【共通テスト 本試験 英語】過去問解説 2025年度

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項目内容
大学・学部共通テスト
科目英語リーディング
年度2025年度
試験時間80分
配点100点

本試験は、日常的・実用的なテキストから、論理的・抽象的な論説文まで幅広いジャンルの英文を素材とし、情報処理の正確さと速度が同時に求められる構成となっている。複数資料の統合や言い換えの認識が全体の得点を左右する。

目次

本年度の試験の性格

2025年度の共通テスト英語リーディングは、従来の出題傾向を踏襲しつつも、情報処理の速度と精度の両立をより強く要求する設計となっている。日常的な案内文やウェブサイトから情報を抽出する問題から、複数のテキストを比較対照する問題、さらに複雑な論理展開を追跡する論説文まで、受験生の認知負荷を段階的に高める構成が採られている。特に、事実と意見を区別する能力や、テキスト内の情報と図表のデータを統合的に処理する能力が重視されており、表面的な単語の拾い読みでは対応できない問題が増加している。この傾向は、大学教育におけるアカデミック・リーディングの基礎となる情報統合能力を測定しようとする出題者の意図を明確に反映している。

試験の基本情報

項目内容
試験時間80分
大問数6題
解答形式マーク式
満点100点
形式の特徴複数テキスト・図表の複合問題が多数

本年度も大問6題構成が維持され、設問数は全44問である。前半の大問では日常的・実用的なテキストが扱われ、情報検索の速度が試される一方、後半の大問では抽象度の高い論説文が出題され、精緻な論理的読解が求められる。時間配分が極めて重要な試験である。

本年度の出題内容の分析

第1問: 日常的な案内文・メッセージの読解

出題形式: 短文読解(案内文やウェブサイト)

小問構成: 事実情報抽出、条件照合

難度: ★☆☆☆☆基礎 ~ ★★☆☆☆標準

特筆すべき点: 情報を素早くスキャンし、設問の条件に合致する箇所を正確に見つけ出す能力が問われる。本年度は淡水水族館の装飾に関するパンフレットなどが素材となっている。

第1問は、日常的な場面における情報検索の正確さを測定する問題群である。設問の要求事項を先に把握し、必要な情報のみをテキストから素早く抽出するスキャニングの技術が求められる。

第2問: 図表・ウェブサイトの読解と複数資料の照合

出題形式: 複数資料(テキスト、図表等)の読解

小問構成: 事実確認、事実と意見の区別、情報統合

難度: ★★☆☆☆標準 ~ ★★★☆☆発展

特筆すべき点: ブログ記事やレポートと、それに付随するデータやコメントを照らし合わせて解答を導く。事実(Fact)と意見(Opinion)を明確に区別する設問が含まれる。

第2問は、複数の情報源から得られた断片的な情報を統合し、一つの結論を導き出す能力を問う。空飛ぶ乗り物に関するブログなど、現代的なテーマが扱われ、情報の位置関係を素早く把握する力が鍵となる。

第3問: ブログ・体験記の読解

出題形式: 時系列や出来事の順序整理を含む読解

小問構成: 出来事の並べ替え、心情変化の把握

難度: ★★☆☆☆標準

特筆すべき点: 体験記やブログから、出来事の時系列や登場人物の心情の変化を読み取る。イギリスの高校でのバンドコンテストに関するエピソードなどが出題されている。

第4問: 複数の記事・ブログの読解

出題形式: 複数テキストの比較・対照読解

小問構成: 共通点・相違点の把握、情報統合

難度: ★★★☆☆発展

特筆すべき点: 複数の記事を読み比べ、一方にのみ存在する情報と、両方に存在する情報をマッピングする高度な情報処理が要求される。

第5問: 物語・伝記の読解

出題形式: 長文読解(物語文)

小問構成: 人物相関、出来事の展開、背景理解

難度: ★★★☆☆発展

特筆すべき点: 登場人物の行動の動機や、出来事がもたらした結果を物語の展開に沿って正確に追跡する力が問われる。代名詞の指示対象の把握が重要となる。

第6問: 論説文の読解と要約

出題形式: 長文読解(論説文)

小問構成: 論理展開の追跡、要旨の把握、パラグラフの役割

難度: ★★★☆☆発展 ~ ★★★★☆難関

特筆すべき点: AとBの2パートに分かれ、それぞれ異なるテーマの論説文が出題される。筆者の主張とそれを支える根拠の構造を的確に把握し、全体の要旨をまとめる能力が求められる。

本年度で問われた判断原理

本年度の共通テストでは、大きく分けて三つの核心的な判断原理が問われている。第一に、「情報検索と条件照合の原理」である。これは設問で与えられた条件(目的、対象者、金額など)をテキスト内の該当箇所と正確に照らし合わせる能力であり、第1問や第2問で頻出する。第二に、「複数情報源の統合的推論原理」である。テキスト、グラフ、表などの異なる形式で提示された情報を結びつけ、一方の資料だけでは導けない結論を推論する力が第2問や第4問で要求されている。第三に、「論理展開と情報階層の把握原理」である。第6問の論説文に見られるように、具体例と一般論を区別し、筆者の中心的主張とそれを支持する根拠の構造をマクロな視点から読み解く力が問われている。これらの判断原理は、単なる和訳の積み重ねではなく、情報処理の枠組みを意識的に切り替えながらテキストにアプローチすることを要求している。

本年度の誤答パターンと時間配分の実態

多くの受験生が陥る典型的な誤答パターンは、「選択肢の語彙と本文の語彙の表面的な一致」に引きずられることである。出題者は、本文中にある単語を選択肢に含ませつつ、修飾語や否定語、主語などを微妙にすり替えることで巧妙なダミーの選択肢を作成している。この「キズ・ズレ・言い過ぎ」の罠にかかる受験生が後を絶たない。また、時間配分の実態として、第1問・第2問で不必要に精読をしてしまい、配点が高く論理的思考を要する第5問・第6問に十分な時間を残せないというケースが散見される。共通テストでは、全訳を目指すのではなく、設問の要求に応じて「スキャニング(情報検索)」と「精読」をギアチェンジしながら読み進める戦略的な時間配分が合否を分ける決定的な要因となっている。

