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同志社大学 試験解説 2023年度 2月5日 全学部(文系) 国語 現代文

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 はじめに現代文の基本姿勢として、二点のポイントを紹介しよう。

 一点目は、客観的に読む、ということである。これは、あなたの意見や主張は聞いていない、ということである。また、同時に出発点でもある。文章を読んで次の問に答えよ、というような文言で始まる現代文科目においては、回答、その全ての根拠を本文中より抽出しなければいけない。また巷で聞く、現代文を実力ではなく運、とする主張は、筆者と回答者の間にある主張の距離によるものである。これが近ければ点数は上がり、遠ければ点数は下がる。そういう意味で、学習を放棄した者にとっては運によって点数の上下する対象として映るのかもしれない。

 二点目は、採点基準より逆算する、ということである。これは、採点基準に沿って回答する、ということである。試験というのは、解く(採点)するために作られているのだから、そこには必ず採点の基準が存在する。採点基準を意識した学習を積み・回答をすることで、得点を伸ばすことが可能である。さらにいえば、試験中に採点基準をイメージし、回答できるようにしたい。採点基準は、模試であれば解答・解説の冊子に記載されているし、入試であれば(東大をはじめとする難関大に限られるが)各予備校の解答速報より共通項を探ることで確認できる。
 また、この基本姿勢は、他の教科でも同様に当てはまるものである。例えば、数学においては回答指針を示すことによって同じ計算ミスでも得点が変わることがあったり、英語において文法知識の確認が不明と理由で「意訳」による減点・不正解、がこれにあたる。

基礎講座

 いわゆる「授業」に該当する記事を、「基礎講座」として扱っています。過去問解説では、どうしても一対一の対処療法的なものになってしまいます。その点、「基礎講座」では体系的に受験レベルの基本情報を扱います。

 大学受験に際する情報を全て暗記すると膨大ですが、知識の使い方を応用することで、覚えるべき情報は減らすことができます。「基礎講座」では、本質を抑えることで、最小の情報で最大の効果、を目指しています。ぜひ、科目に対する基本知識の習得にお役立てください。

評論テーマの現代文。評論文の特徴としては、基本的に筆者に何らかの主張があり、その主張を読者に伝えるために例示や比較などが用いられる。さらに、文章ならではの表現、独自の意味解釈、などが用いられることが多く、文章内で意味を推察しながら読み進めていくことが求められる。そのため、テーマ演習などが役に立たないとは言えないが、個別具体的な目の前の文章から離れた知識によって解答することで、自らを誤答へ導くことを心に留めておくことが重要である。

目次

概観

目標点

目標点は、120点(80%)で、おおよそ全体を通して許されるミスは3問である。合格を基準とする目標点である。受験予定のない高1生・高2生が演習として解く場合の目標点は、100(75%)で、おおよそ全体を通して許されるミスは5問である。

2023年度 入試統計


学科・専攻・コース科目別(国語)平均点率総点ボーダー
ライン
科目別受験者
平均得点率
科目別合格者
平均得点率
受験
者平均得点率
合格者
平均得点率
合格最低
点得点率
偏差値
神学部神学科70.780.064.878.873.057.5
文学部英文学科73.380.068.676.671.457.5
哲学科75.380.768.475.671.060.0
美学美術学科75.382.066.877.273.057.5
文化史学科75.382.069.078.674.460.0
国文学科77.382.768.077.072.262.5
社会科社会学科75.383.371.081.077.462.5
社会福祉学科72.782.065.676.071.657.5
メディア学科74.080.766.478.674.860.0
産業関係学科72.082.065.077.274.657.5
教育文化学科74.780.069.277.873.860.0
法学部法律学科74.780.770.278.874.262.5
政治学科76.781.372.479.475.060.0
経済学部経済学科72.780.069.478.073.660.0
商学部商学科商学総合コース72.781.368.879.675.862.5
フレックス複合コース71.380.068.479.675.860.0
政策学部政策学科71.376.767.675.369.657.5
文化情報学部文化情報学科72.780.065.876.070.857.5
スポーツ健康学部スポーツ健康学科69.377.363.473.468.855.0
心理学部心理学科74.782.768.879.075.062.5
グローバル・コミュニケーション学部グローバル・コミュニケーション学科英語コース73.381.370.280.477.362.5
中国語コース75.379.370.476.471.857.5
グローバル地域文化学科グローバル地域文化学科ヨーロッパコース76.783.372.881.478.262.5
アジア・太平洋コース73.382.769.879.475.460.0
アメリカコース72.782.069.079.474.060.0
学科・専攻・コース科目別受験者
平均得点率
科目別受験者
平均得点率
受験
者平均得点率
合格者
平均得点率
合格最低
点得点率
偏差値
科目別(国語)平均点率総点ボーダーライン

