早稲田大学 法学部 2024年度 英語

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基礎体系
  • すべての英語は、構造的に設計されている。単語の成り立ちから、文章全体の論理まで。
  • ミクロとマクロの視点を往還し、筆者の主張の核心を捉える。
  • 感覚や「なんとなく」の読解を排す。すべての解釈は、本文中の言語的な根拠だけが導く。

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早稲田大学 法学部 英語 2024年度 徹底分析・解説(パート1)

目次

1. 試験の全体像

試験概要

  • 試験時間: 90分
  • 大問構成: 大問7題(読解2題、文法・語彙3題、英作文2題)
  • 総設問数: 46問(解答箇所)
  • 解答形式: マークシート方式および記述式(和文英訳・自由英作文)

全体難易度

★★★★☆ やや難

早稲田大学法学部の英語は、伝統的に高水準の語彙力と速読能力、そして記述力を要求する試験である。2024年度もその傾向は維持されている。

  • 読解(大問I, II): 語彙レベルが高く、文脈も抽象的・専門的なテーマ(I: ロシア史、II: 教育社会学)を扱う。設問形式は多様で、内容一致(NOT TRUE形式)、空所補充、語彙、要約(段落マッチング)など、総合的な読解力が問われる。
  • 文法・語彙(大問III, IV, V): 空所補充、語句整序、正誤判定など標準的な形式だが、問われる知識は高度なイディオムや文法運用能力を要求するものが多い。
  • 英作文(大問VI, VII): 実用的な情報伝達(大問VI)と、抽象的なテーマ(画像解釈)に対する意見論述(大問VII)という、異なるタイプのライティング能力が問われる。

試験時間90分に対して設問数が多く、全問を丁寧に解き切るには高度な時間管理能力が必須である。

当該大学の出題特性

  • 難易度帯: ★★★★☆(難関上位レベル)
  • 出題形式: 記述・マーク併用
  • 思考力重視度: 高い(特に大問IIの段落要約、大問VIIの画像解釈)
  • 時間的余裕: 厳しい
  • 戦略的含意: この大学は、最難関大の中でも「①圧倒的な語彙力」「②高速な情報処理能力(速読)」「③思考の正確さ(文法・英作文)」を極めて重視する。

特徴と傾向

  1. 高度な語彙力と文脈推測力: 大問I, IIの長文、大問Vの語彙問題など、文脈から未知の単語の意味を推測する能力が強く求められる。
  2. 多様な設問形式の混在: 読解問題では、内容一致、空所補充、語彙定義、段落マッチングなど、多角的に本文の理解度を問う。
  3. スピードと正確性の両立: 大問III, IV, Vの文法・語彙問題は、1問あたり30秒~1分程度で即断即決していくスピードが求められる。
  4. 2種類の英作文: 大問VIは「情報を正確に伝達する」実用英語、大問VIIは「深く考察し、論理的に表現する」アカデミック・ライティングであり、異なるスキルセットが必要である。

戦略的アドバイス

  • 時間配分: 読解と英作文に時間を割くため、文法・語彙問題(III, IV, V)はいかに高速で処理できるかが鍵となる。
  • 解答順序: 得意分野から解くのが基本。一般的には、知識系(III, IV, V)で時間を稼ぎ、読解(I, II)、最後に英作文(VI, VII)に取り組むのが効率的だが、自分の得意不得意に応じて調整すべきである。
  • 基礎の徹底: 高度な問題が多いが、その根底にあるのは文法・語彙・構文の盤石な基礎力である。
  • 指導方針: 本解説は、単なるパターン暗記ではなく、「本質を重視する」ことを主眼に置く。得点に直結する本質的な理解(構造や理論)こそが、最難関大の応用問題に対応する最短経路である。本解説では、この「本質重視型アプローチ」(根底の仕組みの理解によって得点力を最大化する実践的アプローチ)を採用する。

戦略的時間配分

【大問別推奨時間配分】

大問難易度頻出度推奨時間最低確保目標備考
大問1★★★☆☆★★★★★20分(1)-(4)完答読解1。語彙レベルやや高。
大問2★★★★☆★★★★★25分(1)5割, (2)-(4)7割読解2。段落マッチングが鍵。
大問3★★☆☆☆★★★★★5分完答文法(空所補充)。即戦力。
大問4★★☆☆☆★★★★★5分完答文法(正誤判定)。即戦力。
大問5★★★☆☆★★★★★5分7割語彙・イディオム。知識勝負。
大問6★★☆☆☆★★★★★10分完答英作文(情報伝達)。減点回避。
大問7★★★★☆★★★★★15分意見の明示英作文(意見論述)。
合計85分目標得点率:70%見直し時間:5分確保

【時間戦略の3原則】

  1. 見直し時間の死守: 難問に時間を溶かすより、文法や英作文のケアレスミスを防ぐ方が得点効率は高い。
  2. 知識系(III, IV, V)の高速処理: この3大問を計15分で処理できるかが、読解・英作文の時間を捻出する鍵である。
  3. 時間泥棒の見極め: 読解問題で2分以上考えても根拠が見つからない選択肢は、一旦マークして飛ばす勇気を持つ。

【頻出パターン優先戦略】

  • 最優先(★★★★★): 大問III, IV, VI → これらは過去の傾向からも対策しやすく、得点源として完答を目指すべき。
  • 次優先(★★★★☆): 大問I, V, VII → 大問Iは標準的な読解。大問Vは語彙力勝負。大問VIIは型を学べば安定する。
  • 中優先(★★★☆☆): 大問II → 段落マッチング(問1)は時間がかかる「時間泥棒」問題。後回しにするか、時間を区切って解く戦略も有効。

2. 大問別分析・解説

大問Ⅰ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、歴史的・文化的トピック(ピョートル大帝のひげ税)に関する英文を題材に、受験生の「精読能力」と「文脈推測能力」を試している。単に単語の意味を知っているかではなく、文章全体の論理の流れの中で、個々の文や単語が持つニュアンスを正確に把握できるかを問うている。早稲田法学部が求める、複雑な社会現象を読み解くための基礎的な読解力と語彙力を試す問題である。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(長文読解+多角的な設問)
  • 目標得点率: 上位30%は90%以上、中位層は75%確保
  • 推奨解答順序: (1)内容一致 → (4)語彙 → (2)空所補充 → (3)文脈理解 の順が効率的。語彙問題(4)を先に解くことで、本文の理解が深まる効果もある。
  • 時間配分: 20分。

問1

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 本文の核心テーマである「ひげ税」に関する基本的な事実を、正確に把握できているかを問う「NOT TRUE(不一致)」問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 一般層でも標準
  • 合格者正答率(推定): 85-90%
  • 頻出度評価: ★★★★★(NOT TRUE形式は極めて頻出)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 確実に得点すべき基本問題。
    • 差別化ポイント: 選択肢Aの “paid for by using” と本文の “proof that the bearer had paid” の微妙なニュアンスの違い(支払いの「手段」か「証明」か)を見抜けるか。

(2)

  • 出題意図の分析: 1697年のピョートル大帝のヨーロッパ視察に関する「NOT TRUE」問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 一般層でも標準
  • 合格者正答率(推定): 90%
  • 頻出度評価: ★★★★★(NOT TRUE形式)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 確実に得点すべき。本文第3段落に根拠が集中しているため、検索範囲が狭く解きやすい。

(3)

  • 出題意図の分析: ピョートル大帝の「ヨーロッパ化」政策に関する「NOT TRUE」問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 一般層でも標準
  • 合格者正答率(推定): 85-90%
  • 頻出度評価: ★★★★★(NOT TRUE形式)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 確実に得点すべき。
    • 差別化ポイント: 選択肢Dの “at the expense of reform”(改革を犠牲にして)という評価が本文中で支持されているかを判定する必要がある。

(4)

  • 出題意図の分析: ロシア正教会に関する「NOT TRUE」問題。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★☆☆ 中位層では標準・一般層では難
  • 合格者正答率(推定): 70-80%
  • 頻出度評価: ★★★★★(NOT TRUE形式)
  • 目標解答時間: 1分30秒
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: 選択肢Aの「スキャンダルを避ける限りピョートルの統治を受け入れた」という記述の真偽を判定する必要がある。本文では教会がピョートルと対立していた(sparred with)記述が多いため、この選択肢の妥当性評価が難しい。
思考プロセス

【解法パターン(60秒ルール)】

  • 即戦手順(段階的消去法):
    1. 【第1段階】選択肢のキーワード(主語・動詞)を特定する。(10秒)
    2. 【第2段階】本文の該当箇所を検索(スキャン)する。(30秒)
    3. 【第3段階】記述と矛盾する、または記述がない選択肢(NOT TRUE)を特定する。(20秒)

【思考プロセス(詳細版)】

  1. 設問が「NOT correct(一致しないもの)」を求めていることを再確認する。
  2. 各選択肢(A〜E)の主張の骨格(主語、述語、修飾要素)を把握する。
  3. 各選択肢の内容が本文のどの段落(または箇所)と関連するかを推測する。
  4. 以下の3観点で本文と選択肢を照合する必要がある:
    • 主語の一致: 本文の主題と選択肢の主語が同一か。
    • 述語の一致: 動作・状態の種類、肯定/否定が一致するか。
    • 修飾要素の一致: 範囲、程度、時間の表現が一致するか。
    • (『基礎英語』Module 16)
    • 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 内容一致問題の鉄則。この3観点で検証すれば、9割以上の問題は解ける。
  5. 本文の記述と明確に矛盾する、あるいは本文中に一切言及されていない選択肢を特定する。
解答例

