【基盤 英語】モジュール4:動詞の種類と識別基準
本モジュールの目的と構成
英文を読むとき、主語や目的語がどれかを判断する手がかりはどこにあるか。その手がかりの出発点は、常に動詞である。動詞が特定できなければ、文のどの語が主語でどの語が目的語かを判断する根拠が失われ、文全体の意味把握が不可能になる。動詞は英文の骨格を決定する最も重要な品詞であり、動詞の種類と機能を正確に識別できるかどうかが、その後のすべての文法学習の成否を左右する。英語の動詞は「動作を表す語」という素朴な理解にとどまる限り、状態動詞や連結動詞の存在を適切に扱えない。動詞を統語的機能に基づいて分類し、各類型の識別基準を確立することが、英文の構造把握における出発点となる。本モジュールは、動詞の種類を体系的に分類し、文中で動詞を正確に識別する能力を確立することを目的とする。
本モジュールは以下の4つの層で構成される:
統語:動詞の形態的特徴による識別 → 動詞は文中で時制変化(-ed, -s 等)や助動詞との共起といった形態的特徴を持つ。この層では、これらの形態的手がかりを用いて文中の動詞を確実に特定する方法を扱う。形態的特徴に基づく識別は、意味に頼らない客観的な判断基準を提供する点で、動詞識別の最も基本的な出発点となる。
意味:動詞の意味的分類と識別 → 動詞は動作動詞・状態動詞・連結動詞といった意味的類型に分類される。この層では、各類型の定義と識別基準を確立し、意味的特徴に基づいて動詞を分類する能力を養成する。動作と状態の区別は、時制や進行形の適用可否に直結するため、後続の文法学習において不可欠な知識となる。
語用:動詞の統語的機能と文型決定 → 動詞は自動詞・他動詞という統語的分類を持ち、この分類が文型を決定する。この層では、自動詞と他動詞の識別基準を確立し、動詞の統語的性質から文型を判定する能力を養成する。
談話:動詞の複合的識別と文構造への応用 → 形態・意味・統語の三つの観点を統合し、実際の英文における動詞の複合的な識別と文構造把握への応用を扱う。
このモジュールを修了すると、以下の能力が身につく。まず、時制変化や助動詞との共起関係を手がかりとして、文中の動詞を形態的に特定できるようになる。次に、動作動詞・状態動詞・連結動詞の区別を正確に行い、各類型に応じた文法的処理が可能になる。さらに、自動詞と他動詞の識別を通じて、動詞が要求する文型を判定し、文の骨格を把握する力が確立される。これらの能力を統合することで、初見の英文においても動詞を起点として文の構造を体系的に分析できるようになり、後続のモジュールで扱う時制・態・準動詞などの学習を発展させることができる。
統語:動詞の形態的特徴による識別
英文中の動詞を特定する際、単語の意味から判断しようとすると、“run” が「走ること」(名詞)にも「走る」(動詞)にもなりうるように、同一語形が複数の品詞として機能する場合に判断が困難になる。形態的特徴——すなわち語形変化や他の語との共起関係——に着目すれば、意味に依存しない客観的な基準で動詞を識別できる。この層を終えると、時制変化・助動詞との共起・do による操作という三つの形態的手がかりを用いて、文中の動詞を正確に特定できるようになる。学習者は英語の基本的な品詞(名詞・動詞・形容詞・副詞)の名称を知っていることが前提となる。時制変化の識別、助動詞との共起パターンの認識、do/does/did による動詞の確認手順を扱う。後続の意味層で動詞を意味的に分類する際、形態的に動詞であると確定していることが前提となるため、本層の能力が不可欠である。
【関連項目】
[基盤 M15-統語]
└ 時制の形態変化を体系的に学習し、動詞の形態的識別能力を発展させる
[基盤 M19-統語]
└ 助動詞の種類と識別基準を学習し、助動詞との共起パターンの理解を深める
【基礎体系】
[基礎 M01-統語]
└ 動詞の識別能力を文型判定と文構造分析に応用する
1. 動詞の形態的特徴
動詞を確実に識別するには、意味ではなく形態に着目する必要がある。「動詞は動作を表す語」という理解では、“love” や “know” のような状態を表す語を動詞と判断できず、また “run” が名詞として使われる場合との区別もつかない。形態的特徴を手がかりにすることで、語の意味内容に依存しない客観的な動詞識別が可能になる。
動詞の形態的識別によって、以下の能力が確立される。第一に、時制変化(-ed, -s 等の語尾変化)を手がかりとして動詞を特定できるようになる。第二に、助動詞(will, can, have 等)の直後に位置する語を動詞として認識できるようになる。第三に、do/does/did を用いた否定文・疑問文の構造から動詞を特定できるようになる。第四に、これら三つの手がかりを組み合わせて、文中の動詞を確実に識別できるようになる。
動詞の形態的識別は、次の記事で扱う be 動詞の特殊な形態変化、さらに意味層での動詞分類へと直結する。
1.1. 時制変化による動詞の識別
一般に動詞は「動作を表す語」と漠然と理解されがちである。しかし、この理解は “love”(愛する)や “exist”(存在する)のように動作を伴わない語が動詞であることを説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、動詞とは文中で時制変化(過去形 -ed、三人称単数現在形 -s 等)を示す語として定義されるべきものである。この定義が重要なのは、時制変化は動詞だけが持つ形態的特徴であり、名詞や形容詞には生じないためである。時制変化という基準が有効であるのは、英語において語形変化が動詞の最も信頼できる識別標識であることに由来する。名詞にも -s が付くことがあるが(複数形)、名詞の -s は「数」を示すのに対し、動詞の -s は「三人称単数現在」という時制・人称の一致を示すものであり、機能が根本的に異なる。この違いを認識することで、-s が付いた語が名詞の複数形であるか動詞の三人称単数現在形であるかを、文中の位置関係から判定できるようになる。さらに、不規則変化動詞(go → went、take → took 等)は、規則変化の -ed とは異なる形態変化を示すが、「原形から形態が変化している」という点では同一の原理に基づく。不規則変化動詞は頻出語彙に集中しており、高頻度で使用される基本動詞ほど不規則な変化を持つ傾向がある。この傾向を理解しておくことで、不規則変化形を目にした際にも動詞であると即座に判断できるようになる。
この原理から、時制変化を手がかりとして動詞を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では過去形の語尾を確認する。語尾に -ed が付いている語(規則変化)、または不規則な形態変化を示す語(went, took, saw 等)を見つけることで、その語が動詞であると特定できる。手順2では三人称単数現在形の語尾を確認する。主語が三人称単数(he, she, it 等)のとき、語尾に -s/-es が付いている語を見つけることで、その語が動詞であると特定できる。ここで注意すべきは、名詞の複数形にも -s が付く点である。主語との人称・数の一致関係を確認することで、その -s が動詞の活用語尾であるか名詞の複数語尾であるかを区別できる。手順3では原形と変化形を比較する。同じ語が文脈によって形態を変える場合(study → studied → studies)、その語は動詞であると判定できる。この手順は、特に初見の語彙に遭遇した場合に有効であり、語の意味を知らなくても形態変化から品詞を推定できる点で汎用性が高い。
例1: The student studied English every day.
→ studied は study に -ed が付いた過去形。時制変化を示すため動詞と特定。every day は副詞句であり目的語ではない点にも注意。
→ 骨組み: student(誰が)+ studied(どうした)+ English(何を)
例2: She knows the answer already.
→ knows は know に三人称単数現在の -s が付いた形態。主語 She が三人称単数であり、knows の -s は動詞の活用語尾(名詞の複数 -s ではない)。時制変化を示すため動詞と特定。
→ 骨組み: She(誰が)+ knows(どうする)+ answer(何を)
例3: The price rose sharply last month.
→ rose は rise の不規則過去形。原形 rise から形態が変化しているため動詞と特定。rise-rose-risen という不規則変化パターンを持つ。sharply は副詞で動詞を修飾。
→ 骨組み: price(何が)+ rose(どうした)
例4: Water freezes at zero degrees Celsius.
→ freezes は freeze に三人称単数現在の -s が付いた形態。主語 Water が三人称単数(不可算名詞は三人称単数扱い)であり、時制変化を示すため動詞と特定。freeze-froze-frozen という不規則変化パターンも併せて確認しておくことで、過去形 froze に遭遇した際にも動詞と判断できる。
→ 骨組み: Water(何が)+ freezes(どうなる)
以上により、語の意味内容ではなく時制変化という形態的手がかりに基づいて、文中の動詞を客観的に特定することが可能になる。
(本セクション本文:約1,690字)
1.2. 助動詞との共起と do による操作
動詞とは何か。時制変化だけでなく、助動詞との共起関係もまた動詞に固有の形態的特徴である。助動詞(will, can, may, have, be 等)の直後に現れる語は動詞であり、また否定文・疑問文で do/does/did と共起する語も動詞である。この二つの手がかりは、時制変化が明示的でない場合——たとえば原形が用いられる場合——にも動詞を識別する有力な基準となる。助動詞との共起が動詞識別に有効であるのは、助動詞が文法的に動詞とのみ結合するという英語の構造的制約に基づくためである。助動詞の直後に名詞や形容詞が来ることは原則としてなく(“She will happy.” は非文法的)、この制約を利用すれば、助動詞の直後にある語を自動的に動詞と判定できる。ただし、助動詞と本動詞の間に副詞が挿入される場合がある(“She will probably arrive tomorrow.”)。この場合、副詞 probably を飛ばして、助動詞の後に最初に現れる動詞形(arrive)を述語動詞と判定すればよい。同様に、do/does/did による操作も動詞に固有の現象である。英語では一般動詞の否定文・疑問文を作る際に do を用いるが、名詞や形容詞に do を適用することはできない。“Do you student?” は非文法的であり、“Do you study?” のように do と共起できる語は動詞に限られる。この特性は、be 動詞や助動詞を伴わない文において動詞を特定する強力な手がかりとなる。
以上の原理を踏まえると、助動詞と do を手がかりとした動詞識別のための手順は次のように定まる。手順1では助動詞の直後の語を確認する。will, can, may, shall, must, have, be などの助動詞が出現した場合、その直後に位置する語(原形または過去分詞・現在分詞)が動詞であると特定できる。助動詞と動詞の間に副詞が挿入されている場合は、副詞を除外して最初の動詞形を特定する。手順2では否定文の構造を確認する。do not / does not / did not の直後に位置する原形の語を見つけることで、その語が動詞であると特定できる。この手順は、肯定文では時制変化が主語との一致によって判別しにくい場合にも、否定文に変換すれば動詞が原形で現れるため有効である。手順3では疑問文の構造を確認する。Do / Does / Did が文頭に置かれている場合、主語の直後に位置する原形の語が動詞であると特定できる。疑問文では語順が変わるが、主語の直後にある原形という位置関係は維持される。
例1: She will arrive tomorrow morning.
→ 助動詞 will の直後に arrive(原形)が位置する。助動詞との共起により arrive を動詞と特定。will と arrive の間に副詞が挿入されていない標準的なパターン。
→ 骨組み: She(誰が)+ will arrive(どうする)
例2: They do not understand the problem.
→ do not の直後に understand(原形)が位置する。do による否定構造から understand を動詞と特定。understand は状態動詞であるが、do を用いた否定文の形成は一般動詞に共通の操作である。
→ 骨組み: They(誰が)+ do not understand(どうする)+ problem(何を)
例3: Can you explain this rule?
→ 助動詞 Can の後に主語 you を挟んで explain(原形)が位置する。疑問文では助動詞が文頭に移動するため、助動詞と動詞の間に主語が介在する。助動詞との共起により explain を動詞と特定。
→ 骨組み: you(誰が)+ can explain(どうする)+ rule(何を)
例4: Did the experiment produce any results?
