【明治 全学部 英語】過去問解説 2021年度 英語

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項目内容
大学・学部明治大学 全学部統一日程
科目英語
年度2021年度
試験時間60分
配点100点
目次

本年度の試験の性格

2021年度の明治大学全学部統一日程における英語は、60分という制限時間の中で総計50問に及ぶ客観式設問を処理させる極めて情報密度の高い試験である。大問構成は長文読解2題と対話文読解1題の計3題からなり、英文全体の総語数は約2,200語に達する。大問一題あたりに配分できる時間は平均して20分前後であり、設問1問あたりの処理時間は1分強に過ぎない。この厳しい時間制約のもとで、単なる表面的な速読ではなく、語彙の文脈依存的な意味判定、構文の正確な把握、文間の論理的結束性の追跡、そして選択肢の精密な照合という多層的な読解技能が同時に要求される。

出題内容の面では、第1問が自然科学系の論説文(動物のアルコール代謝能力と遺伝子変異)、第2問が社会経済系の論説文(農作物窃盗の背景と農業文明・課税制度の歴史的展開)、第3問が映画の脚本を素材とする日常的対話文(状況に応じた語法・口語表現の空所補充)となっており、学術的・論理的文章から生きた口語表現まで幅広い文脈への適応力が試される。難問・奇問に類する知識問題は排除されているものの、標準的な語彙や文法規則を文脈に応じて瞬時に機能させる運用能力の有無が、素点および得点調整後の合否ラインを決定づける性格を有している。

試験の基本情報

項目内容
試験時間60分
配点100点(全問マーク式)
大問構成大問3題(小問総数50問)
解答形式マークシート方式(四者択一中心)
出題素材第1問:自然科学論説文 / 第2問:社会文化論説文 / 第3問:映画対話文

試験時間60分に対して解答数が50問設定されている形式は、私立大学の全学部統一入試において最速水準の処理能力を要求する部類に属する。配点配分は公表されていないものの、設問数および大問の規模から推計して、各問2点均等配分または長文の内容一致・要旨把握設問に傾斜配点が施されていると推定される。いずれの方式であっても、語彙問題での失点を最小限に抑えつつ、後半の内容一致問題で安定して正解を確保する戦略が必須となる。

本年度の出題内容の分析

第1問:自然科学論説文(動物の飲酒行動と遺伝子変異)

出題内容:アフリカゾウが発酵したマルーラの果実を摂取して酔うという長年の俗説に対し、エタノール分解を担うADH7遺伝子の機能不全という分子人類学的知見から再検証を試みる学術記事を素材としている。ツパイの驚異的なアルコール耐性やヒト科の進化史的背景とも対比させつつ、科学的検証の進展を描く。

小問構成:問1〜17の計17問。下線部語彙の同義語選択(問1, 4, 9)、文脈的語彙・表現補充(問2, 5, 6, 8, 10, 11, 12, 13, 14)、文脈的年代推論(問7)、語順整序(問3)、内容一致判定(問15, 16)、全体タイトル選択(問17)。

難度:標準。語彙レベルはCEFR B2水準が中心であり、文構造も平易であるが、設問数が多く素早い処理が求められる。

特筆すべき点:問7のように、第1段落冒頭の「more than a century」という記述を手がかりに実施年(2021年)から逆算して「1875年」を特定させる文脈推論問題や、問11の「family tree(系統樹)」のようなコロケーションの知識が問われている。

第1問は全体として、生物学的な論理展開を正確に追跡しながら、下線部および空所周辺の構文・意味関係を瞬時に同定する処理能力が試されている。17問を18分から20分程度で走破するペース配分が望まれる。

第2問:社会論説文(農作物窃盗と農業・文明の起源・課税)

出題内容:バージニア州のブドウ園で発生した収穫直前のワイン用ブドウ2.5トンの組織的窃盗事件を導入とし、世界各地で頻発する高価値農作物の窃盗実態、農作物を「私有財産未満」と見なす人間心理、そして1万年前に人類が狩猟採集から農耕定住へと移行したことが富の可視化と効率的課税、ひいては文明の発達をもたらした歴史的意義へと考察を展開する論説文。

小問構成:問18〜35の計18問。下線部語彙・成句の同義語判定(問18, 19, 21, 22, 25, 29, 32)、前置詞・副詞・接続詞の空所補充(問20, 23, 24, 26, 31)、下線部換言・具体的内容把握(問27, 28, 30, 33)、内容一致判定(問34, 35)。

難度:標準からやや難。第1問に比べて段落あたりの抽象度が高く、経済学・歴史学・犯罪心理学の視点が複合的に導入されている。

特筆すべき点:問30において「that theft by another name」が指す対象として「taxation(課税)」を正確に特定できるか、また問28において農耕への移行が人類の「net win(正味の勝利)」である理由として文明の便益が損失を上回った点を抽出できるかなど、比喩的・概念的表現を論理的に解釈する力が問われている。

第2問は物語的な導入から学術的・歴史的考察へと論理の位相が変化するため、文脈の転換点を捉える結束性の把握が不可欠である。配分時間は20分から22分が目安となる。

第3問:映画シナリオに基づく口語対話文読解(文法・語法空所補充)

出題内容:映画『恋人までの距離(Before Sunrise)』の脚本から、ヨーロッパを旅行中のアメリカ人青年ジェシーとフランス人女子学生セリーヌが列車内で出会い、言葉を交わしながらウィーン駅で途中下車することを決めるまでの対話場面を抜粋したもの。

小問構成:問36〜50の計15問。すべて対話文中の空所に適切な1語または2語の表現を四者択一で補う形式。代名詞・数量詞(問36, 40)、動詞の時制・相・態(問37, 41, 45, 47, 50)、前置詞・熟語(問38, 39, 42, 46, 48)、法助動詞・否定詞(問43, 49)、文脈的語彙(問44)。

難度:標準。高度な文法規則ではなく、中学から高校標準レベルの文法・語法・イディオムが口語会話の自然な文脈の中で正しく選択できるかを試している。

特筆すべき点:問50の仮定法過去完了の帰結節「we could have done that」、問45の使役受動的な意味合いを持つ受動態「get paid that much」、問47の否定の副詞hardlyに伴う過去形「hardly talked」など、文法的に厳密な呼応関係を対話の速度感の中で見抜く必要がある。

第3問は長文読解に比べて英文の抽象度は低いが、15問の空所が存在するため、1問あたり40秒から50秒、全体で10分から12分程度で迷わずに正解を選び抜く反射的な文法運用力が合否の分かれ目となる。

本年度で問われた判断原理

本年度の試験において合否を分けた中核的な判断原理は、第一に「多義語・未知語の文脈依存的意味決定」である。第1問の問1「skeptical」や問4「build up」、第2問の問19「figured」、問25「spiked」、問29「signaled」など、下線部語彙の多くは辞書的な第一義の知識のみでは即答できず、前後の文脈における主語の性質、目的語との共起関係、対比される概念を手がかりに意味を限定する処理が不可欠であった。

第二の原理は「論理的結束性と指示・照応関係の特定」である。第1問の問3における整序英作文では「make it + 形容詞 + for + 意味上の主語 + to 不定詞」という形式目的語構文の統語的必然性を見抜くことが要求された。また第2問の問30では、指示代名詞「that」が前文の「crops were suddenly visible, and each harvest signaled a new tax season」という課税制度の成立過程を承けていることを見抜く照応把握が解答の根拠となった。

第三の原理は「選択肢の言い換え構造の識別と誤答パターンの排除」である。本学の内容一致問題(第1問問15, 16、第2問問34, 35)では、本文の語句をそのまま使った選択肢がしばしば因果関係の逆転や極端な一般化(言い過ぎ)を含む誤答として設計されており、逆に正解選択肢は本文の語句を抽象度の高い同義表現に適切に言い換えたものとなっている。この選択肢生成の論理を理解し、本文に書かれていない情報の付加や論理のすり替えを厳格に排除する判定原理が機能したかどうかが高得点達成の分岐点となった。

本年度の誤答パターンと時間配分の実態

本年度の試験において受験生が陥りやすい典型的な誤答パターンは以下の四点に集約される。

第一に「辞書的第一義の機械的代入による誤答」である。第2問の問19「figured」において、即座に「形作った(shaped)」や「耐えた(withstood)」を選んでしまう誤りや、問29「signaled」を単なる合図と狭く捉えて「発表した(announced)」への言い換えを躊躇する事例が散見される。文脈上「$50,000の損害が生じたと見積もった(estimated)」、「収穫が新しい納税の時期の到来を告げた(announced)」という論理関係を文全体から読み取れない場合、誤答選択肢に誘導される。

第二に「一般常識や先入観に基づく内容一致判定の誤答」である。第1問の問15において、選択肢A「科学者たちは1世紀以上にわたり、ゾウが新鮮な果実で酔うと信じてきた」を選んでしまう誤りがある。本文第1段落では科学者はむしろ懐疑的(skeptical)であったと述べられており、かつ問題となっているのは発酵した果実(fermented fruit)であって新鮮な果実(fresh fruit)ではない。細部の限定条件を見落とすことで失点が生じる。

第三に「対話文における直訳的アプローチによる停滞」である。第3問の空所補充において、文法規則やコロケーションを体系的に参照せず、日本語訳のニュアンスだけで選択肢を検討すると、問40「other language」、問42「took four years of French」、問45「get paid that much」などで類似の選択肢(another, got, paidなど)との区別に迷い、貴重な時間を浪費する結果となった。

時間配分の実態としては、第1問に25分以上を費やしてしまい、第2問の読解が粗くなって内容一致で失点を重ね、さらに第3問の15問を残り5分程度で慌ててマークせざるを得なくなるという崩壊パターンが最も典型的な失敗例である。理想的な時間配分は、第1問を18分、第2問を22分、第3問を12分で処理し、残り8分を入念なマークミス確認および判断に迷った設問の再検討に充てる配分である。

対応するカリキュラムの構成

本年度の試験で要求された判断課題は、明治大学全学部統一英語特化カリキュラムの各モジュールと以下のように精密に対応している。

第1問の問1・問4・問9、第2問の問18・問19・問21・問22・問25・問29・問32の文脈的語彙判定は、個別講座[個別 M01](基本語彙の文脈依存的意味判定)および[個別 M02](熟語・比喩表現の文脈判定)に直接連動する。多義語の原義から文脈上の機能を導出する判断原理がそのまま適用される。

第1問の問3の整序英作文は[個別 M05](整序英作文の構造把握)に対応し、形式目的語構文の要素配列を骨格から決定する手順が活用される。第1問の問2・問8・問12、第2問の問20・問23・問24・問26・問31の前置詞・接続詞・論理語句補充は[個別 M03](論理接続表現の空所判定)および[個別 M04](前置詞・イディオムの空所判定)の枠組みで完全に処理できる。

第2問の問27・問28・問30における下線部換言・指示内容把握は[個別 M07](指示語・言い換えの照応特定)に直結する。代名詞や抽象名詞が先行するどの文脈的情報を凝縮しているかを特定する判断が解答を導く。

第1問の問15・問16、第2問の問34・問35の内容一致・不一致判定は[個別 M08](内容一致判定の情報照合)および[個別 M09](英問英答の要旨把握)に対応し、本文の該当段落の走査から選択肢の言い換え判定に至る照合フローが機能する。

第1問の問17の全体タイトル選択は[個別 M10](主題選択の要旨統合)に対応し、第1段落の問題提起から最終段落の結論に至る論理的重心を統合して適切な標題を決定する処理に合致する。

第3問の問36〜問50の口語対話文における語法・構文空所補充は、[個別 M04]の前置詞・イディオム判定、[個別 M06]の文間論理配列における談話機能の把握、そして選択肢のトラップを瞬時に見抜く[個別 M11](選択肢言い換え判定と誤答排除の判断体系)が横断的に適用される。

【前提知識】

多義語の文脈的語義決定

基本語彙が文脈によって特定の意味に限定される際、統語構造(他動詞か自動詞か、後続する前置詞は何か)および意味論的共起関係(主語や目的語が抽象概念か具体物か)を分析して語義を絞り込む手順を確立しておく必要がある。

参照: [基礎 M30]

形式目的語構文と文構造の把握

「動詞 + it + 形容詞/名詞 + for + 意味上の主語 + to 不定詞」などの特殊構文において、形式目的語 it が真の目的語である to 不定詞句を後置している統語構造を識別し、語順の必然性を導出する能力を前提とする。

参照: [基礎 M01]

談話の論理接続と結束性

文章中の指示代名詞(this, that)や接続表現が担う論理関係を正確に追跡し、文と文、段落と段落の結束性を把握することで、部分的な語句の意味を文章全体の主張の中に正しく位置づける読解力を要する。

参照: [基礎 M18]

大問別解説

第1問 解説

【戦略的情報】

難易度:標準

目標解答時間:18分(問1〜14:各45秒、問15〜16:各2分、問17:1分30秒)