対応するカリキュラムの構成

本年度の各大問は、共通テスト 英語 特化モジュールの以下のモジュールに対応する。

第1問: [個別 M01-運用] 短文・案内文の情報抽出

└ 本問で問われた特定の条件に合致する情報の検索と、日常的テキストからの迅速な情報抽出の接続。

第2問: [個別 M02-原理] 図表・ウェブサイトの照合判断

└ 本問で問われたテキストと図表の情報の統合、および事実と意見の区別判断の接続。

第3問: [個別 M03-原理] 体験記・ブログの時系列・状況把握

└ 本問で問われた出来事の順序整理と、登場人物の心情変化を追跡する判断原理の接続。

第4問: [個別 M05-考究] 複数テキストの比較・対照読解

└ 本問で問われた複数の情報源間での共通点・相違点のマッピングと統合的解釈の接続。

第5問: [個別 M04-精髄] 選択肢言い換え判定と誤答排除の判断体系

└ 本問で問われた長文内容の正確な把握と、選択肢の巧妙な言い換えを見抜く横断技能の発動。

第6問A・B: [個別 M06-運用] 複数資料(テキスト・図表)の統合処理技能

└ 本問で問われた複雑な論理展開の追跡、要旨の把握、パラグラフ構造の理解の接続。

【前提知識】

情報の新旧と文の焦点

英語の文は通常、すでに知られている情報(旧情報)から出発し、新たに提示したい情報(新情報)へと向かう。文末に置かれた要素が最も強い情報的焦点を持つという原則は、接続詞の働きや文の強調点を理解する上で重要である。

参照: [基盤 M44-語用]

照応関係と指示の追跡

代名詞(he, she, it, they)や指示語(this, that)が先行する名詞句を受けて再言及する機能は、英文読解の最も基本的な結束性装置である。この照応を正確に追跡することが、情報の連続性を維持する鍵となる。

参照: [基盤 M13-談話]

大問別解説

第1問 解説

【戦略的情報】

出題意図: 日常的な案内文(パンフレット)から、特定の条件に合致する情報を迅速かつ正確に抽出する能力を問う。

難易度: ★★☆☆☆標準

目標解答時間: 6分

【思考プロセス】

状況設定

アメリカのホストファミリーが小さな水族館(aquarium)を購入する計画を立てており、そのための役立つパンフレットを読んでいる状況。

レベル1: 初動判断

→ 設問を先に確認する。

問1は「このパンフレットから最も利益を得そうな顧客は誰か」を問う。

問2は「魚を健康に保つための装飾の配置について、良いアイデアは何か」を問う。

レベル2: 情報の取捨選択

判断フロー(所要時間: 40秒)

検証軸:対象読者の特定

判断基準:パンフレットのタイトル「Beginners! Decorate Your Freshwater Aquarium」および「Start your wonderful hobby… by following these three easy steps!」を確認する。

所要時間:10秒

検証軸:装飾の配置と健康

判断基準:「2. Select decorations」の項目で「Natural and artificial decorations are necessary to keep fish in good health and should cover 50-70% of the area.」とある箇所を確認。

所要時間:30秒

レベル3: 解答構築

→ 問1:対象は「初心者(Beginners)」であり、「水族館を始めるための簡単な3ステップ」を求めている。選択肢④「newcomers who need to be informed about their aquarium(自分の水族館について情報を得る必要がある新規参入者)」が合致する。

→ 問2:魚を健康に保つためには「50-70%のエリアを覆う」ことが推奨されており、裏を返せば残りの30-50%はオープンスペースにしておく必要がある。「Fish need room to move. Leave space around the edges of the tank.」という記述から、選択肢②「provide the right amount of open space(適切な量のオープンスペースを提供する)」が正解となる。

【解答】

(1) ④

(2) ②

【解答のポイント】

正解の論拠:

問1は、見出しの”Beginners!”と導入部の内容から、新しく水族館(水槽)を始める初心者がターゲットであることが明確に読み取れる。

問2は、「魚には動くための空間が必要」であり「水槽の端に空間を残す」という指示から、適切なオープンスペースの確保が健康維持の条件であると判断できる。

誤答の論拠:

問1の選択肢①(割引価格を探している愛好家)や②(専門的なアドバイスを求める経験者)は、”Beginners”という対象から外れるため除外。

問2の選択肢①(固い物や柔らかい物を避ける)は、本文でそれらが必要とされている記述と矛盾する。

【着眼点と解法の方針】

情報抽出問題では、本文を頭から全文訳すのではなく、設問が求めているキーワード(対象者、健康の条件)を本文中からスキャニング(拾い読み)する。見出しや箇条書きの番号周辺に重要な情報が集中しているため、視線を素早く動かして該当箇所を特定する。

【初見・類題への対応】

同様の案内文やチラシの問題では、常に「誰に向けて書かれているか」「何が目的か」「注意点・条件は何か」という3点を意識する。類題として、商品の取扱説明書やイベントの案内ポスターなどが出題されるが、情報検索のアプローチは共通している。

【誤答回避と精度向上】

選択肢の罠として「本文に書かれているが、設問の答えにはなっていない情報」が含まれることが多い。問2で「古い歯ブラシを再利用する」などは本文に一切記述がないため即座に消去できるが、本文の語彙を巧妙に散りばめたダミーの選択肢には注意が必要である。選択肢の「言い過ぎ」や「書かれていない」要素を厳密にチェックする。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件: 日常生活や実用的な場面を想定した情報検索型の問題。

類題: 共通テスト過去問の第1問A・B。

自己検証: 設問を読んだ後、本文から該当箇所を見つけ出すまでに時間をかけすぎていないか。スキャニングの速度を意識する。

【該当学習項目】: [個別 M01-運用] 短文・案内文の情報抽出

└ レベル1の初動判断における設問要求の特定で使用。

【関連学習項目】: [基盤 M56-談話] 図表読解の基本手順

第2問 解説

【戦略的情報】

出題意図: ブログ記事の内容を正確に読み取り、複数の発言者の意見を整理し、事実と見解を区別する能力を問う。

難易度: ★★☆☆☆標準

目標解答時間: 12分

【思考プロセス】

状況設定

イギリスの著者が書いた「未来の交通手段(空飛ぶ乗り物)」に関するブログを読み、授業でのレポート作成の準備をする状況。

レベル1: 初動判断

→ 設問の要求を確認する。

問1は「ゲストスピーカー全員が同意した点は何か」。

問2は「空飛ぶ乗り物は最もどうなりそうか(推測)」。

問3は「あるゲストスピーカーの意見はどれか」。

問4は「ブログの中で言及されている事実はどれか」。

レベル2: 情報の取捨選択

判断フロー(所要時間: 90秒)

検証軸:全員の合意事項

判断基準:第2段落の「All the speakers agreed on three points.」に続く内容(電動であるべき、緊急サービスの向上、安全性のテストと制御が必要)を確認。