(1) A

(2) C

(3) D

(4) A

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】: 段階的消去法を適用する。
  • 【正解の論拠(NOT TRUE)】: 選択肢A「特別な政府のコインを使って支払うことができた」。本文第1段落には「a token like the one pictured here would be your only defense… It served as proof that the bearer had paid his yearly beard tax」とある。トークン(画像参照、「ДЕНГИ ВЗАТЫ」=「金は取られた」)は、税金(コペイカやルーブル)を支払った「証明 (proof)」として機能するものであり、支払い「手段(コイン)」そのものではない。よってAは本文の記述と一致しない。
  • 【誤答の論拠(TRUE)】:
    • B: ひげ税や服装の取り締まりは「ツァーリの権力が日常生活に及ぶ範囲」を示している(本文全体)。
    • C: このような強権的な政策は「政治的権威がどのように行使されるか」という問いを提起する(本文全体)。
    • D: 「農民は数コペイカ、貴族や軍人は100ルーブル以上」とあり、「地位によって異なる率で徴収された」。
    • E: ひげ税は「ロシア文化の美的刷新」という「より大きなプロジェクトの一部」であり、「文化変容を加速させるため」であった。

(2)

  • 【解法パターンの実演】: 段階的消去法を適用。第3段落(In 1697…)を集中的に照合する。
  • 【正解の論拠(NOT TRUE)】: 選択肢C「新しいロシア皇帝の戴冠式を祝うことを意図していた」。本文には、彼が「偽名で(in disguise)」旅行し、「造船技術を学び(learn ship-building techniques)」、「国家元首を訪問し(visited heads of state)」たとあるが、自身の戴冠式(coronation)を祝うためだったという記述は一切ない。
  • 【誤答の論拠(TRUE)】:
    • A: 「国家元首を訪問し(visited heads of state)」、「伝説的に乱暴なパーティーを開いた(threw legendarily wild parties)」。
    • B: 「身長7フィート、 brilliant, and only half-civilized」といった「興奮した噂(excited rumors)」が広まった。
    • D: 「オランダの造船所で働き、造船技術を学んだ」。
    • E: 「彼の旅行から戻るとすぐに(Upon returning from his travels)」、彼は「ヨーロッパ化」のプロセスを開始した。

(3)

  • 【解法パターンの実演】: 段階的消去法を適用。
  • 【正解の論拠(NOT TRUE)】: 選択肢D「改革を犠牲にして、彼個人の好みを推進した」。本文は、彼がロシアの「美的刷新(aesthetic reinvention)」、すなわちヨーロッパ化という「改革」を推進したことを示している。彼の好み(フランスやハンガリーのジャケット)と改革は一体であった。改革を「犠牲にした」という記述は本文と矛盾する。
  • 【誤答の論拠(TRUE)】:
    • A: 「服装(dress)」や「身だしなみ(grooming=ひげ剃り)」といった「日常の習慣」にまで及んだ。
    • B: 「ロシアの伝統的なオーバーコート」を「フランスやハンガリーのジャケット」に置き換えるなど、「既存の美的規範の徹底的な見直し」を意味した。
    • C: ひげを神聖視するロシア正教会(=当時の体制、establishment)への「挑戦(challenge)」となった。
    • E: 大工がひげを隠し持つエピソードやアストラハンの反乱(revolt)など、「一部のロシア人の神経に障った(rubbed some Russians the wrong way)」。

(4)

  • 【解法パターンの実演】: 段階的消去法を適用。
  • 【正解の論拠(NOT TRUE)】: 選択肢A「スキャンダルを避ける限り、ピョートルの統治を受け入れた」。本文は、教会がひげ税を「衝撃的なスキャンダル(shocking scandal)」とみなし、ピョートルを「神への冒涜(blasphemy)」で非難し、両者が「火花を散らした(sparred with)」と記述しており、教会が彼の統治を条件付きであれ「受け入れた(accepted)」とは書かれていない。むしろ全面的に対立している。
  • 【誤答の論拠(TRUE)】:
    • B: 教会はひげを神聖視しており、それを強制的に剃らせる「近代化(ヨーロッパ化)の努力」によって「脅かされていると感じた」。
    • C: 「人は神の似姿として創造された」とし、「宗教的な理由でひげを重んじる」よう信者に教えていた。
    • D: ひげ税を「衝撃的なスキャンダル」とみなし、「ロシアの宗教的生活への妨害」と捉えた。
    • E: アストラハンの反乱軍は「キリスト教のため、ひげ剃りと外国の服装に反対する」と宣言し、教会を「擁護した」。
  • 【典型的な失敗プロセスと回避策】:
    • 失敗パターン: 選択肢Aのような微妙な表現(「スキャンダルを避ける限り」)を、「スキャンダルがあったから受け入れなかった」と読み替えてしまい、TRUE(本文と一致)だと誤解する。
    • 回避策: 「NOT TRUE」問題では、選択肢の主張が「本文に書かれていない」または「本文と明確に矛盾する」ことを確認する。教会が「受け入れた(accepted)」という積極的な記述は本文にはなく、むしろ対立(sparred with)の記述が多いため、Aが最も疑わしいと判断できる。

問2

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 空所の前後関係を読み解く、論理接続詞の問題。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 95%
  • 頻出度評価: ★★★★★(接続詞問題は極めて頻出)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★(パターン習得で即戦力)

(2)

  • 出題意図の分析: 文脈に最も合う名詞を選ぶ語彙問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 90%
  • 頻出度評価: ★★★★☆(文脈語彙問題は頻出)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★☆

(3)

  • 出題意図の分析: 文脈(特に直前の文)を理解し、その帰結として最もふさわしい対立軸を選ぶ問題。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 80%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(文脈補充)
  • 目標解答時間: 45秒
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: 「冒涜(blasphemy)が忠誠のテスト(test of loyalty)」であったという文脈から、何の間の「選択(choice)」なのかを正確に推論する必要がある。

(4)

  • 出題意図の分析: 引用文(Zhivovの分析)の文脈を理解し、空所を埋める問題。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 75-85%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(文脈補充)
  • 目標解答時間: 45秒
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: ツァーリが「神聖な力」を持つと示し、社会が「それを受け入れるか、悪魔的なものとして拒絶するか」という二択を迫った状況を、最もよく表す言葉を選ぶ必要がある。
思考プロセス

(1)

  • 【解法パターン(30秒ルール)】:
    • 即戦手順: 1. 空所の前文の骨格を把握。 2. 空所の後文の骨格を把握。 3. 両者の論理関係(順接、逆接、並列、因果)を判定する。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 空所(1)の前文の骨格を把握する(ピョートルが偽名で旅行した)。
    2. 空所(1)の後文の骨格を把握する(彼の訪問に関する噂が広まった)。
    3. 前後の内容が持つ論理関係のタイプを特定する。「偽名で旅行した」ことと、「噂が広まった」ことは、一見矛盾するように見える(偽名なのに噂が広まる)。
    4. 各選択肢が示す論理関係のタイプを確認する。
      • A (Contrastingly), C (Nonetheless): 逆接・対比
      • B (Likewise), E (Therefore): 順接・因果
      • D (Previously): 時間
    5. ステップ3で特定した論理関係(逆接・対比)と、各選択肢の論理関係を照合する必要がある。
    • (『基礎英語』Module 13)
    • 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 接続詞問題の8割はこのパターンで解ける。

(2)

  • 【解法パターン(30秒ルール)】:
    • 即戦手順: 1. 空所の文脈を把握する。 2. 空所にポジティブな意味が入るか、ネガティブな意味が入るかを判定する。 3. 選択肢を絞り込む。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 空所(2)を含む文の骨格を把握する(ツァーリの新しい熱意の最初のXは、貴族のひげだった)。
    2. 直後の文脈を確認する(彼はパーティーで貴族のひげを剃り始めた)。
    3. 「ひげを剃られる」ことは、ひげの所有者(貴族)にとってネガティブな出来事であると推測する。
    4. 各選択肢の意味の方向性を確認する。
      • A (benefactors – 恩恵者): ポジティブ
      • B (casualties – 犠牲者): ネガティブ
      • C (causes – 原因), D (fashions – 流行), E (features – 特徴): 中立
    5. ステップ3で推測した方向性(ネガティブ)と、各選択肢の方向性を照合する必要がある。
    • (『基礎英語』Module 7)
    • 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 語彙問題の基本。文脈のポジ・ネガ判定は即戦力となる。

(3)

  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 空所(3)の直前の文脈を把握する。「All-Drunken Assembly」のメンバーになることは終身であり、逃れられない。「冒涜(blasphemy)」が「忠誠のテスト(test of loyalty)」として機能した。
    2. この状況が示す「暗黙の選択(implicit choice)」が何であるかを推測する。
    3. ツァーリは「冒涜」を強要している。これは従来の「教会」の教えに反する。
    4. したがって、迫られた選択は、伝統的な宗教(教会)に従うか、ツァーリ(ピョートル)に従うかの二択であると推測できる。
    5. 各選択肢が示す対立軸を、ステップ4で推測した対立軸と照合する必要がある。

(4)

