【基礎 英語】モジュール3:冠詞と名詞の指示

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目次

モジュール3:冠詞と名詞の指示 演習編

冠詞と名詞の指示機能は、大学入試英語において、文法問題、読解問題、英作文とあらゆる形式でその理解が問われる最重要項目の一つである。講義編で確立した原理的知識を、実際の入試問題が要求する思考レベルで実践的に応用する能力なくして、難関大学の入試を突破することはできない。特に、長文読解において、複雑な照応関係を正確に追跡し、情報構造を的確に把握する能力は、内容理解の根幹をなし、合否を分ける決定的な要因となる。多くの受験生が冠詞を感覚的に処理し、結果として文脈を見失い、論旨を取り違える中で、冠詞の機能を論理的に分析し、筆者の意図を構造的に読み解く能力は、圧倒的なアドバンテージとなるだろう。

本演習は、単なる知識の確認に留まらない。講義編で学んだ統語・意味・語用・談話の各層にわたる知識を総動員し、なぜその冠詞が選択されなければならないのか、その選択が文脈の中でどのような機能と効果を生み出しているのかを、自らの言葉で論理的に説明する能力を養成することを目的とする。問題は、標準的な知識を問うものから、複数の原理が複雑に絡み合う応用的なものまで、段階的に配置されている。各設問に取り組む際には、常に「なぜか」と問い続け、その根拠を本講義で学んだ概念と結びつけて思考することが求められる。

入試での出題分析

出題形式と難易度

項目評価
難易度★★★★★ 発展
分量多い
思考深度原理的理解と精密な文脈分析を要求

頻出パターン

難関私大(早稲田・慶應など)

文法問題における冠詞選択は、文脈における既知性、唯一性、総称性、情報構造などを精密に判断し、定冠詞・不定冠詞・無冠詞の中から最適なものを選択させる形式で出題される。単なる暗記では対応不可能であり、原理的理解そのものが問われる。長文中の空所補充では、談話全体の流れを読み、情報構造や照応関係に基づいて、空所に適切な冠詞や指示詞を補充させる問題が頻出する。同意表現選択では、ある冠詞を含む表現が文脈の中でどのようなニュアンスや機能を持っているかを問い、最も近い意味を持つ別の表現を選択させる問題も見られる。

難関国公立(東大・京大など)

下線部和訳では、冠詞や指示詞が持つ特定化や照応関係のニュアンスを、日本語の訳文の中に正確に反映させる能力を問う。定冠詞を単に「その」と訳すだけでなく、文脈に応じて「例の」「件の」といった訳語を選択したり、関係性を補って訳したりする高度な翻訳技術が要求される。内容説明問題では、代名詞や指示詞が指す内容を具体的に説明させる形式で出題され、単語レベルだけでなく、節や文全体、あるいは段落の内容を正確に把握し、要約する能力が試される。英文要約においては、長文全体の論旨を把握する上で、照応の連鎖を正確に追跡し、主題の展開を理解していることが前提となる。

差がつくポイント

  1. 原理的理解の言語化が挙げられる。なぜその冠詞が使われるのか、あるいは使われないのかを、「特定化」「導入」「総称」「前提」「照応」といった本質的な概念を用いて論理的に説明できるか否かで、感覚的な理解に留まっている受験生との間で決定的な差がつく。
  2. マクロな視点での文脈分析が重要となる。文単体ではなく、パラグラフ全体、さらには文章全体の情報構造や論旨展開というマクロな視点から、個々の冠詞の役割を判断できるか否かが問われる。局所的な解釈に囚われると、大局的な文脈判断を要する良問には対応できない。
  3. 推論能力の動員が不可欠である。直接の先行詞がない定冠詞など、明示されていない情報をスキーマ知識や文脈から推論によって補完し、論理的なつながりを構築できるか否かで、高度な長文を読み解く能力に差が生じる。

演習問題

試験時間: 90分 / 満点: 100点

第1問(25点)