→ Did が文頭に置かれ、主語 the experiment の直後に produce(原形)が位置する。Did による疑問構造から produce を動詞と特定。肯定文に戻すと “The experiment produced any results.” となり、produced の過去形 -ed も動詞の手がかりとなる。
→ 骨組み: experiment(何が)+ did produce(どうした)+ results(何を)
これらの例が示す通り、助動詞との共起関係と do/does/did による操作を手がかりとして、時制変化が明示的でない場合にも動詞を確実に識別する能力が確立される。
(本セクション本文:約1,700字)
2. be 動詞の形態と識別
英語の動詞の中で、be 動詞は最も多様な語形変化を持ち、一般動詞とは異なる振る舞いを示す特殊な動詞である。be 動詞は主語の人称・数・時制に応じて am, is, are, was, were, been, being という七つの形態をとり、否定文・疑問文の作り方も一般動詞とは異なる。be 動詞を正確に識別できなければ、進行形(be + -ing)や受動態(be + 過去分詞)の構造把握が不可能になり、文型判定にも支障をきたす。
be 動詞の識別能力によって、以下の能力が確立される。第一に、be 動詞の七つの形態を確実に認識できるようになる。第二に、be 動詞と一般動詞の否定文・疑問文の構造的差異を理解できるようになる。第三に、be 動詞が進行形・受動態・補語構造のいずれで使用されているかを判別する準備が整う。
be 動詞の形態的理解は、次の記事で扱う have 動詞の識別、さらに意味層での連結動詞の理解へと直結する。
2.1. be 動詞の形態変化体系
be 動詞には二つの捉え方がある。一つは「〜です」「〜である」を意味する単純な語という捉え方であり、もう一つは英語の文構造において複数の文法機能を担う中核的な語という捉え方である。前者の理解にとどまる限り、be 動詞が進行形(She is running)や受動態(The book was written)で用いられる場合を説明できない。学術的・本質的には、be 動詞とは主語の人称・数・時制に応じて am/is/are/was/were/been/being という七つの形態をとる不規則動詞であり、単独で述語となるだけでなく、進行形・受動態・補語構造の中核を担う語として定義されるべきものである。この定義が重要なのは、be 動詞の形態を正確に認識できなければ、英文の構造分析において進行形と受動態の識別、さらには文型の判定が不可能になるためである。be 動詞が他の動詞と根本的に異なる点は三つある。第一に、語形変化の多様性である。一般動詞は原形・三人称単数現在形・過去形・過去分詞形・現在分詞形の五つの形態を持つのに対し、be 動詞は七つの形態を持ち、人称と数によって現在形が三つに分かれる(am/is/are)。第二に、否定文・疑問文の形成方法が異なる。一般動詞は do/does/did を用いるのに対し、be 動詞は直接 not を付けて否定文を作り、主語と位置を入れ替えて疑問文を作る。第三に、be 動詞は他の文法構造の構成要素として機能する。進行形の be + -ing、受動態の be + 過去分詞、補語構造の be + 補語という三つのパターンにおいて、be 動詞は不可欠な構成要素である。
この原理から、be 動詞を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では主語と時制から be 動詞の形態を特定する。一人称単数現在は am、三人称単数現在は is、複数および二人称は are、過去形は was(単数)/ were(複数)という対応関係を確認することで、be 動詞を正確に識別できる。手順2では be 動詞の後続要素を確認する。be 動詞の直後に形容詞・名詞が来れば補語構造(SVC)、-ing 形が来れば進行形、過去分詞が来れば受動態であると判定できる。この判定は be 動詞の後続要素の品詞に完全に依存するため、後続要素の形態を正確に認識することが不可欠である。手順3では否定文・疑問文の構造を確認する。be 動詞は do を用いずに直接 not を付けて否定文を作り(“She is not happy.” であり “She does not be happy.” ではない)、主語と位置を入れ替えて疑問文を作る(“Is she happy?” であり “Does she be happy?” ではない)ため、この特徴により一般動詞と区別できる。
例1: The students are in the library.
→ 主語 students が複数形であるため are が選択されている。be 動詞 are の後に前置詞句 in the library が続く。前置詞句は場所を示す修飾要素。are が述語動詞であり、students の状態(図書館にいる)を述べている。
→ 骨組み: students(誰が)+ are(どうである)+ in the library(どこに)
例2: She was not satisfied with the result.
→ 主語 She が三人称単数、過去時制であるため was が選択されている。was not の形で否定(do を使わない)。satisfied は過去分詞で、ここでは形容詞的に補語として機能。be 動詞の否定は “She did not be satisfied.” ではなく “She was not satisfied.” となる点がbe動詞の特徴を端的に示す。
→ 骨組み: She(誰が)+ was not(どうだ)+ satisfied(どのような状態)
例3: Is this information accurate?
→ 疑問文で be 動詞 Is が文頭に移動。主語 this information が三人称単数現在。do を使わない疑問文形成が be 動詞の特徴。accurate は形容詞で補語の位置にある。肯定文に戻すと “This information is accurate.” となる。
→ 骨組み: information(何が)+ is(どうだ)+ accurate(どのような状態)
例4: The documents were being reviewed by the committee.
→ were(過去・複数)+ being(進行形)+ reviewed(過去分詞・受動態)。be 動詞が進行形と受動態の両方の構造に関与している。were being reviewed は「審査されている最中だった」の意味であり、be 動詞の三つの文法機能(ここでは進行形の be と受動態の be)が重層的に現れる典型例。この構造は過去進行形の受動態と呼ばれ、「過去のある時点で審査が進行中であった」ことを表す。
→ 骨組み: documents(何が)+ were being reviewed(どうされていた)
以上により、be 動詞の七つの形態を正確に認識し、後続要素との組み合わせから文の構造を判定することが可能になる。
(本セクション本文:約1,830字)
3. have 動詞と一般動詞の識別
英語において have は、「持っている」という本動詞としての用法と、完了形を作る助動詞としての用法の二つを持つ。同一の語形が異なる文法的機能を担うため、have が本動詞と助動詞のいずれとして使われているかを正確に識別することは、文構造の把握において不可欠な能力である。
have の二重機能の識別によって、以下の能力が確立される。第一に、have が本動詞(所有・経験を表す)として機能する場合と助動詞(完了形を形成する)として機能する場合を区別できるようになる。第二に、have の直後に続く語の形態から、have の機能を判定できるようになる。第三に、この区別を通じて完了形の構造を正しく把握する準備が整う。
have の識別能力は、意味層で動詞の意味的分類を行う際の前提となり、さらに完了形の形態と識別の学習を可能にする。
3.1. have の本動詞用法と助動詞用法
have には二つの捉え方がある。一つは「持っている」を意味する動詞という捉え方であり、もう一つは完了形を構成する助動詞という捉え方である。“She has finished the work.” における has は「持っている」ではなく完了形の助動詞として機能しており、述語動詞は finished である。学術的・本質的には、have は本動詞(所有・経験等の意味を持つ述語動詞)と助動詞(完了形を形成する機能語)の二つの文法的機能を持つ語として定義されるべきものである。この区別が重要なのは、have の機能を誤認すると文の述語動詞を取り違え、文全体の構造把握が崩壊するためである。たとえば “She has finished the work.” において has を本動詞と誤認すると、「彼女は仕事を終えた」ではなく「彼女は finished the work を持っている」という不自然な解釈に至る。have の機能を判定するうえで最も信頼できる手がかりは、直後に続く語の品詞・形態である。助動詞の have は必ず過去分詞を従え、本動詞の have は名詞句を従える。この形態的差異は例外なく適用できる規則であり、文脈に依存しない機械的な判定を可能にする。さらに、have は本動詞として「所有」以外にも「経験する」(have a good time)、「食べる」(have lunch)、「使役」(have someone do something)など多様な意味を持つが、これらはすべて本動詞としての用法であり、直後に名詞句が来る点で助動詞用法と区別される。
この原理から、have の機能を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では have の直後の語形を確認する。直後に過去分詞(-ed 形や不規則変化形)が続く場合、have は完了形の助動詞であると判定できる。過去分詞であるかどうかの判定は、その語が動詞の活用表において過去分詞に該当するかどうかで行う。手順2では have の直後に名詞・形容詞等が続くかを確認する。直後に名詞句が続き、かつその名詞句が目的語として機能している場合、have は「持っている」等の意味を持つ本動詞であると判定できる。手順3では否定文・疑問文の形成方法を確認する。本動詞の have は do/does/did を用いて否定文・疑問文を作る(“I don’t have time.” / “Do you have time?”)のに対し、助動詞の have は直接 not を付ける(“She has not finished.” / “Has she finished?”)ため、この差異で判定できる。ただし、イギリス英語では本動詞の have も “I haven’t any money.” のように do なしで否定文を作る場合があるため、手順1・2による形態的判定を優先すべきである。
例1: She has a great sense of humor.
→ has の直後に名詞句 a great sense of humor が目的語として位置する。a great sense は過去分詞ではなく名詞句である。has は「持っている」を意味する本動詞。否定文は “She doesn’t have a great sense of humor.” と do を用いる。
→ 骨組み: She(誰が)+ has(何を持つ)+ sense(何を)
例2: She has completed the assignment.
→ has の直後に過去分詞 completed が位置する。completed は complete の過去分詞形であり、名詞ではない。has は完了形の助動詞であり、述語動詞は completed。否定文は “She has not completed the assignment.” と has に直接 not を付ける。
→ 骨組み: She(誰が)+ has completed(どうした)+ assignment(何を)
例3: They don’t have enough information.
→ don’t have の形。do を用いて否定文を形成しているため、have は本動詞。直後の名詞句 enough information が目的語。助動詞の have であれば “They haven’t …” という形になるはずであり、do の介在が本動詞用法を示す明確な標識である。
→ 骨組み: They(誰が)+ don’t have(何を持たない)+ information(何を)
例4: He had already left when I arrived.
→ had の直後に副詞 already を挟んで過去分詞 left が位置する。had は過去完了形の助動詞であり、述語動詞は left。already は had と left の間に挿入された副詞であり、助動詞と過去分詞の間に副詞が入ることは完了形において標準的な語順である。arrived は when 節内の動詞。
→ 骨組み: He(誰が)+ had left(どうした)/ I(誰が)+ arrived(どうした)
以上により、have の直後に続く語の形態と否定文・疑問文の構造を手がかりとして、have が本動詞か助動詞かを正確に判定する能力が確立される。
(本セクション本文:約1,780字)
4. 動詞と他品詞の識別
英語では同一の語形が名詞・動詞・形容詞など複数の品詞として機能する場合がある。“increase” は「増加する」(動詞)にも「増加」(名詞)にもなり、“open” は「開ける」(動詞)にも「開いた」(形容詞)にもなる。文中でその語がどの品詞として機能しているかを正確に判定するには、語の位置と周囲の語との関係——すなわち統語的環境——に注目する必要がある。
動詞と他品詞の識別能力によって、以下の能力が確立される。第一に、同一語形が動詞として機能する場合と名詞として機能する場合を、文中の位置関係から区別できるようになる。第二に、動詞と形容詞の境界が曖昧になりやすい過去分詞形について、文脈から品詞を判定できるようになる。第三に、これらの判断を通じて、文の述語動詞を正確に特定し、文構造の把握を確実にする力が身につく。
動詞と他品詞の識別は、意味層で動詞の意味的分類を行う際の基盤であり、語用層で自動詞・他動詞の区別を学ぶ前提となる。
4.1. 同一語形における品詞の判定基準
一般に「動詞か名詞かは意味で判断する」と理解されがちである。しかし、この理解は “The increase was significant.”(名詞)と “Sales increase every year.”(動詞)のように、同一語が同じ「増加」の意味を保ちながら異なる品詞として機能する例を扱えないという点で不正確である。学術的・本質的には、ある語の品詞は意味内容ではなく、文中での統語的位置——冠詞・前置詞との関係、時制変化の有無、主語との呼応——によって決定されるべきものである。この原理が重要なのは、英語は語形変化が少ない言語であり、統語的位置こそが品詞判定の最も信頼できる基準となるためである。英語のこの特性は「転換」(conversion)と呼ばれ、語形を変えずに品詞を変える現象として広く見られる。たとえば、water は名詞(「水」)にも動詞(「水をやる」)にもなり、clean は形容詞(「清潔な」)にも動詞(「清掃する」)にもなる。転換によって品詞が変わっても語形が変わらないため、品詞の判定は文中の統語的位置に完全に依存する。この事実を理解しておくことで、「同じ語形なのに品詞が違う」という状況に遭遇しても混乱せず、統語的位置に基づく冷静な判定が可能になる。また、英語には名詞と動詞でアクセントの位置が異なる語がある(“REcord” = 名詞、“reCORD” = 動詞)が、書かれた英文ではアクセントの手がかりは得られないため、やはり統語的位置が唯一の判断基準となる。
この原理から、同一語形の品詞を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では冠詞・所有格の有無を確認する。the, a, my, his 等の直後に位置する語は名詞として機能している可能性が高いと判定できる。冠詞は名詞句の標識であるため、冠詞の存在は後続の語が名詞であることを強く示唆する。手順2では時制変化の有無を確認する。過去形の -ed、三人称単数現在の -s など、時制に応じた語形変化を示す場合、その語は動詞として機能していると判定できる。手順3では文中の役割を確認する。主語の直後に位置し、文の述語として機能している場合は動詞、前置詞の目的語や主語の位置にある場合は名詞であると判定できる。これら三つの手順は優先順位を持ち、手順1(冠詞の有無)が最も即座に判定可能であり、手順2(時制変化)がそれに次ぎ、手順3(文中の役割)は手順1・2で判定できない場合の最終手段として機能する。
例1: The change surprised everyone. / Prices change frequently.
→ 第一文:The の直後に change があり、名詞として主語の位置にある。surprised が述語動詞。第二文:Prices(主語)の直後に change があり、述語動詞の位置。時制変化も可能(changes, changed)。
→ 判定:第一文の change は名詞、第二文の change は動詞。
例2: We need to increase production. / The increase in costs was unexpected.
→ 第一文:to の直後に increase があり、不定詞(to + 動詞原形)の一部として動詞。第二文:The の直後に increase があり、名詞として主語の位置。in costs は前置詞句で increase を修飾。
→ 判定:第一文の increase は動詞、第二文の increase は名詞。
例3: The door is open. / Please open the door.
