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共通テスト 入試解説 本試験:2024年度 国語 現代文

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 はじめに現代文の基本姿勢として、二点のポイントを紹介しよう。

 一点目は、客観的に読む、ということである。これは、あなたの意見や主張は聞いていない、ということである。また、同時に出発点でもある。文章を読んで次の問に答えよ、というような文言で始まる現代文科目においては、回答、その全ての根拠を本文中より抽出しなければいけない。また巷で聞く、現代文を実力ではなく運、とする主張は、筆者と回答者の間にある主張の距離によるものである。これが近ければ点数は上がり、遠ければ点数は下がる。そういう意味で、学習を放棄した者にとっては運によって点数の上下する対象として映るのかもしれない。

 二点目は、採点基準より逆算する、ということである。これは、採点基準に沿って回答する、ということである。試験というのは、解く(採点)するために作られているのだから、そこには必ず採点の基準が存在する。採点基準を意識した学習を積み・回答をすることで、得点を伸ばすことが可能である。さらにいえば、試験中に採点基準をイメージし、回答できるようにしたい。採点基準は、模試であれば解答・解説の冊子に記載されているし、入試であれば(東大をはじめとする難関大に限られるが)各予備校の解答速報より共通項を探ることで確認できる。
 また、この基本姿勢は、他の教科でも同様に当てはまるものである。例えば、数学においては回答指針を示すことによって同じ計算ミスでも得点が変わることがあったり、英語において文法知識の確認が不明と理由で「意訳」による減点・不正解、がこれにあたる。

評論テーマの現代文。評論文の特徴としては、基本的に筆者に何らかの主張があり、その主張を読者に伝えるために例示や比較などが用いられる。さらに、文章ならではの表現、独自の意味解釈、などが用いられることが多く、文章内で意味を推察しながら読み進めていくことが求められる。そのため、テーマ演習などが役に立たないとは言えないが、個別具体的な目の前の文章から離れた知識によって解答することで、自らを誤答へ導くことを心に留めておくことが重要である。

評論テーマの現代文。評論文の特徴としては、基本的に筆者に何らかの主張があり、その主張を読者に伝えるために例示や比較などが用いられる。さらに、文章ならではの表現、独自の意味解釈、などが用いられることが多く、文章内で意味を推察しながら読み進めていくことが求められる。そのため、テーマ演習などが役に立たないとは言えないが、個別具体的な目の前の文章から離れた知識によって解答することで、自らを誤答へ導くことを心に留めておくことが重要である。

目次

第1問

問2

 特に難しい要素はない。傍線部を解釈すれば、典礼か音楽かの定義づけが難しい、ということになる。実は本文を読まなくても、これに合致する選択肢は一つしかない。すなわち、二者の特徴を備えている、という趣旨の選択肢を選べばよい。

 1段落から4段落の導入部を読むことにより背景知識を得ることができ、傍線部の引かれた5段落と後続する6段落とで具体的な説明の理解を促進される、いう構成になっている。回答根拠は5段落と6段落ということになる。
 選択肢を見ると、前半部分が対比関係・後半部分が因果関係、の構造を持っていることが分かる。選択肢に内包される2つの関係を文章と丁寧に照らし合わせることで、確実に正当することができる。

 導入部は小説でもそうだが、文章全体のテーマ説明がなされることも多く、直接的に設問の回答根拠となることは少ないが、本文理解のために読むことをオススメする。また、現代文科目は「文章を読んで、解く」を基本とする科目である。そのため、背景知識に頼る必要のない本文が採用され、背景知識の必要のない正答が用意されている。

解答

5:追悼ミサにおける《レクイエム》は、典礼を構成する一要素であるが、その典礼から切り離し音楽として鑑賞することもでき、さらには典礼全体を一つのイヴェントとして鑑賞するような事態も起きているから。

問3

 注意するポイントは、芸術、の意味である。現代文においては『』で括られた単語については、辞書一般の意味ではなく、本文中で使われている意味で捉える必要がある。さらに、この設問は傍線部内に『』で括られた単語が用いられているため、その意味を特定する作業を傍線部解釈の前に行う必要がある。といっても、さほど難しいものではなく、直前の「作品化され、鑑賞の対象になるもの」とでも理解していれば問題ない。

 直接的な回答根拠は8段落であるが、話の流れとしては7段落を読むことが望ましい。7段落は傍線部を含む一文目でテーマの宣言をして、すぐに従前の問題点の説明が行われている。そして、8段落でその問題点を解消すべく行われた結果の説明が行われている。当然、8段落が回答根拠となる。

 この2段落で説明されている具体例は、体験価値、という概念に相当し、一般消費者向け商品(主にスーパーやコンビニで販売される商品)の販売戦略に用いられるテーマである。こうした背景知識など知らなくとも、答えに辿り着けるようなっている。つまり、本文を丁寧に読むことが重要で、背景知識など必要ないのである。単語知識は最低限必要だが、これも本文中から類推できるようにしておくことが重要である。

解答

1:展示物をその背景とともに捉えることで、美術館や博物館の内部で作品に向けられていたまなざしが周囲の事物にも向けられるようになり、現実の空間まで鑑賞の対象に組み込まれてきたという状況。

問4

 注意するポイントは、傍線部解釈は傍線部を含む一文が対象、ということである。旧帝大学(または相当難易度の国立大学)において求められる、本格的な記述回答、に対する回答アプローチの代表的な考え方だ。もし、記述回答を要求する大学を受験する予定であれば、注意する必要がある。

 回答根拠に含む回答に必要な内容は9段落において完結している。10段落では付随的な説明である。雑に言えば、勝手に定義化しないで背景によって定義づけする必要がある、という内容である。直接的な表現が多いため理解に迷うこともないだろう。強いていうなら「媒介」という単語の意味は知っておきたい。漢字の類推方法として代表的なものは、その漢字を用いる別の単語を思い浮かべることである。「媒」は「触媒」や「媒体」、「介」は「仲介」や「介入」、なんて言葉を思い浮かべることができれば、何かと何かの間に位置するもの、と理解することができる。意味理解の記述テストではないので、ある程度の理解で問題ない。

 

解答

5:「音楽」や「芸術」は、コンサートホールや美術館で育まれた「鑑賞」のまなざしと関わり合いながら成り立ってきた概念である。その過程を無視して概念を自明のものとしてしまうと、それ自体が本質化され、普遍的な価値を持つものとして機能してしまいかねないから。

問5

準備中

解答

3:⑦段落は、前段落までの議論をより一般的な事例を通して検討し直すことで新たに別の問題への転換を図っており、⑧段落は、⑦から導き出された観点を基に筆者の見解を示している。

問6

ザックリいうとアニメや漫画の「聖地巡礼」がテーマ

(ⅰ)

 小説が背景知識となって、単に小説の舞台となった土地に行く場合とは異なり、小説の影響(魅力が上昇する)が発揮されたということ。

解答

1:何気ない街の風景が作品の描写を通して魅力的に見えてきて

(ⅱ)

 挿入文が指示語で始まっているので、この対応を考える。

解答

3:(c)

(ⅲ)

知識は、特定の単位で完結するのではなく、単位を横断して発揮されるものであるということ。

解答

2:作品世界と重ね合わせることで現実世界の見方が変わることがあり、それとは逆に、現実世界と重ね合わせることで作品の印象が変わることもある。その気づきを基に、作品と現実世界の鑑賞のあり方は相互に作用し得るといった結論を述べる。

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