以下の文章は、科学哲学におけるパラダイム論について論じたものである。空所( A )~( Y )に入る最も適切な冠詞または指示詞を、それぞれの選択肢から選びなさい。無冠詞が適切な場合は「無冠詞」を選ぶこと。(各1点)

In his seminal work, “The Structure of Scientific Revolutions,” Thomas Kuhn introduced ( A ) [ a / the / 無冠詞 ] concept of a “paradigm.” ( B ) [ A / The / This ] paradigm, he argued, is more than just ( C ) [ a / the / 無冠詞 ] current theory; it is ( D ) [ a / an / the ] entire constellation of beliefs, values, and techniques shared by ( E ) [ a / the / 無冠詞 ] members of ( F ) [ a / the / 無冠詞 ] given scientific community. ( G ) [ A / The / 無冠詞 ] science operating under ( H ) [ a / the / 無冠詞 ] dominant paradigm is what Kuhn called “normal science.” ( I ) [ The / This / 無冠詞 ] primary activity of normal scientists is not to challenge ( J ) [ a / the / 無冠詞 ] paradigm, but to solve ( K ) [ a / the / 無冠詞 ] puzzles that it defines.

However, over time, ( L ) [ a / the / 無冠詞 ] anomalies—phenomena that ( M ) [ a / the / 無冠詞 ] paradigm cannot explain—begin to accumulate. At first, ( N ) [ a / the / these ] anomalies are often ignored or explained away. But as ( O ) [ a / the / 無冠詞 ] evidence for them mounts, ( P ) [ a / the / 無冠詞 ] crisis ensues. ( Q ) [ A / The / This ] crisis period is characterized by ( R ) [ a / the / 無冠詞 ] profound professional insecurity and ( S ) [ a / the / 無冠詞 ] proliferation of competing theories.

Eventually, ( T ) [ a / the / 無冠詞 ] new paradigm emerges that can account for ( U ) [ a / the / 無冠詞 ] anomalies. ( V ) [ A / The / This ] shift from ( W ) [ a / the / one ] old paradigm to ( X ) [ a / the / the new ] one is what Kuhn famously termed ( Y ) [ a / the / 無冠詞 ] “scientific revolution.”

第2問(25点)

以下の文章を読み、下線部①~⑤の冠詞または指示詞の選択について、それが文脈の中で果たしている機能や効果を、講義編で学んだ概念(例:前提、照応、情報構造、焦点化、視点)を用いて具体的に説明しなさい。(各5点)

The debate over climate change is not a single argument, but a complex tapestry of scientific, economic, and political disputes. ①A central scientific question is the extent to which human activity is responsible for global warming. While ②the overwhelming scientific consensus affirms this link, ③some dissenting voices remain, often funded by industries with vested interests in fossil fuels.

This politically charged environment makes rational policymaking difficult. Proponents of immediate action point to the catastrophic risks of inaction, framing the issue as a moral imperative. Opponents, on the other hand, emphasize ④theeconomic costs of regulation, arguing that they would cripple industries and lead to job losses. ⑤That entire debate, however, often overlooks the more fundamental question of what kind of society we wish to create in the face of ecological limits.

第3問(25点)

以下の文章における照応関係について、設問に答えなさい。

[1] A recent study on the cognitive effects of social media use has yielded some troubling findings. It suggests that the constant stream of notifications and information fragments may be altering the way our brains process information, favoring shallow, rapid-fire engagement over deep, sustained concentration.

[2] The researchers who conducted the study employed a longitudinal design, tracking the media consumption habits and cognitive performance of over 5,000 adolescents for a period of three years. The results were striking. The participants who reported the highest levels of social media use showed a significant decline in their ability to focus on a single task for an extended period.

[3] The implications of these findings are far-reaching. If the architecture of our primary communication tool is indeed reshaping our cognitive architecture, the consequences for education, science, and even democracy could be profound. The challenge, then, is to figure out how to mitigate the negative impacts of the technology while still harnessing its benefits.