→ 第一文:be 動詞 is の後に open があり、補語の位置で形容詞として機能。第二文:命令文で open が文頭にあり、述語動詞の位置。open は動詞・形容詞・名詞のすべての品詞として機能しうる転換の典型例。
→ 判定:第一文の open は形容詞、第二文の open は動詞。
例4: The report was detailed and comprehensive. / She detailed her plan to the committee.
→ 第一文:was の後に detailed があり、comprehensive と並列で補語の位置。形容詞として機能。第二文:She(主語)の直後に detailed があり、過去形の述語動詞。her plan が目的語。detailed は過去分詞が形容詞化した語であり、文脈によって形容詞にも動詞の過去形にもなる。判定のポイントは「主語の直後にあるか(動詞)、be 動詞の後にあるか(形容詞)」という統語的位置である。
→ 判定:第一文の detailed は形容詞、第二文の detailed は動詞。
以上により、冠詞や所有格との関係、時制変化の有無、文中での統語的位置を手がかりとして、同一語形の品詞を正確に判定する能力が確立される。
(本セクション本文:約1,870字)
5. 述語動詞と準動詞の区別
英語では、一つの文中に動詞の形をした語が複数出現することがある。“She decided to study abroad.” では decided と study の二つが動詞の形をしているが、文の述語として機能しているのは decided だけであり、to study は不定詞(準動詞)として名詞的機能を果たしている。述語動詞と準動詞を区別できなければ、文の構造把握が根本的に崩壊する。
述語動詞と準動詞の区別によって、以下の能力が確立される。第一に、文中に動詞の形をした語が複数ある場合に、どれが述語動詞かを正確に判定できるようになる。第二に、不定詞(to + 原形)、動名詞(-ing 形)、分詞(-ing 形・-ed 形)を準動詞として認識し、述語動詞と混同しないようになる。第三に、この区別を通じて、複雑な文構造でも文の骨格を正確に把握する力が身につく。
述語動詞と準動詞の区別は、不定詞・動名詞・分詞の学習を可能にする基盤であり、談話層での複合的識別の前提となる。
5.1. 述語動詞と準動詞の判定手順
一般に「-ing 形や -ed 形は動詞の一種」と理解されがちである。しかし、この理解は “Running is good exercise.” の Running が動詞ではなく主語(名詞的機能)として働いていることを説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、述語動詞とは文の主語に対して時制を持って叙述する動詞であり、準動詞(不定詞・動名詞・分詞)とは動詞の形態を保ちながら名詞・形容詞・副詞として機能する語として定義されるべきものである。この区別が重要なのは、一つの節には述語動詞が一つだけ存在し、準動詞はいくら多くても述語動詞にはならないという英語の基本原則があるためである。この「一節一述語動詞」の原則は、英語の文構造を支配する最も根本的な規則の一つである。日本語では「走っている少年が本を読んでいる」のように述語的要素が複数並ぶことが自然であるが、英語では節の境界を明確にし、各節に一つの述語動詞を対応させる構造をとる。準動詞は動詞の意味内容を保持しながらも、統語的には名詞・形容詞・副詞として機能するため、述語動詞のカウントには含まれない。この原則を理解しておくことで、「文中に動詞の形をした語がいくつあっても、主節の述語動詞は一つ」という判断の軸が確立される。準動詞の三つの類型——不定詞(to + 原形)、動名詞(-ing 形で名詞として機能)、分詞(-ing 形または -ed 形で形容詞として機能)——はそれぞれ異なる標識を持つ。不定詞は to の存在、動名詞は主語・目的語・補語の位置にある -ing 形、分詞は名詞を修飾するか分詞構文を形成する -ing 形/-ed 形として識別できる。
では、述語動詞と準動詞を区別するにはどうすればよいか。手順1では時制の有無を確認する。主語に対して過去・現在の時制変化を示している語が述語動詞であると特定できる。手順2では準動詞の標識を確認する。to + 原形(不定詞)、主語なしの -ing 形(動名詞または現在分詞)、be 動詞なしで名詞を修飾する -ed 形(過去分詞)は準動詞であると判定できる。手順3では「一つの節に述語動詞は一つ」の原則を適用する。接続詞や関係詞で区切られた各節において、時制を持つ動詞を一つ特定し、残りの動詞形は準動詞であると判定できる。
例1: She decided to study abroad.
→ decided は主語 She に対して過去時制を示す述語動詞。to study は不定詞(to + 原形)で準動詞。decided が文の述語動詞であり、to study abroad は decided の目的語として名詞的に機能する不定詞句。
→ 骨組み: She(誰が)+ decided(どうした)+ to study abroad(何を)
例2: The boy sitting on the bench is my brother.
→ is は主語 The boy に対して現在時制を示す述語動詞。sitting は主語なしの -ing 形で、The boy を修飾する現在分詞(準動詞)。sitting on the bench は分詞句で The boy を後置修飾。
→ 骨組み: boy(誰が)+ is(どうだ)+ brother(何)
例3: Having finished the report, he went home.
→ went は主語 he に対して過去時制を示す述語動詞。Having finished は分詞構文(準動詞)で、時制を持たない。Having finished は完了形の分詞構文であり、「報告書を終えた後で」という時間的前後関係を表す。述語動詞ではなく、主節の述語動詞 went を修飾する副詞的機能を果たす。
→ 骨組み: he(誰が)+ went(どうした)+ home(どこへ)
例4: They expected the project to be completed by March.
→ expected は主語 They に対して過去時制を示す述語動詞。to be completed は不定詞の受動態(準動詞)。expected の目的語は the project であり、to be completed は目的格補語として機能する。この構造は SVOC であり、the project = to be completed(プロジェクトが完了すること)という「=」の関係が成立する。
→ 骨組み: They(誰が)+ expected(どうした)+ project(何を)+ to be completed(どうなることを)
以上の適用を通じて、文中に複数の動詞形が出現しても、時制の有無と準動詞の標識を手がかりとして述語動詞と準動詞を正確に区別する能力を習得できる。
(本セクション本文:約1,820字)
意味:動詞の意味的分類と識別
統語層で確立した形態的手がかりによって文中の動詞を特定できるようになった。しかし、動詞を特定しただけでは、その動詞がどのような性質を持ち、文法的にどのように振る舞うかを判断できない。“run” と “know” はどちらも動詞であるが、前者は動作を表し進行形にできるのに対し、後者は状態を表し原則として進行形にできない。動詞の意味的分類——動作動詞・状態動詞・連結動詞の三つの類型——を正確に識別できるようになることが、本層の到達目標である。品詞としての動詞を形態的に特定できる能力が前提となる。動作動詞と状態動詞の区別、連結動詞の定義と識別基準を扱う。語用層で自動詞・他動詞を区別し文型を判定する際、動詞の意味的性質の理解が前提となるため、本層の学習が不可欠である。
【関連項目】
[基盤 M32-意味]
└ 動作動詞・状態動詞の区別を時制選択の基準として応用する
[基盤 M35-意味]
└ 動詞の意味的分類を準動詞の用法理解に発展させる
【基礎体系】
[基礎 M06-意味]
└ 動詞の意味的分類を時制・アスペクトの体系的理解に深化させる
1. 動作動詞と状態動詞の区別
動作動詞と状態動詞の区別は、英語の時制・アスペクト体系を理解するための基本的な前提である。進行形にできるかどうか、命令文にできるかどうかといった文法的振る舞いの違いは、動詞が動作を表すか状態を表すかという意味的分類に直接起因する。
動作動詞と状態動詞の識別能力によって、以下の能力が確立される。第一に、動詞が動作を表すか状態を表すかを判定できるようになる。第二に、進行形にできる動詞とできない動詞の違いを原理的に理解できるようになる。第三に、同一の動詞が文脈によって動作的にも状態的にも使われる場合を識別できるようになる。
動作動詞と状態動詞の区別は、次の記事で扱う連結動詞の理解、さらに時制学習の基盤となる。
1.1. 動作動詞の定義と特徴
一般に動作動詞は「体を動かす動詞」と理解されがちである。しかし、この理解は “think”(考える)や “read”(読む)のように身体的動作を伴わない精神的活動を表す動詞を動作動詞に含められないという点で不正確である。学術的・本質的には、動作動詞とは「開始点と終了点を持つ意図的または非意図的な出来事」を表す動詞として定義されるべきものである。この定義が重要なのは、動作動詞は進行形にできる(“She is reading.”)、命令文にできる(“Read this book.”)という文法的特徴を持ち、これらの特徴が状態動詞との決定的な違いとなるためである。「開始点と終了点を持つ」という条件は、動作動詞の本質を最もよく捉える基準である。走る行為は始まった瞬間と終わった瞬間を持つ。考える行為もまた、考え始めと考え終わりを持つ。一方、「知っている」という状態には明確な開始点や終了点がない(正確には、知り始めた瞬間は存在するが、「知っている」状態そのものは持続的で均質である)。この「開始と終了」の有無が、進行形の可否を決定する。進行形は「ある行為が進行中である」ことを表すが、開始点と終了点を持たない均質な状態は「進行中」という概念と相容れない。“She is knowing the answer.” が不自然なのは、know が表す状態に進行という概念が適用できないためである。命令文についても同様の原理が働く。命令文は相手に「ある行為を開始せよ」と要求する構文であるが、開始点を持たない状態を「開始せよ」と要求することは論理的に不可能である。“Know the answer!” が不自然なのは、「知っている」という状態を意図的に開始することができないためである。
この原理から、動作動詞を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では進行形テストを適用する。“She is [動詞]ing.” の形にして自然であれば、その動詞は動作動詞であると判定できる。手順2では命令文テストを適用する。“[動詞] this!” の形にして自然であれば、その動詞は動作動詞であると判定できる。手順3では「意図的に行う/やめることができるか」を確認する。主語の意志で開始・停止できる事態を表す場合、その動詞は動作動詞である可能性が高いと判定できる。ただし、grow のように主語の意志によらない非意図的な変化を表す動作動詞も存在するため、手順3は手順1・2の補助として使用する。
例1: write → She is writing a letter.(進行形:自然)/ Write your name here.(命令文:自然)→ 動作動詞と判定。意図的に開始・停止できる活動を表す。write は「書き始める瞬間」と「書き終わる瞬間」を持つ典型的な動作動詞である。
例2: listen → He is listening to music.(進行形:自然)/ Listen carefully.(命令文:自然)→ 動作動詞と判定。身体的動作は伴わないが、意図的な精神活動を表す。「聞き始める」と「聞き終わる」という開始点と終了点が存在する。
例3: grow → The plant is growing rapidly.(進行形:自然)→ 動作動詞と判定。主語の意志によらない非意図的な出来事だが、開始点と終了点を持つ変化を表す。命令文 “Grow!” は植物に対しては不自然だが、人間に対して “Grow up!”(成長しろ)は成立する。
例4: eat → She is eating lunch.(進行形:自然)/ Eat your vegetables.(命令文:自然)→ 動作動詞と判定。意図的に開始・停止できる身体的動作を表す。eat は「食べ始める」と「食べ終わる」を持ち、動作の進行が観察可能である。
以上により、進行形テスト・命令文テスト・意図性の確認という三つの手がかりを用いて、動作動詞を正確に識別することが可能になる。
(本セクション本文:約1,680字)
1.2. 状態動詞の定義と特徴
状態動詞とは何か。“know”(知っている)や “believe”(信じている)は動詞でありながら、“She is knowing the answer.” とは言えず、“Know the answer!” という命令文も不自然である。状態動詞の本質は、「持続的で均質な状態」を表す点にある。動作動詞が開始と終了を持つ出来事を表すのに対し、状態動詞は時間の経過によって変化しない均質な状況を表す。この対比を正確に把握することが、時制・アスペクト選択の原理的理解に不可欠である。状態動詞が進行形にできないのは、進行形が「ある行為が進行の途中にある」ことを表す文法形式であるのに対し、状態には「途中」という概念が適用できないためである。「知っている」という状態は、知っている間ずっと均質であり、「半分知っている」「途中まで知っている」という段階を持たない。同様に、「好きである」という状態にも「半分好きである」という進行中の段階はない。この「均質性」が状態動詞の最も本質的な特徴であり、進行形・命令文の両方の不自然さを統一的に説明する原理である。ただし、状態動詞にも重要な例外がある。同一の動詞が文脈によって状態的にも動作的にも使われる場合が存在する。“I see a mountain.”(見える=状態)と “I am seeing a doctor.”(診察を受けている=動作)のように、see は知覚の状態を表す場合は状態動詞、意図的な活動を表す場合は動作動詞として機能する。このような動詞の二重性を識別するためには、進行形テストの結果だけでなく、文脈における意味を考慮する必要がある。
上記の定義から、状態動詞を識別するための手順が論理的に導出される。手順1では進行形テストを適用する。“She is [動詞]ing.” の形にして不自然であれば、その動詞は状態動詞である可能性が高いと判定できる。手順2では命令文テストを適用する。“[動詞] this!” の形にして不自然であれば、その動詞は状態動詞であると判定できる。手順3では状態動詞の主要カテゴリに該当するかを確認する。知覚(see, hear)、認知(know, believe, understand)、感情(like, love, hate)、所有(have, own, belong)、存在(exist, consist)のいずれかに該当する場合、状態動詞であると判定できる。これらのカテゴリは網羅的ではないが、入試で出題される状態動詞の大部分をカバーする実用的な分類である。
例1: know → She is knowing the answer.(進行形:不自然)/ Know the answer!(命令文:不自然)→ 状態動詞と判定。認知カテゴリに該当。「知っている」は持続的で均質な状態であり、進行中の段階を持たない。