 目標点を決めるために必要な情報を上図に示した。合格者の平均点は、合格最低点に依らず多くの学部で120(80%)-125(83%)となっている。雑に計算すると試験全体で2問または3問のミスが平均値としての指標となろう。4問ミスすると、合格最低点レベルの得点率となる。

難易度

 難易度としては容易のタイプに分類される。受験の難易度については大きく2つの傾向があり、高難易度で合格最低得点率が55%-70%、低難易度で合格最低得点率が65%-80%となる。
 今回扱った試験に関しては後者あるので、明確に易しい難易度の問題と自覚することが重要である。そういった意味で、このレベルの問題が入試レベルの基準と考えて良い。
 大学の知名度・偏差値で、さも難しいなどと考えてはいけない。全てとは言わないが、多くの大学が詳細な入試データを公開しているので、それを参考に入試のタイプを定義していくことが重要である。

オススメの対策


 MARCH・関関同立と呼称される大学群の多くは「高得点争い」となっているのが実情である。例えば、同志社大学の全学部入試では、過半数以上の学科で、合格者平均点(現代文)が80%を超えている。つまり、少なくとも平均的な多くの合格者にとって「簡単な問題」であり、この「簡単な問題」をミスなく正確に解答するする力が必要である。
 問題が本当に「簡単」なのか、というと決してそうではない。それは「受験基準で簡単」なのである。私は「学校基準の学力(下・上)」と「受験基準の学力(下・上)」と2種類(4段階)の学力が存在していると考えている。「学校基準の学力」とは、学校の指導によって醸成される学力で、一部の進学校を除けば、ここで醸成された学力では共通テスト7割が限界だろう。一方で、「受験基準の学力」とは、入試問題を解くために醸成される学力である。つまり、基礎領域を複合的に併せた応用力を通じて様々な問題へ対応する学力である。
 結局、MARCH・関関同立の問題はどのレベルか、というと「受験基準」の下位である。厳密には、年度や学部、入試方式などによって問題難度は変化するが、基本的に教科書だけの暗記で合格点をとることは難しい。相応の演習料や特化的な暗記、などの対策が必要となる。ただ、MARCH・関関同立の志望者の多くは、当たり前のように、「受験基準」の学習をしている。だからこそ、この「当たり前の受験基準」に到達できるかがカギになる。実際、一部の進学校を除くと到達することは非常に難しい。

 こうした環境の中で、スタディサプリは、受験勉強の導入に最適なツールである。学習の重要性が語られる際、アウトプット(演習)、が注目されることが多いが、出発点はインプット(理解)である。人から教わるにしても、自分で学習するにしても、一定程度の理解は必要である。参考書・問題集の解説や塾・予備校の授業が理解できない、という状況は十分にあるからだ。そこで、登場するのが、スタディサプリである。
 スタディサプリの大きな特徴は講師にハズレがないということである。予備校等で実績をつんだ講師が授業を担当するので、全く分からない、ということにはならないだろう。また、成績向上を目的としているから、受験に必要な情報は概ね網羅されることになる。また、講座は基本的にはレベル別のみの数パターンしかないので、選ぶのに迷うことがない。さらに、価格は月2000円程度と大学受験指導としては非常に抑えられている。つまり、比較的安価に、コレ、というもので学習することで、共通テストで7割程度(地方国公立・日東駒専・産近甲龍)を十分に目指せるというものである。
 MARCH・関関同立であれば、加えて問題集や過去問を何度も繰り返し行えば、問題ないはずである。このレベル帯の大学群は参考書に載っていない知識を問うことは非常に少ない。繰り返し問題演習を行い、例えば9の大学の全て入試方式で受験科目を5年分も解けば十分だろう。間違えた問題について、できるだけ解説に頼らず、どうやったら解けるだろう、という自問自答を繰り返すことで実践力を身につけることができる。

構造分析

準備中

設問解説

(一):空所補充(選択)

 空所に入る接続詞を答える問題。英語であれば、ディスコースマーカ(談話標識)という名称で一分野化し、学習することもあるだろう。しかし、日本語とりわけ現代文においては、あまり詳しく学習しないように感じる。補足的に説明すると、前後の関係性を見極める印(標識)として理解いただきたい。

 aについて、空所前では「『歴史』引き出す/取り出すことは難題である(果)」という内容であるのに対し、空所後では「『歴史』を引き出す/取り出すことはできない(因)」、という内容である。つまり、空所には因果の意を接続詞が入る。
 bについて、空所前では「方言分布が同心円を見出すケースは稀、かつ方言分分布それ自体についても異論の余地がある」という内容であるのに対し、空所後では「認めておいて差し支えないだろう」、という内容である。つまり、空所には逆説の意を接続詞が入る。