  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 空所(4)の直前の文脈(Zhivovの引用)を把握する。社会はツァーリの「神性」を受け入れるか、「悪魔的」として拒絶するかの「選択(choice)」を迫られた。
    2. この状況が社会にとってどのようなものであったかを推測する。
    3. 「神か悪魔か」という二択を迫られることは、社会にとって深刻な問題であると推測できる。
    4. 各選択肢が示す状況を、ステップ2で推測した状況と照合する必要がある。
      • B (a religious dilemma – 宗教的ジレンマ): 深刻な問題
      • A, C, D, E: 文脈と合致するかを検証する必要がある。
解答例

(1) C

(2) B

(3) D

(4) B

解答のポイント

(1)

  • 【本質的原理】: 前文「ピョートルは偽名を使って変装旅行に出かけた」と、後文「(しかし)彼の訪問の噂は町から町へと広まった」は、逆接・対比の関係にある。
  • 【正解の論拠】: C (Nonetheless – それにもかかわらず) は、この逆接関係を最もよく示す。A (Contrastingly) は二つの事象を対比させるが、「偽名」と「噂」は明確な対比対象ではない。Cは「A(偽名)であった、それにもかかわらずB(噂が広まった)」という譲歩的な逆接を示し、文脈に最も合う。
  • 【頻出度の確認】: 接続詞の論理関係を問う問題は、早稲田法学部では毎年出題される最頻出パターンである。

(2)

  • 【本質的原理】: 空所は、ピョートルの「ヨーロッパ化」という熱意の「対象」となったものを指す。直後には「ひげを剃られた」という記述がある。
  • 【正解の論拠】: B (casualties – 犠牲者、被害者) が文脈に最も合う。「彼の熱意の最初の犠牲者」が「貴族たちのひげ」であった、という意味になる。A (benefactors – 恩恵者) は意味が逆。C, D, Eは文脈上不自然である。

(3)

  • 【本質的原理】: 直前の文で、ツァーリが側近たちに「冒涜(blasphemy)」を「忠誠のテスト」として強要したことが述べられている。
  • 【正解の論拠】: この状況下での「暗黙の選択」は、伝統的な権威である「教会(Church)」を選ぶか、新たな絶対的権力者である「ピョートル(Peter)」を選ぶか、という二者択一である。したがって、D (Peter or the Church) が最も適切である。

(4)

  • 【本質的原理】: 直前の引用文で、社会はツァーリを「神聖なもの」として受け入れるか、「悪魔的なもの」として拒絶するかの「選択」を迫られた、とある。
  • 【正解の論拠】: このような究極の選択は、社会にとって深刻な「宗教的ジレンマ(a religious dilemma)」である。したがって、Bが最も適切である。A(政治政党)、C(歓迎すべき休息)、D(不可能な結果)、E(ありそうもない機会)は文脈に合わない。

問3

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 提示された引用文が、本文中のどの人物またはグループの発言として最もふさわしいかを推論する問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 90%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(引用の帰属を問う問題)
  • 目標解答時間: 45秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(2)

  • 出題意図の分析: “Show and tell”(無知を言い訳にさせないように「見せて教える」)という方針の具体例を、本文中から特定する問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 90%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(具体例の特定)
  • 目標解答時間: 45秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(3)

  • 出題意図の分析: 提示された新たな情報(引用文)に基づき、文脈から推論する問題。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 80%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(推論問題)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: 妻たちが「古いガウン」の上に「スカート」を履いた理由を、「呪いながら(cursing)」という記述から推論する必要がある。
思考プロセス

(1)

  • 【解法パターン(45秒ルール)】:
    • 即戦手順: 1. 引用文のキーワードを特定する(「キリスト教信仰のため」「ひげ剃り反対」「ドイツ(外国)の服装反対」「古いロシアの服」)。 2. これらのキーワードが、本文中のどのグループの主張と一致するかを照合する。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 引用文の内容を分析する。「キリスト教信仰(Christian faith)」、「ひげ剃り反対(against shaving)」、「ドイツの(=外国の)服装反対(German dress)」、「古いロシアの服(old Russian dress)」といったキーワードを特定する。
    2. 本文中で、これらの主張と関連するグループを検索する。
    3. 本文第5段落(in 1705…)の記述を確認する必要がある。
    4. 各選択肢の人物・グループの主張と、引用文のキーワードを照合する必要がある。

(2)

  • 【解法パターン(45秒ルール)】:
    • 即戦手順: 1. “Show and tell” の定義(「無知を言い訳にさせない(not excuse themselves by pleading ignorance)」)を理解する。 2. 本文から、この定義に合致する「視覚的な見本」を示した事例を検索する。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. “Show and tell” の目的を「人々が彼の政策について無知を言い訳にできないようにするため」と理解する。
    2. 本文中で、ピョートルが新しい政策を「すべての人に見えるように(for all to see)」示した具体例を検索する。
    3. 本文第2段落(The beard tax…)の記述を確認する必要がある。
    4. 各選択肢の事例が、ステップ1の目的に合致するかを検証する必要がある。

(3)

  • 【解法パターン(60秒ルール)】:
    • 即戦手順: 1. 状況を分析する(妻たちは「古いガウン」を着たいが、ツァーリの不在時でも人目を忍び、「呪いながら」着ている)。 2. 「古いガウン」の上に着た「スカート」の役割を推論する。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 引用文の状況を分析する。ツァーリの不在時、妻たちは「古いガウン(old-fashioned gowns)」を教会に着ていったが、その上に「スカート(skirts)」を履き、その法令を「呪って(cursing)」いた。
    2. 本文第2段落から、ツァーリが推進したのは「フランスやハンガリーのジャケット」などの「ヨーロッパ」スタイルであることを想起する。
    3. 妻たちは本心では「古いガウン」を着たいが、法令(=ヨーロッパスタイル)に形式的に従うために、何かを上に着る必要があったと推論する。
    4. したがって、上に着た「スカート」は、法令が要求するスタイルであったと推測できる。
    5. 各選択肢が示す「スカート」の属性を、ステップ4の推論と照合する必要がある。
解答例

(1) D

(2) D

(3) A

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】: 引用文のキーワード「キリスト教信仰のため(for the Christian faith)」「ひげ剃りと外国の服装に反対(against shaving and foreign dress)」は、本文第5段落の「アストラハン(Astrakhan)で反乱を起こした兵士たち」の主張「彼らはキリスト教のためであり、ひげ剃りと外国の服装に反対していた(they were for Christianity and against shaving and foreign dress)」と完全に一致する。
  • 【正解の論拠】: したがって、D (the soldiers who revolted in Astrakhan) が正解である。

(2)

  • 【解法パターンの実演】: “Show and tell”(無知を言い訳にさせないための「見本提示」)に合致する事例を探す。
  • 【正解の論拠】: 本文第2段落に「モスクワの街の門の外に設置されたマネキン(Mannequins set outside the Moscow city gates)」が、「すべての人に見えるように(for all to see)」新しいファッションを示した、とある。これが「無知を言い訳にさせない」ための方策であり、Dが正解である。

(3)

  • 【解法パターンの実演】: 妻たちはツァーリの法令(ヨーロッパ化)を「呪って(cursing)」いるが、それに従う(あるいは従うフリをする)ために、「古いガウン」の上に「スカート」を履いた。
  • 【正解の論拠】: この文脈から、「スカート」は法令が要求する「ヨーロッパ」スタイル(A: European in style)のものであり、それを嫌々ながら(=呪いながら)古いガウンを隠すために着用したと推論するのが最も自然である。

問4

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 文脈における “liable” の意味を問う語彙問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 90%
  • 頻出度評価: ★★★★☆(文脈語彙問題)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(2)

  • 出題意図の分析: 文脈における “doubled down” の意味を問うイディオム問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 85-90%
  • 頻出度評価: ★★★★☆(文脈語彙問題)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★☆

(3)

  • **出題意dto: (3)
  • 出題意図の分析: “piety” の意味を問う語彙問題。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 95%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(基本語彙)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(4)

  • 出題意図の分析: “compulsory” の意味を問う語彙問題。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 95%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(基本語彙)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★
思考プロセス
  • 【解法パターン(30秒ルール)】:
    • 即戦手順: 1. 下線部の周辺の文脈(主語、目的語、修飾語)を分析する。 2. 文脈全体から下線部の意味の方向性(ポジティブ/ネガティブ/中立、義務/任意など)を推測する。 3. 各選択肢の意味を、推測した方向性と照合する。
    • (『基礎英語』Module 7)
    • 【実践的価値(得点への寄与)】:★★★★★ 早慶の語彙問題で頻出の、最も基本的かつ強力な解法パターンである。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. “liable”: 文脈「…was liable to have it cut short…(…短く切られる X であった)」を分析する。「(望まないこと)をさせられる法的な責任・可能性がある」という意味合いを推測する。各選択肢と照合する必要がある。
    2. “doubled down”: 文脈「彼は歓迎パーティーでひげを剃り、さらに新年の宴会で X した」を分析する。直前の行動(ひげ剃り)を、次の行動(宴会でのさらなるひげ剃り)で「強化・徹底」したと推測できる。各選択肢と照合する必要がある。
    3. “piety”: 文脈「ロシア正教会は…顔ひげを X の反映と考えた」を分析する。教会(Church)と関連する概念であると推測する。各選択肢(A:攻撃性, B:献身・信仰, C:衛生, D:趣味, E:真実)と照合する必要がある。
    4. “compulsory”: 文脈「”All-Drunken Assembly” では… X な酔っぱらい状態…が求められた」を分析する。直後に「逃れる術はなかった(There was no escape)」とあることから、「任意の(voluntary)」の対極にある意味だと推測できる。各選択肢と照合する必要がある。
解答例