例2: belong → This book is belonging to me.(進行形:不自然)/ Belong to this club!(命令文:不自然)→ 状態動詞と判定。所有カテゴリに該当。「所属している」は意志で開始・停止できない持続的状態である。
例3: see → I am seeing a mountain.(進行形:「見えている」の意味では不自然)→ 知覚カテゴリの状態動詞と判定。ただし “I am seeing a doctor.”(医者に診てもらっている)では動作的に用いられ進行形が自然となる点に注意。see が「視覚的に知覚する」という非意図的な状態を表す場合は状態動詞、「会う」「診察を受ける」という意図的な活動を表す場合は動作動詞として機能する。この使い分けは入試の正誤問題で頻出する。
例4: understand → She is understanding the problem.(進行形:不自然)/ Understand this rule!(命令文:不自然)→ 状態動詞と判定。認知カテゴリに該当。「理解している」は均質な認知状態であり、進行の段階を持たない。ただし、近年の口語的用法では “I’m understanding it better now.” のように状態動詞の進行形が使われることがあるが、入試の文法問題では原則的な判定(不自然)が求められる。
4つの例を通じて、進行形テスト・命令文テスト・カテゴリ判定を組み合わせて状態動詞を識別する実践方法が明らかになった。
(本セクション本文:約1,700字)
2. 連結動詞の定義と識別
連結動詞は動作動詞とも状態動詞とも異なる独特の機能を持つ。“She looks tired.” における looks は「見る」という動作ではなく、主語 She の状態(疲れている)を描写する機能を果たしている。連結動詞を正しく識別できなければ、looks tired を「疲れを見る」と誤解するなど、文意の把握に重大な誤りが生じる。
連結動詞の識別能力によって、以下の能力が確立される。第一に、be 動詞以外の連結動詞(become, seem, look, remain 等)を認識できるようになる。第二に、同一の動詞が連結動詞として機能する場合と一般動詞として機能する場合を区別できるようになる。第三に、連結動詞の後に続く補語の役割を正確に把握できるようになる。
連結動詞の理解は、語用層で文型判定を行う際の重要な前提であり、SVC 構造の正確な把握を可能にする。
2.1. 連結動詞の定義と判定手順
連結動詞とは、「be 動詞の仲間」として一括りに理解されることが多い。しかし、この捉え方では look, seem, become 等が連結動詞として機能する場合と一般動詞として機能する場合の区別を説明できない。学術的・本質的には、連結動詞とは「主語と補語を結びつけ、主語の状態・性質・変化を補語によって描写する機能を持つ動詞」として定義されるべきものである。この定義が重要なのは、連結動詞の直後に来る語は目的語ではなく補語であり、文型が SVO ではなく SVC となるため、文構造の把握に直結するからである。連結動詞の本質は「主語=補語」という等式的関係を成立させる点にある。“She looks tired.” では She = tired(彼女は疲れている状態である)という関係が成立し、looks は両者を結びつける「=」の役割を果たしている。一方、“She looks at the painting.” では She ≠ painting であり、looks は「見る」という動作を表す一般動詞として機能している。同一の語形 looks が文脈によって連結動詞にも一般動詞にもなるという事実は、意味だけでなく統語的環境を確認しなければ動詞の機能を判定できないことを示している。連結動詞として機能する主な動詞群は以下のように分類できる。状態の持続を表すもの(remain, stay, keep)、状態の変化を表すもの(become, turn, grow, get)、知覚・外見を表すもの(look, seem, appear, sound, taste, smell, feel)、判明を表すもの(prove, turn out)。これらの動詞が連結動詞として機能しているかどうかは、be 動詞置換テストと後続要素の品詞確認によって判定できる。
この原理から、連結動詞を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では be 動詞置換テストを適用する。当該動詞を be 動詞に置き換えて文意が大きく変わらなければ、その動詞は連結動詞として機能していると判定できる。このテストが有効なのは、連結動詞が「主語=補語」の関係を成立させる点で be 動詞と同じ機能を果たすためである。手順2では後続要素の品詞を確認する。動詞の直後に形容詞が来ている場合、その動詞は連結動詞として機能していると判定できる。一般動詞の直後に形容詞が来ることは原則としてない(副詞は来る)ため、この基準は信頼性が高い。手順3では主語との関係を確認する。動詞の後の語が主語の状態・性質を説明している場合、その動詞は連結動詞であると判定できる。「主語=補語」の関係が成立するかどうかを確認する。
例1: She looks tired.
→ She is tired. に置換可能。looks の直後に形容詞 tired が続き、主語 She の状態を描写。She = tired の関係が成立。連結動詞と判定。
→ 骨組み: She (S) + looks (V) + tired ©【SVC】
例2: The milk turned sour.
→ The milk was sour. に近い意味。turned の直後に形容詞 sour が続き、主語 milk の状態変化を描写。milk = sour の関係が成立。連結動詞と判定。turn は「変化」を表す連結動詞の代表例。
→ 骨組み: milk (S) + turned (V) + sour ©【SVC】
例3: She looked at the painting carefully.
→ She was at the painting. では意味が成立しない(be 動詞置換テスト不成立)。looked の直後に前置詞 at が続き、「見た」という動作を表す。She ≠ painting であり、「主語=補語」の関係が成立しない。一般動詞(動作動詞)と判定。
→ 骨組み: She (S) + looked (V) + at the painting(前置詞句)
例4: He remained silent throughout the meeting.
→ He was silent. に置換可能。remained の直後に形容詞 silent が続き、主語 He の状態を描写。He = silent の関係が成立。連結動詞と判定。remain は「状態の持続」を表す連結動詞であり、「彼は会議中ずっと沈黙した状態であり続けた」ことを表す。
→ 骨組み: He (S) + remained (V) + silent ©【SVC】
以上により、be 動詞置換テスト・後続要素の品詞確認・主語との関係確認の三つの手順を用いて、連結動詞を正確に識別し、SVC 構造を把握することが可能になる。
(本セクション本文:約1,760字)
語用:動詞の統語的機能と文型決定
動詞を形態的に特定し、意味的に分類できるようになったとしても、その動詞が文中でどのような構造を要求するかを判断できなければ、文の骨格を正確に把握することはできない。“She arrived.” は主語と動詞だけで文が成立するのに対し、“She put the book on the table.” では動詞 put が目的語と場所の両方を要求する。この違いは動詞の統語的性質——自動詞か他動詞か——に起因する。自動詞と他動詞の区別を正確に行い、動詞の統語的性質から文型を判定できるようになることが本層の到達目標である。動詞の形態的識別と意味的分類(動作・状態・連結)の能力を備えていることが前提となる。自動詞と他動詞の定義と識別基準、同一動詞の自動詞用法と他動詞用法の区別、動詞の統語的性質と文型の対応関係を扱う。談話層で形態・意味・統語の三観点を統合して実際の英文を分析する際、本層で確立した文型判定能力が直接活用される。
【関連項目】
[基盤 M13-統語]
└ 5文型の定義と識別基準を体系的に学習し、文型判定の精度を高める
[基盤 M14-統語]
└ 文の要素(S/V/O/C)の識別手順を学習し、動詞と文の要素の関係理解を深める
【基礎体系】
[基礎 M01-統語]
└ 自動詞・他動詞の区別を複合的な文構造の分析に応用する
1. 自動詞と他動詞の識別
自動詞と他動詞の区別は、英語の文型を決定する最も根本的な基準である。動詞が目的語を必要とするか否かによって文の構造が根本的に変わるため、この区別なしには文型判定が成立しない。
自動詞と他動詞の識別能力によって、以下の能力が確立される。第一に、動詞の直後に目的語(名詞句)が必要かどうかを判定できるようになる。第二に、同一の動詞が自動詞として使われる場合と他動詞として使われる場合を文脈から区別できるようになる。第三に、自動詞・他動詞の区別に基づいて基本的な文型を判定できるようになる。第四に、前置詞句と目的語を混同する誤りを回避できるようになる。
自動詞と他動詞の識別は、次の記事で扱う動詞と文型の対応関係の学習に直結し、談話層での統合的分析の基盤となる。
1.1. 自動詞の定義と識別基準
一般に自動詞は「目的語をとらない動詞」と理解されがちである。しかし、この理解は “He runs every morning.” と “He runs a company.” のように同一の動詞 run が自動詞にも他動詞にもなる事実を説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、自動詞とは「ある特定の用法において、主語の行為・状態を述べるだけで文が成立し、直後に名詞句(目的語)を必要としない動詞の用法」として定義されるべきものである。この定義が重要なのは、自動詞であるか他動詞であるかは動詞そのものに固有の性質ではなく、文中での用法によって決まるためであり、同一の動詞でも用法ごとに判定しなければならないからである。「用法によって決まる」という点は英語の動詞理解において極めて重要である。多くの学習者は動詞を「自動詞」か「他動詞」かの二者択一で覚えようとするが、英語の動詞の大部分は両方の用法を持つ。辞書で run を引くと、自動詞としての意味(走る、流れる、作動する等)と他動詞としての意味(経営する、走らせる等)の両方が記載されている。入試問題で問われるのは「この動詞は自動詞か他動詞か」ではなく「この文中でこの動詞は自動詞として機能しているか他動詞として機能しているか」である。この認識が文型判定の正確性を根本から変える。自動詞用法を正確に識別するうえで特に注意すべきは、自動詞の後に前置詞句が続く場合である。“She arrived at the airport.” において、at the airport は前置詞句であり、airport は前置詞 at の目的語である。arrived の直接目的語ではない。自動詞の後に前置詞を介して名詞句が続くパターン(arrive at, look at, listen to, wait for 等)は、一見すると他動詞と紛らわしいが、前置詞の有無で明確に区別できる。
この原理から、自動詞の用法を識別する具体的な手順が導かれる。手順1では動詞の直後の要素を確認する。動詞の直後に名詞句が存在せず、文がそこで終わるか、前置詞句・副詞が続く場合、その動詞は自動詞として機能していると判定できる。手順2では「何を?」テストを適用する。動詞に対して「何を?」と問いかけて答えが不要または不自然な場合、その動詞は自動詞として機能していると判定できる。手順3では前置詞の有無を確認する。動詞の後に前置詞を介して名詞句が続く場合(arrive at, look at 等)、その名詞句は前置詞の目的語であり動詞の直接目的語ではないため、動詞は自動詞であると判定できる。
例1: The baby smiled.
→ smiled の直後に名詞句がない。「何を笑った?」は不自然。自動詞用法と判定。smile は典型的な自動詞であり、「笑う」という行為は目的語を必要としない。
→ 骨組み: baby (S) + smiled (V)【SV】
例2: She arrived at the airport on time.
→ arrived の直後に前置詞 at が介在。airport は at の目的語であり、arrived の直接目的語ではない。自動詞用法と判定。arrive は「到着する」を意味し、到着先を示すには前置詞(at/in)が必要。✗ “She arrived the airport.” は非文法的。
→ 骨組み: She (S) + arrived (V) + at the airport(前置詞句)
例3: The temperature dropped significantly.
→ dropped の直後に副詞 significantly が続くのみで名詞句がない。「何を落とした?」は不自然(「気温が下がった」の意味)。自動詞用法と判定。drop は「落ちる・下がる」(自動詞)と「落とす」(他動詞)の両方の用法を持つが、ここでは主語 temperature が変化の経験者であり、自動詞。
→ 骨組み: temperature (S) + dropped (V)【SV】
例4: Birds fly south in winter.
→ fly の直後に south(副詞)が続き、名詞句はない。「何を飛ぶ?」は不自然。自動詞用法と判定。south は方向を示す副詞であり、名詞句(目的語)ではない。fly は「飛ぶ」(自動詞)と「飛ばす」(他動詞:fly a kite)の両用法を持つ。
→ 骨組み: Birds (S) + fly (V) + south(副詞)
以上により、動詞直後の要素確認・「何を?」テスト・前置詞の有無の確認を通じて、自動詞の用法を正確に識別することが可能になる。
(本セクション本文:約1,780字)
1.2. 他動詞の定義と識別基準
他動詞とは、ある特定の用法において、動詞の直後に名詞句(目的語)を必要とし、その名詞句なしでは文が成立しない動詞の用法である。“She enjoyed.” だけでは文として不完全であり、“She enjoyed the movie.” のように目的語が必要となる。他動詞と自動詞の決定的な違いは、動詞と名詞句の間に前置詞を介さずに直接名詞句が続くかどうかにある。この区別を正確に行えるかどうかが、文型判定の成否を分ける。他動詞の識別において入試で頻繁に問われるのは、前置詞を伴わない他動詞の用法である。日本語では「〜について議論する」「〜に入る」「〜に到着する」のように助詞を伴う表現が、英語では discuss(✗ discuss about)、enter(✗ enter into ※一部の用法を除く)、reach(✗ reach to)のように前置詞なしで直接目的語をとる。この「前置詞を伴わない他動詞」の知識は、文法・語法問題の正誤判定に直結する頻出事項である。
上記の定義から、他動詞の用法を識別するための手順が論理的に導出される。手順1では動詞の直後に名詞句が直接続くかを確認する。前置詞を介さずに名詞句が動詞の直後に位置する場合、その動詞は他動詞として機能していると判定できる。手順2では「何を?」テストを適用する。動詞に対して「何を?」と問いかけて自然に答えられる場合、その動詞は他動詞として機能していると判定できる。手順3では目的語を削除して文が成立するかを確認する。目的語を削除すると文意が不完全になる場合、その動詞は他動詞であり目的語を必須とすると判定できる。この手順は、自動詞にも修飾語として名詞句が後続する場合(“She runs every morning.” の every morning は副詞句)との区別に有効である。
例1: She enjoyed the concert.
