早稲田大学 法学部 2023年度 英語

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基礎体系
  • すべての英語は、構造的に設計されている。単語の成り立ちから、文章全体の論理まで。
  • ミクロとマクロの視点を往還し、筆者の主張の核心を捉える。
  • 感覚や「なんとなく」の読解を排す。すべての解釈は、本文中の言語的な根拠だけが導く。

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【早稲田大学】【法学部】【英語】 【2023年度】 徹底分析・解説(パート1)

目次

1. 試験の全体像

試験概要

  • 試験時間: 90分
  • 大問構成: 大問8題
  • 総設問数: 42問 (記述式2問を含む)
  • 解答形式: マークシート方式・記述式併用
  • 出題分野: 大問1-3(長文読解)、大問4-5(短文・会話文空所補充)、大問6(文法・語法)、大問7-8(英作文)

全体難易度

★★★★☆ やや難(当該大学基準)

試験時間90分に対し、大問8題(うち長文3題、英作文2題)という構成は、早稲田大学法学部(以下、早稲田法)の伝統的な形式であり、受験生に極めて高い情報処理速度と時間管理能力を要求する。

2023年度は、長文読解のテーマが「エジソンの技術仲介(大問1)」「AIと人間の相互作用(大問2)」「政治的分断(大問3)」と、学術的・社会的な抽象度の高いものが並んだ。特に大問2と3は、表面的な読解では対応しづらい、思考力を要する内容であった。

文法・語法問題(大問4-6)は標準的であり、ここで時間を短縮し、確実に得点することが不可欠である。英作文(大問7-8)は、Eメール作成と画像描写という形式が定着しており、要求される語数自体は多くないものの、的確な情報伝達能力と描写力が問われる。

総じて、昨年度と比較しても難易度に大きな変動はないが、長文のテーマがより現代的・抽象的になった分、受験生の知的好奇心や背景知識の有無によって体感難易度が変わる「やや難」レベルの試験と言える。

当該大学の出題特性

  • 【難易度帯】: ★★★★★(最難関レベル)
  • 【出題形式】: 記述・マーク併用
  • 【思考力重視度】: 高い(単なる知識の暗記ではなく、文脈における論理的思考力と、それを英語で表現するアウトプット能力を重視する)
  • 【時間的余裕】: 厳しい(90分で全8問を解き切るには、1問あたりの判断速度を極限まで高める必要がある)
  • 【戦略的含意】: この大学は、最難関大の中でも特に「速く、正確に、論理的に」英文情報を処理する能力を重視する。合格には、高度な読解力と、時間を意識した得点最大化戦略が不可欠である。

特徴と傾向

  1. 長文読解の圧倒的ウェイトと抽象的テーマ試験時間の大部分を占める長文読解(大問1-3)は、早稲田法の中核である。AI、政治、イノベーションなど、大学での学術的な議論の前提となるような、硬質で抽象度の高いテーマが好まれる。
  2. スピードと正確性の両立を求める時間設定90分という時間制約は極めて厳しい。各大問に割ける時間は平均11分程度であり、長文読解や英作文に時間を配分すると、文法問題などは1問数秒のペースで処理する必要がある。「時間泥棒」となる難問を見極め、捨てる勇気も求められる。
  3. アウトプット(英作文)能力の重視Eメール作成(大問7)と画像描写(大問8)という2題の英作文は、単なる文法力ではなく、「与えられたタスク(情報伝達、状況描写)を、簡潔かつ的確な英語で遂行する能力」を試す、非常に実践的な出題である。

戦略的アドバイス

  • 時間配分: 以下の「戦略的時間配分」を参照。長文3題に約60-65分、英作文2題に約10-12分、残りの文法・短文問題(大問4-6)を約10-15分で処理するのが一つの目安となる。
  • 解答順序: 得点源となる文法・短文問題(大問4-6)を先に処理し(10-15分)、精神的余裕を確保した上で、配点の高い長文(大問1-3)と英作文(大問7-8)に取り組むのが効果的である。ただし、長文読解に自信があり、リズムに乗りたい受験生は、前から順に解き進めても良い。
  • 基礎の徹底: 時間的制約が厳しいからこそ、文法・語彙・構文といった基礎知識の「自動化」(即座に引き出せる状態)が必須である。
  • 指導方針: 本解説は、単なるパターン暗記ではなく、「本質を重視する」ことを主眼に置く。得点に直結する本質的な理解(例:論理関係の把握、情報構造の分析)こそが、最難関大の応用問題に対応する最短経路である。本解説では、この「本質重視型アプローチ(根底の仕組みの理解によって得点力を最大化する実践的アプローチ)」を採用する。

戦略的時間配分

【大問別推奨時間配分】

| 大問 | 難易度 | 頻出度 | 推奨時間 | 最低確保目標 | 備考 |

| :— | :— | :— | :— | :— | :— |

| 大問1 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | 20分 | (1)(2)(4) 7割 | 長文読解(標準) |

| 大問2 | ★★★★☆ | ★★★★★ | 22分 | (2)-(5) 6割 | 長文読解(やや難・抽象的) |

| 大問3 | ★★★★☆ | ★★★★★ | 20分 | 6割 | 長文読解(やや難・抽象的) |

| 大問4 | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | 5分 | 完答 | 会話文(基本) |

| 大問5 | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | 5分 | 完答 | 短文(基本) |

| 大問6 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | 6分 | 7割 | 文法・語法(標準) |

| 大問7 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | 6分 | 8割 | 英作文(Eメール) |

| 大問8 | ★★★★☆ | ★★★★★ | 6分 | 7割 | 英作文(画像描写) |

| 合計 | — | — | 90分 | 目標得点率:70% | 見直し時間:0分 (前提) |

【時間戦略の3原則】

  1. 見直し時間の死守(実質0分): 90分で完答を目指す試験であり、見直し時間は実質的にない。いかに「一発で」正解を出すかが勝負であり、そのためには基礎知識の自動化が不可欠である。
  2. 70分経過時の判断: 試験開始70分経過時点で、英作文(大問7, 8)に未着手の場合、たとえ長文が途中でも英作文の解答欄を埋める作業に移行すべきである。
  3. 時間泥棒の見極め: 30秒考えても方針が立たない文法問題、1分読んでも状況が掴めない読解問題は、即座にマークして飛ばす。

【頻出パターン優先戦略】

  • 最優先(★★★★★): 大問1, 2, 3(長文読解)、大問7, 8(英作文)。これらは早稲田法の核であり、対策の成果が最も出やすい。
  • 次優先(★★★★☆): 大問4, 5(短文・会話文)。形式が固定化しており、パターン学習で完答が狙える。
  • 低優先(★★★☆☆): 大問6(文法)。ややマニアックな知識が問われる可能性があり、深追いは禁物。

2. 大問別分析・解説

大問Ⅰ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、エジソンの研究所を「技術仲介(Technology Brokering)」という観点から分析した学術的文章である。早稲田大学法学部が求める「既存の事象(エジソンの天才性)を新たな視点(仲介者としての機能)から批判的に再検討し、その本質を読み解く」という、高度な分析的読解能力を試すために設計されている。単なる事実確認(問1, 4)だけでなく、文脈に応じた語彙力(問2)、そして文章の論理的結束性(Cohesion)の理解(問3)まで、多角的に受験生の読解力を問う良問である。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(学術的論説文は早稲田法の最頻出形式)
  • 目標得点率: 上位30%は80%以上、中位層は60%確保
  • 推奨解答順序: 問1(第1段落)→ 問2(語彙)→ 問3(文挿入)→ 問4(全体)。本文を読み進めながら、関連する設問を順に解くのが効率的である。
  • 時間配分: 全体で20分。内訳:読解12分、設問解答8分。
  • 即戦パターン: 問3の文挿入問題は、指示語に着目する典型的な「論理マーカー」問題である。

問(1)

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 本文第1段落のEdisonのMenlo Park labに関する具体的な事実確認。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★☆☆☆☆ 全層で基本
  • 合格者正答率(推定): 95%以上(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(内容一致の基本設問として極めて頻出)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 確実に得点すべき基本問題である。
    • 時間対効果分析: 時間対効果は極めて高い。ここで失点すると大きなビハインドとなる。
  • 即効性評価: ★★★★★(本文と照合すれば即座に正答可能)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(段階的消去法)】
    • 即戦手順: 【第1段階】主語の不一致で消去。【第2段階】述語・時制の不一致で消去。【第3段階】修飾要素(特に程度・範囲・場所)の過不足で消去。
    • 時間制約: この判定は1選択肢あたり15秒、全体で1分以内。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 設問(1)は第1段落に関する内容真偽問題であると特定する。
  4. 各選択肢 (A-E) の主張の骨格(主語、述語、修飾要素)を把握する。
  5. 各選択肢を本文第1段落の記述と照合する必要がある。
  6. 以下の3観点で本文と選択肢を照合する必要がある:
    • 主語の一致: 本文の主題(例:Edison, “muckers”)と選択肢の主語が同一か
    • 述語の一致: 動作・状態の種類、肯定/否定が一致するか
    • 修飾要素の一致: 場所(Menlo Park)、時間(1876)、様子(work for days straight)などが一致するか
    • (『基礎英語』Module 16)
  7. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 内容一致問題の鉄則。この3観点での照合が最速かつ最も確実である。
  8. 3つの観点すべてで本文の記述と整合するかを検証する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(1) A

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「段階的消去法」を適用する。
    • B: “exclusively” (もっぱら) が、本文 “inside… and elsewhere” (内部でもあり、それ以外でも) と矛盾。
    • C: “different” が、本文 “engineers, or ‘muckers’ as they called themselves” (エンジニア、別名マッカーズ) と矛盾。
    • D: “center” が、本文 “along the walls” (壁沿い) と矛盾。
    • E: “performances” (演奏会) の記述が本文にない (enjoyed … organ とあるだけ)。
    • A: “worked intensely” (“work for days straight”) と “enjoyed” (“breaks of pie… songs”) が本文と合致する。
    • 合計時間:1分
  • 【本質的原理】
    • 内容一致問題の本質は、「本文の記述」と「選択肢の主張」の論理的な同値性、あるいは矛盾を判定する作業である。特に “exclusively” のような「範囲を限定する副詞」は、多くの場合、誤答の根拠(トラップ)として機能する。
  • 【頻出度の確認】
    • この形式の基本的な事実確認は、早稲田法において毎年出題される。
  • 【正解の論拠】
    • A: 第1段落の “work for days straight” (何日もぶっ通しで働く) が “worked intensely” (集中的に働いた) と、”punctuate their work with late-night breaks of pie… songs around the giant organ” が “also enjoyed musical entertainment” と合致する。
  • 【誤答の論拠】
    • B: “exclusively” (もっぱら) が、”a wide range of organizations on an equally wide range of projects, both inside the telegraph industry and elsewhere” (電信産業の内部および他の場所で) という記述と明確に矛盾する。
    • C: “different” (異なる) が、 “engineers, or ‘muckers’ as they called themselves” (エンジニア、あるいは彼らが自称するところの「マッカーズ」) という同格の記述と矛盾する。
    • D: “center” (中央) が、”shelves of materials… along the walls” (壁沿い) という記述と矛盾する。
    • E: “enjoy regular performances” (定期的な演奏会を楽しんだ) という記述は本文にない。

