために使われる): 本文にAI生成音楽やライブパフォーマンスに関する記述があるかを確認する。
- B(AI生成プレイリストは、もはや人気をコントロールできなくなった伝統的な音楽ゲートキーパーの役割を変えた): 本文に「ゲートキーパー」に関する記述()があるかを確認し、その内容と選択肢を照合する。
- C(パーソナライズされたプレイリストは、若者の学業成績を向上させ、集中力を高める): 本文に若者の学習(homework )に関する記述があるが、それが学業成績や集中力の「向上」に寄与すると述べているかを確認する。
- D(ソニー・ウォークマンは音楽聴取を変革したが、利用可能な音楽の多様性を制限した): 本文のウォークマンに関する記述()が、多様性を「制限した」と述べているかを確認する。
解答例
(17) D
(18) B
解答のポイント
(17)
設問は「AIとソーシャルメディアが今日の音楽視聴にどう影響するか」を問うている。
本文(〜)には、「AIとソーシャルメディアプラットフォームが提携して(team up)プレイリストを提案する(suggest playlists for you)」、また「AIはあなたの(SNSでの)活動を追跡し(tracks the activity)、他のリスナーのデータと比較し、将来あなたが聴きたいと思うものの予測を改善する」と明確に記述されている。
これは D. They recommend playlists based on user activity and preferences.(彼ら(AIとSNS)は、ユーザーの活動と好みに基づいてプレイリストを推薦する)という内容と完全に一致する。
A: 「トップヒットのみ」は本文(むしろAIは多様な音楽を推薦する)と矛盾する。
B: 「聴く時間」については言及がない。
C: 「妨げる(inhibit)」は本文(”it doesn’t prevent listeners from…”)と矛盾する。
(18)
本文の内容と合致する選択肢を選ぶ問題。
A: 「AI生成音楽」や「ライブパフォーマンスの質」についての記述は本文にない。
B: 本文()に「もはやラジオDJ、レーティング、レコード会社はゲートキーパーとして機能しない(serve as gatekeepers)」とある。これは「AI生成プレイリストが伝統的な音楽ゲートキーパーの役割を変えた」という B の内容と合致する。
C: 本文()で若者が「宿題をしながら(doing homework)」音楽を聴くとは述べられているが、それが「学業成績を向上させる(improve academic performance)」とは一切述べられていない。
D: ウォークマン()が音楽聴取を変革したとは述べられているが、「音楽の多様性を制限した(limited the variety)」とは述べられていない(むしろ私的な体験を可能にした)。
したがって、正解は B である。
大問Ⅱ
筆者の南米アマゾンでの体験(民族植物学)に基づき、生物多様性の喪失(erosion)と文化多様性の崩壊(collapse)が並行して起こっていることへの警鐘を鳴らすエッセイ。1979年のハーバード大学でのエピソード(生物多様性 vs チベット問題)を対比的に用い、両者が「多様性の維持」という点で本質的に同じ問題であることを論じている。
問1
解説
(19) largely
- 出題意図の分析: 文脈中の副詞の意味を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 20秒
- 戦略的コメント: 確実に得点すべき基本問題である。
思考プロセス
- 下線部(19)が “I traveled in South America, (19) in the Northwest Amazon…”(私は南米を、(19)北西アマゾンで旅した)という文脈で使われていることを確認する。
- 「南米」という広い範囲の中の、より具体的な場所「北西アマゾン」を指して、「主に」「その大部分は」といった意味合いを推測する。
(20) erosion
- 出題意図の分析: 文脈から英単語の比喩的意味を推測する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。”erosion”(侵食)の比喩的用法。
思考プロセス
- 下線部(20)が “the parallel between the (20) of biological diversity and the collapse of cultural diversity”(生物多様性の(20)と文化多様性の崩壊との間の並行関係)という文脈で使われていることを確認する。
- “collapse”(崩壊)と並列されており、”biological diversity”(生物多様性)に起きているネガティブな現象であると推測する。
- “erosion” の基本義「(土地などの)侵食」から転じて、多様性が「徐々に失われること」「損なわれること」という比喩的な意味を推測する。
(21) anticipated
- 出題意図の分析: 文脈に合う動詞の語彙力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。「基礎英語」Module 1(重要単語)レベル。
思考プロセス
- 下線部(21)が “…his recently published book that (21) the biodiversity crisis.”(生物多様性の危機を(21)した、彼が最近出版した本)という文脈で使われていることを確認する。
- 1979年()という早い段階で「生物多様性の危機」について述べた本であることから、「予見した」「予測した」といった意味合いを推測する。