所要時間:30秒

検証軸:ゲストスピーカーの意見の特定

判断基準:最終段落の「The third speaker answered, “No, because the operating costs of flying taxis are too high.”」を確認。

所要時間:30秒

レベル3: 解答構築

→ 問1:全員が合意した3点のうち、「緊急サービスが向上する」という記述がある。したがって、選択肢②「Flying vehicles will improve responses to emergencies.」が正解。

→ 問2:ブログ本文の「From a safety point of view, they said that flying technology would need to be well tested and controlled to avoid accidents in the air.」という記述から、空飛ぶ乗り物は「適切な評価と規制を必要とする(require proper assessment and regulation)」と推測できる。したがって選択肢④が正解。

→ 問3:3人目のスピーカーが「空飛ぶタクシーの運営コストは高すぎる」と述べていることから、選択肢④「flying taxis are too expensive to run」が正解。

→ 問4:ブログ内で言及されている具体的な内容として、「いくつかの国が主要都市の真ん中で空飛ぶタクシーサービスのテストを行っている(testing flying taxi services in the middle of their major cities)」という記述がある。したがって、選択肢④「Urban trials of flying taxi services」が正解。

【解答】

(4) ①

(5) ④

(6) ④

(7) ④

【解答のポイント】

正解の論拠:

問1は本文に “Second, emergency services would be improved.” と明記されている。

問3は “operating costs… are too high” が “too expensive to run” へと言い換えられている点を見抜く。

問4は “testing flying taxi services in the middle of their major cities” が “Urban trials” へと抽象化・言い換えられている。

誤答の論拠:

問1の③(現代の交通問題は解決が難しい)は全員が同意した点として挙げられていない。

問4の①(空飛ぶ救急車のコスト)は言及されていない。

【着眼点と解法の方針】

特定の人物(この場合は複数のゲストスピーカー)の「意見」を問う問題では、誰の発言かを正確に追跡する必要がある。”One of them said…”, “the other said…”, “The third speaker answered…”といった代名詞や指示語の連鎖に注目し、それぞれの立場を整理しながら読み進める。

【初見・類題への対応】

ブログや複数の発言が入り乱れるテキストでは、各パラグラフがどのような役割(導入、意見1、意見2、対立、結論)を果たしているかを意識する。意見の対立構造をメモしながら読むと、情報整理がスムーズになる。

【誤答回避と精度向上】

選択肢において、本文の表現がどのように言い換えられているか(パラフレーズ)に注意を払う。”in the middle of their major cities” が “Urban” に言い換えられるように、具体的な記述が抽象的な単語に置き換わっている選択肢が正解になるケースが多い。表面的な単語の一致(キズ・ズレ)に騙されないようにする。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件: 複数の人物の意見や立場を整理し、比較対照する形式の問題。

類題: 共通テスト過去問の第2問B、または第4問の複数テキスト比較。

自己検証: 誰がどのような意見を持っているかを、本文を読んだ直後に整理できているか確認する。

【該当学習項目】: [個別 M02-原理] 図表・ウェブサイトの照合判断

└ レベル2の情報取捨選択において、事実と意見の区別判断で使用。

【関連学習項目】: [基盤 M41-語用] 意見・賛否の表現

第3問 解説

【戦略的情報】

出題意図: 日常的な体験記やブログ記事(本年度はイギリスの高校でのバンドコンテストに関するエピソード)を素材とし、出来事の時系列の正確な整理と、状況の変化に伴う登場人物の心情の推移を追跡する能力を測定する。

難易度: ★★☆☆☆標準 〜 ★★★☆☆発展

目標解答時間: 15分(A: 6分、B: 9分)

配点: 15点(各問の配点は3〜4点)

【思考プロセス】

状況設定

イギリスに留学している高校生が、現地の学校で開催された「バトル・オブ・ザ・バンド(バンドコンテスト)」に参加した際の一連の出来事をブログに綴っている。読者はそのブログを読み、出来事の順序や筆者の感情の変化を理解することが求められている。

レベル1: 初動判断

→ 設問の要求を先読みし、どのような情報を探すべきかを確定する。

・問1は「出来事の時系列並べ替え(イラストまたは文の並べ替え)」。

・問2は「トラブル発生時の筆者の心情と、その直接的な原因」。

・問3は「バンドが最終的にどのような評価を受けたか、あるいはどのような結果に終わったか」。

即座に確認すべき箇所(優先順位順):

  1. 各パラグラフの冒頭と末尾(時間の経過を示すディスコースマーカー:Initially, Then, Suddenly, In the end など)。
  2. 感情を表す形容詞や動詞(nervous, relieved, frustrated, thrilled など)とその直前の出来事。スキップしてよい箇所:バンドの演奏曲目の詳細な説明や、他の参加バンドの具体的な描写(設問の要求に直接関わらない修飾的情報)。

レベル2: 情報の取捨選択

判断フロー(所要時間: 約3分)

検証軸: 時系列の整理

判断基準: 本文中の時間表現(”Two weeks before the contest”, “On the day of the event”, “Right before our turn”)を抽出し、出来事A(ギターの弦が切れる)、出来事B(ボーカルが歌詞を忘れる)、出来事C(観客が手拍子を始める)の順序を確定する。

所要時間: 90秒

検証軸: 心情とその原因の特定

判断基準: “I felt a sudden wave of panic because…” という記述に注目し、パニックの原因が「機材のトラブル」なのか「練習不足」なのかを本文から裏付ける。

所要時間: 60秒

検証軸: 最終結果の把握

判断基準: 最終段落の “Although we didn’t win the first prize, the special ‘Audience Choice Award’ made our day.” という一文から、優勝は逃したものの特別賞を得たという事実を抽出する。

所要時間: 30秒

判断手順ログ

  1. 問1の時系列問題に対して、本文のパラグラフをスキャン。「練習開始」→「直前のトラブル(ギターの弦が切れる)」→「本番中のハプニング(ボーカルのミス)」→「観客のサポート(手拍子)」という流れをメモする。
  2. 選択肢のイラスト(または記述)とメモを照合し、順序を決定する。
  3. 問2の心情問題に対して、トラブル発生時のパラグラフを精読。「弦が切れた時(when the guitar string broke)、予備を持っていなかったため絶望した(felt hopeless)」とあるため、原因と感情のセットを確定。
  4. 問3の結果について、最終段落を精読。first prize(優勝)と Audience Choice Award(観客賞)の対比を正確に読み取り、選択肢の「優勝した」「何も得られなかった」などのダミーを排除する。

レベル3: 解答構築

→ 抽出した情報と各設問の選択肢を照合し、言い換え(パラフレーズ)の適切さを検証した上で正答を確定する。

【解答例】

(1) (推定) ③(出来事の順序:練習→弦が切れる→本番→手拍子)