出題意図:自然科学系の英文記事を素材として、語彙・文法・構文把握・文脈推論・内容一致・標題決定という読解に必要な全要素を網羅的に測定し、時間制約下での情報処理の正確性と速度を評価する。

【思考プロセス】

状況設定:全50問の長丁場における最初の大問である。ここで時間を超過すると全体の時間戦略が崩壊するため、語彙や文法主体の小問群は迷わずに即断し、後半の内容一致問題に十分な照合時間を残す意識で臨む。

レベル1:初動判断

本文を通読する前に設問群全体を素早く俯瞰する。問1から問14までは本文の進行順に配置された下線部語彙・空所補充・整序英作文であり、本文読解と並行して順次解答していく方針を立てる。問15と問16は内容一致問題、問17は全体タイトル問題であるため、これらの設問文および選択肢のキーワード(問15:scientists, elephants, drunk / 問16:tree shrews, tolerance, Phyllis Lee)をあらかじめ視野に入れてから本文読解を開始する。

レベル2:情報の取捨選択

読解と解答の手順ログ:

第1段落:ゾウが発酵した果実で酔うという話(Stories of drunken elephants)は1世紀以上前(more than a century)から存在するが、科学者は懐疑的(skeptical:問1)であった。しかし遺伝子変異(gene mutation)により真実である証拠が出現した。

→ 問1解答:skeptical「懐疑的な」= doubtful(B)。

第2段落:ADH7遺伝子はエタノール分解を助ける。エタノールは人を酔わせる(make someone drunk:問2)アルコールである。ゾウはこの遺伝子の機能不全(breakdown)を持つ。この変異を持つことは、ゾウの体がエタノールを分解することをより困難にするかもしれない(make it harder for elephants’ bodies to break down ethanol:問3)。

→ 問2解答:make + O + C(形容詞)より drunk(D)。

→ 問3解答:語順整序の骨格は make it harder for elephants’ bodies to break down ethanol。3番目の単語は bodies(A)。

第3段落:重要遺伝子の不全(failure)は、エタノールが動物の血液中に蓄積する(build up:問4)ことを容易にする。

→ 問4解答:build up「蓄積する」= accumulate(C)。

第4段落:イッカク、ウマ、モルモットも同様の傾向を持つ。ゾウはマルーラの果実を貪食してほろ酔い(tipsy)になるかどうかの議論が再燃した。マルーラはマンゴー(mangoes:問5)の近縁種である。

→ 問5解答:文脈および常識的分類(植物・果実の近縁)から mangoes(C)。

第5段落:過熟した果実を過食した後に異常な行動(behaving oddly:問6)をとるゾウの記述は、少なくとも1875年(1875:問7)に遡る。実験でエタノール入り水を飲むと千鳥足になり攻撃的になった。

→ 問6解答:酔った結果の行動であるため「異常に」oddly(C)。

→ 問7解答:第1段落の「go back more than a century」と「2021年の入試」から、1世紀以上前(100年以上前)に該当する年号は 1875(A)のみ。

第6段落:2006年の研究者はゾウの泥酔を神話として攻撃した。人間が酔う(get a buzz)基準で計算したところ、一度に膨大な量を食べる必要があり物理的に不可能とされた。しかしその計算は人体の働き方(how:問8 the human body works)に基づいていた。ゾウのADH7が機能しないなら耐性はもっと低い。

→ 問8解答:how the human body works「人体がどのように機能するか」(A)。

第7段落:着想の契機はツパイ(tree shrews)であった。ツパイはアルコールに対する莫大な耐性(huge tolerance)を持ち、人間なら泥酔する濃度でも影響を受けない(don’t affect:問9)。研究者は哺乳類の遺伝子情報を精査(examine:問10)することにした。

→ 問9解答:affect「影響を与える」= influence(B)。

→ 問10解答:examine「調査・精査する」(B)。

第8段落:79種の遺伝データを調査したところ、ADH7は哺乳類の系統樹(family tree:問11)上の10の独立した地点で機能を失っていた。

→ 問11解答:family tree「系統樹」(D)。

第9段落:ヒトやアフリカの霊長類はエタノール分解能力が40倍高い変異を持つ。アイアイも同様の能力を進化させた。しかしツパイがなぜ酒豪の能力を持つのかは謎のままである(remains a mystery:問16の照合点)。

第10段落:ゾウにおける遺伝子機能不全の発見は、エタノール排出の速度(rate at which:問12)を遅くし、少量の発酵果実でも酔うことを可能にする。

→ 問12解答:at the rate of より関係代名詞の前置詞は at(A)。

第11・12段落:ケニアでゾウを観察してきた行動生態学者(behavioral ecologist:問13)のフィリス・リーは、神話論争で一方の側につく(take sides:問14)ことはしないが、ゾウの巨大な肝臓の解毒作用に疑問を呈し、酔ったゾウは見たことがないと述べる。

→ 問13解答:文脈上、野生動物を長期観察・研究している専門職として behavioral ecologist(A)。

→ 問14解答:take sides「味方をする、一方の側につく」(D)。

レベル3:解答構築

残る大問全体に関わる問15、16、17を確定する。

問15(内容一致):2006年の科学者チームは「人体のデータ(data on how the human body works)」に基づいて計算したため、ゾウのアルコール耐性を誤って高く見積もった(=酔うのに必要な果実の量を過大に計算した)ことが第6段落に明記されている。したがって「In 2006 scientists may have miscalculated the amount of fruit needed to get elephants drunk」と合致するCが正解。

問16(内容一致):第9段落末尾の「What gives tree shrews their drinking superpower, however, remains a mystery」に完全に合致する「Scientists still don’t know why tree shrews have such a high tolerance for alcohol」のBが正解。

問17(タイトル選択):本文全体は、ゾウやアルマジロなどの哺乳類がADH7遺伝子の機能不全によってアルコールに酔いやすい可能性を最新の遺伝子研究から論じたものである。したがって「Why elephants and armadillos might easily get drunk」のAが最も主題を包括している。

【解答】

問1: B

問2: D

問3: A

問4: C

問5: C

問6: C

問7: A

問8: A

問9: B

問10: B

問11: D

問12: A

問13: A

問14: D

問15: C

問16: B

問17: A

【解答のポイント】

問1[下線部同義語]

正解の論拠:下線部(1) skeptical は「懐疑的な、疑いを持っている」を意味する形容詞である。文脈上、ゾウのような巨体が酔うほど大量の果実を食べられるはずがないと科学者が疑っていた文脈であり、Bの doubtful が同義である。

誤答の論拠:A(convinced:確信している)は正反対の意味である。C(excited:興奮した)、D(upset:取り乱した)は懐疑の感情を表さない。

問2[文脈的語形選択]

正解の論拠:使役動詞 make + 目的語 someone に続く補語(C)の位置である。空所の直前でエチルアルコール(ethanol)の説明をしており、「人を酔った状態にさせる種類のアルコール」という意味を形成するため、状態を表す形容詞(過去分詞由来)の drunk(D)が適切である。

誤答の論拠:A(drank)は過去形であり補語になれない。B(drink)は原形動詞(不定詞)であり「誰かに飲ませる」という意味になり文脈に合わない。C(drinking)は現在分詞で進行中の動作を示し不自然である。

問3[語順整序]

正解の論拠:文脈は「その機能不全に陥った遺伝子を受け継ぐことは、ゾウの体がエタノールを分解することをより困難にするかもしれない」である。構文は形式目的語構文 make it + 形容詞(harder)+ 意味上の主語(for elephants’ bodies)+ 真の目的語(to break down ethanol)となる。完全な語順は「make it harder for elephants’ bodies to break down ethanol」であり、与えられた選択肢の中で並べ替えると「for, elephants’, bodies, to, break, down, ethanol」となる。したがって3番目に位置する単語は bodies(A)である。

誤答の論拠:B(break)は5番目、C(ethanol)は7番目、D(for)は1番目となるため誤り。

問4[下線部同義語]

正解の論拠:下線部(4) build up は「蓄積する、積み上がる」を意味する句動詞である。エタノールが分解されずに血中に蓄積するという文脈であり、Cの accumulate が完全な同義語である。

誤答の論拠:A(accommodate:収容する、適応させる)、B(accomplish:達成する)、D(acquire:習得する、獲得する)はいずれも「徐々に体内に蓄積する」という意味を持たない。

問5[文脈的語彙推論]

正解の論拠:空所(5)を含む文「That’s a relative of ( 5 ).」において、That は直前の「marula fruit(マルーラの果実)」を指している。植物学的な分類としてマルーラ果実の親戚・近縁種を述べている箇所であるため、果実の名称である mangoes(C)が必然的に入る。

誤答の論拠:A(alcohol)やB(horses)は果実の近縁種になり得ない。D(trees)はカテゴリーが広すぎて「relative of」の対象として不適切である。

問6[文脈的副詞選択]

正解の論拠:空所(6)は「overripe fruit(熟しすぎた果実)」を貪食した後にゾウがどのような行動をとったかを表す。直後の文で「千鳥足になり(swayed more)」、「より攻撃的になった(more aggressive)」と記述されていることから、通常とは異なる行動をとったことがわかる。したがって「異常に、奇妙に」を意味する oddly(C)が正解となる。

誤答の論拠:A(clearly:明白に)、B(normally:通常どおり)、D(quickly:素早く)はいずれも酔っ払った動物の異常行動の描写として成立しない。

問7[文脈的年代推論]

正解の論拠:第1段落の冒頭に「Stories of drunken elephants go back more than a century.(酔っ払ったゾウの話は1世紀以上前に遡る)」と記述されている。本試験が実施された2021年から100年以上前の年代は、選択肢の中で 1875(A)のみである。

誤答の論拠:B(1925年:約96年前)、C(1975年:約46年前)、D(2025年:未来)はいずれも「1世紀以上前(more than a century ago)」の条件を満たさない。

問8[関係詞・間接疑問の語法]

正解の論拠:前置詞 on の目的語となる名詞節を導く接続詞である。文脈は「人体の機能の仕方、人体がどのように働くかについてのデータ」を意味するため、様態・方法を表す how(A)が適切である。how the human body works で一つの完全な名詞節を形成する。

誤答の論拠:B(what)は works の後に目的語を要求するが work はここでは自動詞であるため構造上不可。C(where)、D(why)は文脈上「どこで」「なぜ」機能するかとなり不自然である。

問9[下線部同義語]

正解の論拠:下線部(9) affect は「〜に影響を及ぼす」を意味する他動詞である。ツパイは人間なら泥酔するようなアルコール濃度であっても何ら影響を受けないという文脈であるため、Bの influence が同義である。

誤答の論拠:A(destroy:破壊する)、C(stun:気絶させる)、D(kill:殺害する)はいずれも極端な意味であり、一般的な「影響を及ぼす」の換言として不適切である。

問10[文脈的動詞選択]

正解の論拠:研究者たちが発見できる限りの哺乳類の遺伝情報を「調査・精査した」という文脈であるため、examine(B)が最も適切である。

誤答の論拠:A(disseminate:普及させる、広める)、C(gain:得る)、D(revise:改訂する)は研究者がデータを入念に分析・調査したという文脈に合致しない。

問11[コロケーション・比喩表現]

正解の論拠:生物学において「family tree」は「系統樹」を意味する固定的な表現である。哺乳類の系統樹上の10箇所の独立した地点で変異が生じたという文脈であるため、tree(D)が正解となる。

誤答の論拠:A(house)、B(relation)、C(space)はいずれも生物学的な系統樹を表す成句を構成しない。

問12[前置詞の語法]

正解の論拠:先行詞 the rate を関係代名詞 which で修飾する構造である。「〜の割合・速度で」は「at the rate of …」という前置詞 at を用いるため、関係代名詞節の先頭には前置詞 at(A)が要求される(at which elephants can clear ethanol)。

誤答の論拠:B(in)、C(on)、D(to)はいずれも rate と結びついて速度や割合を表す前置詞として機能しない。

問13[文脈的専門職同定]

正解の論拠:フィリス・リーはケニアのアンボセリ国立公園で長年にわたり野生のゾウを観察してきた人物であり、現在はゾウの保護信託の科学ディレクターを務めている。この活動内容から、彼女の専門分野は「行動生態学者(behavioral ecologist:A)」であると判断できる。

誤答の論拠:B(文化人類学者)、C(環境弁護士)、D(文学研究者)は野生動物の行動を長年現地観察する研究者の呼称として不適切である。

問14[成句の語法]

正解の論拠:「take sides」で「(議論や争いにおいて)一方の側につく、味方をする」を意味する決まり文句である。彼女はゾウの泥酔神話論争においてどちらの陣営にも与しないという文脈であるため、take(D)が正解となる。

誤答の論拠:A(assert)、B(create)、C(push)はいずれも sides と結びついて「一方に肩入れする」という意味を成さない。

問15[内容一致判定]

