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現代文 Ⅱ 「読解」の技巧

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はじめに

 現代文における「読解」とは、その名の通り「読んで理解する」ことである。ここで言う「理解」とは、読むことに得られる情報を正確に把握する、ことである。そして、現代文科目は、この「読解」ができているか、その達成度を設問によって確認する科目である。ここまでは、一般常識の範疇であろう。

 一方で、「読書」とはなんであろうか。書、すなわち本、を読むことである。つまり、現代文科目における「読解」のような正確性は必要なく、思いのままに解釈や想像すればよい。しかも、その正確性の確認は決して行われることはない。そのため、同じ作品を読んでいるはずなのに、人によって感想が異なるのである。
 興味のある方は話題の映画の感想をX(旧Twitter)で検索してみるとよい。同じ本の感想を大量に集めることは難しいかもしれないが、映画であれば可能であろう。同じ作品の感想であるはずなのに作品の内容が異なることが確認できるだろう。オススメは、「劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜郭(みちしるべ)である。

 ここに違いを見出すことが重要である。「読解」は本文の内容を把握するものであるから、客観的事実(本文)によって、情報を取得しなければならない。つまり、読者によって把握する内容は変わらない。一方で、「読書」は本文の内容を解釈・想像することが可能であるから、主観的主張(解釈・想像)によって、情報を書き換えることが可能である。つまり、読者によって把握する内容が変化する可能性がある。もちろん、「読解」と同じように「読書」をしている場合は、事実上、「読解」と解釈してよい。

 このように、「読解」と「読書」は全く異なるものである。しかしながら、「読書」は「読解」の役に立つと考えられる傾向がある。これは誤解である。確かに、「読解」も「読書」も文字を読む行為には違いない。しかし、勝手な解釈や想像で勝手に情報を書き換えられる「読書」が、本文内容から客観的に情報を取得しなければいけない「読解」が同じであるはずがない。むしろ、「読書」によって、文字情報を正確に把握せず主観的に理解を行う手続きが癖となってしまう可能性を考慮すれば、むしろマイナスかもしれない。現代文学習は客観的であることから始めていただきたい。

基本知識

再現性

 試験は自力で解かなければならない。そのため、試験中で再現できるような準備を行う必要がある。現代文においては、読解→解答、という手順に沿うことになる。土台としての読解があり、これを基に回答する、というプロセスである。そのため、この読解のプロセスでつまずくと、何もできなくなってしまう。

制限性

 試験は制限時間内に解かなければならない。そのため、時間を意識した訓練が必要となる。現代文においては、基本的に複数回読む時間はない。一回で理解し、場合によっては確認程度に数秒読み返す程度の時間しかないのではないか。さらに言えば、読む速さも重要である。そもそも、ある程度の速度で読むことができなければ、最悪の場合、全ての設問に答えられなかったり、数秒の確認をする時間がとれない。

客観性

 試験は客観性に基づいて解かなければならない。なぜなら、ある人の主観によって正答が変更されるなら、統一的な採点基準によって採点ができないからである。そのため、本文で書かれている内容を正確に読む必要がある。注意事項として、自己完結する読書で客観性を伴う読解能力を身につけることは難しい。自己完結する読書では、読み飛ばしを「想像」したり、本文表現を「解釈」したり、するなどして、主観的な補完がしばしば行われるからだ。

読解方法

構造分析

 構造分析とは、文章構造を分析して把握するものである。昨今では、テレビドラマの「同等関係・対比関係・因果関係」や某予備校講師の「類比・対比・因果」なんて言葉が話題となっていることからも、知っている方も多いだろう。

 同等関係(類比)とは、同じ内容のことである。そして、同じ内容は具体化または抽象化して表現されることが多い。また、これを言い換えという。
 対比関係とは、違う内容のことである。そして、違う内容は比較して表現されることが多い。
 因果関係とは、原因と結果の関係である。厳密には、時間経過を伴う同じ内容、である。

 このような関係性を認識することが、構造分析である。これを、傍線部の前など特定の部分だけでなく、文章全体に対して、一文一文と全ての文に対して行うことが重要である。

談話標識

 談話標識とは、前項で扱った関係性を示す目印である。英語では、ディスコースマーカー(談話標識の英訳)や論理マーカーとして扱われることが多い。つまり、英語と同じように、論理に注目して、関係性を読み解いてやればよい。

 談話標識については、何らかの形で掲載予定

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