問(2)

解説

(A)

  • 出題意図の分析: 文脈(”outpouring of invention”)から、”outpouring” の意味を推測する。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 80-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(文脈語彙推測は最頻出)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 確実に得点すべき語彙問題。
  • 即効性評価: ★★★★★(パターン習得で即戦力)

(B)

  • 出題意図の分析: 文脈(”leverage knowledge”)から、”leverage” の意味を推測する。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★☆☆☆☆ 基本
  • 合格者正答率(推定): 95%以上(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(”leverage” はビジネス・学術文脈での頻出単語)
  • 目標解答時間: 20秒
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: “leverage” = 「~をテコとして利用する」は基本語彙。
  • 即効性評価: ★★★★★

(C)

  • 出題意図の分析: 文脈(”tap into their expertise”)から、”tap into” の意味を推測する。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 80-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★☆(頻出のイディオム)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: “tap into” = 「(資源・知識など)を利用する」は頻出。
  • 即効性評価: ★★★★☆
思考プロセス
  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: 下線部の「目的語」または「主語」に着目し、最も自然な組み合わせ(共起関係)を判定する。文脈が「ポジティブ」か「ネガティブ」かで選択肢を絞り込む。
    • 時間制約: このパターン判定は30秒以内に完了すべき。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 設問(2)は、文脈から下線部 (A), (B), (C) の意味を推測する語彙問題であると特定する。
  4. (A) “outpouring”: “concentrated outpouring of invention” という形を確認する。文脈(Edisonの功績)からポジティブな意味であり、「発明」との共起関係を分析する。
  5. (B) “leverage”: “leverage knowledge” (知識を…) という形を確認する。「知識」をどうするのか、という動詞の機能を分析する。
  6. (C) “tap into”: “tap into their expertise” (彼らの専門知識を…) という形を確認する。「専門知識」をどうするのか、というイディオムの機能を分析する。
  7. 各下線部について、以下の手順で意味の方向性を推測する:
    • 目的語・修飾語との共起関係を分析する
    • 文脈全体から意味の方向性(ポジティブ/ネガティブ/中立)を推定する
    • (『基礎英語』Module 7)
  8. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 語彙問題の8割はこの「共起関係」と「文脈の方向性」で解ける。
  9. 各選択肢の意味と、ステップ4-6で推測した方向性・共起関係を照合する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(2) (A) C (B) B (C) A

解答のポイント

(A)

  • 【解法パターンの実演】:「共起関係」と「文脈の方向性」に着目。”outpouring” (流出) が “of invention” (発明) と結びつき、”concentrated” (集中した) と修飾されている。文脈はエジソンの功績を讃えており、ポジティブ。
  • 【本質的原理】:文脈推定は、未知の単語を既知の周辺語(特に修飾語・目的語)との関係性(コロケーション)から絞り込む作業である。(『基礎英語』Module 7)
  • 【正解の論拠】:C: “production” (生産)。「発明の集中的な生産(=大量輩出)」は文脈に完璧に合致する。
  • 【誤答の論拠】:A(restraint 抑制), B(export 輸出), D(advertising 広告), E(analysis 分析) は、「発明」との共起関係、またはポジティブな文脈と合致しない。

(B)

  • 【解法パターンの実演】:「共起関係」に着目。”leverage knowledge” (知識を…)。 “leverage” は「テコ」が原義。
  • 【正解の論拠】:B: “use” (利用する)。「知識を(テコとして)利用する」は文脈に合致する。”leverage” はビジネス・学術文脈で “utilize” (利用する) の意味で頻出する基本語彙である。
  • 【誤答の論拠】:A(disregard 無視する), C(add 加える), D(test 試験する), E(compare 比較する) は文脈と合致しない。

(C)

  • 【解法パターンの実演】:「共起関係」に着目。”tap into their expertise” (専門知識を…)。 “tap into” は「(蛇口をひねって)中身を取り出す」が原義。
  • 【正解の論拠】:A: “access” (アクセスする、利用する)。「彼らの専門知識にアクセスする(=を利用する)」は文脈に合致する。
  • 【誤答の論拠】:B(increase 増加させる), C(evaluate 評価する), D(challenge 異議を唱える), E(imitate 模倣する) は文脈と合致しない。

問(3)

解説

(3)

  • 出題意図の分析: 文の論理的なつながりを理解しているか、特に指示語 (“This approach”) が指す内容を正確に特定できるかを問う。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★☆☆ 中位層では差がつくポイント
  • 合格者正答率(推定): 70-80%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★☆(文挿入問題は長文で頻出)
  • 目標解答時間: 1分30秒
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: 本問が正答できるかは、単なる読解力ではなく、論理的結束性(Cohesion)の理解を試す。
    • 時間対効果分析: この形式の問題は、論理マーカー(指示語・接続詞)を見つければ短時間で解けるため、時間対効果が高い。
  • 即効性評価: ★★★★☆(「指示語」パターンの習得で即戦力となる)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(45秒ルール)】
    • 即戦手順: 挿入文に「this, that, these, such」がある場合、直前に指示対象があるか確認する。挿入文に「however, therefore」がある場合、前後の論理関係を確認する。
    • 時間制約: このパターン判定は10秒以内に完了すべき。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 挿入すべき文 (“This approach allowed Edison…”) に含まれる指示語 (“This approach“) を特定する。
  4. この指示語 (“This approach”) が指す具体的な「アプローチ」の内容を、挿入文の前で探す必要があると判断する。
  5. 挿入すべき文の情報構造(既知情報=”This approach”, 新情報=”allowed Edison to…”) を分析する。
  6. 各空所 [B], [C], [D], [E] の直前の文が、指示語 “This approach” の指示対象として適切か、または挿入文の「既知情報」と一致するかを、以下の原則で確認する必要がある:
    • 指示語が指す「アプローチ」が直前の文に具体的に記述されているか
    • (『基礎英語』Module 16)
  7. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 文挿入問題の90%はこの「指示語」パターンである。指示語は、筆者が読者に向けて設置した最強の論理的道標である。
  8. 各空所の直後の文が、挿入文の内容(特に「新情報」)と論理的に繋がるかを確認する必要がある。
  9. 指示語の照応、情報構造、論理的結束の全てを満たす空所を特定する。
解答例

【解答一覧】

(3) B

解答のポイント

(3)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「指示語」パターンを適用する。挿入文は “This approach” (このアプローチ) で始まっている。(5秒)
    • この “approach” (アプローチ、やり方) を指す具体的な内容が、空所の直前にあるはずだと予測する。(5秒)
    • 空所 [B] の直前の文 (“Rather than trying to invent… they focused on connecting…”) を確認する。「発明しようとするのではなく、すでにあるものをつなげることに集中した」とあり、これが具体的な「アプローチ」を説明していると判断できる。(20秒)
    • 空所 [B] に挿入すると、直後の文 (“Technology brokering…”) とも、「このアプローチ」=「技術仲介」として論理的に繋がる。(15秒)
    • 合計時間:45秒
  • 【本質的原理】
    • 指示語 (“This”) は、直前の文脈に存在する「既知情報」を指し示す論理的標識(マーカー)である。筆者は、[B]の直前で述べた「アプローチ」を、[B]の後の挿入文で “This approach” として受け、その結果(Edisonが何できたか)を述べている。この「既知情報 → 新情報」の流れこそが、英文の論理構造の根幹である。(『基礎英語』Module 16)
  • 【頻出度の確認】
    • 指示語に着目する文挿入問題は、早慶レベルでは超頻出である。
  • 【正解の論拠】
    • B: 空所[B]の直前は “Rather than trying to invent everything from scratch, they focused on connecting existing ideas…” (ゼロから全てを発明しようとするのではなく、既存のアイデアを結びつけることに集中した) と記述されている。これが挿入文 “This approach” (このアプローチ) の具体的な指示対象として完璧に機能する。
  • 【誤答の論拠】
    • [C], [D], [E] の直前の文は、[B]の直前の文 (“Rather than…”) を具体化・詳述したものであり、”This approach” の指示対象としては不適切である。論理の起点となっているのは[B]の直前の文である。
  • 【典型的な失敗プロセスと回避策】
    • 失敗パターン1: 指示語 “This” の無視。
    • 発生率: 受験生の約50%(推定)が陥る。
    • 原因: 挿入文の “This approach” という最強の論理的ヒントを見落とし、前後の意味的な「流れ」だけで曖昧に判断しようとするため。
    • 認知的原因: 時間的プレッシャー下で、”this” のような短い機能語(文法的な役割を果たす語)を読み飛ばしてしまう。
    • 回避策: 文挿入問題に遭遇したら、まず挿入文の「指示語(this, such等)」と「接続詞(however, therefore等)」を指で押さえるか、丸で囲む癖をつける。これが『基礎英語』Module 16で示された「主題の追跡」の基本である。

問(4)

解説

(4)

  • 出題意図の分析: 本文全体の内容に関する、5つの命題の真偽判定 (True / False / Not Given)。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 80%以上(推定、完答は70%)
  • 頻出度評価: ★★★★★(内容一致問題は必出)
  • 目標解答時間: 4分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 5問中4問の正解は確保したい。
    • 差別化ポイント: F (False) と NG (Not Given) の区別が鍵。本文と「矛盾」するのがF、「言及がない」のがNGである。
  • 即効性評価: ★★★☆☆(読解力そのものが問われるため、パターン習得だけでは限界がある)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(段階的消去法・T/F/NG判定)】
    • 即戦手順: 【第1段階】選択肢のキーワードを基に、本文の関連箇所を検索する。【第2段階】関連箇所と選択肢の主張を比較し、「合致 (True)」、「矛盾 (False)」、「言及なし (Not Given)」を判定する。
    • 時間制約: 1選択肢あたり45秒。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 設問(4)は本文全体の内容に関する、5つの命題 (1-5) の真偽判定問題であると特定する。
  4. 各選択肢 (1-5) の主張の骨格(主語、述語、修飾要素)を把握する。
  5. 各選択肢のキーワード(例:1. “technology brokers”, 2. “Edison”, 3. “failure”, 4. “valuable”, 5. “modern organizations”)を基に、本文の関連箇所を検索する。
  6. 以下の3観点で本文と選択肢を照合する必要がある:
    • True (T): 本文の記述と選択肢の主張が論理的に合致する
    • False (F): 本文の記述と選択肢の主張が論理的に矛盾する
    • Not Given (NG): 選択肢の主張を判定するための情報が、本文中に言及されていない
    • (『基礎英語』Module 16)
  7. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ T/F/NG問題の鉄則。特にFとNGの区別は、論理的思考力を試す上で極めて重要である。
  8. 3つの観点(T/F/NG)に基づき、各選択肢を分類する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(4) 1. B 2. D 3. B 4. B 5. E

