目次
問題 / 解答
第一部:統語構造・複文・重文 解析演習
問題 1
- 解答例: 主語:重要性が、述語:強調されている
- 解説: この文の骨格は「重要性が強調されている」です。「グローバル化の進展に伴い」と「今日ますます」は述語「強調されている」を修飾する連用修飾語(句・副詞)です。「異文化理解の」は名詞「重要性」を修飾する連体修飾語です。
問題 2
- 解答例: ① エ.連用修飾語(句・節)、② ア.主語
- 解説:
- ①「急速に変化する現代社会において」は、「(~において)容易ではない」という述語(形容詞「ない」)に係る連用修飾句(場所・状況を示す)です。
- ②「普遍的な価値を見出すこと」は、形式名詞「こと」で終わる名詞句(または節)であり、「~は容易ではない」の主語となっています。
問題 3
- 解答例:
- 主節の主語:結論は
- 主節の述語:ものであった
- 従属節:「彼が長年の研究の末に到達した」
- 従属節の機能:主節の主語「結論」を修飾する連体修飾節。
- 解説: 文全体の骨格は「結論は~ものであった」です。「彼が長年の研究の末に到達した」という節が、どのような「結論」なのかを詳しく説明しており、名詞「結論」を修飾する連体修飾節として機能しています。「多くの研究者が予想だにしなかった」も「もの」を修飾する連体修飾節です。
問題 4
- 解答例: 問題
- 解説: (複雑な要因が絡み合って発生した)は、直後の体言「問題」を修飾する連体修飾節です。「その」も「問題」を修飾する連体詞です。
問題 5
- 解答例: 複文。(理由:文全体が「私は~続けるようにしている」という主節を持ち、その中に理由を示す連用修飾節「朝早く起きて散歩するのは健康に良いし、気分転換にもなるので」が含まれているから。さらに、理由を示す節の内部も「~は良いし、~にもなる」という重文的な構造を含んでいる、非常に複雑な構造。)
- 解説: まず文末の「続けるようにしている」が主節の述語です。主語「私は」は省略されています。なぜ続けるようにしているのか、その理由を示す部分「朝早く起きて散歩するのは健康に良いし、気分転換にもなるので」が、全体として述語「している」を修飾する連用修飾節となっています。この理由を示す節自体も「AはBだし、Cにもなる」という構造(A=朝早く起きて散歩すること、B=健康に良い、C=気分転換)を含んでおり、その部分だけ見れば重文とも言えます。しかし、文全体としては、理由の節が主節に埋め込まれた複文と捉えるのが適切です。
問題 6
- 解答例: 希望を失わずに前進し続けることが、最終的な成功への鍵となるだろう
- 解説: 「たとえ困難な状況に直面したとしても」は、「~としても」で終わる譲歩の連用修飾節です。これが修飾している先が主節となります。主節の主語は「希望を失わずに前進し続けること」(名詞句)、述語は「鍵となるだろう」です。「最終的な成功への」は「鍵」を修飾する連体修飾句です。
問題 7
- 解答例:
- 連体修飾節:「私が子供の頃に祖母から聞いた」
- 修飾される名詞:昔話
- 解説: 「私が子供の頃に祖母から聞いた」という節が、どのような「昔話」なのかを説明しており、直後の名詞「昔話」を修飾しています。
問題 8
- 解答例:
- 連用修飾節:「十分な準備ができていなかったので」
- 表している意味:原因・理由
- 解説: 「~ので」は原因・理由を示す代表的な接続助詞です。この節全体が、主節「彼はプレゼンテーションで本来の実力を発揮できなかった」の理由を示し、述語「発揮できなかった」を修飾しています。
問題 9
- 解答例:
- 節1:「科学技術は目覚ましい進歩を遂げた」
- 節2:「その一方で、倫理的な課題も増大している」
- 接続詞(またはそれに準ずるもの):「が」(逆接・対比の接続助詞)、「その一方で」(対比を示す副詞句)
- 解説: 接続助詞「が」と副詞句「その一方で」が連携して、前の節(科学技術の進歩)と後の節(倫理的課題の増大)を対比的・逆接的に繋いでいます。二つの節は対等な関係にあると考えられるため、重文(あるいはそれに近い構造)と見なせます。
問題 10
- 解答例: [[情報リテラシー、{すなわち情報を批判的に吟味し、適切に活用する能力}] が、{[個人が主体的に生きていく上で]} 不可欠な素養となる]。(情報化社会においては)
