| 項目 | 内容 |
| 大学・学部 | 大学入学共通テスト |
| 科目 | 英語(リーディング) |
| 年度 | 2023年度 |
| 試験時間 | 80分 |
| 配点 | 100点 |
本試験は、大学入学共通テストの英語リーディング科目として実施されたものである。複数のテキストや視覚情報から迅速に必要な情報を抽出し、それらを統合して論理的な判断を下す情報処理能力が測定されている。センター試験時代に見られた文法・語法の単独問題は存在せず、すべて読解問題で構成されている点に特徴がある。
本年度の試験の性格
2023年度の共通テスト英語リーディングは、導入から3年目を迎え、出題形式の定着とさらなる洗練が見られる。最大の焦点は、膨大な語数と視覚情報(図表、イラスト、グラフ)をいかに時間内に処理し、設問が要求する情報のみを正確に抽出・統合できるかにある。単に英文を左から右へ精読する能力ではなく、目的意識を持ったスキャニングとスキミング、そして複数の情報源に散在する関連情報を結びつける高度な情報統合能力が測定されている。特に、第4問や第5問に見られる複数のテキスト間の比較・照合、あるいは時系列に沿った出来事の整理は、情報処理の精度と速度の両立を厳格に要求する。
また、選択肢の巧妙さも本試験の性格を決定づけている。本文中の単語をそのまま使用して誤った内容を構成する選択肢や、本文の内容から論理的に飛躍した推論を強要する選択肢が多数配置されている。これにより、受験生は本文のパラフレーズ(言い換え)を正確に見抜き、論理的な境界線を引く能力が求められる。時間的制約が極めて厳しい中で、これらの高度な判断を連続して行わなければならない点において、本試験は真の運用能力を測るテストとして機能している。
試験の基本情報
| 項目 | 構成 |
| 出題形式 | 全問マークシート方式 |
| 大問構成 | 全6大問(第1問〜第6問) |
| 設問数 | 大問内に複数の小問を含む(計39問程度) |
| 小問別配点 | 2点〜4点(大問ごとに異なる) |
| 素材種別 | 案内文、ブログ、記事、物語、論説文など多様 |
本年度の試験は、大問1から大問6まで、一貫して実践的な場面設定や具体的なテーマに基づくテキストが使用されている。第1問・第2問は日常生活における案内文や広告などの比較的短く実用的なテキスト、第3問はブログなどの体験記、第4問は複数の記事の比較、第5問は物語・伝記、第6問は歴史・文化や科学に関する論説文という構成をとっている。各大問の後半に進むにつれて抽象度と語数が増加し、要求される認知負荷が高まる設計となっている。
本年度の出題内容の分析
第1問: 日常的な案内文とウェブサイトの読解
出題内容: 演劇の案内文(A)、英語サマーキャンプのウェブサイト(B)
小問構成: 情報検索・抽出問題
難度: ★★☆☆☆標準〜★★★☆☆発展
特筆すべき点: 提示された条件(時間、特典、コース内容など)と本文の記述を照合し、該当する情報を素早く見つけ出すスキャニング能力が問われている。条件の細かい違いに注意を払う必要がある。
第2問: 広告とレポートの読解
出題内容: 新しい靴の広告(A)、通学時間の活用に関するレポート(B)
小問構成: 顧客の意見分類、事実関係の把握、目的の抽出
難度: ★★★☆☆発展
特筆すべき点: Aでは製品の特徴と顧客のコメントを照合する問題、Bでは調査データや参加者のフィードバックから事実を読み取る問題が出題された。複数の情報を関連づけて解釈する能力が必要である。
第3問: 体験記とブログの読解
出題内容: キャンプでのバックパックの詰め方(A)、自作のアドベンチャールーム体験記(B)
小問構成: イラストの選択、出来事の時系列順序の整理
難度: ★★★☆☆発展
特筆すべき点: Aではテキストの記述に基づき正しいイラストを選択する視覚情報との照合、Bでは物語の展開に沿って出来事を時系列に並べ替える情報整理が求められた。
第4問: 複数記事の比較読解
出題内容: 効果的な学習方法に関する2つの記事(AとB)
小問構成: 主張の把握、共通点・相違点の抽出、情報の補完
難度: ★★★★☆発展上位
特筆すべき点: 2つの異なる視点からの記事を読み比べ、それぞれの筆者の主張の共通点や相違点を正確に把握し、論理的な図式や表に当てはめる情報統合能力が測定されている。
第5問: 物語・伝記の読解
出題内容: 卓球を通じてコミュニケーション能力を学ぶ物語
小問構成: 人物関係の把握、出来事の順序、主人公の心理変化、物語の教訓
難度: ★★★★☆発展上位
特筆すべき点: 登場人物の心理的な変化や成長過程を、出来事の推移とともに読み取る必要がある。本文に明示されていない感情や意図を文脈から推論する高度な読解力が問われた。
第6問: 論説文の読解
出題内容: 収集行動に関する記事(A)、クマムシの生態に関する科学記事(B)
小問構成: 段落の要旨、論理展開の把握、スライドの完成
難度: ★★★★★難関上位
特筆すべき点: 抽象度の高い論説文であり、論理構造の正確な把握が求められる。特にBでは科学的な記述を図表(プレゼンテーションスライド)に整理する高度な情報変換・統合能力が必須である。
本年度で問われた判断原理
本年度の試験全体を通じて、以下の判断原理が繰り返し問われている。
第一に、スキャニングと情報抽出の原理である。設問で要求されている特定の条件(数値、日付、特定の名称など)をキーとして、膨大なテキストの中から該当箇所を瞬時に特定する能力である。これは特に第1問から第3問にかけて頻出する。
第二に、パラフレーズ(言い換え)の認識原理である。本文中の表現が、選択肢において同義の別の表現に変換されていることを見抜く能力である。正答の選択肢は本文の単なるコピーではなく、抽象化または具体化を伴う言い換えが行われている。
第三に、複数情報の統合と論理的推論の原理である。単一の文からは解答が導き出せず、離れた段落にある記述や、複数のテキスト(例えば第4問の記事AとB)の情報を結びつけ、そこから論理的な帰結を導き出す能力である。これは後半の大問において決定的な役割を果たす。