正解の論拠:第6段落において、2006年の研究者たちは人体のデータに基づいて計算し、ゾウが酔うことは物理的に不可能であると結論づけたが、最新の遺伝子研究によりゾウのアルコール耐性が人間よりはるかに低い可能性が示されたとある。したがって、2006年の計算は誤っていた(ゾウが酔うのに必要な果実の量を過大に見積もっていた)可能性が示唆されており、Cの「In 2006 scientists may have miscalculated the amount of fruit needed to get elephants drunk(2006年に科学者たちはゾウが酔うのに必要な果実の量を計算違いしていたかもしれない)」が完全に一致する。

誤答の論拠:Aは「1世紀以上にわたり科学者たちは信じてきた」とあるが、科学者は懐疑的であったため不一致。Bはイッカクやウマやモルモットも果実を頻繁に食べて酔うとあるが、本文第4段落ではこれらの動物は糖分の多い果実を過食することはないと明記されているため不一致。Dは「ADH7遺伝子の効率的な機能が酔うことを可能にする」とあるが、実際には遺伝子の「機能不全(breakdown, dysfunction)」が原因であるため論理が逆である。

問16[内容一致判定]

正解の論拠:第9段落の最終文「What gives tree shrews their drinking superpower, however, remains a mystery.(しかしながら、何がツパイにその飲酒の超能力を与えているのかは謎のままである)」より、Bの「Scientists still don’t know why tree shrews have such a high tolerance for alcohol(科学者たちはツパイがなぜこれほど高いアルコール耐性を持つのかをいまだに知らない)」が完全に合致する。

誤答の論拠:Aは「大きな動物ほど酔うためにより多くのアルコールを摂取する必要がある」という一般則を断定しているが、本文はゾウのような巨体でも遺伝子変異により低耐性である可能性を示しているため不一致。Cはフィリス・リーが酔ったゾウを見たとあるが、第12段落で「I never saw one that was tipsy」と述べており明確に否定されている。Dは彼女が巨大な肝臓が酔うのを助けると見なしているとあるが、肝臓は解毒作用(detoxifying power)を持つと述べており逆である。

問17[タイトル選択]

正解の論拠:本文は、ゾウをはじめとする特定の哺乳類(アルマジロ、サイ、ビーバーなど)においてADH7遺伝子が機能を失っており、従来考えられていたよりも容易にアルコールに酔う可能性があることを科学的に解き明かした記事である。したがって、Aの「Why elephants and armadillos might easily get drunk(なぜゾウやアルマジロは簡単に酔っ払う可能性があるのか)」が全体の論旨を最も正確に反映している。

誤答の論拠:B(なぜゾウが機能不全遺伝子を持つのか)は進化の理由そのものは論じていない。C(なぜゾウがトウモロコシビールを好むのか)は局所的なエピソードに過ぎない。D(なぜツパイがゾウより身体的に強いのか)は身体的な強さの話ではなく論点から逸脱している。

【着眼点と解法の方針】

本問のような自然科学系論説文を素早くかつ正確に処理するための第一の着眼点は、「パラグラフごとの論理的役割の同定」である。第1段落で長年の俗説(myth)とそれに対する科学的懐疑、そして最新の遺伝子研究による転換という全体の導入がなされる。この構造を捉えることで、問1の懐疑(skeptical)や問7の年代逆算の起動点が定まる。

第二の着眼点は、「対比関係の軸の明確化」である。本文中には複数の対比軸が存在する。

軸1:遺伝子が機能している動物(ヒト、霊長類、アイアイ)対 遺伝子が不全である動物(ゾウ、アルマジロ、イッカク、ウマ)。

軸2:アルコールに極めて強い動物(ツパイ)対 アルコール耐性が低いと考えられる動物(ゾウ)。

軸3:2006年の計算モデル(人体に基づく計算=泥酔は不可能)対 最新の研究知見(ゾウの遺伝子不全=少量の果実でも泥酔可能)。

この対比の軸を意識することで、内容一致の問15や問16の照合箇所を瞬時に本文中から特定することが可能となる。

第三の着眼点は、「前置詞や接続表現と統語構造の呼応」である。問3の整序英作文では、makeという使役動詞がitという仮目的語を伴い、後続のfor elephants’ bodies to break down ethanolという真の目的語へと接続する構造を見抜くことが解法の起動点となる。また問12では先行詞rateと結びつく前置詞がatであるという知識が、関係詞節の解釈を即座に確定させる。

類似問題との共通性として、私立大学の難関学部では自然科学のトピックを扱いながらも、問われているのは純粋な自然科学の専門知識ではなく、文脈における因果関係や対比の把握力であるという点が挙げられる。差異としては、明治大学全学部統一では下線部が文構造の複雑な箇所ではなく、一見平易に見える語彙や前置詞に引かれている点であり、文脈の微細なニュアンスを素早く見極める精度が問われる。

【初見・類題への対応】

未知の学術的テーマや見慣れない動植物名(narwhals, tree shrews, aye-ayes, marula fruitなど)が頻出する長文に直面した際、多くの受験生は名詞の未知語に意識を奪われて読解速度を低下させる。しかし、初見問題における鉄則は「未知の固有名詞・専門用語は抽象記号(XやY)として処理し、その語が文脈中で果たす論理的役割(プラスかマイナスか、どのグループに属するか)のみを同定する」ことである。

例えば本文でtree shrewsという単語の意味を知らなくても、「cute squirrels with pointed noses」という外見描写と「have a huge tolerance for alcohol(アルコールに対して膨大な耐性を持つ)」という機能的説明から、「アルコールに極端に強い小動物」という記号的理解で読み進めれば、設問解答には一切の支障をきたさない。

また、未知の類題に直面した際の判断手順として、以下の3ステップを適用する。

ステップ1:設問のキーワードをスキャンし、本文中の該当箇所を1段落以内に絞り込む。

ステップ2:該当箇所の前後1〜2文に含まれる接続表現(however, yet, but, therefore)に注目し、論理の反転や因果の帰結を確認する。

ステップ3:選択肢の記述と本文の該当記述を比較し、本文の内容を抽象化して言い換えているものを採択し、極端な限定語(all, only, never)や因果のねじれを含むものを排除する。

類題例の提示と検討:

類題A(空所補充とコロケーション):

“The research team managed to trace the evolutionary path back to a common ancestor on the mammalian family ( ).”

選択肢:A. circle / B. line / C. net / D. tree

対応手順:進化の系統関係を家系図や系統樹として表現する定型句は「family tree」であると即座に判断し、Dを選択する。

類題B(文脈的年代推論):

“Records of this rare meteorological phenomenon date back well over two centuries.”

設問:If this article was published in 2020, which of the following years best corresponds to the earliest records?

選択肢:A. 1795 / B. 1850 / C. 1920 / D. 2000

対応手順:「well over two centuries(2世紀以上前=200年以上前)」という条件から、2020 – 200 = 1820年以前の年号を探索し、A(1795年)を一意に導出する。

【誤答回避と精度向上】

本問において受験生が失点しやすいポイントは、選択肢に含まれる巧妙な罠の存在である。共通テストおよび私立大マーク式入試における誤答選択肢の典型パターンは以下の5類型に分類され、本問でも巧妙に配置されている。

  1. 「書いていない(Not Mentioned)」:本文には一切言及されていない情報を、あたかも事実であるかのように付加する。例:問16の選択肢A「大きな動物ほど酔うためにより多くのアルコールを摂取する必要がある」。本文の記述から一般論として勝手に推測したものであり、本文にはそのような法則は書かれていない。
  2. 「逆(Contradiction)」:本文の論理関係や因果関係、肯定と否定を正反対にする。例:問15の選択肢D「ゾウのADH7遺伝子の効率的な機能が、潜在的に酔うことを可能にする」。本文では「dysfunctional(機能不全の)」または「failure(不全)」が原因とされているため、真逆である。例:問16の選択肢D「巨大な肝臓が酔うのを助ける」。本文では肝臓は「detoxifying power(解毒力)」を持つと述べられており、酔うのを防ぐ方向で言及されている。
  3. 「言い過ぎ(Overstatement / Extreme)」:本文では可能性として述べられている事柄を、絶対的な事実として断定する。例:問15の選択肢A「1世紀以上にわたり科学者たちは信じてきた」。本文では「Supposedly(おそらく)」と「were skeptical(懐疑的であった)」と書かれており、科学者全体が確信していたわけではない。
  4. 「キズ(Minor Discrepancy)」:大部分は本文と一致しているが、名詞や修飾語の一箇所だけが事実と異なる。例:問15の選択肢B「ゾウ、イッカク、ウマ、モルモットは頻繁に大量の果実を食べて酔っ払う」。ゾウ以外の動物は「don’t binge on sugary fruit」と書かれており、後半部分が明確に誤りである。
  5. 「ズレ(Irrelevant / Out of Scope)」:内容は本文と矛盾しないが、設問の問いに対する直接の答えになっていない。例:問17の選択肢C「なぜゾウはトウモロコシビールが好きなのか」。本文の一部で言及されているが、長文全体のタイトルとしてはスコープが狭すぎる。

見直しの観点として、解答選択肢を選んだ後に「その選択肢の述語部分と限定修飾語が、本文のどの単語と1対1で対応しているか」を指差し確認する習慣をつけることが、マーク式での精度向上に直結する。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件:

本問で用いたアプローチは、未知の学術論文や調査報道をベースとした自然科学・社会科学系の長文読解全般に適用可能である。特に「専門用語や動植物名が多く登場するが、設問は語彙・構文・文脈一致が中心である」という出題形式において最大の効果を発揮する。

自己検証ポイント:

  1. 下線部の単語の意味を即断する前に、前後の主語・動詞・目的語の組み合わせを確認したか。
  2. 内容一致問題の誤答選択肢について、単に「なんとなく違う」ではなく、「書いていない」「逆」「言い過ぎ」「キズ」「ズレ」のどの類型に該当するかを特定して排除したか。
  3. タイトル選択において、文章全体を通じて議論されている中核概念(主語と論点)が過不足なく含まれているかを確認したか。

【参照】

[基礎 M30]

└ 多義語や語法を文脈依存的に判断する手順について、問1・問4・問9の語彙判定ステップで直接運用した。

[基礎 M01]

└ 形式目的語構文をはじめとする文型と述語構造の確定手順について、問3の整序英作文の解法ステップで運用した。

【該当学習項目】

[個別 M01]

└ レベル2および解答のポイントにおける下線部語彙の文脈依存的意味判定の思考ステップで使用。

【関連学習項目】

[個別 M05]

└ 問3の整序英作文において文構造の骨格を把握し修飾要素を配置する判断手順で運用。

[個別 M08]

└ 問15および問16の内容一致判定において本文記述と選択肢の照合を行う情報探索ステップで運用。

[個別 M10]

└ 問17のタイトル選択において第1段落と最終段落の要旨を統合して主題を決定するステップで運用。

第2問 解説

【戦略的情報】

出題意図:長文読解を通じた語彙・熟語・前置詞の文脈的識別力、指示関係の追跡力、ならびに段落間の論理展開と論拠構造の把握力の測定

難易度:標準〜発展

目標解答時間:22分

目標解答時間内訳:

・本文通読およびパラグラフ論理展開の把握:8分

・語彙・熟語・前置詞空所補充設問(問18〜26、29、31、32):計6分(1問あたり約30秒)

・指示語・下線部趣旨・理由説明設問(問27、28、30、33):計5分(1問あたり約1分15秒)

・内容一致判定設問(問34、35):計3分(選択肢吟味および本文該当箇所の照合精査)

【思考プロセス】

状況設定

本問は、バージニア州の農園で発生した約2.5トンのワイン用ブドウ盗難事件を発端とし、ドイツやフランスにおける大規模なブドウ窃盗、世界各地での高価値農産物の組織的窃盗、さらには農産物窃盗が頻発する心理的・経済的要因、そして人類の定住農耕への移行と文明の発展・徴税制度の成立という歴史的意義にまで議論が発展する社会論説文である。受験生は、農産物窃盗という一見すると奇異な事件報道から、近代社会における私有財産観や人類史的考察へと視野が拡大していく論理展開を正確に追跡し、制限時間内に18問に及ぶ多様な設問群を処理しなければならない。

レベル1:初動判断

大問全体の設問構成を概観すると、空所補充および下線部の語彙・熟語の意味判定が12問を占め、残る6問が下線部の具体的意味内容、理由説明、指示対象特定、および全体内容一致判定となっている。まず本文の各パラグラフを読み進めながら、文脈や統語構造によって即座に決定可能な語彙・熟語設問を文脈の流れの中で迅速に処理し、論旨の転換点や因果関係に関わる内容把握設問については該当段落の論証構造を綿密に精査するという、二段階の解法手順を確立することが時間制約下での初動判断として機能する。

即座に確認すべき箇所(優先順位順):