- 解説:
- 文全体の骨格は「[情報リテラシー、すなわち~能力] が [不可欠な素養となる]」という SVC 構造です。
- 主語は「情報リテラシー、すなわち~能力」という長い名詞句(同格)。
- 「すなわち~能力」は「情報リテラシー」の言い換え(同格)。
- 「情報を批判的に吟味し、適切に活用する」は「能力」を修飾する連体修飾節(または句)。
- 述語は「素養となる」です。
- 「不可欠な」は「素養」を修飾する連体修飾語。
- 「個人が主体的に生きていく上で」は、「不可欠な」または「素養となる」を修飾する連用修飾句(または節)。(条件・場面を示す)
- 「情報化社会においては」は、文全体を修飾する連用修飾句(状況設定)。
- カッコの階層で構造を示しています。{}はより内側のまとまり。
第二部:論理マーカー 解析演習
問題 11
- 解答例: 地球温暖化が、異常気象の頻発や生態系の破壊など、様々な問題を引き起こしていること。
- 解説: 指示語「これ」は、原則として直前の内容を指します。ここでは、前の文全体の内容、すなわち「地球温暖化が様々な問題を引き起こしている」という事実全体を指していると考えるのが最も自然です。
問題 12
- 解答例: 彼が自らの経験に基づいて構築した独自の理論。
- 解説: 指示語「その」は、直前の名詞句「独自の理論」を修飾し、それを指しています。「彼が自らの経験に基づいて構築した」という修飾部分も含めて、「その理論」の内容を具体的に示しています。
問題 13
- 解答例: イ.逆接・対比
- 解説: 前の文「努力は報われると言われる」(一般論)に対して、「しかし」の後では「現実にはそうとは限らない」(現実)という、一般論とは反対・対立する内容を述べています。したがって、逆接・対比の関係で繋いでいます。
問題 14
- 解答例: 前の節「十分な睡眠時間を確保できなかった」が原因・理由となり、後の節「日中の集中力が低下してしまった」がその結果であることを示している。
- 解説: 接続助詞「ので」は、原因・理由を示す代表的なマーカーです。
問題 15
- 解答例:
- 「たとえば」が導入している内容:「自由」という概念について考える際、歴史上の具体的な出来事や、個人の具体的な選択の場面を想像してみること。
- 具体例となっている前の部分の内容:「抽象的な概念を理解するためには、具体的な事例に即して考えることが有効である」ということ。
- 解説: 「たとえば」は、前の抽象的な主張(具体例が有効)を、具体的な事例(「自由」の考え方)を挙げて説明・補強しています。
問題 16
- 解答例: 前の文脈で述べられた、筆者が近代思想の問題点を多角的に分析し、その限界を指摘したこと。
- 解説: 指示語「このように」は、それまでの議論や説明の内容全体を受けて、次の段階(ここでは「単なる批判に留まらず~」)へ繋ぐ働きをします。したがって、直前の文脈(省略されている部分)で述べられていた「筆者の分析と指摘の内容」全体を指していると考えられます。
問題 17
- 解答例: 前の文(彼の傾向の説明)の内容を、後の文(独善的という評価)で要約・言い換えている関係。
- 解説: 「つまり」は、前の内容を別の言葉で分かりやすく言い換えたり、要点をまとめたりする際に用いられる接続詞です。ここでは、「他者の意見を聞かず、自分の考えを絶対視する」という具体的な描写を、「独善的」という言葉で端的に評価・要約しています。
問題 18
- 解答例: イ.同時進行(~しつつ)
- 解説: 接続助詞「ながら」には、①逆接(~けれども)、②同時進行(~しつつ)の二つの主な用法があります。この文脈では、「音楽を聴くこと」と「勉強すること」が同時に行われている状況を示しているため、②の同時進行の意味です。
問題 19
- 解答例: 伝統文化を時代に合わせて変化させていくこと。
- 解説: 指示語「それ」は、直前の内容の一部を指すことが多いです。ここでは、「伝統文化を継承していくこと」と「時代に合わせて変化させていくこと」という二つの必要性が述べられた後、「それを怠れば」と続いています。文脈から、「怠る」対象として自然なのは後者の「時代に合わせて変化させていくこと」だと判断できます。
問題 20
- 解答例: ウ.しかし