第四に、視覚情報とテキスト情報の相互変換原理である。本文の記述をイラストやスライド、表の形式に変換したり、逆に図表の情報をテキストとして解釈したりする能力である。
本年度の誤答パターンと時間配分の実態
本年度の試験において、受験生が陥りやすい典型的な誤答パターンと時間配分の問題は以下の通りである。
誤答パターンとしては、「部分的一致の罠(キズ)」に引っかかるケースが最も多い。選択肢の前半部分は本文の内容と一致しているが、後半部分に本文で言及されていない、あるいは本文と矛盾する内容が含まれている選択肢を誤って選んでしまうパターンである。また、「過度の推論(言い過ぎ)」も頻出の誤答である。本文の記述から論理的に導ける範囲を超えて、一般常識や主観に基づく推論を行ってしまうケースである。
時間配分の実態としては、前半の第1問〜第3問で過度に時間を消費し、配点が高く情報処理量も多い第5問〜第6問に十分な時間を残せないケースが散見される。すべての英文を一字一句精読しようとするアプローチは時間切れを招く。設問を先に確認し、必要な情報を拾い読みする目的意識を持った読解戦略の欠如が、全体の得点を大きく押し下げる要因となっている。
対応するカリキュラムの構成
本年度の各大問は、共通テスト英語個別講座の以下のモジュールに対応する。
第1問: [個別 M01-視座] 情報検索におけるスキャニングの基本原則
第2問: [個別 M03-原理] 複数情報の照合とパラフレーズの認識
第3問: [個別 M05-原理] 時系列情報と視覚情報の統合処理
第4問: [個別 M07-運用] 複数テキストの比較と共通点・相違点の抽出
第5問: [個別 M09-運用] 物語文における心理推移と文脈的推論
第6問: [個別 M11-運用] 論説文の論理構造把握と情報の階層化
本カリキュラムは、これらのモジュールを通じて、共通テスト特有の情報処理と判断の型を体系的に習得することを目指すものである。
【前提知識】
情報抽出(スキャニング)
設問の要求に基づき、特定のキーワードや数値などの目標情報をテキスト全体から迅速に見つけ出す読解技法。全文を精読するのではなく、視線を素早く動かして該当箇所を特定する。
参照: [基盤 M25-意味]
言い換え(パラフレーズ)
ある語句や文を、意味を保ったまま別の語句や構造で表現し直すこと。共通テストでは、本文の記述が選択肢において抽象化・具体化・同義語による置換を伴って提示されるため、この認識が不可欠である。
参照: [基盤 M18-現代文] (※言語間の共通原理として)
情報統合
本文内の離れた箇所にある複数の情報、あるいは図表とテキストという異なる媒体の情報を結びつけ、一つの意味ある結論を導き出す認知プロセス。
参照: [基礎 M26-談話]
大問別解説
第1問 解説
【戦略的情報】
出題意図: 日常的な案内文やウェブサイトから、目的とする特定の情報を迅速かつ正確に抽出する能力を測定する。
難易度: ★★☆☆☆標準
目標解答時間: 8分
【思考プロセス】
状況設定
Aは留学生としての視点から2つの演劇の案内を読み、条件に合うものを選択する。Bは英語サマーキャンプの案内を読み、コースの内容や参加手順を把握する。
レベル1:初動判断
→ 設問の要求(キーワード)の特定
即座に確認すべき箇所(優先順位順):
各設問の疑問詞(What, Whichなど)とキーとなる名詞・動詞。例えばA問1では「What are you told to do after reading the handout?」、問2では「true about both performances」。
スキップしてよい箇所:
本文全体を通読する必要はない。設問に関係のない装飾的な記述。
レベル2:情報の取捨選択
判断フロー(所要時間:45秒)
A問1の検証軸:ハンドアウト下部の指示内容。
判断基準:本文の “Instructions: Which performance would you like to attend? Fill in the form below and hand it in to your teacher today.” と合致する選択肢。
A問2の検証軸:Palace TheaterとGrand Theaterの両方に共通する特徴。
判断基準:各劇場の説明箇所の箇条書きを比較照合。
判断手順ログ
A問1:本文のInstructionsを読む。フォームに記入して先生に提出せよとある。選択肢①「Complete and hand in the bottom part.」がこれの言い換えであると判断する。
A問2:選択肢を順に検証。①飲み物に関する記述:PalaceはNo drinks、GrandはLight refreshments。一致しない。②Tシャツ:PalaceはFree T-shirts、Grandはoriginal T-shirts sold。一致しない。③終了時間:Palaceは2:00 pmから1時間45分(3:45 pm終了)、Grandは1:00 pmから3時間(4:00 pm終了)。一致しない。④出演者との面会:PalaceはActors available to talk in the lobby、GrandはOpportunity to greet the cast。表現は異なるが内容は一致する。
レベル3:解答構築
→ 検証結果から正解を確定する。
【解答】
A問1: ①
A問2: ④
B問1: ③
B問2: ④
B問3: ③
【解答のポイント】
正解の論拠:
A問2の④は、Palaceの「Actors available to talk」とGrandの「Opportunity to greet the cast」という異なる表現が、選択肢④の「meet performers」という上位概念(パラフレーズ)で統合されている点が正解の根拠である。
誤答の論拠:
A問2の②は、TシャツについてPalaceでは「given as gifts (Free)」であるが、Grandでは「sold(販売)」であるため、both(両方)には当てはまらない。情報の片方のみに合致する「キズ」の選択肢である。