  1. 各パラグラフの冒頭文および末尾文における論理の接続関係(第1〜2段落の個別事件記述から、第3〜4段落の国際的類例、第5段落の犯罪心理分析、第6〜7段落の人類史・文明論への転換の把握)
  2. 下線部および空所を含む文の統語構造(第5文型、受動態、前置詞の結合関係、名詞と修飾節の呼応)
  3. 内容一致設問(問34、35)および理由・趣旨説明設問(問27、28、30、33)におけるキーワードと、本文中の対応記述の照合箇所

スキップしてよい箇所:

・具体的な被害金額、ブドウの品種名(リースリング等)、地名や登場人物の肩書などの詳細な固有名詞群(設問の選択肢照合で要求された時点で逆引き参照すれば足りるため、初回通読時に過度の記憶負荷をかける必要はない)

レベル2:情報の取捨選択

判断フロー(所要時間:8分)

段落区分 主要論点と論理構造 設問対応と確認事項

第1段落 2018年秋、ハリケーン直前のブドウ収穫日に2.5トンの果実が消失した事件の発覚。 問18(vanishedの意味)の処理。

第2段落 被害額(5万ドル)の算定、犯行の手口(熟練者による組織的犯行)、同業者による犯行と推理する根拠(ブドウの急速な劣化と契約不履行のリスク)。 問19(figured)、問20(carry out)、問21(reluctant)、問22(typically)、問23(spoke with)、問33(同業者と推理した決め手)の処理。

第3段落 ドイツやフランス(ボルドー)における類似のブドウ盗難事例。天候不順による不作が近隣農園からの盗難を誘発。 問27(隣の畑から失敬する心理)の処理。

第4段落 アボカド、ナッツ、柑橘類など高価値農産物全般に広がる窃盗の実態。 問24(fromの補完)、問25(spikedの意味)の処理。

第5段落 農産物窃盗が成立する理由:追跡困難性(untraceable)と、農産物を「大地の恵み=共有物」と見なす心理的傾向。 問26(forの補完)の処理。

第6〜7段落 農業経済学者アラン・ホッジズによる人類史的視点。約1万年前の定住農耕への移行は窃盗を生んだが、同時に資産の可視化による効率的徴税を可能にし、文明の諸特質を開花させた。農業のもたらした恩恵はコストを上回る。 問28(移行がnet winである理由)、問29(signaled)、問30(thatの指す内容)、問31(But)、問32(attributes)、問34・35(内容一致)の精査。

判断手順ログ

通読開始直後、第1段落末尾の「vanished」を確認し、直前の「entire crop had vanished」という文脈から即座に「disappeared」を選択する。第2段落では「figured he was out $50,000」の「figured」を計算・見積もりの意味と捉え「estimated」を同定する。続けて「carry out a theft」(犯行を実行する)、「reluctant to accuse」(告発をためらう=hesitant)、「typically crushed」(通常は破砕される=usually)、「spoke with」(〜と話す)を統語的・慣用的に連続決定する。同段落後半の契約不履行と24時間以内の加工必須という記述に着目し、問33の解答根拠を固定する。第3段落ではドイツ・フランスの事例を追い、末尾の「help oneself from next door」が農産物の私有財産観の希薄さに起因することを確認して問27の根拠を確保する。第4段落で空所(24)が前段落の「from any type of farm」の並列関係であることを構文的に見抜き、問25の価格急騰「spiked=risen」を解く。第5段落の「for far less labor」(はるかに少ない労力で)から問26の「for」を補完する。第6〜7段落では、定住と農業が財産犯罪を生んだ一方で徴税を可能にし文明を開花させたという対比構造を捉え、問28、29、30、31、32を文脈の論理から整合的に確定した上で、最後に問34、35の内容一致を検証する。

レベル3:解答構築

問18〜26、29、31、32は、文脈上の定義および語法・イディオムの知識を直接適用して選択肢を一意に決定する。問27は第3段落末尾の引用発言と第5段落の犯罪学者ジェームズ・リンチの心理分析を統合し、農作物を排他的な私有財産と見なさない人々の心理的傾向を捉えた選択肢を特定する。問28はホッジズ氏の発言のうち「cultural boon created by agriculture more than compensated for its costs」および文明の開花という便益が犯罪コストを凌駕したという論理関係を抽出する。問30は直前の「each harvest signaled a new tax season」を受けた「People of a certain sensibility might call that theft by another name」の代名詞「that」の指示対象が「taxation」であることを論理的に確定する。問33は「Wine grapes are too sweet to eat. They perish quickly, so they are typically crushed or pressed within 24 hours」という加工時間上の強い制約を根拠とする選択肢を選ぶ。問34・35は各選択肢の命題を本文の記述と厳密に照合し、事実の歪曲や因果関係の取り違えを排除して正解を確定する。

【解答】

問18: A

問19: B

問20: D

問21: D

問22: D

問23: D

問24: A

問25: C

問26: B

問27: B

問28: B

問29: A

問30: D

問31: C

問32: A

問33: A

問34: C

問35: D

【解答のポイント】

問18(下線部vanishedの同義語選択):

正解の論拠:下線部を含む文「His entire crop, about 2.5 tons of grapes, had vanished.」は、収穫を心待ちに畑に入った農園主が、収穫目前の約2.5トンのブドウが影も形もなくなっているのを発見した場面である。「vanish」は「跡形もなく消え去る」を意味し、選択肢Aの「disappeared」(姿を消した)と完全に同義である。

誤答の論拠:B「grown」(成長した)、C「matured」(成熟した)は作物が健全に発育したことを示し、直前の「feel queasy」(吐き気をもよおす、胸騒ぎがする)という喪失のショックと論理的に矛盾する。D「rotten」(腐敗した)は品質の劣化を指すが、畑から果実そのものが消滅した事実と合致しない。

問19(下線部figuredの同義語選択):

正解の論拠:下線部の直前には「Factoring in sunk labor costs and lost sales」(回収不能な人件費と失われた売上を計算に入れ)とあり、それに続く「he figured he was out $50,000」は、自らの損失総額を約5万ドルと算定・見積もったことを表す。「figure」は口語的文脈において「数値を計算する、見積もる」という意味で用いられ、選択肢Bの「estimated」(見積もった)が文脈的・意味的に合致する。

誤答の論拠:A「applied」(適用した、申し込んだ)、C「shaped」(形作った)、D「withstood」(耐えた)はいずれも金銭的損失を算定する文脈で成立しない。

問20(空欄carryの目的語に続く前置詞選択):

正解の論拠:文脈は「As for who would be motivated to carry ( 20 ) such a theft」(誰がそのような窃盗を実行する動機を持つかについて)である。「窃盗を実行する」という成句を形成するには、「carry out」(計画・任務・犯罪などを実行・遂行する)が必要であり、Dの「out」が正解となる。

誤答の論拠:A「away」(持ち去る、夢中にさせる)、B「off」(うまくやってのける、連れ去る)、C「on」(続ける)はいずれも「a theft」(窃盗という行為そのもの)を直接の目的語として「犯行に及ぶ、実行する」という標準的な成句を構成しない。

問21(下線部reluctantの同義語選択):

正解の論拠:下線部を含む文「Dunkenberger says he is reluctant to accuse a fellow grower, but can find no other logical explanation.」は、同業のブドウ農家を告発することは気が進まないが、他に論理的な説明がつかないと述べている。「reluctant」は「〜することに気が進まない、ためらいがある」を意味し、選択肢Dの「hesitant」(躊躇している、ためらっている)が合致する。

誤答の論拠:A「dying」(死にかけている)、B「eager」(熱心な、しきりに〜したがっている)、C「encouraged」(励まされた、勇気づけられた)は、いずれも告発をためらう心理とは逆、または無関係の意味を表す。

問22(下線部typicallyの同義語選択):

正解の論拠:下線部を含む文は、ワイン用ブドウは食用には甘すぎ、急速に劣化するため「typically crushed or pressed within 24 hours」(通常は24時間以内に破砕または圧搾される)という一般的な処理手順を述べている。「typically」は「典型的に、通例、一般的に」を意味し、選択肢Dの「usually」(普段は、大抵は)と同義である。

誤答の論拠:A「allegedly」(申し立てによると、伝えられるところでは)、B「rarely」(めったに〜ない)、C「symbolically」(象徴的に)はいずれも業界の標準的な作業手順を説明する副詞として不適切である。

問23(動詞spokeに続く前置詞選択):

正解の論拠:文脈は「When I spoke ( 23 ) Lieutenant Mark Hollandsworth of the local sheriff’s department」(地元の保安官事務所のマーク・ホランズワース警部補と話した際)である。「人と話をする、意見を交わす」という自動詞表現として「speak with [someone]」が適切に機能するため、Dの「with」が正解である。

誤答の論拠:A「in」、B「on」、C「out」はいずれも「人」を直接の目的語に導いて「その人と対話した」という意味を形成できない。

問24(先行する文脈と呼応する前置詞選択):

正解の論拠:第3段落末尾の引用「There’s a great temptation to help oneself from [the vineyard] next door.」(隣のブドウ畑から失敬したいという強い誘惑がある)に続き、第4段落冒頭は「Or, apparently, ( 24 ) any type of farm that grows what’s known as high-value produce」(あるいは、どうやら高価値農産物として知られるものを栽培するあらゆる種類の農場から[失敬する誘惑がある])と接続している。動詞句「help oneself from 〜」(〜から自由に取って食べる、失敬する)の前置詞「from」が共通して補完される構造であるため、Aの「from」が正解となる。

誤答の論拠:B「into」、C「of」、D「without」はいずれも前段落の動詞句の構造と呼応せず、農場から産物を奪取する起点を表せない。

問25(下線部spikedの同義語選択):

正解の論拠:下線部を含む文は「where the price of an avocado has spiked to $3.30 following two years of disappointing harvests」(2年連続の不作を受けてアボカドの価格が3ドル30セントに急騰した)と述べている。「spike」はグラフの針のように「数値や価格が急上昇する」を意味し、選択肢Cの「risen」(上昇した)が意味的に合致する。

誤答の論拠:A「declined」(下落した)、B「leveled」(水平になった、安定した)、D「stood」(立っていた、位置していた)は価格の急激な高騰という文脈に適合しない。

問26(対比関係を示す前置詞選択):

正解の論拠:文脈は家畜や農業機械の盗難について述べたもので、「offer much higher profit margins ( 26 ) far less labor」(はるかに少ない労働力に対して、ずっと高い利益率を提供する)という関係を表している。「〜の割に、〜に対して」という代償・対価・交換の基準を示す前置詞としてBの「for」が正確である。

誤答の論拠:A「at」、C「on」、D「to」はいずれも労働量の投入に対する利益の獲得という対比・交換の論理関係を適切に表現できない。

問27(下線部(27)の具体的趣旨の解釈):

正解の論拠:下線部(27)は第5段落の「there may also be a tendency to regard fruits and vegetables as something less than private property」(果物や野菜を私有財産未満のものと見なす傾向があるかもしれない)という記述、および「You wouldn’t steal a tractor, but when it comes to food, people think: This came from the earth. God gave it to us, and anybody can take it.」(トラクターは盗まないだろうが、食料となると人々は『これは大地から生じたものだ。神が与えてくれたのだから誰でも取ってよい』と考える)という記述と直結している。すなわち、農産物は特定の個人に排他的に帰属する私有財産であるという意識が希薄であるという点である。これを選択肢B「People tend to feel that fruits and vegetables do not belong to certain owners.」(人々は果物や野菜が特定の所有者に帰属していないと感じる傾向がある)が正確に換言している。

誤答の論拠:A「農家は他の労働者に比べてプライバシーが少ない」は論点の歪曲である。C「人々は他者と分かち合う傾向がある」は善意の共有を述べており、窃盗の心理的合理化と異なる。D「価格が低すぎて貴重な財産になり得ない」は、前段で高価値農産物が狙われている事実と矛盾する。

問28(ホッジズ氏が定住農耕への移行を人道上の純益と主張する理由):

正解の論拠:第6〜7段落においてホッジズ氏は、農耕への移行が作物窃盗を可能にしたことを認めつつも、「the cultural boon created by agriculture more than compensated for its costs」(農業によってもたらされた文化的な恩恵は、そのコストを補って余りあるものであった)、「all the attributes of civilization that we recognize today also flourished」(今日私たちが認識している文明の諸特質もすべて開花した)と述べている。すなわち、農業に伴う諸コスト(財産犯罪など)よりも、文明の開花という便益の方がはるかに大きかったことが理由である。選択肢B「Civilization’s benefits have been larger than its costs.」(文明の便益はそのコストよりも大きかった)がこの論理を的確に要約している。

誤答の論拠:A「効率的な徴税を可能にした」は歴史的事実として言及されているが、それ自体がホッジズ氏の究極的な主張理由ではなく、文明全体の恩恵の一部にすぎない。C「農民が財産犯罪の被害者になった」は移行に伴う負の側面(コスト)であり、純益(net win)と見なす根拠ではない。D「狩猟採集社会の方がより多くの人口を養うことができた」は本文に記述がなく、歴史的事実とも逆である。

