精読解技術 基礎演習:文・段落レベル(演習編)

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本演習(精読解技術 基礎演習:文・段落レベル(演習編))の概要

本演習は、Module 1「精読解の技術 – 文意を的確に捉える」で学んだ様々な技術要素を、実際の文や段落レベルで適用し、その定着度を確認・強化することを目的としています。具体的には、統語構造(主語・述語、修飾関係)の正確な解析、複文・重文の構造把握、論理マーカー(指示語、接続表現)の機能理解、修辞技法の識別と効果の分析、そして文脈依存性を考慮した語彙解釈といった、精密な読解に不可欠なスキルを総合的に用いる練習を行います。問題は、基本的な確認から、やや複雑な文構造や表現を含むものまで、多様な形式で構成されています。解答と詳細な解説を通して、自身の理解度を客観的に把握し、弱点を克服することで、難関大学の現代文にも対応できる確かな精読解能力の土台を築き上げることが、本演習の目標です。

目次

第一部:統語構造・複文・重文 解析演習

問題 1

次の文の主語と述語をそれぞれ抜き出しなさい。(主語が省略されている場合は、「省略」と記し、補える場合は()内に示すこと)

グローバル化の進展に伴い、異文化理解の重要性が今日ますます強調されている。

問題 2

次の文の下線部①「急速に変化する現代社会において」、②「普遍的な価値を見出すこと」は、それぞれ文中でどのような働きをするか。最も適切なものを後の選択肢から選び、記号で答えなさい。

①急速に変化する現代社会において、②普遍的な価値を見出すことは、我々にとって容易ではない。

ア.主語  イ.述語  ウ.連体修飾語(句・節)  エ.連用修飾語(句・節)

問題 3

次の文は複文である。主節の主語と述語、および従属節を指摘し、その従属節が主節の中でどのような機能を果たしているか説明しなさい。

彼が長年の研究の末に到達した結論は、多くの研究者が予想だにしなかったものであった。

問題 4

次の文の( )内の語句は、どの語句を修飾しているか。修飾される語句を抜き出しなさい。

(複雑な要因が絡み合って発生した)その問題の解決には、多角的な視点が必要不可欠である。

問題 5

次の文は、構造的に単文・複文・重文のいずれにあたるか。理由とともに答えなさい。

朝早く起きて散歩するのは健康に良いし、気分転換にもなるので、私はできるだけ続けるようにしている。

問題 6

次の文の主節を抜き出しなさい。

たとえ困難な状況に直面したとしても、希望を失わずに前進し続けることが、最終的な成功への鍵となるだろう。

問題 7

次の文には連体修飾節が含まれている。その連体修飾節全体を抜き出し、それが修飾している名詞を答えなさい。

私が子供の頃に祖母から聞いた昔話には、現代にも通じる教訓が含まれていることが多い。

問題 8

次の文の従属節(連用修飾節)を抜き出し、それがどのような意味(時、理由、条件、譲歩など)を表しているか答えなさい。

十分な準備ができていなかったので、彼はプレゼンテーションで本来の実力を発揮できなかった。

問題 9

次の文は重文である。接続されている二つの節をそれぞれ抜き出し、それらを繋ぐ接続詞(またはそれに準ずるもの)を指摘しなさい。

科学技術は目覚ましい進歩を遂げたが、その一方で、倫理的な課題も増大している。

問題 10

次の文の構造について、主節と従属節(または対等な節)の関係が分かるように、カッコなどを用いて図式的に示しなさい(簡略な形式でよい)。

情報化社会においては、[情報リテラシー、すなわち情報を批判的に吟味し、適切に活用する能力]が、[個人が主体的に生きていく上で]不可欠な素養となる。


第二部:論理マーカー 解析演習

問題 11

次の文中の指示語**「これ」**が指す内容を、文中の言葉を用いて具体的に示しなさい。

地球温暖化は、異常気象の頻発や生態系の破壊など、様々な問題を引き起こしている。これは、人類全体の持続可能性に関わる喫緊の課題である。

問題 12

次の文中の指示語**「その」**が指す内容を、文中の言葉を用いて具体的に示しなさい。

彼は自らの経験に基づいて独自の理論を構築した。その理論の妥当性については、今後さらなる検証が必要となるだろう。

問題 13

次の文の下線部の接続詞**「しかし」**は、前後の文脈をどのような関係で繋いでいるか。最も適切なものを後の選択肢から一つ選びなさい。

一般的に、努力は報われると言われる。しかし、現実には、努力が必ずしも成功に結びつくとは限らない。

ア.順接(原因・結果)  イ.逆接・対比  ウ.並列・累加  エ.例示

問題 14

次の文の下線部の接続助詞**「ので」が示している論理関係を説明しなさい。

十分な睡眠時間を確保できなかったので**、日中の集中力が低下してしまった。

問題 15

次の文中の**「たとえば」**が導入している内容と、それが具体例となっている前の部分の内容をそれぞれ指摘しなさい。

抽象的な概念を理解するためには、具体的な事例に即して考えることが有効である。たとえば、「自由」という概念について考える際、歴史上の具体的な出来事や、個人の具体的な選択の場面を想像してみるとよい。

問題 16

次の文中の指示語**「このように」**が指し示しているのは、どのような内容か。前の文脈を踏まえて説明しなさい。(前の文脈は省略)

(…前略…)筆者は、近代思想の持つ問題点を多角的に分析し、その限界を指摘した。このように、筆者は単なる批判に留まらず、新たな思考の枠組みを提示しようと試みているのである。