問1(10点)
以下の名詞句は、それぞれ文章中のどの対象を指しているか。最も的確な英語表現を本文中から抜き出して答えなさい。

(a) The results (in paragraph 2)
(b) these findings (in paragraph 3)
© the technology (in paragraph 3)

問2(15点)
パラグラフ[2]の冒頭にある「The researchers」と「the study」は、いずれも定冠詞を伴っているが、文中で初めて言及されるように見える。なぜ、これらが定冠詞で特定可能なのか。それぞれの特定化のメカニズムを、「スキーマ」や「照応」といった概念を用いて説明しなさい。

第4問(25点)

以下の(1)~(3)の各文ペアについて、冠詞の選択によって生じる意味やニュアンスの違いを、文脈や話し手の意図に触れながら説明しなさい。

(1)
(a) He is an expert in medieval history.
(b) He is the expert on the Sutton Hoo ship burial.

(2)
(a) A lion is a dangerous animal.
(b) Lions are dangerous animals.
© The lion is a dangerous animal.

(3)
(a) She went to the school to meet her son’s teacher.
(b) Her son is old enough to go to school.

解答・解説

難易度構成

難易度配点大問
標準25点第1問
発展50点第3問、第4問(3)
難関25点第2問、第4問(1)(2)

結果の活用

得点判定推奨アクション
80点以上A原理的理解は盤石。過去問演習で多様な文脈への応用力を高める。
60-79点B良好だが、曖昧な点が残る。特に語用論的なニュアンスの違いを説明する問題を中心に復習する。
40-59点C講義編の意味層・語用層を重点的に復習し、冠詞の機能の違いを言語化する訓練を積む。
40点未満D講義編全体、特に統語層と意味層の基本原理から再学習し、土台を固める。

第1問 解答・解説

【戦略的情報】

項目内容
出題意図談話の流れの中で、新情報と旧情報、総称と特定、直接照応と間接照応を区別し、適切な冠詞・指示詞を選択する能力を問う。
難易度標準
目標解答時間15分

【思考プロセス】

状況設定

学術的な論説文において、専門用語や概念が段階的に導入され、展開される流れを追う問題である。各空所では、その名詞が文脈上「新情報か旧情報か」「特定か不特定か」「総称か個別か」という三つの観点から判断を下す必要がある。受験生は「パラダイム」という語が繰り返し現れることに惑わされやすいが、文脈上のステータスは言及ごとに変化する点に注意が必要である。

レベル1:初動判断

空所の直後にある名詞の性質を確認する。可算単数か、複数か、不可算か。これにより、選択肢の一部を統語的に除外できる場合がある。次に、その名詞が文章中で初めて登場するか、すでに言及されているかを判断する。

レベル2:情報の取捨選択

初出の名詞であれば、新情報を示す不定冠詞や無冠詞複数形が候補となる。すでに言及されている名詞であれば、旧情報を示す定冠詞や指示詞が候補となる。後置修飾によって特定化されている場合は、初出であっても定冠詞が使用されることがある。

レベル3:解答構築

各空所について、名詞の文法的性質と談話上のステータスを照合し、最適な選択肢を確定する。

判断手順ログ

手順1:(A)は「パラダイム」という概念の初出であり、新情報として導入されるため不定冠詞。手順2:(B)は(A)で導入された概念を再言及するため定冠詞。手順3:(L)は「アノマリー」が総称的に言及されており、無冠詞複数形が適切。手順4:(Q)は直前の(P)で導入された危機を受けており、指示詞による焦点化が効果的。

【解答】

(A) a, (B) The, © a, (D) an, (E) the, (F) a, (G) 無冠詞, (H) a, (I) The, (J) the, (K) the, (L) 無冠詞, (M) the, (N) these, (O) the, (P) a, (Q) This, ® 無冠詞, (S) a, (T) a, (U) the, (V) The, (W) the, (X) the new, (Y) a