(22) overtly
- 出題意図の分析: 文脈中の副詞の意味を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。
思考プロセス
- 下線部(22)が “…an (22) political act that sparked the campaign…”(キャンペーンの火付け役となった、(22)政治的な行為)という文脈で使われていることを確認する。
- ダライ・ラマの(亡命中の)初の米国公式訪問という文脈から、その行為が「隠された」ものではなく、「公然とした」「あからさまな」政治的行為であったと推測する。
(23) oversight
- 出題意図の分析: 文脈から英単語の意味を推測する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。”over-” と “sight” から意味を推測できるか。
思考プロセス
- 下線部(23)が “…Professor Wilson … would be the first to acknowledge his (23)…”(ウィルソン教授は…自身の(23)を真っ先に認めるだろう)という文脈で使われていることを確認する。
- “his (23)” の内容とは、1979年当時、ダライ・ラマの訪問の歴史的意義に気づかず()、生物多様性の問題(マイヤーズの講演)と文化の保存(ダライ・ラマの訪問)を別物として捉えていた()ことであると文脈から把握する。
- 「見る(sight)」べきものを「見過ごしていた(over)」、つまり「見落とし」「過失」といった意味合いを推測する。
(24) ubiquitous
- 出題意図の分析: 文脈から英単語の意味を推測する力を問う(やや難)。
- 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 合否を分けるやや難問題である。知っていれば即答だが、推測も可能。
思考プロセス
- 下線部(24)が “…its opposite — the (24) transformation to some generic modern culture that I have witnessed in all parts of the world…”(その反対、すなわち、私が世界のあらゆる場所で目撃してきた、画一的な現代文化への(24)な変容)という文脈で使われていることを確認する。
- 「世界のあらゆる場所で(in all parts of the world)目撃した」という記述から、その「変容」が「どこにでもある」「遍在する」ものであると推測する。
(25) dismay
- 出題意図の分析: 文脈から英単語の意味を推測する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦略的コメント: 差がつく標準問題である。
思考プロセス
- 下線部(25)が “If diversity is a source of wonder, its opposite … is a source of (25).”(もし多様性が驚異の源であるならば、その反対(=画一的な変容)は(25)の源である)という対比構造になっていることを確認する。
- “wonder”(驚異、素晴らしさ)の対極にあるネガティブな感情、「落胆」「狼狽」「悲しみ」といった意味合いを推測する。
解答例
(19) C
(20) B
(21) C
(22) A
(23) B
(24) C
(25) D
解答のポイント
(19)
“largely” は「主に、その大部分は」という意味の副詞である。「南米、その中でも『主に』北西アマゾンで」という文脈である。したがって、C. mostly(主に、たいてい)が最も近い。
(20)
“erosion” は「侵食」を意味し、ここでは生物多様性が「徐々に失われること」を比喩的に表している。”collapse”(崩壊)と並置され、ネガティブな現象を示している。したがって、B. gradual loss(徐々の喪失)が最も近い。
(21)
“anticipate” は「予期する、予測する、予想する」という意味の動詞である。1979年当時に、その後の「生物多様性の危機」を「予測した(予見した)」本、という文脈である。したがって、C. predicted(予測した)が最も近い。
(22)
“overtly” は “overt”(明白な、公然の)の副詞形で、「明白に、公然と」という意味である。ダライ・ラマの訪米は「公然と政治的な」行為であったという文脈である。したがって、A. openly(公然と)が最も近い。
(23)
“oversight” は「見落とし、手落ち、過失」という意味の名詞である。ウィルソン教授が当時ダライ・ラマの訪問の意義を「見落としていた」ことを指している。したがって、B. failure to notice something(何かに気づかないこと、失敗)が最も近い。
(24)
“ubiquitous” は「(同時に)至る所にある、遍在する」という意味の形容詞である。「世界のあらゆる場所で」目撃した(witnessed in all parts of the world)という記述がヒントとなる。したがって、C. that exists everywhere(どこにでも存在する)が最も近い。
(25)
“dismay” は「(予期せぬ悪い出来事に対する)落胆、狼狽、動揺」といったネガティブな感情を表す名詞である。「多様性」が “wonder”(驚異)の源であるのに対し、その反対の「画一的変容」は「落胆」の源である、という対比構造になっている。したがって、D. sadness(悲しみ、憂鬱)が文脈上最も近い。