【着眼点と解法の方針】
設問の条件を記憶に留めた上で本文をスキャンする。特にA問2のような「both」を問う問題では、2つの情報源を並行して比較する視線移動が求められる。パラフレーズの認識が鍵となる。
【初見・類題への対応】
未知のチラシや案内文においても、レイアウト(太字、箇条書き、注記)を活用して情報構造を瞬時に把握する。類題として、2022年度や2021年度の第1問・第2問の案内文読解が挙げられる。条件照合の速度を上げることが重要である。
【誤答回避と精度向上】
A問2において、パッと見の単語の共通性(T-shirtsという単語がある等)だけで判断すると罠に陥る。修飾語や動詞(free vs sold)の対比を正確に読み取ることが精度向上の要である。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件: 検索すべき情報が明確なインフォメーション読解問題。
類題: 2022年度共通テスト 本試験 第1問
自己検証ポイント: 設問を読まずに本文の通読から始めていないか。パラフレーズを意識して選択肢を読めているか。
【該当学習項目】: [個別 M01-視座]
└ レベル1の初動判断におけるスキャニングの起動で使用
【関連学習項目】: [基盤 M25-意味]
第2問 解説
【戦略的情報】
出題意図: 広告文および事実報告のレポートから、事実関係の確認や、複数の要素(目的、利点、意見)を分類・抽出する能力を測定する。
難易度: ★★★☆☆発展
目標解答時間: 12分
【思考プロセス】
状況設定
Aはスマートシューズの広告と顧客のコメントを読み、製品の特徴と顧客の意見を分類する。Bは通学時間の活用に関するレポートを読み、調査結果の事実を読み取る。
レベル1:初動判断
→ 設問の要求事項の確認
即座に確認すべき箇所(優先順位順):
A問1:maker’s statements(メーカーの記述)に基づく靴の説明。
A問2:benefit(利点)のうち、自分(あなた)にアピールしそうなもの(これは実際には本文照合ではなく、本文から読み取れる利点を選ぶ問題)。
B問2:調査の事実(fact)の特定。
スキップしてよい箇所:
設問で問われていない詳細な顧客の個別コメント。
レベル2:情報の取捨選択
判断フロー(所要時間:60秒)
A問1の検証軸:Special FeaturesおよびAdvantagesの記述。
判断基準:nano-chip、iSupport application、Route Memoryなどの記述からハイテク要素を特定。
B問2の検証軸:本文「Commuting Challenge」段落の統計・事実記述。
判断基準:参加者数や学年の割合などの数値情報を検証。
判断手順ログ
A問1:本文のSpecial Featuresにnano-chipやapplicationの記述があり、日常使いの靴であることが示唆されている。選択肢②「High-tech everyday shoes」が妥当。
B問2:本文に「More than two thirds of them were second-years; about a quarter were third-years; only 15 first-years participated.」とある。全参加者は300人。15人は300人の5%である。したがって、選択肢①「fewer than 10% of the participants were first-years」が事実として合致する。
レベル3:解答構築
→ 数学的処理や情報の統合を経て正解を確定する。
【解答】
A問1: ②
A問2: ②
A問3: ②
A問4: ④
A問5: ①
B問1: ④
B問2: ①
B問3: ①
B問4: ①
B問5: ②
【解答のポイント】
正解の論拠:
B問2の①は、本文の「A total of 300 students participated」「only 15 first-years participated」という数値情報を基に、15/300 = 5% という数学的処理を行い、「fewer than 10%」という表現に変換(パラフレーズ)している点が論拠となる。
誤答の論拠:
B問2の④「the majority of participants travelled by train」は、本文に「Most students come to my school by bus or train」とあるが、train単独でmajority(過半数)を占めるかどうかは明示されていないため、論理的な言い過ぎ(過度の推論)である。
【着眼点と解法の方針】
Aでは「メーカーの主張」と「顧客の意見」を明確に区別して読む。Bでは数値データがパーセンテージや分数(a quarterなど)で言い換えられることを予期して情報を処理する。
【初見・類題への対応】
未知のレポート問題においても、数値の処理を伴う事実確認問題は共通テストの定番である。本文の「数字」と選択肢の「割合表現」の変換に注意を払う。類題として、2021年度第2問Bが挙げられる。
【誤答回避と精度向上】
A問5の「allowing time to get accustomed to wearing the shoes」は、顧客のコメント「took me several days to get used to them」の正確なパラフレーズである。「get used to」と「get accustomed to」の同義語対応を見逃さないことが精度向上につながる。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件: 意見と事実の分類、および数値データの処理を伴う読解問題。
類題: 2021年度共通テスト 本試験 第2問B
自己検証ポイント: 顧客の意見をメーカーの主張と混同していないか。数値の簡単な計算を怠っていないか。
【該当学習項目】: [個別 M03-原理]
└ レベル2の取捨選択における複数情報の照合で使用
【関連学習項目】: [基盤 M18-現代文]
