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はじめに現代文の基本姿勢として、二点のポイントを紹介しよう。
一点目は、客観的に読む、ということである。これは、あなたの意見や主張は聞いていない、ということである。また、同時に出発点でもある。文章を読んで次の問に答えよ、というような文言で始まる現代文科目においては、回答、その全ての根拠を本文中より抽出しなければいけない。また巷で聞く、現代文を実力ではなく運、とする主張は、筆者と回答者の間にある主張の距離によるものである。これが近ければ点数は上がり、遠ければ点数は下がる。そういう意味で、学習を放棄した者にとっては運によって点数の上下する対象として映るのかもしれない。
二点目は、採点基準より逆算する、ということである。これは、採点基準に沿って回答する、ということである。試験というのは、解く(採点)するために作られているのだから、そこには必ず採点の基準が存在する。採点基準を意識した学習を積み・回答をすることで、得点を伸ばすことが可能である。さらにいえば、試験中に採点基準をイメージし、回答できるようにしたい。採点基準は、模試であれば解答・解説の冊子に記載されているし、入試であれば(東大をはじめとする難関大に限られるが)各予備校の解答速報より共通項を探ることで確認できる。
また、この基本姿勢は、他の教科でも同様に当てはまるものである。例えば、数学においては回答指針を示すことによって同じ計算ミスでも得点が変わることがあったり、英語において文法知識の確認が不明と理由で「意訳」による減点・不正解、がこれにあたる。
いわゆる「授業」に該当する記事を、「基礎講座」として扱っています。過去問解説では、どうしても一対一の対処療法的なものになってしまいます。その点、「基礎講座」では体系的に受験レベルの基本情報を扱います。
大学受験に際する情報を全て暗記すると膨大ですが、知識の使い方を応用することで、覚えるべき情報は減らすことができます。「基礎講座」では、本質を抑えることで、最小の情報で最大の効果、を目指しています。ぜひ、科目に対する基本知識の習得にお役立てください。
早稲田大学の法学部は私立大学の枠組みで限定すれば、数少ない難関国公立大学レベルの問題を課している。抽象性の高い単語で、背景知識の活用が困難な本文が採用されて非常に読みにくい。また、選択肢も綺麗に構造化されているとは言え、難易度が高く、記述式問題のような採点基準を意識した比較・検討をしなければならない。旧帝大学の過去問演習を十分にしていれば対応可能であろうが、早慶以外を第一志望とする私立文系や非旧帝大学(一部除く)を第一志望としている学生は、受験しても受験者平均が限界だろう。
準備中
年度 | 教科 | 科目 | 配点 | 受験者平均点 | 合格最低点 | |
2024 | 外国語 | 英語 | 60 | 150 | 25.616 | 89.5 |
国語 | 50 | 27.605 | ||||
地歴・公民または数学 | 日本史 | 40 | 23.955 | |||
世界史 | 28.1175 | |||||
政治・経済 | 21.811 | |||||
数学 | 154.307 | |||||
2023 | 外国語 | 英語 | 60 | 150 | 28.173 | 90.25 |
国語 | 50 | 23.613 | ||||
地歴・公民または数学 | 日本史 | 40 | 22.932 | |||
世界史 | 27.723 | |||||
政治・経済 | 22.673 | |||||
数学 | 159.243 | |||||
2022 | 外国語 | 英語 | 60 | 150 | 26.844 | 89.895 |
国語 | 50 | 27.268 | ||||
地歴・公民または数学 | 日本史 | 40 | 22.598 | |||
世界史 | 25.176 | |||||
政治・経済 | 21.323 | |||||
数学 | 121.034 | |||||
年度 | 試験科目 | 配点 | 受験者平均点 | 合格最低点 |
ここ3年間の合格最低点は6割前後(標準化後)、科目別平均点(標準化前)は英語が4−5割・国語が5割前後・選択科目が5ー6割、となっている。合格を考えると0.5%を加えた点数を目標にすると良いだろう。
選択科目においては、科目間で平均点のバラツキがあることから、最低でも6割を目標にしたい。とはいえ、目標点は、英語が6割・国語が6.5割前後・選択科目が7割、合計点を6.5割から7割程度を基本として、平均点に応じて変動と考えるのが妥当であろう
2024年後の現代文について、易化、であることは間違いない。予備校の講評や分析はともかく、受験者平均点からも国語の試験としては簡単であることが分かる。現代文においても、比較的文章は読み易く、選択肢は同じような構造になっているため比較しやすい。本格的な対策をしてきた受験生であれば、最大でも3問ミス(漢字を除く)・記述問題も7割から8割は固いので、全体として現代文は6.5割から7割の得点率であるだろう。
ただし、これは早稲田大学法学部を基準とした分析であることに留意されたい。現代文は、もはや不自然な程にテクニックの好まれる科目である。そのため、背景知識や謎の法則によって「本文を読まない」、選択肢と本文を繰り返し比較し「本文を読まない」といった、本文を読むことを諦める戦略、採点基準や設問の意図に依拠しない「選択肢や本文の抜き出しによる記述解答」といった問と答の関係を無視した記述、こうした指針で回答している方は含まない。
