【基礎 物理】Module 8: 電磁気学Ⅱ:磁気と電磁誘導

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【本モジュールの学習目標】

Module 7では、静止した電荷が「電場」を創り出し、その電場を通して互いに力を及ぼしあう静電気学の世界と、その電位差によって電荷が定常的に流れる直流回路を学びました。しかし、電気と磁気の世界の真の奥深さと美しさは、電荷が「動き出す」ことによって初めて姿を現します。このモジュールでは、動いている電荷、すなわち「電流」が、その周りに「磁場」という新しい場を創り出すという、エルステッドによる歴史的な発見から物語を始めます。まず、電流がどのようにして磁場を形成するのか(アンペールの法則)、そしてその磁場が他の電流や運動する電荷にどのような力を及ぼすのか(ローレンツ力)を学びます。ここまでは、静的な磁場と電流の関係です。しかし、電磁気学のクライマックスは、その「動的な」相互作用にあります。後半では、ファラデーが発見した物理学で最も深遠な法則の一つ、**「電磁誘導の法則」**を探求します。これは、変化する磁場が、今度は電場(電圧)を生み出すという、驚くべき対称性を示す現象です。この法則は、発電機やモーターなど、現代文明を支えるあらゆる電気技術の根幹をなすだけでなく、電気と磁気が不可分な統一的実体「電磁場」であることを明らかにする、決定的な一歩となります。


目次

1. 磁場(磁界):磁気的な力が働く「場」

まず、磁石や電流の周りに存在する、磁気的な力が働く特別な空間、「磁場」の性質を理解します。

1.1. 磁気現象の発見と磁極

  • 磁石と磁極:古代から、特定の鉱石(磁鉄鉱)が鉄を引きつける性質を持つことが知られていました。これを磁石と呼びます。
    • 棒磁石を自由に回転できるようにすると、常におおよそ北と南を向きます。北を指す側をN極(North pole)、南を指す側を**S極(South pole)**と呼びます。
    • 電荷と同様に、磁極の間にも力が働きます。同種の極(NとN、SとS)は反発し、異種の極(NとS)は引きつけあいます
  • 磁極の不可分性:電荷が正負単独で存在できるのに対し、磁極はN極とS極が必ずペアで存在し、単独で取り出すことはできません。棒磁石を真ん中で二つに割っても、それぞれがN極とS極を持つ小さな磁石になるだけで、N極だけの「磁気単極子(モノポール)」は、現在に至るまで発見されていません。

1.2. 磁場(磁界)の導入と磁力線

  • 磁場(Magnetic Field)の考え方:電場と同様に、磁石や電流は、それらが存在することで周囲の空間の性質を変化させます。この、磁気的な力が働くようになった空間を**磁場(磁界)**と呼びます。
    • 磁場は、その空間に置かれた方位磁針(小さな磁石)が力を受けて特定の方向を向くことから、その存在と向きを知ることができます。
  • 磁場の向きと強さ:
    • 磁場の向き: その点に置いた方位磁針のN極が指す向きと定義されます。
    • 磁場の強さ: 磁場には、その強さや性質を表す二つの重要な量、磁場(の強さ)H と磁束密度 B があります。
      • 磁場 H: 主に磁場の原因である電流によって直接的に決まる量。単位は [A/m](アンペア毎メートル)。
      • 磁束密度 B: 実際に磁場が及ぼす力の強さを表す量。単位は [T](テスラ)または[Wb/m²](ウェーバ毎平方メートル)。
      • 真空中では、両者は B=μ0​H という単純な比例関係にあります。μ0​ は真空の透磁率と呼ばれる普遍定数で、μ0​=4π×10−7 N/A2 です。
  • 磁力線:電場を電気力線で視覚化したように、磁場の様子は磁力線で視覚化できます。
    1. 向き: その点での磁場の向き(方位磁針のN極が指す向き)に矢印を引く。
    2. 始点と終点N極から出てS極に入る
    3. 密度: 磁力線の密度が、その場所の磁場の強さを表す。
    4. 性質:
      • 途中で途切れたり、交差したりしない。
      • 磁石の内部ではS極からN極に向かい、必ず閉じたループ(閉曲線)を形成する。これは、磁気単極子が存在しないことの現れです。