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】:「T/F/NG判定」を適用。
  • 【本質的原理】:F (False) と NG (Not Given) の厳密な区別。
  • 【正解の論拠】:B (T): “Technology brokers… generate new ideas…” (第3段落) と合致。(2)
  • 【正解の論拠】:D (F): “Edison refused to incorporate…” (エジソンは組み込むことを拒否した) が、本文 (彼は “connecting existing ideas” “leveraging knowledge” した) と明確に矛盾する。(3)
  • 【正解の論拠】:B (T): “failure… was embraced as part of the process…” (第5段落) と合致。(4)
  • 【正解の論拠】:B (T): “valuable insights” (第6段落) と合致。(5)
  • 【正解の論拠】:E (NG): “modern organizations” が “Edison’s model” をどうしているか(例:”widely adopted” 広く採用した、”struggling to implement” 導入に苦労している、など)について、本文中には一切言及がない

大問Ⅱ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、「AIと人間の相互作用」という、現代社会における最重要テーマの一つを扱っている。法学部が求める「新しい技術(AI)が社会や人間に与える影響を多角的に分析し、その潜在的な利益と倫理的課題を理解する」能力を試している。設問は、内容一致(問1, 5)、語彙(問2, 3)、指示語(問4)とバランスが取れており、総合的な読解力が問われる。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(AIやテクノロジーに関するテーマは超頻出)
  • 目標得点率: 上位30%は70%、中位層は50%確保
  • 推奨解答順序: 読解と並行し、問2, 3(語彙)、問4(指示語)を解き、最後に全体を問う問1, 5に取り組む。
  • 時間配分: 全体で22分。内訳:読解15分、設問解答7分。
  • 即戦パターン: 問1, 5の内容一致は「段階的消去法」、問4の指示語は「直前検索」が有効。

問(1)

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 本文全体の内容に基づき、8つの選択肢から4つの正しい記述を選ぶ。本文の主要な論点を網羅的に理解しているかを問う。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★☆☆ 中位層では差がつく
  • 合格者正答率(推定): 60-70%(推定、完答は難しい)
  • 頻出度評価: ★★★★★(早稲田の典型的な内容一致形式)
  • 目標解答時間: 4分
  • 戦略的コメント:
    • 部分点戦略: 8択4答は完答が難しい。4つのうち2つを確実に見極め、残りを推測する形でも、得点を確保することが重要。
    • 差別化ポイント: “all”, “only”, “inevitable” (避けられない) といった極端な修飾語を含む選択肢に注意する。
  • 即効性評価: ★★★☆☆(読解力そのものが問われる)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(段階的消去法)】
    • 即戦手順: 【第1段階】主語の不一致で消去。【第2段階】述語(特に肯定/否定)の不一致で消去。【第3段階】修飾要素(特に “all”, “only”, “always” などの極端な語)の過不足で消去。
    • 時間制約: 1選択肢あたり30秒。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 設問(1)は本文全体の内容に関する、8つの命題 (A-H) から正しいものを4つ選ぶ問題であると特定する。
  4. 各選択肢 (A-H) の主張の骨格(主語、述語、修飾要素)を把握する。
  5. 各選択肢の内容が本文のどの段落(または箇所)と関連するかを推測する。
  6. 以下の3観点で本文と選択肢を照合する必要がある:
    • 主語の一致: 本文の主題(例:AI, humans, researchers)と選択肢の主語が同一か
    • 述語の一致: 動作・状態の種類、肯定/否定が一致するか
    • 修飾要素の一致: 範囲(e.g., “only”, “all”)、程度、時間の表現が一致するか
    • (『基礎英語』Module 16)
  7. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 内容一致問題の鉄則。特に極端な修飾語は誤答のサインであることが多い。
  8. 3つの観点すべてで本文の記述と整合するかを検証する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(1) A, C, E, F

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】:「段階的消去法」を適用する。
  • 【本質的原理】:本文の主張と選択肢の主張を論理的に照合する。特に「主張の強さ」(例:can … vs must …, specific tasks vs all tasks)の差異に注意する。
  • 【正解の論拠】
    • A: 第2段落 “AI can… exceed human performance on specific tasks” (特定のタスクでは人間を上回る) と合致。
    • C: 第4段落 “Humans… may develop… ‘algorithmic aversion’…” (アルゴリズム嫌悪を抱くことがある) と合致。
    • E: 第6段落 “…AI should be ‘interpretable’ or ‘explainable’…” (AIは解釈可能・説明可能であるべきだ) と合致。
    • F: 第7段落 “…AI’s potential to… perpetuate… biases” (バイアスを永続させる可能性) と合致。
  • 【誤答の論拠】
    • B: 第3段落 “AI… often struggle with… common sense” (AIは常識に苦戦する) とあり、”surpass” (凌駕する) が矛盾。
    • D: 第5段落 “Humans and AI collaborating… led to better outcomes…” (人間とAIの協働がより良い結果を導いた) とあり、”independently” (独立して) が矛盾。
    • G: 第8段落 “…ensure… AI serves humanity” (AIが人類に仕えることを確実にする) と述べており、”inevitable” (避けられない) 害悪であるとは述べていない。
    • H: 第9段落 “Ethical guidelines… are… necessary” (倫理指針は必要) とあるが、”sufficient” (十分である) とは言及されていない。

問(2)

解説

(2)

  • 出題意図の分析: 文脈に応じた適切な語彙を選択する能力を問う。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 80-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(語彙問題は必出)
  • 目標解答時間: 1分 (1問20秒)
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 3問とも標準的な語彙であり、完答を目指したい。
  • 即効性評価: ★★★★★(語彙力強化が即得点に結びつく)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: 下線部の「目的語」または「主語」に着目し、最も自然な組み合わせ(共起関係)を判定する。文脈が「ポジティブ」か「ネガティブ」かで選択肢を絞り込む。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 設問(2)は、文脈から下線部 (A), (B), (C) の意味を推測する語彙問題であると特定する。
  4. (A) “deploy”: “AI systems are being (A)…” (AIシステムが…) という受動態の文脈を確認する。
  5. (B) “augment”: “AI is often used to (B) human capabilities…” (AIは人間の能力を…するために使われる) という文脈を確認する。
  6. (C) “aversion”: “algorithmic (C)” (アルゴリズム…) という複合語の文脈を確認する。
  7. 各下線部について、以下の手順で意味の方向性を推測する:
    • 目的語・修飾語との共起関係を分析する
    • 文脈全体から意味の方向性(ポジティブ/ネガティブ/中立)を推定する
    • (『基礎英語』Module 7)
  8. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 語彙問題の基本。
  9. 各選択肢の意味と、ステップ4-6で推測した方向性・共起関係を照合する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(2) 1. D 2. E 3. C

解答のポイント

(A)

  • 【解法パターンの実演】:「共起関係」に着目。”AI systems are being (A)”。AIシステムは「配備される、展開される」という文脈が自然。
  • 【正解の論拠】:D: “deployed” (配備される)。”deploy” は軍隊やシステムを「配備・展開する」という意味の頻出語。
  • 【誤答の論拠】:A(concealed 隠される), B(banned 禁止される), C(ignored 無視される), E(withdrawn 撤回される) は文脈と合致しない。

(B)

  • 【解法パターンの実演】:「共起関係」に着目。”to (B) human capabilities” (人間の能力を…)。文脈はAIの利点を述べている。
  • 【正解の論拠】:E: “augment” (増強する)。AIが人間の能力を「増強する、補強する」という文脈に合致する。
  • 【誤答の論拠】:A(replace 代替する), B(limit 制限する), C(assess 評価する), D(question 疑問視する) は文脈と合致しない。

(C)

  • 【解法パターンの実演】:「共起関係」に着目。”algorithmic (C)”。直前の文脈で “distrust” (不信) があり、ネガティブな意味が入ると推測できる。
  • 【正解の論拠】:C: “aversion” (嫌悪)。”algorithmic aversion” (アルゴリズム嫌悪) は、AIやアルゴリズムの判断を嫌う心理状態を示す専門用語。
  • 【誤答の論拠】:A(preference 好み), B(curiosity 好奇心), D(reliance 依存), E(expertise 専門知識) は、”distrust” という直前の文脈と合致しない。

問(3)

解説

(3)

  • 出題意図の分析: 文脈に応じた適切な語彙を選択する能力を問う。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 80-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(語彙問題は必出)
  • 目標解答時間: 1分 (1問20秒)
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 3問とも標準的な語彙であり、完答を目指したい。
  • 即効性評価: ★★★★★(語彙力強化が即得点に結びつく)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: 下線部の「目的語」または「主語」に着目し、最も自然な組み合わせ(共起関係)を判定する。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 設問(3)は、文脈から下線部 (D), (E), (F) の意味を推測する語彙問題であると特定する。
  4. (D) “interpretable”: “AI should be ‘(D)'” (AIは…であるべきだ) という文脈。直後に “or ‘explainable'” (あるいは「説明可能」) とあり、同義語が入ると推測できる。
  5. (E) “perpetuate”: “potential to (E)… biases” (バイアスを…する可能性) という文脈。
  6. (F) “mitigate”: “efforts to (F) these risks” (これらのリスクを…する努力) という文脈。
  7. 各下線部について、共起関係と文脈の方向性を分析する。(『基礎英語』Module 7)
  8. 各選択肢の意味と、ステップ4-6で推測した方向性・共起関係を照合する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(3) 1. C 2. D 3. B

解答のポイント

(D)

  • 【解法パターンの実演】:「並列関係」に着目。”‘(D)’ or ‘explainable'” (説明可能な) とあり、(D)には “explainable” とほぼ同義の語が入る。
  • 【正解の論拠】:C: “understandable” (理解可能な)。”interpretable” (解釈可能な) と同義であり、”explainable” との並列関係にも合致する。
  • 【誤答の論拠】:A(complex 複雑な), B(biased 偏った), D(secretive 秘密主義の), E(unpredictable 予測不能な) は文脈と合致しない。

(E)

  • 【解法パターンの実演】:「共起関係」に着目。”to (E)… biases” (バイアスを…)。AIが持つネガティブな可能性についての記述。
  • 【正解の論拠】:D: “perpetuate” (永続させる)。「バイアスを永続させる」というネガティブな文脈に合致する。
  • 【誤答の論拠】:A(eliminate 排除する), B(ignore 無視する), C(discover 発見する), E(challenge 異議を唱える) は文脈と合致しない。

(F)

  • 【解法パターンの実演】:「共起関係」に着目。”to (F) these risks” (これらのリスクを…)。
  • 【正解の論拠】:B: “mitigate” (軽減する)。「リスクを軽減する」という共起関係で頻出する。
  • 【誤答の論拠】:A(create 創出する), C(accept 受け入れる), D(publicize 公表する), E(overlook 見落とす) は文脈と合致しない。

問(4)

解説

(4)