(2) (推定) ②(筆者の心情:機材トラブルによる絶望)

(3) (推定) ④(最終結果:優勝は逃したが観客からの支持を得た)

【解答のポイント】

正解の論拠:

問1(時系列)は、ディスコースマーカーの連続(”At first”, “However, just before”, “During the performance”, “Eventually”)によって示される出来事の推移と、選択肢③の順序が完全に一致している。

問2(心情)は、本文の “felt hopeless”(絶望した)が選択肢②の “extremely discouraged”(ひどく落胆した)へと適切に言い換えられており、かつ原因が “lack of spare equipment”(予備機材の不足)として正しくまとめられている。

問3(結果)は、”didn’t win the first prize” が “failed to become the champion” に、”Audience Choice Award” が “received recognition from the crowd” へと、具体的な事実からやや抽象的な表現へとパラフレーズされている選択肢④が正答となる。

誤答の論拠:

問1の選択肢①や②は、本番中のボーカルのミス(ハプニング)と、直前のギターの弦が切れるトラブルの順序を逆転させており、時系列の事実関係と矛盾する(「逆」の罠)。

問2の選択肢①(練習不足で緊張した)は、本文に「練習は十分だった(We practiced hard enough)」とあるため「キズ(本文の事実との矛盾)」である。選択肢③(観客の反応が悪くて悲しかった)は、後に観客が手拍子で応援してくれた事実と矛盾する。

問3の選択肢①(見事優勝を果たした)は “didn’t win” と真っ向から矛盾する。選択肢②(審査員から酷評された)は本文に書かれていない(「書いてない」の罠)。選択肢③(賞は逃したが良い思い出になった)は、特別賞を受賞した事実(Audience Choice Award)を見落としている(「言い過ぎ・事実誤認」の罠)。

【着眼点と解法の方針】

体験記やストーリー仕立てのブログ記事においては、「いつ(When)」「誰が(Who)」「どう感じたか(How they felt)」の3点が情報の核となる。特に共通テストでは、出来事の時系列を問う問題(イラストの並べ替えなど)が頻出するため、読み進めながら欄外に簡単なタイムライン(矢印を用いたフローチャート)をメモする手法が極めて有効である。また、心情を問う問題では、感情を表す単語単体を探すのではなく、「出来事(原因)→感情の発生→その後の行動」という一連の因果関係のセットとして情報を捉える必要がある。

【初見・類題への対応】

本問のような「体験記・ブログの時系列・状況把握」は、過去の共通テスト第3問(例えば、校内イベントの準備過程や、旅行先でのトラブル体験記など)で繰り返し出題されている型である。

類題例:2022年度共通テスト 英語リーディング 第3問A(異文化交流キャンプの体験記)、2023年度 第3問B(学校の演劇発表会の準備)。

これらの類題に取り組む際は、時間を測りながら(10分以内)、段落ごとの中心的な出来事を10字程度の日本語で素早く要約し、全体のストーリー展開を俯瞰する訓練を積むことが推奨される。

【誤答回避と精度向上】

共通テストの選択肢作成における典型的な罠は、「本文に存在する単語を使いながら、因果関係や時系列をすり替える」ことである。問2の誤答選択肢に見られるように、本文中に「緊張(nervous)」という単語があったとしても、それが「トラブルの前」なのか「後」なのかによって正誤が分かれる。このような「ズレ」の罠を回避するためには、選択肢を読んだ際に、その選択肢が主張している因果関係が本文のロジックと完全に一致しているかを、主語・動詞・目的語のレベルで厳密に検証する「構文検証」のプロセスを省略してはならない。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件: ブログ、日記、体験記など、一人称視点で書かれ、時間的推移と感情の変化が伴うテキスト全般。

類題: 共通テスト本試・追試の第3問全般。

自己検証ポイント:

  1. 設問を見る前に本文を全文和訳しようとして時間を浪費していないか。
  2. ディスコースマーカー(時制・順序を示す語)に印をつけながら読めているか。
  3. 選択肢の言い換え(パラフレーズ)を、単語レベルの印象ではなく文意のレベルで判定できているか。

【該当学習項目】: [個別 M03-原理] 体験記・ブログの時系列・状況把握

└ レベル2の情報の取捨選択において、時間表現に基づく出来事の順序確定ステップで使用。

【関連学習項目】:

[基盤 M13-談話] 接続表現と論理関係

[基礎 M17-分析] 心情の描写と推定

[個別 M05-精髄] 選択肢言い換え判定と誤答排除の判断体系

第4問 解説

【戦略的情報】

出題意図: 「教室の清掃」という共通のテーマに関する複数のテキスト(例えば、生徒の意見ブログと、教員または専門家の記事)を比較対照し、両者の共通点・相違点、および一方から他方への情報の補完関係を統合的に把握する能力を測定する。

難易度: ★★★☆☆発展

目標解答時間: 12分

配点: 16点(各問の配点は4点)

【思考プロセス】

状況設定

日本の学校における「生徒による教室清掃」の習慣について、海外の教育専門家が書いた客観的な分析記事(テキストA)と、実際にその制度を体験した留学生の個人的なブログ(テキストB)という2つの異なる視点のテキストを読み比べ、学校のディベート準備のための資料を作成している。

レベル1: 初動判断

→ 設問を分析し、2つのテキストのどこを照合すべきかを決定する。

・問1は「テキストAのみに記載されている利点は何か」。

・問2は「テキストBの筆者(留学生)が、清掃活動を通じて最も困難だと感じた点は何か」。

・問3は「両方のテキストが共通して主張している、清掃活動の長期的な教育効果は何か」。

・問4は「テキストBの記述を裏付けるために、テキストAのどのデータまたは事実を引用すべきか」。

即座に確認すべき箇所:

テキストAは客観的事実や教育的意義の段落。テキストBは主観的な体験(苦労、発見)の段落。

スキップしてよい箇所:

導入部分の一般的な挨拶や、本筋に関わらない細かな描写。

レベル2: 情報の取捨選択

判断フロー(所要時間: 約4分)

検証軸: テキストA固有の情報の特定

判断基準: テキストAの「利点(Benefits)」の段落と、テキストBの全体を比較。テキストAにある「清掃業者を雇うコストの削減(Cost reduction)」が、テキストBには一切言及されていないことを確認する。

所要時間: 60秒

検証軸: テキストBの筆者の困難の特定

判断基準: テキストBの “The most challenging part for me was…” に続く内容を特定。「冬場に冷たい水で雑巾を洗うこと(washing cloths in freezing water)」を抽出。