2. 電流が作る磁場:アンペールの法則

長い間、電気と磁気は無関係な現象だと考えられていました。しかし、1820年、デンマークの物理学者エルステッドが、歴史を動かす発見をします。

2.1. エルステッドの発見:電気と磁気の統一への第一歩

  • エルステッドは、講義の準備中に、電流を流した導線の近くに置いた方位磁針が、ピクッと振れるのを偶然発見しました。
  • これは、動いている電荷(電流)が、その周りに磁場を創り出すことを明確に示した、人類史上初の証拠でした。
  • この発見により、電気と磁気は、実は同じ根を持つ「電磁気」という一つの現象の異なる側面に過ぎないことが明らかになり、物理学は統一へ向けて大きく前進します。

2.2. 右ねじの法則:電流と磁場の向き

  • 電流が作る磁場の向きは、右ねじの法則(またはアンペールの右手の法則)によって簡単に求めることができます。右手の親指を電流の向きに合わせると、残りの4本の指が巻く向きが、その電流が作る磁場の向きになる。

2.3. 様々な電流が作る磁場(直線電流、円形電流、ソレノイド)

アンペールやビオ・サバールといった物理学者たちの研究により、様々な形状の電流が作る磁場の強さを計算する公式が確立されました。

  • 無限に長い直線電流が作る磁場:電流 I [A] から距離 r [m] の点の磁場の強さ H は、H=2πrI​
    • 磁力線は、電流を中心とする同心円状になります。
  • 円形電流の中心が作る磁場:半径 r の円形コイルに電流 I を流したとき、その中心にできる磁場の強さ H は、H=2rI​
    • N回巻きのコイルならば、磁場はN倍になります (H=2rNI​)。
  • ソレノイドコイルが内部に作る磁場:導線を密に長く巻いたコイル(ソレノイド)に電流 I を流すと、その内部には、ほぼ一様で強力な磁場ができます。
    • 単位長さ(1m)あたりの巻き数を n [回/m] とすると、内部の磁場の強さ H は、H=nI
    • ソレノイドは、実験などで一様な磁場を手軽に作るために広く利用されます。

2.4. アンペールの法則:電流と磁場の関係を定める法則

  • これら個別の公式の背後にある、より一般的で根源的な法則がアンペールの法則です。任意の閉じた経路に沿って磁場 H を一周積分した値は、その経路を貫く電流の総和に等しい。∮H⋅dl=∑I
  • この法則は、電磁気学の基本方程式の一つ(マクスウェル方程式)を構成します。高校物理では、この法則を直接用いることは少ないですが、直線電流やソレノイドの磁場の公式は、このアンペールの法則から導出されます。

3. 磁場が電流に及ぼす力:ローレンツ力

電流が磁場を作るだけでなく、逆に、磁場の中に置かれた電流は、磁場から力を受けます。これはモーターの原理となる重要な現象です。

3.1. 電流が磁場から受ける力:F=IBlsinθ

  • 磁束密度 B の一様な磁場中に、長さ l の導線を置き、電流 I を流すと、導線は磁場から力を受けます。
  • その力の大きさ F は、F=IBlsinθ
    • ここで θ は、電流の向きと磁場の向きのなす角です。力は、電流と磁場の両方に垂直な向きに働きます。
  • 力の向き:力の向きは、フレミングの左手の法則で決定されます。左手の中指を電流(I)の向き、人差し指を磁場(B)の向きに合わせると、親指が力の向き(F)を指す。(「電・磁・力」と覚える)

3.2. ローレンツ力:運動する荷電粒子が受ける力 F=q(v×B)