- 解説: 前の文(優秀な研究者である:プラス評価)と、後の文(人間関係では不器用:マイナス評価)は、内容的に対立・対照的です。このような関係を結ぶのに最も適切な接続詞は、逆接・対比を示す「しかし」です。ア「だから」は順接、イ「たとえば」は例示、エ「そして」は並列・累加であり、文脈に合いません。
第三部:修辞技法・文脈依存性 解析演習
問題 21
- 解答例: 技法:体言止め。(または、隠喩的表現) 効果:文末を名詞「雪国」で終えることで、強い印象を与え、余韻を残し、読者の想像力を喚起する。また、「~であった」という発見のニュアンスと相まって、読者を一気にその情景へと引き込む効果がある。(隠喩と捉えるなら、トンネルを抜けた先の光景全体を「雪国」という言葉で象徴的に表現している、とも解釈できる。)
- 解説: 文末が名詞「雪国」で終わっているため、体言止めが用いられています。これにより、情景が断定的に提示され、強い印象と余韻が生まれます。また、「トンネル(暗)→雪国(白)」という対比も鮮やかです。単なる場所の説明を超え、その場の雰囲気や情景全体を「雪国」という言葉に凝縮させている点で、隠喩的な表現と捉えることも可能です。
問題 22
- 解答例: 技法:直喩(シミリ)。 効果:「まるで~のように」という形を用い、彼が絵を描く様子(本題)を、何かに取り憑かれた状態(比喩)に直接たとえることで、その尋常でない集中ぶりや異様な熱中度合いを、読者に分かりやすく、かつ強調して伝えている。
- 解説: 「まるで~(かの)ように」は直喩の典型的な形式です。彼の没頭ぶりを「取り憑かれた」状態にたとえることで、その常軌を逸した様子を鮮明に印象付けています。
問題 23
- 解答例: 倒置箇所:「許すことはできない」(本来は文末に来る述語部分が文頭に来ている)。 効果:最も強く言いたい「許すことはできない」という感情や判断を文頭に置くことで、それを強く強調し、話し手の強い怒りや拒絶の意志を印象付けている。また、「彼のその裏切りだけは」が後に続くことで、何に対する感情なのかが示され、文全体として強いインパクトと余韻が生まれる。
- 解説: 通常の語順なら「彼のその裏切りだけは、許すことはできない。」となるところを、述語部分を前に出すことで、感情的な強調が生まれています。
問題 24
- 解答例: 検討する、考察する、試してみる。
- 解説: 「見る」は多義語ですが、ここでは「可能性を見る」という文脈から、単に視覚的に捉えるのではなく、「いくつかの可能性について検討する、考えてみる、試してみる」という意味で使われています。
問題 25
- 解答例: 否定的なニュアンス(または、両義的なニュアンス)。理由:文脈で「一方で、個人を孤独にし、社会的な連帯感を希薄化させるという側面も持っていた」と述べられており、「自由」がもたらしたマイナス面が指摘されているため。単に肯定的な価値としてではなく、問題点も内包するものとして捉えられている。
- 解説: 「自由」という言葉自体は肯定的な価値を持つことが多いですが、この文脈では、その「影」の側面、すなわち個人主義の弊害と結びつけて論じられています。したがって、手放しで肯定されているのではなく、むしろその問題点が指摘されており、否定的なニュアンス、あるいは少なくとも両義的なニュアンスで使われていると解釈するのが適切です。
問題 26
- 解答例: 対比法 (または 引用法)
- 解説: 「勝敗」と「参加すること(に意義がある)」という対照的な価値観を提示している点で「対比法」が用いられています。また、発言内容を「」で括って示しているので「引用法」も使われています。設問が修辞技法名を一つ求めている場合、文脈の中心的な技法として「対比法」を挙げるのがより適切かもしれません。
問題 27
- 解答例: 否定的な意味。理由:「あの程度の準備で試験に臨む」という状況に対して、「彼の考えはあまりにも甘い」と評価しており、その後の「と言わざるを得ない」という表現からも、準備不足や見通しの甘さを批判・非難する文脈であると判断できるため。
- 解説: 「甘い」は多義語ですが、ここでは「考えが甘い」という慣用的な意味で、「厳しさや困難さを十分に考慮しておらず、安易である、未熟である」という否定的な評価を表しています。
問題 28
