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現代文 Ⅰ 現代文の「基幹」

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目次

はじめに

 「現代文の『基幹』」とは、「読解」と「解答」、である。現代文科目では、ほとんどの問題が「文章を読んで、設問に答えよ。」といった文言で始まる。とすれば、この二項目に焦点をあて、集中的に学習すれば学力は伸長するのではないか。しかし、実際、何かと安定的に学力が伸びないのが、現代文である。

 では、なぜ難しいのだろうか。個人的には「良質は学習素材が少ない」ためであると考えている。現代文の指導は主に対処療法的な解説が主で、能力の醸成に至らないのが実情である。例えば、解答の根拠となる文が直接的に示されていたり、難しい単語が直接的に示されていたり、などである。これでは全く役に立たない。重要なのは、解答の根拠となる文を試験中にどうやって見つけるか、難しい単語の意味を試験中にどうやって推測するか、ということである。

 良質な学習教材に出会うことができれば、現代文は簡単かもしれない。論理的手続きによる読解を習得すれは、本文理解は圧倒的に早く正確なものになる。解答基準から逆算する解答方法を習得すれば、得点は跳ね上がる。しかも、暗記事項は他のどの科目よりも少ない。解答の全ては本文に依拠するのだから、他の科目のように単元別に暗記する必要はない。

 独学では難しい現代文の学習の導入として、本webサイトを利用して欲しい。情報の不足はあるかもしれないが、現代文の学習姿勢くらいは身につくだろう。ここでの学習を土台に、本格的な学習を始めてほしい。少しでも学習の助けになれば、幸いである。

「読解」の技巧

 基本的に試験全てに係る特徴として、次の三点が挙げられる。再現性、制限性、客観性、である。科目に依らず満たさなければいけない項目なのだが、文章読解系科目、現代文と英文読解、に関しては、これがよりシビアである。特に主観と客観が混同するために、客観性を担保した解答が求められるという点は、現代文特有のものである。

再現性

 試験は自力で解かなければならない。そのため、試験中で再現できるような準備を行う必要がある。現代文においては、読解→解答、という手順に沿うことになる。土台としての読解があり、これを基に回答する、というプロセスである。そのため、この読解のプロセスでつまずくと、何もできなくなってしまう。

制限性

 試験は制限時間内に解かなければならない。そのため、時間を意識した訓練が必要となる。現代文においては、基本的に複数回読む時間はない。一回で理解し、場合によっては確認程度に数秒読み返す程度の時間しかないのではないか。さらに言えば、読む速さも重要である。そもそも、ある程度の速度で読むことができなければ、最悪の場合、全ての設問に答えられなかったり、数秒の確認をする時間がとれない。

客観性

 試験は客観性に基づいて解かなければならない。なぜなら、ある人の主観によって正答が変更されるなら、統一的な採点基準によって採点ができないからである。そのため、本文で書かれている内容を正確に読む必要がある。注意事項として、自己完結する読書で客観性を伴う読解能力を身につけることは難しい。自己完結する読書では、読み飛ばしを「想像」したり、本文表現を「解釈」したり、するなどして、主観的な補完がしばしば行われるからだ。

「解答」の技巧

 前項に続きこれも基本的に試験全てに係る特徴として、次の二点が挙げられる。採点基準の研究、設問形式別研究、である。これらも科目に依らず満たさなければいけない項目なのだが、現代文に関しては、前者がよりシビアである。採点基準を一から考えなければならない。すなわち、大学(作問者)からの問いかけに、正しく答えられているか、ということである。

採点基準の研究

 問われている内容が分かれば、必然的に解答が導出される、というわけではない。しっかりと読解できていても、100%の要求水準を満たせるかは別問題である。だからこそ、「神は細部に宿る」、ということを意識してほしい。端的に言えば、文節に区切るということである。多くの場合は、傍線部と選択肢である。
 傍線部は、記述式・選択式の形式は関係ない。傍線部の内容を文節で区切ることで、質問の要素を細かく認識することができる。その一つ一つが採点基準になるのである。選択肢は、当然であるが選択式問題のみである。選択肢を文節で区切りながら内容を本文と確認することで、それぞれを判定することで正誤を確認することができる。
 このように、文節まで区切り、細部まで確認することで、採点基準が明らかになり、正確な解答が可能となるのである。

設問形式別研究

 特に文章読解系科目は、設問形式別に解答手順が概ね決定する。問われている内容と設問形式が同調する傾向があるからだ。そのため、予め対策を行なっておくことで、問われている内容の明確化および時間短縮が期待できる。また、これは日本語だけでなく英語でも共通の考え方である。
 こうした予め対策のできる項目というのは、試験においては最も注意しなければいけない。試験というのは、相対評価によって合否が判定されるものであるから、この項目において、差がつかない・差がついてはいけない、ということが前提になる。設問形式以外にも頻出の分野・問題などは絶対に対策をしなればならない。また、これは大学受験のみならず、相対評価によって合否を判定するもの全てに当てはまる。

 現代文科目について、様々な意見がなされている。が、すべては論理力に帰着する。書いてある内容を書いてあるままに理解し、それを回答する、これだけである。そういう意味では、根拠の全てを本文から抜き出すことができれば、大きく点を落とすことはない。設問に対し、そんなの当たり前、などと本文以外を根拠とするならば、誤答率は上がるだろう。

 「読」について、読書のための「読」と読解のための「読」が同じであるわけがない。
 読書であれば、思いのままになんとなく読めばいい。もっと言えば、書いてある内容を勝手に解釈してもいい。もはや、読書とは、読解の基礎、などではなく、文字を読むことへの耐性でしかないのである。
 一方で、読解であれば、書いてある内容の正確な理解が厳密に求められる。指示語は全て特定し、接続詞から文と文、段落と段楽、といった関係性を解析し、内容を把握する必要がある。

 「解」について、基本方針は“記述”である。内容理解系の設問に関しては、自らが回答できるが基本である。設問から回答基準を導出し、それに沿った回答を考える。これを基に、選択・記述を行う。これが基本である。内容理解できていないのに、選択肢をヒントに手探りで選択するようでは、安定した正答率は見込めないだろう。

 現代文は母国語であるから、なんとなく解けるような気がする人が多いのかもしれない。しかし、他の科目同様、確実に対策を一から行う必要がある。もっと言えば、英語の長文読解と同様の対策が必要である。英語であればパラグラフリーディングやらディスコースマーカーやら論理的な読解を行うにも関わらず、現代文は勘である。「読解」という共通項に注目して、英文読解から現代文を見つめるのもいいかもしれない。

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