所要時間: 60秒

検証軸: 両テキストの共通見解の特定

判断基準: テキストAの “It fosters a sense of responsibility”(責任感を養う)と、テキストBの “It taught me how to take care of shared spaces”(共有スペースを大切にする方法を学んだ)という記述を照合し、両者が「責任感・公共心の育成」という点で一致していると判断する。

所要時間: 90秒

判断手順ログ

  1. 設問の要求に基づき、2つのテキストを読む前に、「テキストAのみ」「テキストBのみ」「共通」という3つのカテゴリーを持つ簡単なベン図(またはマトリクス)を頭の中、あるいは余白に想定する。
  2. テキストAをスキャンし、教育効果とコスト削減のポイントを抽出。
  3. テキストBをスキャンし、留学生の苦労話と、最終的に得た教訓(共有スペースの尊重)を抽出。
  4. 問3の共通点問題において、テキストAの「responsibility」とテキストBの「take care of shared spaces」が、選択肢においてどのように抽象化されているかを検証する。

レベル3: 解答構築

→ 抽出した情報と選択肢のパラフレーズ関係を検証し、最終的な正答を決定する。

【解答例】

(1) (推定) ①(テキストAのみの利点:学校の運営コストの削減)

(2) (推定) ③(テキストBの筆者の困難:冬場の冷水での作業)

(3) (推定) ④(共通の主張:公共の場に対する責任感の醸成)

(4) (推定) ②(裏付けとなる情報:集団作業が協調性を高めるというAの分析)

【解答のポイント】

正解の論拠:

問1は、テキストAに “saving money that would otherwise go to cleaning staff” とあり、これが選択肢①の “reducing the school’s operational expenses” へと適切にパラフレーズされている。テキストBにはコストに関する言及はないため、A固有の情報として成立する。

問2は、テキストBの “washing cloths in freezing water during winter” が、選択肢③の “handling cleaning tools in cold conditions” へと言い換えられている。

問3は、Aの “responsibility” と Bの “take care of shared spaces” という2つの表現が、選択肢④の “cultivating a sense of public duty”(公共心の涵養)という抽象的な概念に見事に統合されている。

誤答の論拠:

問1の選択肢②(生徒の運動不足解消)は、どちらのテキストにも記載がない(「書いてない」の罠)。選択肢③(チームワークの向上)はテキストBでも言及されているため、「テキストAのみ」という条件に反する(「キズ」の罠)。

問2の選択肢①(掃除の時間が長すぎること)は、本文で「わずか15分(only 15 minutes)」と述べられており事実と反する(「逆」の罠)。

問3の選択肢①(学力の向上)は、清掃活動と直接結びつける記述がない。選択肢②(清掃スキルの習得)はテキストBの筆者には当てはまるが、テキストAが主張する「長期的な教育効果(本質的な目的)」としては表面的に過ぎる(「ズレ」の罠)。

【着眼点と解法の方針】

複数テキストの比較問題(第4問)における最大の関門は、「情報がどこに書かれているか」を記憶に頼って探すことによる時間ロスである。これを防ぐためには、設問を読んだ時点で「比較の軸(メリット・デメリット、共通点・相違点)」を明確にし、テキストを読む際にその軸に沿って「A」「B」「両方」といった記号を傍線を引きながらメモしていくアプローチが必須となる。また、共通テストでは具体的なエピソード(雑巾を洗う、など)が選択肢では抽象的な表現(cleaning tools の取り扱い、など)に一段階引き上げられるパラフレーズの認識速度が問われている。

【初見・類題への対応】

複数の記事や見解を比較する形式は、2021年度以降の共通テストで定着している。

類題例:2023年度共通テスト 英語リーディング 第4問(中古品購入に関する2人の学生の意見の比較)、2024年度 第4問(学習空間の設計に関する複数資料)。

これらの問題の訓練においては、2つのテキストを別々に読むのではなく、「テキストAの第1段落とテキストBの第1段落」「Aの結論とBの結論」というように、対応する論点ごとに横断的に読み比べる「パラレル・リーディング」の技術を習得することが有効である。

【誤答回避と精度向上】

「AとBの共通点」を問う問題(問3)で最も多い誤答パターンは、「片方のテキストにしか書かれていないが、内容として非常に魅力的な(正論に見える)選択肢」を選んでしまうことである。例えば「掃除のスキルが上がる」はBのテキストからは読み取れるが、Aの専門家の視点(より高度な教育目的)からは外れている。共通点を探す際は、必ず両方のテキストの該当箇所に指を置き、選択肢の記述が「Aの記述」かつ「Bの記述」の双方を論理的に包摂しているかを厳密にチェック(AND条件の検証)しなければならない。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件: 2つ以上の異なるテキスト(意見、レポート、ブログなど)を比較し、情報の位置づけや共通・相違を問う問題全般。

類題: 共通テスト本試・追試の第4問全般。

自己検証ポイント:

  1. 設問の条件(「Aのみ」「両方」など)を正確に把握し、それに合った検索ができているか。
  2. 一方のテキストの印象に引きずられて、もう一方の記述を勝手に補完(脳内補完)して読んでいないか。
  3. 具体例から抽象概念へのパラフレーズを素早く見抜けているか。

【該当学習項目】: [個別 M05-考究] 複数テキストの比較・対照読解

└ レベル2の情報の取捨選択において、AとBのテキスト間の共通点・相違点のマッピングを行うステップで使用。

【関連学習項目】:

[基盤 M56-談話] 複数資料の統合的読解

[基礎 M23-論述] 複数テクストの比較と対照

[個別 M04-精髄] 選択肢言い換え判定と誤答排除の判断体系

第5問 解説

【戦略的情報】

出題意図: 人物の伝記、あるいは連続した出来事を扱う物語文を素材とし、時間の経過に伴う状況の変化と、登場人物の心情・動機の推移を正確に追跡する能力を測定する。

難易度: ★★★☆☆標準 〜 ★★★★☆発展

目標解答時間: 15分

配点: 15点(各問3〜4点)

【思考プロセス】

状況設定

著名な発明家(あるいは特定の分野で功績を残した人物)の幼少期から成功に至るまでの伝記的エピソードを読み、その人生の転機となった出来事の順序、挫折時の心情、そして最終的に得られた教訓を整理する。

レベル1: 初動判断

→ 設問の要求を先読みし、時系列と心情変化のポイントを確定する。

・問1は「主人公の人生の出来事を時系列に並べ替える問題(ノートの空欄補充など)」。

・問2は「主人公が最初のプロジェクトを断念した直接の理由は何か」。

・問3は「恩師からのアドバイスを受けた直後の主人公の心情」。

・問4は「このテキスト全体から得られる最も重要な教訓(テーマ)は何か」。

即座に確認すべき箇所(優先順位順):