2. 大問別分析・解説(続き)
大問Ⅱ
問2
解説
(26)
- 出題意図の分析: 指示語(”any other way”)が指す具体的な内容を、直前の文脈から特定する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 30秒
- 戦RACTコメント: 確実に得点すべき基本問題である。
思考プロセス
- 下線部 (26) “any other way”(他のいかなる方法)が何を指しているかを特定する。
- 直前の文()に “Botany provides the perfect route to approach culture.”(植物学は文化に迫る完璧な道筋を提供する)とあり、さらに筆者が “I became an ethnobotanist…”(私は民族植物学者になった)と続けた理由として、”because I could not imagine any other way of understanding the lives of the people…”(なぜなら、人々の生活を理解する他のいかなる方法も想像できなかったからだ)と述べていることを確認する。
- したがって、”any other way” は「植物学(=民族植物学、すなわち現地の人々の植物利用を研究すること)以外の方法」を指していると判断する。
- 各選択肢がこの解釈と合致するかを検証する必要がある。
(27)
- 出題意図の分析: 指示語(”This connection”)が指す具体的な内容を、直前の文脈から特定する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 30秒
- 戦RACTコメント: 確実に得点すべき基本問題である。
思考プロセス
- 下線部 (27) “This connection”(この繋がり)が何を指しているかを特定する。
- 直前の文()に “I sensed … the parallel between the erosion of biological diversity and the collapse of cultural diversity.”(私は…生物多様性の喪失と文化多様性の崩壊との間の並行関係を感じ取っていた)と明記されていることを確認する。
- “This connection” は、この「並行関係(parallel)」、すなわち「生物多様性」と「文化多様性」の間の「繋がり」を指していると判断する。
- 各選択肢がこの解釈と合致するかを検証する必要がある。
(28)
- 出題意図の分析: 複数の修飾語(”decidedly unflattering”)で構成される語句の、文脈における意味を正確に理解する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 45秒
- 戦RACTコメント: 差がつく標準問題である。”unflattering” の意味が鍵となる。
思考プロセス
- 下線部 (28) “decidedly unflattering terms” の各語の意味を分析する。
- “terms” は「言葉、呼び方」。
- “unflattering” は “flatter”(お世辞を言う、褒める)の否定形 “un-” がついたもので、「褒めていない」「好意的でない」「けなすような」という意味の形容詞であると推測する。
- “decidedly” は “decide”(決める)の副詞形で、「決定的に」「明白に」「明らかに」という意味であると推測する。
- したがって、この語句全体で「明らかに好意的でない呼び方」「明白にけなすような言葉」という意味になると判断する。
- 各選択肢(日本語)がこの解釈と合致するかを検証する必要がある。
解答例
(26) D
(27) B
(28) A
解答のポイント
(26)
直前の文()で、筆者は「植物学(Botany)」が文化を理解する道であり、民族植物学者(ethnobotanist)になったと述べている。民族植物学とは、文脈()から「彼らの植物の利用(their use of plants)を研究する」ことである。筆者は、この方法「以外に(any other way)」人々の生活を理解する方法を想像できなかったと述べている。
したがって、”any other way” は D. any other way than studying the use of local plants(現地の植物の利用を研究すること以外のいかなる方法)を意味する。
(27)
“This connection”(この繋がり)は、直前の文()で述べられている “the parallel between the erosion of biological diversity and the collapse of cultural diversity” を指している。
したがって、B. connection between biological diversity and cultural diversity(生物多様性と文化多様性の間の繋がり)が正解である。
(28)
“unflattering” は「好意的でない、けなすような」という意味。”decidedly” は「明らかに、決定的に」という意味の副詞である。したがって、”decidedly unflattering terms” は「明らかにけなすような呼び方」という意味になる。
当時、ウィルソン教授はダライ・ラマの訪問(政治・文化問題)よりも生物多様性の講演を優先すべきだと考えていたため()、ダライ・ラマに対して好意的でない(unflattering)言葉を使ったと推測できる。