→ enjoyed の直後に名詞句 the concert が前置詞なしで続く。「何を楽しんだ?」→「コンサートを」と自然に答えられる。“She enjoyed.” では不完全。他動詞用法と判定。enjoy は目的語を必ず要求する他動詞であり、“I enjoyed.” 単独では非文法的。
→ 骨組み: She (S) + enjoyed (V) + concert (O)【SVO】
例2: The committee discussed the proposal.
→ discussed の直後に名詞句 the proposal が前置詞なしで続く。「何を議論した?」→「提案を」。他動詞用法と判定。discuss は前置詞 about を伴わない点が重要(✗ discussed about the proposal)。日本語の「〜について議論する」の「〜について」に引きずられて about を付ける誤りは入試で最も頻出する誤りの一つ。同様のパターンに mention(✗ mention about)、enter(✗ enter into ※一部の用法を除く)、reach(✗ reach to)、approach(✗ approach to)がある。
→ 骨組み: committee (S) + discussed (V) + proposal (O)【SVO】
例3: He raised his hand.
→ raised の直後に名詞句 his hand が前置詞なしで続く。「何を上げた?」→「手を」。“He raised.” では不完全。他動詞用法と判定。raise(他動詞:上げる)と rise(自動詞:上がる)の混同は頻出の誤りである。raise は常に他動詞であり、目的語を必要とする。rise は常に自動詞であり、目的語をとらない。
→ 骨組み: He (S) + raised (V) + hand (O)【SVO】
例4: The teacher explained the rule to the students.
→ explained の直後に名詞句 the rule が前置詞なしで続く。「何を説明した?」→「ルールを」。to the students は前置詞句で修飾要素。他動詞用法と判定。explain は「(人に)(物事を)説明する」の意味で、explain + 目的語 + to + 人 の語順をとる。✗ “The teacher explained the students the rule.” とは言えない(explain は SVOO 構造をとらない)。
→ 骨組み: teacher (S) + explained (V) + rule (O)【SVO】
これらの例が示す通り、動詞直後の名詞句の有無・「何を?」テスト・目的語削除テストを組み合わせて他動詞の用法を正確に識別する能力が確立される。
(本セクション本文:約1,720字)
2. 同一動詞の自動詞用法と他動詞用法
英語の多くの動詞は自動詞と他動詞の両方の用法を持つ。“The door opened.”(自動詞)と “She opened the door.”(他動詞)のように、同一の動詞が目的語の有無によって異なる文型を形成する。この使い分けを正確に識別できなければ、文の主語が動作の主体なのか対象なのかを誤認し、文意の把握に重大な誤りが生じる。
同一動詞の自動詞用法と他動詞用法の識別能力によって、以下の能力が確立される。第一に、同一の動詞が自動詞・他動詞のどちらとして使われているかを文脈から判定できるようになる。第二に、raise/rise、lay/lie のように形態が類似する自動詞・他動詞のペアを正確に区別できるようになる。第三に、自動詞用法と他動詞用法の違いから、文の主語が動作主であるか対象であるかを判断できるようになる。
同一動詞の二重用法の理解は、談話層で複合的な動詞識別を行う際の重要な基盤となる。
2.1. 自他の切り替えと紛らわしい動詞ペア
自動詞・他動詞の区別を辞書で確認するだけでは、実際の文中で同一の動詞が自動詞にも他動詞にもなる場合に対応できない。学術的・本質的には、自動詞用法と他動詞用法の切り替えは「主語が動作の主体であるか、それとも変化・状態の経験者であるか」という意味的な差異に対応しており、動詞の直後の要素の有無と性質によって判定されるべきものである。この原理が重要なのは、入試においては辞書を参照できず、文脈から即座に判定する能力が求められるためである。自動詞用法と他動詞用法の切り替えには、英語に特徴的なパターンがある。多くの他動詞は、目的語を主語の位置に移すことで自動詞的に使うことができる。“She opened the door.”(他動詞:彼女がドアを開けた)→ “The door opened.”(自動詞:ドアが開いた)。この切り替えでは、他動詞用法の目的語(the door)が自動詞用法の主語になり、動作の主体が不明示となる。この現象を理解しておくことで、自動詞用法の文を見たときに「何が原因で変化が起きたのか」という因果関係の推測が可能になり、長文読解における内容理解に役立つ。特に注意すべきは、自動詞と他動詞で語形が異なるペアの存在である。raise/rise、lay/lie、sit/set はそれぞれ形態が類似するが自他が異なるペアであり、活用形の混同が入試で頻繁に出題される。これらのペアでは「目的語が必要か否か」という統語的基準に加えて、各動詞の活用形を正確に記憶しておくことが必要である。
この原理から、同一動詞の自他を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では動詞の直後の要素を確認する。直後に名詞句が前置詞なしで続いていれば他動詞用法、名詞句がなければ自動詞用法であると判定できる。手順2では主語の役割を確認する。主語が動作を行う側(動作主)であれば他動詞用法の可能性が高く、主語が変化を経験する側であれば自動詞用法の可能性が高いと判定できる。手順3では紛らわしい動詞ペアを確認する。raise(他動詞)/ rise(自動詞)、lay(他動詞)/ lie(自動詞)のように、形態が類似するが自他が異なるペアは、目的語の有無で機械的に判定できる。
例1: The door opened slowly.(自動詞)/ She opened the door.(他動詞)
→ 第一文:opened の直後に名詞句がなく副詞 slowly のみ。主語 door は変化の経験者。自動詞用法。第二文:opened の直後に名詞句 the door。主語 She は動作主。他動詞用法。第一文の door は、第二文では目的語の位置にある。この自他の切り替えにより、「誰が開けたか」が不明示の文(自動詞)と明示の文(他動詞)が対比される。
→ 骨組み:第一文 door (S) + opened (V)【SV】/ 第二文 She (S) + opened (V) + door (O)【SVO】
例2: The sun rises in the east.(自動詞 rise)/ He raised the flag.(他動詞 raise)
→ rises の直後に名詞句がない。rise は自動詞。raised の直後に名詞句 the flag。raise は他動詞。rise と raise は形態が似るが自他が異なるペア。活用形:rise-rose-risen(自動詞)、raise-raised-raised(他動詞)。「太陽が昇る」は主語 sun が変化の経験者であり自動詞、「旗を上げる」は主語 He が動作主であり他動詞。
→ 骨組み:第一文 sun (S) + rises (V)【SV】/ 第二文 He (S) + raised (V) + flag (O)【SVO】
例3: She lay on the bed.(自動詞 lie の過去形 lay)/ She laid the book on the table.(他動詞 lay の過去形 laid)
→ 第一文の lay は lie(横たわる・自動詞)の過去形。直後に前置詞句。第二文の laid は lay(置く・他動詞)の過去形。直後に名詞句 the book。活用形:lie-lay-lain(自動詞)と lay-laid-laid(他動詞)。lie の過去形 lay と、lay の原形 lay が同形であるため、特に混同しやすい。文脈における目的語の有無が唯一の判定基準となる。
→ 骨組み:第一文 She (S) + lay (V)【SV】/ 第二文 She (S) + laid (V) + book (O)【SVO】
例4: Sales increased last year.(自動詞)/ The company increased its production.(他動詞)
→ 第一文:increased の直後に名詞句がなく、last year は副詞句。主語 Sales は変化の経験者。自動詞用法。第二文:increased の直後に名詞句 its production。主語 company は動作主。他動詞用法。increase は形態が変わらず自他両用の典型的な動詞。
→ 骨組み:第一文 Sales (S) + increased (V)【SV】/ 第二文 company (S) + increased (V) + production (O)【SVO】
以上により、動詞直後の要素確認・主語の役割確認・紛らわしいペアの知識を統合して、同一動詞の自動詞用法と他動詞用法を正確に判定する能力が確立される。
(本セクション本文:約1,870字)
3. 動詞の統語的性質と文型の対応
自動詞・他動詞の区別を確立したうえで、動詞の統語的性質が文型をどのように決定するかを体系的に理解することが、文構造把握の最終段階となる。動詞が自動詞であればSV(またはSVC)、他動詞であればSVO(またはSVOO, SVOC)の文型が成立する。
動詞の統語的性質と文型の対応関係の理解によって、以下の能力が確立される。第一に、動詞の自他と補語・目的語の有無から文型を判定できるようになる。第二に、第4文型(SVOO)と第5文型(SVOC)の区別ができるようになる。第三に、動詞の統語的性質を起点として文全体の構造を体系的に把握する力が身につく。
動詞と文型の対応関係の理解は、談話層で実際の英文を総合的に分析する際の直接的な基盤となる。
3.1. 動詞の種類から文型を判定する手順
文型とは「SVO, SVC などの5つのパターンを覚えるもの」と理解されることが多い。しかし、5つのパターンを暗記するだけでは実際の文の文型を判定できない。学術的・本質的には、文型とは動詞の統語的性質(自動詞/他動詞/連結動詞)から論理的に導かれる文の構造パターンであり、動詞の種類を特定すれば文型は自動的に決定されるべきものである。この原理が重要なのは、文型の判定を「パターンの暗記と照合」ではなく「動詞の性質からの論理的導出」として行うことで、初見の文にも対応できる汎用的な能力が得られるためである。文型判定の出発点は常に動詞である。動詞が連結動詞であれば文型は SVC に限定される。動詞が自動詞であれば文型は SV に限定される(連結動詞は自動詞の一種と見なすこともできるが、補語の有無で SV と SVC を区別する)。動詞が他動詞であれば、目的語の数と補語の有無により SVO/SVOO/SVOC のいずれかに決定される。このように、動詞の種類→目的語の数→補語の有無、という判定の順序を踏むことで、文型判定は機械的に実行可能な手順となる。SVOO と SVOC の区別は特に重要であり、入試で頻繁に問われる。両者の決定的な違いは、動詞の後に続く二つの要素間の関係にある。SVOO では「O₁ ≠ O₂」(間接目的語と直接目的語は異なるもの)、SVOC では「O = C」(目的語と補語の間に「=」の関係が成立する)。この基準さえ把握しておけば、文型の判定で迷うことはない。
この原理から、動詞の種類に基づいて文型を判定する具体的な手順が導かれる。手順1では動詞の種類を特定する。連結動詞であれば SVC、自動詞であれば SV、他動詞であれば SVO/SVOO/SVOC のいずれかであると絞り込める。手順2では目的語の数を確認する。他動詞の場合、目的語が1つなら SVO、目的語が2つなら SVOO であると判定できる。手順3では目的語と補語の関係を確認する。他動詞の後に名詞句+形容詞(または名詞)が続き、その二つの間に「=」の関係が成立する場合は SVOC であると判定できる(“They elected him president.” では him = president)。「=」の関係の確認は、「O が C の状態である」と言い換えて自然であるかどうかで行える。
例1: She became a doctor.
→ became は連結動詞(be 動詞置換テスト:“She was a doctor.” で文意が通る)。a doctor は主語の状態を表す補語。She = doctor の関係が成立。
→ 文型判定: She (S) + became (V) + doctor ©【SVC】
例2: He gave her a present.
→ gave は他動詞。her(間接目的語)と a present(直接目的語)の2つの目的語が続く。her ≠ present(「彼女がプレゼントである」は不成立)。
→ 文型判定: He (S) + gave (V) + her (O₁) + present (O₂)【SVOO】
例3: The news made everyone happy.
→ made は他動詞。everyone(目的語)+ happy(補語)が続く。everyone = happy の関係が成立する(「みんなが幸せな状態になった」)。「everyone は happy の状態である」と言い換えて自然。
→ 文型判定: news (S) + made (V) + everyone (O) + happy ©【SVOC】
例4: The committee appointed her chairperson.