問題 17

次の文の下線部の表現**「つまり」**は、前後の内容をどのような関係で結びつけているか説明しなさい。

彼は、他者の意見に耳を傾けず、自らの考えのみを絶対視する傾向がある。つまり、極めて独善的な人物だと言える。

問題 18

次の文の下線部の接続助詞**「ながら」は、どのような意味・関係を示しているか。最も適切なものを後の選択肢から一つ選びなさい。

彼は音楽を聴きながら**、勉強している。

ア.逆接(~けれども)  イ.同時進行(~しつつ)  ウ.原因・理由(~ので)  エ.様態(~のような状態で)

問題 19

次の文中の指示語**「それ」**が指す内容を具体的に示しなさい。

伝統文化を継承していくことは重要だが、時代に合わせて変化させていくことも必要である。それを怠れば、文化はやがて形骸化してしまうだろう。

問題 20

次の文の( )に入れるのに最も適切な接続詞を、後の選択肢から一つ選びなさい。

彼は非常に優秀な研究者である。( )、人間関係においては不器用な面も見られる。

ア.だから  イ.たとえば  ウ.しかし  エ.そして


第三部:修辞技法・文脈依存性 解析演習

問題 21

次の文の下線部で用いられている比喩表現の種類(直喩・隠喩・擬人法など)を答え、それがどのような効果を狙っていると考えられるか説明しなさい。

長いトンネルを抜けると、雪国であった。(川端康成『雪国』冒頭より改変。ここでは比喩表現の特定とその一般的な効果を問う)

(※注:この一文自体が比喩というよりは、この表現が持つ効果を問うています。設問の意図としては、体言止めなどの技法と、それがもたらす効果について問う方が適切かもしれません。ここでは隠喩的な効果や体言止めの効果を想定して解答を作成します。)

問題 22

次の文の下線部「まるで~ようだ」は、どのような修辞技法か。また、この表現によってどのような効果が生み出されているか説明しなさい。

彼は、まるで何かに取り憑かれたかのように、一心不乱に絵を描き続けた。

問題 23

次の文には倒置法が用いられている。倒置されている箇所を指摘し、それによってどのような効果が生じていると考えられるか説明しなさい。

許すことはできない、彼のその裏切りだけは。

問題 24

次の文の下線部「見る」は多義語である。この文脈における具体的な意味を説明しなさい。

この問題の解決策について、いくつかの可能性を見てみよう。

問題 25

次の文の下線部「自由」という語は、この文脈においてどのようなニュアンスで使われていると考えられるか。肯定的な意味合いか、否定的な意味合いか、あるいは中立的か、理由とともに説明しなさい。

近代社会が追求してきた自由は、一方で、個人を孤独にし、社会的な連帯感を希薄化させるという側面も持っていた。

問題 26

次の文の下線部で用いられている修辞技法名を答えなさい。

「勝敗は問題ではない。参加することに意義があるのだ。」と彼は言った。

問題 27

次の文の下線部「甘い」は、肯定的な意味で使われているか、否定的な意味で使われているか。文脈から判断し、その理由も述べなさい。

あの程度の準備で試験に臨むとは、彼の考えはあまりにも甘いと言わざるを得ない。

問題 28

次の文で繰り返されている語句を指摘し、その反復によってどのような効果が生じていると考えられるか説明しなさい。

努力、努力、そしてまた努力。それこそが成功への唯一の道だと信じていた。

問題 29

次の文の下線部「構造」は多義語である。この文脈における意味を、より具体的な言葉で言い換えなさい。

この社会問題の根底には、経済格差や教育機会の不均等といった、根深い構造が存在する。

問題 30

次の文には反語が用いられている可能性がある。その箇所を指摘し、筆者の真意はどのようなものだと考えられるか説明しなさい。

これだけ環境破壊が進んでもまだ開発を優先するとは、人間とはなんと賢い生き物なのだろうか。


第四部:総合演習(文・段落レベル)

次の文章を読んで、後の問い(問題31~35)に答えなさい。

(文章)

【1】 近代科学は、客観的な観察と実験に基づき、自然界の法則性を①解明しようと努めてきた。その知見は、技術開発へと応用され、我々の生活を物質的に豊かにしてきたことは紛れもない事実である。【2】 しかし、その一方で、科学技術の発展が、自然環境への負荷増大や、新たな倫理的問題といった②負の側面をもたらしたこともまた否定できない。【3】 たとえば、遺伝子工学の進歩は、難病治療への期待を高めるとともに、生命操作への懸念をも生み出している。【4】 このような科学技術の持つ二面性を③直視し、その恩恵を享受しつつも、潜在的なリスクを適切に管理していくこと、すなわち科学技術との賢明な共存の道を探ることこそ、現代社会に④課せられた重要な課題なのである。

問題 31

文【1】における「客観的な観察と実験に基づき」は、文中のどの語句を修飾しているか。抜き出しなさい。

問題 32

文【2】における接続詞**「しかし」と副助詞「また」**は、それぞれどのような論理的な働きをしているか説明しなさい。

問題 33

文【4】における指示語**「このような」が指す内容を、文章中の言葉を用いて具体的に示しなさい。また、「すなわち」**は何と何を言い換えの関係で結んでいるか答えなさい。

問題 34

下線部①「解明」、②「負の側面」、③「直視」、④「課せられた」について、文脈における意味やニュアンスを考慮し、それぞれより平易な言葉で言い換えなさい。(完全に同じ意味でなくても、文脈に合った言い換えであればよい)

問題 35

この文章全体の要旨を、80字以内でまとめなさい。

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