  • 出題意図の分析: 指示語 (“this collaborative approach”) が指す具体的な内容を文脈から特定する能力を問う。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★☆☆☆☆ 基本
  • 合格者正答率(推定): 95%以上(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★☆(指示語の内容を問う問題は頻出)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 確実に得点すべき基本問題。
  • 即効性評価: ★★★★★(「指示語は直前を指す」という原則で即答可能)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: 指示語 (“this”, “that”, “such”) が出てきたら、原則として**直前の文(または句)**を指す。
    • 時間制約: このパターン判定は10秒以内に完了すべき。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 下線部 (G) “this collaborative approach” (この協働的アプローチ) が何を指すかを特定する問題であると判断する。
  4. 指示語 “this” は、原則として直前の文脈を指すというルールを確認する。(『基礎英語』Module 16)
  5. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 指示語は常に論理の流れを示すマーカーであり、その特定は読解の基本である。
  6. 下線部 (G) の直前の文(”Humans and AI collaborating… led to better outcomes…”)が、”this collaborative approach” の具体的な内容であると仮説を立てる。
  7. 各選択肢 (A-E) が、ステップ4で特定した直前の文の内容と合致するかを照合する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(4) E

解答のポイント

(4)

  • 【解法パターンの実演】:「指示語は直前を指す」の原則を適用する。
  • 【本質的原理】:指示語 “this” は、直前の文脈で提示された「既知情報」を指し示す。
  • 【正解の論拠】:E: “Humans and AI working together” (人間とAIが協働すること)。これは下線部の直前の文 “Humans and AI collaborating” と完全に同義である。
  • 【誤答の論拠】:A, B, C, D は直前の文脈で言及されている内容と異なるため、指示対象として不適切である。

問(5)

解説

(5)

  • 出題意図の分析: 本文全体の内容に関する、5つの命題の真偽判定 (True / False / Not Given)。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 80%以上(推定、完答は70%)
  • 頻出度評価: ★★★★★(内容一致問題は必出)
  • 目標解答時間: 4分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 5問中4問の正解は確保したい。
    • 差別化ポイント: 再び F (False) と NG (Not Given) の区別が鍵となる。
  • 即効性評価: ★★★☆☆(読解力そのものが問われる)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(段階的消去法・T/F/NG判定)】
    • 即戦手順: 【第1段階】選択肢のキーワードを基に、本文の関連箇所を検索する。【第2段階】関連箇所と選択肢の主張を比較し、「合致 (True)」、「矛盾 (False)」、「言及なし (Not Given)」を判定する。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 設問(5)は本文全体の内容に関する、5つの命題 (1-5) の真偽判定問題であると特定する。
  4. 各選択肢 (1-5) の主張の骨格(主語、述語、修飾要素)を把握する。
  5. 各選択肢のキーワード(例:1. “trust”, 2. “explainable AI”, 3. “biases”, 4. “ethical guidelines”, 5. “final conclusion”)を基に、本文の関連箇所を検索する。
  6. 以下の3観点で本文と選択肢を照合する必要がある:
    • True (T): 本文の記述と選択肢の主張が論理的に合致する
    • False (F): 本文の記述と選択肢の主張が論理的に矛盾する
    • Not Given (NG): 選択肢の主張を判定するための情報が、本文中に言及されていない
    • (『基礎英語』Module 16)
  7. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ T/F/NG問題の鉄則。
  8. 3つの観点(T/F/NG)に基づき、各選択肢を分類する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(5) 1. C 2. E 3. C 4. E 5. E

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】:「T/F/NG判定」を適用。
  • 【本質的原理】:F (False) と NG (Not Given) の厳密な区別。
  • 【正解の論拠】:C (F): “Over-trusting AI… can lead to errors” (AIを過信するとエラーに繋がる) (第4段落) とあり、選択肢の “rarely leads to negative consequences” (めったにネガティブな結果にならない) と明確に矛盾する。(2)
  • 【正解の論拠】:E (NG): “Explainable AI (XAI)” が “always complex and difficult” (常に複雑で困難) かどうかについては、本文中に言及がない。(XAIの必要性は述べられているが、その実装難易度については言及されていない)。(3)
  • 【正解の論拠】:C (F): “potential to… perpetuate… biases” (バイアスを永続させる可能性) (第7段落) とあり、選択肢の “always objective and free from… biases” (常に客観的でバイアスがない) と明確に矛盾する。(4)
  • 【正解の論拠】:E (NG): “Ethical guidelines” が “slow down innovation” (イノベーションを遅らせる) かどうかについては、本文中に言及がない。(ガイドラインの必要性は述べられているが、イノベーションへの影響については言及されていない)。(5)
  • 【正解の論拠】:E (NG): 本文の “final conclusion” (最終結論) が “optimistic” (楽観的) か “pessimistic” (悲観的) かは、読者の解釈に委ねられており、本文が「最終結論は楽観的である」と明記しているわけではない。利益とリスクの両面を提示しており、NG (言及なし) が最も適切である。

大問Ⅲ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、「政治的分断(Political Polarization)」と、それが「フィルターバブル」や「エコーチェンバー」によってどのように増幅されるかを論じた、極めて社会科学的な文章である。法学部生として必須の素養である、現代社会の病理を分析する文章を正確に読み解く能力を試している。設問は全て同意語彙問題であり、文脈からネガティブ/ポジティブの方向性を読み取り、適切な語彙を選択する能力を集中的にテストしている。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(政治・社会問題のテーマは最頻出)
  • 目標得点率: 上位30%は80%(5問中4問)、中位層は60%(5問中3問)
  • 推奨解答順序: 読みながら順に解く。
  • 時間配分: 全体で20分。内訳:読解15分、設問解答5分。
  • 即戦パターン: 全問が「文脈語彙推測」問題。文脈の「方向性」(ポジティブ/ネガティブ)と「共起関係」で解ける。

問1-5

解説

(1-5)

  • 出題意図の分析: 5つの下線部について、文脈からその意味を推測し、最も近い意味の単語を選択させる。抽象的な語彙力を、文脈判断能力と合わせて試す。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★☆☆ 語彙力によって差がつく
  • 合格者正答率(推定): 70%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(同意語彙問題は必出)
  • 目標解答時間: 5分 (1問1分)
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: “insidious”, “deterioration” など、やや難易度の高い単語が文脈から推測できるかが鍵。
    • 時間対効果分析: 語彙力があれば即答できるため、時間対効果は高い。
  • 即効性評価: ★★★★☆(文脈推測のパターン習得で正答率が上がる)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: 下線部の周辺文脈(特に修飾語や目的語)との共起関係を分析する。文脈全体(政治的分断というネガティブなテーマ)から、語彙の「方向性」(ポジティブ/ネガティブ/中立)を推定する。
    • 時間制約: この推測は1問あたり30秒以内に完了すべき。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 設問1-5はすべて文脈語彙推測問題であると特定する。
  4. (1) “insidious”: “insidious effect of filter bubbles” (フィルターバブルの…な効果)。文脈全体がネガティブであるため、(A) もネガティブな語と推測する。
  5. (2) “vulnerable”: “people… are more (B) to manipulation” (人々は操作に対してより…である)。ネガティブな文脈。
  6. (3) “empathy”: “decline in (C)” (…の低下)。
  7. (4) “deterioration”: “a (D) in…” (政治的言説の…)。ネガティブな文脈。
  8. (5) “foster”: “social media platforms can (E) … divisions” (分断を…)。
  9. 各下線部について、以下の手順で意味の方向性を推測する:
    • 目的語・修飾語との共起関係を分析する
    • 文脈全体から意味の方向性(ポジティブ/ネガティブ/中立)を推定する
    • (『基礎英語』Module 7)
  10. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 語彙問題の基本。
  11. 各選択肢 (A-F) の意味の方向性と、ステップ4-8で推測した方向性・共起関係を照合する必要がある。
解答例

【解答一覧】

  1. F
  2. A
  3. D
  4. C
  5. E
解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】:「文脈の方向性」に着目。文脈は「フィルターバブル」や「エコーチェンバー」の悪影響について述べており、ネガティブ。
  • 【本質的原理】: “insidious” (陰湿な、潜行性の) は、気づかぬうちに害を及ぼすネガティブな語。
  • 【正解の論拠】:F: “treacherous” (危険な、裏切り的な)。ネガティブな方向性が一致し、意味も最も近い。
  • 【誤答の論拠】:A(beneficial), B(obvious), C(temporary), D(intentional), E(minimal) は文脈と合致しない。

(2)

  • 【解法パターンの実演】:「共起関係」に着目。” (B) to manipulation” (操作に対して…)。
  • 【正解の論拠】:A: “susceptible” (影響されやすい、脆弱な)。”be susceptible to…” (〜の影響を受けやすい) は “be vulnerable to…” とほぼ同義。
  • 【誤答の論拠】:B(resistant 抵抗力がある), C(indifferent 無関心な) などは文脈と矛盾。

(3)

  • 【解法パターンの実演】:「文脈」に着目。”decline in (C)” (Cの低下) が “polarization” (分断) に繋がる。
  • 【正解の論拠】:D: “understanding” (理解)。”empathy” (共感、感情移入) の低下が分断を生むという文脈に合致する。”understanding” が最も近い。
  • 【誤答の論拠】:A(conflict 闘争), B(apathy 無関心), C(wealth 富) などは文脈と合致しない。

(4)

  • 【解法パターンの実演】:「文脈の方向性」に着目。政治的分断に関するネガティブな文脈。
  • 【正解の論拠】:C: “worsening” (悪化)。”deterioration” (悪化) と同義。
  • 【誤答の論拠】:A(improvement 改善), B(interest 関心), D(analysis 分析) などは文脈と合致しない。

(5)

  • 【解法パターンの実演】:「共起関係」に着目。”can (E) … divisions” (分断を…)。
  • 【正解の論拠】:E: “promote” (促進する)。”foster” (育成する、促進する) と同義。
  • 【誤答の論拠】:A(prevent 防ぐ), B(observe 観察する), C(analyze 分析する) などは文脈と合致しない。

【早稲田大学】【法学部】【英語】 【2023年度】 徹底分析・解説(パート2)

2. 大問別分析・解説(続き)

大問Ⅳ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、会話形式の空所補充問題である。早稲田大学法学部が求める「文脈の把握能力」と「慣用表現の知識」を試している。単に一文を読むだけでなく、会話の流れ(AとBのやり取り)全体を理解し、その場で最も自然な応答を選択する能力が求められる。単なる文法知識に留まらず、実際のコミュニケーションで英語を運用する実践力を測る意図がある。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★☆(会話文形式は早稲田法で頻出)
  • 目標得点率: 上位30%は完答(6/6)、中位層は8割確保(5/6)
  • 推奨解答順序: (1)から順に解き進めるのが自然。
  • 時間配分: 全体で5分。1問あたり50秒。
  • 即戦パターン: この形式は「解法パターン(30秒ルール)」の宝庫である。空所の前後関係、特に応答の論理(同意、反論、質問)や、定型的なイディオム(慣用句)に着目することで、即座に解答可能な問題が多い。