【解答のポイント】

正解の論拠: 各空所の選択は、名詞の談話上のステータス(新情報/旧情報)と統語的性質(可算性・数)の両方を考慮して決定される。(A)では「パラダイム」という概念が初めて導入されるため、新情報を示す不定冠詞aが必須である。(B)では(A)で導入された同一の概念を指すため、旧情報を示す定冠詞theが使用される。(L)では「アノマリー」が一般的な現象として総称的に言及されており、無冠詞複数形が適切である。(Q)では直前の(P)で導入された「危機」を焦点化しつつ再言及するため、指示詞Thisが効果的である。

誤答の論拠: (A)でtheを選択する誤りは、「パラダイム」という語が文章全体を通じて重要であることと、文脈上初出であることを混同している。(L)でtheを選択する誤りは、「アノマリー」が特定の事例を指すと誤解している。ここでは、パラダイムが説明できない現象一般について述べており、特定のアノマリーを指しているわけではない。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件: 学術的な論説文において、専門用語や概念が段階的に導入・展開される文章の読解に有効である。名詞の談話上のステータス(新/旧)を追跡し、冠詞の選択と照合するという思考法は、あらゆる説明的文章に応用できる。

【参照】

  • [M03-意味] └ 定冠詞の特定化機能と不定冠詞の導入機能
  • [M03-談話] └ 照応の連鎖と情報の蓄積

第2問 解答・解説

【戦略的情報】

項目内容
出題意図冠詞・指示詞の選択がもたらす語用論的なニュアンス(評価、態度、焦点化、議論の誘導など)を、原理に基づいて言語化する能力を問う。
難易度難関
目標解答時間25分

【思考プロセス】

状況設定

気候変動に関する論争を扱った議論的文章において、筆者がどのような立場から情報を提示しているかを、冠詞・指示詞の選択から読み取る問題である。単に文法的な正しさを問うのではなく、その選択が持つ語用論的効果を分析する高度な能力が求められる。

レベル1:初動判断

各下線部について、その冠詞・指示詞が「なぜ他の選択肢ではなく、それが選ばれたのか」という問いを立てる。文法的に許容される代替表現との比較が、その選択の効果を浮き彫りにする。

レベル2:情報の取捨選択

①ではaとtheの対比、②ではtheとaの対比、③ではsomeとtheや無冠詞の対比、④ではtheによる前提の設定、⑤ではthatとthisの対比が分析の軸となる。

レベル3:解答構築

各選択について、講義編で学んだ概念(前提、焦点化、遠隔性など)を用いて、その語用論的効果を具体的に説明する。

【解答】

① A central scientific question: 不定冠詞aは、気候変動を巡る論争の中に複数の科学的論点が存在することを含意し、その中から「中心的なものの一つ」を新情報として取り上げている。もしThe central questionとすると、科学的論点が唯一であるかのような強い前提を設定することになり、複雑な議論の状況とは適合しない。aを選択することで、筆者は議論の多面性を認めつつ、一つの重要な論点に焦点を当てるという、バランスの取れた導入を行っている。

② the overwhelming scientific consensus: 定冠詞theは、「圧倒的な科学的コンセンサス」が、この分野において唯一無二の、誰もが認めるべき事実として存在するという、強力な「存在の前提」と「唯一性の前提」を設定している。筆者はこのtheを用いることで、コンセンサスの存在を議論の出発点となる自明の理として位置づけ、続く「反対意見」を少数派の例外として効果的に際立たせている。a consensusとすると、単に「一つの合意がある」という意味になり、その主張の強さが大幅に弱まる。

③ some dissenting voices: someは、反対意見が「ゼロではないが、全てでもない」という部分的な存在を示している。これは、直前のthe overwhelming consensus(圧倒的多数派)との対比を明確にする効果を持つ。もしdissenting voicesと無冠詞複数形にすると、反対意見が一般的な存在であるかのような印象を与え、多数派との対立がぼやける。the dissenting voicesとすると、特定の反対派グループを指すことになるが、ここでは不特定の反対意見の存在を指摘するに留めている。