  • 電流が磁場から受ける力の根源は、電流の担い手である個々の荷電粒子が、磁場から受ける力です。この力をローレンツ力と呼びます。
  • 電荷 q を持つ粒子が、速度 v で磁束密度 B の磁場中を運動するとき、粒子が受けるローレンツ力の大きさ f は、f=qvBsinθ
    • ここで θ は、粒子の速度 v の向きと磁場 B の向きのなす角です。
  • 力の向き:ローレンツ力の向きも、フレミングの左手の法則で求められますが、その際は正電荷の運動方向を「電流の向き」とします。負電荷(電子など)の場合は、中指を運動方向と逆向きに合わせる必要があります。
  • ローレンツ力の本質:
    • 運動する電荷のみが受ける力。静止した電荷は磁場から力を受けません。
    • ローレンツ力は、常に粒子の速度 v と垂直な方向に働きます。したがって、ローレンツ力は荷電粒子の運動エネルギーを変化させません(仕事をしない)。粒子の速さを変えることはできず、進行方向を曲げる働きのみをします。
  • 電流が受ける力との関係:導線中の電流 I が受ける力 F=IBl は、導線内の多数の自由電子(電荷 −e)が受けるローレンツ力の合力として説明できます。

3.3. ローレンツ力の応用:荷電粒子の運動

  • 一様な磁場中での等速円運動:荷電粒子が、磁場の向きと垂直に入射すると、常に進行方向と垂直なローレンツ力を受け続けます。これは、円運動の向心力と同じ状況です。
    • したがって、粒子は磁場中で等速円運動を行います。
    • 運動方程式(向心力=ローレンツ力)は、mrv2​=qvB
    • これより、円運動の半径 r や周期 T を求めることができます。r=qBmv​,T=v2πr​=qB2πm​
    • この原理は、粒子加速器(サイクロトロン)や、物質の質量を精密に測定する質量分析器などに応用されています。

4. 電磁誘導:磁場が電場を生み出す現象

これまで、電流→磁場→力という関係を見てきました。ファラデーは、これとは逆の「磁場→電流」という関係、すなわち電磁誘導を発見し、電磁気学を新たな段階へと引き上げました。

4.1. ファラデーの発見:磁気の変化が電流を生む

  • ファラデーは、「電流が磁場を作るなら、磁場も電流を作れるはずだ」と考え、長年実験を繰り返しました。しかし、強力な磁石のそばにコイルを置いただけでは、電流は流れませんでした。
  • あるとき、磁石をコイルに出し入れするその瞬間や、電磁石のスイッチをON/OFFするその瞬間にだけ、検流計の針が振れることを発見します。
  • 結論:静的な磁場ではなく、「変化する磁場」が電流を生み出す。これが電磁誘導の発見です。

4.2. 磁束(磁力線束):磁場の「貫通量」

  • 電磁誘導の法則を定量的に記述するために、磁束という新しい量を導入します。
  • 磁束 Φ の定義:ある面を貫く磁力線の「本数」に相当する量。磁束密度が B の一様な磁場に、面積 S の面が、磁場と垂直な向きから角度 θ だけ傾いているとき、その面を貫く磁束 Φ(ファイ)は、Φ=BScosθ
  • 単位はウェーバ [Wb] です。(1 T=1 Wb/m2)

4.3. ファラデーの電磁誘導の法則:V=−NΔtΔΦ​

  • ファラデーは、数多くの実験から、コイルに生じる誘導起電力(誘導によって生じる電圧)の大きさが、コイルを貫く磁束の時間変化率に比例することを発見しました。N回巻きのコイルに生じる誘導起電力 V の大きさは、コイルを貫く磁束 Φ の単位時間あたりの変化量 ΔtΔΦ​ に比例する。V=−NΔtΔΦ​
  • 誘導起電力 (Induced Electromotive Force):これは、電池のような化学的な作用ではなく、電磁誘導によって回路に電流を流そうとする「駆動力」です。この起電力が生じると、回路に誘導電流が流れます。
  • 法則の意味:磁束を変化させる方法は何でも構いません。磁石を動かす、コイルを動かす、コイルの形を変える、磁場そのものの強さを変えるなど、とにかくコイルを貫く磁束 Φ が時間的に変化しさえすれば、コイルに電圧が生じます。