解答

a:5 なんとなれば、b:4 とはいえ

(二):内容説明(選択)

 まず、傍線部の内容説明問題であるから傍線部の内容を確認する。民俗学の話題は、傍線部直前で出てきているので、ココが回答根拠であると予測することができる。

 そして、文章内容と照合していく。ポイントは民俗学の目的が二つに分かれていることである。一つは創始者・柳田國男、もう一つは筆者である。また、傍線部の含まれた一文を読むと、話題を傍線部の内容に戻すとあるので、傍線部の前だけに回答根拠があると決めつけずに、傍線部を含む段落も読む必要がある。本文と選択肢の表現に大きな違いもないので迷わず解答できるだろう。

解答

1:日本民俗学の創始者・柳田國男が考えるような、未来をより良くするために現在とそれを生み出した過去を正しく知るという民俗学の目的には、ユニークさはないと言える。

(三):内容説明(選択)

 傍線部直前にある、「題詠の伴う遊び的な要素を嫌い、感動をうたう詩型としてひた走ってきた」、とあるので、より感動を表現する近代型のものへと変化していったことが窺える。

解答

3:前近代の衣は、無数の手間暇の積み重ねの結果であるために珍重されてきた。また、衣にまつわる作業の大部分は女性によってになわれており、女性が作り出した糸や布や服に呪的な力が宿るとする観念は広範に見出される。

(四):内容説明(選択)

 まず、虚構、とは何か、という認識が重要である。他の設問解説でも述べているかもしれないが、現代文は傍線部の意味解釈が重要で、出発点はそこである。特にこの問題は、文中における虚構の意味、がわかれば、ほぼ正解である。といっても、傍線部直前に、日常の言葉とは違う、という修飾表現があるので、あまり深く考える必要はないのかもしれない。
 傍線部Cの次の段落に、日常の言葉ではない五七五音の形式は違和感が際立ち、その違和感が日常を新鮮にする、と記述されている。また、日常の言葉ではない五七五音の形式の生み出す世界観が虚構の世界である。

解答

4:農民の歴史を「一揆嗷訴(ごうそ)」と「風水虫害」の連続であるかのようにしてしまった記録文書主義に対し、柳田は、リテラシーのある者が特別な出来事として書き残した文字資料だけでは不完全であると考えてしまった。

(五):内容一致(選択)

 文章全体にわたった内容一致問題。さほど難しくないので、しっかりと文章を読んでいれば正解することができる。2/ 3程度を目標としたい。最低でも、選択肢から本文の該当箇所がわかる程度に読んでおく必要がある。一から該当箇所を探すと、時間がかかり過ぎてしまう。

解答

1:学問分野はその対象によって定義づけられると思われているが、その対象だけでは決まらない。

2:『万葉集』は、日本文学、日本語学、日本史学といった様々な学問分野で研究されている。

7:柳田國男は、地域によるカタツムリの名称の違いに着目し、空間的差異から時間的推移を捉えた。

(六):内容説明(記述)

 現代文の記述問題には、二段階の難易度が存在する。低い難易度は、本文中の表現を用いながらつなぎ合わせ回答するもの。高い難易度は、本文中の表現を極力用いずに自らが文章を作り上げ回答するもの。高い難易度の場合、本文中の表現を用いながらつなぎ合わせ回答できないような字数制限が設定されている。
 特に私立大学の場合は、採点の観点から低い難易度のアプローチで良いと考えて良い。読解に依拠した回答ができているならば、他の受験者と比較して大きく点差が生じることもないだろう。

 今回の文章は、「民族資料」について抽象と具体を綺麗に繰り返す構造になっている。その抽象属性をもった段落・文を特定し、繋ぎ合わせれば良い。最悪の場合でも、最終段落をまとめるだけで5割の得点は可能だろう。
 設問に「具体的に説明せよ」とあるので、具体性のある解答でなければならない。

解答

回答例

歴史の刻まれた現在に属する、普通の人々の日々の暮らしを営む私たち自身のこと。(38字)

参考:抽象度の高い回答例

通時的な分析によって、偏りのある資料に一般性を与えることを可能にするもの。(37字)

おわりに

準備中

同志社大学

MARCH
関関同立

関連学部

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