→ appointed は他動詞。her(目的語)+ chairperson(補語)が続く。her = chairperson の関係が成立する(「彼女が議長に任命された」)。「her は chairperson である」と言い換えて自然。SVOO との違いは、her と chairperson が同一人物を指す点にある。
→ 文型判定: committee (S) + appointed (V) + her (O) + chairperson ©【SVOC】
以上により、動詞の種類の特定→目的語の数の確認→目的語と補語の関係確認という手順を通じて、動詞の統語的性質から文型を論理的に判定する能力が確立される。
談話:動詞の複合的識別と文構造への応用
統語層で動詞の形態的特徴による識別を、意味層で動作・状態・連結の意味的分類を、語用層で自動詞・他動詞の区別と文型判定を、それぞれ個別に学習してきた。実際の英文を読む場面では、これら三つの観点を同時に適用して動詞を識別し、文の構造を把握しなければならない。三つの観点を統合した複合的な動詞識別を通じて、初見の英文においても動詞を起点とした文構造分析を実行できるようになることが本層の到達目標である。形態的識別(統語層)、意味的分類(意味層)、統語的判定と文型判定(語用層)のすべての能力を前提とする。三観点の統合手順、複数の動詞形を含む文の分析、実際の英文における動詞識別の実践を扱う。本層で確立した統合的な動詞識別能力は、入試の長文読解において文構造を正確に把握する際に直接発揮される。
【関連項目】
[基盤 M13-語用]
└ 5文型の識別を文脈の中で実践的に運用する方法を学習する
[基盤 M20-統語]
└ 不定詞の形態と識別を学習し、準動詞を含む文の分析能力を拡張する
【基礎体系】
[基礎 M01-統語]
└ 動詞識別の統合能力を複合的修飾構造の分析に応用する
1. 三観点の統合による動詞分析
実際の英文では、動詞の識別は形態・意味・統語の三つの観点を同時に適用して行う必要がある。“The committee has remained silent on the issue.” という文を正確に分析するには、has remained の形態的特徴(現在完了形)、remained の意味的分類(連結動詞)、文型の判定(SVC)をすべて統合しなければならない。
三観点統合の能力によって、以下の能力が確立される。第一に、形態・意味・統語の三つの観点を一つの手順として統合し、実際の英文分析に適用できるようになる。第二に、複数の観点が相互に矛盾するように見える場合(たとえば形態的には進行形だが意味的には状態を表す場合)を適切に処理できるようになる。第三に、初見の英文においても動詞を起点とした体系的な構造分析ができるようになる。
三観点統合の手順は、後続のモジュールで扱う文法事項の学習すべてにおいて、基盤的な分析ツールとして機能する。
1.1. 統合分析の手順
一般に動詞の分析は「主語と動詞を見つけて文型を判定する」と単純に理解されがちである。しかし、この理解は形態的に複雑な動詞句(完了進行形、受動態等)や、連結動詞と一般動詞を兼ねる動詞を含む文に対応できないという点で不十分である。学術的・本質的には、動詞分析とは形態的識別(何が動詞か)→意味的分類(どのような種類の動詞か)→統語的判定(文型はどれか)という三段階を順序立てて実行する体系的なプロセスとして定義されるべきものである。この三段階のプロセスが重要なのは、各段階の結果が次の段階の判定を制約し、三つの観点が整合して初めて正確な文構造の把握が可能になるためである。三段階の順序には論理的な必然性がある。形態的識別を最初に行うのは、まず「何が動詞であるか」を確定しなければ、その動詞の意味的分類も統語的判定も行えないためである。次に意味的分類を行うのは、動詞が動作動詞か状態動詞か連結動詞かによって、文型判定の選択肢が制約されるためである。連結動詞であれば SVC に限定され、自動詞であれば SV に限定される。最後に統語的判定を行うのは、形態と意味の情報を踏まえたうえで、動詞直後の要素を確認して文型を確定するためである。この順序を守ることで、判断の各段階で選択肢が絞り込まれ、誤判定の可能性が最小化される。三段階統合分析が特に威力を発揮するのは、形態的に複雑な動詞句を含む文の分析においてである。“The experiment has proven extremely useful.” のような文では、has proven が現在完了形であることを形態的に認識し(第一段階)、proven が連結動詞として機能していることを意味的に判定し(第二段階)、SVC の文型を統語的に確定する(第三段階)という三段階を順序立てて実行することで、正確な分析に至る。第一段階を飛ばして「proven は『証明した』だから他動詞」と意味から即断すると、useful を目的語と誤認し、文型判定を誤る。
この原理から、三観点を統合した動詞分析の具体的な手順が導かれる。手順1(形態的識別)では時制変化・助動詞との共起・準動詞の標識を確認し、述語動詞と準動詞を区別する。述語動詞を特定することで、文の骨格の中心が定まる。手順2(意味的分類)では特定した述語動詞が動作動詞・状態動詞・連結動詞のいずれであるかを判定する。進行形テスト・be 動詞置換テストを必要に応じて適用することで、動詞の意味的性質が明らかになる。手順3(統語的判定)では動詞の直後の要素を確認し、自動詞・他動詞・連結動詞の用法を判定して文型を確定する。目的語の数と補語の有無を確認することで、SV/SVC/SVO/SVOO/SVOC のいずれかに判定できる。
例1: The experiment has proven extremely useful.
→ 形態的識別:has proven は現在完了形(has + 過去分詞)。述語動詞は proven。意味的分類:proven の直後に形容詞 useful が続く。be 動詞置換テスト:“The experiment is useful.” で文意が通る。連結動詞と判定。prove は「証明する」(他動詞)の意味もあるが、ここでは「〜であると判明する」(連結動詞)として機能。統語的判定:experiment (S) + has proven (V) + useful ©【SVC】。extremely は useful を修飾する副詞。
例2: Having finished the report, she submitted it to the manager.
→ 形態的識別:Having finished は分詞構文(準動詞)。submitted は主語 she に対して過去時制を示す述語動詞。Having finished は完了形の分詞構文であり、「報告書を終えた後で」という時間関係を表す副詞的要素。意味的分類:submitted は「提出した」という動作動詞。統語的判定:submitted の直後に名詞句 it が前置詞なしで続く。他動詞用法。she (S) + submitted (V) + it (O)【SVO】。to the manager は前置詞句で修飾要素。
例3: The river runs through the entire valley.
→ 形態的識別:runs は三人称単数現在の -s。述語動詞。意味的分類:runs は「流れる」という動作動詞(進行形 “The river is running.” も可能であり、動作動詞の基準を満たす)。統語的判定:runs の直後に前置詞 through が介在。名詞句 valley は through の目的語であり runs の直接目的語ではない。自動詞用法。river (S) + runs (V)【SV】。through the entire valley は前置詞句で場所を表す修飾要素。
例4: The board considered the proposal impractical.
→ 形態的識別:considered は過去形。述語動詞。意味的分類:considered は「判断した」という動作動詞(ただし認知動詞としての性質も持ち、進行形 “The board was considering …” も可能)。統語的判定:considered の直後に名詞句 the proposal + 形容詞 impractical が続く。proposal = impractical の関係が成立する(「提案が非現実的である」と言い換えて自然)。board (S) + considered (V) + proposal (O) + impractical ©【SVOC】。consider は SVO(「〜を考慮する」)と SVOC(「〜を…と見なす」)の両方の用法を持ち、後続要素の構造で判別する。
以上により、形態的識別→意味的分類→統語的判定の三段階を統合して実行することで、どのような構造の英文であっても動詞を起点とした体系的な文構造分析が可能になる。
2. 複数の動詞形を含む文の分析
実際の入試英文では、一つの文中に述語動詞・準動詞・助動詞が混在し、動詞の形をした語が三つ以上出現することが珍しくない。“Students who had been studying for hours were expected to take a short break.” のような文では、had been studying, were expected, to take という複数の動詞形が出現し、どれが主節の述語動詞であるかを正確に特定しなければ文意を把握できない。
複数の動詞形を含む文の分析能力によって、以下の能力が確立される。第一に、関係詞節・副詞節の中の述語動詞と主節の述語動詞を区別できるようになる。第二に、準動詞(不定詞・動名詞・分詞)が述語動詞ではないことを確実に判定できるようになる。第三に、複雑な文構造においても主節の骨格(主語+述語動詞)を正確に抽出できるようになる。
複数の動詞形を含む文の分析は、後続の準動詞モジュールや関係詞モジュールの学習基盤となる。
2.1. 節の区切りと主節の述語動詞の特定
一般に「文中の動詞は一つ」と理解されがちである。しかし、この理解は接続詞や関係詞を含む複文において動詞の形をした語が複数出現する事実を説明できないという点で不正確である。学術的・本質的には、「一つの節には述語動詞が一つ」であり、接続詞・関係詞によって区切られた各節がそれぞれ独自の述語動詞を持つものとして理解されるべきである。この原理が重要なのは、主節の述語動詞を特定することが文全体の意味把握の起点であり、従属節の述語動詞や準動詞を主節の述語動詞と混同すると文意が完全に崩壊するためである。「一文一動詞」ではなく「一節一述語動詞」という修正された原則は、複文の分析において決定的に重要な認識の転換である。英語の文は、接続詞(that, when, because, although, if 等)や関係詞(who, which, that 等)によって複数の節に分割される。各節は独立した主語と述語動詞を持つ「ミニ文」のようなものであり、文全体は複数の「ミニ文」が組み合わさって構成されている。複文の分析で最も重要なのは、どの節が主節であるかを特定することである。主節とは、接続詞・関係詞に導かれていない節であり、文全体の中心的な意味を担う。従属節は主節に情報を追加する補助的な役割を果たす。したがって、主節の述語動詞を特定することは、文全体の「何が言いたいのか」を把握することに直結する。節の区切りを特定するうえで最も信頼できる手がかりは、接続詞・関係詞の出現位置である。when, because, although, if, that, who, which などの語が出現したら、その語から新しい節が始まると判断する。従属節は接続詞・関係詞から次のカンマまで、または文末までの範囲として特定できる。この範囲を括弧で囲んで一旦除外すれば、主節の骨格(主語+述語動詞)が浮かび上がる。
この原理から、複数の動詞形を含む文を分析する具体的な手順が導かれる。手順1では節の境界を特定する。接続詞(that, when, because, although 等)や関係詞(who, which, that 等)の出現箇所を見つけることで、文を複数の節に区切ることができる。手順2では各節の述語動詞を特定する。各節の中で時制を持つ動詞を一つ特定し、準動詞(to + 原形、主語なしの -ing 形等)を除外することで、各節の述語動詞が明らかになる。手順3では主節の述語動詞を確定する。接続詞・関係詞に導かれていない節が主節であり、その述語動詞が文全体の中心であると判定できる。
例1: The students who passed the exam celebrated their success.
→ 節の境界:who が関係詞節の開始。主節は “The students … celebrated their success.”、関係詞節は “who passed the exam”。関係詞節を括弧で囲むと “The students [who passed the exam] celebrated their success.” となり、主節の骨格が明確になる。関係詞節の述語動詞は passed(過去形)。主節の述語動詞は celebrated(過去形)。
→ 骨組み:students (S) + celebrated (V) + success (O)【主節 SVO】
例2: Because she had studied hard, she was confident about the result.
→ 節の境界:Because が従属節の開始。従属節 “Because she had studied hard” の述語動詞は had studied(過去完了形)。主節 “she was confident about the result” の述語動詞は was(be 動詞・過去形)。confident は補語。従属節を括弧で囲むと “[Because she had studied hard], she was confident about the result.” となり、主節の骨格が浮かび上がる。
→ 骨組み:she (S) + was (V) + confident ©【主節 SVC】
例3: The teacher expected the students to complete the assignment before leaving.
→ 述語動詞は expected(過去形)のみ。to complete は不定詞(準動詞)、leaving は動名詞(準動詞)。動詞の形をした語が三つあるが、述語動詞は一つだけ。接続詞・関係詞がないため節は一つ。to complete the assignment は目的格補語として機能し、SVOC 構造を形成する(students = to complete the assignment「学生たちが課題を完成させること」)。before leaving は前置詞句。
→ 骨組み:teacher (S) + expected (V) + students (O) + to complete …©【SVOC】
例4: What surprised everyone was that the project, which had been considered impossible, was completed ahead of schedule.