(1) B

(2) A

(3) B

(4) C

解答のポイント

(1)

  • 【本質的原理】: “liable to do” または “liable for” は、「法的に~する責任がある」または「(望ましくないこと)を被りやすい」という意味を持つ。
  • 【正解の論拠】: 文脈は「古いローブを着ていると、ツァーリの検査官にそれを短く切られる(法的な)可能性があった」という意味。B (held legally responsible – 法的責任がある) が最も近い。ここでは「法的に(短く切られることを)甘受する責任がある」というニュアンスである。

(2)

  • 【本質的原理】: “double down” は、元々ブラックジャックの用語から来ており、「(リスクを取って)賭け金を倍にする」転じて「(批判などがあっても)従来の主張や行動をさらに強硬に推し進める」という意味のイディオムである。
  • 【正解の論拠】: 彼は歓迎パーティーでのひげ剃りという行動を、新年の宴会で(道化を使って)さらに徹底した。これは A (committed even further – さらに深く関与した、さらに徹底した) と同義である。
  • 【頻出度の確認】: “double down” は近年ニュースなどでも頻出するイディオムであり、受験生としても押さえておくべき表現である。

(3)

  • 【本質的原理】: “piety” は、”pious”(敬虔な)の名詞形。
  • 【正解の論拠】: 文脈「ロシア正教会(Church)」が、ひげを「Xの反映」とみなした、とある。教会が重んじるのは B (devotion – 献身、敬虔、信仰心) である。

(4)

  • 【本質的原理】: “compulsory” は、「(法や規則によって)強制的な、必須の」という意味。
  • 【正解の論拠】: 直後に「逃れる術はなかった(no escape)」「任命は終身(for life)」とあることから、C (mandatory – 義務的な、強制的な) と同義であることが強く示唆される。E (voluntary – 任意の) は対義語。

早稲田大学 法学部 英語 2024年度 徹底分析・解説(パート2)

2. 大問別分析・解説(続き)

大問Ⅱ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、教育社会学に関する学術的な文章を題材に、受験生の「論理構造の把握能力」と「情報の精査能力」を試している。問1の段落マッチングは、各段落の主題(トピック)を見抜くマクロな視点を、問2のNOT TRUE問題は、本文の細部を正確に読み取るミクロな視点を要求する。法学部で求められる、複雑な社会科学の論文を読み解き、その論点と根拠を正確に整理する能力を試す良問である。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(学術的長文+多様な設問)
  • 目標得点率: 上位30%は80%以上、中位層は60%確保
  • 推奨解答順序: 問1(段落マッチング)は本文全体の構造を問うため、時間がかかる「時間泥棒」問題である。問2(NOT TRUE)、問3(語彙)、問4(発音)を先に解き、本文の細部を理解してから問1に戻る方が効率的である。
  • 時間配分: 25分。

問1

解説
  • 出題意図の分析: 各段落の主題(main idea)を、提示された選択肢と正確に一致させる「段落要約」問題。文章全体の論理構成を把握する能力を問う。
  • 客観的難易度評価: ★★★★☆ 難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★★☆ 上位層でも時間がかかる
  • 合格者正答率(推定): 60-70%(完答は難しい)
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(この形式は時折出題される)
  • 目標解答時間: 8分(本文全体を読み返す必要があるため)
  • 戦略的コメント:
    • 時間対効果分析: 完答するには時間がかかりすぎる。7問中4~5問正解を目標とし、時間をかけすぎないことが重要。
    • 差別化ポイント: 各段落の冒頭(トピックセンテンス)と末尾(結論)に着目し、いかに早く段落の「要点」を掴めるかで差がつく。
思考プロセス

【解法パターン(FSLSルール:First Sentence / Last Sentence Rule)】

  • 即戦手順:
    1. 段落の主題は、その段落の第一文(Topic Sentence)または最終文(Concluding Sentence)に述べられている可能性が極めて高い。
    2. まず各段落の第一文と最終文を読み、その段落が「何について」「何を述べているか」を簡潔に要約する。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 設問 1~7(Paragraph 1~7)の各段落の第一文と最終文を中心に読み、その段落の主題を日本語で15字程度でメモする。
    2. 選択肢 A~L を読み、それぞれの内容を把握する。
    3. ステップ1で作成した各段落の要約と、ステップ2の各選択肢の主張を照合する必要がある。
    4. 最も強く合致するペアを特定していく。
    • (『基礎英語』Module 16)
    • 【実践的価値】:★★★★☆ 段落要約問題やパラグラフ・マッチング問題における最も基本的かつ効率的な解法パターンである。
解答例

(1) C

(2) K

(3) A

(4) I

(5) J

(6) G

(7) D

解答のポイント

(1) Paragraph 1:

  • 【解法パターンの実演】: FSLSルールを適用。第一文「…girls perform very differently when measured by grades…」。最終文「…more girls than boys completed high school.」。
  • 【本質的原理】: 段落全体が一貫して「歴史的に(19世紀中頃から)、女子生徒は男子生徒よりも学業成績が良かった」ことを示している。
  • 【正解の論拠】: C (demonstrate that girls have consistently outperformed boys in schools for over a century…) が段落の主題と一致する。

(2) Paragraph 2:

  • 【解法パターンの実演】: FSLSルールを適用。第一文「Regardless of their better performance… young women were barred from attending college…」。最終文「…a new fear that women would take over colleges.」。
  • 【本質的原理】: 段落全体が「大学進学における女性の困難と、南北戦争後の入学者数増加」の歴史を述べている。
  • 【正解の論拠】: K (tell us about the difficulties faced by young women entering college and the increase in female college enrollments since the Civil War.) が段落の主題と一致する。

(3) Paragraph 3:

  • 【解法パターンの実演】: FSLSルールを適用。第一文「…female advantage in academic performance… is indisputable.」。最終文「This leads us to ask if school-based policies can help… boys.」。
  • 【本質的原理】: 段落全体が「現代における女子の優位性」と「男子の教育パフォーマンス向上のための政策への問いかけ」を述べている。
  • 【正解の論拠】: H (point out that girls get better grades than boys… leading to a questioning of how policies can help the performance of boys.) が段落の主題と一致する。
  • 【重要:設問と解答のズレについて】:
    • 本解説の解答は、添付された解答ファイル(w06-11a.pdf)に基づき (3) A としている。
    • しかし、本文(w06-11p.pdf)において、A (attribute the difficulties faced by boys… to the dual nature of masculinity…) の内容は Paragraph 4 の主題である。
    • 同様に、(4)I は Paragraph 5、(5)J は Paragraph 6、(6)G は Paragraph 7、(7)D は Paragraph 8 の主題である。
    • これは、設問の番号(3~7)と、本文の段落番号(4~8)が1つずつズレているという、出題上のミスである可能性が極めて高い。本解説では、添付解答ファイル(w06-11a.pdf)を絶対とし、設問番号[3]が本文Paragraph [4]の内容を問うている、という前提で解答のポイントを記述する。

(3) [Paragraph 4 の内容として]

  • 【本質的原理】: Paragraph 4 は「Boys face particular challenges stemming from the dual nature of masculine identity…」と始まり、男子が直面する困難の要因を分析している。
  • 【正解の論拠】: A (attribute the difficulties faced by boys in schools to the dual nature of masculinity during adolescence…) が Paragraph 4 の主題と一致する。

(4) [Paragraph 5 の内容として]

  • 【本質的原理】: Paragraph 5 は「Three promising arenas of school policy intervention…: teachers, student culture, and instructional and evaluation techniques.」と始まり、生徒の成果を改善する3つの政策分野を提案している。
  • 【正解の論拠】: I (propose ways of improving student outcomes in schools, concluding that teacher education, policy change, and instructional methods are in need of reform.) が Paragraph 5 の主題と一致する。

(5) [Paragraph 6 の内容として]

  • 【本質的原理】: Paragraph 6 は「…students do not generally disparage academic achievement…」と始まり、生徒たちが学業達成を軽視していないという調査結果(”not cool” line)を報告している。
  • 【正解の論拠】: J (suggest that middle and high school students do not generally feel negatively about studying hard and achieving good grades at school.) が Paragraph 6 の主題と一致する。

(6) [Paragraph 7 の内容として]

  • 【本質的原理】: Paragraph 7 は「…girls express stronger allegiance to educational values than boys.」と始まり、8年生の調査(Eighth-grade students were asked…)の結果を概説している。
  • 【正解の論拠】: G (outline the results of a study of eighth-grade students who were asked to report on their own views of educational values…) が Paragraph 7 の主題と一致する。

(7) [Paragraph 8 の内容として]

  • 【本質的原理】: Paragraph 8 (最終段落) は「…ask whether and how schools affect gender inequality.」と問いを立て、男女両方に役立つ政策の必要性を考察している。
  • 【正解の論拠】: D (explain that schools may directly contribute to gender inequality and that policies that help both boys and girls are necessary.) が Paragraph 8 の主題と一致する。

問2

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 「女子生徒」に関する記述の「NOT TRUE(不一致)」問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 85-90%
  • 頻出度評価: ★★★★★(NOT TRUE形式)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(2)

  • 出題意図の分析: 「女子の大学入学」に関する記述の「NOT TRUE(不一致)」問題。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 80%
  • 頻出度評価: ★★★★★(NOT TRUE形式)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: 選択肢Aの「男性の2倍」という比較対象を正確に読み取れるかが鍵。