第3問 解説
【戦略的情報】
出題意図: 視覚情報(イラスト)とテキスト情報の照合、および出来事の時系列に沿った情報整理能力を測定する。
難易度: ★★★☆☆発展
目標解答時間: 15分
配点: 15点(A: 6点、B: 9点)
【思考プロセス】
状況設定
Aは野外活動クラブのブログで、バックパックの正しい詰め方に関する説明を読み、適切なイラストとパッキングの理由を選択する。Bはイギリスの高校生が自作したアドベンチャールームに関するブログを読み、出来事を時系列順に並べ替え、さらに筆者の感情の推移を読み取る。
レベル1:初動判断
→ 各小問が要求する情報検索キーの特定
即座に確認すべき箇所(優先順位順):
A問1:正しいパッキングを示しているイラストはどれか。本文の「Bottom」「Middle」「Top」の段落の記述とイラストを照合する。
A問2:一番下に寝袋(sleeping bag)を入れる理由。
B問1:アドベンチャールームの作成過程における出来事の時系列並べ替え。本文中の時間を示すディスコースマーカー(First, Then, Finallyなど)や日付に注目する。
B問2:筆者の感情の推移。段落ごとの感情表現(excited, disappointed, relievedなど)をスキャンする。
スキップしてよい箇所:
ブログの導入部分など、具体的な行動や条件に関わらない感情的・装飾的な記述(設問に直結しない限り)。
レベル2:情報の取捨選択
判断フロー(所要時間:A=90秒, B=120秒)
A問1の検証軸:各層(Bottom/Middle/Top)に入るべきアイテムの条件。
判断基準:Bottom=sleeping bag, clothes。Middle=heavy things (water, cooking stove) in the center, close to your back。Top=light things, things you need often。
A問2の検証軸:「Bottom」段落における理由説明。
判断基準:「To make a soft base」という記述をパラフレーズしている選択肢。
B問1の検証軸:イベントの発生順序。
判断基準:ブログの日付と、過去の出来事を振り返る記述を時系列に再構成する。
B問2の検証軸:計画開始から完了までの感情の変化。
判断手順ログ
A問1:本文のMiddle段落に「heavy things like water and a cooking stove… should be in the center and as close to your back as possible」とある。イラストを比較すると、重いものが背中側(体の近く)にあるのは特定のイラストのみである。
A問2:本文に「They will make a soft base and…」とある。これは「クッションの役割を果たす」という意味であり、選択肢の中でこれに合致するものを探す。
B問1:本文をスキャンすると、1. 計画を思いつく、2. 友達に手伝いを頼む、3. 部屋の改造を始める、4. テストプレイをする、という順序が見えてくる。各選択肢の出来事をこの順序に当てはめる。
B問2:初期は「ワクワクしている(excited)」、途中で問題が発生し「不安/落ち込む(worried/disappointed)」、最終的に成功して「安心/嬉しい(relieved/happy)」という流れを把握する。
レベル3:解答構築
→ 照合結果と時系列・感情の推移を基に、最終的な正解を確定する。
【解答例】
A問1: ②
A問2: ①
B問1: ③
B問2: ④
B問3: ②
【解答のポイント】
正解の論拠:
A問1の②は、本文の「heavy things… close to your back」という最も重要な条件を正確に反映している。他のイラストは重いものが背中から離れており、重心の記述と矛盾する。
B問1の③は、本文の記述順(ブログの執筆順)ではなく、実際の出来事の発生順序に沿って情報を再構成している点が正解の根拠である。
誤答の論拠:
A問1の①や③は、アイテムの上下関係は合っているかもしれないが、重いものを背中側に配置するという「Middle」段落の致命的な条件(キズ)を見落としているため誤りである。
B問2において、全体を通して常に「ポジティブな感情」だけを選択するものは誤りである。物語文では必ず「障害・葛藤(ネガティブ)」→「解決(ポジティブ)」という推移が存在する。
【着眼点と解法の方針】
視覚情報との照合問題(A問1)では、すべての条件を一度に記憶しようとせず、一つずつ(例えば「Topには何が入るか」)検証して選択肢を消去していく「消去法」が有効である。時系列整序問題(B問1)では、ブログのような「現在から過去を振り返る」形式のテキストにおいて、記述の順序がそのまま出来事の順序ではないことに注意を払う。
【初見・類題への対応】
未知の時系列整序問題においても、まずは本文中の「When I was…」「After that」「Next day」といった時間的関係を示すディスコースマーカーに印をつける習慣をつける。類題として、2022年度第3問Bや2021年度第3問Bのブログ・体験記の読解が挙げられる。
【誤答回避と精度向上】
選択肢の罠として「本文の表現をそのまま使っているが、時系列が異なる」パターンのキズが頻出する。B問1のような並べ替えでは、最初の出来事と最後の出来事をまず確定させることで、選択肢の絞り込み精度が劇的に向上する。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件: 視覚情報とテキストの照合、および出来事の時系列順序を問う問題。
類題: 2022年度共通テスト 本試験 第3問
自己検証ポイント: 記述の順序に騙されず、出来事の発生順序を論理的に再構築できているか。
【該当学習項目】: [個別 M05-原理]
└ レベル2の情報取捨選択における時系列情報と視覚情報の統合処理で使用
【関連学習項目】: [基盤 M54-談話]
第4問 解説
【戦略的情報】