④ the economic costs of regulation: 定冠詞theは、「規制の経済的コスト」というものが、この議論の文脈において特定可能な、重要な争点であることを示している。of regulationという後置修飾による特定化に加え、「規制をかければコストがかかる」という常識的なスキーマ知識に訴えかけることで、そのコストの存在を自明の前提として設定している。このtheは、反対派の主張の根幹をなす、共有されるべき懸念事項として「コスト」を提示する修辞的効果を持つ。

⑤ That entire debate: 指示詞thatは、先行する段落全体で述べられてきた「温暖化対策を巡る賛成派と反対派の対立」という議論全体を指している。thisではなくthatを用いることで、筆者はその議論から一歩引いた「遠隔性」の視点を取り、それを「あれはあれとして」と客観的にまとめた上で、「しかし、その議論全体が、より本質的な問いを見過ごしている」と、議論の次元を一つ上げる、批判的な視点への転換を鮮やかに示している。thatは、先行する議論を一つの対象として客観化し、乗り越えるべきものとして提示する強力な語用論的機能を持っている。

【解答のポイント】

正解の論拠: 各下線部の分析では、その冠詞・指示詞が持つ「前提の設定」「対比の明確化」「視点の表明」といった語用論的機能を、具体的な代替表現との比較を通じて説明することが求められる。単に「旧情報だからthe」といった表面的な説明ではなく、その選択が議論の構造や筆者の立場にどのように寄与しているかを分析する必要がある。

誤答の論拠: 冠詞の選択を文法的な正誤の問題としてのみ捉え、語用論的なニュアンスの分析が欠けている解答は不十分である。また、「筆者の意図」に言及する際に、根拠なく推測を述べるのではなく、冠詞の機能に関する原理的知識に基づいて論じる必要がある。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件: 議論的・論争的な文章において、筆者の立場や修辞的戦略を分析する問題に有効である。冠詞・指示詞の選択を「なぜ他ではなくこれなのか」という問いで分析し、代替表現との比較を通じて効果を浮き彫りにするという手法は、批判的読解全般に応用できる。

【参照】

  • [M03-語用] └ 冠詞と前提の戦略的利用
  • [M03-語用] └ This/Thatの近接性・遠隔性と視点の表明

第3問 解答・解説

【戦略的情報】

項目内容
出題意図複数のパラグラフにまたがる照応の連鎖と、スキーマ知識を介した間接照応のメカニズムを正確に把握する能力を問う。
難易度発展
目標解答時間20分

【思考プロセス】

状況設定

ソーシャルメディアの認知的影響に関する研究を紹介した文章において、照応関係を追跡する問題である。問1では直接照応の追跡、問2では間接照応(スキーマを介した照応)のメカニズムの説明が求められる。

レベル1:初動判断

問1では、各名詞句が指す対象を本文中から特定する。定冠詞や指示詞を手がかりに、先行する文脈を遡って対応する表現を探す。問2では、「The researchers」と「the study」が初出にもかかわらず定冠詞を伴う理由を分析する。

レベル2:情報の取捨選択

問1(a)の「The results」は直前の文で言及された研究の結果を指す。問1(b)の「these findings」は段落[2]で述べられた研究結果を指す。問1©の「the technology」は文章全体のトピックである「social media」を指す。問2では、「研究」スキーマに含まれる典型的な構成要素として「研究者」が想起されることを説明する。

レベル3:解答構築

問1では該当する表現を本文から正確に抜き出す。問2では「間接照応」と「直接照応」という概念を用いて、それぞれの特定化メカニズムを説明する。

【解答】

問1:

(a) The results: The participants who reported the highest levels of social media use showed a significant decline in their ability to focus on a single task for an extended period. という文全体、またはその核心部分である a significant decline in their ability to focus on a single task for an extended period