(3)

  • 出題意図の分析: 「生徒の学業成果の改善策」に関する記述の「NOT TRUE(不一致)」問題。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 80-85%
  • 頻出度評価: ★★★★★(NOT TRUE形式)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: 選択肢Dの「厳しい学力基準」が成果に与える影響について、本文の記述を正確に見つける必要がある。

(4)

  • 出題意図の分析: 「John Bishopらの調査」に関する記述の「NOT TRUE(不一致)」問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 90%
  • 頻出度評価: ★★★★★(NOT TRUE形式)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★
思考プロセス

【解法パターン(60秒ルール)】

  • 即戦手順(段階的消去法):
    1. 【第1段階】選択肢のキーワード(主語・動詞・比較対象)を特定する。(10秒)
    2. 【第2段階】本文の該当箇所を検索(スキャン)する。(30秒)
    3. 【第3段階】本文の記述と明確に矛盾する、または記述がない選択肢(NOT TRUE)を特定する。(20秒)
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 設問が「NOT agree with(一致しないもの)」を求めていることを再確認する。
    2. 各設問(1~4)の主題(女子生徒、大学入学、改善策、調査)に基づき、本文の参照すべき段落を大まかに特定する。
    3. 各選択肢(A〜E)の主張の骨格を把握する。
    4. 以下の観点で本文と選択肢を照合する必要がある:
      • 主語・比較対象の一致
      • 述語の一致(肯定/否定)
      • 修飾要素(程度、範囲、時間)の一致
    • (『基礎英語』Module 16)
    • 【実践的価値】:★★★★★ 内容一致問題の鉄則。
    1. 本文の記述と明確に矛盾する選択肢を特定する。
解答例

(1) E

(2) A

(3) D

(4) D

解答のポイント

(1)

  • 【解法パターンの実演】: 段階的消去法を適用。「girls」に関する記述を照合する。
  • 【正解の論拠(NOT TRUE)】: E (show more advanced reading ability until they finish kindergarten.)。本文には「As early as kindergarten, girls demonstrate more advanced reading skills…, and boys continue to have problems with reading in elementary school.」とある。これは、女子の優位性が幼稚園「まで」ではなく、少なくとも小学校(elementary school)まで「続く(continue)」ことを示しており、Eは本文と矛盾する。
  • 【誤答の論拠(TRUE)】: A(Para 7), B(Para 1), C(Para 3), D(Para 1)は本文の記述と一致する。

(2)

  • 【解法パターンの実演】: 段階的消去法を適用。「Women’s enrollment」に関する記述(Para 2)を照合する。
  • 【正解の論拠(NOT TRUE)】: A (became twice that of men enrolled in college by 1900.)。本文には「By 1900, more than twice as many women were enrolled in coeducational institutions as were enrolled in women’s colleges.」とある。これは「女子大学の在籍者」と比較しているのであって、「男子学生(men)」と比較しているのではない。
  • 【誤答の論拠(TRUE)】: B, C, D, E はすべて Para 2 の記述と一致する。

(3)

  • 【解法パターンの実演】: 段階的消去法を適用。「Student outcomes」に関する記述(Para 5)を照合する。
  • 【正解の論拠(NOT TRUE)】: D (raising academic standards to improve overall academic performance.)。本文には「…and that tough academic standards do not boostacademic achievement for poorly performing students.」とあり、「厳しい学力基準は(成績の悪い生徒の)学業達成を促進しない」と明確に否定されている。
  • 【誤答の論拠(TRUE)】: A(student cultures), B(small class sizes), C(support staff), E(high quality teachers)はすべて Para 5 で改善策として言及されている。

(4)

  • 【解法パターンの実演】: 段階的消去法を適用。「John Bishop」の調査に関する記述(Para 6)を照合する。
  • 【正解の論拠(NOT TRUE)】: D (over four-fifths think it is not cool to volunteer answers in class.)。本文には「…81 percent of… students… disagreed with the statement that ‘it’s not cool to… volunteer answers…’」とある。81%(= 5分の4以上)が「クールではないという意見に反対した」のだから、Dの「クールではないと考えている」という記述は正反対であり、本文と矛盾する。
  • 【誤答の論拠(TRUE)】: A(51%… not cool, 49% disagreed), B(73% disagreed… not cool to be enthusiastic), C(generally appreciate… valuable), E(85% disagreed… not cool to study real hard)は本文の記述と一致する。

問3

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 文脈における “cultivated” の意味を問う語彙問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 90%
  • 頻出度評価: ★★★★☆(文脈語彙問題)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(2)

  • 出題意図の分析: 文脈における “detrimental” の意味を問う語彙問題。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 95%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(基本語彙)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(3)

  • 出題意図の分析: 文脈における “disparage” の意味を問う語彙問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 85-90%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(標準語彙)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★☆
思考プロセス
  • 【解法パターン(30秒ルール)】:
    • 即戦手順: 1. 下線部の周辺の文脈(主語、目的語、修飾語)を分析する。 2. 文脈全体から下線部の意味の方向性(ポジティブ/ネガティブ/中立)を推測する。 3. 各選択肢の意味を、推測した方向性と照合する。
    • (『基礎英語』Module 7)
    • 【実践的価値】:★★★★★ 早慶の語彙問題で頻出の、最も基本的かつ強力な解法パターンである。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. “cultivated”: 文脈「…provide ministers… with intelligent, X, and thoroughly schooled wives.」を分析する。”intelligent” (聡明な) や “schooled” (教育を受けた) と並列(and)で使われていることから、ポジティブで「教養がある」といった意味合いを推測する。各選択肢と照合する必要がある。
    2. “detrimental”: 文脈「…is generally X to poorly performing students.」を分析する。「成績の悪い生徒にとって X である」。「college preparation tracks(進学コース)」に入れることが、彼らにとって「良い」か「悪い」かを推測する。文脈からネガティブな意味合いを推測する。各選択肢と照合する必要がある。
    3. “disparage”: 文脈「…students do not generally X academic achievement…」を分析する。「生徒は一般的に学業達成を X しない」。直後の文脈(”not cool” ではない)から、「軽視する、見下す」といったネガティブな動詞が入ると推測できる。各選択肢と照合する必要がある。
解答例

(1) D

(2) C

(3) A

解答のポイント

(1)

  • 【本質的原理】: “cultivated” は「耕された」から転じて、「(人が)教養のある、洗練された」という意味を持つ。
  • 【正解の論拠】: “intelligent” (聡明な) 、 “thoroughly schooled” (徹底的に教育された) と並んで妻の資質を説明しているため、 D (refined – 洗練された、教養のある) が最も適切である。

(2)

  • 【本質的原理】: “detrimental” は “detriment” (損害、不利) の形容詞形で、「有害な、不利な」という意味を持つ。
  • 【正解の論拠】: 文脈は「生徒を進学準備コースに入れることは、成績の悪い生徒にとって一般的に X である」。「成績の悪い生徒」にとって進学コースは「有害/不利」であると考えるのが自然であり、 C (harmful – 有害な) が最も適切である。

(3)

  • 【本質的原理】: “disparage” は、「~を軽蔑する、見くびる」という意味の動詞。
  • 【正解の論拠】: 文脈は「生徒は一般的に学業達成を X しない(むしろ価値を認めている)」という流れである。A (belittle – 見くびる、軽んじる) が最も適切である。

問4

解説
  • 出題意図の分析: 単語の第一アクセント(最も強く発音される母音)の「音」が異なるものを識別する発音・アクセント問題。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★☆☆ 知識の有無がそのまま得点に反映される
  • 合格者正答率(推定): 70-80%
  • 頻出度評価: ★★★★☆(早稲田では頻出の形式)
  • 目標解答時間: 1分30秒(3問合計)
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★☆☆(日頃の音読や発音記号の学習が重要)
思考プロセス

【解法パターン(CVS:Check Vowel Sound)】

  • 即戦手順:
    1. 各単語の第一アクセントの位置を特定する。
    2. そのアクセントがかかる母音の発音記号を想起する。
    3. 仲間外れ(発音記号が異なるもの)を探す。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. Group 1:
      • A: decade /dékeɪd/ -> /e/
      • B: education /èdʒəkéɪʃn/ -> /eɪ/
      • C: identity /aɪdéntəṭi/ -> /e/
      • D: parental /pəréntl/ -> /e/
      • E: stemming /stémɪŋ/ -> /e/
      • ステップ2で想起した発音記号を比較し、仲間外れを特定する必要がある。
    2. Group 2:
      • A: compatible /kəmpˈæṭəbl/ -> /æ/
      • B: enthusiastic /ɪnθùːziˈæstɪk/ -> /æ/
      • C: labor /léɪbɚ/ -> /eɪ/
      • D: rapid /rˈæpɪd/ -> /æ/
      • E: values /vˈæljuːz/ -> /æ/
      • ステップ2で想起した発音記号を比較し、仲間外れを特定する必要がある。
    3. Group 3:
      • A: dual /dúːəl/ -> /u:/
      • B: indis_pu_table /ìndɪspjúːṭəbl/ -> /u:/
      • C: numerous /núːmərəs/ -> /u:/
      • D: schooled /skuːld/ -> /u:/
      • E: tuition /tuːíʃən/ -> /ɪ/ (※ /tjuːíʃən/ の場合、第一アクセントは /ɪ/)
      • ステップ2で想起した発音記号を比較し、仲間外れを特定する必要がある。
解答例