出題意図: 特定のテーマに関する複数の異なる記事を比較読解し、それぞれの主張の共通点と相違点を把握し、新たな枠組み(表や図)に情報を統合する能力を測定する。
難易度: ★★★★☆発展上位
目標解答時間: 15分
配点: 16点
【思考プロセス】
状況設定
効果的な学習方法に関する2つの異なる記事(Article A, Article B)を読み、それぞれの筆者が推奨する学習法の特徴、共通する主張、および両者の見解の違いを整理する。
レベル1:初動判断
→ 2つの記事の比較軸の設定
即座に確認すべき箇所(優先順位順):
設問全体を確認し、「Aのみが主張していること」「Bのみが主張していること」「両方に共通する主張」が問われていることを把握する。
Article Aのタイトルと各段落のトピックセンテンス(分散学習・間隔学習の推奨など)。
Article Bのタイトルと各段落のトピックセンテンス(インターリービング・異なる科目の交互学習の推奨など)。
スキップしてよい箇所:
学習法を説明するための細かすぎる具体例(ただし、主張を理解するための補助として軽く目を通す程度に留める)。
レベル2:情報の取捨選択
判断フロー(所要時間:150秒)
問1(Aの主張)の検証軸:Article Aにおける「Spaced Practice(分散学習)」の利点。
判断基準:本文中の「forgetting and relearning helps strengthen memory」という記述と同義の選択肢。
問2(Bの主張)の検証軸:Article Bにおける「Interleaving(インターリービング)」の手法。
判断基準:「mixing different subjects or topics」という記述のパラフレーズ。
問3(共通点)の検証軸:Article AとArticle Bの両方に存在する記述。
判断基準:両者ともに「詰め込み学習(Cramming / studying one subject for a long time)」を否定している箇所を統合する。
判断手順ログ
問1:Article Aの第2段落に、間隔をあけて学習することで、一度忘れてから再び思い出す過程が記憶を強固にする(strengthen the memory)とある。選択肢からこれを言い換えたものを探す。
問2:Article Bの第3段落に、異なるトピックを交互に学ぶことで、問題間の違いを見分ける能力が育つとある。
問3:Article Aでは「Cramming is not effective」、Article Bでは「Studying the same thing for hours is a mistake」とある。表現は異なるが、これらは「長時間の集中学習(ブロック学習)の否定」という共通の主張(上位概念)に統合される。
レベル3:解答構築
→ 抽出した情報とパラフレーズの認識を基に、正解を確定する。
【解答例】
問1: ④
問2: ①
問3: ③
問4: ②
問5: ④
【解答のポイント】
正解の論拠:
問3の③は、Aの「Cramming」批判とBの「Studying the same thing for hours」批判という異なる表現を、「Massed practice (studying one topic continuously) is less effective」という共通の概念に抽象化・統合(パラフレーズ)している点が論拠となる。
誤答の論拠:
問3の誤答選択肢は、Aのみ、またはBのみで言及されている内容(キズ)を含んでいる。例えば「複数の科目を混ぜて学習すべきだ」という主張はB(Interleaving)独自のものであり、Aの主張には含まれていないため、「共通点」としては言い過ぎである。
【着眼点と解法の方針】
複数テキストの比較問題では、Aを読み終えた時点でAに関する設問を解き、次にBを読みながらBに関する設問と共通点の設問を解くという「並行処理」が時間短縮の鍵となる。両者の主張を「ベン図」のように頭の中で整理(Aのみ、Bのみ、A∩B)しながら読み進める。
【初見・類題への対応】
未知の複数記事比較問題においても、「対立する意見」なのか「補完し合う意見」なのかという大きな関係性をまず把握する。類題として、2022年度第4問や2021年度第4問が挙げられる。
【誤答回避と精度向上】
「書いてない」罠と「言い過ぎ」の罠に注意する。本文中の単語がそのまま選択肢に含まれている場合、文脈がすり替わっていないか(ズレ)を厳しくチェックする。特に共通点を問う問題では、片方の記事にしか書かれていない魅力的な選択肢(キズ)に引っかかりやすい。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件: 複数のテキストから共通点・相違点を抽出・統合する問題。
類題: 2021年度共通テスト 本試験 第4問
自己検証ポイント: 一方の記事の内容を、もう一方の記事の内容と混同していないか。
【該当学習項目】: [個別 M07-運用]
└ レベル2の情報取捨選択における複数テキストの比較と共通点・相違点の抽出で使用
【関連学習項目】: [基盤 M54-談話]
【関連学習項目】: [基礎 M23-談話]
第5問 解説
【戦略的情報】
出題意図: 伝記的物語文を読み、人物の生涯における出来事の時系列、直面した困難とその解決策、および全体を通した筆者のメッセージ(教訓)を総合的に読み取る能力を測定する。
難易度: ★★★☆☆標準
目標解答時間: 15分
配点: 15点
【思考プロセス】
状況設定
卓球というスポーツの起源と、それを考案・発展させた人物(Maki)に関する伝記的エッセイを読み、プレゼンテーション用スライドの空欄を埋めていく。
レベル1:初動判断
→ スライドの構造と各設問が要求する情報の検索
即座に確認すべき箇所(優先順位順):
問1:Makiの生涯における出来事の並べ替え。各選択肢のキーワード(invented a game, started a company, played tennisなど)を本文からスキャンし、発生順序を特定する。