(b) these findings: The participants who reported the highest levels of social media use showed a significant decline in their ability to focus on a single task for an extended period. または The results が指す内容と同一

© the technology: social media

問2:

「The researchers」の特定化メカニズムは「間接照応(連想照応)」による。パラグラフ[1]で「A recent study」(最近の研究)が導入されたことで、「研究」スキーマが活性化される。このスキーマには「研究を行う者(researchers)」という役割が典型的な構成要素として含まれている。したがって、直接の先行詞がなくても、「The researchers」は聞き手(読者)の推論によって「(その研究を行った)研究者たち」として一意に特定可能となる。

「the study」の特定化メカニズムは「直接照応」による。パラグラフ[1]で「A recent study」として初めて導入された対象を、パラグラフ[2]で既知情報として再言及している。不定冠詞で導入された新情報が、二度目の言及で定冠詞を用いて旧情報として扱われる、談話における最も基本的な照応のパターンである。

【解答のポイント】

正解の論拠: 問1では、定冠詞や指示詞が指す対象を、文脈を遡って正確に特定することが求められる。「The results」は直前の研究から得られた結果を、「these findings」はその結果を、「the technology」は文章全体のトピックであるソーシャルメディアを指す。問2では、「間接照応」と「直接照応」という二つの異なるメカニズムを区別し、それぞれを適切な概念を用いて説明することが求められる。

誤答の論拠: 問1で「The results」を「The study」と混同する誤りは、結果と研究そのものを区別していない。問2で「The researchers」を「直接照応」と説明する誤りは、「researchers」という語が文中で初めて登場する事実を見落としている。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件: 学術的な文章において、研究の紹介、実験の記述、結果の報告という典型的な構造を持つ文章の読解に有効である。「研究」「実験」「調査」といったスキーマが活性化された場合、「研究者」「方法」「結果」「意義」といった関連要素が間接照応によって特定可能になるという原理は、論文や報告書の読解に広く応用できる。

【参照】

  • [M03-語用] └ スキーマと間接照応
  • [M03-談話] └ 段落を越えた同一対象の追跡

第4問 解答・解説

【戦略的情報】

項目内容
出題意図同一名詞に対する冠詞の選択が、文脈に応じてどのように意味や用法を変化させるかを、原理に基づいて体系的に説明する能力を問う。
難易度発展~難関
目標解答時間30分

【思考プロセス】

状況設定

冠詞の選択による意味の違いを体系的に説明する問題である。(1)では不定冠詞と定冠詞の対比、(2)では総称表現の三形式の比較、(3)では冠詞の有無による具体/抽象の対比が問われる。

レベル1:初動判断

各文ペアについて、冠詞の選択がどのような意味的・語用論的な違いを生み出すかを特定する。単なる訳語の違いではなく、話し手の認識や文脈における機能の違いに着目する。

レベル2:情報の取捨選択

(1)では「分類」と「唯一性の特定」の対比、(2)では「代表例による定義」「成員全体の傾向」「抽象的典型」という三つの総称表現の機能の違い、(3)では「場所」と「目的・制度」という意味の対比が分析の軸となる。

レベル3:解答構築

各文ペアについて、冠詞の選択がもたらす意味の違いを、講義編で学んだ概念を用いて具体的に説明する。

【解答】

(1) an expert vs. the expert

(a) He is an expert in medieval history.: 不定冠詞aは「分類」の機能を持つ。彼を「中世史の専門家」という広いカテゴリーに属する「一人のメンバー」として位置づけている。世の中には中世史の専門家が複数いるが、彼はその中の一人である、という意味を表す。

(b) He is the expert on the Sutton Hoo ship burial.: 定冠詞theは「唯一性の特定」の機能を持つ。「サットン・フーの船葬」という非常に限定されたトピックに関する専門家として、彼が「唯一無二の権威」または「その分野で最も重要な第一人者」であることを示唆している。