- 解答例: 繰り返されている語句:「努力」。 効果:反復によって「努力」という行為の重要性や、話し手がそれをいかに重視しているかを強く強調している。また、「努力、努力、そしてまた努力」という畳みかけるような表現は、リズム感を生み、成功への強い意志や信念を表している。
- 解説: 同じ語を繰り返す反復法は、強調の最も基本的な技法の一つです。
問題 29
- 解答例: (社会的な)仕組み、システム、要因の絡み合い、根本的な原因。
- 解説: 「構造」も多義語ですが、ここでは社会問題の「根底」にあるものとして使われています。単なる表面的な現象ではなく、その問題を生み出している背景にある、経済格差や教育機会の不均等といった要素が相互に関連し合って作り上げている「仕組み」や「システム」、あるいはそれらを生み出す「根本的な原因」といった意味合いで使われています。「構造的な問題」という言い方でよく用いられます。
問題 30
- 解答例: 反語が用いられている箇所:「人間とはなんと賢い生き物なのだろうか」。筆者の真意:環境破壊が進んでもなお開発を優先する人間の行動は、全く賢いとは言えず、むしろ愚かである、という強い批判や皮肉。
- 解説: 文脈(環境破壊が進んでいるのに開発を優先する)と、表面的な言葉(なんと賢い)との間には明らかな矛盾があります。この矛盾を通して、筆者は人間の行動を痛烈に批判・皮肉っていると考えられます。感嘆の形をとった反語表現です。
第四部:総合演習(文・段落レベル)
問題 31
- 解答例: 解明しようと努めてきた (または 努めてきた)
- 解説: 「客観的な観察と実験に基づき」は、どのように「解明しようと努めてきた」のか、その手段や方法を示す連用修飾句です。述語全体「解明しようと努めてきた」を修飾していると考えられます。より狭く捉えれば、中心的な動詞「努めてきた」を修飾しているとも言えます。
問題 32
- 解答例:
- 「しかし」: 前の文【1】で述べられた科学技術の肯定的な側面(生活を豊かにした)に対し、文【2】で述べられる否定的な側面を提示する、逆接・対比の働きをしている。
- 「また」: 文【2】の内容(負の側面をもたらしたこと)が、文【1】の肯定的な側面と同様に否定できない事実であることを示す、並列・累加(あるいは強調)の働きをしている。
- 解説: 「しかし」で話題を転換し、プラス面からマイナス面へ議論を移しています。「また」は「~もまた否定できない」という形で、負の側面も肯定的な側面と同様に事実であることを付け加えて強調しています。
問題 33
- 解答例:
- 「このような」が指す内容: 科学技術が持つ、我々の生活を豊かにするという恩恵(正の側面)と、環境負荷増大や倫理的問題といった負の側面という二つの側面(二面性)。
- 「すなわち」が結んでいる関係: 「科学技術の持つ二面性を直視し、その恩恵を享受しつつも、潜在的なリスクを適切に管理していくこと」と「科学技術との賢明な共存の道を探ること」を**言い換え(同格)**の関係で結んでいる。
- 解説: 「このような」は直前の文【2】および【3】で示された科学技術の正負両側面を指します。「すなわち」は前のやや長い句の内容を、「科学技術との賢明な共存の道を探ること」というより簡潔な言葉で言い換えています。
問題 34
- 解答例:
- ①解明:明らかにすること、謎や疑問を解き明かすこと。
- ②負の側面:マイナスの面、悪い影響、デメリット。
- ③直視:目をそらさずに(真正面から)見つめること、現実をありのままに認めること。
- ④課せられた:与えられた、負わされた、求められている。
- 解説: 文脈に合わせて、元の語の持つ意味やニュアンスを保ちつつ、より平易な言葉で表現します。例えば③「直視」は単に「見る」のではなく、「困難な現実から目をそらさない」というニュアンスを含めて言い換えることが望ましいです。
問題 35
- 解答例: 近代科学技術は生活を豊かにしたが、環境問題等の負の側面ももたらした。この二面性を直視し、リスクを管理しつつ技術と賢明に共存する道を探ることが現代の課題だ。(79字)
- 解説: 文章全体の要旨をまとめる際は、①科学技術の功罪(二面性)に触れ、②その上で筆者の主張(二面性を直視し、賢明な共存の道を探るべき)を押さえることが重要です。指定字数内で、これらの要素を過不足なく、論理的な繋がりが分かるように記述します。