問29(下線部signaledの同義語選択):

正解の論拠:文脈は「each harvest signaled a new tax season」(作物の収穫のたびに、それが新たな徴税期の到来を告げた)である。「signal」は「〜の到来を告げる、合図する、示す」を意味し、選択肢Aの「announced」(告げた、知らせた)が文脈に適合する。

誤答の論拠:B「enhanced」(高めた)、C「delayed」(遅らせた)、D「shaped」(形作った)はいずれも時期の到来を知らせるという意味を担えない。

問30(下線部thatの指示内容特定):

正解の論拠:直前の文は「With farming, assets crops were suddenly visible, and each harvest signaled a new tax season.」(農耕によって、資産、すなわち作物が突然可視化され、収穫のたびに新たな徴税期が到来した)である。これに続く「People of a certain sensibility might call that theft by another name.」(特定の感性を持つ人々は、それを別名による窃盗と呼ぶかもしれない)における代名詞「that」は、国家や統治者によって強制的に徴収される「taxation」(課税)を指している。したがってDが正解である。

誤答の論拠:A「civilization」(文明)、B「harvest」(収穫)、C「stealing of fruits and vegetables」(果物や野菜の窃盗)はいずれも「別名による窃盗と呼ばれる対象」として文脈上不整合である。窃盗そのものを「別名による窃盗」と呼ぶのは同語反復であり論理をなさない。

問31(空欄(31)に入る論理接続詞選択):

正解の論拠:空所の直前では「特定の感性を持つ人々は課税を別名による窃盗と呼ぶかもしれない」という税に対する否定的な視点が提示されている。それに対し空所を含む文は「( 31 ) for Hodges, the cultural boon created by agriculture more than compensated for its costs.」(しかしホッジズ氏にとっては、農業が生み出した文化的な恩恵はコストを補って余りあるものであった)と続き、批判的視点を退けて農業と文明化の正の価値を肯定している。この論理の逆転を示す接続詞としてCの「But」が必然となる。

誤答の論拠:A「And」(順接・付加)、B「Because」(理由)、D「When」(時)はいずれも直前の否定的な見解との対比・逆接を形成できない。

問32(下線部attributesの同義語選択):

正解の論拠:文脈は「all the attributes of civilization that we recognize today also flourished」(今日私たちが認識している文明のあらゆる属性・特質もまた開花した)である。「attribute」は名詞として「性質、属性、特質」を意味し、選択肢Aの「features」(特徴、特質)が同義である。

誤答の論拠:B「images」(像、画像)、C「phenomena」(現象)、D「subjects」(主題、被験者、臣民)はいずれも文明を構成する固有の特質・要素を表す語として不適切である。

問33(ダンケンバーガー氏が犯人を同業者と推理した根拠):

正解の論拠:第2段落においてダンケンバーガー氏は同業者を疑う論拠として、ワイン用ブドウの特殊な性質を挙げている。「Wine grapes are too sweet to eat. They perish quickly, so they are typically crushed or pressed within 24 hours.」(ワイン用ブドウは食用には甘すぎる。急速に傷むため、通例24時間以内に破砕または圧搾されなければならない)。さらに多くの農家がブドウ栽培の供給契約を結んでおり、悪天候で収穫を満たせなければ報酬を得られないという事情を説明している。すなわち、盗まれたブドウは食用として転売することはできず、24時間以内にワイン加工設備で処理しなければ無価値になるため、設備を持つ同業者以外に盗む動機がないという論理である。これに合致するのは選択肢A「Once picked, wine grapes must be processed within 24 hours.」(いったん収穫されると、ワイン用ブドウは24時間以内に加工されなければならない)である。

誤答の論拠:B「窃盗には7人以上の収穫作業員が必要であった」は犯行の規模に関する推測であり、犯人が同業者であることの決定打ではない。C「犯人たちが一晩で大量のブドウを収穫した」も作業速度の指摘にとどまる。D「ワイン用ブドウが非常に甘いので同業農家が好んで食べる」は、「too sweet to eat」(甘すぎて食用には適さない)という本文の明確な記述と完全に矛盾する。

問34(本文内容との一致判定):

正解の論拠:第4段落においてニュージーランドでのアボカド窃盗事例が言及されている。「In New Zealand, where the price of an avocado has spiked to $3.30 following two years of disappointing harvests, one pair of thieves was recently caught transporting a haul worth $4,300 inside duvet covers.」(ニュージーランドでは、2年連続の不作を受けてアボカドの価格が3ドル30セントに高騰し、最近、羽毛布団カバーの中に4,300ドル相当の収穫物を入れて運搬していた2人組の窃盗犯が捕まった)。選択肢C「In New Zealand a team of two thieves stole avocadoes which were worth about $4,300.」(ニュージーランドで2人組の泥棒が約4,300ドル相当のアボカドを盗んだ)は、この本文記述と完全に一致する。

誤答の論拠:A「ガーデン・ウィーゼルがジョージア州南部で泥棒の主要な標的となった」は誤りである。ガーデン・ウィーゼルは50ドル程度で購入できる器具であり、泥棒がペカンナッツを盗むために使用する道具であって、盗難の標的ではない。B「ボルドーの匿名の観察者が隣人のブドウを盗んだ」は誤りである。The Guardian紙に匿名を条件に語った「観察者」は、地域の農家たちの心情を代弁・解説した人物であり、その人物自身が窃盗を行ったとは書かれていない。D「ドイツ南部のスーパーマーケットの店員が1.8トンのブドウを盗んだ」は誤りである。事件現場が「near a busy supermarket」(繁華なスーパーマーケットの近くにあるブドウ畑)であったと記述されているだけで、スーパーの店員が犯人であるとは述べられていない。

問35(本文内容との一致判定):

正解の論拠:第7段落の最終部分において、ホッジズ氏は定住農耕の開始によって財産犯罪の被害が生まれたものの、「all the attributes of civilization that we recognize today also flourished」(今日私たちが認識している文明の諸特質もすべて開花した)と述べている。また第6段落でも、農業への移行が人類にとって「net win」であった理由として、文化的な恩恵がコストを上回ったことが強調されている。ここから論理的帰結として、農業の成立なしには今日の文明や文化の発展を享受することはできなかったという命題が導出される。選択肢D「Without agriculture, humans could not have enjoyed the progress of culture.」(農業がなければ、人類は文化の進歩を享受できなかったであろう)がこの論理を最も適切に反映している。

誤答の論拠:A「キリスト教は、誰でも取ってよいように果物や野菜を共有財産と示唆している」は不正確である。第5段落で犯罪学者が言及しているのは、一般の人々が「神が与えてくれた大地からの産物だから誰でも取ってよい」と勝手に考えてしまう心理的傾向(認知の歪み)であり、キリスト教の教義そのものを解説したものではない。B「ダンケンバーガー氏はハリケーン・フローレンスによって経済的被害を受けた」は誤りである。彼はハリケーンの余波が押し寄せる前に収穫しようと畑に行ったのであり、被害の原因はハリケーンではなく事前の人間による窃盗である。C「ホランズワース氏は、乾燥した気候が収穫に悪影響を与えたという点についてダンケンバーガー氏と合意した」は誤りである。本文第2段落末尾では「The rain this year did spoil a lot of grapes.」(今年の雨は多くのブドウを駄目にした)とあり、問題となったのは「wet weather」(多雨・湿潤気候)であって乾燥気候ではない。

【着眼点と解法の方針】

本大問のような社会評論・時事論説文を読解する際、最初に着目すべき条件は「個別の具体的事例の記述」と「その背後にある一般化された原理の記述」との境界線である。具体的には、第1段落から第2段落にかけて展開されるダンケンバーガー氏の被害事例は、一見すると単なる事件報道のように読める。しかし、第3段落でドイツ・フランスの国際的実態、第4段落で高価値農産物全般への拡大、第5段落で窃盗が容易である構造的要因、第6〜7段落で定住農耕と文明・徴税制度の起源という歴史的総括へと、パラグラフが進むにつれて分析の抽象度が段階的に上昇している。

解法方針の第一の起動点は、設問の性質に応じた解法手順の峻別である。語彙・語法問題(問18〜26、29、31、32)においては、語彙の文脈依存的意味を判定する手順を用いる。たとえば問19の「figured」は、直前の「Factoring in sunk labor costs and lost sales」という計算手続きの記述と呼応しており、「計算して算定した」という意味領域に即座に着眼しなければならない。「figure」を「姿、人物」などの名詞原義や単なる「理解する」という抽象的意味で捉えるのではなく、前後の目的語「he was out $50,000」(5万ドルの損害が出ていること)という数値データと結びつけることが正解を導く起動点となる。

第二の起動点は、前置詞の結合関係と構文の並列関係を見抜く構文把握である。問24の空所は、前文の「There’s a great temptation to help oneself from [the vineyard] next door」の構造を受けて、「Or, apparently, ( 24 ) any type of farm…」と展開している。この接続詞「Or」が文頭に置かれたとき、省略されている述語要素を直前の文から正確に復元する手順が求められる。ここでは「help oneself from A or from B」という共通の起点を表す前置詞句が並列されていることを即座に把握することが解法の鍵となる。

第三の起動点は、内容一致判定および趣旨説明設問における論拠情報の局所化と照合精度である。問33における「同業者の犯行と推理した決め手」を探る場合、第2段落内の「Dunkenberger says he is reluctant to accuse a fellow grower, but can find no other logical explanation」という文に直ちに着目する。逆接の「but」の直後に論理的理由が続くことは論説文の鉄則であり、続く2文の中に「too sweet to eat」「perish quickly」「crushed or pressed within 24 hours」「under contract」という決定打となる条件が集約されている。この情報を把握していれば、選択肢A「24時間以内の加工が不可欠」への着眼が一手で完了する。

類似問題との共通性と差異に関して、明治大学全学部統一の長文読解では、語彙問題の比率が極めて高く設計されている。一般的な私大入試では内容一致問題が読解の中心となることが多いが、本学では1段落進むごとに2〜3問の語彙・前置詞判定が挟まれる。したがって、文脈全体の流れを大きく把握するマクロな視線と、下線部周辺の統語構造・コロケーションを厳密に分析するミクロな視線を、一段落の中で高速に往復運動させる運用技術が不可欠となる。

【初見・類題への対応】

未見の論説文において、農産物窃盗のような一見身近な話題が歴史的・社会科学的テーマへと飛躍する場合、読者は以下の判断手順を適用して論理の迷子になることを回避する。

第一の手順は、「個別現象の提示」から「構造的背景の解説」、そして「歴史的・哲学的意味づけ」へと移行する論説文の標準的な三段構成を常に予期することである。本問では、第1〜4段落が「各地での農産物窃盗の実態(個別現象)」、第5段落が「なぜ農産物が盗まれるのかという追跡困難性と心理的要因(構造的背景)」、第6〜7段落が「農耕の始まりと私有財産・犯罪・徴税・文明の成立(歴史的意味づけ)」という明確な展開をたどっている。初見の文章を読む際にも、現在読んでいる段落がこの3階層のどこに位置しているかを常に識別しながら読み進める。

第二の手順は、未知の多義語や表現に直面した際の文脈推測プロトコルである。本問の問25「spiked」を初見で判定する場合、前後の文脈「where the price of an avocado has ( 25 ) to $3.30 following two years of disappointing harvests」に着目する。不作(disappointing harvests)の後にアボカドの価格に何が起こるかという経済学的常識を動員すれば、供給減少に伴う価格の高騰であることは論理的に必然である。辞書的な暗記に頼るのではなく、文脈内の因果関係(不作→価格上昇)から語義を論理的に狭める訓練を重ねておくことが初見問題への対応力を担保する。

条件が変化した場合の対応として、設問が「本文の内容と合致しないものを選べ」という不一致選択に変化した場合や、選択肢が日本語から英語の複雑な複文に変化した場合でも、手順の本質は変わらない。選択肢の命題を「主語」「述語動詞」「目的語・補語」「条件・修飾句」の4要素に分解し、本文の記述と1要素ずつ突き合わせる。問34の選択肢Dのように「supermarket near which the crime occurred」という場所の付帯状況を「supermarket clerks stole the grapes」と主語・行為者にすり替える手法は、私大入試で極めて高頻度に現れる典型的な誤答作成パターンである。

類題として、慶應義塾大学経済学部や早稲田大学社会科学部などで頻出する、資源略奪、コモンズの悲劇、あるいは歴史経済学を題材とした論説文が挙げられる。いずれの入試問題においても、個別の事件報道から制度論・文明論へと議論を一般化する構造が共通しており、本問で確立した「現象から構造、構造から歴史的評価へ」という視線誘導の手順をそのまま転用できる。