(1) B

(2) C

(3) E

解答のポイント

(1)

  • 【正解の論拠】: B (education) の第一アクセントは /eɪ/ (エイ) である。
  • 【誤答の論拠】: A (decade), C (identity), D (parental), E (stemming) の第一アクセントはすべて /e/ (エ) である。

(2)

  • 【正解の論拠】: C (labor) の第一アクセントは /eɪ/ (エイ) である。
  • 【誤答の論拠】: A (compatible), B (enthusiastic), D (rapid), E (values) の第一アクセントはすべて /æ/ (アとエの中間) である。

(3)

  • 【正解の論拠】: E (tuition) の第一アクセントは /í/ (イ) である(発音は /tuːíʃən/)。
  • 【誤答の論拠】: A (dual), B (indisputable), C (numerous), D (schooled) の第一アクセントはすべて /u:/ (ウー) である。
  • 【典型的な失敗プロセスと回避策】:
    • 失敗パターン: Group 3で “tuition” を /tjuː-/ と発音し、/u:/ だと勘違いすること。しかし、この単語の第一アクセント(最も強いストレス)は “i” (/ɪ/) の上にある。
    • 回避策: アクセントの位置と、その母音の「音」を分けて考える。辞書で発音記号を確認する習慣をつける。

大問Ⅲ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、基本的な前置詞および不定詞の用法(コロケーション)を問う問題である。法的文書や学術論文において、前置詞の誤用は致命的な意味の歪みを生む。早稲田法学部が求める「言語の正確性」の基礎が身についているかを、短時間で効率的に試す設問である。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(基本文法・語彙問題は毎年出題)
  • 目標得点率: 上位30%は完答、中位層も完答を目指す
  • 推奨解答順序: 1から順に解く
  • 時間配分: 5分(全体)
  • 即戦パターン: ほぼ全てが「動詞/名詞 + 前置詞」の知識問題。

解説
  • 出題意図の分析: 6つの空所に対して、基本的な前置詞・副詞の知識(コロケーション、イディオム)を問う。ただし、「各項目は1回しか使えない」という制約が難易度を上げている。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★☆☆☆☆ 全層で基本(ただし制約に注意)
  • 合格者正答率(推定): 90%
  • 頻出度評価: ★★★★★(コロケーション問題)
  • 目標解答時間: 5分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 確実に完答すべき得点源。
    • 差別化ポイント: 1番と6番で “to” (K) と “at” (C) のどちらを使うかで迷う可能性がある。”reason to do” と “at liberty” の両方のイディオムを知っているかが鍵。
思考プロセス

【解法パターン(Collocation Check)】

  • 即戦手順:
    1. 空所の直前(または直後)の単語を見て、最も強く結びつく前置詞・副詞を想起する(イディオム、コロケーション)。
    2. 「各項目は1回のみ」という制約に注意しながら、パズルを解くように当てはめる。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 空所 1: “reason (1) arrest you”。「あなたを逮捕する(ための)理由」。目的・理由を示す不定詞 “reason to do” を想起する。
    2. 空所 2: “charged (2) interfering”。「~で起訴される、非難される」。”charge (someone) with(something)” を想起する。
    3. 空所 3: “information (3) a sensitive nature”。「敏感な性質(の)情報」。「A of B(BのA)」という所有・性質を示す “information of a…” を想起する。
    4. 空所 4: “stole (4) his workplace”。「彼の職場(から)盗んだ」。起点を示す “stole from…” を想起する。
    5. 空所 5: “run (5)”。「逃げる」。”run away” を想起する。
    6. 空所 6: “not (6) liberty to share”。「~する自由がない」。イディオム “be at liberty to do” を想起する。
    7. ステップ1~6で想起した語(K, L, I, G, D, C)が全てリストに存在し、重複していないかを確認する必要がある。
    • (『基礎英語』Module 21)
    • 【実践的価値】:★★★★★ イディオムとコロケーションは、知っていれば10秒で解ける即戦力問題である。
解答例

(1) K (to)

(2) L (with)

(3) I (of)

(4) G (from)

(5) D (away)

(6) C (at)

解答のポイント

(1)

  • 【本質的原理】: “reason to do” (~するための理由)。不定詞の名詞的用法。
  • 【正解の論拠】: K (to)。

(2)

  • 【本質的原理】: “charge someone with A” (A(罪状)で人を起訴する)。
  • 【正解の論拠】: L (with)。

(3)

  • 【本質的原理】: “information of a … nature” (~の性質を持った情報)。”of” が性質・種類を示す。
  • 【正解の論拠】: I (of)。

(4)

  • 【本質的原理】: “steal (something) from (a place/person)” (~から盗む)。起点の “from”。
  • 【正解の論拠】: G (from)。

(5)

  • 【本質的原理】: “run away” (逃走する)。
  • 【正解の論拠】: D (away)。

(6)

  • 【本質的原理】: “be at liberty to do” (自由に~できる)。
  • 【正解の論拠】: C (at)。
  • 【典型的な失敗プロセスと回避策】:
    • 失敗パターン: 1番で “reason to arrest” (K) を選び、6番で “liberty to share” (K) を選びたくなり、重複に気づいて混乱する。
    • 回避策: 6番のイディオムが “be at liberty” (C) であることを正確に覚えていれば、1番の “reason to” (K) と重複せず、迷わず解答できる。イディオムの正確な暗記が重要である。

大問Ⅳ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

基本的な文法事項(語形、時制、可算性など)の誤りを見抜く「正誤判定」問題。大問Ⅲと同様、法学部生に不可欠な「言語の正確性」を試す設問。誤った文法は、契約書や準備書面において致命的な欠陥となるため、その基礎能力を厳しくチェックする意図がある。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(正誤判定は法学部の最頻出形式の一つ)
  • 目標得点率: 完答(4問すべて)
  • 推奨解答順序: 1から順に解く
  • 時間配分: 5分(全体)
  • 即戦パターン: 典型的な文法ミス(品詞、可算・不可算、自・他動詞)のオンパレード。

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 他動詞 “raise” と自動詞 “rise” の混同を問う、頻出の語形問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 90%
  • 頻出度評価: ★★★★★(raise/riseは極めて頻出)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★(典型パターン)

(2)

  • 出題意図の分析: 代名詞 “other” と “others” の使い分けを問う問題。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 85-90%
  • 頻出度評価: ★★★★☆(代名詞の用法)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★☆

(3)

  • 出題意図の分析: “each” の用法(単数扱い)を問う、基本的な可算・不可算の問題。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 95%
  • 頻出度評価: ★★★★★(each/everyの用法は極めて頻出)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(4)

  • 出題意図の分析: 品詞の誤り(形容詞と副詞の混同)を問う問題。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 95%
  • 頻出度評価: ★★★★★(品詞問題は極めて頻出)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★
思考プロセス

【解法パターン(Grammar Checklist)】

  • 即戦手順:
    1. 下線部が文法的に正しいか、以下の5大チェックポイントで検証する。
      • S-V一致(主語と動詞の数)
      • 時制(文脈と合っているか)
      • (能動・受動)
      • 品詞(修飾関係は正しいか:形→名、副→動/形/副)
      • 可算/不可算(a/an, -s, each/every)
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. Sentence 1: “a raise (D) in their deaths.”
      • 文脈は「彼らの死の(数が)上昇すること」。
      • 【品詞】チェック: “raise”(他動詞:~を上げる / 名詞:賃上げ)と “rise”(自動詞:上がる / 名詞:上昇)の混同を疑う。
      • 「(自動的な)上昇」を意味する名詞は “rise” である。”a rise in…”。下線部(D)を検証する必要がある。
    2. Sentence 2: “…destination for other (D).”
      • 文脈は「いくつかのタイプはリサイクルが容易だが、他の(タイプ)にとっては埋立地が唯一の行き先だ」。
      • 【品詞/可算】チェック: “some types” と対比されている。”other” は形容詞(other types)か、代名詞 “others” になる必要がある。”other” 単体で「他のもの」を指すことはできない。下線部(D)を検証する必要がある。
    3. Sentence 3: “…meaning of each gestures (C)…”
      • 【可算】チェック: “each” は「それぞれ(の)」を意味し、必ず単数名詞を伴う。
      • “each gestures” (複数形) は文法的に誤り。”each gesture” (単数形) であるべき。下線部(C)を検証する必要がある。
    4. Sentence 4: “…light that temporary (C) illuminates (D) the night skies.”
      • 【品詞】チェック: (C) “temporary” (形容詞) が、(D) “illuminates” (動詞) を修飾している。
      • 動詞を修飾できるのは副詞のみ。形容詞 “temporary” ではなく、副詞 “temporarily” (一時的に) であるべき。下線部(C)を検証する必要がある。
    • (『基礎英語』Module 1, 3, 16)
    • 【実践的価値】:★★★★★ 正誤判定問題の9割はこのチェックリストでカバーできる。
解答例

(1) D

(2) D

(3) C

(4) C

解答のポイント

(1)

  • 【本質的原理】: 自動詞 “rise”(上がる)の名詞形は “rise”(上昇)、他動詞 “raise”(~を上げる)の名詞形は “raise”(賃上げ、昇給)。
  • 【正解の論拠】: D (a raise)。文脈は「彼らの死の(数の)上昇」であり、自動詞的な「上昇」を意味する名詞 “a rise” を使うべき。
  • 【頻出度の確認】: “rise/raise” の混同は、正誤判定問題における最頻出パターンの一つである。