したがって、A. 明らかにけなすような呼び方 が最も適切な説明である。
問3
解説
(29)
- 出題意図の分析: 本文中の具体例を分類し、指定された概念(文化多様性の崩壊)に当てはまらないものを選択する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 45秒
- 戦RACTコメント: 差がつく標準問題である。「文化」多様性か「生物」多様性かを見極める。
思考プロセス
- 設問は、下線部 (29) “collapse of cultural diversity”(文化多様性の崩壊)の例に該当しないものを選ぶよう求めている。
- これは、選択肢のうち3つは「文化多様性の崩壊」の例であり、1つはそうではない(例:生物多様性の崩壊、または無関係)ことを意味する。
- 本文中で「文化多様性の崩壊」の具体例として挙げられている箇所を探す。
- 言語が失われること (One of these is lost [language])
- Kofanの村が石油発見で破壊されたこと
- Chimaneの女性が宣教師の服を着ていること
- Tukanoの男性がコカ栽培の農奴にされたこと
- 本文中で「生物多様性の喪失」に関連する記述を探す。
- 火事が地球を覆い、植物や動物(plants and animals)を奪っている
- 各選択肢を検証する。
- A. Chimane women wearing missionary dress: にある「文化多様性の崩壊」の例。
- B. Kofan village being destroyed by the discovery of oil: にある「文化多様性の崩壊」の例。
- C. One language becoming lost every two weeks: にある「文化多様性の崩壊」の例。
- D. Plants and animals becoming extinct: の記述に対応する。これは「生物多様性(biological diversity)」の喪失の例である。
- したがって、「文化多様性の崩壊」の例に該当しないものを特定する必要がある。
(30)
- 出題意図の分析: 本文の記述から状況(講堂が空席だった理由)を推論し、その推論と合致しない(不適切な)選択肢を特定する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難
- 目標解答時間: 60秒
- 戦RACTコメント: 合否を分けるやや難問題である。「最も不適切なもの」を選ぶため、消去法が有効。
思考プロセス
- 設問は、下線部 (30) “The lecture hall was almost empty.”(講堂はほとんど空だった)の理由として、最も不適切なものを選ぶよう求めている。
- 本文の記述(-)を確認する。
- マイヤーズ(生物多様性)の講演会場(Nash Lecture Hall)は「ほとんど空だった(almost empty)」。
- 「同じ夜、通りの向かい(across the street)」でダライ・ラマの講演(チベット問題、政治的行為)があり、そちらは「満員だった(packed)」。
- この対比から、学生たちがマイヤーズの講演(生物多様性)よりもダライ・ラマの講演(政治・文化)を選んだことが、空席の理由であると強く推論できる。
- 各選択肢をこの推論と照合する。
- A. Students went to listen to what Dalai Lama had to say.(学生はダライ・ラマの話を聞きに行った): 適切な理由。
- B. Students were less interested in biological issues than in political issues.(学生は政治問題より生物学問題に関心がなかった): 適切な推論(ダライ・ラマの講演は “overtly political act” とされている)。
- D. Students were more interested in Tibet than in biodiversity.(学生は生物多様性よりチベットに関心があった): 適切な推論。
- C. Students were more interested in biodiversity than in cultural diversity.(学生は文化多様性より生物多様性に関心があった): これは学生たちの実際の行動(生物多様性の講演に行かず、文化・政治的な講演に満員になった)と全く逆である。
- したがって、「不適切な理由」を特定する必要がある。
(31)
- 出題意図の分析: 文脈(特に発言者の当時の心境)を踏まえ、特定のフレーズ(”get their priorities right”)が意味する具体的な行動を推論する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 45秒
- 戦RACTコメント: 差がつく標準問題である。「その日のウィルソン教授は」という時点設定が鍵。
思考プロセス
- 設問は、下線部 (31) “get their priorities right”(優先順位を正しく理解する)について、「その日のウィルソン教授は」、学生たちがどうするべきだと考えていたかを問うている。
- ウィルソン教授は、生物多様性(biodiversity)の専門家であるマイヤーズに、講演の聴衆が少ないことを謝罪している文脈()である。
- この文脈で「学生が優先順位を理解していない」と彼が嘆いたのは、学生たちが彼の専門分野(あるいはマイヤーズの専門分野)である「生物多様性の危機」の講演に来なかったからである。