【誤答回避と精度向上】

本大問で受験生が陥りやすい典型的な誤答パターンは、以下の4類型に集約される。

第一に、「字面の部分的一致に惑わされた主客のすり替え」である。問34の選択肢Aでは「Garden Weasel」という本文第4段落に実在する単語が含まれているため、速読の焦りから本文と照合した気になってこれを選んでしまう受験生が後を絶たない。しかし本文では、ガーデン・ウィーゼルは「ペカンナッツを効率的に拾い集めるための道具」として登場しており、盗難の対象(target of thieves)ではない。名詞の字面だけに反応せず、文構造上の役割(主語なのか道具なのか標的なのか)を検証する習慣を徹底しなければならない。

第二に、「常識的にはもっともらしいが本文に根拠のない選択肢の選択」である。問35の選択肢Aでは「キリスト教は果物や野菜を共有財産と示唆している」と述べられている。第5段落の「God gave it to us, and anybody can take it」という言葉面だけを見ると正しそうに見えるが、これは一般人が食料窃盗を心理的に自己正当化する際の身勝手な思い込みとして犯罪学者が紹介した発言であり、キリスト教の公式教義として本文で述べられているわけではない。「一般常識や宗教観としてありそうか」ではなく、「筆者や引用者がそれを事実として論述しているか」を峻別する視点が不可欠である。

第三に、「同義語問題における文脈を無視した基本義の飛びつき」である。問19の「figured」について、「figure out(理解する)」という頻出熟語の記憶に引きずられ、文脈を考慮せずにそれらしい選択肢を選んでしまう誤答が目立つ。しかし本問では直後に金額($50,000)が来ており、金額を「理解した」のではなく「計算して見積もった」文脈である。下線部単語単体ではなく、必ず文全体の目的語や修飾語との整合性を検証する手順を義務づけなければならない。

時間制約下での精度向上のためには、各大問の解答終了時にマークシートと問題番号の照合を3秒間で行うルーティンを確立する。特に本問のように問18から問35まで18問が連続する場合、途中の1問でマークがずれると後半の全設問に致命的な失点波及が生じる。大問の境界ごとに解答番号の一致を指差し確認することが、時間圧下での失点を防ぐ確実な防壁となる。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件:

  1. 英語論説文において、具体的な社会事象・事件の描写から始まり、学術的な背景分析や歴史的考察へと論旨が展開する長文読解
  2. 下線部語彙問題が大量に配置され、単語の単独知識ではなく文脈統語的一致が問われる試験形式
  3. 内容一致問題の選択肢が本文記述の部分的な単語を用いて精巧なトラップ(主客の逆転、因果の歪曲、未言及情報の付加)を仕掛けている設問構造

自己検証ポイント:

・語彙問題において、下線部を含む文の構造分析を行い、目的語や修飾語と共起可能な語義を選択しているか。

・前置詞空所において、前後の動詞・名詞とのイディオム関係だけでなく、前後の文の論理的並列関係を確認したか。

・理由説明問題において、本文中の逆接接続詞(but, however等)や因果関係の標識(because, so, therefore等)に直接着眼して根拠を局所化できたか。

・内容一致問題において、本文中の単語がそのまま使われている選択肢に対して、主語や目的語のすり替えがないかを疑いの目をもって照合したか。

類題:

・同志社大学全学部日程 英語 長文読解(社会問題の具体例から歴史的・制度的分析へ展開する論説文)

・立教大学全学部日程 英語 長文読解(環境・農業・経済問題を題材とした高密度語彙・内容把握問題)

【参照】

[個別 M01]

└ 下線部語彙の文脈依存的意味判定において、多義語の基本義から文脈に合致する意味を特定する手順を用いる。

[基礎 M30]

└ 多義語・語法の文脈判断において、統語構造と意味的共起関係から意味を確定する原理を適用する。

【該当学習項目】

[個別 M08]

└ 本文の論理展開と選択肢の命題を照合し、事実関係と因果関係の整合性を判定する情報照合手順で使用する。

【関連学習項目】

[個別 M07]

└ 代名詞 that や指示内容の照応関係を特定し、文脈の主語・目的語を復元する手順を補強する。

[基礎 M21]

└ 論理的文章の読解において、具体例と抽象的主張の階層関係を整理して読解する体系的基盤を提供する。

第3問 解説

【戦略的情報】

出題意図:映画の台本を素材とした口語対話文における、文脈に応じた適切な動詞・前置詞・代名詞・時制の選択能力、ならびに自然な談話展開の把握力の測定

難易度:標準

目標解答時間:15分

目標解答時間内訳:

・対話文全体の状況・人間関係・感情推移の把握:3分

・空所補充設問(問36〜50):計12分(全15問、1問あたり約45〜50秒での即時判定)

【思考プロセス】

状況設定

本問は、リチャード・リンクレイター監督の映画『恋人までの距離(Before Sunrise)』の劇中冒頭、ヨーロッパを走る国際列車の中で偶然乗り合わせたアメリカ人青年ジェシーとフランス人女子大学生セリーヌの会話を素材としている。パリへ帰るセリーヌと、翌朝ウィーンから帰国予定のジェシーが、車内で言葉を交わし始め、ラウンジ車へ移動して互いの生い立ちや価値観を語り合い、やがてウィーン駅で一緒に途中下車することを決意するに至るまでの対話の全貌が描かれている。日常的な会話表現、口語特有の省略や文構造、時制の使い分け、前置詞の語法が空所補充形式で総合的に問われており、文脈と文法の双方を統合した迅速な処理が要求される。

レベル1:初動判断

大問冒頭の導入文および会話のト書きを読み、二人の立場(アメリカ人旅行者とフランス人学生)、移動中の列車内という空間設定、翌朝の帰国という時間的制約を素早く頭脳内にセットアップする。設問はすべて対話文中の空所を埋める4択問題であり、空所前後の文法チェック(品詞の一致、自動詞・他動詞の区別、時制の整合性)を第1次フィルターとし、会話の流れとしての意味的整合性を第2次フィルターとして二重の検証を行う方針を即座に決定する。

即座に確認すべき箇所(優先順位順):

  1. 空所前後の統語的条件(助動詞の後、前置詞の目的語、完了形の助動詞との呼応、接続詞の有無)
  2. 直前・直後の発話者の発言内容(応答の論理的連属性、問いに対する直接の答えになっているか)
  3. 会話特有の慣用表現・コロケーション(call [someone] [name], spend time, take a course, get paid, get off等)

スキップしてよい箇所:

・「Yeah, yeah」「Nah」「Kinda」「Huh?」などの口語的な相づちや感情の感嘆詞(文法的な空所補充の統語判定には直接寄与しないため、トーンの把握にとどめ深く分析しない)

レベル2:情報の取捨選択

判断フロー(所要時間:3分)

場面区分 発話内容と談話の推移 空所と要求される文法・語法

シーン1(車内開始) 周囲の乗客への言及とラウンジ車への移動の誘い、自己紹介。 問36(so many weird people)、問37(everyone has called me)。

シーン2(ラウンジ車前半) 英語の習得背景、アメリカ人に対するステレオタイプとフランス語学習歴の話題。 問38(for one summer)、問39(spent some time)、問40(any other language)、問41(I want you to know I tried)、問42(took four years)。

シーン3(ラウンジ車後半) 大学卒業と現在の職業、仕事への満足度。 問43(never graduated)、問44(Are you working?)、問45(I don’t get paid that much)。

シーン4(ウィーン到着直前) 別れの接近と途中下車の提案、承諾。 問46(You’re getting off here)、問47(hardly talked to anyone)、問48(keep talking with you)、問49(What would we do?)。

シーン5(ウィーン到着後) 街への第一歩と、偶然の出会いに対する実存的な感慨。 問50(we could have done that)。

判断手順ログ

問36は直後の複数名詞「weird people」に着眼し、「so many」を選択する。問37は文頭の「my whole life」という期間の副詞句から現在完了形「has called」を確定し、第5文型を成す動詞の語法を確認する。問38は「one summer」という期間を示す名詞句を導く前置詞「for」を、問39は「some time in London」を目的語に取る動詞として「spent」を選択する。問40は否定文における追加の言語を指す「any other language」を決定する。問41・42は「フランス語を4年間履修した」という過去の事実と努力を表す文脈から「I tried」「took four years」を特定する。問43は大学中退の事実を述べる「never」を、問44は仕事について尋ねる「working」を、問45は給与を受け取る受動的表現「get paid」を同定する。問46は列車からの降車を表す現在進行形「getting off」を、問47は「hardly」と完了形を成す過去分詞「talked」を、問48は「keep doing」の語法から「talking with」を導く。問49は仮定法の帰結節として「What would we do?」を、最後の問50は過去の反事実的推量「we could have done that」(すれ違うだけで終わることもあり得た)を論理的に確定する。

レベル3:解答構築

問36〜50の全問について、文法・語法の形式的一致(第1次フィルター)と文脈的整合性(第2次フィルター)を交差させて選択肢を絞り込む。特に口語表現において受験生が苦手とする「get+過去分詞」による受動態(問45)、助動詞+完了形による過去の可能性の示唆(問50)、および会話の文脈に規定される前置詞・動詞の選択(問38、39、42、48)について、単なる感覚ではなく厳密な文法規則に基づいて解答を確定する。

【解答】

問36: A

問37: A

問38: A

問39: C

問40: D

問41: B

問42: D

問43: D

問44: C

問45: A

問46: A

問47: C

問48: C

問49: A

問50: D

【解答のポイント】

問36(数詞・限定詞の選択):

正解の論拠:空所の直後には「weird people」(奇妙な人々)という可算名詞の複数形が続いている。「people」は集合的に複数扱いされる可算名詞であるため、程度を表す「so」に後続して複数名詞を修飾できる限定詞は選択肢Aの「many」のみである。

誤答の論拠:B「more」は比較対象がない文脈で成立しない。C「mostly」は副詞であり直後の名詞を修飾できない。D「much」は不可算名詞を修飾する語であり、可算名詞複数形の「people」と共起できない。

問37(時制と動詞の語法):

正解の論拠:文脈はジェシーが本名はジェームズであると明かした上で、「but my whole life everyone ( 37 ) me Jesse.」(しかしこれまでの人生ずっと、みんな僕をジェシーと呼んできた)と述べている。「my whole life」(私の全生涯にわたって)という過去から現在まで継続する期間の表現があるため、現在完了形が必要である。また、「動詞+目的語(me)+補語(Jesse)」という第5文型(SVOC)を形成できる動詞は「call」であるため、主語「everyone」(単数扱い)に対応する選択肢Aの「has called」が正解となる。

誤答の論拠:B「has known」は第5文型で「人+名前」の呼応を取らない。C「has named」は通常命名の儀礼的行為を指し、「日常的にそう呼んでいる」という反復的行為を表すのには不自然である。D「has said」は他動詞として直接引用またはthat節を取り、SVOC構文を形成できない。

問38(期間を表す前置詞):

正解の論拠:文脈はセリーヌが流暢な英語を話す理由を説明する場面であり、「I went to school ( 38 ) one summer in Los Angeles」(ロサンゼルスで一夏の間、学校に通った)と述べている。「one summer」という特定の継続期間を表す副詞句を導く前置詞として、選択肢Aの「for」が正確である。

誤答の論拠:B「in」、C「of」、D「on」はいずれも「ある一夏の期間にわたって」という継続の意味を担う前置詞として不適切である。

問39(時間を過ごす動詞の選択):

正解の論拠:直前の文構造は「and I’ve ( 39 ) some time in London.」である。「現在完了形の助動詞 have + 過去分詞」の構造であり、目的語に「some time」(ある程度の時間)を取り、「ロンドンでいくらかの時間を過ごした」という意味を成す動詞は「spend」の過去分詞である選択肢Cの「spent」である。

誤答の論拠:A「been」は前置詞「to」や「in」と結合して「滞在したことがある」を表すが、「some time」という目的語を直接取ることはできない。B「left」は「時間を残した・出発した」となり意味が通らない。D「studied」は他動詞として学科を目的語に取るのが普通であり、「some time」を直接目的語としない。

問40(限定詞・形容詞の選択):

正解の論拠:セリーヌの冗談「and, of course, you don’t speak any ( 40 ) language.」(そしてもちろん、あなたは他の言語をまったく話さないわよね)という文脈である。否定文において「any」に後続し、単数可算名詞「language」を修飾して「他のいかなる言語も」という意味を形成する語は、選択肢Dの「other」である(any other + 単数名詞)。

誤答の論拠:A「another」は「an+other」に由来するため直前に「any」を重複して置くことができない。B「either」、C「neither」は二者択一を前提とする表現であり、世界中の多様な言語を視野に入れた文脈に適合しない。

問41(時制と過去の行為の表現):