違いの要点: an expertは「専門家の一人」という客観的な分類であるのに対し、the expertは「その分野の第一人者」という、唯一性と権威性を含意する、はるかに強い主張である。

(2) A lion vs. Lions vs. The lion

これは「総称表現」の三つの形式であり、それぞれニュアンスが異なる。

(a) A lion is a dangerous animal.: 不定冠詞aは「代表例による定義」を示す。ライオンというカテゴリーから「任意の一頭」を取り出し、その個体が持つ本質的・定義的な性質(危険な動物であること)を述べている。科学的な分類や教科書的な定義に適した表現である。

(b) Lions are dangerous animals.: 無冠詞複数形は「成員全体の一般的傾向」を示す。「(世にいる)ライオンたち全般は、危険な動物である」という、観察に基づいた経験則や一般的事実を述べるのに最も一般的な表現である。100%の例外を許さない定義というよりは、「概して危険だ」というニュアンスを持つ。

© The lion is a dangerous animal.: 定冠詞theは「抽象化された典型(種)」を示す。「ライオンという種そのもの」を一つの抽象的な存在として捉え、その種が持つ典型的な性質を述べている。(a)よりも堅く、文語的な響きを持つ。

違いの要点: A lionは定義的・論理的、Lionsは観察的・経験的、The lionは抽象的・典型的、というニュアンスの違いがある。日常会話では(b)が最も一般的に使用される。

(3) the school vs. school

これは、具体名詞が冠詞の有無によって「具体的な場所」と「抽象的な目的・制度」の意味を使い分ける例である。

(a) She went to the school to meet her son’s teacher.: 定冠詞theが付いているため、schoolは「特定の学校の建物」という具体的な場所を指す。彼女の息子が通っている、あの学校へ、という意図が明確である。

(b) Her son is old enough to go to school.: 無冠詞で使われているため、schoolは物理的な建物ではなく、「教育を受ける」「就学する」という抽象的な「目的」や「制度」そのものを指している。

違いの要点: the schoolは「場所」を指し、schoolは「機能・目的」を指す。この違いは、in prison(服役中)とin the prison(刑務所の建物の中)、go to bed(就寝する)とgo to the bed(そのベッドへ行く)など、多くの名詞で見られる重要な意味の対立である。

【解答のポイント】

正解の論拠: 各文ペアの分析では、冠詞の選択がもたらす意味の違いを、講義編で学んだ概念(分類、特定化、総称表現の三形式、具体/抽象の対立)を用いて体系的に説明することが求められる。単なる訳語の違い(「ある専門家」vs.「その専門家」)を述べるだけでは不十分であり、その違いが文脈や話し手の認識においてどのような意味を持つかを説明する必要がある。

誤答の論拠: (2)において三つの表現を「すべて同じ意味」と説明する誤りは、総称表現のニュアンスの違いを理解していない。(3)において「the schoolは特定の学校、schoolは学校一般」と説明する誤りは、「具体/抽象」という意味の対立を「特定/不特定」と混同している。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件: 冠詞の選択による意味の違いを問う問題全般に有効である。特に、不定冠詞と定冠詞の対比(分類 vs. 特定化)、総称表現の三形式の比較、具体名詞の抽象化という三つのパターンは、冠詞問題において頻出であり、これらの原理を理解していれば、多様な問題に応用できる。

【参照】

  • [M03-意味] └ 不定冠詞の分類機能と定冠詞の特定化機能
  • [M03-意味] └ 総称表現の体系的比較
  • [M03-意味] └ 具体名詞の抽象化

体系的接続

  • [M02-統語] └ 名詞句の内部構造と冠詞の統語的位置の関係を再確認する
  • [M04-意味] └ 前置詞が冠詞の選択や名詞句の解釈に与える影響を分析する
  • [M16-語用] └ 代名詞や指示語と冠詞との照応関係における機能分担を体系的に整理する
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