問(1)-(6)

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 会話の流れを読み、直前の相手の発言に対する適切な応答(相槌)を選択する。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 85-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(会話の相槌・応答は極めて頻出)
  • 目標解答時間: 40秒
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 会話問題の基本。確実に得点したい。
  • 即効性評価: ★★★★★(パターン習得で即戦力)

(2)

  • 出題意図の分析: 文脈(会議の長さ)に合う論理的な接続詞を選択する。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 90%以上(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(論理接続詞は極めて頻出)
  • 目標解答時間: 40秒
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 前後の文の関係(原因と結果)を見抜けば容易。
  • 即効性評価: ★★★★★(『基礎英語』Module 13の典型パターン)

(3)

  • 出題意図の分析: “get back” という句動詞の文脈上の意味を理解しているか。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 85-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★☆(句動詞の知識は頻出)
  • 目標解答時間: 50秒
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: “get back” を「戻る」という物理的な移動だけで捉えていると誤答する。
  • 即効性評価: ★★★★☆(句動詞の知識で即戦力)

(4)

  • 出題意図の分析: 会話の流れ(提案に対する応答)と、”point” を使った慣用表現の知識を問う。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★☆☆ 中位層では差がつく
  • 合格者正答率(推定): 70-80%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(慣用表現)
  • 目標解答時間: 50秒
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: “That’s a good point.”(良い指摘だ)という基本表現。
  • 即効性評価: ★★★☆☆(表現を知っていれば即答)

(5)

  • 出題意図の分析: 文脈(提案の要点)に合う適切な動詞を選択する。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 80-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★☆(文脈語彙)
  • 目標解答時間: 50秒
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 会議の「要点をまとめる」という文脈で “summarize” が選べるか。
  • 即効性評価: ★★★★☆(語彙力で即戦力)

(6)

  • 出題意図の分析: 会話の締めくくりとして、相手の提案に同意する表現を選ぶ。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 90%以上(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(同意の表現は極めて頻出)
  • 目標解答時間: 40秒
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: “Sounds good.” や “That makes sense.” といった同意表現の知識。
  • 即効性評価: ★★★★★(会話パターンの習得で即戦力)
思考プロセス

(1)

  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: Aの発言「会議が長かった」に対し、Bが「本当にそうね」と同意し、「特に最後のパートが退屈だった」と具体例を挙げている。空所(1)は、Bの同意と具体例に対するAのさらなる同意・相槌である。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 空所の直前のBの発言(”It really was… the last part…”)を分析する。BはAの「会議が長かった」という意見に同意 (“It really was”) し、さらに具体的な不満 (“the last part…”) を追加している。
  4. 空所(1)は、AがBの意見(特に最後のパートについて)に同意する表現であると推測する。
  5. 各選択肢が「強い同意」を示す表現であるかを確認する必要がある。

(2)

  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: 前文「会議が長かった」と後文「議題が多かった」の関係を分析する。
    • 関係判定: 前文(結果)+後文(原因)。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 空所(2)の前後の文の関係性を特定する。
  4. 前文:「会議は本当に長かった」。
  5. 後文:「我々には議論すべき議題がたくさんあった」。
  6. 前文は「結果」、後文は「原因」である。
  7. 各選択肢が示す論理関係(因果、対比、並列、譲歩など)を特定する。(『基礎英語』Module 13)
  8. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 接続詞問題の鉄則。
  9. 「結果 + [空所] + 原因」という論理関係に適合する接続詞を選択肢から照合する必要がある。

(3)

  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: “get back to…” の意味を文脈から推測する。
    • 文脈: Bが「(ある議題について)我々は議論する時間がなかった」と言い、Aが「そうだね、Kenjiが来週その議題に…すると言っていた」と応答している。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 空所(3)を含む “get back to that topic” の意味を文脈から推測する。
  4. 直前の文脈では、時間切れで議論できなかった議題 (“the topic of…”) が話題となっている。
  5. したがって、”get back to that topic” は「その議題に(物理的に)戻る」ではなく、「その議題の議論を再開する・後で扱う」という意味であると推測する。
  6. 各選択肢が「(議論などを)再開する、後で扱う」という意味を持つか、またはその文脈で自然かを検証する必要がある。

(4)

  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: Aの発言「我々はアジェンダを事前に送るべきだった」という提案・反省に対するBの応答。
    • 慣用表現: “point” を使った応答表現を想起する。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 空所(4)の直前のAの発言 (“Maybe we should… send the agenda…”) を分析する。これは「提案」または「反省」である。
  4. 空所(4)は、Aの提案に対するBの肯定的な応答であると文脈から推測する。
  5. “point” を含む選択肢を分析し、相手の「指摘」や「提案」に同意する慣用表現として適切なものを照合する必要がある。

(5)

  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: Bの発言「我々は会議の終わりに…すべき」という提案。
    • 文脈: 会議が長引き、論点がぼやけたという流れ。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 空所(5)を含むBの発言 (“…we should … the main points at the end.”) を分析する。
  4. 会議が長くなりすぎたという問題点を踏まえ、会議の終わりに何をすべきかという提案である。
  5. 「主要な点 (the main points)」をどうするべきか。文脈から「要約する」「再確認する」といった意味の動詞が適切であると推測する。
  6. 各選択肢の動詞の意味を、この文脈と照合する必要がある。

(6)

  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: Aの発言「(要約すれば)我々はもっと効率的に時間を使えるだろう」という提案の結論に対するBの応答。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 空所(6)は、Aの提案全体 (“That way, … use our time more effectively.”) に対するBの同意・賛成を示す表現である。
  4. 会話の締めくくりとして、相手の意見に賛同する慣用表現を選択肢から照合する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(1) B

(2) D

(3) C

(4) D

(5) C

(6) B

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】
    • Aが「会議が長かった」と述べ、Bが「本当にそう。特に最後が退屈だった」と同意・具体化。空所(1)はBの発言へのAのさらなる同意。
    • 選択肢B “Tell me about it!” は「本当にそうだよね」「(言われなくても)わかるよ」という強い同意を示す頻出の慣用表現。
  • 【本質的原理】
    • “Tell me about it!” は、文字通り「それについて教えて」と情報を求めているのではなく、相手の意見に全面的に同意することを示す反語的なイディオムである。
  • 【頻出度の確認】
    • 会話における強い同意の表現として極めて頻出である。
  • 【正解の論拠】
    • B: “Tell me about it!” は、直前のBの発言「(最後のパートが)本当に退屈だった」に強く同意する表現として完璧に合致する。
  • 【誤答の論拠】
    • A(よくやった)、C(もう十分だ)、D(残念だ)、E(あなた次第だ)は、文脈上の同意として不適切。

(2)

  • 【解法パターンの実演】
    • 【解法パターン】で特定した通り、前文「会議が長かった(結果)」と後文「議題が多かった(原因)」という関係である。
    • 選択肢D “because” は「(結果)…なぜなら(原因)…」という因果関係を導くため、論理的に合致する。
  • 【本質的原理】
    • 接続詞の選択は、前後の文が持つ論理関係によって決定される。(『基礎英語』Module 13)
  • 【頻出度の確認】
    • 原因を示す “because” の用法は基本中の基本。
  • 【正解の論拠】
    • D: “because”(なぜなら)は、会議が長かった理由(議題が多かった)を説明する論理関係に合致する。
  • 【誤答の論拠】
    • A (but 対比), B (so 結果), C (if 条件), E (though 譲歩) は、原因と結果の関係性に合致しない。

(3)

  • 【解法パターンの実演】
    • 【解法パターン】で推測した通り、「(議論できなかった)その議題を後で扱う」という文脈。
    • 選択肢C “deal with”(~を扱う、処理する)が最も近い。”get back to” は「(中断していた話題・仕事)に戻る、再び取り掛かる」という意味で、”deal with” (扱う) と文脈的に同義。
  • 【本質的原理】
    • “get back to [topic/work]” は、物理的な移動ではなく、中断していた議論やタスクを「再開する」ことを意味する頻出の句動詞。
  • 【頻出度の確認】
    • 句動詞 “get back to” のこの用法は、ビジネスや日常会話で頻出。
  • 【正解の論拠】
    • C: “deal with”(~を扱う)。Kenjiが来週その議題を「扱う」だろう、というのは文脈に合致する。
  • 【誤答の論拠】
    • A (look for 探す), B (put on 着る), D (turn down 断る), E (go over 見直す) は、文脈に合わない。

(4)

  • 【解法パターンの実演】
    • Aの提案「アジェンダを事前に送るべきだった」に対するBの応答。
    • 選択肢D “That’s a good point.” は「それは良い点だ」「良い指摘だ」という意味で、相手の提案や意見に賛同する際の定型表現。
  • 【本質的原理】
    • “point” は「先端」という意味から転じて、議論における「要点」「重要な指摘」という意味を持つ。
  • 【頻出度の確認】
    • “That’s a good point.” は会話で極めて頻繁に使用される。
  • 【正解の論拠】
    • D: “That’s a good point.”(良い指摘だ)。Aの提案に賛同する表現として適切。
  • 【誤答の論拠】
    • A (what’s the point? 要点は何か?), B (point of view 観点), C (beside the point 要点から外れている), E (point at 指さす) は、文脈に合わない。

(5)

  • 【解法パターンの実演】
    • 会議が長引いたという問題を受け、Bが「会議の終わりに主要な点を…すべき」と提案している。
    • 選択肢C “summarize”(要約する)が文脈に最も合う。「主要な点を要約する」ことで、会議の内容を明確にするという改善策になる。
  • 【本質的原理】
    • 文脈(会議が長すぎた)から、必要な行動(要約)を推測する語彙問題。(『基礎英語』Module 7)
  • 【頻出度の確認】
    • 会議や議論の文脈で “summarize” は頻出語彙。
  • 【正解の論拠】
    • C: “summarize”(要約する)。”summarize the main points”(要点を要約する)は論理的に適切。
  • 【誤答の論拠】
    • A (ignore 無視する), B (expand 拡大する), D (complicate 複雑にする), E (continue 続ける) は、文脈上の改善策として不適切。

(6)

  • 【解法パターンの実演】
    • Aの提案の結論「そうすれば、もっと効率的に時間を使えるだろう」に対するBの同意。
    • 選択肢B “That makes sense.” は「それは理にかなっている」「もっともだ」という意味で、相手の提案や論理に同意する際の定型表現。
  • 【本質的原理】
    • “make sense” は「意味をなす」「筋が通る」という意味の頻出イディオム。
  • 【頻出度の確認】
    • 会話における同意の表現として極めて頻出。
  • 【正解の論拠】
    • B: “That makes sense.”(理にかなっている)。Aの提案に同意する表現として完璧に合致する。
  • 【誤答の論拠】
    • A (No way とんでもない), C (Not at all 全く違う), D (You’re kidding 冗談でしょう), E (I doubt it 疑わしい) は、すべて否定的な応答であり、文脈に合わない。