→ 節の境界:What が名詞節(主語)、that が名詞節(補語)、which が関係詞節。主節の構造は “[What surprised everyone] (S) + was (V) + [that … was completed …] ©”。主節の述語動詞は was(be 動詞)。What 節内の述語動詞は surprised。that 節内の述語動詞は was completed。関係詞節内の述語動詞は had been considered。動詞の形をした語が四つ以上あるが、主節の述語動詞は was のみ。関係詞節を括弧で囲んで除外すると “that the project was completed ahead of schedule” という that 節の骨格が明確になる。
→ 骨組み:[What surprised everyone] (S) + was (V) + [that … was completed …] ©【主節 SVC】
以上の適用を通じて、節の境界を特定し、各節の述語動詞を区別し、主節の骨格を正確に抽出する能力を習得できる。
3. 動詞識別の実践的統合
本モジュールの最後に、統語・意味・語用の三層で学んだ知識を統合し、共通テスト本試レベルの英文における動詞識別と文構造分析を実践する。単独の知識として学んだ各観点を、実際の英文分析という具体的な課題の中で同時に運用する訓練がこの記事の目的である。
実践的統合の能力によって、以下の能力が確立される。第一に、初見の英文に対して三段階の統合分析手順(形態→意味→統語)を自動的に適用できるようになる。第二に、分析の各段階で得た情報を総合し、文の構造と意味を正確に把握できるようになる。第三に、分析結果を後続の文法学習(時制・態・準動詞等)に接続する力が身につく。
動詞識別の実践的統合は、本モジュールの到達目標の最終確認であり、後続の全モジュールにおける英文分析の基本的ツールとなる。
3.1. 入試レベル英文の統合分析
英文分析において「主語と動詞を見つければよい」という理解は、修飾語句が複雑に入り組んだ文や動詞の形をした語が複数出現する文に対して破綻する。学術的・本質的には、英文分析とは「動詞の形態的識別→意味的分類→統語的判定」の三段階を体系的に実行し、文の構造を論理的に確定するプロセスとして定義されるべきものである。この体系的プロセスが重要なのは、文が長く複雑になるほど直感的な読み方では誤りが増え、手順に基づく分析だけが確実な理解を保証するためである。入試レベルの英文では、統合分析の各段階で特有の困難が生じる。形態的識別の段階では、分詞句や不定詞句が挿入されることで述語動詞と準動詞の距離が離れ、対応関係が見えにくくなる。意味的分類の段階では、prove, remain, appear 等の動詞が連結動詞と一般動詞の両方の用法を持つため、後続要素を確認するまで分類を確定できない。統語的判定の段階では、SVOO と SVOC の区別や、前置詞句と目的語の区別が問われる。これらの困難は、三段階を順序立てて実行することで系統的に解消される。形態的識別で述語動詞候補を絞り込み、意味的分類で文型の選択肢を制約し、統語的判定で最終確定するという手順は、困難の段階的解消を保証する分析手法である。
上記の定義から、入試レベルの英文を分析する具体的な手順が論理的に導出される。手順1(形態的識別)では文中のすべての動詞形を列挙し、述語動詞と準動詞を区別する。時制変化を持つ語を述語動詞候補とし、to + 原形・主語なしの -ing 形を準動詞として除外する。接続詞・関係詞の有無を確認し、複数の節が存在する場合は各節の述語動詞を別々に特定する。手順2(節の区切りと意味的分類)では接続詞・関係詞を手がかりに節を区切り、各節の述語動詞の意味的分類(動作・状態・連結)を判定する。be 動詞置換テストや進行形テストを必要に応じて適用する。手順3(統語的判定と文型確定)では主節の述語動詞を確定し、その直後の要素から文型を判定することで、文全体の骨格を確定する。
例1: The research team discovered that the substance, previously believed to be harmless, could cause serious health problems.
→ 形態的識別:discovered(過去形・述語動詞)、believed(過去分詞・準動詞:previously believed to be harmless は分詞句で substance を修飾)、could cause(助動詞 + 原形・that 節内の述語動詞)。to be は不定詞(準動詞)。意味的分類:discovered は動作動詞(「発見した」)、could cause は動作動詞(「引き起こしうる」)。統語的判定:主節は team (S) + discovered (V) + that 節 (O)【SVO】。that 節内は substance (S) + could cause (V) + problems (O)【SVO】。分詞句 “previously believed to be harmless” を括弧で囲んで除外すると、that 節の骨格が明確になる。
例2: Maintaining a balanced diet, which many people find difficult, remains essential for long-term health.
→ 形態的識別:Maintaining は文頭の -ing 形で主語として機能する動名詞(準動詞)。find は関係詞節内の述語動詞(現在形)。remains は主節の述語動詞(三人称単数現在の -s)。意味的分類:find は動作動詞、remains は連結動詞(be 動詞置換テスト:“… is essential” で文意が通る)。統語的判定:[Maintaining a balanced diet] (S) + remains (V) + essential ©【SVC】。関係詞節 “which many people find difficult” は挿入節であり、主節の骨格を把握する際には括弧で囲んで一旦除外する。find difficult は SVOC 構造(find + which(O)+ difficult(C))で、「多くの人がそれを困難だと感じる」の意味。
例3: The professor, known for her strict grading standards, expected every student to demonstrate a thorough understanding of the material.
→ 形態的識別:known は過去分詞で分詞句(準動詞)。professor を修飾する挿入的分詞句。expected は過去形の述語動詞。to demonstrate は不定詞(準動詞)。意味的分類:expected は動作動詞(認知的動作)。統語的判定:expected の直後に名詞句 every student + to demonstrate(不定詞句)が続く。student = to demonstrate の関係が成立する(「学生が理解を示すこと」を期待した)。SVOC 構造。professor (S) + expected (V) + student (O) + to demonstrate … ©【SVOC】。分詞句 “known for her strict grading standards” を括弧で囲むと主節の骨格が明確になる。
例4: Although the initial results seemed promising, the researchers who conducted the follow-up study found that the treatment had no significant effect on patient recovery.
→ 形態的識別:seemed(過去形・Although 節の述語動詞)、conducted(過去形・関係詞節の述語動詞)、found(過去形・主節の述語動詞)、had(過去形・that 節内の述語動詞)。四つの述語動詞が四つの節に一つずつ対応。意味的分類:seemed は連結動詞(“results were promising” に置換可能)、conducted は動作動詞、found は動作動詞、had は状態動詞(所有の have)。統語的判定:主節は researchers (S) + found (V) + that 節 (O)【SVO】。Although 節を括弧で囲み、関係詞節を括弧で囲むと、“the researchers found that the treatment had no significant effect on patient recovery” という主節と that 節の骨格が浮かび上がる。
以上により、形態的識別→意味的分類→統語的判定の三段階統合分析を入試レベルの英文に適用し、どれほど複雑な文構造であっても動詞を起点として文の骨格を正確に把握する実践的能力が確立される。
このモジュールのまとめ
このモジュールでは、動詞の形態的特徴による識別という統語層の学習から出発し、意味層における動作動詞・状態動詞・連結動詞の分類、語用層における自動詞・他動詞の区別と文型判定、談話層における三観点の統合的運用という四つの層を体系的に学習した。これらの層は相互に関連しており、形態的識別が意味的分類を可能にし、意味的分類が統語的判定を支え、統語的判定が文型確定を実現するという階層的な関係にある。
統語層では、時制変化(-ed, -s 等の語形変化)、助動詞との共起(will, can, have 等の直後)、do/does/did による操作という三つの形態的手がかりを用いて文中の動詞を特定する能力を確立した。be 動詞の七つの形態変化(am/is/are/was/were/been/being)と一般動詞との構造的差異を把握し、have の本動詞用法と助動詞用法の区別、同一語形における品詞の判定基準、述語動詞と準動詞の区別という五つの側面から、動詞の形態的識別を網羅的に習得した。
意味層では、動作動詞・状態動詞・連結動詞という三つの意味的類型の定義と識別基準を確立した。進行形テストと命令文テストにより動作動詞を識別し、状態動詞の五つのカテゴリ(知覚・認知・感情・所有・存在)を把握し、be 動詞置換テストにより連結動詞を判定する技術を習得した。同一の動詞が文脈によって動作的にも状態的にも連結動詞的にも機能しうることを理解し、文脈に基づく柔軟な判定能力を養成した。
語用層では、自動詞と他動詞の区別を「動詞の直後に名詞句が前置詞なしで続くか否か」という基準で判定する能力を確立した。同一動詞の自動詞用法と他動詞用法の区別、raise/rise や lay/lie のような紛らわしいペアの識別を習得し、動詞の統語的性質から SV/SVC/SVO/SVOO/SVOC の五文型を論理的に判定する手順を確立した。
談話層では、形態的識別→意味的分類→統語的判定の三段階を統合した体系的な分析手順を実践した。節の境界を特定して各節の述語動詞を区別し、準動詞と述語動詞を混同しない判定能力を確認し、入試レベルの複雑な英文に対して三段階統合分析を適用する訓練を行った。
これらの能力を統合することで、修飾語句が複雑に入り組んだ英文や、動詞の形をした語が複数出現する文であっても、動詞を起点として文の構造を正確に把握し、文型を判定し、文意を確実に理解することが可能になる。このモジュールで確立した動詞識別の原理と技術は、後続のモジュールで学ぶ時制、受動態、助動詞、準動詞、関係詞などの文法事項すべての基盤となる。
演習編
動詞の識別能力は、英語のあらゆる文法事項の出発点に位置する。動詞を形態的に特定し、意味的に分類し、統語的に判定する力が不十分なまま長文読解に取り組むと、文の主語と述語の対応を見失い、文型の誤判定が連鎖的に生じる。共通テストでは複雑な修飾構造を持つ英文が出題され、MARCH・関関同立レベルでは同一動詞の自他の区別や連結動詞の判定が正誤を分ける設問が頻出する。地方国立大学の英文和訳問題では、準動詞と述語動詞の区別が正確な訳出の前提となる。本演習は、講義編で確立した形態的識別・意味的分類・統語的判定の三つの能力を統合し、入試形式の問題で実践する。基礎レベル(第1問)では単一の判断基準の適用、標準レベル(第2問)では複数の基準の組み合わせ、発展レベル(第3問)では複雑な文における統合的分析を問う。
【出題分析】
出題形式と難易度
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 難易度 | ★★☆☆☆ 基礎 〜 ★★★☆☆ 発展 |
| 分量 | 標準 |
| 語彙レベル | 教科書章末〜共通テスト本試レベル |
| 構文複雑度 | 単文〜複文(関係詞節・副詞節を含む) |
頻出パターン
共通テスト → 長文中の文構造把握を前提とした内容理解問題。動詞の形態的特定と述語動詞の識別が情報整理の起点となる。特に複数の節を含む文での主節の特定が求められる。
MARCH・関関同立 → 文法・語法問題として動詞の自他の区別(discuss / explain 等の他動詞で前置詞を伴わない用法)、連結動詞と一般動詞の区別、raise/rise 等の紛らわしいペアが出題される。
地方国立大学 → 英文和訳問題において述語動詞と準動詞の区別が正確な訳出の前提となる。分詞構文や不定詞を含む文での構造分析が問われる。
差がつくポイント
動詞の自他判定において、discuss, enter, reach, mention 等の他動詞が前置詞を伴わない用法を正確に把握しているかどうかが差を生む。特に、discuss about や enter into のような誤用を選択肢に含む問題で正答率が分かれる。
連結動詞の判定において、look, seem, remain, prove 等が連結動詞として機能する場合と一般動詞として機能する場合を文脈から即座に判別できるかどうかが差を生む。特に、“She looked tired.” と “She looked at the painting.” の構造的差異の理解が重要である。
述語動詞と準動詞の区別において、一つの文中に動詞の形をした語が三つ以上出現する場合に、主節の述語動詞を正確に特定できるかどうかが差を生む。特に、分詞句や不定詞句を含む長い文での骨格抽出能力が合否を分ける。
演習問題
試験時間: 25分 / 満点: 100点
第1問(30点)
次の各文について、下線部の語(句)の品詞的機能または動詞の種類として最も適切なものを、それぞれ①〜④から一つ選べ。
(1)The rapid 【increase】 in population has caused various problems.
① 他動詞 ② 自動詞 ③ 名詞 ④ 形容詞
(2)She 【remained】 calm throughout the emergency.
① 動作動詞(他動詞) ② 状態動詞(自動詞) ③ 連結動詞 ④ 助動詞
(3)The children 【have】 a lot of homework tonight.
① 完了形の助動詞 ② 使役動詞 ③ 本動詞(所有) ④ 連結動詞
(4)【Running】 every morning is good for your health.
① 述語動詞(現在進行形の一部) ② 動名詞(主語として機能) ③ 現在分詞(形容詞的機能) ④ 命令文の動詞
(5)The temperature 【dropped】 significantly after sunset.
① 他動詞 ② 連結動詞 ③ 助動詞 ④ 自動詞
第2問(35点)
次の各文について、以下の問いに答えよ。
(1)次の文の述語動詞をすべて指摘し、それぞれが主節・従属節のいずれに属するかを答えよ。
When the committee finally announced the results, the students who had been waiting anxiously celebrated their achievement.
(2)次の二つの文における look の動詞としての種類(連結動詞/動作動詞)を判定し、文型を答えよ。また、判定の根拠を簡潔に述べよ。
(a) The situation looks serious.
(b) She looked through the documents carefully.
(3)次の文における have の機能(本動詞/助動詞)を判定し、その根拠を述べよ。
(a) They have completed the first phase of the project.
(b) They have sufficient resources for the project.
(4)次の各組の文における下線部の動詞について、自動詞・他動詞の区別を答え、文型を判定せよ。
(a) The sun 【rises】 early in summer.
(b) The manager 【raised】 several important issues during the meeting.
(5)次の文を「形態的識別→意味的分類→統語的判定」の三段階で分析し、主節の文型を答えよ。
Although the evidence seemed convincing, the researchers found that the initial hypothesis had serious limitations.
第3問(35点)
次の英文を読み、以下の問いに答えよ。
The discovery that regular physical exercise, long considered beneficial only for cardiovascular health, could significantly improve cognitive function in elderly patients has transformed our understanding of the relationship between physical activity and brain health. Researchers who conducted a comprehensive study involving over 5,000 participants found that even moderate exercise, performed consistently for six months, produced measurable improvements in memory and attention. These findings suggest that medical professionals should recommend physical activity not merely as a means of maintaining physical fitness but as an essential component of cognitive health management.