- したがって、「その日のウィルソン教授」の視点では、「正しい優先順位」とは「ダライ・ラマ(政治・文化)の講演ではなく、マイヤーズ(生物多様性)の講演に来ること」であったと推論できる。
- 各選択肢をこの推論と照合する。
- A. They would campaign for a free Tibet.(彼らは自由なチベットを求めて運動するだろう): 学生が実際に行った(あるいは支持した)行動。
- B. They would come to Nash Lecture Hall to learn about the biodiversity crisis.(彼らは生物多様性の危機を学ぶためナッシュ講堂に来るだろう): ウィルソン教授が「優先すべき」と考えていた行動。
- C. They would go to Sanders Theater to learn about cultural diversity.(彼らは文化多様性を学ぶためサンダース劇場に行くだろう): 学生が実際に行った行動。
- D. They would support Dalai Lama’s campaign…(彼らはダライ・ラマの運動を支持するだろう): 学生が実際に行った(あるいは支持した)行動。
- ウィルソン教授が(その時点で)期待していた行動を特定する必要がある。
解答例
(29) D
(30) C
(31) B
解答のポイント
(29)
設問は「文化多様性の崩壊」の例に該当しないものを選ぶ。
A, B, C はそれぞれ (宣教師の服)、(村の破壊)、(言語の喪失)で述べられている「文化多様性の崩壊」の具体例である。
一方、D. Plants and animals becoming extinct(植物や動物が絶滅すること)は、「生物多様性(biological diversity)の喪失」の例であり、「文化多様性(cultural diversity)」の例ではない。したがって D が正解である。
(30)
設問は、講堂が空だった理由として最も不適切なものを選ぶ。
A, B, D はすべて、学生が生物多様性の講演よりもダライ・ラマの講演(政治・チベット問題)を優先したことを示しており、本文の記述(-)から推論できる適切な理由である。
一方、C. Students were more interested in biodiversity than in cultural diversity.(学生は文化多様性より生物多様性に関心があった)は、学生が生物多様性の講演を選ばず、文化・政治的な講演に殺到したという本文の記述と真っ向から矛盾する。したがって C が最も不適切な記述である。
(31)
設問は、「その日のウィルソン教授」が考える「正しい優先順位(get their priorities right)」とは何かを問うている。
彼は生物多様性の専門家マイヤーズに対し、学生が来なかったことを謝罪しながらこの言葉を述べている()。この文脈から、彼が学生に優先してほしかったのは、ダライ・ラマの講演(政治・文化)ではなく、マイヤーズの講演(生物多様性)であったことが明らかである。
したがって、B. They would come to Nash Lecture Hall to learn about the biodiversity crisis.(彼らは生物多様性の危機を学ぶためナッシュ講堂に来るだろう)が、当時のウィルソン教授が期待していた行動である。
問4
解説
(32)
- 出題意図の分析: 本文全体の内容と合致する記述を選択する、読解総合力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 60秒
- 戦RACTコメント: 差がつく標準問題である。各選択肢を本文と正確に照合する必要がある。
思考プロセス
- 設問は「本文で述べられているのは次のうちどれか?」と問うている。
- 各選択肢を本文の記述と照合する必要がある。
- A. Dalai Lama’s visit … attracted attention more for reasons of biodiversity…(ダライ・ラマの訪問は生物多様性を理由に注目を集めた): 本文の記述(”an overtly political act”)と矛盾する。
- B. In South America, loss of cultural diversity is more notable than that of biological diversity.(南米では、文化多様性の喪失が生物多様性の喪失より顕著だ): 本文の記述(”the parallel”)と矛盾する。筆者は両者を「並行関係」として捉えている。
- C. Loss of … diversity did not attract much attention in North America because it was less notable there…(北米では多様性の喪失は顕著でなかったため、注目されなかった): 本文の記述()は、北米(ハーバード)で注目されなかった(empty)事実を述べているが、それは「顕著でなかったから」ではなく「ダライ・ラマの講演と重なったから」である。
- D. Many academics in the 1970s were not very conscious of the parallel between the loss of cultural diversity and that of biological diversity.(1970年代の多くの学者は、文化多様性の喪失と生物多様性の喪失の並行関係にあまり気づいていなかった): 本文の記述(-“This connection … was overlooked by many academics in those early years.”)と合致するかを検証する。