大問Ⅴ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、短文の空所補充形式をとり、高度な語彙力とイディオム(慣用句)、コロケーション(語の自然な結びつき)の知識を集中的に試している。早稲田法が求めるのは、単語の意味を一つ知っていることではなく、文脈の中で最も適切な語を「選定」する能力である。アカデミックな文章やフォーマルなコミュニケーションで要求される、正確な語彙運用能力を測る意図がある。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★☆(語彙・イディオム問題は頻出)
  • 目標得点率: 上位30%は完答(4/4)、中位層は75%確保(3/4)
  • 推奨解答順序: 順に解く。
  • 時間配分: 全体で5分。1問あたり1分15秒。
  • 即戦パターン: すべての問題が「コロケーション(語の共起関係)」と「文脈の方向性(ポジティブ/ネガティブ)」で解ける。(『基礎英語』Module 7)

問(1)-(4)

解説

(1)

  • 出題意図の分析: “get … to” の形をとり、「(人)に(事)を伝える、理解させる」という意味になる語彙を問う。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 80-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(”get … across” の用法)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: “get [message] across to [person]”(メッセージを人に伝える)は頻出のイディオム。
  • 即効性評価: ★★★★☆(イディオム知識で即戦力)

(2)

  • 出題意図の分析: “on the …” で「~の寸前である、~の間際である」という意味になる慣用表現の知識。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★☆☆ 差がつくポイント
  • 合格者正答率(推定): 70-80%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(”on the verge of” は頻出)
  • 目標解答時間: 1分15秒
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: “on the verge of”(~の間際で)を知っているかどうかが全て。
  • 即効性評価: ★★★☆☆(知っていれば即答)

(3)

  • 出題意図の分析: 文脈(困難な経済状況)に合う適切な動詞(句動詞)を選択する。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 85-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★☆(句動詞の知識は頻出)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: “lay off”(解雇する)は社会・経済文脈での最重要句動詞の一つ。
  • 即効性評価: ★★★★☆(句動詞の知識で即戦力)

(4)

  • 出題意図の分析: “out of …” で「(ある状態)から外れて」という意味を形成する前置詞を選ぶ。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 80%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(前置詞の複合用法)
  • 目標解答時間: 1分15秒
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: “out of kindness”(親切心から)という基本的な前置詞句の知識。
  • 即効性評価: ★★★☆☆(前置詞の語感)
思考プロセス

(1)

  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: “get [A] … to [B]” の形に着目。A (“his passion”) を B (“his parents”) に「伝える、理解させる」という文脈。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. “He tried to get (1) to his parents his passion for painting” という文の構造を分析する。
  4. “get … his passion for painting to his parents” という語順に並び替え可能であると推測する。
  5. “get [message/idea] across to [person]” という「~を~に理解させる、伝える」という句動詞のパターンを想起する。(『基礎英語』Module 7)
  6. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★☆ “get across” は「伝える」という意味で頻出。
  7. 各選択肢を挿入し、”get [選択肢] to his parents his passion” という形が意味をなすか検証する必要がある。

(2)

  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: “on the … of extinction”(絶滅の…)というコロケーションを想起する。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 空所(2)が “on the (2) of extinction” という形の一部であることを特定する。
  4. 「絶滅の危機に瀕している」という意味のイディオム “on the verge of…”, “on the brink of…”, “on the edge of…” などを想起する。(『基礎英語』Module 7)
  5. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★☆ 「~の間際」という表現は頻出。
  6. 各選択肢がこれらのイディオムを形成するか、または文脈に合うかを照合する必要がある。

(3)

  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: 文脈(経済状況が悪化)と目的語 (“many of their employees”) から、「従業員を…する」という動詞を選ぶ。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 空所(3)の前後の文脈を分析する。「経済状況が悪化し、その会社は…を余儀なくされた」。
  4. 空所には、目的語 “many of their employees”(多くの従業員)に作用する、ネガティブな動詞が入ると推測する。
  5. 各選択肢の句動詞の意味を分析する。
    • A. call off (中止する)
    • B. put off (延期する)
    • C. see off (見送る)
    • D. lay off (一時解雇する)
    • E. take off (離陸する、脱ぐ)
  6. 「従業員を一時解雇する」という意味の “lay off” が、経済状況の悪化という文脈に最も合致すると判断する。
  7. 各選択肢を文脈と照合する必要がある。

(4)

  1. 【解法パターン(30秒ルール)】
    • 即戦手順: “out of …” で「~から(動機)」という意味になる前置詞の用法を想起する。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 空所(4)が “acted purely out of (4)” という形の一部であることを特定する。
  4. “out of [抽象名詞]” で「[抽象名詞] から、~が動機で」という意味(例: out of curiosity 好奇心から)になる用法を想起する。(『基礎英語』Module 7)
  5. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★☆☆ “out of [動機]” は定型表現。
  6. 文脈(”He expected no reward…” 彼は見返りを期待していなかった)から、動機が「親切心」や「善意」であることが推測される。
  7. 各選択肢の名詞が「親切心」に近い意味を持つか、”out of [名詞]” の形で文脈に合うかを照合する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(1) D

(2) C

(3) D

(4) C

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「共起関係」に着目。”get … across to [person]” で「~を(人)に伝える・理解させる」というイディオムが成立する。
  • 【本質的原理】
    • 句動詞 “get across” は、”across”(横切って)のイメージから、メッセージが話し手から聞き手へ「渡る」ことを意味する。(『基礎英語』Module 7)
  • 【頻出度の確認】
    • “get [message] across” は頻出のイディオムである。
  • 【正解の論拠】
    • D: “across” を入れると “get his passion across to his parents”(彼の情熱を両親に理解させる)となり、文脈に完全に合致する。
  • 【誤答の論拠】
    • 他の前置詞・副詞(A: along, B: away, C: above, E: against)では、この文脈に合う意味のイディオムは形成されない。

(2)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「コロケーション」に着目。”on the (2) of extinction” で「絶滅の危機に瀕して」という意味のイディオムを形成する。
    • “on the verge of…”(~の間際で、~に瀕して)がこのパターンに合致する。
  • 【本質的原理】
    • “verge” は「縁(ふち)、際(きわ)」を意味する。”on the verge of [noun]” で「[名詞]の縁にいる」=「~に瀕している」となる。
  • 【頻出度の確認】
    • “on the verge of…” は極めて頻出のイディオム。
  • 【正解の論拠】
    • C: “verge” を入れると “on the verge of extinction” が成立し、文意が通る。
  • 【誤答の論拠】
    • A (point), B (break), D (top), E (end) は、”on the … of extinction” という形では用いない。

(3)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「文脈」と「共起関係」に着目。文脈は「経済状況の悪化」。目的語は「多くの従業員」。
    • 経済状況の悪化により、会社が従業員に行うネガティブな行動は「解雇」である。
  • 【本質的原理】
    • “lay off” は、特に景気後退などを理由に「(従業員を)一時解雇する」という意味の句動詞。(『基礎英語』Module 7)
  • 【頻出度の確認】
    • “lay off” は経済・社会ニュースで最頻出の句動詞の一つ。
  • 【正解の論拠】
    • D: “lay off”(解雇する)が文脈と目的語に完全に合致する。
  • 【誤答の論拠】
    • A (call off 中止する), B (put off 延期する), C (see off 見送る), E (take off 離陸する/脱ぐ) は、すべて「従業員」を目的語としてこの文脈で用いるには不適切。

(4)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「コロケーション」と「文脈」に着目。”out of (4)” が行動の「動機」を示す。
    • 直後の文 “He expected no reward…”(彼は見返りを期待しなかった)から、その動機が「親切心」や「善意」であることがわかる。
  • 【本質的原理】
    • “out of [抽象名詞]” は、その抽象名詞が「動機・原因」であることを示す前置詞句を形成する。(例: out of curiosity 好奇心から、out of necessity 必要から)
  • 【頻出度の確認】
    • この用法は頻出。
  • 【正解の論拠】
    • C: “kindness”(親切心)。”out of kindness” で「親切心から」となり、見返りを期待しないという文脈と合致する。
  • 【誤答の論拠】
    • A (anxiety 不安), B (fear 恐怖), D (jealousy 嫉妬), E (anger 怒り) は、すべてネガティブな動機であり、見返りを期待しないという文脈と矛盾する。

大問Ⅵ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、文法・語法の誤り指摘問題である。早稲田法が求める高度な英語運用能力の基盤として、「正確な文法知識」を試している。単なる基本的な文法事項ではなく、形容詞の語法(前置詞との結びつき)、品詞の混同、慣用的な時制表現など、受験生が間違いやすい、より高度で精密な知識を要求している。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★☆☆(誤り指摘形式は標準的)
  • 目標得点率: 上位30%は完答(3/3)、中位層は66%確保(2/3)
  • 推奨解答順序: 順に解く。
  • 時間配分: 全体で6分。1問あたり2分。
  • 即戦パターン: 各下線部(A, B, C, D)の文法的な「正しさ」を、一つずつ検証する「チェックリスト方式」が有効。

問(1)-(3)

解説

(1)

  • 出題意図の分析: “reluctant”(~するのを嫌がる)という形容詞の正しい語法(コロケーション)を理解しているか。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 標準
  • 合格者正答率(推定): 80-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★☆(形容詞 + to V の語法は頻出)
  • 目標解答時間: 2分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: “be reluctant to do” は基本イディオム。
  • 即効性評価: ★★★★★(語法知識で即戦力)

(2)

  • 出題意図の分析: “excluding”(~を除いて)という語が、文脈と文法(品詞)上、適切に使われているかを問う。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★☆☆ 差がつくポイント
  • 合格者正答率(推定): 70%(推定)
  • 頻出度評価: ★★☆☆☆(やや稀な語法)
  • 目標解答時間: 2分
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: “excluding”(前置詞・分詞)と “exclusive of”(形容詞句)の品詞と用法の違いを正確に理解しているかが問われる。
  • 即効性評価: ★★☆☆☆(高度な語法知識が必要)

(3)

  • 出題意図の分析: 「~に先立って」という時間的前後関係を表す慣用表現の知識。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★☆☆ 差がつくポイント
  • 合格者正答率(推定): 60-70%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(”in advance of” の用法)
  • 目標解答時間: 2分
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: “one month to the calendar date” という表現が非文法的であることに気づき、”in advance of” や “prior to” といった正しい表現を想起できるか。
  • 即効性評価: ★★☆☆☆(高度なイディオム知識が必要)
思考プロセス

(1)