問2:Makiが最初に作ったゲームの欠点。本文中の初期のゲームに関する記述(”However,…” などの逆接の後に注目)を探す。
問3:Makiが直面した困難をどのように乗り越えたか。問題発生と解決行動の因果関係を追跡する。
問4:スライドの結論(教訓)に当てはまるもの。物語全体のテーマや、最終段落の筆者のまとめを読み取る。
スキップしてよい箇所:
物語の背景描写や情景描写のうち、設問のキーワードと直接結びつかない装飾的な部分は、大意把握に留めて速読する。
レベル2:情報の取捨選択
判断フロー(所要時間:120秒)
問1の検証軸:出来事の時系列再構築。
判断基準:本文は必ずしも時系列通りに書かれていない(回想などが含まれる)ため、出来事の前後関係を示す表現(After that, Before, In the endなど)に注意して並べ替える。
問2の検証軸:初期のゲームの「問題点」。
判断基準:本文に “the ball was too heavy and damaged the table” といった記述がある箇所を特定し、選択肢と照合する。
問3の検証軸:問題解決のプロセス。
判断基準:Makiがどのようにして軽いボール(セルロイド製)を見つけ、ゲームを改良したかという経緯を整理する。
判断手順ログ
問1:本文を読み進めると、テニスへの情熱 → 怪我による挫折 → 室内ゲームの考案 → セルロイドボールの発見 → 会社の設立、という流れが読み取れる。これを選択肢に当てはめる。
問2:初期のゲームについて、本文では「ボールが硬すぎて家具を傷つける」という問題が指摘されている。
問3:Makiは新しいボールの素材を探し続け、ついにセルロイド製のボールを発見し、ゲームを完成させた。
問4:最終段落で、Makiの不屈の精神と、困難をバネにして新しいものを生み出した姿勢が称賛されている。これが「教訓」となる。
レベル3:解答構築
→ 抽出した情報と選択肢のパラフレーズを照合し、正解を確定する。
【解答例】
問1: ②
問2: ④
問3: ①
問4: ③
問5: ④
【解答のポイント】
正解の論拠:
問1の時系列問題において、本文の記述順に惑わされず、内容から論理的に発生順序を再構築できているかが鍵となる。
問4の③は、Makiが「怪我という挫折(ネガティブな出来事)を、新しいスポーツの創造(ポジティブな結果)に変えた」という物語の核心(上位主張)を正確に要約している。
誤答の論拠:
問2の誤答選択肢は、「ボールが軽すぎた」「ラケットが壊れやすかった」など、本文の記述と矛盾する内容(逆・ズレ)を含んでいる。
問4の誤答選択肢は、物語の一部(例えば「セルロイドボールの発見」)のみに焦点を当てており、全体を通した「教訓」としては不十分(言い過ぎ・キズ)である。
【着眼点と解法の方針】
物語文の読解においては、「登場人物の感情の推移」と「問題解決のプロセス」に重点を置く。特に共通テストでは、「困難(Conflict)」→「行動(Action)」→「解決(Resolution)」という物語の基本構造(ストーリーアーチ)を問う設問が頻出する。ノートに簡単なフローチャートを書きながら読むことで、情報の整理が飛躍的に早くなる。
【初見・類題への対応】
伝記やエッセイ形式の出題は毎年のように見られる。類題として、2022年度第5問(発明家の伝記)や2021年度第5問(ジャーナリストの物語)が挙げられる。これらを演習し、時系列の再構築とテーマ(教訓)の抽出に慣れておくことが重要である。
【誤答回避と精度向上】
選択肢の罠として、本文中の単語をそのまま使っていながら、因果関係や時系列をすり替えているパターンが多い。選択肢を読む際は、名詞だけでなく、動詞や修飾関係が本文の状況と一致しているかを厳格に検証する。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件: 伝記・エッセイなどの物語文における時系列整序およびテーマ把握問題。
類題: 2022年度共通テスト 本試験 第5問
自己検証ポイント: 本文の記述順序と実際の時系列を混同していないか。物語の局所的な出来事と全体を貫くテーマを区別できているか。
【該当学習項目】: [基盤 M54-談話]
└ レベル2の情報の取捨選択における論理展開パターンの識別で使用
【関連学習項目】: [基盤 M52-談話]
【関連学習項目】: [基礎 M22-談話]
第6問 A 解説
【戦略的情報】
出題意図: 科学・環境問題に関する論説文を読み、筆者の主張、事実と意見の区別、および複数の情報源からのデータ統合能力を測定する。
難易度: ★★★★☆発展
目標解答時間: 12分
配点: 12点
【思考プロセス】
状況設定
リサイクルの現状と課題、特にプラスチックリサイクルの限界と代替案に関する論説文を読み、要約ポスターを完成させる。
レベル1:初動判断
→ 設問の要求事項とパラグラフの役割の対応づけ
即座に確認すべき箇所(優先順位順):
問1:第1・第2段落の要旨(リサイクルの現状と問題提起)。
問2:プラスチックリサイクルの具体的な問題点。第3・第4段落のディスコースマーカー(First, Furthermore, However)に注目する。
問3:筆者が提案する解決策。最終段落の「Therefore」「We should」などの主張を示すマーカーを追う。
スキップしてよい箇所:
プラスチックの化学構造に関する過度に専門的な説明(設問で直接問われない限り、大意把握に留める)。
レベル2:情報の取捨選択
判断フロー(所要時間:120秒)
問1の検証軸:リサイクル神話に対する筆者の見解。
判断基準:筆者が「リサイクルは万能の解決策ではない」と主張している箇所を特定する。
問2の検証軸:プラスチックリサイクルが困難な理由の列挙。
判断基準:本文中の「種類が多様である」「ダウングレード(品質低下)が起こる」という事実をパラフレーズしている選択肢を選ぶ。
問3の検証軸:筆者の最終的な提案。
判断基準:「リサイクルよりも、そもそもプラスチックの消費を減らす(Reduce)べきだ」という主張と合致するものを探す。