4.4. レンツの法則:誘導電流の「向き」を決める法則

  • ファラデーの法則の式に含まれるマイナス符号の物理的な意味を明確にしたのが、レンツの法則です。誘導電流は、常に、その原因である磁束の変化を妨げる向きに流れる。
  • 法則の意味とエネルギー保存則:
    • これは、自然界の「現状維持」を好む性質、あるいは一種の「へそ曲がり」な性質を示しています。
      • コイルを貫く上向きの磁束が増加しようとすれば、誘導電流は下向きの磁場を作って、その増加を打ち消そうとする向きに流れる。
      • コイルを貫く上向きの磁束が減少しようとすれば、誘導電流は上向きの磁場を作って、その減少を補おうとする向きに流れる。
    • この法則の背後には、エネルギー保存則があります。もし誘導電流が磁束の変化を「助ける」向きに流れたら、その電流が作る磁場がさらに磁束を変化させ、さらに強い電流が…という無限のエネルギー創出(永久機関)が可能になってしまいます。レンツの法則は、そのようなことが起こらないことを保証しています。

4.5. ローレンツ力による誘導起電力の導出

  • 磁場中を運動する導体に生じる誘導起電力は、ミクロな視点では、導体内の自由電子がローレンツ力を受けることで説明できます。
  • 磁束密度 B の中を、長さ l の導体棒が速さ v で磁場と垂直に運動する状況を考えます。
  • 導体内の電子(電荷 −e)は、速さ v で運動しているので、ローレンツ力 f=(−e)vB を受け、導体棒の一方の端に偏ります。
  • この電子の偏りによって、導体棒内部に電場 E が生じます。電子の移動は、この電場による力 −eE とローレンツ力がつりあうまで続きます。
  • つりあいの状態では、E=vB。
  • 導体棒の両端には、電位差 V=El=(vB)l が生じます。これが誘導起電力です。
  • 一方、この状況をマクロに見ると、導体棒が時間 Δt の間に動く面積は lvΔt なので、磁束の変化は ΔΦ=B(lvΔt)。
  • ファラデーの法則から起電力の大きさを求めると、∣V∣=ΔtΔΦ​=Blv となり、ローレンツ力から導いた結果と完全に一致します。

5. 自己誘導と相互誘導:電流自身の変化が引き起こす誘導

電磁誘導は、外部の磁石などがなくても、回路を流れる電流自身が変化することによっても引き起こされます。

5.1. コイルの役割と自己誘導

  • コイルに電流を流すと: アンペールの法則に従い、コイルは自身を貫く磁場(磁束)を作ります。
  • 電流を変化させると: コイルを流れる電流の大きさを変化させると、コイル自身が作る磁束も変化します。
  • 自己誘導 (Self-Induction):ファラデーの法則によれば、コイルを貫く磁束が変化すると、コイル自身に誘導起電力が生じます。この、回路を流れる電流が変化したときに、その回路自身に起電力が生じる現象を自己誘導と呼びます。
  • 電気的慣性:レンツの法則によれば、この自己誘導起電力は、常に元の電流の変化を妨げる向きに生じます。
    • 電流が増加しようとすれば、それを妨げる逆向きの起電力が生じる。
    • 電流が減少しようとすれば、それを維持しようとする順向きの起電力が生じる。
    • このように、コイルは回路に流れる電流の急な変化を嫌う性質を持ちます。これは、力学における慣性(物体の運動状態の変化しにくさ)と非常によく似ているため、「電気的慣性」とも呼ばれます。

5.2. 自己インダクタンス L

  • コイルを貫く磁束 Φ は、流れる電流 I に比例します。この比例定数を自己インダクタンスと呼び、記号 L で表します。Φ=LI
  • 単位はヘンリー [H] です。
  • 自己インダクタンス L は、コイルの巻き数、形状、断面積、長さ、そして内部の物質(鉄心など)によって決まる、コイル固有の値です。
  • 自己誘導起電力の式:ファラデーの法則 V=−ΔtΔΦ​ に Φ=LI を代入すると(1回巻きとして)、V=−LΔtΔI​
  • この式は、自己インダクタンス L が大きいコイルほど、電流の変化に対して大きな逆起電力を生じ、電流が変化しにくいことを示しています。