基本的な対策としては、主に旧帝大学と言った難関国公立大学の現代文で演習を積むことをオススメする。同難易度の問題は私大で出題されることはなく、早大現代文として早稲田大学という枠組み演習を積んでも効果は期待できないだろう。旧帝大が難しければ、地方国立大学でもよい。記述問題が中心である国立大学の現代文は模範解答が回答例であり、採点基準に対する意識を高めることができるだろう。
具体的な方法としては、上記「基礎講座」を参照いただきたい。簡易的に記述すると、ディスコースマーカーをヒントに文章構造を解析し、設問から採点基準を導出した上で回答する。
知識問題のため解説省略
a:頑迷 b:翻
Aについてブルーノが宇宙をどのように考えていたか、Bについてブルーノが世界をどのように考えていたか、Eについてルネサンスの天文学者が元来宇宙をどのように考えていたか、をそれぞれ考える問題。
文章全体に係るテーマであるため、文章構造を意識した読解を心がけていれば難易度はさほど高くはない。設問を事前に確認しておき、文章を読みながら選択肢を限定していくと良い。
ニ:A 無限 B 複数 E 有限
この問題で考えたいのは、時間配分、である。この傍線部までの本文情報では情報が足りないかもしれない。が、回答不能だろうか、という視点である。
不足した情報の中で、どこまで回答が可能か、選択肢を絞り込めるか、といった、可能な範囲内で設問を解き始めることをオススメする。設問を読み飛ばすのではなく、しっかりと向き合うことで、いざ回答根拠の該当箇所に出会った際に確度を高めることができる。
ブルーノの提唱内容に関する説明は、やや後ろに詳述してあり、それを参考にしても良いだろう。おそらく、多くの問題集や過去問解説は、そちらを根拠として解説しているかもしれない。が、あえて特殊な方法を解説する。
この問題に関しては、不安もあるだろうが回答可能であると考えている。
であることから、傍線部直前文・傍線部直後段落から、回答根拠を読み取ることができる。
共鳴対象…コロンブスの内容
共鳴反応…ブルーノの行動
すると、権威主義への批判、を読み取ることができるであろう。選択肢を確認すると、合致する選択肢は一つであるから、問題なく選択できる。
イ:ブルーノはコペルニクスの地動説をコペルニクスとは異なった方法で発展させ、自身の宇宙論を構築し、宗教や学問を根拠づける真理を語るモデルをそこに見出した。
空所を含む文から、「Cを否定して宇宙が無限に広がると主張」とあることから、Cには「宇宙が有限」を指す単語が入ることになる。
二段落後ろの段楽(空所Eを含む)の最終文が解答根拠となる。ルネサンスの学者が一見すると無限性を主張しているように思えるが、それは有限であり、これを否定(放棄)して、無限性を主張したのはブルーノだけだった、という内容である。このルネサンス学者の提唱した内容が「天球概念」と一言で言い換えられていることに気づけるかがポイントになる。
ホ:天球
挿入文の主語が「人間社会」であるから、人間社会をテーマとして、「信」や「知」を検索して該当箇所を認識する、というのがセオリーなのかもしれないが、おそらく、この方法は設問を独立的に解くことによる時間の浪費を懸念する。
こうした問題に関しては、挿入文の内容を把握し、本文を読む中空所が出てきたら適宜確認する、という方法をオススメする。特に今回のような問題はテーマの把握が容易であるから、こうした方法を用いて、時間の節約を意識したい。
問題自体は難しくないので、「挿入文を読み、文章を読んで、空所が出てきたら、挿入文と照らし合わせて確認する」、何の工夫もないが、この手順を丁寧に実行すれさえすれば、難なく解答できるだろう。もし、間違えるようなら、基本的な読解能力を見直した方が良い。
ニ
知識問題のため解説省略
漢字以外の四字熟語問題に関しては、捨て問と考えても良いかもしれない。時間の浪費だけは決して避けなければならない。
ロ:正々流転
傍線部から問われている内容は、中世以来の問題、である。つまり、中世に問題があり、それが現在は無い(解決された?)状態であり、この問題が再発している、というのが傍線部の内容である。「以来」という表現を精密に読み取ることが重要である。また、こうした解釈を経ることで問われている内容は、中世の問題、であることが分かる。
傍線部を含む段落の一つ前の段落に「中世の学者悩ませた問題」とああるので、ここから中世の問題を把握する。
イ:神はなぜ宇宙をわれわれの世界だけに限定し、幾つもの別の世界が存在しうる複数世界として創造しなかったのか。
基本的な解説指針として、内容一致問題に対し個別的に解説は行わない。時間をかけて読み込めば、正解に辿り着くことはできる。また、現代文科目の設問は個別性が高く、ある設問に対して理解したとことで意味はない。
重要なのは、解法の固定化と再現性である。事前に解答指針を明確に固定し、様々な設問で実践を通して訓練を積むことで、あらゆる問題で再現することができる。
とは言え、これだけでは学力の伸長は見込めないであろうから、解法の例を2パターン示しておく。
解法例
早稲田・上智に関しては、時間制約と読解難易が比較的高いことから、「読み返さない場合」をオススメする。難関大の場合は、高い情報処理能力を受験生に求めているためである。
MARCH・関関同立に関しては、時間制約と読解難易が比較的低いことから、「読み返す場合」をオススメする。中堅大の場合は、易しい課題への正確性、を求めているからである。
ロ:ブルーノはコペルニクスに触れることで、コスモロジーの学説にとどまらず、そこから彼自身の知の基礎づけにも呼応する、人間社会を洞察するためのモデルを見出した。
ト:ブルーノは地動説を提示したコペルニクスの考えを発展させ、生成と消滅などの区別が相対的なものであるという発想を得て、宇宙は閉じられることなく地球から恒星までを含む斉一的な空間であることを主張した。
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