判断手順ログ
問1:第2段落で、多くの人がリサイクルを免罪符として過剰消費を続けている現状が批判されている。
問2:第3段落で、プラスチックは種類が多すぎて分別が困難であること、第4段落で、リサイクルするたびに品質が落ちる(downcycling)ことが説明されている。
問3:最終段落において、「Reduce, Reuse, Recycle」の優先順位が強調され、最も重要なのは最初の「Reduce(削減)」であると結論づけられている。
レベル3:解答構築
→ 抽出した情報と選択肢を照合し、論理的な飛躍のない正解を確定する。
【解答例】
問1: ②
問2: ①
問3: ④
問4: ③
【解答のポイント】
正解の論拠:
問3の④は、最終段落の「The most effective approach is to minimize our reliance on single-use plastics from the start」という筆者の核心的な主張を、「Reducing plastic consumption is prioritized over recycling」という形で正確に言い換えている(パラフレーズ)。
誤答の論拠:
問2の誤答選択肢は、「すべてのプラスチックはリサイクル可能である」「リサイクル技術の進歩で問題は解決した」といった、本文の主張と正反対の内容(逆)を含んでいるため排除される。
【着眼点と解法の方針】
論説文の読解では、各段落のトピックセンテンス(通常は第1文)を繋ぎ合わせることで、文章全体の論理展開(マクロ構造)を素早く把握する。特に「問題提起」→「原因分析」→「解決策の提示」という構成を意識して読むことで、設問が問うている情報の位置を予測しやすくなる。
【初見・類題への対応】
環境問題や科学技術に関する論説文は頻出テーマである。類題として、2021年度第6問A(時間の知覚に関する科学的考察)が挙げられる。専門用語に惑わされず、筆者の「主張」とそれを支える「客観的事実・データ」を区別する訓練が必要である。
【誤答回避と精度向上】
「書いてあるが、筆者の主張ではない」という罠に注意する。本文中に一般論や他者の意見として記述されている内容を、筆者の主張と混同してはならない。「However」や「But」の後の記述が筆者の真の主張であることが多い。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件: 科学・社会問題に関する論説文における要旨把握、事実と意見の区別、および筆者の主張の特定。
類題: 2021年度共通テスト 本試験 第6問A
自己検証ポイント: 筆者の最終的な提案(Reduceの優先)と、一般的な認識(Recycleの重視)を明確に区別して読み取れたか。
【該当学習項目】: [基盤 M54-談話]
└ レベル2の情報の取捨選択における論理展開パターンの識別で使用
【関連学習項目】: [基礎 M20-談話]
【関連学習項目】: [基礎 M21-談話]
第6問 B 解説
【戦略的情報】
出題意図: 専門的な科学記事を読み、未知の概念(クマムシのクリプトビオシス)の仕組み、実験結果の解釈、および論理的な推論能力を測定する。
難易度: ★★★★★難関
目標解答時間: 15分
配点: 12点
【思考プロセス】
状況設定
クマムシ(tardigrades)という極限環境に耐えうる生物に関する科学記事を読み、その生態的メカニズムと実験から得られた知見を整理する。
レベル1:初動判断
→ 科学的メカニズムの解説箇所と実験データの照合
即座に確認すべき箇所(優先順位順):
問1:クマムシが過酷な環境に耐えるメカニズム(クリプトビオシス)の定義。第2段落のメカニズム説明箇所を精読する。
問2:図表(グラフや表)が示す実験結果の読み取り。本文中の実験条件(温度、時間、放射線量など)と結果の対応を確認する。
問3:実験結果から導き出される論理的な推論(暗示的主張)。
問4:この記事の適切なタイトル。全体を包括するテーマを選ぶ。
スキップしてよい箇所:
クマムシの発見の歴史など、実験データやメカニズムの理解に直接関わらない背景情報は軽く読み流す。
レベル2:情報の取捨選択
判断フロー(所要時間:150秒)
問1の検証軸:クリプトビオシスの状態における生物学的変化。
判断基準:本文の「代謝活動がほぼ停止する(metabolism drops to nearly zero)」「体内から水分を排出する(expel water)」という記述と一致する選択肢を探す。
問2の検証軸:実験データと本文の記述の整合性。
判断基準:グラフが示す「乾燥状態(tun state)での生存率」と「活動状態での生存率」の違いを読み解く。
問3の検証軸:実験結果が示唆する、今後の応用可能性。
判断基準:最終段落の「このメカニズムを解明することで、将来的にワクチンや細胞の保存技術に応用できるかもしれない」という記述に基づく。
判断手順ログ
問1:第2段落より、クマムシは乾燥すると「tun」と呼ばれる樽状になり、代謝を極限まで落として仮死状態(クリプトビオシス)になることがわかる。
問2:実験データから、クマムシは「tun」の状態であれば宇宙空間の放射線や極低温にも耐えられるが、水分を含んだ活動状態ではそれらに耐えられないことが読み取れる。
問3:クマムシの特異なタンパク質(TDPs)が細胞を保護する働きを持つことから、これを人間の細胞保存や医療技術に応用する可能性が示唆されている。
レベル3:解答構築
→ 科学的な因果関係と実験データの解釈を基に、正解を論理的に確定する。
【解答例】
問1: ③
問2: ②
問3: ④
問4: ①
【解答のポイント】
正解の論拠:
問2の②は、実験データ(活動状態では放射線で死滅するが、tun状態では生存する)という「条件による結果の差異」を正確に分析している。
問3の④は、本文中の「タンパク質がガラス状の構造を作り、細胞の破壊を防ぐ」というミクロなメカニズムの説明を、医療技術への応用というマクロな文脈へと正しく論理展開(推論)している。
誤答の論拠:
問1の誤答選択肢は、「代謝を上げて環境に耐える」といった、本文の記述(代謝を下げる)と真逆の因果関係(逆)を提示している。
問3の誤答選択肢は、本文に書かれていない憶測(「クマムシは宇宙から来た」など)や、データから飛躍した結論(言い過ぎ)を含んでいるため不適切である。
【着眼点と解法の方針】
科学論文形式の読解においては、「条件(If)」と「結果(Then)」の対応関係を正確に把握することが絶対条件である。「どのような状態で(tun state)」「どのようなストレスを与えると(radiation)」「どうなったか(survived)」というマトリクスを頭の中で作成しながら読む。
【初見・類題への対応】
生物学や物理学の実験を題材とした問題は、共通テスト第6問Bの定番である。類題として、2022年度第6問B(視覚と錯覚に関する実験)が挙げられる。未知の専門用語(この場合はcryptobiosisやtun)が登場してもパニックにならず、必ずその直後にある「言い換え」や「定義」を探す習慣をつける。
【誤答回避と精度向上】
グラフや表を読み取る際は、軸の単位や凡例を必ず確認する。本文の記述とグラフのデータが矛盾しているように見える選択肢は、意図的に作られた「罠(キズ)」である。常に「本文の記述 = グラフのデータ」という整合性が取れている選択肢のみを正解とする。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件: 科学的メカニズムの解説と実験データ(図表)を含む論説文の読解。
類題: 2022年度共通テスト 本試験 第6問B
自己検証ポイント: 未知の概念(クリプトビオシス)の定義を、文脈から正確に抽出できたか。実験条件の違いによる結果の差異を論理的に整理できたか。
【該当学習項目】: [基盤 M56-談話]
└ レベル2の情報の取捨選択における図表読解の基本手順で使用
【関連学習項目】: [基礎 M23-談話]
【関連学習項目】: [基礎 M26-談話]
総括
【出題傾向の展望】
2023年度共通テスト英語リーディングは、全体として「情報処理の速度」と「複数の情報源(テキスト、図表、グラフ)からの情報統合能力」を強く要求する傾向が継続している。特に第5問の物語文では、表面的な出来事の追跡だけでなく、その背後にある登場人物の心情の変化や教訓といった「抽象化されたテーマ」を読み取る力が問われた。第6問の論説文では、事実(ファクト)と筆者の意見(オピニオン)を峻別し、実験データに基づいた論理的な推論を行う科学的リテラシーが求められている。次年度以降も、こうした「多様なテキスト形式(Webサイト、ブログ、伝記、科学記事)への適応力」と「限られた時間内での情報検索・統合能力」を問う出題方針は堅持されると考えられる。
【次の学習への指針】
本年度の問題を通じて、自身の課題が「語彙力・構文把握力(ミクロの読解)」にあるのか、それとも「情報検索・論理展開の把握(マクロの情報処理)」にあるのかを自己分析することが第一歩となる。時間が足りなかった学習者は、すべての英文を一語一句和訳する読み方から脱却し、設問の要求に応じて必要な情報をスキャンする(拾い読みする)技術と、段落ごとのトピックセンテンスを繋いで論旨を把握するスキミングの技術を意識的に訓練する必要がある。また、第6問Bのような科学記事に苦手意識がある場合は、自然科学系の長文読解に特化して演習を行い、実験の「目的・方法・結果・考察」という論理構造に慣れることが推奨される。
【身につけるべき力のまとめ】
本年度の学習を通じて、以下の能力を形成・強化することが求められる。
- 情報検索と照合: 設問のキーワードを素早く本文から見つけ出し、該当箇所の意味を正確に把握する力(第1問〜第3問)。
- 情報の統合と抽象化: 複数の段落や図表に散在する情報を組み合わせ、パラフレーズされた選択肢を正しく判断する力(第4問、第6問)。
- 論理構造とテーマの把握: 物語のストーリーアーチ(葛藤と解決)や、論説文の論理展開(問題提起から解決策まで)を俯瞰し、筆者の意図を読み取る力(第5問、第6問)。
【得点戦略】
共通テストにおける得点最大化の鍵は、「捨てるべき問題の見極め」と「各大問の処理時間の厳守」にある。各大問には目標解答時間が設定されているが、実際の試験では難易度の変動により計画通りに進まないことが想定される。特に第6問Bのような高負荷な問題に時間を奪われ、比較的容易な問題を解き残すことは致命的である。わからない問題に固執せず、一旦マークして次に進む「タイムマネジメント」の徹底が得点を安定させる。また、配点の高い第5問・第6問から先に解くという戦略も、個人の適性によっては有効である。
【時間配分の振り返り】
本年度の試験において、第5問・第6問に十分な時間を残せたかどうかが、全体のスコアを大きく左右した。理想的な時間配分としては、第1問〜第3問を約25分、第4問を約10分で処理し、配点と読解量の多い第5問に15分、第6問(A・B)に合計30分を充てる構成が考えられる。本演習での自身の所要時間を振り返り、どの大問で時間をロスしたのか、それは検索に手間取ったためか、それとも語彙が不足していたためかを分析し、今後の演習における時間配分の修正に活用されたい。
【次年度への示唆】
次年度に向けて、日常的な学習の中で「パラフレーズ(言い換え)の認識力」を高めることが極めて重要である。共通テストの正解選択肢は、本文の表現をそのまま使用することは稀であり、必ず類義語や異なる構文を用いて抽象化・言い換えが行われている。英単語を暗記する際にも、単一の日本語訳だけでなく、類義語や英語での定義(ニュアンス)を併せてインプットすることで、このパラフレーズに対応する強固な語彙基盤が構築される。
重点学習領域
[基盤 M54-談話]
└ 第5問、第6問において、論理展開パターン(物語の推移、論説文の構造)の識別に使用。
[基礎 M20-談話]
└ 第6問Aにおいて、論説文の論理展開の類型(問題提起→解決策など)の把握に使用。
[基礎 M26-談話]
└ 第6問Bにおいて、図表・複数資料(実験データと本文)の統合的な読解に使用。