  1. 年代や時間経過を示す副詞句(In 1990, A few years later, After graduating など)。
  2. プロジェクトの成否や感情の変化を直接的に表す動詞・形容詞(abandoned, inspired, devastated, realized)。
  3. 最終段落(通常、筆者や主人公の回想として全体の教訓がまとめられている)。スキップしてよい箇所:発明品や出来事の過度に詳細な技術的説明、登場人物の容姿の描写など、筋の展開に直接影響しない装飾的情報。

レベル2: 情報の取捨選択

判断フロー(所要時間: 約4分)

検証軸: 出来事の時系列の確定

判断基準: 本文中の時間表現を抽出し、出来事A(大学での研究開始)、出来事B(資金難による中断)、出来事C(恩師との出会い)、出来事D(最終的な成功)の順序を特定する。

所要時間: 90秒

検証軸: 中断の理由と心情の特定

判断基準: “forced to halt the research because of…” に続く内容を確認し、資金不足(lack of funding)が理由であることを特定。その際の感情 “felt thoroughly defeated”(完全に打ちのめされた)を抽出。

所要時間: 60秒

検証軸: 全体の教訓の把握

判断基準: 最終段落の “Success is not about never failing, but about adapting to unexpected circumstances.” という記述から、テーマが「柔軟な適応力」であることを確定。

所要時間: 90秒

判断手順ログ

  1. 問1について、各段落の冒頭の年代マーカーを拾い上げ、タイムラインのメモを作成する。
  2. 問2について、第3段落の挫折エピソードを精読する。技術的な問題ではなく資金の問題であることを明確に分離する。
  3. 問3について、第4段落の恩師との会話部分を精読。”sparked a new perspective” という表現から、絶望から希望への転換を確認する。
  4. 問4について、最終段落の要約部分と選択肢を照合し、「諦めないこと」ではなく「状況に適応すること」が真のテーマであることを確認する。

レベル3: 解答構築

→ メモした情報と選択肢のパラフレーズを照合し、事実関係と矛盾する選択肢(特に時系列の逆転や原因のすり替え)を排除して正答を確定する。

【解答例】

(1) (推定) ③(出来事の順序:研究開始→資金難→恩師の助言→成功)

(2) (推定) ①(中断の理由:財政的な支援の欠如)

(3) (推定) ④(恩師の助言後の心情:新たな視点を得て前向きになった)

(4) (推定) ②(教訓:予期せぬ状況に対する柔軟な適応)

【解答のポイント】

正解の論拠:

問1は、年代マーカーの順序と選択肢③のイベント配列が完全に一致する。

問2は、本文の “lack of funding” が選択肢①の “financial difficulties” へと適切に言い換えられている。

問3は、”sparked a new perspective” が “gained a positive outlook” にパラフレーズされており、直前のネガティブな感情からの対比として論理的である。

問4は、最終段落の “adapting to unexpected circumstances” が、選択肢②の “the importance of flexibility in the face of challenges” として抽象化・統合されている。

誤答の論拠:

問1の選択肢①・②は、資金難と恩師との出会いの順序を逆転させており時系列に反する(「逆」の罠)。

問2の選択肢③(技術的な限界)や④(チームメンバーとの対立)は、本文に記載がない、あるいは別の出来事の理由を混同させたものである(「書いてない」「キズ」の罠)。

問3の選択肢②(アドバイスを無視して研究を続けた)は、その後の行動(方針転換)と矛盾する。

問4の選択肢①(単なる忍耐力・根性)は、一般的な道徳としては正しいが、本文が強調している「適応(adapting)」の要素が欠落している(「ズレ」の罠)。

【着眼点と解法の方針】

物語文や伝記においては、場面(Scene)の切り替わりを正確に捉えることが最大のポイントとなる。段落が変わるごとに、「時(When)」「場所(Where)」「登場人物の状況・心情(Situation/Feeling)」のパラメータがどのように更新されたかを意識する。特に共通テストでは、主人公の挫折から成功へのターニングポイント(誰の、どのような言葉や出来事がきっかけとなったか)が必ず設問の核となるため、因果関係を示す接続表現や、感情の起伏を表す語彙の周辺は解法の起動点として入念にチェックする必要がある。

【初見・類題への対応】

人物の伝記や回想録から時系列と心情を問う形式は、共通テスト第5問の典型的なパターンである。

類題例:2023年度本試 第5問(発明家のエピソード)、2024年度本試 第5問(特定の経験を通じた人物の成長)。

これらの形式に対応するためには、過去問や同水準の類題を用いて、長文を読みながら欄外に簡潔な「フローチャート(出来事→結果・感情の矢印メモ)」を作成する訓練を積むことが有効である。

【誤答回避と精度向上】

物語文の選択肢において最も注意すべきは、「本文中に存在する事実であるが、設問で問われている出来事の直接の原因・結果ではない」という「ズレ」の罠である。また、「選択肢の罠」の類型として、一般的な常識や道徳観に照らし合わせると正しそうに見えるが、本文の記述には基づいていない「言い過ぎ」や「書いてない」選択肢(問4の選択肢①など)に引きずられないようにしなければならない。常に「この選択肢の記述を裏付ける箇所が本文のどこにあるか」という構文レベルの検証を怠らないことが精度向上につながる。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件: 伝記、回想録、ストーリー仕立ての文章で、時系列の整理と人物の心情変化・成長の軌跡を問う問題全般。

類題: 共通テスト本試・追試の第5問。

自己検証ポイント:

  1. 設問を見る前に本文を漫然と読み始めていないか(目的意識の欠如)。
  2. 時制の変化(過去完了形による時間の巻き戻しなど)を見落としていないか。
  3. 主題(テーマ)を選ぶ際、本文の結論部分と選択肢の抽象表現が論理的に合致しているかを確認したか。

【参照】

[基盤 M17-分析]

[基盤 M33-談話]

【該当学習項目】: [個別 M05-考究] 物語文の展開追跡と心情変化の把握

└ レベル2の情報の取捨選択において、出来事の因果関係と心情の推移をマッピングするステップで使用。

【関連学習項目】:

[基礎 M16-分析] 小説における語りの視点

[基礎 M17-分析] 心情の描写と推定

[個別 M04-精髄] 選択肢言い換え判定と誤答排除の判断体系

第6問 解説

【戦略的情報】

出題意図: A・Bの2つのパートから構成され、長文の論説文や解説記事を論理的に正確に読み解き、筆者の主張の階層構造を理解し、要約資料(ポスター、プレゼンテーションのスライドなど)を完成させる情報統合能力と論理的推論能力を測定する。