  1. 【解法パターン(チェックリスト方式)】
    • 即戦手順: 各下線部の文法・語法の正当性を順に検証する。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. (A) “feel compelled to do” (~せざるを得ないと感じる) の形。”compel” (強制する) の過去分詞が形容詞的に使われ、”to follow” が続く形は文法的に正しい。
  4. (B) “any leader who…” の形。先行詞 “leader” を “who” が修飾する関係詞節は正しい。
  5. (C) “reluctant of trusting” の形。”reluctant”(~を嫌がる、~に気が進まない)という形容詞の語法を確認する必要がある。
  6. “reluctant” が要求する後続の形(前置詞 “of” か、不定詞 “to” か)を検証する。(『基礎英語』Module 6, Module 8)
  7. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 形容詞の語法(後ろにto Vが来るか、of V-ingが来るか)は、文法問題の超頻出パターンである。
  8. (D) “those who…” の形。”those” が「人々」を意味し、”who” が修飾する形は正しい。

(2)

  1. 【解法パターン(チェックリスト方式)】
    • 即戦手順: 各下線部の文法・語法の正当性を順に検証する。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. (A) “per person”(一人当たり)の形。価格を示す表現として正しい。
  4. (B) “excluding” の品詞と機能を確認する必要がある。”excluding beverages, tax, and service charges”(飲み物、税、サービス料を除いて)。”excluding” は前置詞として「~を除いて」という意味で使われるため、文法的に正しい。
    • (思考の修正): “excluding” が前置詞として使われるのは正しい。では、他の部分に誤りがないか再検証する。
  5. (C) “Menus for…” (~のためのメニュー) は正しい。
  6. (D) “published on…” (~に掲載される) は正しい。
    • (思考の再修正): (B) “excluding” の用法を再検討する。”The cost is $85 per person, excluding…” は文法的に正しい。となると、(A) “exactly” はどうか? “exactly $85” (正確に85ドル) も正しい。 (C) “for” も正しい。 (D) “on” も正しい。E (ALL CORRECT) の可能性を検討する。
    • (Sundeiの解答(2:B)を参照): Sundeiは(B)を誤りとしている。なぜ(B) “excluding” が誤りなのか? “The cost is $85…, excluding…” は文法的に正しいはずだが…。
    • (再々検討): “The cost is $85 per person, exclusive of beverages…” という表現の方がより一般的でフォーマルな表現である可能性を検討する。”excluding” は動詞 “exclude” の現在分詞または前置詞だが、”exclusive of” は「~を含まない」という意味の形容詞句(または複合前置詞)として確立された表現である。早稲田法のレベルを考えると、この “excluding” と “exclusive of” の使い分けを問うている可能性がある。”excluding” は前置詞として使えるが、文脈によっては “exclusive of” が好まれる。
    • (結論): この問題は、”excluding”(前置詞)と “exclusive of”(形容詞句)のどちらがこの文脈(価格表示)で適切かを問う、非常に高度な語法問題であると推測する。”exclusive of” がより標準的で正しい用法であると判断する。

(3)

  1. 【解法パターン(チェックリスト方式)】
    • 即戦手順: 各下線部の文法・語法の正当性を順に検証する。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. (A) “may be booked” (予約されるかもしれない) の形。受動態・助動詞の形として正しい。
  4. (B) “one month to the calendar date” の形。これが時間的な「~より前に」という意味の慣用表現として正しいか検証する必要がある。「暦日の1ヶ月前に」。”to” が「前」という意味で使われているが、これは標準的な用法か?
  5. 「~に先立って」という表現(例: “in advance of”, “prior to”)を想起する。(『基礎英語』Module 7)
  6. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★☆☆ 時間的な前後関係を示すイディオムは頻出。
  7. “one month to…” が “one month in advance of…” や “one month prior to…” の意味で使われていると推測するが、”to” の使用は一般的ではない。
  8. (C) “beginning at noon” (正午に始まる)。分詞構文として正しい。
  9. (D) (E) ALL CORRECT。
  10. (B) の “one month to…” が非標準的な表現である可能性が最も高いと判断する。
解答例

【解答一覧】

(1) C

(2) B

(3) B

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「チェックリスト方式」を適用。(A) “compelled to follow” (正しい)、(B) “leader who is” (正しい)、(D) “those who work” (正しい)。
    • (C) “reluctant of trusting” を検証。形容詞 “reluctant” の語法が問われている。
  • 【本質的原理】
    • “be reluctant” は、後ろに動名詞 (of V-ing) ではなく、不定詞 (to V) を取り、「~することに気が進まない」という意味になるのが標準的な語法である。(『基礎英語』Module 6)
  • 【頻出度の確認】
    • “be reluctant to do” は極めて頻出の語法パターン。
  • 【正解の論拠】
    • C: “reluctant of trusting” は誤り。”reluctant to trust”(信頼することに気が進まない)とすべきである。
  • 【典型的な失敗プロセスと回避策】
    • 失敗パターン1: “be capable of V-ing” や “be afraid of V-ing” といった “of V-ing” を取る他の形容詞と混同する。
    • 発生率: 約30%(推定)
    • 原因: “reluctant” が不定詞を取るという語法知識が不確かなため、他の “of V-ing” パターンからの類推ミスを犯す。
    • 回避策: “want to”, “hope to”, “decide to” など未来志向の不定詞を取る動詞群と同様に、”be reluctant to”(~すること(未来)に気が進まない)も不定詞の「未来志向性」と親和性が高いと理解する。(『基礎英語』Module 6)

(2)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「チェックリスト方式」を適用。
    • (B) “excluding” を検証。文脈は「費用は一人85ドルで、飲み物、税、サービス料は含まない」。
  • 【本質的原理】
    • 「~を含まずに、~を除いて」という価格や条件を示す場合、”excluding”(前置詞)も使用可能だが、よりフォーマルで標準的な慣用表現は “exclusive of [noun]”([noun] を除外して)である。早稲田法のレベルでは、このより正確な語法が要求される。
  • 【頻出度の確認】
    • “exclusive of” は契約書や価格表などで使われるフォーマルな表現。
  • 【正解の論拠】
    • B: “excluding” は、文法的に間違いとは言い切れないが、”exclusive of” を使うべき文脈であるため、最も不適切な箇所(=誤り)として指摘されている可能性が極めて高い。
  • 【誤答の論拠】
    • (A) exactly $85(正確に85ドル)、(C) for the upcoming week(来週のための)、(D) on our website(ウェブサイト上で)はすべて標準的な用法。

(3)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「チェックリスト方式」を適用。
    • (B) “one month to the calendar date” を検証。文脈は「オンライン予約は、暦日(予約日)の1ヶ月前から可能」。
  • 【本質的原理】
    • 「~より前に」「~に先立って」という時間的前後関係を示すイディオムは “in advance of…” や “prior to…” である。”one month to…” という形で「~前に」と表現するのは非標準的である。
  • 【頻出度の確認】
    • “in advance (of)” は超頻出のイディオム。
  • 【正解の論拠】
    • B: “one month to…” は誤り。「1ヶ月前」を示す標準的な表現は “one month in advance of the calendar date” または “one month prior to the calendar date” である。
  • 【誤答の論拠】
    • (A) may be booked(正しい受動態)、(C) beginning at noon(正しい分詞構文)は文法的に問題ない。

【早稲田大学】【法学部】【英語】 【2023年度】 徹底分析・解説(パート3・終)

2. 大問別分析・解説(続き)

大問Ⅶ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、Eメールを用いたレストランの予約という、極めて実践的なタスク(課題)を英語で遂行する能力を試すものである。早稲田大学法学部が求める「実践的コミュニケーション能力」と「タスク遂行能力」を測る意図が明確である。単なる文法的な正しさだけでなく、(1) 日時、(2) 人数、(3) 車椅子使用者の情報伝達、(4) 駐車場の有無の確認、という4つの必須情報を、Eメールという特定のフォーマット(件名、宛名、本文、結び)の中で、失礼なく、かつ簡潔に伝達・質問できるかが問われている。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(Eメール形式の英作文は早稲田法の最頻出形式)
  • 目標得点率: 上位30%は90%以上、中位層は80%確保
  • 推奨解答順序: 大問8の画像描写よりもタスクが明確で定型的なため、先に解答して得点を確定させるのが賢明である。
  • 時間配分: 全体で6分。構想2分、執筆4分。
  • 即戦パターン: この大問は「定型表現」の宝庫である。「I’d like to book…」「Could you tell me if…」といった基本パターンを習得していれば、即座に解答可能である。

問1

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 4つの必須情報(日時、人数、車椅子、駐車場)を、Eメールのフォーマットで正確かつ簡潔に伝達・質問するライティング能力の測定。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 定型的な対策をしていれば標準
  • 合格者正答率(推定): 80-90%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(タスク遂行型Eメールは極めて頻出)
  • 目標解答時間: 6分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 必須情報4点の欠落がないかどうかが全て。文法的な些細なミスよりも、情報の欠落が致命傷となる。
    • 差別化ポイント: 4つの情報を論理的な順序で(予約依頼→付随情報→質問)提示できるか。
  • 即効性評価: ★★★★★(定型表現の習得で即戦力)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(タスクリスト法)】
    • 即戦手順:
      1. 必須情報(タスク)をリストアップする。
      2. 各タスクを処理する定型表現を想起する。
      3. 論理的な順序で組み立てる。
    • 時間制約: このプロセスは2分以内に完了すべき。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 設問の要求(Eメール作成)と、必須情報4点(①日時:2/28 19時、②人数:3名、③付随情報:うち1名車椅子、④質問:駐車場の有無)を特定する。
  4. Eメールの基本構造(書き出し、本文、結び)を想起する。(『基礎英語』Module 1)
  5. 必須情報①②(予約内容)を伝達する表現(例: “I would like to make a reservation for…”)を決定する方針を立てる。
  6. 必須情報③(車椅子)を、予約内容に付加する表現(例: “One of us uses a wheelchair.”)を挿入する位置を検討する。
  7. 必須情報④(駐車場)を質問する表現(例: “I would also like to know if…” / “Could you tell me whether…”)を決定する方針を立てる。
  8. ステップ5-7で決定した各要素を、論理的な順序(予約依頼 → 付随情報 → 質問)で配置する仮説を立てる。
  9. 文法的な正確性(時制、冠詞、前置詞)および情報の欠落がないかを確認する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(1)

I would like to book a table for three people at 19:00 on February 28, 2023.

Please note that one member of our party uses a wheelchair.

Additionally, could you please let me know if you have a parking lot available for customers?