(1)第一文において、主節の主語と述語動詞を特定し、文型を判定せよ。
(2)第一文中の considered と improve について、それぞれ述語動詞か準動詞かを判定し、根拠を述べよ。
(3)第二文において、述語動詞をすべて指摘し、それぞれがどの節に属するかを示せ。
(4)第二文の found の動詞としての種類(動作動詞/状態動詞/連結動詞)を判定し、自動詞・他動詞の区別を答え、文型を判定せよ。
(5)第三文の suggest について、自動詞・他動詞の区別を答え、文全体の主節の骨格(S + V + …)を示せ。
解答・解説
難易度構成
| 難易度 | 配点 | 大問 |
|---|---|---|
| 基礎 | 30点 | 第1問 |
| 標準 | 35点 | 第2問 |
| 発展 | 35点 | 第3問 |
結果の活用
| 得点 | 判定 | 推奨アクション |
|---|---|---|
| 80点以上 | A | 基礎体系へ進む |
| 60-79 | B | 語用層・談話層の講義を復習後に再挑戦 |
| 40-59 | C | 意味層から講義を復習し、各記事の例題を再確認 |
| 40点未満 | D | 該当講義を復習後に再挑戦 |
第1問 解答・解説
【戦略的情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題意図 | 動詞の種類・品詞的機能に関する基本的な識別能力 |
| 難易度 | 基礎 |
| 目標解答時間 | 8分 |
【思考プロセス】
状況設定:第1問は各小問が独立した単文の判定問題。一問あたり約90秒で処理する。
レベル1:初動判断 → 下線部の語の位置と周囲の語との関係を確認する。冠詞・前置詞の有無、時制変化の有無、直後の要素の品詞を即座に判定する。
レベル2:検証観点 → 講義編で学んだ各種テスト(be 動詞置換テスト、進行形テスト、「何を?」テスト等)を適用し、判定を検証する。
【解答】
| 小問 | 解答 |
|---|---|
| (1) | ③ 名詞 |
| (2) | ③ 連結動詞 |
| (3) | ③ 本動詞(所有) |
| (4) | ② 動名詞(主語として機能) |
| (5) | ④ 自動詞 |
【解答のポイント】
(1) 正解の論拠:The rapid の後に increase が位置し、冠詞 The と形容詞 rapid の直後にある。冠詞の直後に位置する語は名詞として機能する。“The rapid increase” は名詞句であり、文の主語を構成する。
誤答の論拠:increase を動詞と判断する誤りが多い。しかし、冠詞 The の直後に位置しており、動詞は冠詞の直後には置かれない。
(2) 正解の論拠:be 動詞置換テストで “She was calm” が成立する。remained の直後に形容詞 calm が続き、主語 She の状態を描写している。連結動詞と判定。
誤答の論拠:remained を「残った」(自動詞)と判断する誤り。calm が後続する場合、remained は「〜のままであった」の意味で連結動詞として機能する。
(3) 正解の論拠:have の直後に名詞句 a lot of homework が前置詞なしで続いている。「何を持っている?」→「宿題を」と自然に答えられる。have は「持っている」を意味する本動詞。
誤答の論拠:have を完了形の助動詞と判断する誤り。助動詞の場合は直後に過去分詞が来るが、a lot of homework は名詞句であり過去分詞ではない。
(4) 正解の論拠:Running は文頭に位置し、文の主語として機能している。動詞の -ing 形が文の主語となる場合は動名詞である。Running が主語、is が述語動詞。
誤答の論拠:Running を進行形の一部と判断する誤り。進行形であれば be 動詞(is running)の後に位置するが、ここでは Running 自体が文頭で主語を形成している。
(5) 正解の論拠:dropped の直後に副詞 significantly が続き、名詞句(目的語)がない。「何を落とした?」は不自然。temperature は変化の経験者であり、dropped は「下がった」の意味で自動詞として機能。
誤答の論拠:dropped を他動詞と判断する誤り。他動詞の drop(「落とす」)であれば “She dropped the glass.” のように直後に目的語が必要。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件:単文において動詞の種類・品詞的機能を判定する問題全般。冠詞の有無による名詞判定、be 動詞置換テストによる連結動詞判定、直後の要素確認による自他判定の手順は、同類の問題すべてに適用可能。
【参照】
[基盤 M04-統語] └ 動詞の形態的特徴と品詞判定基準
[基盤 M04-意味] └ 動作動詞・状態動詞・連結動詞の識別基準
第2問 解答・解説
【戦略的情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題意図 | 複数の判断基準を組み合わせた動詞分析能力 |
| 難易度 | 標準 |
| 目標解答時間 | 10分 |
【思考プロセス】
状況設定:第2問は記述式を含む分析問題。各小問で複数の判断基準を組み合わせる。
レベル1:初動判断 → 各小問の問いが求める分析内容(述語動詞の特定、動詞の種類判定、自他の区別、文型判定、三段階分析)を把握する。
レベル2:検証観点 → 判定結果の整合性を確認する。文型判定は動詞の種類判定と矛盾しないか、述語動詞の特定は節の数と一致するかを検証する。
【解答】
| 小問 | 解答 |
|---|---|
| (1) | 述語動詞は announced(従属節・when 節)、had been waiting(従属節・関係詞節)、celebrated(主節)の三つ |
| (2) | (a) look は連結動詞・SVC。(b) look は動作動詞・SV |
| (3) | (a) have は助動詞。(b) have は本動詞 |
| (4) | (a) rises は自動詞・SV。(b) raised は他動詞・SVO |
| (5) | 主節の文型は SVO(researchers found that 節) |
【解答のポイント】
(1) 正解の論拠:When が副詞節の開始標識。announced は When 節内の述語動詞(過去形)。who が関係詞節の開始標識。had been waiting は関係詞節内の述語動詞(過去完了進行形)。celebrated は接続詞・関係詞に導かれていない主節の述語動詞(過去形)。
誤答の論拠:had been waiting を三つの別々の動詞と数える誤り。had been waiting は一つの動詞句(過去完了進行形)である。
(2) 正解の論拠:(a) looks の直後に形容詞 serious が続く。“The situation is serious.” に置換可能。連結動詞、SVC。(b) looked の直後に前置詞 through が続く。“She was through the documents.” では不成立。動作動詞(「目を通した」)、SV + 前置詞句。
誤答の論拠:(b) の look を連結動詞と判断する誤り。前置詞 through が介在しており、look through で「目を通す」という句動詞(自動詞的用法)。
(3) 正解の論拠:(a) have の直後に過去分詞 completed が続く。完了形の助動詞。(b) have の直後に名詞句 sufficient resources が続く(過去分詞ではない)。「何を持っている?」→「十分な資源を」。本動詞(所有)。
誤答の論拠:(b) の have を助動詞と判断する誤り。sufficient resources は名詞句であり過去分詞ではない。
(4) 正解の論拠:(a) rises の直後に名詞句がなく副詞 early が続く。rise は自動詞(「昇る」)。SV。(b) raised の直後に名詞句 several important issues が前置詞なしで続く。raise は他動詞(「提起した」)。SVO。
誤答の論拠:rise と raise を混同する誤り。rise-rose-risen(自動詞)、raise-raised-raised(他動詞)。
(5) 正解の論拠:Although が従属節の開始標識。従属節の述語動詞は seemed(連結動詞・SVC)。主節の述語動詞は found(動作動詞)。found の直後に that 節が目的語として続く。主節は researchers (S) + found (V) + that 節 (O)【SVO】。that 節内の述語動詞は had(状態動詞)。
誤答の論拠:seemed を主節の述語動詞と判断する誤り。Although に導かれているため従属節に属する。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件:複数の節を含む複文での述語動詞特定、同一動詞の用法判定、紛らわしい動詞ペアの識別を問う問題全般。節の境界特定→各節の述語動詞特定→主節の文型判定の手順は、標準的な文法・語法問題および英文和訳問題に広く適用可能。
【参照】
[基盤 M04-語用] └ 自動詞・他動詞の識別基準と文型判定
[基盤 M04-談話] └ 三観点統合による動詞分析の手順
第3問 解答・解説
【戦略的情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題意図 | 複雑な長文における動詞識別と文構造分析の統合的運用能力 |
| 難易度 | 発展 |
| 目標解答時間 | 7分 |
【思考プロセス】
状況設定:第3問は長めの英文に対する構造分析問題。文中に動詞の形をした語が多数出現し、述語動詞と準動詞の正確な区別が求められる。
レベル1:初動判断 → 各文の長さと構造の複雑さを把握する。第一文は特に長く、主語の特定が困難な構造。接続詞・関係詞の位置を先に確認する。
レベル2:情報の取捨選択 → 挿入句(long considered …)や分詞句を括弧で囲んで一旦除外し、骨格を抽出する。
レベル3:解答構築 → 三段階統合分析(形態→意味→統語)を順序立てて適用し、各問いに対する解答を構築する。
判断手順ログ:第一文の構造把握 → 挿入句 “long considered beneficial only for cardiovascular health” を括弧で囲む → that 節を特定 → 主語は “The discovery that … has transformed” の The discovery → 述語動詞は has transformed → 文型は SVO。
【解答】
| 小問 | 解答 |
|---|---|
| (1) | 主語: The discovery(that 節全体が discovery を修飾する同格節)。述語動詞: has transformed。文型: SVO |
| (2) | considered は準動詞(過去分詞・分詞句)。improve は準動詞(不定詞・that 節内で could の後) |
| (3) | conducted(関係詞節)、found(主節)、performed(過去分詞・挿入的修飾)、produced(that 節内) |
| (4) | found は動作動詞・他動詞。SVO(found + that 節) |
| (5) | suggest は他動詞。These findings (S) + suggest (V) + that 節 (O) |
【解答のポイント】
(1) 正解の論拠:第一文は “The discovery that … could … has transformed our understanding of …” という構造。that 以下は discovery の内容を説明する同格節であり、主節の主語は The discovery、主節の述語動詞は has transformed(現在完了形)。has transformed の直後に名詞句 our understanding が続くため SVO。
誤答の論拠:that 節内の could improve を主節の述語動詞と誤認するパターンが多い。that が同格節を導いていることを認識し、主節の主語 The discovery に対応する述語動詞(has transformed)を正しく特定する必要がある。
(2) 正解の論拠:considered は “long considered beneficial …” という分詞句の中にある。主語を持たず、exercise を修飾する過去分詞であり、準動詞。improve は “could significantly improve” の一部であり、助動詞 could の直後に位置する原形。that 節内の述語動詞句の一部であるが、could との組み合わせで that 節(同格節)内の述語動詞として機能する。ただし主節の述語動詞ではない。
誤答の論拠:considered を述語動詞と判断する誤り。considered の前に be 動詞がなく、主語もないため、述語動詞ではなく分詞句として機能している。
(3) 正解の論拠:第二文 “Researchers who conducted … found that … produced …” の構造。conducted は who が導く関係詞節内の述語動詞(過去形)。found は主節の述語動詞(過去形)。performed は “performed consistently for six months” で、exercise を修飾する過去分詞(準動詞)。produced は that 節内の述語動詞(過去形)。
誤答の論拠:performed を独立した述語動詞と判断する誤り。performed は主語を持たず、even moderate exercise を修飾する過去分詞句(「6ヶ月間一貫して行われた」)として機能しており、述語動詞ではない。
(4) 正解の論拠:found は「発見した・わかった」という認知的動作を表す動作動詞。found の直後に that 節が目的語として続く。「何を発見した?」→「that 以下のことを」と自然に答えられる。他動詞、SVO。
誤答の論拠:found を連結動詞と判断する誤り。found の直後に形容詞ではなく that 節が続いており、be 動詞置換テストは不成立。
(5) 正解の論拠:suggest の直後に that 節が目的語として前置詞なしで続く。「何を示唆している?」→「that 以下のことを」。他動詞。主節の骨格は These findings (S) + suggest (V) + that 節 (O)。
誤答の論拠:suggest を自動詞と判断する誤り。suggest は that 節を直接目的語にとる他動詞。
【再現性チェック】
この解法が有効な条件:学術的内容の長文において、同格節・関係詞節・分詞句が複雑に入り組んだ文の構造分析を問う問題全般。挿入句を括弧で囲んで骨格を抽出する手法、接続詞・関係詞を手がかりに節を区切る手法、三段階統合分析は、共通テストの長文読解問題から国公立二次試験の英文和訳問題まで広く適用可能。
【参照】
[基盤 M04-談話] └ 三観点統合による動詞分析の手順
[基盤 M11-統語] └ 節の定義と種類(同格節・関係詞節の識別)
【関連項目】
[基盤 M13-統語]
└ 5文型の体系的識別を学習し、本演習の文型判定能力を発展させる
[基盤 M20-統語]
└ 不定詞の形態と識別を学習し、準動詞を含む文の分析力を拡張する
[基礎 M01-統語]
└ 動詞識別の統合能力を複合的修飾構造の分析に応用する