5.3. 相互誘導と相互インダクタンス M

  • 相互誘導 (Mutual Induction):二つのコイルを近くに置いたとき、一方のコイル(1次コイル)に流す電流を変化させると、それが作る磁束の変化がもう一方のコイル(2次コイル)を貫き、2次コイルに誘導起電力が生じる現象。
  • 相互インダクタンス M:1次コイルの電流 I1​ が、2次コイルに磁束 Φ21​ を作るとき、Φ21​=MI1​ という比例関係が成り立ちます。この比例定数 M を相互インダクタンスと呼びます。
  • 2次コイルに生じる誘導起電力 V2​ は、V2​=−MΔtΔI1​​
  • この原理は、電圧を自由に変えることができる**変圧器(トランス)**の基本原理となっています。

5.4. コイルに蓄えられるエネルギー U=21​LI2

  • コイルに電流を流していく過程は、コイル自身が作る逆起電力に逆らって、外部の電源が仕事をしなければなりません。この仕事が、磁場エネルギーとしてコイルに蓄えられます。
  • 電流が 0 から I になるまでにコイルに蓄えられるエネルギー U は、U=21​LI2
  • この式は、コンデンサーが電場に蓄える静電エネルギー U=21​CV2 と非常によく似た形をしています。
  • コンデンサーが電場にエネルギーを蓄えるのに対し、コイルは磁場にエネルギーを蓄える、という美しい対比関係(双対性)がここに現れています。

【Module 8 まとめ】

本モジュールでは、電気と磁気が織りなすダイナミックな相互作用の世界、電磁気学の核心部分を探求しました。

  1. 電流と磁場: 静止した電荷は電場しか作りませんが、動いている電荷(電流)は、その周りに磁場を創り出すことを学びました。直線電流、円形電流、ソレノイドが作る磁場の具体的な形をアンペールの法則右ねじの法則を用いて解析しました。
  2. 磁場と力: 磁場は、その中に置かれた動く電荷(電流)に対して力を及ぼすことを見ました。この力の基本がローレンツ力であり、その向きはフレミングの左手の法則で決まります。この力は、モーターの回転原理や荷電粒子の運動制御など、様々な応用を持ちます。
  3. 電磁誘導: 電磁気学における最も重要な発見の一つであるファラデーの電磁誘導の法則を学びました。これは、コイルを貫く磁束が時間的に変化すると、コイルに起電力(電圧)が生じるという現象です。この法則は、電気と磁気が静的に存在するだけでなく、互いを生成しあう動的な関係にあることを示しています。
  4. 誘導の向きとエネルギー: 誘導電流の向きが、常に磁束の変化を妨げる向きに流れるというレンツの法則を理解しました。これは単なる経験則ではなく、エネルギー保存則の必然的な帰結です。
  5. インダクタンスと磁場エネルギー: 電流自身の変化が誘導を引き起こす自己誘導と、その度合いを示す自己インダクタンスを学びました。そして、コイルが電流を流すことで、コンデンサーが電場にエネルギーを蓄えるのと対比的に、磁場にエネルギーを蓄えること (U=21​LI2) を見ました。

このモジュールで明らかになったのは、「電流(動く電荷)が磁場を生み、変化する磁場が電圧(電場)を生む」という、電気と磁気の間の美しい因果の連鎖です。

次のModule 9「電磁気学Ⅲ」では、この物語の最後のピースをはめます。それは、マクスウェルが理論的に予言した「変化する電場もまた、磁場を生み出す」という、驚くべき対称性です。この最後の関係性が加わることで、電気と磁気の法則は「マクスウェル方程式」として完全に統一され、その方程式の解として、空間を伝播する電磁場の波、すなわち「電磁波」としての光の正体が暴かれることになります。

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