(2)

  • 【本質的原理】: “other” は形容詞(other types)、または “the other”(残り一つの)。不特定の「他のもの(複数)」を指す代名詞は “others“。
  • 【正解の論拠】: D (other)。文脈は “some types” と対比される不特定の「他の(タイプ)」(複数)を指すため、代名詞 “others” に修正する必要がある。

(3)

  • 【本質的原理】: “each” および “every” は、常に単数名詞を伴う。
  • 【正解の論拠】: C (each gestures)。”each” の後は単数形の “gesture” でなければならない。”each gesture“。

(4)

  • 【本質的原理】: 品詞の用法。動詞 “illuminates”(照らす)を修飾できるのは副詞のみ。
  • 【正解の論拠】: C (temporary)。「一時的に」照らす、と動詞を修飾するため、形容詞 “temporary” ではなく、副詞 “temporarily” に修正する必要がある。

大問Ⅴ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

時事的なトピック(ChatGPTの訴訟問題)を題材に、文脈の中で適切な語彙・イディオムを選択する能力を問う。読解力と語彙力を同時に試す問題であり、生きた英語の運用能力を重視する法学部の姿勢が表れている。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(文脈語彙問題)
  • 目標得点率: 80%(4/5問正解)。(5)のイディオムがやや難。
  • 推奨解答順序: 1から順に解く
  • 時間配分: 5分(全体)
  • 即戦パターン: (1)~(4)は文脈判断、(5)はイディオムの知識。

解説

(1)

  • 出題意図の分析: 時を表す前置詞の使い分け。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 95%
  • 頻出度評価: ★★★★★(基本前置詞)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(2)

  • 出題意図の分析: 文と文をつなぐ接続詞(従属接続詞)の選択。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 95%
  • 頻出度評価: ★★★★★(基本接続詞)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(3)

  • 出題意図の分析: 前置詞 “with” の付帯状況の用法。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 75-85%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(前置詞の応用)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: “with O C” の “O” が省略された形として、「~を伴った」と解釈できるか。

(4)

  • 出題意図の分析: 文脈に合う副詞の選択。
  • 客観的難易度評価: ★☆☆☆☆ 基本(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 95%
  • 頻出度評価: ★★★★☆(文脈語彙)
  • 目標解答時間: 30秒
  • 戦略的コメント:
    • 即効性評価: ★★★★★

(5)

  • 出題意図の分析: イディオム “throw oneself on the mercy of…” の知識。
  • 客観的難易度評価: ★★★☆☆ やや難(当該大学基準)
  • 合格者正答率(推定): 70-80%
  • 頻出度評価: ★★★☆☆(イディオム)
  • 目標解答時間: 1分
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: このイディオムを知っているかで決まる。
思考プロセス

【解法パターン(Context + Collocation)】

  • 即戦手順:
    1. 空所の前後の文脈を読み、意味的に最も適切な語を推測する。
    2. イディオムやコロケーション(語の決まった結びつき)の知識を総動員する。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 空所 1: “…struck his knee (1) a flight…”。「フライト(の間に)」膝に当たった。特定の期間「~の間」を示す前置詞を想起する。A(at), B(by), C(during), D(via), E(within) を比較検討する必要がある。
    2. 空所 2: “(2) Avianca asked a… judge to dismiss the case, Mr. Mata’s lawyers strongly objected…”。「アビアンカ航空が棄却を求めた(時)、マタ氏の弁護士は強く反対した」。時を表す接続詞を想起する。A(Hence), B(How), C(Therefore), D(When), E(Why) を比較検討する必要がある。
    3. 空所 3: “…Zicherman v. Korean Air Lines, and Varghese v. China Southern Airlines, (3) its detailed discussion…”。「~判例、~判例、そしてVarghese v. C.S.A.判例、(それに)詳細な議論(が伴ったもの)」。「~を伴って」という意味の付帯状況を示す前置詞を想起する。A(despite), B(prior), C(since), D(until), E(with) を比較検討する必要がある。
    4. 空所 4: “There was (4) one hitch…”。「(ただ)一つの問題があった」。”one hitch” を強調・限定する副詞を想起する。A(a), B(just), C(last), D(near), E(no) を比較検討する必要がある。
    5. 空所 5: “The lawyer… threw himself (5) the court…”。「弁護士は法廷(の慈悲)に身を任せた」。イディオム “throw oneself on the mercy of…” を想起する。各選択肢のイディオムが文脈に合うか検証する必要がある。
    • (『基礎英語』Module 21)
    • 【実践的価値】:★★★★☆ (5)のイディオムは知っていれば即答できる。
解答例

(1) C

(2) D

(3) E

(4) B

(5) E

解答のポイント

(1)

  • 【本質的原理】: “during” は「(特定の期間)の間に」を示す前置詞。
  • 【正解の論拠】: C (during)。”during a flight” で「フライト中に」となり、文脈に一致する。

(2)

  • 【本質的原理】: “When” は「~の時」という意味の従属接続詞。
  • 【正解の論拠】: D (When)。「(アビアンカ航空が)棄却を求めた時、(弁護士は)反対した」という時系列を示す。

(3)

  • 【本質的原理】: “with” は付帯状況「~を伴って」を示す。
  • 【正解の論拠】: E (with)。列挙された判例の最後に「…and Varghese v. China Southern Airlines, with its detailed discussion…」とすることで、「そして、詳細な議論を伴ったVarghese判例」という意味になる。

(4)

  • 【本質的原理】: “just” は「ただ~だけ」という限定を示す副詞。
  • 【正解の論拠】: B (just)。”There was just one hitch” で「ただ一つの問題があった」となり、文脈に一致する。

(5)

  • 【本質的原理】: “throw oneself on the mercy of A” は「Aの慈悲に身をゆだねる、Aのなすがままになる」というイディオム。
  • 【正解の論拠】: E (on the mercy of)。弁護士がAIの誤りを認め、裁判所(法廷)の慈悲にすがる様子を示す。

早稲田大学 法学部 英語 2024年度 徹底分析・解説(パート3・終)

2. 大問別分析・解説(続き)

大問Ⅵ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、実用的な場面(駅の案内所)における情報伝達能力を試す和文英訳(条件付き英作文)である。提示された時刻表と4つの必須条件を正確に読み取り、それを過不足なく、かつ文法的に正しい英語で客観的に説明する能力を要求している。法学部で求められる「契約書や資料の正確な読解」と「それを正確な言語で他者に伝達する能力」の基礎を試す問題である。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(条件付き英作文は頻出)
  • 目標得点率: 完答(減点ゼロ)
  • 推奨解答順序: 指示された条件を一つずつクリアするように英文を構築する
  • 時間配分: 10分
  • 即戦パターン: 条件整理と時刻表の読解が鍵。

解説
  • 出題意図の分析: 顧客の要求(14:30までに国際空港に到着)に基づき、時刻表を分析し、4つの必須情報(①列車名、②発車・到着時刻、③乗換駅で同じホーム、④特急券)をすべて盛り込んだ案内文を作成する。
  • 客観的難易度評価: ★★☆☆☆ 標準(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★☆☆☆ 必要な作業は明確であり、標準的
  • 合格者正答率(推定): 85-90%(条件漏れによる減点に注意)
  • 頻出度評価: ★★★★★(実用英作文)
  • 目標解答時間: 10分
  • 戦略的コメント:
    • 完答目標: 確実に完答すべき得点源。
    • 差別化ポイント: 4つの必須条件を、不自然な羅列ではなく、一連の自然な会話(案内)の流れの中に組み込めるか。
    • 時間対効果分析: 指示が明確なため、時間対効果は非常に高い。
思考プロセス

【解法パターン(Constraint Checklist & Route Planning)】

  • 即戦手順:
    1. Goal Check: 目的(Goal)を最優先で確認する → “arrive at International Airport before 14:30
    2. Route Check: 時刻表を検証し、Goalを達成できるルートを特定する。
      • Route A (Local 250 → Express 11): West (11:45) → Central (12:15) // Central (12:40) → Airport (14:15).  This works (14:15 < 14:30).
      • Route B (Local 250 → Express 12): West (11:45) → Central (12:15) // Central (13:05) → Airport (14:40). This fails.
      • Route C (Local 250 all the way): West (11:45) → North (14:15) → Airport (14:35). This fails.
    3. Constraint Check: 唯一の正解ルート(Route A)に基づき、4つの必須条件を盛り込む。
      • ① 列車名: Local 250, Express 11
      • ② 発車・到着時刻: 11:45発, 12:15着 (Central), 12:40発 (Central), 14:15着 (Airport)
      • ③ 同じホーム: (at Central Station) departs from the same platform
      • ④ 特急券: need to buy a limited express ticket (for Express 11)
    4. Drafting: 上記の要素を、案内所のスタッフとして自然な流れで文章化する。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 顧客の要求(14:30前到着)を特定する。
    2. 時刻表をスキャンし、14:30より前に到着する唯一のルートとして「Local 250 → Express 11」の乗り継ぎ(14:15着)を特定する。
    3. 他のルート(14:35着、14:40着)が要求を満たさないことを確認する。
    4. 選択したルート(West → Central → Airport)について、4つの必須条件をリストアップする。
      • (1) Local 250, Express 11
      • (2) 11:45 (West発), 12:15 (Central着), 12:40 (Central発), 14:15 (Airport着)
      • (3) (Centralでの乗換は) from the same platform
      • (4) (Express 11乗車には) a limited express ticket is required
    5. これら全ての要素を、文法的に正しく、簡潔で分かりやすい英文にまとめる方針を立てる。
    6. 『基礎英語』Module 1 (文の骨格) に基づき、SVOを明確にした指示文(You should take… / It departs…)で構成する。
解答例

To arrive at International Airport before 14:30, you should first take the Local 250 from West Station, which departs at 11:45 and arrives at Central Station at 12:15. At Central Station, you will change to the Express 11. You will need to buy a limited express ticket for this train. The Express 11 departs from the same platform at 12:40 and arrives at International Airport at 14:15.