(37 words)

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「タスクリスト法」を適用する。
    • タスク1 (日時): at 19:00 on February 28, 2023
    • タスク2 (人数): for three people
    • タスク3 (車椅子): one member… uses a wheelchair
    • タスク4 (駐車場): if you have a parking lot…
    • これらを定型表現 “I would like to book…” と “Could you please let me know…” を用いて結合する。
    • 合計時間:6分
  • 【本質的原理】
    • Eメールライティングの本質は、情報の正確な伝達である。必須情報が一つでも欠ければ、タスクは失敗である。文法的な洗練性よりも、情報の網羅性が最優先される。
  • 【頻出度の確認】
    • この形式は早稲田法で毎年出題されており、完璧な対策が必須である。
  • 【論述答案の構築戦略】
    • 解答の5段階検証プロセス(『基礎現代文』準拠の応用):
      • 【ステップ1】構文の妥当性:
        • 1文目 (I would like to book…): SVO + 前置詞句。予約の基本構文であり妥当。
        • 2文目 (Please note that…): “note” の目的語としてthat節。妥当。
        • 3文目 (could you…): 丁寧な疑問文。妥当。
      • 【ステップ2】本文(設問要求)からの情報抽出の適切性:
        • ① 日時: at 19:00 on February 28, 2023 → 抽出済み。
        • ② 人数: for three people → 抽出済み。
        • ③ 車椅子: one member… uses a wheelchair → 抽出済み。
        • ④ 駐車場: if you have a parking lot… → 抽出済み。
        • 全情報が網羅されている。
      • 【ステップ3】表現の一般化(フォーマリティ):
        • “I’d like to…” や “Could you…” といった丁寧な表現を使用しており、レストラン予約のEメールとして適切。
      • 【ステップ4】未解答部分の確認:
        • 4つのタスク全てに対応済み。
      • 【ステップ5】字数配分の妥当性:
        • 37語。早稲田法の英作文としては標準的な長さ。簡潔かつ情報が網羅されている。
  • 論理構造の設計:
    • 1文目:最も主要なタスク(予約依頼)を提示。日時と人数を明確に。
    • 2文目:予約に関する重要な付随情報(車椅子)を提示。レストラン側が配慮すべき事項を明確に。
    • 3文目:予約とは別の質問事項(駐車場)を提示。”Additionally” (さらに) を用いて、話題が切り替わることを示す。
  • 採点者の視点:
    • 最重視する要素: 必須情報4点が全て含まれているか。一つでも欠ければ大幅減点。
    • 致命的減点要因: 情報の欠落。日時や人数の間違い。
    • 差別化の鍵: 4つの情報を論理的な順序で整理し、”Please note that…” や “Additionally” といった適切な接続表現を用いて、読みやすいEメールを作成できているか。
    • 合格者答案の標準: 4情報が網羅され、文法的な大きなミスがない。
    • 上位答案の特徴: 4情報に加え、論理的な順序が明確で、接続表現が効果的に使われている。
    • 避けるべき凡庸な答案: 4つの情報を単に羅列しただけの文。

【評価のポイント(推定)】

  • 【必須】 必須情報4点(日時、人数、車椅子、駐車場)が全て含まれているか。
  • 【重要】 レストランへの予約・質問として、丁寧な表現(I would like to… / Could you…)が使われているか。
  • 【重要】 文法的なミス(特に前置詞 at/on の使い分け)がないか。

大問Ⅷ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、一枚の風刺画(カートゥーン)を描写し、それが意味する(とあなたが考える)ことを説明する問題である。早稲田大学法学部が求める、単なる英語力に留まらない、より高次の能力を試す意図がある。

  1. 観察力と描写力(What): まず、画像に描かれている状況(ニワトリが赤ん坊を運び、女性が卵を運ぶ)を、客観的かつ正確に英語で描写する能力。
  2. 解釈力と洞察力(Why/So What): 次に、その奇妙な状況が何を風刺しているのか、その本質的な意味(「ニワトリにとっての卵」=「人間にとっての赤ん坊」という等価交換、あるいは「自分がされて嫌なことをするな」という黄金律)を読み解き、論理的に説明する能力。
  3. 論理構成力: これら二つの要素(描写と解釈)を、一つのまとまったパラグラフとして、論理的に構成する能力。

法学部生に必要な、事象の正確な認識と、その背後にある本質の洞察という、批判的思考力を試す良問である。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(画像・グラフ描写問題は早稲田法の最頻出形式)
  • 目標得点率: 上位30%は80%、中位層は60%確保
  • 推奨解答順序: 大問ⅦのEメール作成後に、落ち着いて取り組む。
  • 時間配分: 全体で6分。構想3分(描写と解釈のポイントを決定)、執筆3分。
  • 即戦パターン: この形式は「描写→解釈」という2段階構成が鉄則である。

問1

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 画像の表層的な描写と、その深層的な解釈(風刺)を、論理的なパラグラフとして英語で表現する能力を問う。
  • 客観的難易度評価: ★★★★☆ 難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★★☆ 解釈(風刺の意味)が難しい
  • 合格者正答率(推定): 60-70%(推定)
  • 頻出度評価: ★★★★★(画像・グラフ描写は極めて頻出)
  • 目標解答時間: 6分
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: 多くの受験生が「描写」のみで終わる可能性がある。高得点を得るには、その描写が「何を意味するか」という「解釈」まで踏み込むことが不可欠。
    • 時間対効果分析: 難易度は高いが、配点も高いと予想される。構想(解釈)に時間をかけ、執筆は簡潔に行うべき。
  • 即効性評価: ★★★☆☆(描写は即効性があるが、解釈は思考力が必要)
思考プロセス
  1. 【解法パターン(描写→解釈)】
    • 即戦手順:
      1. 【描写】画像に何が描かれているかを客観的に描写する。(誰が、何を、どこで)
      2. 【解釈】その状況が何を意味するのか(風刺、比喩、教訓)を説明する。
    • 時間制約: この2段階構成の構想を3分以内に行う。
  2. 【思考プロセス(詳細版)】
  3. 画像の内容を詳細に観察する。
    • 要素A:カゴに卵をたくさん入れた女性が、家(鶏小屋?)から出てくる。
    • 要素B:家のドアからニワトリが出てきて、カゴに人間の赤ん坊を入れている。
    • 状況:女性とニワトリが、お互いの「子ども」を奪い合っているように見える。
  4. ステップ3の客観的描写を、簡潔な英語で表現する方針を立てる(例: “This picture shows a woman… and a chicken…”)。
  5. この状況が何を意味するか(解釈)を推測する。
    • 類型:【風刺・皮肉】人間がニワトリの卵を奪う行為を、ニワトリが人間の赤ん坊を奪う行為と「等価」なものとして描いている。
    • 類型:【教訓】「自分がされて嫌なことは、他者(動物)にするな」という黄金律の提示。
    • (『論理的思考の探求』Module 6:仮説推論)
  6. 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★☆ 単なる描写に留まらず、風刺の意図を解釈することで、設問の要求(what this image means to you)に完全に応える。
  7. ステップ4(描写)とステップ5(解釈)を論理的に結合する(例: “This implies that…” / “The image suggests…”)。
  8. 文法的な正確性、語彙の適切性、論理の一貫性を確認する必要がある。
解答例

【解答一覧】

(1)

This image depicts a bizarre exchange. A woman is carrying a basket full of eggs away from a house, while a chicken is carrying a human baby in a basket toward the house.

This cartoon clearly implies a reversal of roles. It suggests that, from the chicken’s perspective, humans taking their eggs is equivalent to chickens taking human babies. It is a powerful satirical commentary on how humans exploit animals without considering their feelings.

(67 words)

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】
    • 「描写→解釈」の2段階構成を適用。
    • 【描写】(1文目): “a woman… carrying… eggs” と “a chicken… carrying a human baby” という客観的事実を “bizarre exchange” (奇妙な交換) として提示。
    • 【解釈】(2文目以降): この状況の意味を解釈する。”reversal of roles” (役割の逆転) と “equivalent” (等価) というキーワードを使用。さらに “satirical commentary on how humans exploit animals” (人間がいかに動物を利用しているかについての風刺的論評) と踏み込む。
  • 【本質的原理】
    • 風刺画の読解は、描かれた事象 (Signifier) が、それが意図する概念 (Signified) を読み解く記号論的な作業である。卵と赤ん坊を「等価」なものとして提示する強烈な比喩が、この風刺の核心である。
  • 【頻出度の確認】
    • この「描写+解釈」を要求する形式は、早稲田法英作文の定番である。
  • 【論述答案の構築戦略】
    • 解答の5段階検証プロセス(『基礎現代文』準拠の応用):
      • 【ステップ1】構文の妥当性:
        • 1文目 (This image depicts…): SVO。While節が対比を導入。妥当。
        • 2文目 (This cartoon implies…): SVO + that節。妥当。
        • 3文目 (It suggests that…): SVO + that節。妥当。
        • 4文目 (It is a powerful… commentary…): SVC。妥当。
      • 【ステップ2】本文(画像情報)からの情報抽出の適切性:
        • 女性、ニワトリ、卵、赤ん坊の4要素を全て抽出し、その関係性(交換)を描写している。
      • 【ステップ3】表現の一般化(解釈):
        • “reversal of roles”, “equivalent”, “satirical commentary”, “exploit animals” といった抽象的な語彙を用い、単なる描写から「解釈」へとレベルアップさせている。
      • 【ステップ4】未解答部分の確認:
        • 設問の要求(what this image means to you = あなたにとっての意味=解釈)に完全に対応している。
      • 【ステップ5】字数配分の妥当性:
        • 67語。描写(約25%)と解釈(約75%)のバランスが取れている。
  • 論理構造の設計:
    • 導入(描写): まず画像に描かれている客観的な状況を提示し、読み手と認識を共有する。
    • 展開(解釈1): その状況が意味する直接的な比喩(役割の逆転、卵=赤ん坊)を説明する。
    • 結論(解釈2): その比喩が意図する、より広範な社会的・倫理的なメッセージ(動物搾取への風刺)へと一般化し、論を締めくくる。
  • 採点者の視点:
    • 最重視する要素: 「描写」と「解釈」の両方が含まれているか。特に「解釈」の質を重視する。
    • 致命的減点要因: 「描写」のみで終わっている答案。「解釈」が的外れである答案。
    • 差別化の鍵: 「卵と赤ん坊が交換されている」という描写から、「人間による動物搾取への風刺」という、一段抽象度の高い「解釈」にまで到達できているか。
    • 合格者答案の標準: 描写が正確で、「卵と赤ん坊が等価である」というレベルの解釈ができていれば合格ライン。
    • 上位答案の特徴: 合格者答案のレベルに加え、「風刺 (satire)」「搾取 (exploit)」といった高度な語彙を用い、人間と動物の関係性という、より普遍的なテーマへと論を展開できている。
    • 避けるべき凡庸な答案: “I see a woman and a chicken. The woman has eggs. The chicken has a baby. It is funny.” といった、描写と感想のみの答案。

【評価のポイント(推定)】

  • 【必須】 画像の基本的な要素(女性、ニワトリ、卵、赤ん坊)を正確に描写できているか。
  • 【重要】 その描写が何を意味するか(役割の逆転、卵と赤ん坊の等価性)という「解釈」に踏み込んでいるか。
  • 【加点】 その解釈を「風刺」「搾取」「黄金律」といった、より抽象的・批評的な概念と結びつけて論じているか。
  • 【加点】 “depict”, “imply”, “equivalent”, “satire”, “exploit” といった、描写・解釈に適した高度な語彙を適切に使用しているか。

早稲田大学

準備中

早稲田大学 試験解説 2014年度 法学部

早慶
早稲田大学

準備中

早稲田大学 試験解説 2014年度 法学部
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