正解の論拠:ジェシーは自身が文化のない無教養なアメリカ人というステレオタイプでからかわれたのに対し、「I want you to know I ( 41 ) four years of French.」(僕がフランス語を4年間学ぼうと努力したことは知っておいてほしい)と反論している。過去の高校や大学時代の試み・努力という確定した過去の行為を述べているため、過去形である選択肢Bの「tried」が文法的に正解となる。

誤答の論拠:A「have try」は助動詞haveの後に原形が置かれており文法的に破綻している。C「tries」は三人称単数現在形であり主語「I」と不一致である。D「trying」は現在分詞単体であり述語動詞になれない。

問42(科目を履修する動詞の選択):

正解の論拠:英語において「学校の授業や科目を履修する、受講する」という行為は動詞「take」を用いて「take a course / take French」と表現する。文脈は「フランス語を4年間履修した」という過去の事実であるため、過去形である選択肢Dの「took」が正解となる。

誤答の論拠:A「brought」(持ってきた)、B「got」(手に入れた)、C「spent」(費やした)はいずれも「言語の授業を履修した」という学問受講の定型表現を構成しない。

問43(経験の完全な否定を表す副詞):

正解の論拠:セリーヌの「In college?」(大学で履修したの?)という問いに対し、ジェシーは「Nah, I ( 43 ) graduated from college.」(いや、僕はずっと大学なんて卒業していないよ=大学を卒業すらしていない)と答えている。「一度も〜したことがない、結局〜しなかった」という強い否定を表す副詞として、過去形動詞「graduated」の直前に置かれる選択肢Dの「never」が文脈的・文法的に適合する。

誤答の論拠:A「ever」は肯定平叙文で単独では用いられず、疑問文や否定文の否定極性項目として機能する。B「had ever」、C「have ever」は完了形の構造を作るが、肯定文で「一度でも卒業した」という意味になり、ジェシーの大学中退という設定および直前の否定の返答「Nah」と論理的に矛盾する。

問44(現在の状態を尋ねる疑問文):

正解の論拠:セリーヌの質問は「Are you ( 44 )?」であり、直後にジェシーが「I have a stupid job like everyone else.」(他の誰とも同じようなくだらない仕事に就いているよ)と答えている。したがってセリーヌは「働いているの?(仕事をしているの?)」と現在の状態を尋ねている。be動詞「Are」に後続して「現在仕事に従事しているか」を問う現在進行形の形容詞的用法として、選択肢Cの「working」が文法的に合致する。

誤答の論拠:A「a job」、B「job」は名詞であり、「Are you a job?」(あなたは仕事ですか?)という文になり意味をなさない。D「workplace」(職場)も同様に主語と意味上の同格を形成できない。

問45(給与の受け取りを表す受動的表現):

正解の論拠:ジェシーは仕事について「No, it’s a decent job. I don’t ( 45 ) that much.」(いや、悪くない仕事だよ。たいした給料はもらっていないけれどね)と語っている。「給与を支払われる、稼ぐ」という口語表現は「get paid」(get+過去分詞)で表される。助動詞「don’t」の直後であるため原形「get」に過去分詞「paid」が後続する選択肢Aの「get paid」が正解となる。

誤答の論拠:B「get pay」は原形が重複しており文法的に誤りである。C「paid」は助動詞「don’t」の後に過去形・過去分詞が直接置かれており破綻している。D「pay」は能動態であり「私があまり支払わない」という意味になり、自身の給与水準を説明する文脈に合わない。

問46(列車から降りることを表す句動詞):

正解の論拠:列車がウィーン駅に速度を落として入線した際、セリーヌは「This is Vienna. You’re ( 46 ) here, right?」(ここがウィーンよ。あなた、ここで降りるのよね?)と話しかけている。「電車やバスなどの大型公共交通機関から降りる」という行為は句動詞「get off」で表される。直前のbe動詞「You’re」と結合して近い未来の予定を表す進行形として、選択肢Aの「getting off」が正解である。

誤答の論拠:B「moving off」(出発する、動き出す)、C「picking off」(狙撃撃ち落とす、もぎ取る)、D「putting off」(延期する)はいずれも交通機関から下車するという意味を担えない。

問47(否定副詞hardlyと呼応する動詞の形態):

正解の論拠:文脈は「I’ve hardly ( 47 ) to anyone in weeks.」(ここ何週間も、誰ともほとんど話していなかったんだ)である。現在完了形の助動詞「I’ve(I have)」があり、準否定の副詞「hardly」(ほとんど〜ない)が挟まれているため、後続する動詞は過去分詞でなければならない。したがって選択肢Cの「talked」が文法的に必然となる。

誤答の論拠:A「didn’t talk」は助動詞haveの直後に助動詞didn’tが重複しており破綻している。B「talk」は原形であり完了形を形成できない。D「talking」は現在分詞であり完了進行形にするためのbeenが欠落している。

問48(継続を表す動詞の語法と前置詞):

正解の論拠:ジェシーはセリーヌへの好意を伝え、「I want to keep ( 48 ) you.」(君と話し続けたいんだ)と語りかける。動詞「keep」は目的語に動名詞を取り「keep doing」(〜し続ける)という構文を形成する。さらに「人と会話をする」という文脈で「人(you)」を直接導く前置詞は「with」または「to」であるため、選択肢Cの「talking with」が語法および文脈の両面で合致する。

誤答の論拠:A「getting to」は「〜に到達する、〜するようになる」であり意味をなさない。B「knowing with」は「know with」という成句が存在しない。D「wondering about」は「〜についてあれこれ考える」であり、会話を継続したいという直接の懇願に適合しない。

問49(仮定法過去の帰結節における疑問文構造):

正解の論拠:ジェシーがウィーンで一緒に降りようと提案したのに対し、セリーヌは「What would ( 49 )?」(私たちは何をすることになるの?)と尋ねている。助動詞の過去形「would」が文頭の疑問詞の直後に置かれており、現在の事実に反する仮定、あるいは不確実な未来の提案に対する帰結を尋ねる仮定法過去の文脈である。疑問助動詞「would」の後に続く主語+本動詞の構造として、原形動詞を含む選択肢Aの「we do」が文法的に正解となる。

誤答の論拠:B「we’ll do」は助動詞wouldの後に再び助動詞willが重複しており文法的に誤りである。C「we’re doing」は現在進行形であり助動詞wouldと結合できない。D「we’ve done」は現在完了形であり助動詞wouldの後で原形haveになっていない。

問50(過去の反事実的推量を表す仮定法):

正解の論拠:物語の結末近く、街に出た二人は駅ですれ違って二度と会わなかった可能性について振り返る。セリーヌの「アイコンタクトをして、そのまま通り過ぎていく無数の人々」という発言を受け、ジェシーは「Yes, we could ( 50 ) that. Now it’s like…」(そうだね、僕たちもそうしていた可能性だってあったんだ。でも今は…)と応じる。「過去において〜することも可能であった(実際にはそうしなかったが)」という過去の事実に反する可能性・推量を表す表現は「助動詞の過去形(could)+ have + 過去分詞」である。したがって選択肢Dの「have done」が正解となる。

誤答の論拠:A「had do」はcouldの後に過去完了のhadが直接置かれ、さらに原形doが続くという二重の文法破綻である。B「had done」は助動詞couldの直後に原形ではないhadが置かれており誤りである。C「have does」はhaveの後に三人称単数現在形doesが置かれており文法的に成立しない。

【着眼点と解法の方針】

会話文における空所補充設問を処理する際、最初に着目すべき条件は「統語的拘束性(文法・語法の制約)」と「談話的文脈(会話の流れと発話者の意図)」の力学関係である。具体的には、空所の前後数語を見るだけで文法的に選択肢が1つに絞り込める設問(統語主導型)と、会話の全体の流れや感情の機微を読み取らなければ絞り込めない設問(文脈主導型)を瞬時に判別する。

解法方針の第一の起動点は、時制とアスペクト(相)の正確な識別である。たとえば問37の「my whole life」や問47の「in weeks」といった時間的限定詞に着目する。これらは「過去から現在に至る一定の期間」を明示する標識であり、現在完了形を一撃で起動させる決定的な手がかりとなる。また、問50のように、過去の事実(二人は途中下車して会話を継続した)と対比される「あり得たかもしれない別の過去(通り過ぎて二度と会わなかった)」という反事実的な仮定の文脈を同定した瞬間に、「助動詞+have+過去分詞」の構文を起動する論理的直観が求められる。

第二の起動点は、口語表現における動詞の語法・パターンの同定である。学校英文法において受動態は「be+過去分詞」として教えられるが、実際の口語対話では「get+過去分詞」が心理的変化や偶発的な事象、あるいは利害関係を伴う状態の変化として頻繁に用いられる。問45の「get paid」はその典型例であり、「don’t」の後に受動の意味をどう構築するかという点において、口語特有の型を認識できているかが正否を分ける。また、問42のように科目を「履修する」という行為を動詞「take」で表す語法や、問39のように時間を「過ごす」ことを「spend time」で表すコロケーションなど、動詞と名詞の定型的な結合関係への着眼が解法の速度を決定する。

類似問題との共通性と差異に関して、明治大学全学部統一の第3問(対話形式・インタビュー形式)は、標準的な私大入試の文法・語法独立問題と異なり、独立した一文ではなく、長い対話の流れの中に空所が埋め込まれている。したがって、前後のセリフを切り離して空所を含む文だけを凝視しても正解にたどり着けない場合が多い。セリーヌの問いかけに対してジェシーがどう反応しているかという「ターン・テイキング(話者交条)」の論理的連属性に着目することが、本問特有の解法方針となる。

【初見・類題への対応】

未見の会話文・台本形式の設問に対峙した際、受験生は以下の判断手順を適用して安定的な正答率を確保する。

第一の手順は、「空所の文法的位置づけの即時確定」である。空所が文の述語動詞の位置にあるのか、助動詞の直後の本動詞なのか、名詞を修飾する限定詞なのかを瞬時に判別する。たとえば問36では、空所の直後に「weird people」という名詞句があるため、直ちに限定詞・形容詞の選択問題であると分類する。これにより、副詞であるmostlyや比較級のmoreを即座に排除し、可算・不可算の判定へと焦点を絞り込むことができる。

第二の手順は、「口語的な省略と慣用表現の復元プロトコル」である。口語では主語やbe動詞が省略されたり、定型的な句動詞が多用されたりする。問46の「getting off」や問48の「talking with」のように、動詞単体ではなく前置詞や副詞とセットになった句動詞(phrasal verbs)として意味を把握する。未知の会話表現に見えても、その骨格は基本動詞(get, take, make, keep等)と前置詞の空間的・論理的イメージの組み合わせに帰着することを想起し、文脈に沿ってその意味を再構成する。

条件が変化した場合の対応として、会話文設問が「適切な応答文を一文丸ごと選ばせる形式」に変化した場合でも、本問で用いた解法原理はそのまま有効である。直前の発話の「疑問文の焦点(何を聞いているのか:事実なのか、理由なのか、感情なのか)」を抽出し、それに対する直接の回答となっている選択肢を選び、話題をすり替えている選択肢を排除する。

類題として、慶應義塾大学文学部の会話・インタビュー読解、青山学院大学の会話文完成問題、さらには共通テスト英語リーディングの対話文・メッセージ交換問題が挙げられる。いずれの試験においても、文法的な正確さと会話の状況的妥当性の双方が要求される点において本問と軌を一にしており、本解説で体系化した解法手順をそのまま適用できる。

【誤答回避と精度向上】

本大問において受験生が最も犯しやすい誤答の罠は、以下の3点である。

第一に、「文脈の日本語訳の感覚に頼り、文法的な形式制約を無視する誤謬」である。問49において、日本語で「私たちは何をするのだろう」と考えた結果、未来の助動詞willの短縮形を含む「we’ll do」を選んでしまうミスが多発する。文頭にすでに助動詞「would」が存在しているという統語的事実を見落とし、頭の中で訳出した日本語のニュアンスだけで選択肢を選んでしまうことが原因である。空所の手前にある助動詞・前置詞などの「形式的拘束力」を必ず指差し確認する手順を徹底しなければならない。

第二に、「会話特有の動詞の語法・語順の混同」である。問37において、「call+人+名前」という第5文型の型を意識せず、「say」や「tell」といった発話動詞の日本語訳(言う、話す)のイメージで飛びついてしまうパターンである。動詞の語法問題は、意味ではなく「後ろにどのような文型(目的語・補語・前置詞)を従えることができるか」という構造の型によって解くという原則を厳格に保持しなければならない。

第三に、「完了形と助動詞が複合した時制の取り違え」である。問50の「could have done」において、助動詞の後には動詞の原形が来るという基本原則を形式的に適用し、文脈上過去の反事実的推量であるにもかかわらず原形を含む選択肢を探して混乱してしまうケースである。「過去の事実に対する推量・後悔・非現実の仮定」を述べる際には、助動詞の後であっても「have+過去分詞」という完了相の形を取ることでしか過去を表せないという文法原理を確実に定着させておく必要がある。