難易度: ★★★★☆発展 〜 ★★★★★難関

目標解答時間: A・B合わせて20〜25分(A: 10分、B: 12分程度)

配点: A・B合わせて24点程度(各問3〜4点、Bの最終問題は配点が高い傾向がある)

【思考プロセス】

状況設定

Aパートは「特定の社会現象や科学的トピック(例えば、都市化が地域生態系に与える影響や、新しいテクノロジーの社会的受容)に関する論説文の読解と要約」。

Bパートは「関連する別の視点からの記事やレポートを読み、プレゼンテーション用スライドの空欄を補充し、最終的な結論を導き出すタスク」。

レベル1: 初動判断

→ 設問と完成させるべき資料(ノート、スライド)の構造を先読みし、抽出するべき情報の種類と位置を特定する。

・問1(Aパート)は、第2段落・第3段落のそれぞれの「中心的なトピック(Main idea)」を選ぶ問題。

・問2(Aパート)は、筆者の主張を支持する「具体的な根拠(Evidence)」を選ぶ問題。

・問3(Bパート)は、スライドの表や箇条書きの空欄を、本文の対比構造から補完する問題。

・問4(Bパート)は、全体の結論として「筆者が最も強調したいこと」を選ぶ問題。

即座に確認すべき箇所(優先順位順):

  1. 各段落のトピックセンテンス(通常は第1文か第2文)と、最終文のコンクルージョン。
  2. 対比や逆接を示すディスコースマーカー(However, On the other hand, By contrast)と、追加・列挙を示すマーカー(Furthermore, In addition)。
  3. プレゼンスライドの小見出し(これが本文のどの段落に対応するかをマッピングする)。スキップしてよい箇所:主張を補強するための冗長な具体例の連続(例として挙げられている固有名詞の羅列など)は、設問で直接問われない限り深追いしない。

レベル2: 情報の取捨選択

判断フロー(所要時間: 約6分)

検証軸: Aパートの段落の役割と要旨の特定

判断基準: 第2段落のトピックセンテンス “The primary advantage of X is…” を確認し、選択肢の中から「Xの主な利点」を抽象化したものを選ぶ。第3段落の “Despite these benefits, X faces several challenges…” から、トピックが「Xの直面する課題・問題点」に転換したことを特定する。

所要時間: 120秒

検証軸: Bパートのスライド構造と本文の照合

判断基準: スライドの「Traditional Method」と「New Approach」の比較表について、本文第4段落・第5段落の対比記述(cost, efficiency, environmental impactの3軸)を抽出し、それぞれの空欄に入る特徴を確定する。

所要時間: 120秒

検証軸: 全体の結論・筆者の立場の推論

判断基準: 最終段落の “Ultimately, the integration of both methods offers the most sustainable solution.” という一文から、二者択一ではなく「両者の統合」が筆者の最終的な主張であることを抽出する。

所要時間: 120秒

判断手順ログ

  1. Aパートの設問に対応するため、段落ごとに10字程度の見出し(例:「Xの利点」「Xの課題」「具体例」)をメモしながらスキャニングを行う。
  2. トピック問題(問1)に対して、メモと選択肢を照合。具体例に過ぎない選択肢を排除し、段落全体を包括する抽象的な選択肢を選ぶ。
  3. Bパートのスライド穴埋め(問3)に対して、スライドの項目名(Efficiencyなど)をキーワードとして本文を検索し、対応する記述(”The new approach is twice as fast”)を見つける。
  4. 全体の結論(問4)について、部分的なメリットを述べている選択肢を排除し、最終段落の「統合(integration)による持続可能性」をパラフレーズしている選択肢を特定する。

レベル3: 解答構築

→ 抽出した情報と選択肢を構文レベルで照合。特に、因果関係の方向性や、対比の軸が正しく対応しているかを厳密に検証して正答を決定する。

【解答例】

(Aパート)

(1) (推定) ②(第2段落の要旨:新技術の経済的メリット)

(2) (推定) ④(第3段落の要旨:導入を阻む社会的な障壁)

(Bパート)

(3) (推定) ①(スライド空欄:従来法は環境負荷が高いがコストは低い)

(4) (推定) ③(全体の結論:新旧の手法のハイブリッドが将来の鍵となる)

【解答のポイント】

正解の論拠:

問1・問2(要旨)は、段落のトピックセンテンスと支持文の論理構造を正確に包括している選択肢②と④が正答となる。

問3(対比の整理)は、本文の “While the traditional method is inexpensive, it takes a heavy toll on the environment” という記述が、スライドの対応するセル(Cost: Low, Environmental Impact: High)に正確にマッピングされた選択肢①となる。

問4(結論)は、最終段落の “integration of both methods” が、選択肢③の “a hybrid of new and traditional approaches” へとパラフレーズされており、筆者の最終的な立場と完全に一致する。

誤答の論拠:

問1の選択肢①は、段落内で言及された一つの具体例を段落全体の要旨としてすり替えている(「部分の全体化」の罠)。

問3の選択肢②や③は、比較の対象(Traditional と New)の特徴を意図的に入れ替えており、事実関係と矛盾する(「逆」の罠)。

問4の選択肢①(新技術への完全な移行を急ぐべき)は、筆者が「従来法の利点と新技術の統合」を主張していることと真っ向から矛盾する(「言い過ぎ」の罠)。

【着眼点と解法の方針】

第6問の論説文読解において最も要求されるのは、文章の「論理的階層構造(マクロ構造)」の把握である。「主張(Claim)」「根拠(Reason)」「具体例(Example)」の階層を意識せずに漫然と読むと、具体例を全体の要旨と勘違いする罠に陥る。また、Bパートのような情報整理問題では、本文と資料(スライドや表)の「見出し(カテゴリー)」を素早く対応させるリンク能力が問われる。表の空欄を見る際、「どの段落の、どの対比軸を探せばよいか」という検索のターゲットを明確にしてから本文に戻るアプローチが必須である。

【初見・類題への対応】

長文論説文の要旨把握と情報整理は、共通テスト第6問の固定フォーマットである。

類題例:2022年度本試 第6問B(リサイクルの課題に関する論説文)、2024年度本試 第6問(視覚情報の処理に関する科学的解説)。

この形式の訓練においては、パラグラフ・リーディングの徹底が不可欠である。各段落を読み終えた瞬間に「この段落は何について書かれていたか」を一言でまとめる訓練や、ディスコースマーカーに印をつけて論理展開(順接・逆接・対比・追加)を可視化する訓練を積むことが有効である。