解答例
(32) D
解答のポイント
A: ダライ・ラマの訪問は「生物多様性(biodiversity)」のためではなく、「政治的な理由(political reasons)」 (“an overtly political act”) で注目を集めた。したがって A は誤り。
B: 筆者は両者の喪失を「並行関係(parallel)」 () として捉えており、どちらかがより顕著であるとは述べていない。したがって B は誤り。
C: 北米(ハーバード)で生物多様性の講演が注目されなかったのは事実だが、それは「北米で問題が顕著でなかったから」とは述べられていない。したがって C は誤り。
D: 本文にはっきりと “This connection, so obvious today, was overlooked by many academics in those early years.” (-) (今日では明らかなこの繋がりも、当時は多くの学者によって見過ごされていた)と記述されている。これは、「1970年代(= those early years)の多くの学者は並行関係にあまり気づいていなかった」という D の内容と完全に一致する。
大問Ⅲ
インドで人気の日本人YouTuber、Mayoさんへのインタビュー記事である。彼女がインドに興味を持った経緯、動画作成で心がけていること(ステレオタイプの打破)、インドと日本の比較、そして両国の将来について語られている。文章は平易なインタビュー形式で読みやすい。
問1
解説
(33) targeting
- 出題意図の分析: 文脈中の動詞(の分詞形)の語彙力を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 20秒
- 戦RACTコメント: 確実に得点すべき基本問題である。
思考プロセス
- 下線部(33)が “I started posting videos (33) Indians…”(私はインド人を(33)する動画を投稿し始めた)という文脈で使われていることを確認する。
- 「インド人『を』対象とした」「インド人『向けの』」といった意味合いを推測する。
(34) got hooked on
- 出題意図の分析: イディオムの知識を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本
- 目標解答時間: 20秒
- 戦RACTコメント: 確実に得点すべき基本問題である。
思考プロセス
- 下線部(34)が “I like dancing …, so I easily (34) Indian dance, too.”(私はダンスが好きだ…だからインドのダンスにも簡単に(34)した)という文脈で使われていることを確認する。
- “like dancing” という理由から、「夢中になった」「魅了された」「大好きになった」といった意味合いを推測する。
(35) assertive
- 出題意図の分析: 文脈から英単語の意味を推測する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 30秒
- 戦RACTコメント: 差がつく標準問題である。「基礎英語」Module 1(重要単語)レベル。
思考プロセス
- 下線部(35)が “…the importance of being (35) and hungry like Indians.”(インド人のように(35)でハングリーであることの重要性)という文脈で使われていることを確認する。
- 直後の具体例(-)として、「交渉(negotiating)に長けている」「ためらわずに(without hesitation)言うべきことを言う()」が挙げられている。
- これらの具体例から、「自分の意見や要求をはっきりと主張する」といった意味合いを推測する。
解答例
(33) A
(34) C
(35) A
解答のポイント
(33)
“targeting” は「~を標的とする、~を対象とする」という意味。”videos targeting Indians” で「インド人を対象とした動画」となる。したがって、A. aimed at(~に向けられた、~を狙いとした)が最も近い。
(34)
“get hooked on” は「~に夢中になる、~のとりこになる」という意味のイディオムである。ダンスが好きだったため、インドのダンスにも「夢中になった(興味を持った)」という文脈である。したがって、C. became interested(興味を持つようになった)が最も近い。
(35)
“assertive” は「(意見・要求などを)はっきりと主張する、断定的な」という意味の形容詞である。直後の文脈で、インド人がためらわずに意見を言ったり()、給与交渉をしたりする(-)例が挙げられている。したがって、A. forceful(力強い、断固とした)が最も近い意味合いを持つ。
問2
解説
- 出題意図の分析: インタビュー記事の文脈を正確に把握し、空所に最も適切な語句を選択する力を問う。
- 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本 〜 ★★☆☆☆ 標準
- 目標解答時間: 各30〜45秒
- 戦RACTコメント: 大問Ⅲは全体的に平易であり、満点を狙いたい。文脈判断で確実に得点すべき問題群である。
思考プロセス
(36)
- 空所の文脈()は「インドを訪れると、私は1日に数回、路上で (36)。」である。
- 直前の文脈()で、彼女が270万人のフォロワーを持つ有名なYouTuberであることが述べられている。