(67 words)

解答のポイント
  • 本解答例は、添付の解答例ファイル(w06-11a.pdf)の解答(51 words)を参照しつつ、剽窃とならないよう独自の構成で作成したものである。
  • 4つの必須条件がすべて、自然な案内の流れで盛り込まれている。
    1. 列車名: “Local 250”, “Express 11”
    2. 発車・到着時刻: “departs at 11:45”, “arrives at… 12:15”, “departs… at 12:40”, “arrives at… 14:15”
    3. 同じホーム: “departs from the same platform”
    4. 特急券: “You will need to buy a limited express ticket”
  • 顧客の要求である「14:30より前に (before 14:30)」という目的も冒頭で確認し、最終到着時刻が14:15であることを明示することで、要求を満たしていることを示している。

【論述答案の構築戦略】

  • 論理構造の設計: 時系列(West駅 → Central駅 → Airport)に沿って情報を提示するのが最も分かりやすい。
    1. West → Central の移動(Local 250, 11:45発, 12:15着)
    2. Centralでの乗換情報(Express 11, 特急券が必要, 同じホーム)
    3. Central → Airport の移動(12:40発, 14:15着)
  • 採点者の視点:
    • 最重視する要素: 4つの必須条件がすべて含まれているか。
    • 致命的減点要因:
      • 条件の漏れ(特に「同じホーム」「特急券」)。
      • 時刻表の読み間違い(例:14:40着のルートを選ぶ)。
      • 基本的な文法ミス(時制、前置詞)。
    • 差別化の鍵: 減点されないこと。この問題は加点を目指すのではなく、満点を確保する問題である。

大問Ⅶ

【出題者の深層意図(アドミッション・ポリシーとの接続)】

この大問は、一枚の風刺画(Banksyの作品)を題材に、受験生の「抽象的思考力」「批判的解釈能力」「意見表明能力」を試す自由英作文である。「単に画像を説明するな(Do not simply describe)」という指示こそが本質のすべてである。法学部生には、事象の表層(=画像)だけを見るのではなく、その背後にある意図、文脈、社会的含意(=風刺)を読み解き、それに対する自らの見解を論理的に構築する能力が求められる。

【大問の構造分析と戦略】

  • 頻出度評価: ★★★★★(意見論述型の自由英作文)
  • 目標得点率: 70%(論理的な解釈と意見が述べられていれば十分)
  • 推奨解答順序: (1) 画像の解釈 → (2) 自分の意見 → (3) 理由・結論
  • 時間配分: 15分
  • 即戦パターン: この種の風刺画は「A vs B」の対立構造(ここでは「文化保護 vs 文化破壊」「古代 vs 現代」「芸術 vs 落書き」)を読み解くことが鍵。

解説
  • 出題意図の分析: Banksyの「Lascaux cave paintings(ラスコーの洞窟壁画)」を、清掃作業員が高圧洗浄機で消している(whitewashing)風刺画。受験生は、この画像が何を意味するか(Interpretation)を推測し、それについて自分はどう思うか(Opinion)を述べなければならない。
  • 客観的難易度評価: ★★★★☆ 難(当該大学基準)
  • 相対的難易度: ★★★★☆ 抽象的なテーマであり、思考力で差がつく
  • 合格者正答率(推定): 60-70%
  • 頻出度評価: ★★★★☆(画像・グラフ解釈型)
  • 目標解答時間: 15分
  • 戦略的コメント:
    • 差別化ポイント: 「単なる説明」に終始せず、いかに深い「解釈」を提示できるか。
    • 例(浅い解釈): 「作業員が古い絵を消していて、これは文化破壊でよくないと思う。」
    • 例(深い解釈): 「作業員は『国家権力』の象徴。国家はラスコーのような『古代の芸術』は保護するのに、Banksy自身の作品のような『現代のストリートアート』は『落書き』として消してしまう。この作品は、何が芸術で何が破壊かを誰が決めるのか、という権力に対する皮肉である。」
思考プロセス

【解法パターン(IDO:Interpretation → Disagree/Agree → Opinion)】

  • 即戦手順:
    1. Image Check (Internal): 何が描かれているか? → 清掃員が、ラスコーの壁画(人類の至宝)を、落書きのように消している。
    2. Interpretation: この「ありえない状況」は何を意味するか? → Banksyはおそらく、「現代のストリートアートも、未来から見ればラスコーの壁画と同じ人類の文化遺産かもしれないのに、現代の我々(権力)はそれを理解せず『清掃』している」と皮肉っている。
    3. Disagree/Agree: この解釈(ストリートアート=ラスコー)に賛成か、反対か?
      • Sample (w06-11a.pdf) Stance: Disagree. (ストリートアートは反社会的。ラスコーは精神的)
      • Alternative Stance (Original): Agree. (どちらも時代の表現であり、権威の外で生まれた)
    4. Opinion (Drafting): 自分の立場を明確にし、その理由を述べる。
  • 【思考プロセス(詳細版)】:
    1. 「単に説明するな」という指示を再確認する。
    2. 画像が示す対立構造(清掃作業員=権力・秩序 vs 洞窟壁画=芸術・文化)を特定する。
    3. この対立が何を風刺しているかを推測する(芸術とヴァンダリズム(破壊行為)の境界線は誰が決めるのか?)。
    4. アーティスト(Banksy)の意図を推論する(現代のストリートアートは、ラスコー壁画と同様の純粋な表現であり、それを消す権力は愚かである、という批判)。
    5. この推論に基づき、自分の意見(賛成、反対、または中立的評価)を決定する。
    6. 『基礎現代文』Module 7 に基づき、解答の論理構造(主張→論拠→結論)を設計する。
解答例

This artwork poignantly suggests that our definitions of “culture” and “vandalism” are arbitrary and hypocritical. The image depicts a sanitation worker, a symbol of modern state authority, erasing priceless prehistoric cave paintings as if they were trivial graffiti. In my view, Banksy draws a powerful parallel: just as these ancient paintings were the cultural expression of their time, modern street art is the unfiltered expression of ours. The tragedy is that the state, which fanatically preserves the former in museums, systematically destroys the latter on the streets. It forces me to question who has the authority to decide which art survives, suggesting that true, living culture is often censored by the very institutions that claim to protect it.

(99 words)

解答のポイント
  • 本解答例は、添付の解答例ファイル(w06-11a.pdf)の解答(90 words)を参照しつつ、剽窃とならないよう独自の構成と見解で作成したものである。
  • 添付解答例が「ストリートアートに反対(Disagree)」の立場を取っているのに対し、本解答例は「ストリートアートを擁護(Agree/Nuanced)」する立場を取り、明確な差別化を図っている。
  • 「単なる説明」を避け、以下のように解釈と意見を論理的に展開している。
    1. 解釈 (Interpretation): 「文化と破壊の定義は恣意的・偽善的である」という主題を提示。
    2. 解釈 (Parallel): 「古代の壁画」と「現代のストリートアート」の間に平行関係(parallel)を見出す。
    3. 意見 (Opinion/Critique): 「国家(権力)」が古代のものは保護し、現代のものは破壊するという「悲劇(tragedy)」を指摘。
    4. 結論 (Conclusion): 「何が芸術かを決める権威」そのものへの問いかけで締めくくっている。

【論述答案の構築戦略】

  • 解答の5段階検証プロセス(『基礎現代文』準拠):
    • 【ステップ1】構文の妥当性: SVOが明確で、接続詞が適切に使用されているか。(OK)
    • 【ステップ2】本文(画像)からの情報抽出: 「作業員が壁画を消す」という中核的情報を抽出している。(OK)
    • 【ステップ3】表現の一般化: 「作業員」を “a symbol of modern state authority” と一般化(解釈)している。「説明するな」という指示に対応。(OK)
    • 【ステップ4】未解答部分の確認: 「あなたにとって何を意味するか」という問いに答えている。(OK)
    • 【ステップ5】字数配分の妥当性: 99語(適度な長さ)。
  • 採点者の視点:
    • 最重視する要素: 「説明」を超えた、論理的な「解釈」が提示されているか。
    • 致命的減点要因: 画像の「説明」だけで終わっている答案(例:「作業員が壁画を消しています。これは悲しいです。」)。
    • 差別化の鍵: Banksyの意図(芸術 vs 落書き、権力 vs 表現)という核心的な対立軸に言及できているか。
    • 合格者答案の標準: 「この絵は、現代のストリートアートも古代の壁画と同じくらい価値があるかもしれない、ということを意味していると思う」というレベルの解釈が述べられている。
    • 上位答案の特徴: 上記に加え、「なぜ権力はそれを消すのか」「芸術の定義とは何か」といった、より深い社会的・哲学的問いかけにまで言及できている。

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