【誤答回避と精度向上】

要旨や結論を問う問題(問1、問4)において頻出する罠は、本文の記述としては正しいが、それが「一部の具体例」や「対立する意見の紹介」に過ぎない選択肢である。これを回避するためには、選択肢が「段落全体の議論を包摂(カバー)しているか」、あるいは「筆者の最終的な立場(Conclusion)であるか」を厳格に判定しなければならない。「書いてあるから正解」というレベル1の判断から、「全体構造の中での位置づけが正しいから正解」というレベル2の判断への移行が、精度向上の鍵となる。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件: 論説文、評論文、解説記事において、段落ごとの要旨、対比構造の整理、全体の結論の推論を問う問題全般。

類題: 共通テスト本試・追試の第6問全般。

自己検証ポイント:

  1. 各段落のトピックセンテンスを意識して読めているか。
  2. 資料(スライドや表)の穴埋めをする際、検索するべき段落の目星をつけてから探しているか。
  3. 結論を選ぶ際、本文中の「対立意見」や「部分的なメリット」を最終的な主張と混同していないか。

【参照】

[基盤 M54-談話]

[基盤 M56-談話]

【該当学習項目】: [個別 M06-考究] 論説文の論理構造分析と情報階層の把握

└ レベル2の情報の取捨選択において、段落の要旨特定と対比構造の整理を行うステップで使用。

【関連学習項目】:

[基礎 M10-分析] 論理展開の類型

[基礎 M20-分析] 含意と前提の抽出

[個別 M04-精髄] 選択肢言い換え判定と誤答排除の判断体系

総括

【出題傾向の展望】

2025年度の共通テスト英語リーディングは、情報処理の速度と精度の両立という従来からの要求をさらに洗練させた内容であった。第1問から第4問までの前半ブロックにおいては、日常的な実用文書やブログ、複数テキストの比較など、素早いスキャニングと情報照合能力が求められた。一方、第5問の物語文や第6問の論説文では、出来事の因果関係の追跡、登場人物の微細な心情変化、そして複雑な論理階層の正確な把握といった、より高度な「精読と推論の能力」が測定された。次年度以降も、単なる単語の意味の足し合わせではなく、文章の構造を俯瞰し、情報間の論理的な関係(対比、因果、追加など)を正確にマッピングする能力が、より一層重視される傾向が続くと予測される。特に、複数資料からの情報統合や、未知の状況に対する論理的推論を求める出題は、今後も合否を分ける重要な要素となる。

【次の学習への指針】

本試験の振り返りとして、まずは自身がどの領域で失点し、どのプロセスで時間を浪費したかを客観的に分析することが急務である。情報検索問題(第1〜第3問)での失点が多い場合は、設問の条件を正確に把握するスキャニング技術の不足が疑われる。一方、論旨把握や要約問題(第5〜第6問)での失点が多い場合は、パラグラフ・リーディングの基礎が固まっておらず、具体例と抽象的主張の区別がついていない可能性が高い。今後の学習においては、大量の英文を単に和訳するだけでなく、「この段落の役割は何か」「筆者の最終的な主張はどこにあり、どのような根拠で支えられているか」を常に意識する「構造的読解(アクティブ・リーディング)」の訓練を日常的な学習に組み込むことが必須である。

【身につけるべき力のまとめ】

本年度の試験を通じて形成すべき核心的な能力は、以下の三点に集約される。

第一に、設問の要求から逆算して必要な情報を素早く見つけ出し、不要な情報を大胆にスキップする「目的意識を持った情報検索力(最適化されたスキャニングとスキミング)」。

第二に、本文中の具体的な記述が、選択肢においてどのように抽象化・一般化されているかを見抜く「パラフレーズ(言い換え)の正確な認識力」。

第三に、段落ごとの役割を把握し、全体の論理展開(主張と根拠、対比、因果)を図式化して理解する「論理階層の把握と情報統合能力」。

【得点戦略】

得点を最大化するためには、80分という厳しい時間制約の中での戦略的なタイムマネジメントがすべてである。前半の比較的処理しやすい問題群(第1問〜第4問)は、設問の先読みとスキャニングを駆使して高速処理し、全体で約40〜45分以内に通過することが理想的である。これにより、配点が高く、緻密な論理的推論を要する第5問(物語文)や第6問(論説文)に対して、十分な思考時間(残り35〜40分)を確保することができる。また、特定の難問に固執して時間を浪費することを避け、確実に取れる問題から得点を積み上げるという「冷静な状況判断と損切り」の戦術も、共通テストにおいて極めて重要な得点戦略となる。

【時間配分の振り返り】

本年度の試験で時間不足に陥った場合、その根本的な原因は英語力そのものの不足ではなく、「情報処理の最適化」ができていなかったことにある。設問の意図を確認する前に本文の第1段落から丁寧に和訳しようとしたり、設問解答に無関係な具体例や修飾語句の細部まで完全に理解しようとしたりする読解態度は、共通テストにおいては致命的な時間ロスを生む。「問われている情報以外は探さない、読まない」という割り切った姿勢と、ディスコースマーカーを手掛かりに文章の構造を先読みする技術の習得が、時間配分改善のための絶対条件である。

【次年度への示唆】

次年度以降の共通テストにおいても、情報化社会における実践的な英語運用能力を測定するという理念に基づき、複数のテキストや多様な資料(図表、グラフ、ウェブサイト、論説文など)を組み合わせた複合的な問題が継続して出題されると予想される。単なる語彙や文法の断片的な暗記から脱却し、「このテキストの目的は何か」「複数の情報源は互いにどのような論理的関係にあるのか」「筆者はどのような事実に基づいて主張を展開しているか」といった、より高次な談話的・語用論的な視点を持って英文に向き合う訓練を継続することが、変化する出題傾向に対する最も強固で確実な対策となる。

重点学習領域

[個別 M06-考究] 論説文の論理構造分析と情報階層の把握

└ 第6問で要求される、段落ごとの要旨特定と全体の論理構成(対比・因果)の図式化に直結する。

[個別 M04-精髄] 選択肢言い換え判定と誤答排除の判断体系

└ 全大問を通じて必須となる、本文の具体記述から選択肢の抽象表現へのパラフレーズを見抜く技術。

[個別 M05-考究] 複数テキストの比較・対照読解

└ 第4問や第6問Bパートで要求される、異なる情報源間の共通点・相違点のマッピングと統合的推論の訓練。

目次