精度向上のための具体的方策として、空所に選択肢を代入した状態で、その文を頭の中で音読(内言)し、リズムや統語的座りの良さを確認する検証作業を推奨する。会話文は人間が自然に発話するために形成された表現であるため、文法的に破綻している選択肢は代入した瞬間に著しい違和感を生じさせる。文法分析と内言による検証の二重化が、マークミスを極限までゼロに近づける。

【再現性チェック】

この解法が有効な条件:

  1. 映画・文学作品・日常対話・インタビュー記事などの口語対話文を素材とする空所補充問題
  2. 基本的な動詞の語法(文型)、前置詞の結合、時制・仮定法の識別が会話の流れの中で複合的に問われる試験形式
  3. 口語特有の省略や句動詞、受動態のバリエーション(get+過去分詞)を含む設問環境

自己検証ポイント:

・空所の直前にある助動詞、be動詞、完了形のhaveなどの統語的マーカーを見落としていないか。

・時間的副詞句(my whole life, in weeks等)を手がかりに、時制(特に現在完了形)を論理的に決定できたか。

・動詞の選択において、日本語の意味ではなく後続する文型(SVOC等)や目的語の種類を基準に判定したか。

・仮定法や過去の推量において、助動詞の過去形と完了形(have done)の組み合わせを正確に運用できたか。

類題:

・青山学院大学 全学部日程 英語 会話文完成問題

・中央大学 統一入試 英語 会話・対話文完成問題

【参照】

[個別 M04]

└ 前置詞・イディオムの空所判定において、動詞や名詞との定型的な結合関係を識別する手順を用いる。

[基礎 M01]

└ 文型の判定と述語構造の確定において、対話中の省略要素を補完して基本文型を復元する原理を適用する。

【該当学習項目】

[個別 M06]

└ 対話における発話者間の文間論理配列および談話展開の整合性を判定する手順で使用する。

【関連学習項目】

[個別 M03]

└ 談話標識や接続関係を手がかりに、前後の発話の論理的関係を検証する能力を補強する。

[基礎 M18]

└ 文間の結束性において、指示表現・代用・省略が機能する談話構造の把握を強化する。

総括

【出題傾向の展望】

2021年度の明治大学全学部統一日程における英語は、第1問に自然科学・動物行動学・遺伝学を題材とした長文読解(ゾウの飲酒伝説と遺伝子変異の検証)、第2問に社会科学・経済・農業史を題材とした長文読解(農産物窃盗の国際的実態と文明史的意義)、第3問に対話文読解(映画『Before Sunrise』の会話劇)を配置する3大問構成であった。設問総数は50問、試験時間は60分であり、計算上は1問あたり約1分12秒という極めて高い処理速度が要求される。

次年度以降の出題傾向を展望すると、全学部統一日程という試験の性格上、特定学部の専門性に偏らない普遍的な教養英語、すなわち自然科学、社会科学、人間文化論という広範な学問領域からバランスよく素材が選定される方針は今後も完全に維持されると予測される。特に第1問および第2問の長文読解において顕著であるように、英米の一般向け科学雑誌や高級ジャーナリズム(Biology Letters、The Guardian等)に掲載された、知的好奇心を刺激する質の高いノンフィクション記事をベースとする出題が主流を占め続ける。

設問形式の面では、下線部語彙・熟語の意味判定問題が全体の約4割という極めて高い比重を占め続けることが確実視される。本学の語彙問題は、単なる難関単語の知識を問うのではなく、基本語や多義語が特定の文脈において帯びる正確なニュアンスを、統語構造や前後の意味的共起関係から見抜かせる形式が徹底されている。また、2021年度の第3問に見られるような、口語表現や会話の文脈把握を試す出題、あるいは2024・2025年度に見られる文整序や脱文挿入といった談話構造レベルの判断を要する設問が、年度によって柔軟に組み込まれる傾向が強まっている。

したがって今後の受験生に求められるのは、単一の長文読解テクニックではなく、単語レベルの文脈的識別(語彙力)、文レベルの統語構造解析(文法・構文力)、段落レベルの論理展開把握(論理力)、そして選択肢のトラップを冷徹に排除する批判的検証力(消去力)という、重層的な学力を時間圧下で同時に稼働させる統合的運用力である。

【次の学習への指針】

本年度の過去問演習を終えた受験生が、次なる得点力向上を達成するための具体的な学習指針を、特化モジュール(個別M01〜M11)および基礎体系カリキュラムとの連動を踏まえて以下に提示する。

第一に、語彙問題における失点が目立った受験生は、直ちに特化モジュール [個別 M01](基本語彙の文脈依存的意味判定)および [個別 M02](熟語・比喩表現の文脈判定)に立ち返るべきである。単語帳の第一義を一対一で暗記する学習から脱却し、単語が英文の中でどのような前置詞、目的語、主語と共起しているかを観察し、文脈から意味領域を逆算する訓練を積む必要がある。これと並行して、基礎体系 [基礎 M30](多義語・語法と文脈依存的語義判断)を徹底的に復習し、多義語の基本イメージから文脈的意味が派生する論理機序を学問的に体系化することが急務となる。

第二に、第2問の内容一致問題(問34、35)や趣旨説明問題(問27、28、33)で誤答が散見された受験生は、特化モジュール [個別 M08](内容一致判定の情報照合)を反復演習されたい。明治大学全学部統一の内容一致問題は、本文の記述を巧妙に言い換えた選択肢が正解となり、本文中の単語を散りばめながら主語や因果関係をすり替えた選択肢が誤答として配置される。選択肢の命題を要素分解し、本文の該当箇所と1対1で突き合わせる「情報照合のアルゴリズム」を確立しなければならない。この照合精度を支える基盤として、[個別 M07](指示語・言い換えの照応特定)および [基礎 M21](論理的文章の読解)の修得が不可欠である。

第三に、第3問の会話文や文法・前置詞空所補充で時間を浪費した、あるいは失点した受験生は、特化モジュール [個別 M04](前置詞・イディオムの空所判定)および [基礎 M01](文型の判定と述語構造の確定)の再確認を行うべきである。動詞の文型(自動詞・他動詞の区別、SVOCの型)と前置詞の空間的意味を身体化し、空所の前後を見た瞬間に統語的な制約から選択肢を絞り込めるレベルまで即応力を高める必要がある。

学習手順としては、過去問演習で誤答した問題について、単に解説を読んで納得するにとどまらず、「どの判断ステップで誤ったか(初動判断での着眼点の誤りか、文脈推測プロトコルの不備か、選択肢トラップへの引っ掛かりか)」を自己分析し、対応する特化モジュールの判断原理と照らし合わせて弱点を根底から補強する復習サイクルを確立されたい。

【身につけるべき力のまとめ】

明治大学全学部統一日程の英語を突破するために、受験生が身につけるべき能力は以下の3点に集約される。

  1. 文脈依存的語義判定力(Context-Dependent Lexical Processing)未知語や多義語に直面した際、パニックに陥ることなく、周辺の統語構造、並列関係、対比関係、因果関係から当該語の意味範囲を一意に絞り込む能力である。辞書的な知識の多寡ではなく、英文という動的なシステムの中で語が果たしている機能をリアルタイムで同定する柔軟な知性が求められる。
  2. 談話レベルの論理追跡力(Discourse-Level Logical Tracking)個々の文を和訳するレベルにとどまらず、段落全体を貫く主題文と支持文の階層関係、さらには文章全体において具体例から抽象論へ、あるいは個別事象から歴史的・構造的分析へと議論が展開していくマクロな骨格を追跡する能力である。この力があって初めて、内容一致問題や主題選択問題において本文の該当箇所を迷うことなく特定することが可能となる。
  3. 選択肢命題の批判的照合力(Critical Propositional Verification)マークシート試験において高得点を安定させるための最終防壁となる能力である。作成者が仕掛けた「部分的一致の罠」「因果の反転」「極端な断定」「未言及情報の付加」といった誤答生成パターンを熟知し、本文の記述と選択肢の命題を厳格に照合して、確信をもって誤答を排除し正解を浮き彫りにする精緻な論理的検証力である。

【得点戦略】

試験時間60分の中で配点100点を最大化するための戦略的タイムマネジメントを以下に示す。

大問ごとの目標配分時間:

・第1問(長文読解・科学系・17問):23分

・第2問(長文読解・社会論説系・18問):22分

・第3問(対話文・文法語法系・15問):15分

・合計:60分(見直し・マーク確認時間は各大問の解答プロセス内に分散内包させる)

戦略の核心は、「第3問の会話文・文法設問をいかに淀みなく15分以内で完答し、第1問・第2問の重厚な長文読解に各20分強の時間を確実に配分できるか」にある。第3問は比較的平易な文法・語脈判断が多いため、ここで1問あたり45秒のハイテンポを崩さず、確実に15問を回収することが全体の得点基盤を安定させる。

長文読解(第1問・第2問)における得点最大化の要諦は、設問の優先順位づけである。下線部語彙問題は、本文を読み進める中で遭遇した瞬間にその場で即決していく。ここで1問に1分以上悩むことは厳禁であり、30秒考えて文脈から絞り込めない場合は暫定マークを付して直ちに読解を継続する。これにより生み出された貴重な時間を、配点の高い内容一致判定(問34、35等)や下線部趣旨説明問題の本文照合に集中投下する。内容一致問題は2問で大問全体の得点に大きく寄与するため、該当段落の精査に各1分30秒〜2分を惜しみなく使える状態を作り出すことが、合格ラインである80〜85点を超えるための必須戦略となる。

【時間配分の振り返り】

本年度の試験構成に照らし、各パートの時間配分を検証する。

第1問(長文読解・ゾウの飲酒伝説):全17問に対し23分。本文の語彙レベルは標準的であるが、遺伝子変異や代謝機構に関する科学的説明が含まれるため、通読に約8分、語彙問題12問に計6分、整序英作文・内容一致・タイトル選択等の総合問題5問に計8分、確認1分という配分が極めて妥当である。

第2問(長文読解・農産物窃盗):全18問に対し22分。第1問よりも抽象度が高く、歴史的背景や犯罪心理論が重層的に展開するため、通読に約8分、語彙・前置詞問題12問に計6分、理由・趣旨説明および内容一致問題6問に計8分という配分となる。語彙問題をいかに機械的・高速に処理できるかが、後半の論述把握設問の精度を左右した。

第3問(会話文読解・Before Sunrise):全15問に対し15分。1問あたり1分の均等配分。会話のトーンを楽しみながらも、空所前後の文法チェック(第1次フィルター)を各20秒、会話の整合性チェック(第2次フィルター)を各25秒で完了させ、15分ジャストで全問をマークし切る運用が求められた。

全体として、60分という試験時間は一切の停滞や迷いを許さないタイトな設定であり、一問の難問に固執して時間配分を崩した受験生は、後半の平易な設問を取りこぼして大きく失点したと推測される。時間配分を厳格に順守する自己規律こそが最大の武器である。

【次年度への示唆】

本年度の過去問が次年度以降の受験生に与える最大の示唆は、「多読速読の訓練と、文脈依存的語彙判断の精読訓練を決して二者択一にしてはならない」という点である。

多くの受験生は、長文読解対策として「大まかなあらすじを素早く掴む練習」ばかりを行い、細部の語法や前置詞の結合、文脈による単語の意味の微細な変化を等閑にしがちである。しかし明治大学全学部統一日程の英語は、長文の全体像を高速で把握しながら、同時に下線部の一語一語の文脈的妥当性を精緻に検証できる二刀流の読解力を求めている。

日頃の長文演習において、わからない単語に出会った際に即座に辞書を引くのではなく、「この文脈において、この単語は肯定的なのか否定的なのか」「どの主語・目的語と結びついているのか」を前後の文から徹底的に推測し、その上で辞書を引いて自分の推論の妥当性を検証するという負荷の高い読解プロセスを習慣化されたい。その知的負荷の積み重ねこそが、本番の極限の時間圧下において、迷いなく正解の選択肢を射抜く直観力と確信へと結実する。

重点学習領域

[個別 M08]

└ 第1問および第2問で高配点を占める内容一致判定において、本文記述と選択肢命題の精緻な情報照合手順を確立し、すり替えの誤答トラップを排除する能力を強化する。

[個別 M01]

└ 第1問・第2問を通じて全設問の4割近くを占める下線部語彙問題に対応するため、多義語の原義から文脈に合致する意味を一意に特定する文脈的語義判定力を再確認する。

[個別 M06]

└ 第2問の段落間論理展開の把握、および第3問の会話文における発話意図の連属性を正確に捉えるため、文間の論理的結束性を判定する判断原理を徹底的に強化する。

明治大学

早慶
早稲田大学
慶應義塾大学
MARCH
明治大学
青山学院大学
立教大学
中央大学
法政大学
関関同立
関西学院大学
関西大学
同志社大学
立命館大学

過去問

全学部入試:全学部統一入試

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