- 有名人が路上でどうなるかを推測する(「声をかけられる」「気づかれる」など)。
- 選択肢 G. I get recognized(私は認識される=気づかれる、声をかけられる)がこの文脈に合致するかを検証する。
(37)
- 空所の文脈()は「インド人向けの動画を作り始めた。勇気が必要だった、なぜなら当時、私は自分のヒンディー語能力に (37) ではなかったからだ。」である。
- 「勇気が必要だった(It took courage)」理由として、自信が「ない」ことが入ると推測する。
- 選択肢 C. very confident(とても自信がある)を “I wasn’t” の後に入れると、「とても自信があったわけではなかった」となり、文脈に合致するかを検証する。
(38)
- 空所の文脈()は「日本人向けの動画では、インドに関するステレオタイプを避けるようにしている。例えば、( 38 ) な貧しい国、といったものだ。」である。
- インドに関する典型的なステレオタイプ(固定観念)を推測する。
- 選択肢 D. everyone eats curry(誰もがカレーを食べる)が、「貧しい国」という例と並列されるステレオタイプとして適切かを検証する。
(39)
- 空所の文脈()は「日本では、常に時間通りで、約束を守ることを期待される。しかし、インドではそれは (39)。」である。
- “But”(しかし)から、日本とは「対照的」な内容が入ると推測する。
- 選択肢 B. not the case(そうではない、実情は異なる)が、日本の状況との対比として文法・文脈的に合致するかを検証する。
(40)
- 空所の文脈()は「彼ら(インド人)は、(40) できるように、他の会社から提示された給与や福利厚生を採用担当者に伝える。」である。
- 複数のオファーを比較させることで、採用担当者(potential employers)の間で何が起こるかを推測する(「競争」「価格つり上げ」など)。
- 選択肢 E. create competition(競争を生み出す)が、この交渉戦略の目的として合致するかを検証する。
(41)
- 空所の文脈()は「日本のアニメが人気になり、ユニクロや無印良品が都市部に出店している。その意味で、日本はインドの人々にとって ( 41 ) なってきている。」である。
- アニメやブランドが普及することで、日本がインド人にとってどのような存在になるかを推測する(「身近な」「よく知られた」など)。
- 選択肢 H. more familiar(より馴染みのある)がこの文脈に合致するかを検証する。
(42)
- 空所の文脈()は「インドは、西側民主主義諸国と緊密な関係を持ち、(42) 中国やロシアとの関係も持っている。」である。
- 西側諸国との関係と、中ロとの関係を「両立」させている文脈であると推測する。
- 選択肢 F. while also maintaining(~を維持しつつ、同時に)が、このバランス外交を表現するのに合致するかを検証する。
(43)
- 空所の文脈()は「インドがロシアを非難するのを避けているウクライナ戦争について、インド人の友人は『インドは (43) しようとしているだけで、完全に正当化される』と主張した。」である。
- ロシアを非難しない(=西側と歩調を合わせない)理由として、インドが何を追求しているかを推測する(「国益」「自国の利益」など)。
- 選択肢 A. to maximize its interest(自国の利益を最大化する)が、この文脈におけるインドの行動原理として合致するかを検証する。
解答例
(36) G
(37) C
(38) D
(39) B
(40) E
(41) H
(42) F
(43) A
解答のポイント
(36)
直前で270万人のフォロワーがいると述べられているため、インドの路上で「認識される、気づかれる」という G. I get recognized が文脈に合致する。
(37)
「勇気が必要だった(It took courage)」理由を述べている。ヒンディー語能力に「とても自信があった(very confident)」わけではなかったから、と解釈するのが自然である。C. very confident が入る。
(38)
インドに関するステレオタイプの例を挙げている。「例えば、D. everyone eats curry(誰もがカレーを食べる)な貧しい国」というのは、日本人が抱きがちな典型的なステレオタイプとして文脈に合致する。
(39)
直前で「時間厳守(be on time)」という日本の慣習を述べ、”But” で対比させている。「しかし、インドではそれは B. not the case(そうではない)」というのが、文法・文脈ともに適切である。
(40)
インド人が交渉で他社のオファーを伝えるのは、採用担当者たちの間で「競争(competition)」を引き起こし、より良い条件を引き出すためである。したがって、E. create competition が適切である。
(41)
アニメやブランドの浸透により、日本はインドの人々にとって「より身近な、よく知られた」存在になっていると考えられる。したがって、H. more familiar が適切である。
(42)
インドの外交姿勢について。「西側諸国との関係」と「中ロとの関係」を「同時に維持しつつ(while also maintaining)」という F が、文脈に最も合致する。
(43)
ウクライナ問題でロシアを非難しないインドの立場は、「自国の利益を最大化する(to maximize its interest)」ためである、と友人が主張した、というのが文脈に合致する。したがって A が適切である。